特許第5871886号(P5871886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871886
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】易服用性固形製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/36 20060101AFI20160216BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61K47/36
   A61K9/36
   A61K47/02
   A61K47/10
   A61K47/26
   A61K47/32
   A61K47/38
【請求項の数】13
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-243750(P2013-243750)
(22)【出願日】2013年11月26日
(62)【分割の表示】特願2012-509550(P2012-509550)の分割
【原出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2014-74039(P2014-74039A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2014年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2010-82759(P2010-82759)
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000181147
【氏名又は名称】持田製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】工藤 弓夫
(72)【発明者】
【氏名】蕨野 訓臣
【審査官】 加藤 文彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/047802(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101438734(CN,A)
【文献】 国際公開第2009/119290(WO,A1)
【文献】 特開2002−275054(JP,A)
【文献】 特表2005−500255(JP,A)
【文献】 金田 健,他,乳酸カルシウム、アルギン酸ナトリウムならびにカーボポールのゲル形成を応用した顆粒からの薬物放出制御,薬剤学,日本,2002年 3月 5日,Vol. 62, Supplement,Page 287
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/36
A61K 9/36
A61K 47/02
A61K 47/10
A61K 47/26
A61K 47/32
A61K 47/38
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールコーティングを有する薬物核(但し、フィルム製剤を除く)へのスプレーコーティングに用いられる組成物であって、
カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤;
多価金属化合物;ならびに、
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を含むコーティング用組成物。
【請求項2】
さらに水100gに対する20℃の溶解度が30g以上の糖又は糖アルコールを含む請求項1に記載のコーティング用組成物。
【請求項3】
さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む請求項1または請求項2に記載のコーティング用組成物。
【請求項4】
第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする請求項3に記載のコーティング用組成物。
【請求項5】
多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
【請求項6】
アルコールを溶媒として含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
【請求項7】
有効成分を含有する薬物核(但し、フィルム製剤を除く)であってシールコーティングを有する薬物核と;
該薬物核に、
カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、
多価金属化合物、ならびに
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を含むコーティング
を有する経口用組成物。
【請求項8】
さらに水100gに対する20℃の溶解度が30g以上の糖又は糖アルコールを含む請求項7に記載の経口用組成物。
【請求項9】
さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む請求項7または請求項8に記載の経口用組成物。
【請求項10】
第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%(コーティング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする請求項9に記載の経口用組成物。
【請求項11】
多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項12】
薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項13】
経口用組成物の製造方法であって、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液にカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、ならびにキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を分散させた液を、有効成分を含有する薬物核(但し、フィルム製剤を除く)であってシールコーティングを有する薬物核にスプレーコーティングすることを特徴とする経口用組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服用性を改善した易服用性経口用製剤、及び/又は溶出性を改善した易服用性製剤に用いられるコーティング用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医薬品は経口投与製剤の占める割合が高く、その中でも固形製剤が主流であるが、中には服用量の多い製剤が多く存在し、これらの製剤はシングルユニットの錠剤とした場合は大型化し、散剤・顆粒剤とした場合は密度が低いため嵩高い製剤となり、嚥下機能の低い子供や老人にとって服用が困難な場合が多い。
錠剤の服用性を高めるために口腔内速崩壊錠の技術が開発されたが、錠剤全体に対する主薬の含有量が少ないため、主薬の含有量が多い製剤には不向きである。口腔内速崩壊錠を大きくした場合、崩壊後の口腔内での異物感が大きくなってしまう。更に主薬に苦味等の不快味がある場合はマスキングが困難であるなど課題が多い。
また、服用性が良好な剤形として液剤やゼリー剤等の製剤も提案されているが、これらの剤形にしても主薬の含量が高い場合には味のマスキングが困難で、更に水中での安定性の担保という課題を抱えている。
服用量の多い製剤の例として陰イオン交換樹脂であるコレスチミドを活性成分とするコレステロール低下剤があり、製剤をコンパクトにして服用しやすいようにするためにマルチユニット製剤 (ミニタブレット分包剤)が開発され販売されている。特許第 3883505号 (特許文献1)では、コレスチミドのマルチユニット製剤 (ミニタブレット)の服用性を改善するために水溶性高分子セルロースでコーティングした後にエチルセルロースでコーティングすることで、口腔内でミニタブレットが崩壊・凝集して服用性が悪化するのを防ぐことができるとの記載がある。しかし、錠剤の滑りを良くして嚥下しやすくする技術に関する記載は見当たらない。
【0003】
近年、固形剤を嚥下しやすくする手法として、粘膜の滑りが良好なゲル化剤を用いた技術が開発されつつある。例えば特表2000−516222 (特許文献2)では顆粒、ペレット及びミニタブレットにおいて内層に高粘度のゲル化剤を、外層に低粘度のゲル化剤をコーティングすることで口腔内でのまとまり、苦味マスキング及び易嚥下性を改善した製剤が記載されている。しかし、ここに開示されている方法では、ゲル形成までに長い時間がかかり、形成されたゲルは粘膜への付着性が高くなるという欠点を有する。
特開2002−275054(特許文献3)にはゲル化剤にキサンタンガムを用いコーティング固形分組成を100部とした場合40部以上の糖アルコールを添加したコーティング液でコーティングされた嚥下しやすい錠剤の記載がある。このコーティングは、口腔内に含んだときにぬめり感、べたつき感がなく粘膜の滑り感が良好とされるが、キサンタンガム単独では口腔内で形成されたゲルが柔らかすぎ、苦味マスキングが不十分で粘膜の滑り感の点でも更なる改善が求められる。
特許第 4267926号 (特許文献4) にゲル化するフィルム剤が開示されている。このフィルム剤は、薬物層を多価金属塩で架橋したカルボキシビニルポリマー層で挟んだシート状の製剤であり、口腔内で速やかにゲル化し、喉等への引っ掛かりも少なく、苦味もマスキングされると記載されている。しかし、錠剤や顆粒剤のコーティングに関しては開示されていない。本技術のカルボキシビニルポリマーは多価金属イオンにより架橋された非常に粘度の高い溶液として製造工程に供されるため、錠剤や顆粒剤へのスプレーコーティングが困難と考えられる(後述する参考例1参照)。そのため、本技術で製造され得るのはフィルム剤であり、塗工という特殊なプロセス及び装置が必要であり、錠剤や顆粒剤のコーティングに比べて製造コストが高くなる傾向にある。さらに、後述の参考例2に記載する通り、スプレーコーティング可能なように本技術を改良して製造したコーティングミニタブレットは、実用上満足すべき嚥下容易性を得られなかった。
一方、ゲル化剤でコーティングを行った場合、消化管内でゲルが形成されると薬物の拡散が抑えられ溶出遅延が起きることが懸念される。特開平11−60472 (特許文献5)ではメチルセルロースでコーティングした易嚥下コーティング錠において、糖類を添加することで溶出遅延を防止できるとの開示がある。しかし、このコーティング錠ではミニタブレット化した場合の口腔内でのまとまり感は期待できない。
このように、ゲル化剤でコーティングした製剤において薬物の溶出遅延を防止することは大きな課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3883505号
【特許文献2】特表2000−516222号
【特許文献3】特開2002−275054号
【特許文献4】特許第4267926号
【特許文献5】特開平11−60472号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、経口投与製剤、特に服用量の多い錠剤等の製剤において、苦味等の不快味のマスキング効果や、良好な嚥下性を有し、さらには製造が容易なコーティング製剤の提供が望まれている。また、溶出性が改善されたコーティング製剤の提供も望まれている。これらの性質をいずれか1つ以上、好ましくは全てを有するコーティング製剤、およびそれを製造するためのコーティング用組成物を提供することが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題に鑑み、経口用製剤の服用性を改善することを目的に鋭意検討した結果、増粘剤としてカルボキシビニルポリマー等の第1の増粘剤とキサンタンガム等の第2の増粘剤とを組み合わせ、粘度調節剤として少量の多価金属化合物を加えたコーティング用組成物で錠剤等の経口用固形物を被覆することで、不快味がマスキングされ、更に粘膜を滑りやすくなるため嚥下しやすくなることおよび製造が容易になることを見出した。更に本発明者らは増粘剤にヒドロキシプロピルメチルセルロース、特定の性質を有する糖または糖アルコールを加えることで嚥下後速やかに皮膜が崩壊し溶出遅延を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の第一の態様は以下のコーティング用組成物である。
[1−1]金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤;
多価金属化合物;ならびに、
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を含むコーティング用組成物。
[1−1a]カルボキシビニルポリマー、多価金属化合物及びキサンタンガムを含むコーティング用組成物。
[1−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキシビニルポリマーまたはアルギン酸ナトリウムである前記 [1−1]に記載のコーティング用組成物。
[1−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記 [1−1a]に記載のコーティング用組成物。
[1−3]さらに20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含む前記 [1−1]、[1−2]、[1−1a]、および[1−2a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[1−4]さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む前記 [1−1]〜[1−3]、[1−1a]、および[1−2a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[1−5] 第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記請求項[1−4]に記載のコーティング用組成物。
[1−5a]カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[1−4]に記載のコーティング用組成物。
[1−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[1−1]〜[1−5]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[1−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[1−1a]、[1−2a]、[1−3]、[1−4]および[1−5a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[1−7] アルコールを溶媒として含むことを特徴とする[1−1]〜[1−6]、[1−1a]、[1−2a]、[1−5a]および[1−6a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物によりコーティングした経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様のコーティング用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。また別の好ましい態様のコーティング用組成物では、薬物核に容易にスプレーコーティングができ、乾燥も容易である。
【0008】
また、本発明の第二の態様は以下の経口用組成物である。
[2−1] 有効成分を含有する薬物核と;
該薬物核に、
金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、
多価金属化合物、ならびに
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を含むコーティング
を有する経口用組成物。
[2−1a]有効成分を含有する薬物核と、該薬物核にカルボキシビニルポリマー、多価金属化合物及びキサンタンガムを含むコーティングを有する経口用組成物。
[2−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキシビニルポリマー又はアルギン酸ナトリウムである前記[2−1]に記載の経口用組成物。
[2−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記 [2−1a]に記載の経口用組成物。
[2−3]さらに 20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含む前記 [2−1]、 [2−2]、[2−1a]、および[2−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−4] さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む前記 [2−1]〜[2−3]、[2−1a]、および[2−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−5] 第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%(コーティング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[2−4]に記載の経口用組成物。
[2−5a]カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%(コーティング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[2−4]に記載の経口用組成物。
[2−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[2−1]〜[2−5]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[2−1a]、[2−2a]、[2−3]、[2−4]、および[2−5a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記 [2−1]〜[2−6]、[2−1a]、[2−2a]、[2−5a]、および[2−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−8] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガムおよび実質的に多価金属イオンにより架橋されていないアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤である前記[2−1]〜[2−7]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[2−9]薬物核と前記コーティングの間にさらにシールコーティングを有する、前記[2−1]〜[2−8]、[2−1a]、[2−2a]、[2−5a]、および[2−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
本発明の第二の態様の経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様の経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
【0009】
また、本発明の第三の態様は以下の経口用組成物である。
[3−1] 多価金属化合物を溶解したアルコール溶液に金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーまたはアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、およびキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることにより得られる経口用組成物。
[3−1a]多価金属化合物を溶解したアルコール溶液にカルボキシビニルポリマーおよびキサンタンガムを分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることにより得られる経口用組成物。
[3−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキシビニルポリマー又はアルギン酸ナトリウムである前記[3−1]に記載の経口用組成物。
[3−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記[3−1a]に記載の経口用組成物。
[3−3] スプレーコーティングする液に、さらに20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールがさらに分散していることを特徴とする前記 [3−1]、[3−2]、[3−1a] および[3−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−4] スプレーコーティングする液に、さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む前記 [3−1]〜[3−3]、[3−1a]、および[3−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−5] スプレーコーティングする液の第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[3−4]に記載の経口用組成物。
[3−5a]スプレーコーティングする液のカルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[3−4]に記載の経口用組成物。
[3−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[3−1]〜[3−5]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[3−1a]、[3−2a]、[3−3]、[3−4]、および[3−5a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記 [3−1]〜[3−6]、[3−1a]、[3−2a]、[3−5a]、および[3−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−8] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガムおよび実質的に多価金属イオンにより架橋されていないアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤である前記[3−1]〜[3−7]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[3−9]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有する薬物核である、前記[3−1]〜[3−8]、[3−1a]、[3−2a]、[3−5a]、および[3−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
本発明の第三の態様の経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様の経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
【0010】
また、本発明の第四の態様は以下の経口用組成物の製造方法である。
[4−1]経口用組成物の製造方法であって、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液に金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、ならびにキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることを特徴とする経口用組成物の製造方法。
[4−1a]経口用組成物の製造方法であって、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液にカルボキシビニルポリマーおよびキサンタンガムを分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることを特徴とする経口用組成物の製造方法。
[4−2] 第1の増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないカルボキシビニルポリマー又はアルギン酸ナトリウムである前記[4−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−2a]カルボキシビニルポリマーが実質的に架橋されていない前記[4−1a]に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−3] スプレーコーティングする液に、さらに20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールがさらに分散していることを特徴とする前記 [4−1]、[4−2]、[4−1a]および[4−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−4] スプレーコーティングする液に、さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む前記 [4−1]〜[4−3]、[4−1a]、および[4−2a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−5] スプレーコーティングする液の第1の増粘剤の含有量が3〜15質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、第2の増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[4−4]に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−5a]スプレーコーティングする液のカルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[4−4]に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−6] 多価金属化合物の含有量が第1の増粘剤の含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[4−1]〜[4−5]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−6a]多価金属化合物の含有量がカルボキシビニルポリマーの含有量に対して5〜15質量%であることを特徴とする前記[4−1a]、[4−2a]、[4−3]、[4−4]、および[4−5a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記 [4−1]〜[4−6]、[4−1a]、[4−2a]、[4−5a]、および[4−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−8] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガムおよび実質的に多価金属イオンにより架橋されていないアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤である前記[4−1]〜[4−7]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[4−9]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有する薬物核である、前記[4−1]〜[4−8]、[4−1a]、[4−2a]、[4−5a]、および[4−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
本発明の第四の態様の経口用組成物の製造方法は、薬物核に容易にスプレーコーティングができ、乾燥も容易である。また本製造方法で得られた経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様の製造方法で得られた経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
【0011】
また、本発明の第五の態様は以下のコーティング用組成物である。
[5−1] 水分に接することによりゲル化する増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むコーティング用組成物。
[5−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上である前記[5−1]に記載のコーティング用組成物。
[5−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[5−1]に記載のコーティング用組成物。
[5−3]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される前記[5−1]に記載のコーティング用組成物。
[5−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[5−1]に記載のコーティング用組成物。
[5−4]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[5−1]に記載のコーティング用組成物。
[5−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[5−1]に記載のコーティング用組成物。
[5−5]さらに多価金属化合物を含む前記[5−3]、[5−4]、[5−3a]または[5−4a]に記載のコーティング用組成物。
[5−6]ヒドロキシプロピルメチルセルロースと前記糖又は糖アルコールの配合比が1:1〜1:4であることを特徴とする前記[5−1]〜[5−5]、および[5−2a]〜[5−4a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−7] ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%であって、前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[5−4]〜 [5−6]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−7a] ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[5−4a]、[5−5]、および[5−6]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−8] アルコールを溶媒として含むことを特徴とする前記[5−1]〜[5−7]、[5−2a]〜[5−4a]、および[5−7a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロースからなる群から選択される前記[5−1]〜[5−8]、[5−2a]〜[5−4a]、および[5−7a]のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
[5−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[5−9]に記載のコーティング用組成物。
本発明の第五の態様のコーティング組成物によりコーティングした経口用組成物は、コーティングしていない経口用組成物とほぼ同等の薬剤の溶出性を示す。また好ましい態様のコーティング用組成物では、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。また別の好ましい態様のコーティング用組成物では、薬物核に容易にスプレーコーティングができ、乾燥も容易である。
【0012】
また、本発明の第六の態様は以下の経口用組成物である。
[6−1]有効成分を含有する薬物核と、水分に接することによりゲル化する増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むコーティング
を有する経口用組成物。
[6−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上である前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−3] 増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−4] 増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[6−1]に記載のコーティング用組成物。
[6−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[6−1]に記載の経口用組成物。
[6−5] さらに多価金属化合物を含む前記[6−3]、[6−4]、[6−3a]、および[6−4a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−6] ヒドロキシプロピルメチルセルロースと前記糖又は糖アルコールの配合比が1:1〜1:4であることを特徴とする前記[6−1]〜[6−5]、および[6−2a]〜[6−4a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−7] ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(コーティング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1種の含有量が3〜15質量%であって、前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[6−4]〜[6−6]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−7a]ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(コーティング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[6−4a]、[6−5]、および[6−6]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−8]薬物核が、シールコーティングを有する薬物核である、前記[6−1]〜[6−7]、[6−2a]〜[6−4a]、および[6−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロースからなる群から選択される前記[6−1]〜[6−8]、[6−2a]〜[6−4a]、および[6−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[6−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[6−9]に記載の経口用組成物。
本発明の第六の態様の経口用組成物は、増粘剤によりコーティングされているにもかかわらず、コーティングしていない経口用組成物とほぼ同等の薬剤の溶出性を示す。また好ましい態様の経口用組成物では、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。
【0013】
また、本発明の第七の態様は以下の経口用組成物である。
[7−1]アルコール溶液に、水分に接することによりゲル化する増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることにより得られる経口用組成物。
[7−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上である前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−3]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−4]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[7−1]に記載の経口用組成物。
[7−5]スプレーコーティングする液が、さらに多価金属化合物を含む前記[7−3]、[7−4]、[7−3a]または[7−4a]に記載の経口用組成物。
[7−6] スプレーコーティングする液のヒドロキシプロピルメチルセルロースと前記糖又は糖アルコールの配合比が1:1〜1:4であることを特徴とする前記[7−1]〜[7−5]、および[7−2a]〜[7−4a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−7] スプレーコーティングする液のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%であって、前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[7−4]〜 [7−6]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−7a] スプレーコーティングする液のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[7−4a]、[7−5]、および[7−6]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−8]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有する薬物核である、前記[7−1]〜[7−7]、[7−2a]〜[7−4a]、および[7−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロースからなる群から選択される前記[7−1]〜[7−8]、[7−2a]〜[7−4a]、および[7−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
[7−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[7−9]に記載の経口用組成物。
本発明の第七の態様の経口用組成物は、薬物核にアルコール溶液をスプレーコーティングし、乾燥して得られるものであり、製造が容易である。また増粘剤によりコーティングされているにもかかわらず、コーティングしていない経口用組成物とほぼ同等の薬剤の溶出性を示す。また好ましい態様の経口用組成物では、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。
【0014】
また、本発明の第八の態様は以下の経口用組成物の製造方法である。
[8−1]経口用組成物の製造方法であって、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液に水分に接することによりゲル化する増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることを特徴とする経口用組成物の製造方法。
[8−2] 増粘剤がキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上である前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−2a]増粘剤がキサンタンガムを含む前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−3]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−3a]増粘剤がカルボキシビニルポリマーを含む前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−4]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1種と、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上(ただし、同物質の組合せを除く)とを含む前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−4a]増粘剤がカルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含む前記[8−1]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−5] スプレーコーティングする液のヒドロキシプロピルメチルセルロースと前記糖又は糖アルコールの配合比が1:1〜1:4であることを特徴とする前記[8−1]〜[8−4]、および[8−2a]〜[8−4a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−6] スプレーコーティングする液のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される1種の含有量が3〜15質量%であって、前記キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[8−4]または[8−5]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−6a] スプレーコーティングする液のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%(溶媒を除く全成分中の質量%、以下同じ)であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であって、カルボキシビニルポリマーの含有量が3〜15質量%であって、キサンタンガムの含有量が10〜40質量%であることを特徴とする前記[8−4a]または[8−5]に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−7] 薬物核が、有効成分を含有する錠核であることを特徴とする前記 [8−1]〜[8−6]、[8−2a]〜[8−4a]、および[8−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−8]前記スプレーコーティングを施す薬物核がシールコーティングを有する薬物核である、前記[8−1]〜[8−7]、[8−2a]〜[8−4a]、および[8−6a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−9] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトール、還元麦芽糖水飴およびトレハロースからなる群から選択される前記[8−1]〜[8−8]、[8−2a]〜[8−4a]、および[8−7a]のいずれか1項に記載の経口用組成物の製造方法。
[8−10] 前記糖又は糖アルコールがエリスリトールである前記[8−9]に記載の経口用組成物の製造方法。
本発明の第八の態様の経口用組成物の製造方法は、薬物核に容易にスプレーコーティングができ、乾燥も容易である。また本製造方法で得られた経口用組成物は、増粘剤によりコーティングされているにもかかわらず、コーティングしていない経口用組成物とほぼ同等の薬剤の溶出性を示す。また好ましい態様の製造方法で得られたコーティング用組成物では、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または十分な不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。
【0015】
また、本発明の第九の態様は以下の経口用組成物である。
[9−1]有効成分を含有する薬物核と;
該薬物核に、
水が存在した時に多価金属イオンによって架橋されたカルボキシビニルポリマーおよび多価金属イオンによって架橋されたアルギン酸ナトリウムからなる群から選択されるゲル状物質、ならびに
キサンタンガムおよびグアガムからなる群から選択される少なくとも1種以上の増粘剤を含むコーティング
を有する経口用組成物。
[9−2]さらに 20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含む前記 [9−1]に記載の経口用組成物。
[9−3] さらにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む前記 [9−1]または[9−2]に記載の経口用組成物。
[9−4] ゲル状物質の含有量が3〜15質量%(コーティング中の全成分に対する質量%、以下同じ)であって、増粘剤の含有量が10〜40質量%であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が5〜35質量%であって、前記糖又は糖アルコールの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする前記[9−1]から[9−3]のいずれか1項に記載の経口用組成物。
本発明の第九の態様の経口用組成物は、本発明の第二の態様の経口用組成物が口腔内の唾液等の水分により生成されるものと同等である。すなわち、本発明の第九の態様の経口用組成物は、滑り易さが良好で粘膜への付着性もなく良好な嚥下性を有する。または不快味マスキング効果が得られる。好ましくは両方の効果を兼ね備える。さらに好ましい態様の経口用組成物では、薬剤の溶出性も改善されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の好ましいコーティングを有する組成物は、少量の水又は唾液により錠剤表層が速やかにゲル化し、同時に多価金属化合物から生成する多価金属イオンにより金属架橋増粘剤である第1の増粘剤、好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよび/またはアルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤が架橋されることにより粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成することにより、粘膜上を滑りやすくなり嚥下性に改善をもたらす。また、ゲル化したコーティング皮膜は嚥下するまでの短時間、薬物溶出を抑制することで不快味マスキング効果を示すことが期待できる。さらにまた、本発明の好ましいコーティングを有する組成物は、嚥下後は皮膜が速やかに崩壊して薬物溶出に影響を与えないという溶出性の改善が期待できる。本発明のコーティング用組成物は、上記好ましい性質を少なくとも1つ以上、好ましくは全てを有する。本発明のさらに好ましいコーティング用組成物は、服用量が多い薬剤を製剤化する場合に、薬物溶出に影響を与えずに服用性が改善された製剤とすることができる。
また、本発明の好ましいコーティング用組成物により、通常のコーティング技術を用いて容易にコーティング製剤を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に用いられる第1の増粘剤は金属架橋増粘剤である。金属架橋増粘剤とは、少量の水により多価金属化合物から生成する多価金属イオンにより架橋され、水の非存在下(アルコール溶媒等の存在下)では多価金属化合物から多価金属イオンが生成されないために架橋されない物質を意味し、そのような性質を示す物質であれば特に限定されないが、具体的には、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グルコマンナン、カルメロースナロリウム等が挙げられ、好ましくは、カルボキシビニルポリマー及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ、より好ましくはカルボキシビニルポリマーが挙げられる。この架橋形成により、粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成することで、後述するように、服用時に粘膜上を滑りやすくなり嚥下性に改善をもたらす、嚥下するまでの短時間、薬物溶出を抑制することで不快味マスキング効果を示すことが期待できる。
本発明に用いられるカルボキシビニルポリマーは、特に限定されないが、表示粘度が4000〜60000mPa・s(0.5%,25℃,20rpm)のものが好ましく使用できる。表示粘度が、4000〜40000mPa・sのものが溶出遅延を起こしにくいため、さらに好ましい。カルボキシビニルポリマーとして、より具体的には、市販のもの、例えば、カーボポール971P(商品名) (Lubrizol AdvancedMaterial Inc.,表示粘度:6420mPa・s)、カーボポール974P(商品名)(Lubrizol AdvanceMaterial Inc., 表示粘度:32850mPa・s)、ハイビスワコー103(商品名)(和光純薬工業,表示粘度:15000mPa・s)、ハイビスワコー104(商品名)(和光純薬工業,表示粘度:26000mPa・s)、ハイビスワコー105(商品名)(和光純薬工業,表示粘度:4000mPa・s)などを用いることができる。
本発明に用いられるアルギン酸ナトリウムは、特に限定されないが、表示粘度が600mPa・s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。表示粘度が、さらに800〜1600mPa・sのものが好ましい。アルギン酸ナトリウムとして、より具体的には、市販のもの、例えば、キミカアルギンI−8(キミカ社、表示粘度、800〜900mPa・s(1%,20℃))、ダックアルギン(商品名)(紀文フードケミファ、表示粘度:850mPa・s)などを用いることができる。
カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤は、水の存在下で、後述する多価金属化合物から生成する多価金属イオンにより架橋されることにより粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成する金属架橋増粘剤である。本発明の組成物中のカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムは、好ましくは、実質的に多価金属イオンにより架橋されていないものである。本発明のコーティング用組成物中の溶媒を除く全成分中の質量%として、カルボキシビニルポリマーまたはアルギン酸ナトリウムの含有量は3〜15質量%が好ましく、10〜13質量%がより好ましい。本発明の経口用組成物のコーティング中の全成分(以下、コーティング皮膜と記載する場合がある)に対する比率も同様である。
本明細書において、多価金属化合物とは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛などの多価金属の製薬学的に許容可能な水溶性塩を意味する。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛又はそれらの水和物等が挙げられる。好ましくは、塩化カルシウム又はその水和物であり、さらに好ましくは、塩化カルシウム2水和物である。多価金属化合物から生成する多価金属イオンは、具体的には、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、二価もしくは三価鉄イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。好ましくは、カルシウムイオンである。
本発明に用いられる多価金属化合物の配合量はカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤に対して5〜15質量%が好ましい。さらに好ましくは、9〜11質量%である。
本発明に用いられるキサンタンガムは特に限定されないが、表示粘度が600mPa・s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。さらに表示粘度が800〜1600mPa・sのものが好ましい。キサンタンガムとして、より具体的には、市販のもの、例えば、KeltrolCG−T(商品名)(三晶、表示粘度:1555mPa・s)、サンエース(商品名)(三栄源エフ・エフ・アイ、表示粘度:1600mPa・s)などを用いることができる。
本発明に用いられるグアガムは特に限定されないが、表示粘度が 600mPa・s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。さらに表示粘度が800〜1600mPa・s(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましい。グアガムとして、より具体的には、市販のもの、例えば、グアーガムRG100(商品名)(エムアールシーポリサッカライト、表示粘度:1100mPa・s)を用いることができる。またビストップD−2029(商品名)(三栄源エフ・エフ・アイ、表示粘度:約450mPa・s(0.5%))も用いることができる。
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムは第2の増粘剤であり、第2の増粘剤を添加することで錠剤間に適度な付着性が生じ、口腔内で錠剤同士のまとまりがよくなり嚥下しやすくなる。コーティング皮膜中のキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤の含有量は、他の成分組成に応じて適宜調整することができるが、良好な服用性をもたらすためには10〜40質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
【0018】
本発明のコーティング用組成物および経口用組成物における第1の増粘剤と第2の増粘剤の組合せ(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)として、次の組合せを例示することができる。
(1) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せ;
(2) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:グアガムの組合せ;
(3) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:アルギン酸ナトリウムの組合せ;
(4) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムおよびグアガムの組合せ;
(5) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムおよびアルギン酸ナトリウムの組合せ:
(6) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:グアガムおよびアルギン酸ナトリウムの組合せ;
(7) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムの組合せ;
(8) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せ;
(9) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:グアガムの組合せ;ならびに
(10) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:キサンタンガムおよびグアガムの組合せ。
【0019】
本発明の好ましい態様における第1の増粘剤と第2の増粘剤の組合せとして、次の組合せを例示することができる。
(1) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せ;
(2) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:グアガムの組合せ;
(3) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:アルギン酸ナトリウムの組合せ;
(4) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せ;ならびに
(5) 第1の増粘剤:アルギン酸ナトリウムと第2の増粘剤:グアガムの組合せ。
【0020】
本発明のさらに好ましい態様における第1の増粘剤と第2の増粘剤の組合せは、(1) 第1の増粘剤:カルボキシビニルポリマーと第2の増粘剤:キサンタンガムの組合せである。
【0021】
カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、多価金属化合物、ならびにキサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種以上の第2の増粘剤を含むコーティング用組成物でコーティングされている経口用組成物(例、錠剤等)の表層は、少量の水又は唾液により速やかにゲル化し、同時に多価金属化合物から生成する多価金属イオンによりカルボキシビニルポリマーおよび/またはアルギン酸ナトリウムが架橋されることにより粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成することによって、粘膜上を滑りやすくなり嚥下性が改善される。同時にそのゲル化した皮膜は嚥下するまでの短時間薬物溶出を抑制することで不快味マスキング効果を示す。後述するマルチユニットに用いる場合、口腔内で錠剤同士のまとまりもよくなり、更に嚥下性が改善される。
【0022】
本発明に用いることができる糖又は糖アルコールは、20℃の溶解度が30以上のものである。好ましくは50以上のものである。溶解度とは、100 gの水に溶解する溶質の最大質量(g)を意味する。本発明に用いることができる好ましい糖又は糖アルコールとしては、トレハロース、マルトース、エリスリトール、マルチトール(還元麦芽糖水飴)等が挙げられる。口に入れたときに適度な甘みを感じるエリスリトールやマルチトールは、服用感の点で好ましい。また、エリスリトール、マルチトール、トレハロースは吸湿性が低く、製剤の保存安定性上特に好ましい。コーティング皮膜中の糖又は糖アルコールの含有量は10〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。
本発明に用いることができる20℃の溶解度が 30以上の糖又は糖アルコールは、増粘剤によるゲルの膨潤を速める。さらに、このことによってゲルの崩壊をも促進し薬物の溶出性を改善する効果を示すと考えられる。
本発明に用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、特に限定されないが、粘度が100mPa・s以下のものが好ましく、10mPa・s以下のものがより好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして、より具体的には、市販のもの、例えば、TC−5E(商品名)(信越化学、表示粘度:3mPa・s)、TC−5R(商品名)(信越化学,表示粘度:6mPa・s)などを用いることができる。
コーティング皮膜中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は5〜35質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。さらに好ましくは、14〜25質量%である。
HPMCは口腔内で20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールと組み合わせることにより、当該糖又は糖アルコール単独の場合よりも、ゲルの崩壊を促進させる。このことにより、早期にゲルの崩壊が必要な場合に、当該糖又は糖アルコールの単純な増量を防ぐことができる。
上記したように、HPMCと20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールは、併用することで相乗効果を示し、ゲルの崩壊を促進させる。このことによって、当該ゲルが薬物核にコーティングされている場合に、薬物の溶出性の改善が効果的となる。HPMCと当該糖又は糖アルコールの配合比は1:1〜1:4が好ましく、1:2〜1:3がより好ましい。
【0023】
本発明の第五〜第八の態様に用いられる増粘剤とは、水分に接することによりゲル化する物質を意味し、そのような性質を示す物質であれば特に限定されないが、本発明の第一〜第四の態様の説明に記載した金属架橋増粘剤や第2の増粘剤が含まれる。さらに具体的には、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、デンプン及びその誘導体、寒天、アルギン酸ナトリウム、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、グアガム、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン等が挙げられる。
増粘剤は単独でまたは数種類を組み合わせて用いてもよく、金属架橋増粘剤を含む2種以上の組み合わせが好ましい。金属架橋増粘剤としてカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムから選択される1種以上と、キサンタンガム、グアガム及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種以上との組み合わせ(ただし、同物質の組み合わせは除く)が好ましい例として挙げられる。
本発明のコーティング用組成物及び本発明のコーティングを有する経口用組成物は、さらにヒドロキシプロピルセルロース等を含んでいてもよい。ヒドロキシプロピルセルロースは、アルコールに溶解して適度な粘性が得られるため、コーティング用組成物をエタノールに分散してスプレーコーティングを行う際に、粒子の速い沈降を抑えることができ、均一性を保つ上で有利である。さらに、結合剤として錠剤表面への粒子の付着を助け、コーティング効率を高めると共に滑らかな皮膜を形成できる。このような理由で、コーティング用組成物にヒドロキシプロピルセルロースの一定量を添加することはコーティングを有する経口用組成物の製造に有利となる。
本発明に用いることができるヒドロキシプロピルセルロースとしては、特に限定されないが、低粘度のものが好ましく、10mPa・s(2%、20℃)以下のものが好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースとして、より具体的には、市販のもの、例えば、HPC−L(商品名)(日本曹達、表示粘度:6.0〜10mPa・s)、HPC−SL(商品名)(日本曹達、表示粘度:3.0〜5.9mPa・s)などを用いることができる。コーティング皮膜中のヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、0〜15質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。スプレーコーティングに用いられる本発明のコーティング用組成物 (コーティング液)中のヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、コーティング液の全質量の0〜5質量%、好ましくは、0〜3質量%、さらに好ましくは0〜1.5質量%である。
【0024】
本発明のコーティング組成物の調製に使用することができる溶媒としては、水、アルコール、または水とアルコールの混合溶媒等が用いることができる。この中でもアルコールが好ましい。アルコールとしては、エタノールあるいは無水エタノールが好ましい。ここで、エタノールは、エタノール (CO)95.1〜96.9vol%以上を含有し,無水エタノールは、エタノール99.5vol%以上含有するものをいう。好ましくは、95.1〜96.9vol%以上のエタノールである。
本発明のコーティング用組成物の調製にグリセリンを含ませてもよい。グリセリンは、コーティング用組成物中で可塑剤として働き、コーティング皮膜が水に接触したときのゲルの膨潤を促進する効果を有すると考えられる。本発明の組成物に用いられるグリセリンとしては、特に限定されないが、定量の際、換算した脱水物に対し、グリセリン98.0%以上を含む、濃グリセリンが好ましい。グリセリンの含有量は、溶媒を含むコーティング用組成物の全質量の0.1〜5質量%、好ましくは、0.5〜3質量%、さらに好ましくは、0.5〜1質量%である。
なお、コーティング用組成物の調製には、使用する増粘剤の種類又は量に応じ、水あるいは水・アルコール混合溶媒などの水系の溶媒を用いることもできる。本発明のコーティング用組成物として水系の溶媒を用いる場合、コーティング用組成物の濃度を高くすると粘度が高くなり操作性が悪くなる場合があるため、適宜コーティング用組成物の性質に応じたコーティング方法を選択する必要がある。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物を調製する方法としては、水、アルコール、または水とアルコールの混合溶媒等に本発明のコーティング用組成物の構成成分を溶解又は均一に分散させればよい。好ましくは、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液にその他の構成成分を均一分散させる方法が好ましい。具体的には、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液に、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの第2の増粘剤(好ましくは、キサンタンガム)、ならびにカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤(好ましくは、カルボキシビニルポリマー)(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を、好ましくは、さらにヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又は20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含む微粉末を均一に分散させることにより調製すればよい。さらに好ましくは溶媒としてエタノールを用いることである。
より好ましくは、キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの第2の増粘剤(さらに好ましくは、キサンタンガム)、金属架橋増粘剤である第1の増粘剤(さらに好ましくは、カルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される増粘剤、より一層好ましくは、カルボキシビニルポリマー)(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールの微粉末をエタノールとグリセリンの混液に均一に分散させた懸濁液を別に調製し、そこに多価金属化合物をエタノールに溶解した溶液を加えることによりコーティング液を調製することである。
【0025】
本発明の第五の態様のコーティング用組成物を調製する方法としては、増粘剤を分散させた懸濁液または溶解した溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース及び20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含む微粉末を溶解あるいは均一に分散させることにより調製する。上記と同様に、溶媒としてアルコールを用いることが好ましい。さらに好ましくはエタノールである。
本発明のコーティング用組成物が均一に分散した懸濁液となるように必要に応じて構成成分の粒子径をジェットミル等の粉砕機を用いて細かくすることが好ましい。粒子径としては、メジアン径(D50:粉体をある粒子径から2つに分けたとき大きい側と小さい側が等量となる径)が35μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
本発明のコーティング用組成物を薬物核あるいは経口用固形物にコーティングする方法としては、公知のコーティング技術を用いることができ、特に限定されない。例えば、パンコーティング装置、流動層コーティング装置、通気式回転ドラムコーティング装置等が使用できる。特に後述するミニタブレットのコーティングにおいては通気式回転ドラムコーティング装置が適している。またこれらの装置を用いてスプレーコーティングや粉末コーティングを行うことにより、薬物核あるいは経口用固形物にコーティングすることができる。好ましいコーティング方法はスプレーコーティングである。特にスプレーノズルを用いて連続的に供給するのが好ましい。薬物核あるいは経口用固形物に対して単回のコーティングにてコーティングすることができる。しかし、単回に限定されることなく、複数回のコーティングを行ってもよい。
上記した好ましい例示のように溶媒としてアルコールを用いれば、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤が実質的に多価金属イオンにより架橋されておらず粘度の低いコーティング用組成物を得ることができる。このため、スプレーコーティングを容易に行うことができる。またアルコール溶液であるためコーティング後の乾燥も短時間で行うことができ、製造上有利である。
なお、本発明の第二の態様の経口用組成物は、上記のように溶媒としてアルコールを用いたコーティングにより得られた場合、コーティング皮膜中のカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤は、皮膜に水分が接触しない状態であれば、実質的に多価金属イオンにより架橋されていない状態である。
溶媒として水を用いて経口用組成物を製造することもできる。溶媒として水を用いた場合、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤が実質的に多価金属イオンにより架橋され、粘度の高いコーティング用組成物となる。このためこのコーティング用組成物で薬物核あるいは経口用固形物をコーティングすることにより、多価金属イオンによって架橋されたカルボキシビニルポリマー、多価金属イオンによって架橋されたアルギン酸ナトリウム等からなる群から選択されるゲル状物質を含む、本発明の第九の態様の経口用組成物が製造される。
本発明のコーティング用組成物の固形成分量は、コーティングされる薬物核あるいは経口用固形物に対し5〜30質量%が好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。このようにして得られるコーティングされた経口用組成物のコーティング皮膜の厚さは、10μ〜100μmであり、好ましくは、40〜70μmである。
【0026】
スプレーコーティングに用いられる本発明のコーティング用組成物(コーティング液)のカルボキシビニルポリマーおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤の含有量は、コーティング液の全質量に対し、例えば0.5〜5質量%、好ましくは、0.5〜3質量%、さらに好ましくは、0.5〜2質量%である。
キサンタンガム、グアガムおよびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第2の増粘剤の含有量は、コーティング液の全質量の例えば1〜5質量%、好ましくは、1〜4質量%、さらに好ましくは、3〜4質量%である。
増粘剤全体の含有量は、コーティング液の全質量の例えば1.5〜10質量%、好ましくは1.5〜7質量%、さらに好ましくは3.5〜6質量%である。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、コーティング液の全質量の1〜10質量%、好ましくは、1〜5質量%、さらに好ましくは1.5〜3.5質量%である。
スプレーコーティングに用いられる本発明のコーティング用組成物(コーティング液)中の20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールは、全質量の1〜10質量%、好ましくは、1〜6質量%、さらに好ましくは、3〜6質量%含まれる。
本発明のコーティング用組成物は、含まれるべき成分を組合せたキット、または含まれるべき成分を2つ以上に分けた組成物の組合せまたはキットも含まれる。例えば、第1の増粘剤及び第2の増粘剤、必要に応じてヒドロキシプロピルメチルセルロース及び20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含むコーティング用組成物(A)と、多価金属化合物を含むコーティング用組成物(B)との組合せ等である。また、前記コーティング用組成物(A)と多価金属化合物(C)とを組合せたキット、第1の増粘剤及び第2の増粘剤の組合せ組成物(D)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールを含むコーティング用組成物(E)と、多価金属化合物(C)とを組合せたキット等が例示される。
これらの組合せまたはキットに含まれる成分を合わせて、上記の通り、薬物核あるいは経口用固形物にコーティングしてもよい。また、アルコール溶媒または水に溶解または均一に分散したそれぞれのコーティング用組成物を薬物核あるいは経口用固形物に順番にコーティングしてもよい。またこの時、溶媒を変えてコーティングしてもよい。上記の例示においては、アルコール溶媒に溶解または均一に分散した組成物(A)を最初に薬物核あるいは経口用固形物にコーティングし、水に溶解した組成物(B)を次にコーティングすることができる。この場合、組成物(A)と組成物(B)の境界では、第1の増粘剤が多価金属イオンによって部分的に架橋されたコーティングを含む本発明の第九の態様の経口用組成物が製造される。
【0027】
本発明の第二の態様の経口用組成物は本発明の第一の態様のコーティング用組成物を薬物核にコーティングすることにより得ることができる。ただし、この方法に限定されるわけではなく、薬物核の表面にカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤、多価金属化合物、及びキサンタンガム、グアガム、アルギン酸ナトリウム等の第2の増粘剤(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を有している経口用組成物であれば、本発明の第二の態様の経口用組成物に含まれる。
本発明の第六の態様の経口用組成物は本発明の第五の態様のコーティング用組成物を薬物核にコーティングすることにより得ることができる。ただし、この方法に限定されるわけではなく、薬物核の表面に増粘剤、20℃の溶解度が30以上の糖又は糖アルコールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを有している経口用組成物であれば、本発明の第六の態様の経口用組成物に含まれる。
本発明において、経口用組成物に用いられる有効成分を含有する薬物核は、錠剤核、丸剤核、カプセル剤核、ペレット核、顆粒剤核等の固形製剤が挙げられる。経口用固形物は、固形である薬剤核を含み、その他経口で使用する為の固形物であれば特に限定されない。服用量の多い製剤においては、製剤の大型化を避け、1錠あたりの薬剤含有量を少なくし、嵩を最小限にできる形態であるミニタブレットが薬物核として好ましい。ミニタブレットは通常の設備で製造可能である。
本明細書中に用いられるミニタブレットとは、錠剤の一形態であり、径及び厚さが6mm以下の粒状の固形製剤をいう。服用量が多い有効成分の場合、径が3〜4mmであれば、1回の服用個数は20〜100個程度となる。本明細書中においては、このように1回の服用粒数が10個以上の経口製剤における1回分の服用分を、マルチユニットと称する。好ましくは、径及び厚さが0.5〜5mm、より好ましくは、2〜4mmの粒状の錠剤である。
【0028】
本発明の経口用組成物において、有効成分を含有する薬物核あるいは経口用固形物とコーティングの間に、シールコーティングを設けてもよい。シールコーティングを有する本発明の経口用組成物は、本発明のコーティング用組成物を、シールコーティングを有する薬物核にコーティングすることなどにより得ることができる。
薬物核をシールコーティングすることにより、薬物核の成分が保存中にコーティング層に移動してコーティング層の成分と配合変化を起こすことを防ぐ、薬物核の不快味成分が保存中にコーティング層に移動してコーティングによる服用時の不快味マスキング効果を減弱することを防ぐ、あるいはコーティングによる服用時の不快味マスキング効果を増強することが期待される。
シールコーティングは、シールコーティング組成物を、有効成分を含有する薬物核に公知のコーティング技術を用いてコーティングすることにより得られる。シールコーティング組成物は、経口用組成物の保存中に薬物核の成分がコーティングに移動するのを防ぐことができるものであればよく、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステルの共重合体などからなる群から選択される少なくとも1つを含む組成物が挙げられる。
シールコーティング組成物の調製に使用することができる溶媒としては、水、アルコール、または水とアルコールの混合溶媒等が用いることができる。
シールコーティング用組成物の固形成分量は、コーティングされる薬物核あるいは経口用固形物に対し1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%が更に好ましい。このようにして得られるシールコーティングを含む経口用組成物のシールコーティング皮膜の厚さは、10〜80μmであり、好ましくは、20〜40μmである。
【0029】
本発明において用いられる薬物核あるいは経口用固形物は、有効成分となる所望の薬物に加えて、製剤技術分野で慣用の製剤担体を配合して調製される。かかる製剤担体としては、製剤技術分野で公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、白糖、マンニトール、塩化ナトリウム、ブドウ糖、でんぷん、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸塩等の賦形剤、水、エタノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、セラック,メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキストリン、プルラン等の結合剤;クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム等のpH調整剤;カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファ−化デンプン、乾燥デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、ポリソルベート80等の崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール、コロイド状ケイ酸等の滑沢剤等が例示できる。
ミニタブレットを用いてコーティング製剤とし、それをマルチユニットとして投与した場合、水に接触した後、錠剤表層がゲル化し、同時に多価金属化合物から生成する多価金属イオンによりカルボキシビニルポリマーおよび/またはアルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤が架橋されることにより粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成することにより滑りやすくなり、錠剤間のまとまりも良く嚥下しやすくなる。また、形成されたゲル層により薬物の放出が短時間抑制されるため不快味のマスキングもより効果が示される。
本発明の第四の態様および第八の態様の経口用組成物の製造方法の説明は、上記に記載したとおりである。
また、本発明の第三の態様および第七の態様の経口用組成物は、上記に記載した製造方法により得ることができる。なお、本発明の第三の態様の経口組成物は、多価金属化合物を溶解したアルコール溶液にカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等の第1の増粘剤(好ましくはカルボキシビニルポリマー)およびキサンタンガム、グアガム、アルギン酸ナトリウム等の第2の増粘剤(好ましくはキサンタンガム)(ただし、第1の増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)を分散させた液を、有効成分を含有する薬物核にスプレーコーティングすることにより製造するため、上記に記載したとおり、コーティング皮膜中のカルボキシビニルポリマー等の第1の増粘剤は、皮膜に水分が接触しない状態であれば、実質的に多価金属イオンにより架橋されていない状態である。また、本発明の経口用組成物は使用したアルコール溶媒により、容易にコーティングを洗い流すことが可能である。一方アルコール以外の溶液、例えば水溶液を溶媒として用いてコーティングした経口用組成物は、コーティング皮膜中のカルボキシビニルポリマー等の第1の増粘剤は、実質的に多価金属イオンにより架橋されている状態にあるので、コーティングを洗い流すことが容易ではない。
【0030】
本発明における経口用組成物の嚥下しやすさについては、具体的には、後述の試験例1に記載の試験法,すなわち、下端を脱脂綿(25〜30mg)で栓をした長さ5cmの垂直に固定したシリコンチューブ (8×12)を用いた評価において、充填した経口用組成物に対するチューブ内に挿入したプロ−プ (径 6mmの球状)の移動(速度8mm/sec、上下移動距離40mm)に要した最大応力として表すことができる。本発明の経口用組成物は、前記最大応力が、41g以下であるものが好ましく、30g以下であるものがより好ましく、20g以下であるものがさらに好ましい。また、応力・距離曲線下面積が600g・mm以下であるものが好ましく、400g・mm以下であるものがより好ましく、200g・mm以下であるものがさらに好ましい。
本発明における不快味マスキング効果については、具体的には、後述の試験例2に記載の試験法、すなわち、垂直に立てた2mLプラスチックシリンジに、有効成分を含む経口用組成物を試験例2と同様に詰め、上から37℃に加温した水を2mL/minの流速で一定時間、例えば30秒間又は2分間滴下した際に、シリンジの口から流出する液中の有効成分の濃度により表すことができる。本発明の経口用組成物は、上記試験で30秒間水を滴下した際に有効成分の不快味の閾値濃度以下の濃度になっていれば実用化に十分なマスキングがされていると判断される。例えば、レボフロキサシン水和物の場合は、30秒間水を滴下した際にレボフロキサシンの濃度が1,000μg/mL以下であるものは、不快味マスキングが良好であり好ましい。水を使用しないで服用する製剤の場合も上記試験で30秒ないし2分間水を滴下した際に有効成分の不快味の閾値濃度以下の濃度になっていれば実用化に十分なマスキングがされていると判断され、例えば、レボフロキサシン水和物の場合は、30秒間水を滴下した際の濃度が100μg/mL以下、好ましくは50μg/mL以下、さらに好ましくは10μg/mL以下、より好ましくは3μg/mL以下である。
本発明における溶出性については、具体的には、後述の試験例3に記載の試験例日本薬局方溶出試験パドル法による日本薬局方崩填試験液l液及び回転数50回転における評価において、30分経過時の溶出率として表すことができる。本発明の経口用組成物は、前記溶出率が80%以上であるものが好ましく、90%以上であるものがより好ましい。さらに好ましくは95%以上であるものであり、実質的な溶出遅延が生じておらず、即放性錠剤の溶出基準を満たす。
【0031】
本発明における経口用組成物に用いられる薬物核に含有される有効成分は特に限定されないが、本発明の目的からすると1回の服用量の多い薬物が特に好適である。例えば、抗生物質であるアモキシリン、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、ホスホマイシン、セフタジジム、アンピシリン、シクラシリン、レナンピシリン、セフォチアムヘキセチル、スルタミシリン、バンコマイシン、ポリミキシンB、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、アジスロマイシン、ジョサマイシン、ミデカマイシン、ロキタマイシン、ロキシスロマイシン、カナマイシン.セフチブテン、クロラムフェニコール、サイクロセリン、リファブチン、合成抗菌剤であるオフロキサシン、エノキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、モキシフロキサシン、ガレノキサシン、ロメフロキサシン、ナリジクス酸、リネゾリド、サルファ剤であるサラゾスルファピリジン、抗真菌剤であるボリコナゾール、イトラコナゾール、抗ウイルス剤であるアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、バルガンシクロビル、ネルフィナビル、ラルテグラビル、ラビブジン、エムトリシタビン、リトナビル、リバビリン、アバカビル、エファビレンツ、ネルフィナビル、テノホビル、ジソプロキシル、ダルナビル、アタザナビル、高脂血症薬であるプロブコール、クロフィブラート、コレスチミド、コレスチラミン、駆虫薬であるプラジカンテル、アルベンダゾール、抗原虫薬であるチニダゾール、メトロニダゾール、肝疾患用剤である分岐鎖アミノ酸、解毒剤である活性炭、消化器官用剤である5−アミノサリチル酸、ポリカルボフィルカルシウム、抗悪性腫瘍薬であるイマニチブメシル酸塩、免疫抑制剤であるミコフェノール酸モフェチル、その他の薬物としてイノシンプラノベクス等が挙げられる。更に、これらの薬物に限定されるものではなく、漢方薬、OTC薬や健康食品にも本発明のコーティング用組成物を適用することができる。
【実施例】
【0032】
次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
(1)プラセボミニタブレット(素錠P)の製造:
以下の成分を秤量し、混合後打錠して直径3.1mm厚さ3.1mmのプラセボミニタブレット約25mg/錠を2kg(約80,000錠)得た。
乳糖 2.050kg
結晶セルロース 0.519kg
ステアリン酸マグネシウム 0.026kg
【0034】
(2)レボフロキサシン水和物ミニタブレットの製造:
水溶性が高く苦味を有するモデル薬物としてレボフロキサシン水和物又はバラシクロビル塩酸塩を選び、レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットA〜C(素錠A〜C)及びバラシクロビル塩酸塩含有ミニタブレット(素錠D)を製造した。
(i)レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットA(素錠A)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(パウレックVG−25)に投入後混合し、バインダーとして8w/w%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液1760gを加え造粒を行った。
レボフロキサシン水和物 4.100kg
結晶セルロース 0.364kg
カルメロース 0.392kg
フマル酸ステアリルナトリウム 0.108kg
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末4.277kgにフマル酸ステアリルナトリウム0.087kgを加えて混合後打錠して直径3.1mm厚さ3.1mmのレボフロキサシン水和物ミニタブレット約24mg/錠を3.612kg(約150,500錠)得た。
【0035】
(ii)レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットB(素錠B)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(ハイスピードミキサー)に投入後混合し、水を加え造粒を行った。
レボフロキサシン水和物 205.0g
結晶セルロース 18.2g
α化デンプン(SWELSTAR PD−1;旭化成) 19.6g
α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成) 9.0g
フマル酸ステアリルナトリウム 5.4g
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末239.9gに、フマル酸ステアリルナトリウム4.9gを加えて混合後打錠して直径3.1mm厚さ3.1mmのレボフロキサシン水和物ミニタブレット約24mg/錠を約220g(約9,200錠)得た。
【0036】
(iii)レボフロキサシン水和物含有ミニタブレットC(素錠C)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(ハイスピードミキサー)に投入後混合し、バインダーとして5w/w%α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成)水溶液1kg及び水2.5kgを加え造粒を行った。
レボフロキサシン水和物 2.471kg
結晶セルロース 0.220kg
カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル) 0.627kg
α化デンプン(SWELSTAR WB−1;旭化成) 0.048kg
フマル酸ステアリルナトリウム 0.065kg
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末3.095kgにフマル酸ステアリルナトリウム0.058kgを加えて混合後打錠して直径3.1mm厚さ3.1mmのレボフロキサシン水和物ミニタブレット約24mg/錠を約3kg(約125,000錠)得た。
【0037】
(iv)バラシクロビル塩酸塩含有ミニタブレット(素錠D)の製造:
下記成分を秤量し、攪拌混合造粒機(ハイスピードミキサー)に投入後混合し、バインダーとして6.4w/w%α化デンプン(SWELSTARWB−1;旭化成)水溶液100gを加え造粒を行った。
バラシクロビル塩酸塩 178.0g
結晶セルロース 10.2g
カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル) 32.0g
フマル酸ステアリルナトリウム 4.3g
造粒物を流動層乾燥機(パウレックMP−01)で乾燥後、整粒して得られた粉末197.6gにフマル酸ステアリルナトリウム3.6gを加えて混合後打錠して直径3.1mm厚さ3.1mmのバラシクロビル塩酸塩ミニタブレット約24mg/錠を177.7g(約7,400錠)得た。
表1に素錠A〜Dの処方(有効成分含量を500mgとしたときの各成分含量)を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜2
エタノールに濃グリセリンを混和後、ヒドロキプロピルセルロース(HPC−L;日本曹達,表示粘度:6〜10mPa・s)を加え溶解した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC(TC−5E);信越化学,表示粘度:3mPa・s)及びカルボキシビニルポリマー(カーボポール971P;Lubrizol Advanced Material Inc.,表示粘度:6420mPa・s)を順次加え均一分散した。更に、エリスリトール(三菱商事フードテック)、キサンタンガム(KeltrolCG−T;三晶,表示粘度:1555mPa・s)をジェットミル(セイシン企業 SJ−3)で粉砕後順次添加し均一分散した。最後に塩化カルシウム2水和物をエタノールに溶解した液を加えて均一分散し、コーティング液とした。このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(パウレック ドリアコーター200)を用いてスプレーコーティング(ミニタブレットに対する質量比約10%)し、コーティングミニタブレットを得た。1回のコーティングで140gの素錠(約5,833錠)をコーティングした。
また、実施例1−Pおよび2−Pとして、素錠Aの代わりに素錠Pを用いた以外は各々実施例1および2と同じ調整法でコーティングミニタブレットを得た(140gの素錠、約5,833錠)。
【0040】
実施例3
実施例1のコーティング液調製法においてHPC−Lを加えず、あとは実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0041】
実施例4
実施例2のコーティング液調製法においてカーボポール971Pの代わりにカーボポール974P(LubrizolAdvance Material Inc., 表示粘度:32850mPa・s)を用いた以外は実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0042】
実施例1−1
実施例1のコーティング液調製法においてエリスリトールの代わりにジェットミルで粉砕したマンニトール(マンニットP;三菱商事フードテック)を用いた以外は実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0043】
実施例1−2
実施例1のコーティング液調製法においてHPMCを加えず、あとは実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0044】
実施例1−3
実施例1のコーティング液調製法においてHPMCを加えず、エリスリトールを増量した以外は、実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0045】
実施例1−4
実施例1のコーティング液調製法において、カーボポール971Pを増量し、エリスリトールを減量した以外は、実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0046】
実施例1−5
実施例1のコーティング液調製法においてエリスリトールを加えず、HPMCを増量した以外は、実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0047】
実施例 2−1
実施例1のコーティング液調製法において、カーボポール971Pを加えず、あとは実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0048】
実施例 2−2
実施例 1のコーティング液調製法において、キサンタンガムを加えず,あとは実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0049】
比較例 1
比較例1として、前記レボフロキサシン水和物ミニタブレットの製造により得られた素錠Aを用いた。
【0050】
比較例2
遮光や苦味マスキングを目的とした通常のフイルムコーティングミニタブレットを調製した。水にHPMC、マクロゴール6000 (和光純薬)を溶解後、タルク (松村産業)、酸化チタン (フロイント産業)を均一分散し、コーティング液とした。このコーティング液を上記素錠P又は素錠Aにコーティング装置 (パウレック ドリアコー夕ー200)を用いてコーティング (ミニタブレットに対する質量比約10%)し、コーティングミニタブレットを得た。
【0051】
比較例 3
実施例 1のコーティング液調製法においてHPMC及び塩化カルシウム2水和物を加えず、ジェットミル粉砕したエリスリトールの代わりにジェットミルで粉砕したマンニトール (マンニットP;三菱商事フードテック)を用いた以外は実施例1に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0052】
表2に実施例 1〜4、1−1〜2−2及び比較例2〜3のコーティング液処方 (素錠 100gに対する各成分のコーティング量(g)として表した。)を示す。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例5
水にマクロゴール6000(三洋化成)を溶解後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC (TC−5R);信越化学,表示粘度:6mPa・s)を溶解したシールコーティング液を前記素錠C 140gにコーティング装置(パウレック ドリアコーター200)を用いてスプレーコーティング(ミニタブレットに対する質量比約4.2%)し、シールコーティングミニタブレットを得た。次に、エタノールにヒドロキプロピルセルロース(HPC−L;日本曹達,表示粘度:6〜10mPa・s)を加え溶解後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC(TC−5E);信越化学)及びカルボキシビニルポリマー(カーボポール971P;LubrizolAdvanced Material Inc.,表示粘度:6420mPa・s)を順次加え均一分散した。更に、エリスリトール(三菱商事フードテック)、キサンタンガム(KeltrolCG−T;三晶,表示粘度:1555mPa・s)をジェットミル(セイシン企業 SJ−3)で粉砕後順次添加し均一分散した。最後に塩化カルシウム2水和物をエタノールに溶解した液を加えて均一分散し、オーバーコーティング液とした。このオーバーコーティング液を上記シールコーティングミニタブレットにコーティング装置(パウレック ドリアコーター200)を用いてスプレーコーティング(ミニタブレットに対する質量比約8.2%)し、コーティングミニタブレットを得た。
【0055】
実施例6
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてエリスリトールの代わりにジェットミルで粉砕した還元麦芽糖水飴(アマルティーMR−100;三菱商事フードテック)を用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0056】
実施例7
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてエリスリトールの代わりにジェットミルで粉砕したトレハロース(トレハロースS;旭化成ケミカルズ)を用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0057】
実施例8
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてキサンタンガムの代わりにジェットミルで粉砕したグアガム(グアーガムRG100;エムアールシーポリサッカライト,表示粘度:1100mPa・s)を用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0058】
実施例9−1
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてキサンタンガムの代わりにジェットミルで粉砕したアルギン酸ナトリウム(キミカアルギンI−8;キミカ)を用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0059】
実施例9−2
実施例5のオーバーコーティング液調製法においてカルボキシビニルポリマーの代わりにジェットミルで粉砕したアルギン酸ナトリウム(キミカアルギンI−8;キミカ)を用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0060】
実施例10
実施例5において素錠Cの代わりに素錠Aを用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0061】
実施例11
実施例5において素錠Cの代わりに素錠Bを用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0062】
実施例12
実施例5において素錠Cの代わりに素錠Dを用いた以外は実施例5に準じた調製法でコーティングミニタブレットを得た。
【0063】
比較例4
比較例4として、前記素錠Cを用いた。
【0064】
比較例5
比較例5として、実施例5で調製したシールコーティングミニタブレットを用いた。
【0065】
比較例6
比較例6として、素錠Dを用いた。
【0066】
表3に、実施例5〜8,9−1〜9−2,10〜12及び比較例4〜6の使用した素錠及びオーバーコーティング液処方(100gに対する各成分のコーティング量(g)として表した。)を示す。
【0067】
【表3】
【0068】
参考例1
特許文献4の製造例1記載のA液に準じ、処方液を調製した。すなわち、精製水55.0gを取り、その中にポリビニルアルコールケン化物(和光純薬工業)3.0gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に加熱しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。同様に精製水45.0gを取り、その中にカーボポール974P 1.0gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約30分間攪拌して完全に溶解させた。これら2つの溶液を合わせて十分に攪拌した。この時点で得られた溶液は塩化カルシウム非添加のためポリアクリル酸は架橋されていないにもかかわらず非常に粘度が高く、実施例1記載のスプレーコーティング装置を用いてスプレーコーティングすることはできなかった。従って、さらに塩化カルシウムを添加し、塩化カルシウムが電離して生じるカルシウムイオンによってポリアクリル酸が架橋された溶液を用いてスプレーコーティングを行うことは困難と推定された。
【0069】
参考例2
参考例1の処方にグリセリン0.33gを添加し、精製水の添加量を合計250gとした以外は参考例1に準じて内層コーティング液を調製した。精製水170gにグリセリン1.0g、ポリビニルピロリドン(PVP K−90,ISP Japan Ltd.)3.5g、塩化カルシウム0.5gおよびキサンタンガム(KeltrolCG−T;三晶,表示粘度:1555mPa・s)0.5gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に加熱しながら約30時間攪拌して完全に溶解させ、外層コーティング液を調製した。
この内層コーティング液を上記素錠Pにコーティング装置(パウレック ドリアコーター200)を用いてスプレーコーティングして乾燥後、外層コーティング液を同様にスプレーコーティングし、コーティングミニタブレットを得た。コーティングを2回に分けて実施したにもかかわらず、内層コーティングおよび外層コーティングを合わせたコーティング量はミニタブレットに対する質量比約4.3%に留まった。
【0070】
試験例1(滑りやすさの評価)
シリコンチューブ(8×12:内径8mm、外径12mm)を5cmの長さに切り、アルミブロックに粘着テープで垂直に固定した。下端を脱脂綿(25〜30mg)で栓をし、上からミニタブレットを20錠入れタッピングした。シリンジで水5mLをシリコンチューブ内に通し、水が抜けたら直ちにStableMicro Systems社製テクスチャーアナライザー(TA−XT−Plus)にセットしたプローブ(径6mmの球状プローブ)をチューブ内に挿入し、上から下へ8mm/secの速度で40mm移動させその時の応力を測定した。
【0071】
試験例2(苦味マスキングの評価)
2.5mLプラスチックシリンジを垂直に立て、レボフロキサシン水和物又はバラシクロビル塩酸塩を含むコーティングミニタブレット約27〜30個(レボフロキサシン又はバラシクロビルとして500mg)を詰め、上から37℃に加温した水を2mL/minの流速で滴下した。30秒又は2分間滴下し、シリンジの口から流出する液を集め、レボフロキサシン水和物又はバラシクロビル塩酸塩の濃度を測定した。
【0072】
試験例3(溶出性の評価)
レボフロキサシン水和物又はバラシクロビル塩酸塩を含むコーティングミニタブレット約27〜30個(レボフロキサシン又はバラシクロビルとして500mg)について、日本薬局方溶出試験パドル法にて試験を行い(試験液:日本薬局方崩壊試験液1液,回転数:50回転)試験開始後30分における溶出率を測定した。
試験結果を表4,5に示す。
【0073】
【表4】

【表5】
【0074】
試験例 1による評価結果 (滑りやすさの評価)
比較例1(素錠A)、比較例2(素錠Aに通常のフイルムコーティング)及び、カルボキシビニルポリマー及びキサンタンガムを含むが多価金属塩を含まない比較例3では最大応力および応力・距離曲線下面積が大きな値を示し、粘膜上の滑りが悪く、嚥下しにくいことが推定された。比較例3では、水による多価金属イオンの生成がないために多価金属イオンによるカルボキシビニルポリマーの架橋が生じないことによる結果と考えられた。カルボキシビニルポリマー、多価金属塩及びキサンタンガムを含む実施例1〜4及び 1−1〜1−5は、応力が41g以下、応力・距離曲線下面積の値が、516g・mm以下であり、嚥下が容易であると推測された。
また、エリスリトールの代わりに還元麦芽糖水飴又はトレハロースを含む実施例6,7、キサンタンガムの代わりにグアガム又はアルギン酸ナトリウムを含む実施例8,9−1及びカルボキシビニルポリマーの代わりにアルギン酸ナトリウムを含む実施例9−2においても最大応力および応力・距離曲線下面積は小さく嚥下が容易であると推測された。
また、実施例1−Pおよび2−Pの滑りやすさは、各々実施例1および2と同等であった。このことから、素錠の形および本発明のコーティングが同じであれば素錠の組成が異なっていても、同等の滑りやすさの効果が得られることが確認された。
また、参考例2で得られたコーティングミニタブレットは水添加により若干ゲル化が観察された。しかしながら、その最大応力は62.7g、応力・距離曲線下面積は786g・mmと、本発明実施例に比べていずれも大きな値を示し、粘膜上の滑りが悪く、嚥下しにくいことが推定された。
【0075】
試験例 2による評価 (苦味マスキングの評価)
比較例1 (素錠A)、比較例2 (素錠Aに通常のフイルムコーティング)は、2分間水を滴下した際に流出液中のレボフロキサシン水和物濃度が他の処方に比べて著しく高い値を示した。比較例2は比較例1に比べて濃度が低くなったが、マスキング効果としては不十分であると考えられた。カルボキシビニルポリマー、多価金属塩及びキサンタンガムを含む実施例1〜4及び1−1〜1−5は、2分間水を滴下した際に溶出液濃度が3μg/mL以下であり、良好な苦味マスキング効果を有すると考えられる。これらの結果から、カルボキシビニルポリマーとキサンタンガムを組み合わせることで高い苦味マスキング効果が得られることが明らかになった。
また、実施例5以降の検討においてはオーバーコーティング液のコーティング量を下げて実施しているが、30秒間水を滴下した際に溶出液濃度は50μg/mL以下であった。レボフロキサシン水和物含有の素錠Cにオーバーコーティングを施した実施例5〜9−2では比較例5(素錠Cにシールコーティングのみ)に比べて流出液中の薬物濃度は約1/7〜1/3という低い値を示し、バラシクロビル塩酸塩含有の素錠Dにオーバーコーティングを施した実施例12では比較例6(素錠Dにシールコーティングのみ)に比べて流出液中の薬物濃度は約1/360という低い値を示し、各々オーバーコーティングにおいて実用上十分なマスキング効果が確認された。
素錠にシールコーティングのみを施した比較例2および5の流出液中の薬物濃度は、各々の素錠である比較例1および4に比べて約1/15および約1/20という低い値を示した。このことは、本発明のオーバーコーティングとシールコーティングを組み合わせることにより、服用時の不快味マスキング効果を増強する効果、および/または、薬物核の不快味成分等の成分が保存中にオーバーコーティング層に移動することを防ぎ、薬物核成分とオーバーコーティング層成分との配合変化やマスキング効果の減弱を防ぐ効果、が発揮されたものと考えられた。
【0076】
試験例3による評価結果
比較例1、2は溶出速度が極めて速かった。HPMCと糖アルコールを含む実施例1〜4、カーボポールを含まず、キサンタンガムとHPMCおよびエリスリトールを含む実施例2−1では30分の溶出率が80%以上となり、優れた溶出性を示した。増粘剤としてカーボポールのみを用いた実施例2−2では、70%以上の溶出率であった。 実施例1と実施例1−4の結果から、皮膜中のカーボポールの含量が12%では溶出遅延は起きていないが16質量%まで増量すると僅かに遅延することがわかった。
実施例5〜7の結果から、エリスリトールをマルチトール(還元麦芽糖水飴)またはトレハロースに代えても同様に優れた溶出性を示すことがわかった。
実施例5以降の検討においてはオーバーコーティング液のコーティング量を下げて実施しているが、実施例5以降の全ての処方において高い溶出率を示し、素錠の処方の違い、あるいはシールコーティングによる影響も見られなかった。
【0077】
以上のように本発明の経口用組成物は、少量の水又は唾液により錠剤表層が速やかにゲル化し、錠剤同士がまとまりやすく、粘膜上を滑りやすくなり嚥下しやすくなる。また、ゲル化したコーティング皮膜は嚥下するまでの短時間薬物溶出を抑制することで不快味マスキング効果を示し、嚥下後は皮膜が速やかに崩壊して薬物流出に影響を与えない。