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特許5871918無線通信環境における自動再送要求リセットを実行する方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871918
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】無線通信環境における自動再送要求リセットを実行する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/16 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   H04L1/16
【請求項の数】36
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-518265(P2013-518265)
(86)(22)【出願日】2011年7月1日
(65)【公表番号】特表2013-531952(P2013-531952A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】KR2011004867
(87)【国際公開番号】WO2012002778
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】1894/CHE/2010
(32)【優先日】2010年7月2日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アニル・アギワル
(72)【発明者】
【氏名】ヨン−ビン・チャン
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/195911(US,A1)
【文献】 特開2009−232084(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/228754(US,A1)
【文献】 特開2007−228377(JP,A)
【文献】 Ericsson,RLC Window Operation[online], 3GPP TSG-RAN WG2#60 R2-074702,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_60/Docs/R2-074702.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおける送信デバイスが自動再送要求(ARQ)リセットを実行する方法であって、
ARQリセット手続きが開始される場合にARQウィンドウの開始を示すシーケンス番号を決定するステップと、
前記決定されたシーケンス番号を含むARQリセットメッセージを受信デバイスに送信するステップと、
記送信デバイスで前記ARQウィンドウを構成する情報を前記決定されたシーケンス番号に設定するステップと
を有し、
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウの下端のシーケンス、前記ARQウィンドウのサイズ、及び固有なシーケンス番号の個数の値であるARQシーケンス番号モジュラス(ARQ_SN_Modulus)を用いて決定されることを特徴とする無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項2】
前記ARQリセットメッセージに応じて、ARQリセット受信アクノリッジメッセージを前記受信デバイスから受信するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項3】
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
下記の数式に基づいて決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【数1】
【請求項4】
前記シーケンス番号を決定する前に、前記送信デバイスが新たなARQブロックの送信及び前に送信されたARQブロックの再送信をディスエーブルするステップをさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項5】
前記ARQウィンドウを構成する情報を前記決定されたシーケンス番号に設定した後に、ARQブロックの送信をイネーブルするステップをさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項6】
前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウを構成する情報は、前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウの下端を示す情報(ARQ_TX_WINDOW_START)と、前記送信デバイスにより次に送信されるARQブロックの最小のシーケンス番号を示す情報(ARQ_TX_NEXT_SNを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項7】
前記ARQリセット手続きは、前記送信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項1乃至請求項のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項8】
前記ARQリセット手続きは、前記受信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項1乃至請求項のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項9】
前記シーケンス番号を決定するステップの前に、前記ARQリセット手続きの開始を示すARQリセットメッセージを前記受信デバイスから受信するステップをさらに有することを特徴とする請求項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項10】
無線通信システムにおける自動再送要求(ARQ)リセットを実行する送信デバイスであって、
受信デバイスとARQリセット手続きのためのメッセージを送受信する送受信器と、
前記ARQリセット手続きが開始される場合にARQウィンドウの開始を示すシーケンス番号を決定し、前記決定されたシーケンス番号を含むARQリセットメッセージを受信デバイスに送信し、前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウを構成する情報を前記決定されたシーケンス番号に設定するARQエンティティーと、
前記送受信器と前記ARQエンティティーの動作を制御するプロセッサとを有し、
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウの下端のシーケンス、前記ARQウィンドウのサイズ、及び固有なシーケンス番号の個数の値であるARQシーケンス番号モジュラス(ARQ_SN_Modulus)を用いて決定されることを特徴とする送信デバイス。
【請求項11】
前記ARQエンティティーは、前記ARQリセットメッセージに応じて、ARQリセット受信アクノリッジメッセージを前記受信デバイスから受信することを特徴とする請求項10に記載の送信デバイス。
【請求項12】
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
下記の数式に基づいて決定されることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の送信デバイス。
【数2】
【請求項13】
前記ARQエンティティーは、前記シーケンス番号を決定する前に新たなARQブロックの送信及び前に送信されたARQブロックの再送信をディスエーブルすることを特徴とする請求項10乃至請求項12のうちのいずれか1項に記載の送信デバイス。
【請求項14】
前記ARQエンティティーは、前記ARQウィンドウを構成する情報を前記決定されたシーケンス番号に設定した後に、ARQブロックの送信をイネーブルすることを特徴とする請求項10乃至請求項13のうちのいずれか1項に記載の送信デバイス。
【請求項15】
前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウを構成する情報は、前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウの下端を示す情報(ARQ_TX_WINDOW_START)と、前記送信デバイスにより次に送信されるARQブロックの最小のシーケンス番号を示す情報(ARQ_TX_NEXT_SNを含むことを特徴とする請求項10乃至請求項14のうちのいずれか1項に記載の送信デバイス。
【請求項16】
前記ARQリセット手続きは、前記送信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項10乃至請求項15のうちのいずれか1項に記載の送信デバイス。
【請求項17】
前記ARQリセット手続きは、前記受信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項10乃至請求項15のうちのいずれか1項に記載の送信デバイス。
【請求項18】
前記ARQエンティティーは、前記シーケンス番号を決定する前に、前記ARQリセット手続きの開始を示すARQリセットメッセージを前記受信デバイスから受信することを特徴とする請求項17に記載の送信デバイス。
【請求項19】
無線通信システムにおける受信デバイスが自動再送要求(ARQ)リセットを実行する方法であって、
ARQリセット手続きが開始される場合に、ARQウィンドウの開始を示すシーケンス番号を含むARQリセットメッセージを送信デバイスから受信するステップと、
前記受信デバイスで前記ARQウィンドウを構成する情報を前記受信されたARQリセットメッセージで前記シーケンス番号に設定するステップと
を有し、
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウの下端のシーケンス、前記ARQウィンドウのサイズ、及び固有なシーケンス番号の個数の値であるARQシーケンス番号モジュラス(ARQ_SN_Modulus)を用いて決定されることを特徴とする無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項20】
前記ARQウィンドウを構成する情報を前記ARQリセットメッセージから受信されたシーケンス番号に設定する場合に、前記ARQリセットメッセージに応じてARQリセット受信アクノリッジメッセージを前記送信デバイスに送信するステップをさらに有することを特徴とする請求項19に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項21】
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
下記の数式に基づいて決定されることを特徴とする請求項19または請求項20に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【数3】
【請求項22】
前記ARQリセットメッセージを前記送信デバイスから受信する場合に、1つ又は複数のARQブロックの受信をディスエーブルするステップをさらに有することを特徴とする請求項19乃至請求項21のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項23】
前記ARQリセット手続きが開始される場合に、1つ又は複数のARQブロックの受信をディスエーブルするステップをさらに有することを特徴とする請求項19乃至請求項22のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項24】
前記ARQウィンドウを構成する情報を前記ARQリセットメッセージから受信された前記シーケンス番号に設定した後に、ARQブロックの受信をイネーブルするステップをさらに有することを特徴とする請求項19乃至請求項22のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項25】
前記受信デバイスでの前記ARQウィンドウを構成する情報は、前記受信デバイスから前記ARQウィンドウの下端を示す情報(ARQ_RX_WINDOW_START)と、前記受信デバイスが受信したARQブロックのもっとも大きいシーケンス番号に1を加えた値を示す情報(ARQ_RX_NEXT_BSNを含むことを特徴とする請求項19乃至請求項24のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項26】
前記ARQリセット手続きは、前記送信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項19乃至請求項25のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項27】
前記ARQリセット手続きは、前記受信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項19乃至請求項25のうちのいずれか1項に記載の無線通信システムにおけるARQリセットを実行する方法。
【請求項28】
無線通信システムにおける自動再送要求(ARQ)リセットを実行する受信デバイスであって、
送信デバイスとARQリセット手続きのためのメッセージを送受信する送受信器と、
前記ARQリセット手続きが開始される場合に、ARQウィンドウの開始を示すシーケンス番号を含むARQリセットメッセージを前記送信デバイスから受信し、前記受信デバイスでの前記ARQウィンドウを構成する情報を前記受信されたARQリセットメッセージで前記シーケンス番号に設定するARQエンティティーと、
前記送受信器と前記ARQエンティティーの動作を制御するプロセッサと
を有し、
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
前記送信デバイスでの前記ARQウィンドウの下端のシーケンス、前記ARQウィンドウのサイズ、及び固有なシーケンス番号の個数の値であるARQシーケンス番号モジュラス(ARQ_SN_Modulus)を用いて決定されることを特徴とする受信デバイス。
【請求項29】
前記ARQエンティティーは、前記ARQウィンドウを構成する情報を前記シーケンス番号に設定した場合に、前記ARQリセットメッセージに応じてARQリセットアクノリッジメッセージを前記送信デバイスに送信することを特徴とする請求項28に記載の受信デバイス。
【請求項30】
前記ARQウィンドウの開始を示す前記シーケンス番号は、
下記の数式に基づいて決定されることを特徴とする請求項28または請求項29に記載の受信デバイス。
【数4】
【請求項31】
前記ARQエンティティーは、前記ARQリセットメッセージを前記送信デバイスから受信する場合に1つ又は複数のARQブロックの受信をディスエーブルすることを特徴とする請求項28乃至請求項30のうちのいずれか1項に記載の受信デバイス。
【請求項32】
前記ARQエンティティーは、ARQリセット手続きが開始される場合に、1つ又は複数のARQブロックの受信をディスエーブルすることを特徴とする請求項28乃至請求項31のうちのいずれか1項に記載の受信デバイス。
【請求項33】
前記ARQエンティティーは、前記ARQウィンドウを構成する情報を前記ARQリセットメッセージで受信された前記シーケンス番号に設定した後に、ARQブロックの受信をイネーブルすることを特徴とする請求項28乃至請求項32のうちのいずれか1項に記載の受信デバイス。
【請求項34】
前記受信デバイスでの前記ARQウィンドウを構成する情報は、前記受信デバイスから前記ARQウィンドウの下端を示す情報(ARQ_RX_WINDOW_START)と、前記受信デバイスが受信したARQブロックのもっとも大きいシーケンス番号に1を加えた値を示す情報(ARQ_RX_NEXT_BSNを含むことを特徴とする請求項28乃至請求項33のうちのいずれか1項に記載の受信デバイス。
【請求項35】
前記ARQリセット手続きは、前記送信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項28乃至請求項34のうちのいずれか1項に記載の受信デバイス。
【請求項36】
前記ARQリセット手続きは、前記受信デバイスにより開始されることを特徴とする請求項28乃至請求項34のうちのいずれか1項に記載の受信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信デバイスの技術分野に関し、特に、無線通信環境における自動再送要求(automatic repeat request:ARQ)リセット手順を実行するものに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な標準規格(例えば、米国電気・電子技術者協会(Institute of Electronic and Electric Engineers:IEEE)802.16に基づくWiMAX標準規格及びIEEE802.16の進化であるIEEE802.16mに基づく広帯域無線ネットワークは、音声及びパケットデータなどのような様々なタイプのサービスを提供する。音声及びパケットデータなどのような様々なタイプのサービスを提供するためには、制御情報及びデータパケットが移動端末機(mobile station:MS)と基地局(base station:BS)との間で交換される必要がある。制御情報は、移動端末機及び基地局で様々なプロトコルにより生成され、これに反して、データパケットは、移動端末機及び基地局で様々なアプリケーションにより生成される。
【0003】
一般的に、無線通信標準規格(例えば、3GPP LTE、IEEE802.20及びIEEE802.16e−2005)は、移動端末機と基地局との間のデータパケットを高い信頼性で送信するために媒体アクセス制御(medium access control:MAC)階層で自動再送要求(automatic repeat request:ARQ)プロトコルを使用する。一般的なARQ動作において、送信デバイス(例えば、移動端末機又は基地局)は、1つ又はそれ以上のARQブロックを受信デバイス(例えば、基地局又は移動端末機)に送信し、受信デバイスからのアクノリッジを待つ。1つ又はそれ以上のARQブロックには、シーケンス番号(sequence number:SN)が与えられるという点に留意しなければならない。受信デバイスがARQブロックの受信に成功する場合に、受信デバイスは肯定アクノリッジを送信デバイスに送信する。受信デバイスが1つ又はそれ以上のARQブロックを損失したことを検出した場合に、受信デバイスは、否定アクノリッジを送信デバイスに送信する。したがって、送信デバイスは、受信デバイスから受信されたARQフィードバックに基づいてARQウィンドウを更新する。これと同様に、受信デバイスは、受信されたARQブロックに基づいて更新されるARQウィンドウを更新する。
【0004】
一般的に、送信デバイスにおいて、ARQウィンドウは、2個のポインター(pointer)で構成される。第1のポインター(ARQ TX WINDOW START)は、ウィンドウの開始であり、送信デバイスにより送信され、受信デバイスが肯定アクノリッジをしないもっとも低いシーケンス番号を有するARQブロックを示す。第2のポインター(ARQ TX NEXT BSN)は、送信デバイスにより次に送信されるARQブロックのシーケンス番号である。第2のポインター(ARQ TX NEXT BSN)の値は、間隔ARQ_TX_WINDOW_START乃至(ARQ_TX_WINDOW_START+ARQ_WINDOW_SIZE)の間でなければならない。
【0005】
また、受信デバイスにおいて、ARQウィンドウも2個のポインターで構成される。第1のポインター(ARQ RX WINDOW START)は、最後のシーケンス番号(受信デバイスにより正しく受信されない)を有するARQブロックを示すウィンドウの先頭である。第2のポインター(ARQ RX NEXT BSN)は、受信デバイスにより受信されたもっとも大きいARQブロックのもっとも大きいシーケンス番号である。第2のポインター(ARQ RX NEXT BSN)の値は、間隔ARQ_RX_WINDOW_START乃至(ARQ_RX_WINDOW_START+ARQ_WINDOW_SIZE)の間でなければならない。ARQブロックの信頼性ある送信のために、送信デバイスでのARQウィンドウ及び受信デバイスでのARQウィンドウが同期化することが好ましい。例えば、送信デバイスでのARQウィンドウと受信デバイスでのARQウィンドウとの間の同期は、無線チャネルでエラーが存在する場合に失われる。
【0006】
この同期が失われる場合に、ARQリセット手続きが送信デバイス又は受信デバイスのARQエンティティーにより開始される。ARQリセット手続きが受信デバイスで開始される場合に、ARQエンティティーは、新たなARQブロックの送信及び否定アクノリッジをされたARQブロックの再送信を無効化する。その後に、ARQエンティティーは、ARQリセットメッセージを受信デバイスでのARQエンティティーに送信し、受信デバイスでのARQエンティティーからのARQリセットメッセージを待機する。ARQリセットメッセージに基づいて、受信デバイスでのARQエンティティーは、ARQブロック受信を無効化させ、第1のポインター(ARQ_RX_WINDOW_START)を0に設定し、第2のポインター(ARQ RX NEXT BSN)を0に設定し、ARQブロックで受信された、すべての不完全なMACサービスデータユニット(service data unit:SDU)を廃棄し、ARQブロック受信を有効化する。その後に、受信デバイスのARQエンティティーは、ARQリセットメッセージを送信デバイスのARQエンティティーに送信する。したがって、送信デバイスでのARQエンティティーは、第1のポインター(ARQ_TX_WINDOW_START)を0に設定し、第2のポインター(ARQ TX NEXT BSN)を0に設定し、廃棄状態(discarded state)に存在するARQブロックを廃棄し、その後に、ARQブロックの送信を有効化する。ARQブロックは、ARQブロックライフタイム(life time)内にARQブロックに対するアクノリッジが受信されない場合に廃棄状態に存在することに留意しなければならない。ARQリセット手続きが送信デバイスのARQエンティティーにARQ反復要請を送信する受信デバイスでのARQエンティティーを除外した受信デバイスのARQエンティティーにより開始される場合に類似したARQリセット手続きが実行される。
【0007】
現在のARQリセット手続きにおいて、送信デバイスでのARQエンティティーは、新たなARQブロック及び否定アクノリッジされたARQブロックの送信を無効化し、その後に、ARQリセットメッセージを受信デバイスでのARQエンティティーに送信する。ARQリセットメッセージの送信時点において、新たなARQブロックを有するMAC階層パケットを伝達する新たなHARQプロセスは開始されない。しかしながら、有効化され、新たなARQブロックの送信を無効化する前に生成されたARQブロックを送信するHARQプロセスが存在することがある。ARQリセットメッセージを有するMAC階層パケットを伝達するHARQプロセスは、ARQブロックを伝達するHARQプロセスの完了前に完了できるという点に留意しなければならない。したがって、受信デバイスでのARQエンティティーは、送信デバイスによるARQリセットメッセージの送信前に生成されたARQブロックより前にARQリセットメッセージを受信することができる。
【0008】
基本的に、HARQは、ARQブロックを有するMAC階層パケットを送信するために物理階層で使用される。MAC階層パケットは、ARQブロックを含むMAC PDUで構成される。HARQにおいて、複数のARQプロセス(MAC階層パケットを伝達する各HARQプロセス)は同時に有効化される。送信デバイスにより送信されたMAC階層パケットは、それぞれがチャネル条件を多様化させることにより相互に異なる再送信を試みる、複数のHARQプロセスにより順次に受信されないという点に留意しなければならない。
【0009】
HARQプロセスで伝達されるMAC階層パケットが異なる接続に属する複数のMAC PDUで構成されるために、送信デバイスは、ARQリセットメッセージが送信される場合に進行中のHARQ送信を終了させることができない。すなわち、送信デバイスが進行中のHARQ送信を終了させる場合に、他の接続に対応するデータが失われることがある。
【0010】
これとは異なり、HARQ再整列は、MAC階層パケットでMAC PDUを処理する前に受信デバイスで実行することができる。しかしながら、HARQ再整列は、1個の接続のMAC PDUが他の接続のMAC PDUの遅延により、HARQ再整列が接続と交差して実行される場合に、サービス品質(quality of service:QoS)が悪化することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したような既存のARQリセット手続きの制限は、下記のような例を挙げて説明する。
【0012】
1)データ損失:ARQリセット手続きの完了後に送信デバイスにより送信される、多くの個数のARQブロックは、デュプリケート(duplicate)として廃棄されることもある。ARQウィンドウサイズ512を有するシステムを考慮する。また、ARQリセット手続きが開始される場合にSN300から開始されるARQブロックが送信される場合を考慮する。
【0013】
ARQウィンドウがリセットされた後に受信デバイスによりSN300を有するARQブロックが受信される場合を仮定する。SN300を有するARQブロックを受信する場合に、受信デバイスは、パージタイマー(purge timer)の駆動を開始し、SN0からSN299を有するARQブロックの受信を待つ。一般的に、パージタイマー値は、ARQブロックに対するARQ再送信回数を考慮するように構成される。この後に、上述したようなシナリオは、ARQウィンドウの終わりでARQブロックの受信により開始される。したがって、パージタイマーの駆動が終了される場合に、送信デバイスは、ARQリセットを開始した後に受信デバイスが期待するすべてのARQブロックでない、送信された新たなARQブロックを有することができる。説明のために、ARQリセットを開始した後に、またパージタイマーの駆動を終了する前に、送信デバイスにより200個のARQブロックが送信される場合を考慮する。また、200個のARQブロックのすべてが受信デバイスにより受信される場合を考慮する。
【0014】
パージタイマーの駆動が終了した後に、受信デバイスにおいて、ARQウィンドウはSN301で開始され、これに反して、送信デバイスのARQウィンドウはSN200で開始される。結果的に、送信デバイスは、SN200で開始されるARQブロックを送信し、SN200乃至SN300のすべてのARQブロックは、上位階層(TCP)でデータ損失及び多くの再送信をもたらすデュプリケートとして廃棄される。
【0015】
2)信頼性がない送信(アプリケーションによる不正確なデータ受信:送信デバイスがSN0乃至SN3を有するARQブロックを送信し、第1のタイマー(ARQ_TX_WINDOW_START)がSN0を示し、第2のタイマー(ARQ_TX_NEXT_SN)がSN4を示す場合を考慮する。MAC SDU1がSN0を有するARQブロックで送信される。MAC SDU2がSN1を有するARQブロックで送信される。MAC SDU3の1番目のフラグメントがSN2を有するARQブロックで送信される。MAC SDU3の最後のフラグメントがSN3を有するARQブロックで送信される。ARQリセット手続きが開始される場合に、SN3を有するARQブロックが送信される。ARQブロックは、ARQリセット手続きの後に受信デバイスにより受信される。ARQリセット手続きの完了後に、送信デバイスは、SN=0から開始されるARQブロックでさらにMAC SDUを送信する。
【0016】
SN0を有するARQブロックがMAC SDU1を伝達する場合を考慮する。SN1を有するARQブロックは、MAC SDU2及びMAC SDU3を送信する。SN2を有するARQブロックは、MAC SDU4の1番目のフラグメントを伝達し、SN3を有するARQブロックは、MAC SDU4の最後のフラグメントを送信する。受信デバイスがSN3を有するARQブロックを受信する場合に、ARQブロックは、ARQ受信器がSN3を有するARQブロックを受信するためにデュプリケートとして廃棄される。その後に、受信デバイスは、SN2及びSN3を有するARQブロックを結合することによりMAC SDUを生成し、上位階層に送信する。しかしながら、MAC SDUは、MAC SDUがSDU4からの前半及びSDU3からの後半で構成されるために不正確なMAC SDUとなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、少なくとも上述した問題点及び/又は不都合に取り組み、少なくとも以下の便宜を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、無線通信環境における自動再送要求(ARQ)リセットを実行する方法及びシステムを提供することにある。
【0018】
ここで説明される図は、説明のための目的のみとして使用され、本発明の範囲を限定する意図として使用されてはいけないことに留意しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による自動再送要求(ARQ)リセット手順を実行する無線通信システムのブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図である
図3】本発明の他の実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図である。
図4】本発明のもう1つの実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図である。
図5】本発明のもう1つの実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図である。
図6A】本発明の一実施形態によるARQリセットメッセージ及びARQリセットアクノリッジメッセージのフォーマットを示す図である。
図6B】本発明の一実施形態によるARQリセットメッセージ及びARQリセットアクノリッジメッセージのフォーマットを示す図である。
図7】本発明の実施形態を実現する様々な構成要素を示す送信デバイスのブロック図である。
図8】本発明の実施形態を実現する様々な構成要素を示す受信デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態についての下記の具体的な説明において、参照符号は、その一部を構成し、本発明が実行することができる具体的な実施形態を示すための方式として図示される添付の図で使用することができる。本発明の実施形態は、本発明が属する技術分野の当業者が本発明を実行することができるように十分に具体的に説明される。また、本発明の範囲を逸脱することなく他の実施形態が使用され、本発明の実施形態の様々な変更及び修正が可能であるということは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。したがって、下記の具体的な説明は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきである。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による自動再送要求(automatic repeat request:ARQ)リセット手続きを実行する無線通信システム100の構成を示すブロック図である。図1において、無線通信システム100は、ARQ TXエンティティー106を有する送信デバイス102と、ARQ RXエンティティー108を有する受信デバイス104と、ネットワーク110とを含む。例えば、送信デバイス102は、基地局又はユーザ端末機であってもよい。また、受信デバイス104は、ユーザ端末機又は基地局であってもよい。
【0022】
望ましい動作において、ARQ TXエンティティー106は、送信デバイス102及び受信デバイス104に関連するARQウィンドウを同期化させるARQリセット手続きを開始する場合を考慮する。ARQ RXエンティティー108がARQリセット手続きを開始することができることに留意しなければならない。ARQ TXエンティティー106は、ARQリセット手続きを開始する場合にARQウィンドウの開始に対応するシーケンス番号を決定する。決定されたシーケンス番号は、ARQリセット手続きが完了する場合に送信デバイス102により送信される1番目のARQブロックのシーケンス番号である。
【0023】
ARQ TXエンティティー106は、決定されたARQブロックのシーケンス番号を示すARQリセットメッセージを受信デバイス104に送信する。したがって、ARQ RXエンティティー108は、受信デバイス104のARQウィンドウの第1のポインター(ARQ_RX_WINDOW_START_SN)値及び第2のポインター(ARQ_RX_NEXT_SN)値を送信デバイス102から受信されたARQリセットメッセージにより示されるシーケンス番号に設定する。その後に、ARQ RXエンティティー108は、ARQリセットアクノリッジ(acknowledgment)メッセージを送信デバイス102に送信する。ARQリセットアクノリッジメッセージを受信する場合に、ARQ TXエンティティー106は、送信デバイス102のARQウィンドウの第1のポインター(ARQ_TX_WINDOW_START_SN)値及び第2のポインター(ARQ_TX_NEXT_SN)値を決定されたシーケンス番号(すなわち、ARQ TXエンティティー106により送信されたARQリセットメッセージにより示されるシーケンス番号)に設定する。その後に、上述したような方法でARQリセット手続きが完了する。したがって、送信デバイス102及び受信デバイス104は、ARQリセット手続きを完了する場合に、ARQリセット手続きが送信デバイス102又は受信デバイス104により開始されるか否かに関係なくARQ TXエンティティー106により決定されたシーケンス番号から送信デバイス102及び受信デバイス104のARQウィンドウを開始する。また、以下では、本発明の1つ又はそれ以上の望ましい実施形態によるARQリセット手続きについては、図2乃至図5を参照して具体的に説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図200である。ステップ202において、ARQ TXエンティティー106は、ARQリセット手続きを開始する場合に新たなARQブロックの送信及び前に送信されたARQブロックの再送信を無効化する。図2におけるステップ202乃至ステップ222は、ARQリセット手続きが送信デバイス102により開始される場合に送信デバイス102と受信デバイス104との間に実行されるARQリセット手続きを示す。
【0025】
ステップ204において、ARQ TXエンティティー106は、ARQリセット手続きの開始が起動される場合にARQウィンドウの開始に対応するシーケンス番号を決定する。本発明の一実施形態において、送信デバイス102及び受信デバイス104のARQウィンドウは、ARQリセット手続きが完了する場合に決定されたシーケンス番号から開始される。本発明の一実施形態において、決定されたシーケンス番号は、ARQリセット手続きが完了する場合に、送信デバイス102により送信される1番目のARQブロックのシーケンス番号に対応する。ステップ204は、ステップ202と同時に実行されることもできるという点に留意しなければならない。
【0026】
本発明の一実施形態において、シーケンス番号は、ARQリセット手続きの開始が起動される場合に、送信デバイス102のARQウィンドウの第1のポインター値(ARQ_TX_WINDOW_START_SN)に基づいて決定される。本発明の一実施形態において、ARQウィンドウの開始に対応するシーケンス番号(ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESET)は、次のような数式に基づいて決定される。
ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESET=(ARQ_TX_WINDOW_START_SN+ARQ_WINDOW_SIZE)mod(ARQ_SN_MODULUS)
【0027】
ここで、ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESETは、決定されたシーケンス番号であり、ARQ_TX_WINDOW_START_SNは、ARQリセット手続きが起動された時点で送信デバイス102のARQウィンドウの開始シーケンスであり、ARQ_SN_MODULUSは、複数の固有シーケンス番号値である。例えば、シーケンス番号が10ビット(シーケンス番号=10ビット)であり、ARQ_WINDOW_SIZEが512(ARQ_WINDOW_SIZE=512)であるシステムを考慮する。ARQ_TX_WINDOW_START_SNが0(ARQ_TX_WINDOW_START_SN=0)である場合に、ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESETは、521(ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESET=(0+512) mod (1024)=512)である。ARQリセット手続きを完了する場合に、送信デバイス102は、シーケンス番号が512(シーケンス番号=512)から開始する新たなARQブロックを送信する。すなわち、ARQリセット手続きを完了する場合に、受信デバイス104が受信するものと期待する1番目のARQブロックは、シーケンス番号512を有するARQブロックである。
【0028】
本発明のもう1つの実施形態において、シーケンス番号は、ARQリセット手続きが起動される時点で送信デバイス102のARQウィンドウの第2のポインター値(ARQ_TX_NEXT_SN)に基づいて決定される。本発明の望ましい一実施形態において、ARQウィンドウの開始に対応するシーケンス番号(ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESET)は、下記の数式に基づいて決定される。
ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESET=(ARQ_TX_NEXT_SN+ARQ_WINDOW_SIZE)mod(ARQ_SN_MODULUS)
【0029】
ここで、ARQ_TX_NEXT_SNは、最後に送信された新たなARQブロックのシーケンス番号より大きい。
【0030】
ステップ206において、ARQ TXエンティティー106は、決定されたシーケンス番号を有するARQリセットメッセージを送信する。ARQリセットメッセージは、ARQリセット手続きが開始されることをARQ RXエンティティー108に示す。ARQリセットメッセージを受信する場合に、ARQ RXエンティティー108は、ステップ208において、送信デバイス102からのARQブロックの受信を無効化する。ステップ210において、ARQ RXエンティティー108は、ARQリセットメッセージを受信する場合にARQブロックで不完全なMAC PDUを廃棄する。
【0031】
ステップ212において、ARQ RXエンティティー108は、受信デバイス104のARQウィンドウの第1のポインター値(ARQ_RX_WINDOW_START_SN)及び第2のポインター値(ARQ_RX_NEXT_SN)をARQリセットメッセージで示されるシーケンス番号(ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESET)に設定する。ステップ214において、ARQ RXエンティティー108は、送信デバイス102からのARQブロックの受信を有効化する。ステップ216において、ARQ RXエンティティー108は、ARQリセットメッセージの受信を示すARQリセットアクノリッジメッセージを送信する。
【0032】
ステップ218において、ARQ TXエンティティー106は、送信デバイス104でのARQウィンドウの第1のポインター値(ARQ_TX_WINDOW_START_SN)及び第2のポインター値(ARQ_RX_NEXT_SN)を決定されたシーケンス番号(ARQ_WINDOW_START_SNARQ_RESET)に設定する。ステップ220において、ARQ TXエンティティー106は、第1のポインター値及び第2のポインター値をARQウィンドウに設定する場合に廃棄状態に存在するARQブロックを廃棄する。ステップ222において、ARQ TXエンティティー106は、受信デバイス104のARQブロックの送信を有効化する。
【0033】
図3は、本発明の他の実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図300である。図3に示す方法において、ARQ受信エンティティー108は、ステップ302において、ARQリセット手続きの開始を示すARQリセットメッセージを送信デバイス102に送信する。図3のステップ304乃至ステップ324は、上述したステップ202乃至ステップ222と類似しているため、ステップ304乃至ステップ324に関する説明を省略する。
【0034】
図4は、本発明のもう1つの実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図400である。図4は、送信デバイス102により開始されるARQリセットを実行する方法を示しており、したがって、その手順は、ステップ416乃至ステップ418を除き、図2で説明したARQリセット手続きと類似していることに留意しなければならない。
【0035】
ステップ416において、ARQ RXエンティティー108は、ARQウィンドウをリセットする前に(すなわち、ステップ412においてARQウィンドウの第1のポインター値及び第2のポインター値をARQ TXエンティティー106からのARQリセットメッセージで受信されたシーケンス番号に設定する前に)受信デバイス104のARQウィンドウの第1のポインター値により示されるARQブロックのシーケンス番号を示すARQリセットアクノリッジメッセージをARQ TXエンティティー106に送信する。したがって、ステップ418において、ARQ TXエンティティー106は、受信デバイス104により肯定アクノリッジされたARQリセットアクノリッジメッセージでのシーケンス番号より小さいシーケンス番号を有するARQブロックを考慮する。この後に、送信デバイス102は、肯定アクノリッジされたARQブロックで送信されたMAC SDUの再送信を避ける。
【0036】
図5は、本発明のもう1つの実施形態による無線通信環境におけるARQリセット手続きを実行する方法を示すフロー図500である。図5は、送信デバイス102により開始されるARQリセットを実行する方法を示しており、したがって、その手順は、ステップ518乃至ステップ520を除いて図3で示したARQリセット手続きと類似していることに留意しなければならない。
【0037】
ステップ518において、ARQ RXエンティティー108は、ARQウィンドウをリセットする前に(すなわち、ステップ514においてARQウィンドウの第1のポインター値及び第2のポインター値をARQ TXエンティティー106からのARQリセットメッセージで受信されたシーケンス番号に設定する前に)受信デバイス104のARQウィンドウの第1のポインター値により示されるARQブロックのシーケンス番号を示すARQリセットアクノリッジメッセージをARQ TXエンティティー106に送信する。したがって、ステップ520において、ARQ TXエンティティー106は、受信デバイス104により肯定アクノリッジされたARQリセットアクノリッジメッセージでのシーケンス番号より小さいシーケンス番号を有するARQブロックを考慮する。この後に、送信デバイス102は、肯定アクノリッジされたARQブロックで送信されたMAC SDUの再送信を避ける。
【0038】
図6A及び図6Bは、本発明の一実施形態によるARQリセットメッセージ及びARQリセットアクノリッジメッセージの望ましいフォーマット600及び650を示す図である。図6Aにおいて、参照符号600は、ARQリセット手続きが送信デバイス102により開始される場合に受信デバイス102に送信される決定されたシーケンス番号を含むARQリセットメッセージ(例えば、ステップ206で送信されるARQリセットメッセージ)のフォーマットを示す。また、参照符号600は、ARQリセット手続きが受信デバイス104により開始される場合に受信デバイス104に送信される決定されたシーケンス番号を含むARQリセットメッセージ(例えば、ステップ308で送信されるARQリセットメッセージ)の他のフォーマットを示す。ARQリセットメッセージは、ARQウィンドウをリセットするために決定されたシーケンス番号を示す追加の‘ARQウィンドウ開始’フィールドを含むという点に留意しなければならない。
【0039】
図6Bにおいて、参照符号650は、ARQリセットメッセージが受信デバイス104で受信される場合に第1のポインター値により示されるシーケンス番号を含むARQリセットアクノリッジメッセージ(例えば、ステップ416で送信されるARQリセットアクノリッジメッセージ)のフォーマットを示す。ARQアクノリッジリセットメッセージは、ARQリセットメッセージが受信デバイス104で受信される場合に受信デバイス104のARQウィンドウの開始に対応するARQブロックのシーケンス番号を示す追加の‘ARQ受信器ウィンドウ開始’フィールドを含むという点に留意しなければならない。
【0040】
図7は、本発明の実施形態を実現する様々な構成要素を示す送信デバイス102のブロック図である。図7において、送信デバイス102は、プロセッサ702と、メモリ704と、読み取り専用メモリ(read-only memory:ROM)706と、送受信器708と、バス710と、通信インターフェース712と、ディスプレー714と、入力デバイス716と、カーソル制御(cursor control)718とを含む。
【0041】
ここで使用されるプロセッサ702は、マイクロプロセッサ(microprocessor)と、マイクロコントローラ(microcontroller)と、複合命令語セットコンピューティングマイクロプロセッサ(complex instruction set computing microprocessor:CISCプロセッサ)と、縮小命令語セットコンピューティングマイクロプロセッサ(reduced instruction set computing microprocessor:RISCプロセッサ)と、長い命令語マイクロプロセッサ(very long instruction word microprocessor:VLSIプロセッサ)と、明白な並列命令語コンピューティングマイクロプロセッサ(explicitly parallel instruction computing microprocessor:EPICプロセッサ)と、グラフィックプロセッサ(graphics processor)と、ディジタル信号プロセッサ(digital signal processor)又は他のいずれの形態の処理回路のような、しかしながら、これらに限定されない任意のタイプのコンピューティング回路を示す。また、プロセッサ702は、一般論理デバイス又はプログラム可能論理デバイス(generic or programmable logic devices)又はアレイ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit)、単一チップ(single-chip)コンピュータ、及びスマートカードなどのような挿入された制御器を含むことができる。
【0042】
メモリ704及びROM706は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリであってもよい。メモリ704は、上述したような1つ又はそれ以上の実施形態に従うARQウィンドウをリセットする1つ又はそれ以上のステップを実行する(例えば、ARQウィンドウの開始に対応するシーケンス番号を決定し、ARQウィンドウの第1のポインター値及び第2のポインター値を決定されたシーケンス番号に設定する)ARQ TXエンティティー106を含む。様々なコンピュータ読み取り可能な記録媒体がメモリエレメントに記憶されてもよく、メモリエレメントからアクセスされることができる。メモリエレメントは、データ及び機械読み取り可能な命令語を記憶するのに適合したいずれの形態のメモリデバイスも含むことができ、適合したメモリデバイスは、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read only memory:EPROM)と、電気消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(electrically erasable programmable read only memory:EEPROM)と、ハードディスクドライブと、コンパクトディスクを処理する除去可能なメディアドライブと、メモリカードと、メモリスティック(登録商標)(Memory Stick)などであることができる。
【0043】
本発明の実施形態は、タスクを実行するか、要約データタイプ又はローレベルハードウェアコンテキストを定義するために、関数、手順、データ構造、及びアプリケーションプログラムを含むモジュールとともに実現することができる。上述したような記録媒体に記憶された機械読み取り可能な命令語は、プロセッサ702により実行することができる。例えば、コンピュータプログラムは、上述したような本発明の実施形態及びその教示に従って1つまたは複数のステップを実行可能な機械読み取り可能な命令語を含むことができる。本発明の一実施形態において、プログラムは、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact disk-read only memory:CD−ROM)に含まれることができ、CD−ROMから不揮発性メモリのハードディスクドライブにローディングされることができる。機械読み取り可能な命令語は、本発明の様々な実施形態に従って送信デバイス102がエンコーディングするようにすることができる。
【0044】
送受信器708は、ARQウィンドウの開始に対応するシーケンス番号を含むARQリセットメッセージを受信デバイスに送信し、ARQリセットメッセージに応じてARQリセットアクノリッジメッセージを受信することができる。バス710は、送信デバイス102の様々な構成要素間の相互接続として動作する。通信インターフェース712、ディスプレー714、入力デバイス716、及びカーソル制御718のような構成要素は、当該技術分野の当業者によく知られており、したがってその説明を省略する。
【0045】
図8は、本発明の実施形態を実現する様々な構成要素を示す受信デバイス104のブロック図である。図8において、受信デバイス104は、プロセッサ802と、メモリ804と、読み取り専用メモリ(read only memory:ROM)806と、送受信器808と、バス810と、通信インターフェース812と、ディスプレー814と、入力デバイス816と、カーソル制御818とを含む。
【0046】
ここで使用されるプロセッサ802は、マイクロプロセッサと、マイクロ制御器と、CISCプロセッサと、RISCプロセッサと、VLSIプロセッサと、EPICプロセッサと、グラフィックプロセッサと、ディジタル信号プロセッサ、又は他の任意の形態の処理回路のような、しかしながら、これらに限定されない任意のタイプのコンピューティング回路を示す。また、プロセッサ802は、一般論理デバイス又はプログラマブル論理デバイス又はアレイ、特定用途向け集積回路、単一チップコンピュータ、スマートカードなどのような埋め込み制御器を含むこともできる。
【0047】
メモリ804及びROM806は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリであることができる。メモリ804は、上述したような1つ又はそれ以上の実施形態によるARQウィンドウをリセットする1つ又はそれ以上のステップを実行する(例えば、決定されたシーケンス番号を含むARQリセットメッセージを受信し、ARQウィンドウの第1のポインター値及び第2のポインター値を決定されたシーケンス番号に設定する)ARQ RXモジュール108を含む。様々なコンピュータ読み取り可能な記録媒体がメモリエレメントに記憶されることができ、メモリエレメントから接続されることができる。メモリエレメントは、データ及び機械読み取り可能な命令語を記憶するのに適合したいずれの形態のメモリデバイスも含むことができ、適合したメモリデバイスは、ランダムアクセスメモリと、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリと、電気的消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリと、ハードドライブと、コンパクトディスクを処理する除去可能なメディアドライブと、メモリカードと、メモリスティック(登録商標)などであることができる。
【0048】
本発明の実施形態は、タスクを実行するか又は要約データタイプ又はローレベルハードウェアコンテキストを定義するために、関数と、手順と、データ構造と、アプリケーションプログラムを含むモジュールとともに実現することができる。上述したような記録媒体に記憶された機械読み取り可能な命令語は、プロセッサ802により実行されることができる。例えば、コンピュータプログラムは、上述したような本発明の実施形態及びその教示に従ってARQウィンドウをリセットする1つ又はそれ以上のステップを実行することができる機械読み取り可能な命令語を含むことができる。本発明の一実施形態において、プログラムは、コンパクトディスク読み取り専用メモリ:CD−ROM)に含まれることができ、CD−ROMから不揮発性メモリのハードドライブにローディングされることができる。機械読み取り可能な命令語は、本発明の様々な実施形態に従って受信デバイス104がエンコーディングするようにすることができる。
【0049】
送受信器808は、ARQウィンドウの開始に対応するシーケンス番号を含むARQリセットメッセージを受信し、ARQリセットアクノリッジメッセージを送信デバイス102に送信することができる。バス810は、受信デバイス104の様々な構成要素間の相互接続として動作する。通信インターフェース812と、ディスプレー814と、入力デバイス816と、カーソル制御818のような構成要素は、当該技術分野の当業者によく知られており、したがってその説明を省略する。
【0050】
本発明が特定の例示的な実施形態を参照して説明されたが、様々な実施形態の範囲及び趣旨を逸脱することなく、ここに説明する実施形態の様々な変更及び修正が可能あるということは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。また、ここに説明される様々なデバイス、モジュール、選択器、推定器などがハードウェア回路、例えば、相補的金属酸化物半導体基盤ロジック回路、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェア、ファームウェア、及び/又は機械読取り可能な媒体で実現されるソフトウェアの任意の組み合せを使用して有効化され動作されることができる。例えば、様々な電気構造及び方法がトランジスタ、ロジックゲート、及び特定用途向け集積回路のような電気回路を使用して実現されることができる。
【符号の説明】
【0051】
102 送信デバイス
104 受信デバイス
106 ARQ TXエンティティー
108 ARQ RXエンティティー
702 プロセッサ
704 メモリ
706 ROM
708 送受信器
710 通信インターフェース
712 BUS
714 ディスプレー
716 ディスプレー
718 カーソル制御
802 プロセッサ
804 メモリ
806 ROM
808 送受信器
810 通信インターフェース
812 BUS
814 ディスプレー
816 ディスプレー
818 カーソル制御
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8