(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871902
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】シャフトに取り付けるために回動可能に接続されるように構成されている自己潤滑ブッシュ
(51)【国際特許分類】
F16C 31/02 20060101AFI20160216BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20160216BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20160216BHJP
F16C 33/74 20060101ALI20160216BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
F16C31/02
F16C17/02 Z
F16C33/20 A
F16C33/20 Z
F16C33/74 Z
F16C11/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-501891(P2013-501891)
(86)(22)【出願日】2011年3月16日
(65)【公表番号】特表2013-524113(P2013-524113A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】FR2011050530
(87)【国際公開番号】WO2011121205
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2013年11月15日
(31)【優先権主張番号】1052296
(32)【優先日】2010年3月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506126266
【氏名又は名称】アッシュ・ウー・エフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・マス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ヴィルマーニュ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シャデュイロン
【審査官】
稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−257366(JP,A)
【文献】
特開平10−228692(JP,A)
【文献】
特開2005−76723(JP,A)
【文献】
特開2003−239976(JP,A)
【文献】
特開平10−195207(JP,A)
【文献】
特開2008−298084(JP,A)
【文献】
米国特許第3366425(US,A)
【文献】
米国特許第3330605(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00−11/12
17/00−17/26
29/00−31/06
33/00−33/28
33/72−33/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並進運動及び/又は回転運動を案内することを目的として、シャフト(2)に取り付けるための自己潤滑するヒンジ接合部のブッシュ(1)であって、
前記ブッシュ(1)が、500N/mm2〜6000N/mm2の弾性率を有している複合材料から作られており、
前記ブッシュ(1)が、1つ以上のリップ(1a)の内径と前記シャフト(2)の外径との間で締め付け効果を発揮させることによって、前記シャフト(2)に取り付けた後に漏出防止又は保護バリアとして機能させるために、前記ブッシュ(1)のボア(1b)の突出縁部として一体的に形成されている少なくとも1つの前記リップ(1a)を有しており、前記リップ(1a)の内径が、前記ボア(1b)の内径より小さく、
円状の切欠(1c)が、少なくとも1つの前記リップ(1a)の端面に形成されていることを特徴とするブッシュ。
【請求項2】
前記複合材料が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、又はポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のブッシュ。
【請求項3】
エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、又はポリエステル樹脂が、0.05mm〜0.5mmの厚さを有していると共に5体積%〜50体積%の潤滑充填剤を含んでいる、熱可塑性樹脂の形態をした補剛材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブッシュ。
【請求項4】
前記リップ(1a)の内径と前記シャフト(2)の外径との締め代が、0.05mm〜4mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のブッシュ。
【請求項5】
前記リップ(1a)の内径と前記シャフト(2)の外径との締め代が、0.2mm〜2mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のブッシュ。
【請求項6】
前記リップ(1a)が、前記ブッシュの前記ボア(1b)の端部のうち少なくとも1つの端部に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のブッシュ。
【請求項7】
前記リップ(1a)が、前記ボア(1b)に形成されている内部溝(1d)を起点として形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のブッシュ。
【請求項8】
前記リップ(1a)が、前記ボア(1b)を起点として直接形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のブッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己潤滑ヒンジ接合部、特に並進方向及び/又は回転方向において案内することを目的としてブッシュ又は軸受内にシャフトを取り付けることに関連した自己潤滑ヒンジ接合部の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、研磨媒体中で動作するヒンジ接合部の場合に優位に利用される。
【0003】
研磨媒体中では、摩耗現象が非常に重要視される場合がある。摩耗は、シャフト及び/又はブッシュにおいて顕在化する場合があり、シャフトの外径とブッシュ又は軸受の内径とが接触している箇所において、外部からの攻撃を受けたことに起因する。
【0004】
このような問題を解決する試みとして、当該ブッシュ又は軸受のボアが、ヒンジ接合部を研磨媒体中において適切に且つ確実に動作させ続けることを試みるために、少なくとも1つの漏出防止用保護ジョイントと嵌合させることが提案されている。しばしば、ブッシュの本体が金属で作られており、別部品であるジョイントがPU,PA,NBR等で作られていることがある。例えば、ジョイントは、当該ブッシュのボアと同軸に形成されている相手側ボア内に取り付けられる場合がある。
【0005】
さらに、外部からの攻撃に対して漏出防止用保護バリアを設けるために、ブッシュによって解決することが、明確に特許文献1に開示されている。当該特許文献は、ブッシュのボアの端部それぞれに形成されている相手側ボア内に収容されている別部品であるジョイントと嵌合されているブッシュに関連している。ジョイントそれぞれが、漏出防止バリアを形成するように適合されている。
【0006】
しかしながら、ジョイントがブッシュに対して付加されているが、ジョイントがブッシュと異なる材料から作られているという事実は、幾つかの欠点を有している。例えば、ジョイントが脱落する危険が存在する。ヒンジ接合部が材質の観点において異質の部品から構成されているので、寸法の変化が、構成部品の差異、吸湿性の差異、及び締め付けの回復の差異等の観点から、特に膨張現象に起因して生じる。
【0007】
また、従来技術では、複数の材料がシャフト又は相手部品(conflicting parts)、すなわち、ブッシュに関連する金属とジョイントの材料と接触している。その結果として、摩耗は一様ではない。
【0008】
最後に、これら別部品であるジョイントが、必要な部品の数量に鑑みると非常に大きなコストを発生させ、場合によっては組立を困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2005/072387号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、容易且つ安全で効果的且つ合理的な方法で、このような欠点を克服することである。
【0011】
先行技術を分析して明らかとなった本発明が解決しようとする課題は、ヒンジ接合部の場合には、別部品であるジョイントを付加することを必要なく、任意のタイプの外部からの攻撃による摩耗を防止して保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
当該課題を解決するために、ヒンジ接合部のブッシュは、シャフトに取り付けるように構成及び完成されている。ブッシュは、複合材料から作られており、当該ブッシュのボアの突出した縁部として製造時に直接形成された少なくとも1つのリップを有しているので、少なくとも1つのリップの内径とシャフトの外径との間で締め付け効果を発揮させることによって、シャフトに組み付けた後に漏出防止用バリアとして機能させることができる。
【0013】
本発明は、任意のタイプのヒンジ接合部に関して、特に研磨媒体中で動作するピボット形式のヒンジ接合部に関して、特に優位に利用可能とされる。
【0014】
これら特徴によって、リップがブッシュの主要部分から切り欠かれている場合には、均質のユニットが得られる。
【0015】
複合材料の弾性係数が500N/mm
2〜6000N/mm
2である場合には、優位な結果を得ることができる。リップの内径とシャフトの外径との締め代が、0.05mm〜4mm、好ましくは0.2mm〜2mmとされる。
【0016】
好ましい実施例では、複合材料は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、又はポリエステル樹脂とされる。エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、又はポリエステル樹脂は、厚さが0.05mm〜0.5mmである熱可塑性繊維の形態でその体積の5%〜50%の潤滑充填剤を含んでいる、補剛材を備えている。
【0017】
本発明の根底を成す特徴に鑑みれば、特に1つ以上のリップに関しては、異なる実施例を想到することができる。
【0018】
従って、
− リップが、ブッシュのボアの少なくとも1つの端部に形成されているか、
− リップが、ブッシュのボア内に形成されている内部溝を起点として形成されているか、
− リップが、ブッシュのボアを起点として直接形成されているか、
− リップが、ブッシュの本体の周囲に円状の切欠を形成しているか、又は
− リップが、ブッシュの本体の周囲に肩部を形成している。
【0019】
本発明について、添付図面を補助的に用いつつ、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の特徴を有しているヒンジ接合部のブッシュの例示的な実施例を表わす。
【
図2】本発明の特徴を有しているヒンジ接合部のブッシュの例示的な実施例を表わす。
【
図3】本発明の特徴を有しているヒンジ接合部のブッシュの例示的な実施例を表わす。
【
図4】本発明の特徴を有しているヒンジ接合部のブッシュの例示的な実施例を表わす。
【
図5】本発明における自己潤滑ブッシュと嵌合しているヒンジ接続部の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明では、ブッシュ又は軸受(1)が、複合材料から作られており、ブッシュ又は軸受(1)が製造される際に直接形成される少なくとも1つのリップ(1a)を有している。ブッシュ本体を構成している複合材料の弾性係数は、500N/mm
2〜6000N/mm
2である。この複合材料は、厚さ0.05mm〜0.5mmの熱可塑性繊維によって補剛されていると共にその体積の5%〜50%の潤滑充填剤を含んでいる、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、又はポリエステル樹脂である。
【0022】
ブッシュは、型成形又は機械加工によって作られている。
【0023】
1つ以上のリップ(1a)が、ブッシュのボア(1b)に形成された突出縁部であって、ブッシュの内径(D1)とシャフト(2)の外径(D2)とを締め付け効果を発揮させることによって、シャフト(2)又は類する部品に組み付けられた後に漏出防止及び/又は保護バリアとして機能する突出縁部とされる。
【0024】
内径(D1)と外径(D2)との締め代は、0.05mm〜4mmであり、優位には0.2mm〜2mmとされる。
【0025】
特に
図1〜
図4に表わすように、リップ(1a)が、ブッシュ(1)の端部それぞれに形成されている。しかしながら、リップの数量及び配置が限定的であると考えるべきではなく、このことが本発明の技術的範囲から逸脱しないことは明白である。
【0026】
図1では、リップ(1a)それぞれが、ボア(1b)を起点として直接形成されている。
【0027】
図2は、
図1と同様であるが、当該リップの弾性を高めるために、リップ(1a)それぞれがブッシュ(1)の本体の周囲に円状の切欠(1c)を形成している点において異なる。
【0028】
図3及び
図4では、リップそれぞれが、ボア(1b)内に形成された内部溝(1d)を起点として形成されている。内部溝(1d)の幅は変更しても良い。さらに、
図3及び
図4では、リップ(1a)それぞれが、ブッシュ(1)の本体の周囲に肩部(1e)を形成している。
【0029】
本発明の特徴に基づいて複合材料から作られたブッシュに関する摩耗試験は、ジョイントを有していないブッシュを基準として、特に別部品であるジョイントと嵌合されたブッシュと比較するために実施されている。これら摩耗試験は、最大1月の期間において往復運動式摩擦シミュレータで実施された。
【0030】
その試験条件は以下の通りである。
−圧力:40MPa;
−速度:15m/s;
−PV:0.6MPa・m/s;
−振幅:+/−100°;
−最大試験期間:1月;
−最大許容摩耗量:0.5mm;
−試験は、50μmの砂粒をシャフト/軸受接合部と接触させた状態で実施した。
−予熱が加え硬化させた16NC6製シャフトの初期の直径:30mm;及び
−同初期の間隙:2mm。
【0031】
基準となるブッシュ、すなわち漏出防止ジョイントを備えていないブッシュでは、300000サイクル終了後に、最大許容摩耗量(0.5mm)に到達する。
【0032】
PAから作られたCSWM30製ジョイントと前方部分において嵌合していると共に、直径29.41mmのリップが形成されている金属製ブッシュでは、300000サイクル終了後に、最大許容摩耗量(0.5mm)に到達する。
【0033】
本発明の特徴に基づいて複合材料から作られているブッシュでは、すなわち29.2mmの直径と0.78mmの締め代とを有している一体化されたリップでは、700000サイクル終了後の摩耗の測定値は0.2mmである。
【0034】
試験されたブッシュそれぞれについて、摩耗が、シミュレーション台に載置されたコンパレータで読み取られた毎日の測定値から推定される。
【0035】
本発明の利点は、明細書から明らかであるが、特に以下の点について強調するために再度述べる:
−ブッシュの複合材料の性質が、1つ以上のリップと組み合わせることによって自己潤滑機能を付与しており、これにより、あらゆる種類の外部攻撃から効果的に保護されること;
−1つ以上のリップが形成されるようにブッシュを製造することによって、組立時及びメンテナンス中におけるコストを節約可能なこと;
−材料の均一性;
−材料の弾性によって負荷時に変形可能とされ、除荷されると初期状態に復帰すること;
−耐用寿命が改善されること;
−金属部品を省くことによって、幾つかの媒体(液体、気体)に又は医療機器の分野のような磁場環境に適合可能なブッシュを製造可能なこと;
−ブッシュ全体が一様に熱変形する場合には、相対的な膨張が生じないこと;
−騒音公害が制限されること;及び
−1つ以上のリップに弾性を付与し、その弾性を改善する1つ以上の溝を製造可能なこと。
【符号の説明】
【0036】
1 ブッシュ
1a リップ
1b ボア
1c 切欠
1d 内部溝
1e 肩部
2 シャフト
D1 リップ(1a)の内径
D2 シャフト(2)の外径