【実施例】
【0116】
以下、実施例により本発明の好適な実施態様を説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものと解釈するべきではない。
【0117】
実施例
[ポリアミック酸の製造]
合成例1
窒素注入口、攪拌器、凝縮器及び温度計を備えた、500mlの四つ口フラスコを窒素でパージし、ここに、p−ジアミノベンゼン(2.70g,0.025モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(4.95g,0.025モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(80g)を含む原料組成物を加えた。上記原料組成物が溶解するまで室温で攪拌を行った。次いで、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(6.20g,0.025モル)、3,6−ビス(トリフルオロメチル)−1,2,4,5−ピロメリト酸二無水物(8.85g,0.025モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(20g)を加えて室温で2時間反応させた。上記反応後、反応溶液を得て、これを次いで、水(1500ml)に注入してポリマーを沈殿させた。濾過後に得られたポリマーを次いで、3回、メタノールで洗浄し濾過し、その後当該ポリマーを、真空オーブン中で60℃で乾燥させて、ポリアミック酸(A−1−1)を得た。
【0118】
合成例2〜3
合成例2〜3のポリアミック酸を、表1に示されるテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分とそれらの量を用いて合成例1の方法に従って製造した。
【0119】
[ポリイミドの製造]
合成例4
窒素注入口、攪拌器、凝縮器及び温度計を備えた、500mlの四つ口フラスコを窒素でパージし、ここに、p−ジアミノベンゼン(2.70g,0.025モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(4.95g,0.025モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(80g)を含む原料組成物を加えた。上記原料組成物が溶解するまで室温で攪拌を行った。次いで、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(6.20g,0.025モル)、3,6−ビス(トリフルオロメチル)−1,2,4,5−ピロメリト酸二無水物(8.85g,0.025モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(20g)を加えて室温で6時間反応させた。上記反応後、反応溶液を得た。この反応溶液に、N−メチル−2−ピロリドン(97g)、無水酢酸(5.61g) 及びピロリドン(19.75g)を加えた。60℃で2時間攪拌することによって、イミド化を行った。反応溶液を水(1500ml)に注入してポリマーを沈殿させた。濾過後に得られたポリマーを次いで、3回、メタノールで洗浄し濾過し、その後当該ポリマーを、真空オーブン中で60℃で乾燥させて、ポリイミド(A−2−1)を得た。
【0120】
合成例5〜20
合成例5〜20のポリイミドを、表1及び表2に示されるテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分とそれらの量、並びに、脱水/閉環反応条件を用いて合成例4の方法に従って製造した。
【0121】
[フレキシブル基板用組成物とフレキシブル基板の製造]
実施例1
合成例1のポリアミック酸100重量部、及びエチレングリコールn−ブチルエーテル800重量部を室温で攪拌して、フレキシブル基板用組成物を得た。このフレキシブル基板用組成物を100mm×100mm×0.7mmのガラス基板上にスピンコーティングにより塗布して、ガラス基板上に塗膜を形成した。この塗膜を110℃で2分間乾燥させ、次いで、250℃で60分間焼成して、ガラス基板上のフレキシブル基板を含む積層体を得た。
【0122】
参考例4〜8、13、14、実施例2、3、9〜12及び比較例1〜6
参考例4〜8、13、14、実施例2、3、9〜12及び比較例1〜6のフレキシブル基板用組成物とフレキシブル基板を、表3に示されるポリマー、溶剤及び添加剤とそれらの量を用いて実施例1の方法に従って製造した。これらのフレキシブル基板用組成物とフレキシブル基板を、以下の評価方法に従って評価した。結果を表3に示す。
【0123】
比較例7
窒素注入口、攪拌器、凝縮器及び温度計を備えた、500mlの四つ口フラスコを窒素でパージし、ここに、エポキシプロパノール(日油株式会社製のEPIOL OHとして市販されているもの、1400g)及びテトラメトキシシランの部分縮合物(多摩化学工業株式会社製のM Silicate 51として市販されているもの、8957.9g)を加え、次いで連続攪拌して90℃に加熱した。次いでジブチル錫ジラウレート触媒(2.0g)を加えた。約630gのメタノールを留去し次いで室温に冷却した。さらに約80gのメタノールを、13kPaの減圧留去により除去して、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(S1)を得た。
【0124】
窒素注入口、攪拌器、凝縮器及び温度計を備えた、2Lの三つ口フラスコを窒素でパージし、ここに、ポリアミック酸(株式会社I.S.T製のPyre−MLとして市販されているもの、1400g)及びN−メチルピロリドン(500g)を加え、次いで連続攪拌して80℃に加熱した。次いで39.4gのエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(S1)及び0.23gの2−メチルイミダゾール触媒を加え、80℃で4時間反応させた。フラスコの内容物を室温に冷却して、シラン変性ポリアミック酸組成物を得た。
【0125】
このシラン変性ポリアミック酸組成物を、100mm×100mm×0.7mmのガラス基板上にスピンコーティングにより塗布して、ガラス基板上に塗膜を形成した。この塗膜を110℃で2分間乾燥し、次いで250℃で60分間焼成して、ガラス基板上のフレキシブル基板を含む積層体を得た。
【0126】
ガラス基板上のフレキシブル基板の表面を、肉眼で観察した。いくつかの凹凸が見つかったが、クラックは観察されなかった。ガラス基板上からスクレーパーで剥離されたフレキシブル基板を60℃の水に24時間浸した。6%の吸湿率が、吸湿試験における式を用いて算出され、評価結果は、×であった。
【0127】
[評価項目]
1.イミド化率
イミド化率は、ポリイミド中のアミック酸官能基の数とイミド環の数の合計に対するイイド環の数の割合を意味し、百分率で表される。合成例1〜20から得られた各ポリマーを、減圧下で乾燥し、次いで、適切な重水素化溶剤、例えば、重水素化ジメチルスルホキシド、に溶解した。
1H−NMR測定を、基準物質としてテトラメチルシランを用いて室温(例えば、25℃)で行った。イミド化率(%)は次の式を用いて算出した:
【0128】
イミド化率(%)=[1−△1/(△2×α)]×100
【0129】
(式中、
△1は、化学シフト10ppm付近のNH基のプロトン由来のピーク面積であり;
△2は、その他のプロトン由来のピーク面積であり;
αは、当該ポリマー中のNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
【0130】
2.成膜性
参考例4〜8、13、14、実施例1〜3、9〜12及び比較例1〜7のそれぞれのフレキシブル基板用組成物を100mm×100mm×0.7mmのガラス基板上にスピンコーティングにより塗布してガラス基板上に塗膜を形成した。この塗膜を110℃で2分間乾燥し、次いで、250℃で60分間焼成して、ガラス基板上のフレキシブル基板を含む積層体を得た。ガラス基板上のフレキシブル基板の表面を、肉眼で観察し、以下の基準により評価した:
【0131】
◎:表面にクラックがなく非常に平らである。
○:表面にクラックはないが、いくつかの凹凸がある。
×:表面にクラックと不連続のブロックがある。
3.吸湿試験
評価項目2から得られた各フレキシブル基板を、ガラス基板からスクレーパーを用いて剥離した。各フレキシブル基板の重さを量り、W1として記録し、次いで60℃の水に24時間浸した。フレキシブル基板を水から取り出し、清潔な布で拭いて乾かし、次いで、重さを量り、W2として記録した。吸湿率(%)を、次の式を用いて算出した:
【0132】
吸湿率(%)=[(W2−W1)/(W1)]×100%
【0133】
フレキシブル基板の吸湿率は、以下の基準により評価した:
◎:吸湿率<1.5%;
○:1.5%≦吸湿率<5%;
×:吸湿率≧5%;
−:塗膜が形成され得ず、吸湿率を測定することができない。
【0134】
【表1】
【0135】
注:
「--」:無添加
a-1-1: ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物
a-1-2: 8-チアビシクロ[3.2.2]ノナン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物
a-1-3: 7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物
a-2-1: 3,6-ビス(トリフルオロメチル)-1,2,4,5-ピロメリト酸二無水物
a-2-2: 1,4-ジフルオロ-2,3,5,6-ピロメリト酸二無水物
a-2-3: 9,9-ビス(トリフルオロメチル)-9H-キサンテン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物
a-3-1: 3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-コハク酸二無水物
a-3-2: ピロメリト酸二無水物
a-3-3: 1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
b-1-1: ビス(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-アミノフェニル)エーテル
b-1-2: 2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル
b-2-1: p-ジアミノベンゼン
b-2-2: 4,4’-ジアミノジフェニルメタン
b-2-3: 4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
【0136】
【表2】
【0137】
注:
「--」: 無添加
a-1-1: ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物
a-1-2: 8-チアビシクロ[3.2.2]ノナン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物
a-1-3: 7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物
a-2-1: 3,6-ビス(トリフルオロメチル)-1,2,4,5-ピロメリト酸二無水物
a-2-2: 1,4-ジフルオロ-2,3,5,6-ピロメリト酸二無水物
a-2-3: 9,9-ビス(トリフルオロメチル)-9H-キサンテン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物
a-3-1: 3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-コハク酸二無水物
a-3-2: ピロメリト酸二無水物
a-3-3: 1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
b-1-1: ビス(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-アミノフェニル)エーテル
b-1-2: 2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル
b-2-1: p-ジアミノベンゼン
b-2-2: 4,4’-ジアミノジフェニルメタン
b-2-3: 4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
【0138】
【表3】
【0139】
注:
「--」: 無添加
「−」: 測定せず
B-1: エチレングリコール n-ブチルエーテル
B-2: N-メチル-2-ピロリドン
B-3: γ-ブチロラクトン
C-1: シリカ(日産化学工業株式会社製のIPA-STとして市販されているもの, 粒度12 nm)
C-2: 酸化防止剤(TCI株式会社製のBHTとして市販されているもの)
C-3: 消泡剤(東レ・ダウコーニング株式会社製のSH-203として市販されているもの)
【0140】
表1、2及び3に示されるように、
参考例4〜8、13、14、実施例1〜3、9〜12の各々において、30モル%〜70モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物と30モル%〜70モル%のフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分、及びジアミン成分を用いてフレキシブル基板用組成物のポリマーを得た。当該ポリマーを含む組成物は優れた成膜性を有し、当該ポリマーを含む組成物から作られたフレキシブル基板は、優れた耐湿性を有している。
【0141】
参考例6、7、14、実施例3、12の各々において、フレキシブル基板用組成物のポリマーは、フッ素含有ジアミン化合物を含むジアミン成分を用いて得られたものである。当該ポリマーを含む組成物から作られるフレキシブル基板は、より優れた耐湿性を有している。
【0142】
さらに、
参考例8、13、実施例9〜12の各々において、フレキシブル基板用組成物に含まれるポリマー(ポリイミド)は、60%〜100%のイミド化率を有しており、その結果、当該フレキシブル基板用組成物から作られたフレキシブル基板は、より優れた耐湿性を有している。
【0143】
さらに、
参考例6、実施例10の各々において、フレキシブル基板用組成物に充填剤が添加されている。これらの組成物から作られたフレキシブル基板は、より優れた成膜性を有している。
【0144】
比較例1において、フレキシブル基板用組成物のポリマーは、25モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物及び60モル%のフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応に付すことによって得られたものである。当該ポリマーを含む組成物の成膜性は劣っており、当該組成物から作られたフレキシブル基板の表面には多数のクラックが存在している。
【0145】
比較例2において、フレキシブル基板用組成物のポリマーは、60モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物及び25モル%のフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応に付すことによって得られたものである。当該ポリマーを含む組成物から作られたフレキシブル基板の耐湿性は劣っている。
【0146】
比較例3において、フレキシブル基板用組成物のポリマーは、75モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物及び25モル%の他のテトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応に付すことによって得られたものである。テトラカルボン酸二無水物成分に、フッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物は含まれていない。当該組成物から作られたフレキシブル基板の耐湿性は劣っている。
【0147】
比較例4において、フレキシブル基板用組成物のポリマーは、25モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物及び75モル%のフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応に付すことによって得られたものである。当該ポリマーを含む組成物の成膜性は劣っており、当該組成物から作られたフレキシブル基板の表面には多数のクラックが存在している。
【0148】
比較例5において、フレキシブル基板用組成物のポリマーは、10モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物及び10モル%のフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応に付すことによって得られたものである。ジアミン成分として、フッ素含有ジアミン化合物が用いられている。しかし、上記ポリマーを含む組成物の成膜性は劣っており、当該組成物から作られたフレキシブル基板の表面には多数のクラックが存在している。
【0149】
比較例6において、フレキシブル基板用組成物のポリマーは、95モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物及び5モル%の他のテトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応に付すことによって得られたものである。テトラカルボン酸二無水物成分に、フッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物は含まれていない。当該組成物から作られたフレキシブル基板の耐湿性は劣っている。
【0150】
比較例7のシラン変性ポリアミック酸樹脂組成物は、特開2002−293933号公報の記載に従って製造されたものである。当該シラン変性ポリアミック酸樹脂組成物から作られたフレキシブル基板の耐湿性は劣っている。
【0151】
要約すると、30モル%〜70モル%の二環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物と30モル%〜70モル%のフッ素含有テトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物成分、及びジアミン成分を用いてフレキシブル基板用組成物のポリマーを得ると、当該ポリマーを含むフレキシブル基板用組成物は優れた成膜性を有し、当該組成物から作られたフレキシブル基板は優れた耐湿性を有する。
【0152】
本発明は、最も実際的かつ好ましい実施態様であると考えられるものに関連して記載されているが、この発明は開示された実施態様に限定されず、最も広い解釈の精神及び範囲に含まれる種々のアレンジメント及び等価のアレンジメントに及ぶものと理解される。