(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871894
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】鏡像非対称磁気書込み素子を有する磁気データ記録システム
(51)【国際特許分類】
G11B 5/31 20060101AFI20160216BHJP
G11B 5/02 20060101ALI20160216BHJP
G11B 5/012 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
G11B5/31 D
G11B5/02 R
G11B5/012
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-263162(P2013-263162)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-123422(P2014-123422A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年12月20日
(31)【優先権主張番号】13/725,593
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503116280
【氏名又は名称】エイチジーエスティーネザーランドビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100153903
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明
(72)【発明者】
【氏名】椎本 正人
(72)【発明者】
【氏名】田河 育也
(72)【発明者】
【氏名】西田 靖孝
(72)【発明者】
【氏名】片田 裕之
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−195016(JP,A)
【文献】
特開2011−096357(JP,A)
【文献】
特開2006−294163(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/132503(WO,A1)
【文献】
特開2011−222112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/012
G11B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2反対表面を有する磁気媒体と、
第1スライダであって、その上部に形成された第1磁気書込みヘッドを有する、前記磁気媒体の前記第1表面に隣接して配置された第1スライダと、
第2スライダであって、前記磁気媒体の前記第2表面に隣接して配置され、且つ、その上部に形成された第2磁気書込みヘッドを有する第2スライダと、
を有し、
前記第1および第2磁気書込みヘッドは、それぞれ書込み磁極を有し、前記書込み磁極に対して横方向に非対称な書込み磁界を生成するようにそれぞれ構成されており、且つ、互いの鏡像である、
磁気ディスクドライブ。
【請求項2】
前記書込み磁極は、第1および第2横方向反対側部と、前記第1側部から前記第2側部まで延在するトレーリングエッジと、を有し、
前記磁気書込みヘッドは、
前記第1磁気書込みヘッドの前記書込み磁極の前記トレーリングエッジの左側部に配置された第1磁気マイクロ波生成器と、
前記第2磁気書込みヘッドの前記書込み磁極の前記トレーリングエッジの右側部に配置された第2磁気マイクロ波生成器と、
を更に有する請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項3】
前記第1および第2磁気マイクロ波生成器のそれぞれは、スピントルク発振器である、
請求項2に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項4】
前記第1および第2磁気書込みヘッドのそれぞれは、トレーリング磁気遮蔽体を更に有し、前記トレーリング磁気遮蔽体は、それぞれ、前記磁気マイクロ波生成器が前記書込み磁極の前記トレーリングエッジと前記トレーリング磁気遮蔽体との間に配置されるように配置されている、
請求項2に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項5】
前記第1磁気書込みヘッドは、左側部および書込み側部を有する前記書込み磁極と、非磁性左側部ギャップ層によって前記書込み磁極の前記左側部から分離された左側部遮蔽体と、非磁性右側部ギャップ層によって前記書込み磁極の右側部から分離された右側部遮蔽体と、を有し、前記左側部ギャップ層は、前記右側部ギャップ層よりも厚く、且つ、
前記第2磁気書込みヘッドは、左側部および書込み側部を有する前記書込み磁極と、非磁性左側部ギャップ層によって前記書込み磁極の前記左側部から分離された左側部遮蔽体と、非磁性右側部ギャップ層によって前記書込み磁極の右側部から分離された右側部遮蔽体と、を有し、前記右側部ギャップ層は、前記左側部ギャップ層よりも厚い、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項6】
前記第1磁気書込みヘッドは、前記書込み磁極の右側のみにおける磁気側部遮蔽体を含み、且つ、
前記第2磁気書込みヘッドは、前記書込み磁極の左側のみにおける磁気側部遮蔽体を含む請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項7】
前記磁気書込みヘッドの前記非対称性により、第1磁気書込みヘッドは、その書込み磁極の第1横方向エッジにおいて主に書き込み、且つ、前記第2磁気書込みヘッドは、その書込み磁極の第2横方向エッジにおいて主に書き込み、前記第1横方向エッジの向きは、前記第2横方向エッジの向きとは反対である、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項8】
前記磁気媒体は、内径を有し、且つ、前記磁気書込みヘッドの前記非対称性により、前記磁気書込みヘッドのそれぞれは、前記磁気媒体の前記内径に向かって配置された好ましい書込みエッジを有する、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項9】
前記磁気媒体は、外径を有し、且つ、前記磁気書込みヘッドの前記非対称性により、前記磁気書込みヘッドのそれぞれは、前記磁気媒体の前記外径に向かって配置された好ましい書込みエッジを有する、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項10】
前記磁気書込みヘッドのそれぞれは、トレーリングエッジを有する書込み磁極を含み、且つ、前記磁気書込みヘッドは、互いに非対称であり、且つ、前記書込み磁極の前記トレーリングエッジに対して垂直のラインを中心として互いの鏡像である、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項11】
前記磁気書込みヘッドのそれぞれは、前記磁気媒体の内径に対して前記書込み磁極の内側エッジに向かって増大した書込み磁界勾配を提供するように構成されている、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項12】
前記磁気書込みヘッドのそれぞれは、前記磁気媒体の外径に対して前記書込み磁極の外側エッジに向かって増大した書込み磁界勾配を提供するように構成されている、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項13】
トレーリング磁気遮蔽体を更に有し、前記トレーリング磁気遮蔽体および前記左側部遮蔽体および前記右側部遮蔽体がラップアラウンド磁気遮蔽構造を形成している、
請求項5に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項14】
前記磁気書込みヘッドは、前記磁気側部遮蔽体と磁気的に接続された磁気トレーリング遮蔽体を更に含む請求項6に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項15】
前記磁気ディスクドライブは、シングル磁気記録用に構成されている、
請求項1に記載の磁気ディスクドライブ。
【請求項16】
トレーリングエッジを有する書込み磁極をそれぞれが有する第1および第2磁気書込みヘッドを有し、
前記磁気書込みヘッドのそれぞれは、前記トレーリングエッジに対して垂直のラインに対して横方向に非対称であり、且つ、
前記磁気書込みヘッドは、前記書込み磁極の前記トレーリングエッジに対して垂直のラインを中心として互いの鏡像である、
磁気ディスクドライブシステム。
【請求項17】
前記第1磁気書込みヘッドは、前記書込み磁極の第1側部において書込み磁界勾配を増大させるように構成されており、且つ、前記第2磁気ヘッドは、前記書込み磁極の第2側部において磁界勾配を増大させるように構成されている、
請求項16に記載の磁気ディスクドライブシステム。
【請求項18】
前記第1磁気書込みヘッドの前記書込み磁極の前記トレーリングエッジの第1側部に配置された第1磁気マイクロ波生成器と、前記第2磁気書込みヘッドの前記書込み磁極の前記トレーリングエッジの第2側部に配置された第2磁気マイクロ波発振器と、を更に有する、
請求項16に記載の磁気ディスクドライブシステム。
【請求項19】
前記第1および第2磁気マイクロ波発振器は、スピントルク発振器である、
請求項18に記載の磁気ディスクドライブシステム。
【請求項20】
前記第1磁気書込みヘッドは、前記書込み磁極の第1側部において側部磁界勾配を増大させるように構成された磁気側部遮蔽構造を含み、且つ、前記第2磁気書込みヘッドは、前記書込み磁極の第2側部において側部磁界勾配を増大させるように構成された磁気側部遮蔽体を含む、
請求項16に記載の磁気ディスクドライブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気データ記録に関し、且つ、更に詳しくは、シングル磁気記録(shingled magnetic recording)用の非対称磁気書込みヘッドを使用した磁気データ記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのコンピュータおよびデータサーバーシステムのコンポーネントの1つは、磁気ディスクドライブと呼ばれる組立体である。磁気ディスクドライブは、回転磁気ディスクと、回転磁気ディスクの表面に隣接した状態でサスペンションアームによって支持された書込みおよび読取りヘッドと、サスペンションアームを運動させて読取りおよび書込みヘッドを回転ディスク上の選択された円形トラックの上方に配置するアクチュエータと、を含む。読取りおよび書込みヘッドは、エアベアリング面(Air Bearing Surface:ABS)を有するスライダ上に直接的に配置される。サスペンションアームは、スライダをディスクの表面に向かって付勢しており、且つ、ディスクが回転した際に、ディスクに隣接した空気がディスクの表面に沿って運動する。スライダは、この運動する空気のクッション上において、ディスクの表面の上方を飛行する。スライダがエアベアリングに載っている際に、回転ディスクに対する磁気遷移の書込みおよび回転ディスクからの磁気遷移の読取りのために、書込みおよび読取りヘッドが利用される。読取りおよび書込みヘッドは、コンピュータプログラムに従って動作して書込みおよび読取り機能を実現する処理回路に接続されている。
【0003】
書込みヘッドは、書込み磁極と、リターン磁極と、を含むことが可能であり、書込み磁極は、ABSにおいてリターン磁極よりも格段に小さな断面を有する。書込み磁極およびリターン磁極は、ABSから離れた領域において互いに磁気的に接続されている。導電性書込みコイルが、書込み磁極の周りに巻回されており、且つ、電流がコイルを通過した際に書込み磁極を磁化する磁束を誘発する。この結果、書込み磁界が隣接する磁気媒体を通じて生成され、書込み磁界は、媒体の表面に対して実質的に垂直である(但し、書込み磁極の近傍に配置されたトレーリング遮蔽体などにより、多少傾斜させることもできる)。書込み磁界は、媒体を局所的に磁化した後に、媒体を通じて移動し、且つ、リターン磁極の場所において書込みヘッドに戻り、この時点において、書込み磁界は、以前に記録されたデータのビットを消去することがないように十分に拡散すると共に弱くなっている。書込み磁界の極性は、書込みコイルを通じた書込み電流の極性によって決定される。極性は、その周波数および位相がデータ書込みプロセスを最適化するために制御される書込みクロックに基づいて切り替えられる。
【0004】
回転磁気ディスクから磁界を検知するべく、GMRセンサやTMRセンサなどの磁気抵抗センサを利用することができる。センサは、固定層および自由層と呼ばれる第1および第2強磁性層の間に挟持された非磁性導電層、即ち、障壁層を含む。読取りモードにおいては、スピンバルブセンサの抵抗値が回転ディスクからの磁界の大きさに比例して変化する。検知電流がスピンバルブセンサを通じて伝導した際に、抵抗値の変化によって電位の変化が生成され、これが再生信号として検出および処理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データ密度を増大させるには、トラックピッチを増大させる必要があり、これは、データトラックの間の間隔の低減を意味している。但し、データトラックの間の間隔は、書込みヘッドの書込み磁極のサイズによって制限されている。書込み磁極のサイズを低減することができる量は、データビットを磁気媒体に確実に書き込むために十分な書込み磁界を提供するというニーズによって制限されている。これを克服するための1つの方法は、データをシングル方式で記録するというものであり、この場合には、データトラックが互いにオーバーラップしている。このようなシステムにおいては、(設計に応じて)それぞれのデータトラックの内側または外側のエッジのみが読み取られる。このようなシステムは、データ密度増大の有望性を示しているが、設計、実装、および性能に関する課題をも伴っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1および第2反対表面を有する磁気媒体を含む磁気ディスクドライブを提供する。第1スライダが、磁気媒体の第1表面に隣接して配置されると共にその上部に形成された第1書込みヘッドを有し、且つ、第2スライダが、磁気媒体の第2表面に隣接して配置されると共にその上部に形成された第2書込みヘッドを有する。第1および第2磁気書込みヘッドは、それぞれ、非対称であり、且つ、互いの鏡像である。
【0007】
ディスクドライブは、シングル磁気記録用に構成することが可能であり、且つ、書込みヘッドの非対称な構造により、書込みヘッドは、シングル磁気記録を円滑に実行するべく、主に、書込み磁極の望ましい側部に書き込むことができる。更には、このディスクドライブシステムは、複数の書込みヘッドを有しており、そのうちのいくつかのものは、その他のものの鏡像であり、この結果、媒体の一方の面に書き込むように構成された下向きのヘッドは、媒体の反対面における上向きの磁気書込みヘッドの鏡像になっている。書込みヘッドが、鏡像であり、且つ、反対方向に向いているため、それぞれの書込みヘッドは、磁気媒体の内径または外径に対して同一の向きに配置された好ましい書込み側部を有する。この結果、上向きおよび下向きの書込みヘッドの両方について、(内径において始まって外向きに動作するかまたは外径において始まって内向きに動作する)方式により、記録を実行することができる。この結果、有利には、ディスクドライブシステムの速度および性能が改善される。
【0008】
本発明のこれらのおよびその他の特徴および利点については、同一の参照符号によって同一の要素を示している添付図面との関連において好適な実施形態に関する以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなろう。
【0009】
本発明の特性および利点、並びに、好ましい使用モードについて十分に理解するために、添付図面との関連において以下の詳細な説明を参照されたい。尚、添付図面は、縮尺が正確ではない
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明を実施し得るディスクドライブシステムの概略図である。
【
図2】
図1のライン2−2から観察した概略側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による磁気書込みヘッドの一部分のエアベアリング表面図である。
【
図7】本発明の一代替実施形態による磁気書込みヘッドの一部分のエアベアリング表面図である。
【
図8】本発明の更に別の実施形態による磁気書込みヘッドの一部分のエアベアリング表面図である。
【
図9】磁気ディスクとの関係におけるアップおよびダウン磁気ヘッドの向きを示す図である。
【
図10】
図9のものに類似した、但し、鏡像磁気書込みヘッドを使用した図である。
【
図11】2つの鏡像非対称書込みヘッドの一部分のエアベアリング表面図である。
【
図12】本発明の一代替実施形態による2つの鏡像非対称書込みヘッドの一部分のエアベアリング表面図である。
【
図13】本発明の別の実施形態による2つの鏡像非対称書込みヘッドの一部分のエアベアリング表面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、本発明を実施するための現時点において想定される最良の実施形態に関するものである。この説明は、本発明の一般的な原理を例示することを目的として提供されるものであり、且つ、本明細書において特許請求されている発明の概念を限定することを意図したものではない。
【0012】
まず、
図1を参照すれば、本発明を実施したディスクドライブ100が示されている。
図1に示されているように、少なくとも1つの回転可能な磁気ディスク112がスピンドル上において支持されている。それぞれのディスク上における磁気記録は、磁気ディスク112上の同心データトラックの環状パターンの形態を有する(図示されてはいない)。
【0013】
それぞれがそのトレーリングエッジ上に形成された磁気ヘッドを有する複数のスライダ113が磁気ディスク112の近傍において位置決めされている。磁気ディスクが回転するのに伴って、スライダ113は、望ましいデータが書込みおよび読取りされる磁気ディスクの異なるトラックに対してスライダ113の磁気ヘッド組立体がアクセスすることができるように、ディスク112の表面の上方において半径方向を内向き且つ外向きに運動する。それぞれのスライダ113は、サスペンション115を用いてアクチュエータアーム119に装着されている。サスペンション115は、スライダ113をディスク表面112に向かって付勢するわずかなスプリング力を提供している。それぞれのアクチュエータアーム119は、アクチュエータ手段127に装着されている。
図1に示されているアクチュエータ手段127は、ボイスコイルモータ(Voice Coil Motor:VCM)であってもよい。VCMは、固定磁界内において運動可能であるコイルを有し、コイルの運動の方向および速度は、コントローラ129によって供給されるモータ電流信号によって制御されている。
【0014】
ディスクストレージシステムの動作の際に、磁気ディスク112の回転により、スライダ113とディスク112の表面の間に、上向きの力または揚力をスライダに対して作用させるエアベアリングが生成される。この結果、エアベアリングは、サスペンション115のわずかなスプリング力を相殺し、且つ、正常動作の際に、わずかな実質的に一定の間隔だけ、ディスク112の表面から離れて、且つ、そのわずかに上方において、スライダ113を支持する。
【0015】
ディスクストレージシステムの様々なコンポーネントは、動作の際に、制御ユニット129によって生成される制御信号によって制御される。通常、制御ユニット129は、システムインターフェイス、データストレージキャッシュ、マイクロプロセッサ、およびサブシステム電子回路を有する。制御ユニット129は、様々なシステム動作を制御するべく、ライン128上のヘッド位置およびシーク制御信号などの制御信号を生成する。ライン128上の制御信号は、スライダ113をディスク112上の望ましいトラックに最適に運動させると共に位置決めするための望ましい電流プロファイルを提供する。更には、制御ユニットは、読取りヘッドからの信号を検知および処理すると共に書込みヘッド用の電流を制御するための電子回路を収容している。
【0016】
図2は、
図1のライン2−2から観察したディスクドライブシステムの一部分の側面図を示している。
図2に示されているように、ディスクドライブシステムは、いくつかの磁気ディスク112からなる積層体を含み、これらの磁気ディスクのそれぞれは、スピンドル114上において保持されており、このスピンドルは、ディスク112を回転させるためにモータ202に装着することができる。ディスクのそれぞれは、下部表面204aと、上部表面204bと、を有する。また、システムは、スピンドル組立体206をも含んでおり、この組立体は、アクチュエータアーム119、サスペンション115、およびスライダ113の積層体として形成されており、これらの一部は、ディスク112の下部表面204aに記録するように構成されており、且つ、これらの一部は、ディスク112の上部表面204bに記録するように構成されている。また、
図2において観察することができるように、スライダのいくつかは、磁気ディスク112の下部表面204aを読み取るように構成された上向きのスライダ113aであり、スライダのうちのその他のものは、上部表面204bを読み取るように構成された下向きのスライダ113bとして構成されている。
【0017】
図3は、磁気ディスク112にデータを書き込むかまたは磁気ディスク112からデータを読み取るべくスライダ上に形成することができる磁気ヘッド300の側部断面図を示している。磁気ヘッド300は、読取り素子302と、書込み素子304と、を含み、これらは、アルミナなどの非磁性電気絶縁層303によって互いに分離されていてもよい。読取り素子は、GMR(Giant MagnetoResistive)センサまたはトンネル接合センサ(TMR)などの磁気抵抗センサ306を含むことができる。読取りセンサ306は、第1および第2磁気遮蔽体308、310の間において挟持されている。
【0018】
書込み素子は、エアベアリング面ABSまで延在する書込み磁極312と、ABSにおいて書込み磁極よりも大きな断面を有するリターン磁極314と、を含む。書込み磁極312およびリターン磁極314は、磁気バックギャップ層316および成形層318により、ABSから離れた領域内において互いに磁気的に接続することができる。成形層318(スティッチ磁極とも呼ばれる)は、書込み磁極312の先端に磁束を導くのに有用である。1つまたは複数の導電性非磁性書込みコイル320(
図3には、断面において示されている)が、書込み磁極312とリターン磁極314の間を通過しており、且つ、これらのコイルは、アルミナおよび/または硬質焼成フォトレジストなどの非磁性電気絶縁充填層322に埋め込むことができる。
【0019】
また、書込み素子304は、トレーリング磁気遮蔽体324を含むことも可能であり、これは、(以下に示されるように)書込み磁極312の側部の周りを包むように形成してもよい。トレーリング磁気遮蔽体324は、書込み磁界勾配を増大させて磁気記録を改善するのに有用である。トレーリング磁気遮蔽体324は、トレーリングリターン磁極326と接続することが可能であり、このトレーリングリターン磁極は、ABSから離れた後方の場所において書込み素子304のその他の磁気構造とも磁気的に接続されている。非磁性電気絶縁保護層328を書込み素子304の上部に形成することにより、読取りおよび書込み素子302、304を保護することができる。
【0020】
図4および
図5は、シングル磁気記録を使用してデータを磁気ディスク上に記録する方法を概略的に示している。上述のように、データ密度を増大させるために、トラックピッチに関連したトラック密度の増大に対する需要が存在している。トラック密度を増大させるための1つの方法は、(ABSから見た場合に)書込み磁極312を小さくするというものになろう。但し、書込み磁極312のサイズの低減は、限られた範囲においてのみ可能であり、その理由は、書込み磁極のサイズを低減することにより、書込み素子304によって生成することができる書込み磁界の量が低減されるためである。
【0021】
これに対する解決策は、
図4および
図5に示されているように、データトラックをオーバーラップさせるというものである。このタイプの記録は、「シングル(shingled)」記録と呼ぶことが可能であり、その理由は、オーバーラップしたデータトラックを屋根の瓦(シングル)に似たものとして概念化することができるためである。
図4には、複数のこのようなオーバーラップした「シングル」データトラック402a〜402dが示されている。三角形の形状404は、書込み磁極によって生成される磁化の磁気フットプリントを表している。磁気フットプリント404は、三角形(または、台形)の形状を有しており、その理由は、書込みの先端が、スキューに関係する問題を回避するために、このような形状を有しているためである。
【0022】
従来の磁気データ記録システムにおいては、(書込み磁極のトレーリングエッジの場所に対応した)このフットプリントのトレーリングエッジ404の全体が書込みを決定している。但し、シングル記録システムにおいては、トレーリングエッジ406の1つの横方向の外側エッジ部分408のみが最終的な書込み信号を決定する。
図4に示されている記録においては、記録は、ディスクの内径(Inner Diameter:ID)から実行され、且つ、ディスクの外径(Outer Diameter:OD)に向かって進んでいる。このケースにおいては、後から読み取られることになる書込みを決定するのは、(ディスクの直径に対して)トレーリングエッジ406の最も内側の部分408である。
【0023】
一方、シングル書込みは、
図5に示されているように、外径(OD)から内径(ID)に進むこともできよう。
図5は、複数のオーバーラップしたデータトラック502a〜502dを示しており、且つ、書込みは、外径において始まり、且つ、内向きに進んでいる。このケースにおいては、書込みバブル504のトレーリングエッジ506の最も内側のエッジ508が、主に、媒体に書き込まれることになるデータに対する責任を担っている。
【0024】
この結果、書込み磁極のトレーリングエッジの外側エッジにおける書込みを改善することにより、シングル記録システムにおいて性能を改善することが可能であることがわかる。但し、この利益を実現するには、シングル記録が実行される方式に応じて、正しい外側エッジを主記録エッジとして構成する必要がある。
【0025】
図6は、本発明の一実施形態による非対称書込み素子304(
図3)の書込み磁極312のエアベアリング表面図(ABS図)を示している。三角形の形状を有する書込み磁極312が示されているが、台形の形状を有することもできる。書込み磁極312は、非磁性トレーリングギャップ層604によってトレーリング遮蔽体から分離されたトレーリングエッジ602を有する。トレーリング磁気遮蔽体324は、非磁性電気絶縁側部ギャップ層606によって書込み磁極312の側部から分離された側部遮蔽部分324aを提供するために、書込み磁極312の側部の周りを包むように形成することができる。
【0026】
磁気マイクロ波生成器608が、書込み磁極312のトレーリングエッジ602とトレーリング遮蔽体324の間において、書込み磁極312のトレーリングエッジ602に形成されている。磁気マイクロ波生成器608は、発振するまたは交互に変化する磁界を生成する装置である。このような発振磁界を生成することができる1つのタイプの装置がスピントルク発振器である。このような磁気マイクロ波生成器608によって生成される発振磁界は、磁気発振を磁気媒体内においてセットアップすることにより、磁気媒体に対する書込みを円滑に実行する。但し、
図6においては、磁気マイクロ波生成器608が、書込み磁極312のトレーリングエッジ602の1つの横方向の外側エッジ部分に配置されていることを観察することができる。この結果、磁気マイクロ波生成器608は、
図4および
図5を参照して上述したように、シングル磁気データ記録に最も適切な望ましい外側エッジにおける磁気書込みを支援することができる。トレーリングエッジのいずれの外側の場所が磁気マイクロ波生成器を含むべきであるのかに関する選択肢は、
図4を参照して説明したように、シングル磁気記録が内径から外径に進行するように実行されるのか、或いは、
図5を参照して説明したように、外径から内径に進行するように実行されるのか、に依存する。
【0027】
図7は、本発明の別の可能な実施形態による非対称書込みヘッドを示しており、
図7において観察されるように、書込み磁極312は、以前と同様に、トレーリングエッジ602を有しており、このトレーリングエッジは、非磁性トレーリングギャップ604により、トレーリング磁気遮蔽体702から分離されている。但し、
図7に示されている実施形態は、非対称の側部遮蔽を有しており、これには、他方の側部遮蔽部分702bが書込み磁極から分離されている距離よりも格段に大きい距離だけ書込み磁極312から分離された側部遮蔽部分702aが含まれている。側部遮蔽部分702aは、第1側部ギャップ704aにより、書込み磁極の側部から分離されており、且つ、第2側部遮蔽部分702bは、第2側部ギャップ層704bにより、書込み磁極の側部から分離されており、この場合に、側部ギャップ704aは、側部ギャップ704bよりも格段に厚い。この側部遮蔽間隔の違いが、非対称な書込みを生成し、この場合に、書込みは、相対的に近接した側部遮蔽を有する書込み磁極の側部(例えば、
図7の702bに隣接した側部)において円滑に実行される。相対的に近接した側部遮蔽は、書込みの際に磁気スイッチングを促進する側部磁界勾配を増大させる。
【0028】
図8は、本発明の更に別の実施形態による非対称書込みヘッドを示している。
図8は、書込み磁極の一側部においてのみ側部遮蔽部分802を提供し他側部においては提供しないようにするべく、一側部においてのみ書込み磁極の周りを包んでいるトレーリング遮蔽体800と、他側部における非磁性材料804と、を有する書込み磁極312を有する書込みヘッドを示している。上述の実施形態と同様に、側部遮蔽体802aの存在は、その側部における側部磁界勾配を増大させることにより、側部遮蔽体802aが存在している側部における書込みを促進する。
【0029】
その上部に形成された磁気ヘッドを有するスライダは、ウエハ上に形成され、1つのウエハ上には、このような数千もの多数のスライダが形成される。
図2を再度参照すれば、媒体ディスク112の下部表面204aを読み取るために使用されるスライダ113aは、ディスク112の上部表面204bを読み取るために使用されるスライダ113bと同一のものであった。但し、上述の非対称書込みヘッドを使用する際には、アップおよびダウンスライダの両方において同一の書込みヘッドを使用した場合には、懸念が生じる。この懸念は、
図9を参照することによってよく理解することができる。
【0030】
図9は、磁気ディスク112を示している。三角形902は、ディスクの上方に配置されると共に下を向いたスライダの向きを表している。破線の三角形904は、ディスク112の下方に配置されると共にディスクに向かって上を向いた書込みヘッドを表している。書込みヘッド902は、書込みが一側部のエッジの場所906において不均衡に実行されるように構成された非対称書込みヘッドである。但し、ヘッド902、904は同一のものであるため、書込みヘッド904(ヘッド902に対して上下逆に反転されたもの)は、反対側部に配置されたその好ましい書込みエッジの場所908を有する。即ち、ヘッド902が、ディスクの内径に向かって配置されたその好ましいエッジ906を有している一方で、他方のヘッド904は、ディスクの外径において配置されたその好ましいエッジ904を有している。従って、シングル記録システムにおいて機能するためには、ヘッド902は、内径から外向きに動作して記録しなければならず、ヘッド904は、外径から内向きに動作して記録しなければならない。この結果、深刻な性能問題が発生し、これにより、ディスク112上においてスライダの場所を制御するアクチュエータの過大な運動が必要とされることにより、ディスクドライブシステムの速度が低下することになろう。
【0031】
図10は、この問題に対する解決策を示している。
図10は、互いの鏡像として構築された書込みヘッド1002、1004を有する磁気ディスク10を示している。換言すれば、1つの書込みヘッド1002は、一側部においてその好ましい書込みエッジ1006を有し、且つ、他方の書込みヘッド1004は、他側部においてその好ましい書込みエッジ1008を有する。この結果、書込み要素1002、1004が1つがアップであり且つ1つがダウンである状態において反対方向に向いている際に、好ましい書込みエッジ1006、1008は、ディスクに対して同一の方向に方向付けられ、両方が内径に向かっているか(図示のように)、或いは、両方が外径に向かっている。
【0032】
図11は、磁気マイクロ波生成器素子を使用した一実施形態におけるこの構成の一例を示している。
図11において、第1磁気ヘッド1102は、書込み磁極312およびトレーリング遮蔽体324を有すると共に、トレーリングエッジ602の第1外側エッジに(例えば、左側部に向かって)配置された磁気マイクロ波生成器1104を有し、且つ、別の磁気ヘッド1106は、書込み磁極312およびトレーリング遮蔽体324を有し、磁気マイクロ波生成器1108が、トレーリングエッジの反対側の外側エッジに(例えば、右側部に)配置されている。この実施形態は、1つの書込み素子(例えば、1102)が「アップ」ヘッドとして使用されると共に他方の書込み素子(例えば、1106)が「ダウン」ヘッドとして使用されているシングル記録システムにおいて同一の側部場所における書込みを支援することができる磁気マイクロ波支援型記録システムを提供する。
【0033】
同様に、
図12は、非対称ラップアラウンドトレーリング遮蔽構造1206、1208を有する2つの鏡像書込みヘッド1202、1204を示している。更に詳しくは、書込みヘッド1202は、左側の相対的に小さな側部ギャップ1210と、右側の格段に大きな側部ギャップ1212と、を有する側部遮蔽体を有する。逆に、書込みヘッド1204は、右側の相対的に小さな側部ギャップ1214と、左側の格段に大きな側部ギャップ1216と、を有する。上述のように、それぞれのヘッド1202、1204において、相対的に小さな側部ギャップを有する側部は、増大した側部磁界勾配に起因し、改善された書込みを有することになる。従って、これらの2つの鏡像書込みヘッド1202、1204は、磁気ディスクの反対表面(例えば、上部および下部)に配置された際に、改善されたシングル書込みのために同一の場所(例えば、内側エッジまたは外側エッジ)に配置された好適な書込みエッジを有することになる。
【0034】
同様に、
図13は、それぞれが互いの鏡像である遮蔽構造1306、1308を有する2つの磁気ヘッド1302、1304を示している。ヘッド1302は、左側にのみ側部遮蔽を提供する遮蔽体を有し、且つ、右側には、非磁性材料1310を有するのみである。逆に、書込みヘッド1304は、右側にのみ遮蔽を提供する遮蔽構造1308を有し、且つ、左側には、非磁性材料1312を有するのみである。この場合にも、これらの2つのヘッドが磁気ディスクの反対面に配置された際に、それぞれの好ましい書込みエッジ(遮蔽を有する側部)は、ディスクの内径または外径に対して同一の場所に存在することになる。
【0035】
様々な実施形態について説明したが、これらは、限定としてではなく、一例として提示されたものに過ぎないことを理解されたい。当業者には、本発明の範囲に含まれるその他の実施形態も明らかとなろう。従って、本発明の広さおよび範囲は、上述の例示用の実施形態のいずれによっても限定されるものではなく、添付の請求項およびそれらの均等物によってのみ規定される。
【符号の説明】
【0036】
10 磁気ディスク
100 ディスクドライブ
112 磁気ディスク
113 スライダ
113a 上向きのスライダ
113b 下向きのスライダ
114 スピンドル
115 サスペンション
119 アクチュエータアーム
127 アクチュエータ手段
128 ライン
129 制御ユニット
202 モータ
204a 下部表面
204b 上部表面
206 スピンドル組立体
300 磁気ヘッド
302 読取り素子
303 非磁性電気絶縁層
304 書込み素子
306 読取りセンサ
308 第1磁気遮蔽体
310 第2磁気遮蔽体
312 書込み磁極
314 リターン磁極
316 磁気バックギャップ層
318 成形層
320 導電性非磁性書込みコイル
322 非磁性電気絶縁充填層
324 トレーリング遮蔽体
324 トレーリング磁気遮蔽体
324a 側部遮蔽部分
326 トレーリングリターン磁極
328 非磁性電気絶縁保護層
402a〜402d データトラック
404 トレーリングエッジ
406 トレーリングエッジ
408 外側エッジ部分
502a〜502d データトラック
504 書込みバブル
506 トレーリングエッジ
508 エッジ
602 トレーリングエッジ
604 非磁性トレーリングギャップ層
606 非磁性電気絶縁側部ギャップ層
608 磁気マイクロ波生成器
702 トレーリング磁気遮蔽体
702a 側部遮蔽部分
702b 第2側部遮蔽部分
704a 第1側部ギャップ層
704b 第2側部ギャップ層
800 トレーリング遮蔽体
802 側部遮蔽部分
802a 側部遮蔽体
804 非磁性材料
902 書込みヘッド
904 書込みヘッド
906 エッジ
908 エッジ
1002 書込みヘッド
1004 書込みヘッド
1006 書込みエッジ
1008 書込みエッジ
1102 第1磁気ヘッド
1104 第1磁気マイクロ波生成器
1108 第2磁気マイクロ波生成器
1202 鏡像書込みヘッド
1204 鏡像書込みヘッド
1206 非対称ラップアラウンドトレーリング遮蔽構造
1208 非対称ラップアラウンドトレーリング遮蔽構造
1210 側部ギャップ
1212 側部ギャップ
1214 側部ギャップ
1216 側部ギャップ
1302 磁気ヘッド
1304 書込みヘッド
1306 遮蔽構造
1308 遮蔽構造
1310 非磁性材料
1312 非磁性材料
ABS エアベアリング面