(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィードデンプンをデンプン粒子に切断するステップが、前記分散体の全重量に対して20から65重量パーセントの前記デンプン粒子を有する前記分散体を形成させるステップを含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
前記フィードデンプン及び前記水性液体を前記ローターステーター混合機中に導入するステップが、バッチプロセスの一部である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
前記ローターステーターが、デンプン粒子への前記フィードデンプンの切断の間に、100J/gから2000J/gの範囲内の比機械的エネルギーを付与する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
前記可溶性デンプンを低減させることが、前記可溶性デンプンを前記出発分子量から前記出発分子量未満の最終分子量に酵素的に低減させることを含む、請求項8に記載の方法。
分散体の全重量に対して20から65重量パーセントの前記デンプン粒子を有する前記分散体の粘度が、25℃において24時間存在させた後に10,000cP未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
前記水性液体を前記分散体の前記デンプン粒子から少なくとも部分的に除去し、その除去により乾燥再分散性粉末を形成させることを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
前記水性液体を前記分散体の前記デンプン粒子から少なくとも部分的に除去し、その除去により2マイクロメートル以下の平均粒子サイズ直径を有する乾燥再分散性粉末を形成させることを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
前記被覆組成物は、支持体の1つ又はそれ以上の表面に施与され、前記水性液体の一部が除去され、その除去により前記支持体の1つ又はそれ以上の表面に付随する被覆層を形成する、請求項16に記載の被覆組成物を調製する方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(定義)
本明細書において使用される用語「1つ("a," "an," "the")」、「1つ又はそれ以上」、及び「少なくとも1つ」は交換可能に使用され、特に文脈が明確に記述していない限り、複数の指示対象を含む。
【0014】
特に定義のない限り、全ての科学及び技術用語は、それらが関連する当分野において一般的に使用される意味と同一の意味を有すると解される。本開示の目的のため、追加の規定用語が全体にわたり定義される。
【0015】
本明細書において使用される「μm」は、マイクロメートルの略語である。
本明細書において使用される「℃」は、摂氏度の略語である。
本明細書において使用される「cP」は、粘度についてのcgs系の計測単位センチポアズの略語である。
【0016】
用語「含む(comprises)」、「含む(includes)」及びそれらの語の変形は、それらの用語が詳細な説明及び特許請求の範囲で現れる箇所で限定する意味を有さない。従って、例えば、フィードデンプン("a" feed starch)を含むプロセスは、「1つ又はそれ以上」のフィードデンプンを含むプロセスを意味すると解釈することができる。更に、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」又は「含有する」と同義であり、制約なく包括的なものであり、追加の不列挙要素又は方法工程を排除するものではない。
【0017】
本明細書において使用される用語「及び/又は」は、列記要素の1つ、1つ超、又は全てを意味する。
【0018】
また、本明細書において、終点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数字を含む(例えば、1から5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0019】
本明細書において使用される用語「フィードデンプン」は、グルコシド結合により連結している種々の比のアミロース及びアミロペクチンから構成され、結晶若しくは半結晶状態を有し、及び/又はその状態である炭水化物ポリマーを含むことができる。フィードデンプンは、広範な源、例として限定されるものではないが、トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカ、イネ、コムギ、オオムギ、及び他の穀類並びに/又は塊茎(例えば塊根又は茎の塊茎)から選択することができ、それらのデンプンとしてはワキシー、天然、未改質天然、及び/又は高アミロースデンプンを挙げることができる。具体的な非限定的例としては、とりわけワキシーコーンスターチ(例えば、高アミロペクチンデンプン)及びデントスターチ(dent starch)が挙げられる。フィードデンプンは、アセチル化、塩素化、酸加水分解、酵素作用、又は他の改質プロセスにより調製された改質デンプン(例えば、とりわけトウモロコシ、ジャガイモ、タピオカ)を含むことができる「改質」フィードデンプンを含むこともできる。この「改質」フィードデンプンは、他の利益物、例えば、とりわけカルボキシル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、難消化性デンプン、熱酸化デンプン、デキストリンタイプを送達するために意図的に改質することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプンは、多数の異なる特性及び/又は形態を有することができる。それらの特性及び/又は形態としては、限定されるものではないが、乾燥粉末及び/又は中間デンプン生成物、例えばケーキ、及び/又は80重量パーセント若しくはそれ以下の範囲内、例えば、35から80重量パーセントの範囲内、若しくは代替的に35から75重量パーセント、若しくは代替的に35から65重量パーセントの含水率を有するスラリーが挙げられる。1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプンは、約15から約40マイクロメートル(μm)、例えば、15から35μm、又は代替的には15から30μm、又は代替的には20から40μmの平均粒子サイズ直径を有する離散単位を有する。本明細書において提供されるフィードデンプンの2つ又はそれ以上の混合物も可能であり、本明細書において提供され、考察される「フィードデンプン」であるとみなされる。
【0020】
本明細書において使用される「乾燥」は、物質(例えば、フィードデンプン)中に吸収され、及び/又は物質に結合している約8から約14重量パーセント以下の水を意味する。
【0021】
本明細書において使用される用語「架橋剤」は、少なくとも2つのポリマー分子の鎖を一次化学結合により炭素原子を介して付着させる化合物を意味する。1つ又はそれ以上の実施形態において、異なるカテゴリーの架橋剤としては、限定されるものではないが、アミノ樹脂(尿素ホルムアルデヒド及びメラミンホルムアルデヒド)、グリオキサール樹脂、及び金属イオン(ジルコニウム錯体)が挙げられる。架橋剤が本開示の分散体について用いられる場合、架橋剤の選択は、デンプン粒子上で利用可能な反応基、被覆物の成分、結合及び/若しくは接着組成物並びに/又は被覆された支持体の最終使用に少なくとも部分的に依存し得る。不溶化剤という用語も、デンプンと併用する架橋化学物質の機能を定義するために使用されることが多い。
【0022】
本明細書において使用される用語「界面活性剤」は、水又は水溶液中に溶解された場合に表面張力を低減させる化合物、又は2つの液体間、若しくは液体と固体との間の界面張力を低減させる化合物を意味する。
【0023】
本明細書において使用される用語「可溶性デンプン」は、フィードデンプンのゲル化温度から可溶化温度未満の範囲の温度に、又はこの温度において加熱されながらフィードデンプン顆粒から水性液体中に放出及び/又は滲出されるデンプンを意味し、その場合、可溶性デンプンは、本開示のデンプン粒子間の水相中に存在する。1つの実施形態において、可溶性デンプンは、可視スペクトル(例えば、約380又は400ナノメートルから約760又は780ナノメートル)における光を散乱させないほど十分に小さいことを更に特性決定することができる。
図1は、デンプン分子の網目(例えば、相互連結している「クモの巣」様の糸状物)を形成する可溶性デンプンの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を提供し、
図2に示される本明細書において考察される本開示のデンプン粒子の存在を示さない。
【0024】
本明細書において使用される用語「分散体」は、一方の相が連続相を形成する本明細書に定義の水性液体全体に分散している本明細書に定義のデンプン粒子からなる2相系を意味する。本開示について、デンプン粒子は水性液体中に分散していてよく、その場合、デンプン粒子は2マイクロメートル以下の平均粒子サイズ直径を有する。
【0025】
本明細書において使用される用語「水性液体」は、化合物(イオン性又は非イオン性)、例えば、とりわけpH、塩分濃度、導電率、絶縁定数、及び/又は沸点の調整及び/又は維持に役立つ有機化合物、無機化合物、水溶性ポリマー、脂肪、油、タンパク質、多糖、塩、糖、酸、アルコール、アルカリ及びガスを含むことができる水又は水溶液を含む。
【0026】
本明細書において使用される用語「デンプン粒子」は、本開示の方法を使用するフィードデンプンに由来する離散単位を指し、その場合、その離散単位はアモルファス構造及び2マイクロメートル以下の平均粒子サイズ直径を有し、その場合、1マイクロメートル以下の平均粒子サイズ直径又は10から200ナノメートルの平均粒子サイズ直径が可能である。
図2は、本明細書においてより詳細に考察される、本開示によるデンプン粒子の水性液体中安定分散体のTEM画像を提供する。
図2におけるデンプン粒子のサイズ及び形状は、
図3に示される分散デンプン顆粒の光学顕微鏡画像と対照的であり、その場合、デンプン顆粒はフィードデンプンをローターステーター混合機中でフィードデンプンのゲル化温度未満の温度において切断することにより形成した。
【0027】
本明細書において使用される用語「安定」又は「安定性」は、本開示のデンプン粒子が、水性液体中のデンプン粒子のブラウン運動に起因して水性液体中分散体として留まる能力及び持続時間を意味し、その場合、デンプン粒子のいかなる沈降も撹拌により解消することができる。本開示のデンプン粒子の安定分散体は、本明細書に挙げられる分散体の条件下でゲル化又は「硬化」しない。
【0028】
本明細書において使用される用語「ローターステーター混合機」は、機械的撹拌によりデンプン粒子を本明細書において提供される水性液体中に分散させ、又は輸送する高切断混合装置を指す。1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機は、モーター、例えば電気モーターにより動力供給される少なくとも1つの羽根車若しくはローター、又は一連の羽根車及び/又はローター、並びに材料(例えば、フィードデンプン)についてそれがローターを出るときに極端に高い切断帯域をもたらすようにローターとの狭い隙間を作出する少なくとも1つの固定構成部材(例えば、ステーター)を含む。因子、例えばローターの直径及びその回転速度(例えばランプ及びサイクル)、ステーターリングの設計、例えば歯の数及び列、それらの角度及びローターとステーターとの間の距離(例えば、隙間)、滞留時間並びに使用されるローターステーター混合機の数は全て、デンプン粒子の水性液体中分散体の発生に影響を与える。そのような高切断混合装置の例としては、限定されるものではないが、回分式高切断混合機、インライン高切断混合機、超高切断インライン混合機、及び粉砕ミルが挙げられる。しかしながら、1つの実施形態において、ローターステーター混合機の実施形態は押出機を排除する。
【0029】
本明細書において使用される用語「ゲル化温度」は、フィードデンプンの結晶構造がその結晶及び/又は半結晶状態から少なくとも部分的に変形して水性液体と組み合わさって粘性ゼリー様生成物を生成する温度及び圧力を指す。
【0030】
本明細書において使用される用語「可溶化温度」は、フィードデンプンが残留結晶性を有さず、水性液体中で、及び水性液体と、分子レベルにおいて均一に分散された混合物になる温度及び圧力を指す。
【0031】
本明細書において使用される用語「膨潤する」、「膨潤」、及び/又は「膨潤された」は、フィードデンプンの初期構造の結晶性の損失及び得られたアモルファス構造のフィードデンプン中への水性液体の吸収に少なくとも部分的に起因するフィードデンプンの容積の増加を指す。
【0032】
本明細書において使用される用語「周囲条件」は、約25℃(例えば、25℃)の温度及び101.325キロパスカル(kPa)(1気圧)の圧力を指す。
【0033】
本明細書において使用される用語「比機械的エネルギー(specific mechanical energy)(SME)」は、本開示のローターステーター混合機を流動する材料の単位質量当たりの機械的エネルギーの総投入量として定義される。本明細書において提示されるSMEの単位は、1グラム当たりのジュール(J/g)である。
【0034】
本明細書において使用される用語「再分散性」は、水性液体中に容易に分散し、水和する粉末配合物として定義される。ポリマー粉末は、典型的には、ポリマーの水性分散体をその揮発性構成成分を例えば噴霧乾燥又は凍結乾燥により蒸発させる乾燥操作に供することにより生成させる。水性分散媒体の蒸発は、水性分散体のポリマー粒子の相互の不可逆性凝集を伴って二次粒子を形成し得る。二次粒子の形成は、より不十分な再分散性をもたらし、そのことは、一般に、粉末のより不十分な性能特性を伴う。従って、水中での良好な再分散性は、水再分散性ポリマー粉末の最も重要な特性の1つである。
【0035】
本開示の実施形態は、デンプン粒子の水性液体中分散体を生成させるためのローターステーター混合機の使用を記載する。1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示のデンプン粒子はフィードデンプンから形成される。1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプン及び水性液体は、フィードデンプンのゲル化温度から可溶化温度未満の範囲の温度に加熱する。この温度において、フィードデンプンの構造は膨潤する。それというのも、このフィードデンプンはその結晶構造を損失し、水性液体の少なくとも一部を吸収してアモルファス構造を達成するからである。膨潤状態のフィードデンプンは、分散体のデンプン粒子の生成を可能とする切断を受ける。本開示の分散体は、本明細書において考察される改善された保管安定性、高い固体含有率及び低い粘度を有することができる。
【0036】
1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示により生成されるデンプン粒子は、それらから生成される膨潤フィードデンプンのアモルファス構造を保持すると考えられる。アモルファス構造を有するデンプン粒子は、本明細書において提供される周囲条件において本開示の分散体中で離散状態を保持することもできる。対照的に、フィードデンプンの可溶化温度が達成及び/又は超過され(例えば、デンプンが「クッキング」され、「クッキングされたデンプン」と称され)、十分な水が利用可能である場合、フィードデンプンのアモルファス構造はその構造及びサイズを有するデンプン粒子を本開示の方法により形成させることができないような程度に破壊されることが考えられる。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、本実施形態のデンプン粒子のサイズは、フィードデンプンよりも小さい桁数である。このサイズの低減は、フィードデンプン単独の使用と比較して本明細書において考察される種々の使用についての単位容積当たりのデンプン粒子の数を顕著に増加させる。1つ又はそれ以上の実施形態において、単位容積当たりのデンプン粒子の数は本明細書において考察される高い固体含有率をもたらし得るが、驚くべきことに、分散体の粘度は周囲条件において低いままである。1つ又はそれ以上の実施形態において、この驚くべき低い粘度は、フィードデンプンが分散体の形成前に完全に可溶化された状況と比較して低減された本開示のデンプン粒子間の相互作用に少なくとも部分的に起因し得ると考えられる。
【0038】
1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示の高い固体含有率/低い粘度の分散体は、デンプン粒子の化学的改質なしで達成することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、デンプン粒子のサイズ低減は本開示の分散体を含む被覆組成物から形成される被覆物の安定性の向上及びより良好な特性をもたらし得ることも考えられる。本明細書においてより詳細に考察されるとおり、本開示の分散体を含む被覆組成物は、用途、例えばとりわけ本明細書において考察される被覆組成物、接着組成物、及び/又は結合組成物において使用することができる。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示の方法は、フィードデンプン及び水性液体をローターステーター混合機中に導入することを含む。フィードデンプンは、製造業者により提供される状態(例えば、乾燥粉末、ケーキ、及び/又はスラリー)でローターステーター混合機中に導入することができ、及び/又はローターステーター混合機中への導入前に予備湿潤化させることができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプンとともに含まれる水の量は、その源にかかわらず、ローターステーター混合機中の水性液体の量の決定において水性液体の一部としてカウントする。しかしながら、1つ又はそれ以上の実施形態において、水の重量はフィードデンプンの乾燥重量の計算から除外する。
【0040】
1つ又はそれ以上の実施形態において、好適な量の水性液体をフィードデンプンとともに導入してフィードデンプン中への水性液体の吸収も確保し、フィードデンプンの膨潤及び本開示の分散体の形成も可能とすることができる。更に、フィードデンプン及び水性液体の初期切断プロセスの間、本開示のデンプン粒子の安定分散体への膨潤フィードデンプンの切断を促進するための出発混合物の十分な固体含有率(例えば、フィードデンプン)を有する必要もあると考えられる。この例を本明細書に提供される実施例において説明する。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプンとともにローターステーター混合機中に導入される水性液体の量は、水性液体及びフィードデンプンの重量に対して40重量パーセント(重量%)から55重量%であり得る。水性液体及びフィードデンプンの重量に対して40重量%から55重量%の全ての個々の値及び下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書に開示され、例えば、フィードデンプンとともにローターステーター混合機中に導入される水性液体は、40重量%、45重量、又は50重量%の下限から55重量%、又は50重量%の上限であり得る(その場合、下限及び上限は、両方とも50重量%の値であることも可能である)。例えば、フィードデンプンとともにローターステーター混合機中に導入される水性液体の量は、40重量%から55重量%、40重量%から50重量%、45重量%から55重量%、45重量%から50重量%、又は50重量%から55重量%であり得る。
【0042】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機は、フィードデンプンのゲル化温度から可溶化温度未満のフィードデンプン及び水性液体の温度を達成及び/又は維持するための熱を供給及び/又は除去することができる。例えば、ローターステーター混合機は、ローターステーター混合機内側のフィードデンプン及び水性液体のその大きいバルク相中での温度を制御するために使用することができる加熱/冷却ジャケットを含むことができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、加熱及び/又は冷却は、フィードデンプン及び水性液体のバルク相と異なる十分な温度を有する蒸気及び/又は水を介して供給し、所望の加熱及び/又は冷却をもたらすことができる。ローターステーターの作用はフィードデンプン及び水性液体に熱エネルギーも提供し得、その熱エネルギーはローターステーター混合機の加熱/冷却ジャケットにより除去しなければならない場合がある。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプンを処理する温度により、フィードデンプンがデンプン粒子への切断のための適切なサイズ及び水和を達成するように膨潤することが可能となり、その場合、次いでこのデンプン粒子はそれらを分散体中で懸濁させて保持するために十分なブラウン運動を作出するために適切なサイズを有する。1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプン及び水性液体をフィードデンプンのゲル化温度から可溶化温度未満の温度範囲内で維持することは、フィードデンプンがその結晶構造を損失することをもたらし、水性液体の吸収を促進する。結晶構造が損失され、フィードデンプンが水性液体を吸収するので、フィードデンプンは膨潤し始める。しかしながら、フィードデンプンは水性液体中で可溶化しない(例えば、水性液体中で可溶化することが許容されない)。それというのも、水性液体中のフィードデンプンの温度は、フィードデンプンの可溶化温度を達成又は超過しないからである。
【0044】
認識されるとおり、正確な温度範囲(例えば、ゲル化温度から可溶化温度未満)は、本開示により処理するために選択されるフィードデンプンにより定まる。例として、ワキシーコーンをフィードデンプンとして使用する場合、温度は、約68℃(大気圧におけるワキシーコーンのゲル化温度)から約82℃(大気圧におけるワキシーコーンの可溶化温度)の範囲であり得、その場合、それらの温度値は、それらが異なる生産者からの異なるワキシートコーンの等級によって、及び/又はデンプン原料の季節的変化に基づき異なる場合があることが把握されているので例として挙げられる。
【0045】
フィードデンプンのゲル化温度及び可溶化温度は、ローターステーター混合機中で分散プロセスを行う圧力によっても影響を受け得ることが認識される。圧力、例えば、101kPaから3447kPaなどを施与して処理を促進することができる。他の実施形態において、圧力は101kPaから1379kPa、又は101kPaから689kPaであり得る。そのような例示的圧力は、連続プロセス、半連続プロセス及び/又は回分プロセスとして作動するローターステーター混合機に好適であり得る。
【0046】
ローターステーター混合機中のフィードデンプンを、それが水性液体を吸収するときの膨潤に加え、分散体のデンプン粒子の形成を可能とするために十分な桁の切断力にも曝露させる。1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機は、本開示の分散体を形成させるために十分な比機械的エネルギー(SME)を付与することができる。例えば、ローターステーター混合機は、デンプン粒子へのフィードデンプンの切断の間に、デンプン分散体をもたらす構成成分について1グラム当たり100ジュール(J/g)から2000J/gの範囲内のSMEを付与することができる。別の例において、ローターステーター混合機は、デンプン粒子へのフィードデンプンの切断の間に、デンプン分散体をもたらす構成成分について100(J/g)から1000J/gの範囲内のSMEを付与することができる。
【0047】
1つ又はそれ以上の実施形態において、SMEは他の値範囲も有することができ、その値はローターステーター混合機中に含有されるフィードデンプン、水性液体のレオロジー並びに/又はプロセスにおいて使用されるローターステーター混合機のタイプ及び/若しくは構成に依存し得る。そのような範囲の例としては、限定されるものではないが、100J/gから2000J/gの全ての個々の値及び下位範囲を挙げることもでき、例えば、SME値は、100J/g、150J/g、又は200J/gの下限から2000J/g、1000J/g、875J/g、又は750J/gの上限であり得る。例えば、SME値は、とりわけ100J/gから2000J/g、100J/gから1000J/g、100J/gから875J/g、150J/gから750J/g又は200J/gから750J/gであり得る。
【0048】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機により提供されるSMEは、そこに存在するフィードデンプン、水性液体及びデンプン粒子のバルク相に熱を添加することができる。具体的には、このエネルギーはローターステーター混合機の切断帯域周辺(実際のローターステーター及び/又は混合機構造中及びその直ぐ周辺の領域)で添加することができ、その添加により局所的な温度増加をもたらすことができる。しかしながら、この領域中でのフィードデンプン、水性液体及びデンプン粒子の滞留時間は極めて短い。更に、次いで切断領域中で加熱されたフィードデンプン、水性液体及びデンプン粒子を水性液体の大きいバルク相とほぼ直ちに再混合し、その混合は本明細書に提供される範囲内での温度制御に役立つ。このことは他の系、例えば押出機及び/又はジェットクッカーには当てはまらない。
【0049】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ローター及び/又はステーターの形状は、ローターステーター混合機についての所望のSME及び/又は切断速度を達成するように調節することができる。ローターの作動速度(例えば、1分間当たりの回転数)は、所望の粒子サイズ低減に適切な量の切断を作出するように調節することもできる。1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターと連動及び脱連動させることができるステーターリングを有することも可能である。このステーターリングにより、フィードデンプン、水性液体及びプロセスの間に生成されたデンプン粒子の温度がフィードデンプンに可溶化温度に接近し始めるがこの温度を超過しない場合にステーターをローターから脱連動させることが可能となる。1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機中のフィードデンプンについての滞留時間値を、ローターステーター混合機の混合帯域を介する生成物の再循環により調節することも可能である。1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機は、ローターステーター混合機内での適切な混合及び反転を確保するためにバッフリング及び/又は独立駆動型の分配混合羽根車(例えばタービン又はプロペラ)を含むこともできる。
【0050】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機からの切断は、膨潤状態のフィードデンプンをデンプン粒子になる離散単位に破壊する。本明細書において考察されるフィードデンプンの切断は、0マイクロメートル超であるが2マイクロメートル以下(すなわち、2マイクロメートル以下)である平均粒子サイズ直径を有するデンプン粒子を生成し、その場合、0マイクロメートル超であるが1マイクロメートル以下(すなわち、1マイクロメートル以下)及び/又は10から200ナノメートルのサイズが可能である。
【0051】
1つ又はそれ以上の実施形態において、デンプン粒子の平均粒子サイズ直径は、透過型電子顕微鏡法を使用して計測することができる。光散乱技術は、デンプン粒子の平均粒子サイズ直径の測定に有効でない。それというのも、この材料はゆるく凝集すると思われ、不正確な結果を生じさせるからである。1つ又はそれ以上の実施形態において、数加重平均粒子サイズ直径の測定は、所定数のデンプン粒子の直径を計測し、次いで計測された粒子の直径の数学的平均を決定して数加重平均粒子サイズ直径に到達させることにより達成することができる。
【0052】
本開示により形成される分散体の高い固体含有率は、有利には、種々の実施形態において、分散体の全重量に対して少なくとも20重量%のデンプン粒子、分散体の全重量に対して少なくとも35重量%のデンプン粒子、分散体の全重量に対して少なくとも45重量%のデンプン粒子、又は分散体の全重量に対して少なくとも48重量%のデンプン粒子、及び有利には分散体の全重量に対して多くとも65重量%のデンプン粒子、又は分散体の全重量に対して多くとも55重量%のデンプン粒子である。上限及び下限の組合せも可能である。1つ又はそれ以上の実施形態において、高い固体含有率は、分散体の全重量に対して20重量%から65重量%のデンプン粒子である。1つ又はそれ以上の実施形態において、高い固体含有率は、分散体の全重量に対して35重量%から65重量%のデンプン粒子である。1つ又はそれ以上の実施形態において、高い固体含有率は、分散体の全重量に対して45重量%から55重量%のデンプン粒子である。1つ又はそれ以上の実施形態において、高い固体含有率は、分散体の全重量に対して48重量%から55重量%のデンプン粒子である。
【0053】
本開示の分散体は、高い固体含有率(例えばデンプン粒子)を有することに加え、慣用のデンプン溶液と比べて同一の高い固体含有率において極めて低い粘度を有することもできる。1つ又はそれ以上の実施形態において、分散体の高い固体含有率が本明細書に提供される上限から下限である場合であっても(分散体の全重量に対して)、分散体は周囲条件において計測される2000cP若しくはそれ以下、又は1000cP若しくはそれ以下の粘度を有することもできる。従って、例えば、分散体の高い固体含有率が分散体の全重量に対して20重量%から65重量%である場合、分散体は周囲条件において計測される2000cP又はそれ以下の粘度を有することができる。追加の実施形態において、分散体の高い固体含有率が分散体の全重量に対して20重量%から65重量%である場合、分散体は周囲条件において計測される1000cP又はそれ以下の粘度を有することができる。別の実施形態において、分散体の高い固体含有率が分散体の全重量に対して35重量%から65重量%である場合、分散体は周囲条件において計測される1000cP又はそれ以下の粘度を有することができる。追加の実施形態において、高い固体含有率(例えば、本明細書に提供される上限から下限)における分散体の粘度は、有利には、800cP又はそれ以下の粘度を有することができ、種々の実施形態において、分散体は、有利には、周囲条件において計測される600cP若しくはそれ以下の粘度、又は400cP若しくはそれ以下の粘度さえ有することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示の分散体は、本明細書に提供される高い固体含有率を、周囲条件において計測される1000cP超、又は2000cP超の粘度(例えば、周囲条件において計測される少なくとも10,000cPの値)とともに有することもできる。
【0054】
本開示の実施形態は、高い固体含有率と室温(25℃)における低い粘度の両方を種々の時間間隔にわたり維持することもできる。例えば、本開示の分散体は、室温(25℃)において24時間存在させた後に10,000cP未満の粘度を分散体の全重量に対して20重量%から65重量%のデンプン粒子の高い固体含有率とともに維持することができる。追加の例において、本開示の分散体は、室温(25℃)において24時間存在させた後に10,000cP未満の粘度を分散体の全重量に対して35重量%から65重量%のデンプン粒子の高い固体含有率とともに維持することができる。
【0055】
1つ又はそれ以上の実施形態において、分散体についてのそれらの粘度値を達成することは、分散体中に存在する可溶性デンプンを出発分子量から出発分子量未満である最終分子量に低減させることを要求し得る。1つ又はそれ以上の実施形態において、デンプン粒子の分散体中に存在する可溶性デンプンは、フィードデンプンの加熱及び/又は切断の間に生成及び/又は放出され得る。1つ又はそれ以上の実施形態において、可溶性デンプンは、分散体の粘度に顕著に寄与し得る、デンプン粒子と比べて小さいフィードデンプンの断片を含む。可溶性デンプンを出発分子量から出発分子量未満の最終分子量に低減させることは、可溶性デンプンをより小さい断片に低減させることにより分散体の粘度を低減させるのに役立つ。可溶性デンプンを出発分子量から出発分子量未満の最終分子量に低減させるための好適なアプローチの例としては、限定されるものではないが、可溶性デンプンの分子量を低減させるための化学的改質、例えば酸又はアルカリ加水分解、酸還元、酸化還元、物理的/機械的分解(例えば、処理装置の熱機械的エネルギー投入を介する)、及び/又は酵素的低減及び/又は微生物(例えば細菌、真菌、始原細菌、藻、及び/又はプロテスト(protests))の使用が挙げられる。
【0056】
1つ又はそれ以上の実施形態において、可溶性デンプンを低減させることは、可溶性デンプンを出発分子量から出発分子量未満の最終分子量に酵素的に低減させることを含む。本開示における酵素の使用は、可溶性デンプンをより小さい断片に開裂及び/又は酵素的に低減させることにより分散体の粘度を低減させるのに役立つ。1つ又はそれ以上の実施形態において、可溶性デンプンをそれらのより小さい断片に低減/開裂させることは、酵素を使用しない場合と比べて分散体の粘度を改善することに役立つ(例えば、粘度を低下させるのに役立つ)。
【0057】
1つ又はそれ以上の実施形態において、デンプン粒子の水性液体中分散体を調製するプロセスの間に酵素を使用することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、酵素は可溶性であり得、及び/又は固定化酵素であり得る。1つ又はそれ以上の実施形態において、酵素をローターステーター混合機中にフィードデンプン及び水性液体とともに含めることができ、その場合酵素は、フィードデンプンが水性液体を吸収し、膨潤し、及び/又はデンプン粒子に切断されるときにフィードデンプンから生成及び/又は放出されたままの可溶性デンプンに作用することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、生成及び/又は放出されたままの可溶性デンプンは、出発分子量を有し得る。酵素は、可溶性デンプンを出発分子量から出発分子量未満である最終分子量に酵素的に低減させる。換言すると、ローターステーター混合機中に存在する酵素は、可溶性デンプンを、分散体の粘度にそれほど影響を与えないより小さい断片に開裂させることができる。
【0058】
1つ又はそれ以上の実施形態において、分散体の粘度を改質するために選択される酵素は、分散体の形成において使用されるフィードデンプンの組成に依存する。フィードデンプンが主として多糖化学物質を基礎とすることを考慮すると、炭水化物のサイズを改質する(例えば、開裂させる)ことができる酵素が最も有用である可能性が高く、当分野において公知である。1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示において有用な酵素の濃度は、当分野から理解され、及び/又は推奨されるものよりもかなり低い場合がある。例えば、本開示について有用な酵素濃度は、酵素製造業者によりデンプン改質について示唆されるものよりも10から1000倍低い場合があると考えられる。このことは、例えば、分散体(例えば、ワキシーコーン)の全重量に対して0.005重量パーセントから0.0001重量パーセントである分散体中の酵素濃度をもたらし得る。認識されるとおり、分散体の粘度を改質するために好適な正確な酵素濃度は、温度、酵素活性、フィードデンプン及び/又は粘度改質を行う条件に依存し得る。
【0059】
1つ又はそれ以上の実施形態において、酵素は、分散体についての所望粘度を達成するために十分である温度及び持続時間において使用することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、所望粘度が達成されると、酵素を「失活」させることができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、酵素は、酵素を活性化するために必要とされる構成成分の除去により失活させることができる。例えば、酵素は、酵素が機能することを可能とするために特定の濃度における特定の塩の使用を要求し得る。従って、塩の除去は、酵素の失活をもたらす。例えば、キレート化(例えば、キレート化剤の使用)によるカルシウムイオンの除去は、本開示の分散体中に存在する可溶性デンプンを開裂させるために使用される酵素を失活させるために十分であり得る。
【0060】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フィードデンプンは、架橋剤の不存在下で(例えば、架橋化学物質の使用なしで)分散体のデンプン粒子に切断することができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、分散体のデンプン粒子へのフィードデンプンの切断は、界面活性剤の不存在下で実施することができる。しかしながら、1つ又はそれ以上の実施形態において、架橋剤及び/又は界面活性剤の1つ又はそれ以上の使用が、本開示の実施形態について可能である。1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示の分散体の調製における架橋剤の使用は、架橋剤を使用しなかった場合と比べてデンプン粒子の分子量を変化させるために役立ち得る。本開示のデンプン粒子の分子量値の少なくとも一部へのそのような変化は、紙被覆配合物の用途において分散体に由来する湿潤強度の利点を提供することができる。そのような架橋剤は、水素結合、共有結合、又はその両方の組合せを介してデンプン粒子と相互作用することができることが認識される。
【0061】
1つ又はそれ以上の実施形態において、種々のローターステーター混合機を本開示により使用することができる。そのようなローターステーター混合機の例としては、限定されるものではないが、とりわけ本明細書において考察される回分高切断混合機、インライン高切断混合機、超高切断インライン混合機、及び粉砕ミル(例えば、Kady Mill)が挙げられる。1つ又はそれ以上の実施形態において、ローターステーター混合機は、連続プロセス、半連続プロセス及び/又は回分プロセスの一部として作動させることができる。
【0062】
例として、本明細書に記載のデンプン粒子の水性液体中分散体は、以下の様式において連続式において調製することができる。撹拌タンク中でフィードデンプンを水性液体に添加し、フィードデンプンとともにローターステーター混合機中に導入された水性液体の量の下限から上限(例えば、水性液体及びフィードデンプンの重量に対して40重量%から60重量%)を有する、本明細書に提供されるスラリーを作出することができる。一部の例において、ローターステーター混合機は、フィードデンプン及び水性液体を両方ともローターステーター混合機中に連続式でフィードすることを可能とすることができる粉末フィーディング付属装置を装備していてよい。2つの流れの流速の比は、フィードデンプンとともにローターステーター混合機中に導入された所望量の水性液体(例えば、水性液体及びフィードデンプンの重量に対して40重量%から60重量%)を有するスラリーを達成するように設定することができる。
【0063】
フィードデンプン及び水性液体のスラリーは、それが混合機を単一通過で通過するようにローターステーター混合機中にポンプ輸送することができる。スラリーの温度及び流速並びにローターステーター混合機のジャケットの温度は、スラリーの温度が本明細書において考察されるフィードデンプンのゲル化温度から可溶化温度未満であるように維持することができる。次いで、本明細書において提供される範囲内の切断力を膨潤状態のフィードデンプンに施与して本明細書において考察されるデンプン粒子の分散体を作出することができる。一部の例において、本明細書において考察される酵素の溶液(例えば、0.15重量%酵素及び0.19重量%塩化カルシウムを含有する水)を、ローターステーター混合機中の分散体中に別個の注入ポートを介して連続的に添加することができる。一部の例において、所望により第2のローターステーター混合機(冷却用の第2の混合機ジャケットを装備)をローターステーター混合機の後に直列で配置して追加の切断を提供して分散体中のデンプン粒子のサイズを更に低減させることができる。ローター速度、ローター設計、(1つ又はそれ以上の)ローター作動パターン、構成成分(例えば、フィードデンプン及び水性液体)の流速、圧力及び温度は、本開示によるデンプン粒子の水性液体中分散体の連続生成における可変要素の例である。そのような可変要素についての選択及び値は、とりわけフィードデンプン、水性液体及び/又は本開示の分散体の調製において選択される任意の任意選択の添加剤に依存し得る。
【0064】
1つ又はそれ以上の実施形態において、任意選択の添加剤を本開示のプロセスにおいて使用することもできる。例えば、アニオン及びイオン性安定剤を切断プロセスの間に分散体に添加して乾燥の間の粒子凝集を低減させることができる。追加の例において、可塑剤がフィードデンプン及び水性液体に加えて存在し得る。可塑剤の例としては、ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリコール、グリセロール、スクロース、マルトース、マルトデキストリン、及び糖アルコール、例えばソルビトール)、尿素、乳酸ナトリウム、アミノ酸、又はクエン酸エステルが、フィードデンプンの乾燥重量に対して5から40重量%のレベルにおいて挙げられる。しかしながら、水が既に可塑剤として作用し得る。可塑剤の全量(すなわち、水及び追加の可塑剤)は、フィードデンプンの乾燥重量に対して5重量%から65重量%の範囲であり得る。潤滑剤、例えばレシチン、他のリン脂質又はモノグリセリドも、フィードデンプンの乾燥重量に対して0.5重量%から2.5重量%のレベルにおいて存在し得る。
【0065】
1つ又はそれ以上の実施形態において、任意選択の添加剤を本開示の分散体に添加することもできる。そのような添加剤としては、限定されるものではないが、殺生物剤、抗菌添加剤、pH調整用の塩基及び/又は酸、顔料、フレーバー又は芳香増強剤、無機及び/又は有機不活性充填剤又は顔料、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0066】
1つの実施形態において、本開示の分散体は、ローターステーター混合機から出た状態で即時使用可能である。このことは、有利には、材料を粉末形態に濃縮するために一部の従来技術プロセスにより要求される乾燥工程に付随する費用を低減させる。しかしながら、少なくとも部分的に、すなわち90パーセント未満、実質的に、すなわち少なくとも90パーセント、及び/又は完全に、すなわち少なくとも98パーセントの水性液体を分散体のデンプン粒子から除去して分散体の固体含有率を濃縮し、又は後の再分散のためのデンプン粒子の乾燥再分散性粉末を形成させることが可能である。本明細書に提供されるとおり、少なくとも部分的に、すなわち90パーセント未満、実質的に、すなわち少なくとも90パーセント、及び/又は完全に、すなわち少なくとも98パーセントの水性液体を分散体のデンプン粒子から除去することは、20μm以下、例えば、10μm以下、代替的には、5μm以下、代替的には、4μm以下、代替的には、2μm以下の平均粒子サイズ直径を有する乾燥再分散性粉末を形成させることができる。乾燥再分散性粉末粒子は、乾燥工程の間に凝集して分散体中のデンプン粒子よりも大きい粒子を形成し得る。凝集粒子は、2μm以下の平均粒子サイズ直径、例えば、1μm以下の平均粒子サイズ直径又は10から200ナノメートルの平均粒子サイズ直径を有する分散体に分散させることができる。
【0067】
分散体の水性液体含有率を低減させ、及び/又は分散体を乾燥させる種々の手段は、当業者に公知である。それらの手段の例としては、とりわけ空気乾燥、強制空気乾燥、噴霧乾燥、加圧濾過及び遠心分離が挙げられる。1つ又はそれ以上の実施形態において、デンプン粒子の乾燥粉末は、更に粉砕して粒子及び/又は粒子凝集物を所望サイズに破壊することができる。次いで、本開示のデンプン粒子の乾燥粉末を、分散体に所望時間において再懸濁させることができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、追加の水を分散体に添加して固体含有率を所望レベルに変えることも可能である。
【0068】
1つ又はそれ以上の実施形態において、デンプン粒子の乾燥粉末を再懸濁の前又はその時間において他の粉末、化合物及び/又は分散体とブレンドすることもできる。そのような粉末、化合物及び/又は分散体の例としては、限定されるものではないが、本明細書に提供されるとりわけ皮膜被覆に有用なラテックス、ラテックス及び非ラテックス結合剤、分散体、顔料、接着剤並びに/又は結合剤系が挙げられる。
【0069】
本開示のデンプン粒子は、以下の追加の構成成分の1つ又はそれ以上とブレンドすることもできる。そのような追加の構成成分は、分散体中のデンプン粒子とブレンドすることができ、又はデンプン粒子の乾燥粉末とブレンドすることができる。1つ又はそれ以上の実施形態において、追加の構成成分としては、1つ若しくはそれ以上の結合組成物、例えばアクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、スチレンブタジエンラテックス、ビニルアセテートエチレンラテックス、改質セルロース結合剤、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの組合せ、場合により1つ若しくはそれ以上の充填剤、場合により1つ若しくはそれ以上の添加剤、場合により1つ若しくはそれ以上の顔料、例えば二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、ミルドガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、及びクレー、場合により1つ若しくはそれ以上の共溶媒、例えばグリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、アルコール、石油スピリット、及びベンゾエートエステル、場合により1つ若しくはそれ以上の分散剤、例えばアミノアルコール、及びポリカルボキシレート、場合により1つ若しくはそれ以上の界面活性剤、場合により1つ若しくはそれ以上の脱泡剤、場合により1つ若しくはそれ以上の保存剤、例えば殺生物剤、殺カビ剤、殺真菌剤、殺藻剤、及びそれらの組合せ、場合により1つ若しくはそれ以上の増粘剤、例えばセルロース系増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、疎水的に改質されたアルカリ可溶性エマルション(HASE増粘剤、例えばThe Dow Chemical Company製のUCAR(登録商標)POLYPHOBE TR−116)及び疎水的に改質されたエトキシ化ウレタン増粘剤(HEUR)、又は場合により1つ若しくはそれ以上の中和剤、例えば水酸化物、アミン、アンモニア、及び炭酸塩を挙げることができる。
【0070】
追加の構成成分としては、限定されるものではないが、多糖誘導体、例としてセルロース誘導体を挙げることもできる。そのような多糖誘導体の例としては、多糖エーテル及び多糖エステル、セルロースエーテル及びエステル、並びに水溶性セルロースエーテルが挙げられる。それらは、1つ又はそれ以上の置換基、例えば、以下のタイプのもの:ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、メチル、エチル、プロピル、ジヒドロキシプロピル、カルボキシメチル、スルホエチル、疎水性長鎖分枝鎖及び非分枝鎖アルキル基、疎水性長鎖分枝鎖及び非分枝鎖アルキルアリール基又はアリールアルキル基、カチオン基、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ラクテート、ニトレート又はスルフェートを有することができ、それらの一部の基のうち、例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ジヒドロキシプロピル及びラクテートなどはグラフトを形成することができる。本開示による多糖の置換基は、それらの基に限定されるものではない。典型的な多糖誘導体は、グアー誘導体、デンプン誘導体、キチン又はキトサン誘導体、及びセルロース誘導体であるが、本開示による多糖誘導体はそれらに限定されるものではない。
【0071】
セルロース誘導体の例としては、限定されるものではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、疎水的に改質されたヒドロキシエチルセルロース(hmHEC)、疎水的に改質されたヒドロキシプロピルセルロース(hmHPC)、疎水的に改質されたエチルヒドロキシエチルセルロース(hmEHEC)、疎水的に改質されたカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(hmCMHEC)、疎水的に改質されたヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(hmHPHEC)、疎水的に改質されたメチルセルロース(hmMC)、疎水的に改質されたメチルヒドロキシプロピルセルロース(hmMHPC)、疎水的に改質されたメチルヒドロキシエチルセルロース(hmMHEC)、疎水的に改質されたカルボキシメチルメチルセルロース(hmCMMC)、スルホエチルセルロース(SEC)、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(HESEC)、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(HPSEC)、メチルヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(MHESEC)、メチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(MHPSEC)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(HEHPSEC)、カルボキシメチルスルホエチルセルロース(CMSEC)、疎水的に改質されたスルホエチルセルロース(hmSEC)、疎水的に改質されたヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(hmHESEC)、疎水的に改質されたヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(hmHPSEC)又は疎水的に改質されたヒドロキシエチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(hmHEHPSEC)を挙げることができる。他の好適なセルロース誘導体としては、水中の熱凝集点を有するセルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
【0072】
本開示の実施形態は、着色剤を分散体の一部として用いることもできる。種々の色を使用することができる。例としては、黄色、マゼンタ、及びシアンなどの色が挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び以下に示す黄色/マゼンタ/シアン着色剤を使用して黒色に調色された着色剤を使用することができる。本明細書において使用される着色剤としては、とりわけ染料、顔料、及び予備分散体が挙げられる。それらの着色剤は、単一で、混合物中で、又は固溶体として使用することができる。種々の実施形態において、顔料は、粗顔料、処理顔料、予備粉砕顔料、顔料粉末、顔料プレスケーキ、顔料マスターバッチ、再循環顔料、及び固体又は液体顔料予備分散体の形態で提供することができる。本明細書において使用される粗顔料は、例えば種々の被覆物を表面上に堆積させるための湿潤処理が表面に施与されなかった顔料粒子である。粗顔料及び処理顔料は、国際公開第2005/095277号パンフレット及び米国特許出願公開第2006/0078485号明細書において更に考察されており、その関連部分は参照により本明細書に組み込まれる。対照的に、処理顔料は、例えば金属酸化物被覆物を粒子表面上に提供するための湿潤処理を経ているものであり得る。金属酸化物被覆物の例としては、アルミナ、シリカ、及びジルコニアが挙げられる。再循環顔料を出発顔料粒子として使用することもでき、その場合、再循環顔料は被覆顔料として販売するには不十分な質の湿潤処理後の顔料である。
【0073】
例示的な着色剤粒子としては、限定されるものではないが、顔料、例えば黄色着色剤が挙げられ、縮合アゾ化合物に代表される化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、及びアリルアミド化合物を顔料として使用することができる。マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染色レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンゾイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物を使用することができる。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染色レーキ化合物などを使用することができる。
【0074】
本開示の分散体は、例えば、種々の被覆用途、例えばとりわけ建築被覆用途、自動車被覆用途、紙被覆用途、紙サイジング用途、種子被覆用途、導電層被覆用途及び工業被覆用途、接着剤用途、結合剤用途、シーラント用途、フォーム用途、トナー用途、即時放出被覆用途、並びに制御放出被覆用途において使用することができる。
【0075】
分散体は、デンプン及び/又はラテックスが使用される既存の用途において用いることができる。例えば、分散体は、紙被覆組成物において使用することができる。紙被覆組成物は、他の慣用の結合剤、例えばラテックス及び慣用の被覆デンプンに代えてデンプン分散体材料を完全に又は部分的に用いて調製することができる。
【0076】
驚くべきことに、本開示の分散体の顕著な利点は、分散体が25℃において少なくとも52週間の時間にわたり保管安定性のままであり得ることである。
【0077】
1つ又はそれ以上の実施形態において、本開示の分散体は、種々の用途において使用することができる。そのような用途としては、限定されるものではないが、被覆組成物、接着剤(例えば、テープ、ラベル、製本用接着剤など)、医薬(例えば、錠剤被覆物における増量剤として)、結合剤及び/又は充填剤として湿潤積層物及び/又は木材複合材料、ガラス繊維屋根材マット、並びに/又はルーフィング及びカーペット裏打ちなどのポリエステルスパンボンド用途におけるものが挙げられる。それらは、紙被覆組成物、カーペット結合用途、マスチック、目地材、及び/又はセメントにおいて使用することもできる。
【0078】
本開示の分散体に好適な支持体としては、限定されるものではないが、セルロース系材料、例えばとりわけ紙、板紙、及び/又は厚紙、金属系材料、ポリマー系材料(合成及び/又は天然)、並びに無機物系材料(例えば、コンクリート)が挙げられる。本開示の分散体は、既存のデンプン用途、既存の合成ラテックス用途、被覆用途、ラテックス配合において使用することもでき、その場合、ラテックスの一部を本開示の分散体により置き換えることができる。
【0079】
本発明による分散体は、当業者に公知の方法、例えば噴霧、印刷、ロール被覆、ジェット被覆、皮膜被覆、パドル被覆、カーテン被覆、及び/又は浸漬を介して好適な支持体の1つ又はそれ以上の表面に塗布することができ、結果的に水性液体の少なくとも一部を除去することができ、それにより支持体の1つ又はそれ以上の表面に付随する被覆層、例えば皮膜を形成する。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、本開示の実施形態を説明するために挙げるものであり、その範囲を限定するものと解釈すべきではない。全ての部及び百分率は、特に記載のない限り、重量基準である。
【0081】
[試験方法]
(シート光沢度)
シート光沢度は、Technidyne Corporationから入手可能なTechnidyne T−480計器を使用して75°の入射角において計測する。シート光沢度は、被覆紙の艶又は光沢の外観を説明する特性であり、シート表面反射率の計測値である。
【0082】
(シート白色度(GE白色度))
シート白色度は、Technidyne Corporationから入手可能なTechnidyne Brightimeter Micro S−5及びColortouch PC計器を使用して計測する。白色度は、青色光に対する試料の反射率の数値である。この計器は、一片の紙上を45度において照らす光源を、試料に対して垂直の0度からその同一スポットを捉える受光光学系とともに有する。
【0083】
(ブルックフィールド粘度)
粘度は、Brookfield RVT粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.,Stoughton,Massachusetts,USAから入手可能)使用して計測する。粘度測定のため、試料を好適に大きい容器中に注いで壁部とスピンドルとの間のエッジ効果を回避する。粘度は、計測する試料の特性に応じて種々のスピンドルサイズ及び回転速度を用いて約25℃において計測する。表1及び2に報告する値は、3番スピンドル及び100rpmの条件を用いて得られた。
【0084】
(材料)
以下の材料を本実施例において使用する。
デンプンA:ワキシーコーンスターチ(Penford,Cedar Rapids,IAから入手可能なDouglas Waxy Pearl Starch)、約11%湿分を含有する乾燥粉末。
デンプンB:デントコーンスターチ(Penford,Cedar Rapids,IAから入手可能なPearl Starch),約11%湿分を含有する乾燥粉末。
デンプンC:天然ワキシーコーンスターチ(Tate and Lyle,Koog,Netherlandsから入手可能なMerizet300)、約11%湿分を含有する乾燥粉末。
【0085】
塩化カルシウム:塩化カルシウムの10重量パーセント水中溶液(Fischer Scientific,Fair Lawn,N.J.製の塩化カルシウム)。
架橋剤:グリオキサール(Eka Chemicals Inc.,Marietta,GA.,USAから入手可能なEKA RC5550)。
不溶化剤:表面強度向上剤(Clariant,Muttenz,Switzerlandから入手可能なCartabond TSI(42%))。
漂白剤:2.5重量パーセント次亜塩素酸ナトリウムの水中溶液(Clorox,Corp.から入手可能な家庭用漂白剤)。
酵素:酵素調製物(Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmarkから入手可能なBAN480L)。
キレート化剤:キレート化水中調製物(Dow Chemical,Midland,MIから入手可能なVERSENOL120)。
【0086】
炭酸塩:90%の<2μmの粒子サイズを有する炭酸カルシウムの水中分散体(Pluess−Stauffer,Oftringen,Switzerlandから入手可能なHydrocarb(登録商標)90)、77%固体。
クレー:90−96%の<2μmの粒子サイズを有する1級高白色度カオリンクレーの水中分散体(KaMin Performance Materials,Macon,GA,USAから入手可能なHydrafine(登録商標)90)、71%固体。
ラテックス:カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan,USAから入手可能なCP638NA)、水中50%固体。
腐食剤:20%水酸化ナトリウム溶液(Fisher Scientific,Fair Lawn,N.J.)。
水:脱イオン水。
紙:Appleton Coated,Appleton,WIからの88グラム/平方メートル木材不含原紙。
【0087】
(装置)
Kady International of Scarborough,MA製の、Stator#1混合ヘッド及び2.24kWモーターを有するLab Kady−Mill混合機通し番号L−744。
GAW Pidlner−Steinburg GmbH,Graz,Austria製の、50hpモーター駆動及び473リットル容器を有するGAW Agitator、モデルRW60S−VST Rotor Stator。
【0088】
[実施例1]
最初にデンプンA及び脱イオン水の量を両方とも室温(25℃)において計測して50重量パーセントの固体含有率を有する混合物を作製することにより分散体を調製する。十分量の混合物をLab Kady−Mill混合機の混合ボウル中に装入してローターステーターを適切に被覆して跳ねを防止する(例えば、その場合、本実施例についての十分量の混合物は、750グラムのデンプンA及び665グラムの脱イオン水である)。Lab Kady−Mill混合機のモーター駆動速度設定を数字「10」(1から10のスケール)に設定し、50重量パーセントの固体含有率を有するフィードデンプン及び水の混合物を、得られる分散体が混合ボウル中で撹拌下で循環しなくなるまで5.5分間混合する。モーター駆動速度設定の速度を数字「4」に減らし、水を分散体に添加して固体含有率を25重量パーセントにする。分散体をモーター駆動速度設定の数字「4」において更に5分間混合する。結果は、室温(25℃)における24時間の貯蔵後にゲル化しない本開示によるデンプン粒子の水性液体中安定分散体である。
【0089】
[実施例2]
最初にデンプンA及び脱イオン水の量を両方とも室温(25℃)において計測して50重量パーセントの固体含有率を有する混合物を作製することにより分散体を調製する。100部の乾燥デンプンAに対して1部架橋剤を混合物に添加する。十分量の混合物をLab Kady−Mill混合機の混合ボウル中に装入してローターステーターを適切に被覆して跳ねを防止する(例えば、その場合、本実施例についての十分量の混合物は、750グラムのデンプンA及び665グラムの脱イオン水である)。Lab Kady−Mill混合機のモーター駆動速度設定を数字「10」(1から10のスケール)に設定し、50重量パーセントの固体含有率を有するフィードデンプン及び水の混合物を、得られる分散体が混合ボウル中で撹拌下で循環しなくなるまで5.5分間混合する。モーター駆動速度設定の速度を数字「4」に減らし、水を分散体に添加して固体含有率を25重量パーセントにする。分散体をモーター駆動速度設定の数字「4」において更に5分間混合する。結果は、室温(25℃)における24時間の貯蔵後にゲル化しない本開示によるデンプン粒子の水性液体中安定分散体である。
【0090】
[実施例3]
最初にデンプンB及び脱イオン水の量を両方とも室温(25℃)において計測して50重量パーセントの固体含有率を有する混合物を作製することにより分散体を調製する。十分量の混合物をLab Kady−Mill混合機の混合ボウル中に装入してローターステーターを適切に被覆して跳ねを防止する(例えば、その場合、本実施例についての十分量の混合物は、750グラムのデンプンB及び665グラムの脱イオン水である)。Lab Kady−Mill混合機のモーター駆動速度設定を数字「10」(1から10のスケール)に設定し、50重量パーセントの固体含有率を有するフィードデンプン及び水の混合物を、得られる分散体が混合ボウル中で撹拌下で循環しなくなるまで5.5分間混合する。モーター駆動速度設定の速度を数字「4」に減らし、水を分散体に添加して固体含有率を25重量パーセントにする。分散体をモーター駆動速度設定の数字「4」において更に5分間混合する。結果は、室温(25℃)における24時間の貯蔵後にゲル化しない本開示によるデンプン粒子の水性液体中安定分散体である。
【0091】
[実施例4]
最初にデンプンB及び脱イオン水の量を両方とも室温(25℃)において計測して50重量パーセントの固体含有率を有する混合物を作製することにより分散体を調製する。100部の乾燥デンプンBに対して1部架橋剤を混合物に添加する。十分量の混合物をLab Kady−Mill混合機の混合ボウル中に装入してローターステーターを適切に被覆して跳ねを防止する(例えば、その場合、本実施例についての十分量の混合物は、750グラムのデンプンB及び665グラムの脱イオン水である)。Lab Kady−Mill混合機のモーター駆動速度設定を数字「10」(1から10のスケール)に設定し、50重量パーセントの固体含有率を有するフィードデンプン及び水の混合物を、得られる分散体が混合ボウル中で撹拌下で循環しなくなるまで5.5分間混合する。モーター駆動速度設定の速度を数字「4」に減らし、水を分散体に添加して固体含有率を25重量パーセントにする。分散体をモーター駆動速度設定の数字「4」において更に5分間混合する。結果は、室温(25℃)における24時間の貯蔵後にゲル化しない本開示によるデンプン粒子の水性液体中安定分散体である。
【0092】
[実施例1から4の分散体を用いて調製された紙被覆組成物]
実施例1から4の分散体のそれぞれについて、乾燥基準で100部全顔料をベースとする紙被覆組成物を調製する。具体的には、上記に提供される60乾燥重量部の炭酸塩及び40乾燥重量部のクレーを使用して顔料スリップを調製する。次いで、5乾燥重量部ラテックス及び9乾燥重量部の表1に提供される分散体を添加する。最後に、0.1乾燥重量部の不溶化剤を紙被覆組成物に添加する。20%水性水酸化ナトリウムを用いてpHを8.5に調整し、水を用いて固体含有率を61.0%に調整する。
【0093】
被覆紙を紙被覆組成物を使用して以下のプロセスにおいて調製する。実験室ベンチブレードコータ(Enz Technik AG,Giswil,Switzerlandにより製造)を利用して紙被覆組成物を紙に施与する。8lbs/3300sq ftを施与するようにブレード計量圧力を設定し、得られた紙被覆組成物を赤外線及び空気フロテーション乾燥を使用して乾燥させて4.5%の標的湿分に到達させる。得られた紙試料をシートに切断し、次いで65度℃における単一ニップの3回通過及び1リニアインチ(pli)当たり800ポンドと等価の圧力負荷を使用するBeloit Wheeler Laboratory Calender Model753(Beloit Manhattan,Otsego,Michigan,USAにより製造)を使用して実験室カレンダー処理する。被覆紙の特性を表1に挙げる。
【0094】
【表1】
【0095】
[実施例5]
最初にデンプンC及び脱イオン水の量を両方とも室温(25℃)において計測して45重量パーセントの固体含有率を有する混合物を作製することにより分散体を調製する。113.4kgのデンプンC及び126.6kgの水をGAW Mixer本体のタンク中に装入する。GAW Mixerの速度設定をモーター駆動速度制御について1800rpmに設定し、45重量パーセントの固体含有率を有する混合物を、得られる分散体が65.5℃の温度に到達するまで30分間混合する。乾燥重量基準の200百万分率塩化カルシウムを10%溶液を介して添加する。100部の乾燥デンプンCに対して0.00005部の酵素を分散体に添加し、更に30分間混合する。GAW Mixerの速度設定をモーター駆動速度制御について600rpmに減らす。キレート化剤を2000百万分率において添加し、分散体を更に10分間混合する。
結果は、室温(25℃)における24時間の貯蔵後にゲル化しないデンプン粒子の水性液体中安定分散体である。
【0096】
[比較例A]
最初にデンプンB及び脱イオン水の量を両方とも室温(25℃)において計測して40重量パーセントの固体含有率を有する混合物を作製することにより分散体を調製する。十分量の混合物をLab Kady−Mill混合機の混合ボウル中に装入してローターステーターを適切に被覆して跳ねを防止する(例えば、その場合、本比較例についての十分量の混合物は、750グラムのデンプンB及び998.9グラムの脱イオン水である)。Lab Kady−Mill混合機のモーター駆動速度設定を数字「10」(1から10のスケール)に設定し、40重量パーセントの固体含有率を有するフィードデンプン及び水の混合物を、得られる分散体が混合ボウル中で撹拌下で循環しなくなるまで5.5分間混合する。モーター駆動速度設定の速度を数字「4」に減らし、水を分散体に添加して固体含有率を25重量パーセントにする。分散体をモーター駆動速度設定の数字「4」において更に5分間混合する。
結果は、24時間後の室温貯蔵(25℃)後にゲル化するデンプンの水中分散体である。材料は容器から流出せず、被覆配合物中の構成成分に好適でない。
【0097】
比較例Aは、より高い重量パーセントの固体含有率(両方の場合において25重量パーセントの固体含有率であった、得られた分散体の最終固体含有率と比較して)を切断プロセスの間に有する必要性を説明する。比較例Aにおいて、実施例3の50重量パーセントの固体含有率と比較して40重量パーセントの固体含有率が切断プロセスの間に存在した。従って、比較例Aにおいて、実施例3と比較して約20パーセント小さい固体含有率が、より少ないデンプン粒子に混合機中の切断点を通過させることを可能とする切断プロセスの間に混合物中に存在する。換言すると、実施例3について、比較例Aと比較して約25パーセント大きい固体含有率が切断プロセスの間に混合物中に存在する。切断プロセスの間におけるこのより高い固体含有率は、本明細書において考察される適切な平均粒子サイズ直径のデンプン粒子の安定分散体の達成において重要であると考えられる。
【0098】
【表2】