特許第5871903号(P5871903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エプコス アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000002
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000003
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000004
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000005
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000006
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000007
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000008
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000009
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000010
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000011
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000012
  • 特許5871903-デバイスの上に誘電性層を製作する方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871903
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】デバイスの上に誘電性層を製作する方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/10 20060101AFI20160216BHJP
   H03H 9/145 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   H03H3/10
   H03H9/145 C
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-504268(P2013-504268)
(86)(22)【出願日】2011年4月13日
(65)【公表番号】特表2013-524710(P2013-524710A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011055850
(87)【国際公開番号】WO2011128387
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年1月30日
(31)【優先権主張番号】102010014919.5
(32)【優先日】2010年4月14日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】ビニンガー、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】エッグス、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】フュルバッヒャー、ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】クナオアー、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マイシュ、マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ツォットル、ヘルムト
【審査官】 ▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−296265(JP,A)
【文献】 特表2003−532349(JP,A)
【文献】 国際公開第96/004713(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/083881(WO,A1)
【文献】 特開2002−353761(JP,A)
【文献】 特開2003−298375(JP,A)
【文献】 特開2005−354272(JP,A)
【文献】 特開2010−045533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007−H03H3/10
H03H9/00−H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隆起構造を備える第1のトポグラフィを有する、複数のデバイスを備えるウェーハにおいて、前記複数のデバイスの表面に誘電性層(DS)を製作する方法であって、
前記誘電性層として二酸化ケイ素層が、層析出プロセスにより、前記隆起構造の上でエッジを覆うように前記第1のトポグラフィの全面に塗布され、それにより析出された前記誘電性層の表面は第2のトポグラフィを有しており、
前記誘電性層の全面の上にポリマー層(LS)が塗布され、塗布された前記ポリマー層は平坦な表面を有し、
エッチング方法が実施され、このとき前記ポリマー層に対する前記誘電性層の所望のエッチング速度比率が設定され、
前記誘電性層の表面が前記ポリマー層の完全な除去後に所望の第3のトポグラフィを有するようになるまで前記エッチング方法が実施され、
前記誘電性層よりも高い剛性を有するトリミング層(TS)が前記第3のトポグラフィの全面に塗布され、塗布された前記トリミング層の層厚が低減されるトリミング方法において、
前記第3のトポグラフィの形成と前記トリミング層の層厚の低減との間で前記複数のデバイスの中心周波数が測定され、
前記測定された複数のデバイスの中心周波数から、所望の中心周波数に対する、すべての前記複数のデバイスの中心周波数の誤差が求められ、
すべての前記複数のデバイスのそれぞれの場所で求められた前記誤差に依存して、前記トリミング層の全面において、一工程で前記トリミング層の層厚が場所選択的に低減され、前記トリミング層の層厚の低減に伴い前記複数のデバイスの中心周波数が低減し、それにより、すべての前記複数のデバイスの中心周波数の誤差が均一化され、すべての前記複数のデバイスの中心周波数が、許容差の範囲内で所望の値に合わせて調整される、方法。
【請求項2】
前記デバイスは圧電基板(SU)を有しており、前記圧電基板表面の上に隆起した電極構造(ES)が前記第1のトポグラフィを形成し、
前記電極構造は前記デバイスで音響波を励起するために構成されており、
前記誘電性層(DS)により、前記デバイスの周波数の温度依存性が、前記誘電性層が塗布される前よりも低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数のデバイスの中心周波数の調整は、前記ウェーハの特定の場所が前記調整の大きさに応じた暴露時間の間、イオンビームに暴露されることによって惹起され、前記暴露時間は、前記ウェーハの特定の場所のそれぞれが前記イオンビームの下を通過する相対速度によって調整される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記トリミング層(TS)として、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、DLCまたはダイヤモンドからなる層が塗布される、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記トリミング層(TS)の層厚は前記トリミング層の表面に対するイオンビームのスキャン作用によって低減される、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エッチング速度比率は1の値に合わせて調整され、それにより前記第3のトポグラフィとして残りの前記誘電性層の平坦な表面が得られる、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記エッチング速度比率は1よりも大きい値に合わせて調整され、それにより残りの前記誘電性層は、前記第1のトポグラフィの隆起構造の上方に凹部を有し、前記第1のトポグラフィに対して反転した前記第3のトポグラフィを与えられる、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記エッチング速度比率は1よりも小さい値に合わせて調整され、それにより前記第3のトポグラフィの構造が部分的に平坦化される、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の層厚または特定の表面トポグラフィが要求される、デバイスの上に特に比較的厚い誘電性層を製作する方法に関する。比較的小さい層厚は、周知の層析出方法により、パラメータを適宜調整することによって高い信頼度で再現することができるのに対し、厚く広い面積で塗布される誘電性層では、許容差のインターバルを超える層厚変動が生じかねないという問題が生じる。誘電性層の表面における所望のトポグラフィは、平坦な表面であってよく、または特定の構造を有する表面であってよい。
【背景技術】
【0002】
誘電性層の層厚がデバイス特性に直接的な影響を有しているとき、および、従来からほぼ回避することができない層厚変動のせいでデバイス特性も許容できない範囲で差異を示すときには常に、特別な問題が生じる。
【0003】
隆起構造をもつトポグラフィへ部分的に塗布されるべき厚い誘電性層が必要とされる1つの特別な用途に該当するのは、MEMSデバイスにおける温度補償層であり、および、特に音響波により作動するデバイスである。そのために特に二酸化ケイ素層が、たとえば基板で伝搬される音響波の波長の30%の層厚で電極上に直接塗布され、それにより、2GHzで作動するデバイスについては、たとえば約600nmの層厚が得られる。このようなSiO層がスパッタによって塗布されるときには、比較的高いバイアス電圧の調整によってある程度のエッチバックを調整することができ、これを利用して、SiO層の表面で形成されるべきトポグラフィを平坦化することができる。しかしその場合、デバイスで十分に平坦なSiO層の表面領域を得ることはできるが、それでもウェーハ全体を通じての見たときの層厚は、許容差の範囲を上回る程度に変動しているという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、誘電性層の所望のトポグラフィ、特に平坦な表面を得ることができる、誘電性層を製作する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は請求項1に記載の方法によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、その他の請求項に記載されている。
【0006】
誘電性層がまず任意の析出方法で、隆起構造を備える第1のトポグラフィを有するデバイスの表面に塗布される方法が提供される。この方法は、層にキャビティが生じないように、エッジを覆いながら析出が行われるように調整される。しかしその結果、誘電性層はその表面で、第1のトポグラフィの隆起構造を第2のトポグラフィのデバイス表面に再現するトポグラフィを形成しており、それにより、隆起構造はそこでまだ目に見えており、少なくとも隆起部が形成されている。
【0007】
そして、この第2のトポグラフィを所望のトポグラフィへと移行させるために、特別なエッチング方法が適用される。そのために、まず誘電性層へ全面的にたとえばレジスト層のようなポリマー層が塗布されて、それが誘電性層の表面全体を覆い、平坦な表面を形成するようにする。そのために適当な粘性のレジストを、たとえば表面にスピンオン塗布することができる。
【0008】
これに続いてエッチング方法が実施される。このとき、エッチング方法の後に所望の第3のトポグラフィを得ることができる、ポリマー層に対する誘電性層のエッチング速度比率が設定される。
【0009】
1つの実施形態では、約1のエッチング速度比率が設定される。このことは、レジスト層が誘電性層と等しい速度でエッチングされることを保証する。その帰結として、ポリマー層で調整可能な平坦な表面がエッチング全体を通じて維持され、そのようにして誘電性層に転写される。このように約1のエッチング速度比率によって、誘電性層の平坦な表面を生成することができる。
【0010】
本方法の最後のステップでは、誘電性層または第3のトポグラフィ(=エッチング後の誘電性層のトポグラフィ)の厚みに依存して決まるデバイス特性が、トリミング方法によって再調節される。これをもって本方法は誤差が許容範囲内となり、明確に定義された特性をもつデバイスを確実にもたらす。層厚における誤差または第3のトポグラフィの誤差につながる、特に析出方法に関わる誤差を、トリミング方法によって取り除くことができる。トリミング方法では周波数誤差が修正されるので、そのようにして、望ましくない周波数シフトにつながる、本方法におけるその他の誤差発生源の帰結も補正することができる。
【0011】
1つの実施形態では本方法は、圧電基板または基板上の圧電層を有するデバイスで適用される。基板の表面には、ないし圧電層の表面には、他の表面とともに第1のトポグラフィを形成する隆起した電極構造が配置されている。電極構造は、デバイスで音響波を励起するために構成されており、たとえばSAWデバイス(SAW= Surface Acoustic Wave)のインターデジタル変換器や、BAWデバイス(=BAW= Bulk Acoustic Wave)の電極である。このような音響波で作動するデバイスでは、誘電性層によってデバイスの周波数の温度依存性が影響をうけ、特に、誘電性層の材料の適切な選択によって低減される。
【0012】
そしてトリミング方法中に、第1のトポグラフィの上およびこれに伴って電極の上に析出された層厚の事後的な改変を行うことができ、そのようにして、デバイスの中心周波数または通過帯域のエッジの正確な位置が再調節される。デバイスの中心周波数は通過帯域の中心の周波数、または共振器の共振周波数、またはデバイスが高周波信号を通過させるその他の作業周波数である。
【0013】
中心周波数の温度応答性を引き下げるために、音響波により作動するデバイスでは、誘電性層として二酸化ケイ素層が塗布される。この層は、圧電基板の温度応答性の正負記号と反対の正負記号をもつ温度応答性を示す。
【0014】
トリミング方法では、誘電性層よりも高い剛性を有するトリミング層が、第3のトポグラフィに塗布される。この層の中で音響波は高い伝搬速度を有しているので、デバイスの周波数が上昇する。こうした周波数上昇の程度は、トリミング層の厚みに依存して決まる。次いで、デバイスの周波数を正確に調整ないし再調節するために、トリミング層の厚みおよびこれに伴う中心周波数が、所定の中心周波数に達するまで削減される。
【0015】
本方法はトリミング方法の実施前に、調節されるべきデバイス特性の判定を含むことができる。このとき特に測定方法により、中心周波数の誤差が存在するかどうかを判定することができる。それに応じてトリミング方法は、当該誤差がちょうど補正されるように実施することができる。
【0016】
1つの実施形態では、誘電性層を製作する本方法は、平坦化につながるエッチング方法の後で、所望の中心周波数を下回る中心周波数が得られるように実施される。それにより、所望の中心周波数との誤差全体を、トリミング層の析出とエッチバックによって、およびこれと結びついた中心周波数の上昇によって、補償できることが保証される。
【0017】
別の実施形態では、複数のデバイスの電極構造を有し、後の方法ステップで個々の多数のデバイスに分断可能であるウェーハの上で、すべての方法ステップが実施される。このとき、第3のトポグラフィの製作とトリミング層のエッチバックとの間に介在する方法段階で、個々のデバイスの中心周波数が判定される。そのために、それぞれ個々のデバイスを計測することは必要ない。方法上および設備上でクリティカルである特定の点で中心周波数を判定し、直接測定されていない他のデバイスについては、中心周波数の補間を実施すれば十分であり、それにより、ウェーハ表面の各々の場所について、ないし各々のデバイスについて、測定または補間された誤差が得られる。
【0018】
そしてトリミング方法は、トリミング層の厚みが、判定または補間された誤差に依存して場所選択的に、それぞれの場所で低減されるように実施される。このようにしてトリミング方法で、たとえ誤差がウェーハ全体にわたって分散した異なる程度を有していても、所望の中心周波数に対するすべての誤差を補正することができる。したがって所望の中心周波数を厳密に、または所定の許容差の範囲内で、所望の値に合わせて調整することができる。
【0019】
トリミング層として特別に好適なのは、酸化物層をパッシベーションする層である。このことは、トリミング層がパッシベーション層としての追加の機能をさらに担うことができるという利点がある。そのために特に好適なのは、窒化物、酸窒化物、酸化物、または炭化物の群から選択された硬質の層である。好適な化合物は、たとえば窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、DLC(= diamond like carbon)、またはダイヤモンドである。これらすべての層は良好な管理可能なプロセスで、特に高い層厚精度で塗布することができる。
【0020】
トリミング層の層厚の削減は、たとえばトリミング層の表面に向けられるイオンビームのスキャン作用によって行うことができる。イオンビームとウェーハが相互に運動する相対速度に依存して、表面に対するイオンビームの作用時間およびこれに伴ってエッチング作用が規定される。すなわちイオンビームのスキャン作用は、ウェーハ表面の異なる場所でそれぞれ別様に適合化される速度によって、要求されるエッチング成果を得られるように、ないしはトリミング層の所望の削減を行えるように、調整することができる。このようにスキャン方式は、中心周波数の判定された誤差を考慮したうえで、およびトリミング層のエッチングプロセスの厳密な知見を考慮したうえで、調整することができる。そのために、イオンビームで実現可能なエッチング速度が所与の設備における所与の条件下での対照実験で判定されて、トリミング方法を相応に調整するために利用される。
【0021】
誘電性層のエッチングのときに、平坦な表面とは異なる第3のトポグラフィが要求されるときは、エッチング速度比率を1とは異なる値に設定することもできる。>1のエッチング速度比率により、ポリマー層をレジストとして利用することができる。その帰結として誘電性層は、ポリマー層が残っていない個所でのみエッチングされる。ポリマー層は第2のトポグラフィのもっとも低い位置に堆積するのが通常なので、このようにして、第2のトポグラフィに対して反転されたトポグラフィを得ることができる。第2のトポグラフィが隆起部を有している個所では、このようにして第3のトポグラフィで凹部が生成される。ただしこのことは、>1のエッチング速度比率が適切に設定されていれば、少なくとも近似的に中間段階として、誘電性層の平坦な第3のトポグラフィも同じく得られるという帰結を有している。それに対して<1のエッチング速度比率にはさほど効果がなく、第2のトポグラフィに対する第3のトポグラフィのある程度の平坦化にはつながるものの、誘電性層の平坦な表面にはつながらない。
【0022】
次に、実施例およびこれに対応する図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。各図面は本発明の図解に資するものにすぎず、したがって模式的なものであり、寸法に忠実に作成されてはいない。個々の寸法はゆがめられて図示されている場合があるので、絶対的な寸法指定も相対的な寸法指定も図面から読み取ることはできない。図面は次のものを示している:
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】隆起構造が上に配置された基板を示す模式的な断面図である。
図2】その上に誘電性層がさまざまに異なるトポグラフィで析出された後の構造である。
図3】ポリマー層が塗布された後の構造である。
図4A】ポリマー層のエッチバック中のさまざまな方法段階における構造である。
図4B】ポリマー層のエッチバック中のさまざまな方法段階における構造である。
図4C】ポリマー層のエッチバック中のさまざまな方法段階における構造である。
図5】トリミング層を塗布した後の構造である。
図6】トリミング後の構造である。
図7】トリミング層の厚みに対する中心周波数の変位の依存性を示すグラフである。
図8A】>1のエッチング速度比率でポリマー層をエッチバックするときのさまざまな方法段階である。
図8B】>1のエッチング速度比率でポリマー層をエッチバックするときのさまざまな方法段階である。
図8C】>1のエッチング速度比率でポリマー層をエッチバックするときのさまざまな方法段階である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、隆起構造ESが上に配置された基板SUの一般的な図を、模式的な断面図として示している。基板SUは圧電基板であるのが好ましく、隆起構造ESはインターデジタル変換器の電極フィンガであるのが好ましい。このように、図1はSAWデバイスを部分的に示している。
【0025】
隆起構造は、1つの実施形態では、アルミニウムよりも高い硬度または高い密度を有する材料でできている。隆起構造は、重金属を含むアルミニウム合金を含んでいるか、または、Alよりも重く、たとえば銅を含有する部分層を含む1層もしくは多層の構造を有している。これは、電極ないし隆起構造の重い金属または稠密な金属である。後で完成した温度補償層を備えるSAWデバイスにおいて、電極エッジのところで音響波の改善された反射が得られるのが好ましい。
【0026】
そして図1の構造の上に、誘電性層DSが塗布される。その際には、たとえばSiO層をたとえばスパッタによって、またはCVD法によって塗布することができる。スパッタをするためにバイアス電圧が調整されるのが好ましい。1つの実施形態では、たとえば1.5kWの出力と85Wのバイアス電圧でスパッタが行われる。スパッタプロセスは、SiO層が隆起構造ESの上でエッジを覆って析出するように調整される。それにより、誘電性層DSは第2のトポグラフィを形成する。
【0027】
図2は、さまざまに異なるスパッタ条件のもとで、および特にさまざまに異なるバイアス電圧のもとで成立する、第2のトポグラフィを形成するさまざまなプロフィル線PL1からPL3を一例として示している。バイアス電圧は、プロフィル線PL1からプロフィル線PL3に向かって低下している。高いバイアス電圧は、第2のトポグラフィの改善された平坦化を惹起することがわかる。しかしながら高いバイアス電圧は、ウェーハ全体にわたって見たときに大きく変動するので不都合な層厚分布につながることが欠点となる。以下においては、以後の方法について、プロフィル線PL2に相当する第2のトポグラフィをもつ誘電性層DSを用いる。
【0028】
誘電性層DSの上に、ポリマー層としてレジスト層LSが平坦な表面を形成するように塗布される。そのために適当な粘性のレジストが使用され、特にスピンオン塗布される。レジスト層の厚みは、第2のトポグラフィのもっとも高い隆起部が、レジスト層LSの層厚よりも低くなる程度の高さに選択される。場合により、引き続いてレジスト層がさらに熱で硬化処理される。図3は、このような方法段階の構造を示している。
【0029】
その次のステップでは、図3に示す構造にエッチング方法が施される。広い面にわたって均一な層剥離を可能にする方法が選択される。良く適しているのは、たとえば反応性イオンビームエッチングであり、このときエッチング雰囲気ないしイオンビームは、誘電性層の剥離と同時にレジスト層の剥離にも適した成分を含んでいる。SiOを含む誘電性層については、フッ素含有物質を使用することができ、たとえばCH4−x(x=1,2,3または4)や、高位のフッ化炭化水素などを使用することができる。レジスト層LSのエッチングは、エッチング雰囲気の中の酸素によって促進することができる。引き続いてエッチングガス雰囲気は、所与のエッチング条件のもとで、レジスト層と誘電性層とについて同一のエッチング速度が生じるように調整される。エッチング速度比率の調整は、たとえばエッチング雰囲気中の酸素に対するフッ素の比率を変えることを通じて、またはフッ素含有化合物における置換基比率C/Fを変えることによって行うことができる。
【0030】
反応性イオンビームエッチングにより均等な層剥離が行われ、その際には、まず最初にレジスト層だけがエッチングされてから、誘電性層の第2のトポグラフィを形成する隆起部の表面が露出する。その様子は図4Aに示されている。
【0031】
エッチングのその後の過程で、誘電性層とレジスト層が同じ速度でエッチングされ、その結果、調整されたレジスト層の平坦性がエッチング方法全体を通じて得られる。図4Bは、表面が、誘電性層の露出した領域と残りのレジスト層LSとを両方とも有している方法段階の構造を示している。
【0032】
引き続いてエッチングが続行され、これは、少なくともレジスト層が完全に除去されて、第3のトポグラフィをなす平坦な表面をもつ誘電性層DSが残るまで行われる。図4Cは、このような方法段階の構造を示している。点線の輪郭線は、第2のトポグラフィの位置(高さ)であり、初期層厚と比較してエッチング方法をどれくらい遠くまで実行できるかを示している。たとえば誘電性層は隆起構造ESの上では430nmの層厚を有しており、それぞれの隆起構造の間では約530nmの層厚を有している。隆起構造の全高が約110nmであれば、このことは+/−5nmの層厚の最小変動を生じさせ、これは許容差の範囲内に収まっており、SAWデバイスのデバイス特性を不都合に損なうことがない。この誘電性層の厚みは、SAWデバイスについて周波数の所望の温度補償を実現するのに十分である。完全な補償が可能ではあるが、通常、たとえば結合度の低下といった他の特性の劣化と引き換えに最適化される。温度補償は、誘電性層DSにおける音響波の伝搬速度が、温度が上昇したときに、たとえばニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムからなる圧電基板における音響波の伝搬速度と正反対に変化することによって実現される。所望の温度補償に適した層厚は、そのほか、デバイスの中心周波数にも左右される。波長に対する相対的な層厚が、温度補償の所要の程度についての基準となる。
【0033】
この平坦化方法によって誘電性層DSのほぼ平らな表面が得られるものの、剥離される層厚が大きいことに基づき、誘電性層DSの目標層厚は確実には実現されない。さらに、エッチング設備の不均一性に基づき、ウェーハ全体にわたって分散した異なるエッチング速度が生じることがあり、それが1つまたは複数のウェーハにわたって、誘電性層のある程度の層厚分布につながる。これ以外のばらつきのメカニズムも、所望の許容差を超える周波数誤差に局所的につながることがある。
【0034】
そこでトリミング方法で、誘電性層の層厚誤差もしくは一般的には目標値からの周波数の誤差が全体として補正される。これに加えてトリミング方法により、同一のウェーハ内部での変動も補正され、それは、トリミング方法が場所選択的に実施されて、所望の場所で特定の値に合わせて層厚変動が調整されることによって行われる。
【0035】
ウェーハにわたる誘電性層DSの層厚変動を補正するために、およびこれに伴って誘電性層の層厚に依存して決まるデバイス特性を補正するために、まず、当該デバイス特性がウェーハのさまざまな場所で判定される。特性の判定は、選択された場所で選択的に行うことができる。選択された測定から補間によって、ウェーハ表面にわたるデバイス特性の分布を求めることができる。そして、こうしたデバイス特性の分布から誤差が判定され、誤差の補正のために必要なトリミング層の厚みが算出される。
【0036】
トリミング方法では、トリミング層TSとしてたとえば厚さ約100nmの窒化ケイ素層が、たとえばスパッタ法やCVD法によって塗布される。そして反応性イオンビームエッチングにより、所望の残留層厚ないし誤差から算出された残留層厚が得られるまで、トリミング層TSの層厚が削減される。所望のスキャン速度を場所依存的に調整することができる適当なスキャンプログラムにより、ウェーハのどの場所でも所望の層厚を取り除き、ないしはトリミング層の所望の残留層厚を残し、それによってウェーハ全体にわたる層厚変動を補正することができる。図5は、トリミング層TSを塗布した後の構造を示している。図6は、厚みΔdの層厚領域がエッチング除去された後の構造を示しており、それにより、デバイス特性の誤差を補正するのに必要である、ちょうど希望される厚みの残留トリミング層TS’が残っている。
【0037】
単一のトリミング層と単一のトリミング方法によってすべての誤差を補正できるようにするために、すでに平坦化方法のときに誘電性層DSの厚みは、いかなる場合にもあらゆる場所で、層厚の肉厚化ないし波伝搬速度を高めるトリミング層による周波数の増大が必要であるように調整される。
【0038】
1つの実施形態では層厚は、トリミング層TS’が平均して約40nmの目標層厚で、誘電性層DSの表面上に残ることができるように設定される。この層厚では、トリミング層は同時にパッシベーション層の機能を果たすので、誘電性層(ここでは二酸化ケイ素層)は、たとえば水分を吸収しないように防護されており、それがなされなければ、中心周波数のいっそうの変位につながることになる。このようにして、デバイスの共振周波数ないし中心周波数が、温度変動に対しても環境条件に対しても、特に水分に対しても、安定的に保たれることが保証される。
【0039】
図7のグラフには、さまざまな厚みのトリミング層の塗布によって、デバイスの中心周波数をどのように変位させることができるかが示されている。窒化ケイ素からなるトリミング層について求めたこれらの値は、厚さ約45nmのトリミング層により、約9000ppmの周波数変位を実現できることを示している。このような変位は、最大で厚さ約50nmのトリミング層により、中心周波数の生産上の変動を補正するために十分である。
【0040】
図8Aから図8Cは、>1のエッチング速度比率での誘電性層のエッチバックの際に、平坦性から逸脱する誘電性層DSの第3のトポグラフィがどのようにして得られるかについて、本方法の変形例を示している。図8Aは、誘電性層DSの表面がちょうど露出した段階で、エッチング方法中の構造を示している。層厚がもっとも小さい誘電性層DSの領域は、レジスト層LSで覆われている。そして>1のエッチング速度比率によって誘電性層DSの材料が優先的にエッチングされ、このときレジスト層LSで覆われた領域は、エッチングマスクとしての役目をする。図8Bは、誘電性層DSに相応の凹部が生成された後の構造を示している。最後のステップで、まだ残っている残留のレジスト層LSが除去されて、図8Cに示す構造が得られる。
【0041】
上述した方法により、さまざまな用途のための誘電性層に適切なトポグラフィを与えることができる。これに加えてこの方法は、特に平坦な表面を生成し、所望の層厚からの誤差をロット全体を通じて、および個々のウェーハを通じて、適当なトリミング方法により補正することを可能にする。このようにして、誘電性層の層厚に依存して決まるデバイス特性を、異なるロットやウェーハの表面を通じて高い一定性で調整可能であるデバイスを得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
SU 圧電基板
ES 隆起構造
DS 誘電性層
PL1−PL3 第2のトポグラフィの異なるプロフィル線
LS ポリマー層
TS トリミング方法前のトリミング層
TS’ トリミング方法後のトリミング層
Δd トリミング層の剥離された層厚
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C