(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871950
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】包装済み消費者製品の生産履歴管理
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20160216BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20160216BHJP
B65B 65/08 20060101ALI20160216BHJP
B65B 63/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04 100
B65B65/08
B65B63/00
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-546643(P2013-546643)
(86)(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公表番号】特表2014-506358(P2014-506358A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】EP2011071861
(87)【国際公開番号】WO2012089447
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】10197228.9
(32)【優先日】2010年12月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593205554
【氏名又は名称】テトラ・ラヴァル・ホールディングス・アンド・ファイナンス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】TETRA LAVAL HOLDINGS & FINANCE S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ベルイマン
【審査官】
後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−337610(JP,A)
【文献】
特開2002−268722(JP,A)
【文献】
特開2006−018459(JP,A)
【文献】
特開2009−122926(JP,A)
【文献】
特開2004−157741(JP,A)
【文献】
特開2008−056433(JP,A)
【文献】
特開2005−258546(JP,A)
【文献】
特表2011−508327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
B65B 63/00
B65B 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・一次パッケージを生産し、梱包して二次パッケージを形成するように構成される包装ラインであって、二次パッケージが、順番に生産されると共に、順番に提供される一次パッケージで形成される、包装ラインと、
・一次パッケージを追跡することを可能にするように構成されるパッケージ追跡システムとを含む包装システムにおいて、
前記パッケージ追跡システムは、
・各二次パッケージについて、前記二次パッケージ中の最初の一次パッケージについての一次パッケージ連続番号および前記二次パッケージ中の最後の一次パッケージについての一次パッケージ連続番号を計算し、
・各二次パッケージについて、前記二次パッケージ中の前記最初の一次パッケージについての一次パッケージ生産時間および前記二次パッケージ中の前記最後の一次パッケージについての一次パッケージ生産時間を、対応する前記一次パッケージ連続番号に基づいて計算し、
前記一次パッケージ生産時間は、一次パッケージが生産された時刻を表し、
・リポジトリに、前記二次パッケージ中の前記最初および前記最後の一次パッケージについての一次パッケージ生産時間を、関連する二次パッケージ識別子と一緒に保存するように構成され、
前記パッケージ追跡システムは、二次パッケージ中の前記最初および前記最後の一次パッケージについての前記一次パッケージ連続番号を次の式に基づいて計算するように構成され、
【数1】
ただし、
PPSNは、一次パッケージ連続番号であり、
FPは、二次パッケージ連続番号であり、
iは、二次パッケージ連続指標であり、
PPISP
iは、iに等しい二次パッケージ連続指標を持つ二次パッケージ中の一次パッケージの数であり、
前記パッケージ追跡システムは、二次パッケージ中の前記最初および前記最後の一次パッケージについての前記一次パッケージ生産時間を次の式に基づいて計算するように構成され、
【数2】
ただし、
PPSNは、一次パッケージ連続番号であり、
PPPTは、一次パッケージ生産時間であり、
BSTは、生産バッチ開始時間であり、
FSM(t)は、生産バッチ中に時間単位当たりに生産される一次パッケージの数を表す、包装システム。
【請求項2】
前記パッケージ追跡システムは、一次パッケージ生産時間を、
・各時間区分で時間単位当たりに生産される前記一次パッケージの数が一定であるような連続する時間区分を生産バッチで識別するステップと、
・前記生産バッチの初めから時間区分の終わりまでに生産される前記一次パッケージの数を次の式に基づいて計算するステップであって、
【数3】
ただし、
ACCNPは、前記生産バッチの初めから前記時間区分の終わりまでに生産される前記一次パッケージの数であり、
TSSNは、時間区分連続番号であり、
NP
iは、iに等しい時間区分連続番号を持つ時間区分中に生産される前記一次パッケージの数であるステップと、
・次の関係式が満たされる前記生産バッチでの
時間区分のうち1番最初の時間区分を識別するステップと、
ACCNP≧PPSN
・前記一次パッケージ生産時間を次の式に基づいて計算するステップであって、
【数4】
ただしATは、前記識別された時間区分の開始時間であ
り、Sは、前記識別された時間区分中の時間単位当たりに生産される一次パッケージの数である、ステップとによって計算するように構成される、請求項
1に記載の包装システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載されているように、包装システムによって生産される一次パッケージを追跡することを可能にするように構成されるパッケージ追跡システム。
【請求項4】
請求項3に記載のパッケージ追跡システムにロード可能であり、実行されるとき、前記パッケージ追跡システムが請求項1または2に記載されているように構成されるように設計されたソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に消費者製品の包装に関し、詳細には包装済み消費者製品、具体的には注げる食品製品などの腐りやすい製品の生産履歴管理に関し、次の説明は具体的に、純粋に例としてそれらに言及する。
【背景技術】
【0002】
周知であるように、食品包装工場の作業場では、入ってくる食品および包装材料の保存、食品加工、食品包装、ならびにパッケージ保管を含む、いくつかの特定目的のプロセスが、一般に行われる。具体的に注げる食品製品に関して、食品包装は、包装ラインで行われ、そのそれぞれは、パッケージの生産および取扱いのための機械および装置の集合であり、パッケージの生産のための充填機を含み、その後にパッケージの取扱いのための、コンベヤーを介して充填機に接続されるアキュムレーター、ストローアプリケーター、フィルム巻き付け機、および段ボール梱包機などの下流の分配装置の1つまたは複数の規定構成が続く。
【0003】
この種のパッケージの典型的な例は、Tetra Brik Aseptic(登録商標)として周知の液体または注げる食品製品のための平行六面体形状のパッケージであり、それは、包装材料の積層ウェブを折り曲げ、密封することによって作られる。
【0004】
包装材料は、両面を多数の熱融着プラスチック材料層、例えばポリエチレンフィルムで覆われた、典型的には繊維状材料、例えば紙または無機充填ポリプロピレン材料でできた1つまたは複数の硬化および強化ベース層を実質的に含む多層シート構造を有する。UHTミルクなどの長期保存製品のための無菌パッケージの場合には、包装材料はまた、ガス障壁および光障壁材料層、例えばアルミホイルまたはエチルビニルアルコール(EVOH)フィルムも含み、それは、熱融着プラスチック材料層に重ね合わされ、次に食品製品に最終的に接触するパッケージの内面を形成する別の熱融着プラスチック材料層で覆われる。
【0005】
この種のパッケージは、全自動充填機で生産され、そこでは連続垂直チューブが、ウェブ供給包装材料から形成され、その包装材料は、過酸化水素溶液などの化学的滅菌剤を塗布することによって殺菌され、その滅菌剤は、いったん殺菌が完了すると、包装材料の表面から除去され、例えば加熱することによって蒸発され、そして殺菌済みウェブは、閉じた無菌環境で維持され、縦方向に折り曲げられ、密封されて垂直チューブを形成する。チューブは次いで、殺菌されたまたは無菌処理された注げる食品製品で下方へ充填され、垂直経路に沿って成形ステーションに送られ、そこでチューブは、2対のあごによって等間隔の横断面に沿って握られ、そのあごは、チューブに周期的にかつ連続して作用し、チューブの包装材料を密封して、横方向密封ストリップによって互いに接続される枕状パックの連続ストリップを形成する。枕状パックは、相対密封ストリップを切断することによって互いに分離され、最終の折り曲げステーションに搬送され、そこでそれらは、完成した、例えば実質的に平行六面体形状のパッケージに機械的に折り曲げられる。
【0006】
別法として、包装材料は、成形スピンドルでパッケージに形成される素材片に切断されてもよく、そのパッケージは、食品製品で充填され、密封される。この種のパッケージの一例は、Tetra Rex(登録商標)として周知のいわゆる「ゲーブルトップ」パッケージである。
【0007】
前世代の包装ラインは、一般に分散制御で、構成柔軟性は貧弱または皆無でさえあり、異なる通信チャネルならびに自動化解決策およびハードウェアを有し、一般に充填機および各分配装置でライン自動化ソフトウェアのカスタマイズを必要とする。
【0008】
したがって、前世代の包装ラインのための自動化および制御システムは、食品安全性および生産履歴管理、ならびにより高い生産多用途性に対して増え続ける市場需要を満たすために必要とされる柔軟性および機能性特徴を提供することができなかった。しかしながら、それらの年代にもかかわらず、受けつがれてきた多くの自動化および制御システムは、有益な機能性を提供し続け、それによりアップグレードを保証され、したがって莫大な設備投資が、生産管理により、長い間要求されることになる。
【0009】
そのことを考慮すると、包装工場自動化発展について、特に集中型の強固な自動化制御、増加した構成柔軟性、同じ通信チャネルならびに自動化解決策およびハードウェアなどの統合的解決策を特徴とする新世代の包装ラインの必要性は、それ故に増え続けるように感じられ、充填機および分配装置でのライン自動化ソフトウェアのカスタマイズについての必要性は、感じられなかった。
【0010】
新世代の包装ラインは、最近の世代の包装ラインでは、ほとんど実施可能でない、または実施することが不可能でさえあった、新しい有益な機能性を容易に実施することを可能にする。これらの新しい有益な機能性の1つ、ことによると最も重要なものの1つは、パッケージ生産履歴管理であり、それは、欠陥があるとされるまたは事実上欠陥がある包装済み消費者製品を市場からタイムリーに引き抜く/回収することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2009/083594号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2009/083595号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2009/083597号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2009/083598号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
信頼できるパッケージ生産履歴管理は、追跡すべき作業を包装済み消費者製品または包装済み消費者製品のパックについて実行するたびに、関連する一意の識別子を各包装済み消費者製品および包装済み消費者製品の各パックにマーキングし、次いでそのマーキングした識別子を後で問い合わせるためにリポジトリに記録することを必要とすることになる。
【0013】
しかしながら、この手法は、計算リソース要求が多く、それ故に高いパッケージ生産速度を持つ包装システムでほとんど実施できないことが判明することもある。
【0014】
したがって、工業的に容認できるトレードオフを生産履歴管理と信頼性との間で達成することを可能にする解決策が一方で、および計算リソース要求がもう一方で、研究されてきた。
【0015】
本発明の目的はそれ故に、この必要性を満たすことを可能にする生産履歴管理解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明が包装システムに関するという点において本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】統合包装システムの概略レイアウトを示す図である。
【
図2】包装ラインでの生産関連量の時間展開を描写する線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次の説明は、当業者が本発明を作り、使用することができるようにするために提供される。実施形態への様々な変更は、特許請求されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には容易に明らかであろう。それ故に、本発明は、図示する実施形態に限定されることを意図しないが、しかし本明細書で開示され、添付の特許請求の範囲で規定される原理および特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0019】
図1は、包装工場での新世代の包装システムの概略レイアウトを示す。
【0020】
包装システムは、すべて出願人の名前によるもので、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2009/083594号パンフレット、国際公開第2009/083595号パンフレット、国際公開第2009/083597号パンフレットおよび国際公開第2009/083598号パンフレットで述べられる種類であり、1つまたは複数の包装ラインを含み、それらのうちの1つだけが、
図1で示され、それらは、包装済み消費者製品を生産するように自動的に構成可能である。
【0021】
包装ラインは、次のものを含む。
・コンベヤー(C)を介して互いにかつ充填機(FM)にカスケード接続され、すべてそれ自体周知であり、それ故に詳細に述べられない、アキュムレーター、ストローアプリケーター、キャップアプリケーター、ハンドルアプリケーター、段ボール梱包機、フィルム巻き付け機、設定スイッチ、動的スイッチ、およびパレットシステムなどの1つまたは複数の下流の分配装置が後に続く充填機または装置。特に、充填機は、1つまたは異なる種類の密封パッケージを選択的に生産するように動作可能であり、そのパッケージは、注入によって密封パッケージに導入される1つまたは異なる食品製品を含有し、そのパッケージは、少なくとも1つの硬化および強化ベース層ならびに1つまたは複数の熱融着プラスチック層を含む多層シート(積層化)包装材料でできており、各分配装置は、入ってくる個別密封パッケージまたは密封パッケージのパックについて対応する包装作業を実行するように動作可能である。
・充填機と分配装置との間の相互作用を最適化して生産中の包装ライン性能および製品輸送を改善することを目的として、包装ラインの構成、通信および制御を管理するように設計されたラインコントローラ。
・生産情報、装置停止、材料要求、ラインフェーズ、その他などの、充填機および分配装置の動作についての基本的視覚情報を提供するように設計されたオーバーヘッドメッセージ表示装置(
図1で示されず)。
・例えばスタートポロジーを持つスイッチ型イーサネット(登録商標)ネットワークを含み、ラインコントローラを充填機、分配装置、およびメッセージ表示装置に接続するように設計された通信ネットワーク、フィールドバス、例えばデバイスネット、ラインコントローラをコンベヤーに接続するように設計されたネットワーク、ラインコントローラをコンベヤー潤滑ユニットに接続するように設計されたデジタルI/O、ならびに統合製造システムでの法的必要条件(例えば、ISO11161、顧客サイトでの包装ラインCEマーキング)のより容易な達成を可能にするために、ラインコントローラ、充填機、分配装置、およびコンベヤーでゾーンに基づく安全PLC間の安全シリアル通信を提供するように設計された安全バス。
【0022】
包装システムはさらに、次のものを含む。
・生産日および賞味期限、製品説明、生産バッチID、(バー)コード、その他などの図形情報を包装ラインによって生産された個別包装済み消費者製品または包装済み消費者製品のパックに付加するように設計され、包装ラインに沿って提供される1つまたは複数のマーキングステーションを含み、そのそれぞれが、受信したマーキングコマンドに応答して図形情報を個別包装済み消費者製品もしくは包装済み消費者製品のパックに印刷するように動作可能なインクジェットおよび/または熱転写および/またはレーザープリンタなどの1つもしくは複数のマーキングデバイス、ならびに受信したマーキングコマンドに応答して図形情報を空白ラベルに印刷し、次いで印刷されたラベルを個別包装済み消費者製品または包装済み消費者製品のパックに付加するように動作可能なラベラーを含む、マーキングシステム(
図1では示されず)。
・個別包装済み消費者製品または包装済み消費者製品のパックに実際に付加された図形情報が、マーキングシステムが付加するように指示された図形情報に対応するかどうかを検証するように設計され、例えばカメラに基づく視覚システムおよび/または1つもしくは複数の識別デバイス、例えば(バー)コードリーダーを含む、検証システム(
図1では示されず)。
【0023】
包装システムは、単一ライン型、すなわち1つの包装ラインだけを含む型、マルチライン型、すなわち複数の動作的に独立した包装ライン、すなわち分配装置を共有せず、関連するラインコントローラをそれぞれ提供される包装ラインを含む型、またはマルチスイッチ型、すなわち複数の動作的に連携する包装ライン、すなわち1つまたは複数の分配装置を共有するように配置され、それで顧客のために柔軟性および生産可変性を増加させる包装ラインを備える型であってもよい。マルチスイッチ包装システムでは、単一段かまたは2段の制御アーキテクチャが、提供されてもよい。単一段制御アーキテクチャでは、単一の共通ラインコントローラが、提供され、それは、充填機と分配装置との間の相互作用を最適化して生産中のマルチスイッチ包装システム性能および製品輸送を改善することを目的として、すべての包装ラインの構成、通信および制御を管理するようにプログラムされ、一方2段制御アーキテクチャでは、各包装ラインのためのスレーブラインコントローラおよびスレーブラインコントローラのためのマスターラインコントローラの両方が、提供される。
【0024】
ラインコントローラは、表示パネルおよびキーボードで構成されるヒューマンマシンインターフェースを装備する独立したコンソールまたはキャビネット、ならびに関連する包装ラインの動作を制御し、管理するために標準通信を通じて充填機および分配装置での局所ソフトウェアモジュールと連携するように構成されるモジュール式アーキテクチャのソフトウェアアプリケーションまたはツールを保存し、実行するように設計されたPLCに基づく制御システムを含む。
【0025】
モジュール式アーキテクチャのソフトウェアおよび標準インターフェースは、異なる包装ラインの複雑さ(充填機および分配装置の異なるレイアウトおよび多様性)を、単一装置のソフトウェアでどんなカスタマイズもなしに管理することを可能にする。前世代の包装ラインと比較して、このことは、充填機および分配装置で標準ソフトウェアを維持し、すべてのカスタマイズされたパラメーターをラインコントローラで収集することを可能にする。そのことの利点は、充填機および分配装置での高レベルの標準化であり、それ故にそれらの維持管理が容易なことである。本発明のために、表現「ソフトウェアアプリケーション」によって、ユーザーが行いたいと望むタスクに直接コンピュータの能力を用いるコンピュータソフトウェアの規定されたサブクラスが、意図されている。
【0026】
最後に、包装システムはさらに、各包装ラインの動作性能を測定し、分析し、最適化するために、ラインコントローラと連携し、通信ネットワークを通じて、包装ラインでの充填機および分配装置と直接連携するように設計された包装ライン監視システムを含む。特に、単一段制御アーキテクチャを備えるマルチスイッチ包装システムでは、包装ライン監視システムは、共通のラインコントローラと連携するようにプログラムされ、一方2段制御アーキテクチャを備えるマルチスイッチ包装システムでは、包装ライン監視システムは、マスターラインコントローラもしくはスレーブラインコントローラのいずれかと、またはマスターラインコントローラおよびスレーブラインコントローラの両方と連携するようにプログラムされる。
【0027】
包装ライン監視システムは、包装ラインでの充填機および分配装置の動作性能を監視し、工場作業場データに基づいて動作装置性能を最大にするように設計されたデータ管理システムである。包装ライン監視システムはまた、動作装置性能およびプロセス挙動を分析するための強力で使いやすいツールも提供する。動作性能データは、包装ラインで自動的に獲得され、記録される。局所手動入力相互作用は、データを包括的にする。工場事務所レベルへの情報分配は、実時間管理および歴史的解析を可能にする。包装ライン監視システムは、休止時間の問題のタイムリーな識別を通じて最適結果を達成することを可能にする。生産性能細部の分析は、臨界稼働装置を識別すると共に、チャートおよびレポートは、最も高い休止時間の理由を識別するためのツールである。
【0028】
包装ライン監視システムの主な機能性の別のものは、パッケージ生産履歴管理およびプロセス監視である。グラフィカルユーザーインターフェースを通じて、生産文書手書き書類の電子的置き換えである、1つまたは複数のオペレーターシートが、提供され得る。データは、オペレーター要求に応じて入力されてもよく、または装置事象に基づいてシステムによって自動的に要求されてもよい。データ入力は、手動入力を通じて、またはバーコードスキャナーを使用することで可能である。オペレーターシートに記録されたデータは、例えばオペレーター生産照合、包装材料、ストリップ、キャップ、ストロー、その他などの、包装ラインによって使用される材料、生産バッチID、生産バッチ開始および停止、その他などの特別な生産事象、オペレーターID、局所規定特注事象、その他であってもよい。充填機で記録されたデータに基づいて、包装ライン監視システムは、性能分析を実行し、オペレーターシートレポートを提供する。これは、生産中のプロセスパラメーターおよび臨界制御点の監視を可能にする。プロセス監視は、機械プロセス変数について進んだトラブルシューティングを実行する可能性を与える。
【0029】
包装ライン監視システムはまた、パッケージ生産履歴管理を時間同期させることを可能にするようにも構成される。特に、データ記録時間は、中央時間同期システムと同期化され、日付記入ユニットクロックは、包装ライン監視システムのデータ記録システムクロックによって局所的に同期化される。
【0030】
パッケージ生産履歴管理は、
図2を参照して以下で述べるパッケージ追跡アルゴリズムを包装ライン監視システムで実施することによって得られ、
図2は、上部で、生産バッチ中に時間単位あたり生産される一次パッケージの数で表される充填機速度の経時の展開を描写し、下部で、生産バッチの初めからの時間にわたって生産される一次パッケージおよび二次パッケージ(
図2ではパレット)の対応する累積数を描写する。
【0031】
言葉の便宜の問題として、次の説明では、用語「一次パッケージ」は、充填機によって送出される包装済み消費者製品を示すために使用されることになり、一方用語「二次パッケージ」は、パレタイザーによって送出される包装済み消費者製品の個別パレットおよび/または包装済み消費者製品の個別トレイなどの、包装済み消費者製品の任意のパックを示すために使用されることになる。
【0032】
パッケージ追跡アルゴリズムは、許容誤差の減少とともに、欠陥があることが判明するまたは欠陥があるとされる一次パッケージを含有する二次パッケージをタイムリーに識別し、市場から引き抜くことを可能にすることを目的とする。二次パッケージが、一次パッケージのパレットであるとき、この許容誤差は、非常に低く、±1パレットの程度のこともある。
【0033】
特に、パッケージ追跡アルゴリズムは、次の仮定に基づいており、それらは、計算リソース要求の低下とともに以下で述べるように一次パッケージを確実に追跡することを可能にする。
・包装ラインは、生産バッチが完了した後は完全に空の状態である。
・包装ラインは、初めに充填機および終わりにパレタイザーを含み、それ故にいくつかの充填機から生産される一次パッケージは、包装ラインに沿って混合されなくてもよい。しかしながら、同じパレタイザーは、それがパッケージの流れを別々に扱うことができる限り、同時にいくつかの包装ラインによって共有されてもよく、いくつかの包装ラインのために働いてもよい。
・包装ラインのすべての分配装置は、FIFO(先入れ先出し)装置として動作し、すなわち分配装置に投入される最初の一次パッケージは、同じ分配装置によって送出される最初の一次パッケージである。この仮定からの限られた逸脱は、分配装置で交換してもよい一次パッケージの最大数が二次パッケージ中の一次パッケージの数と比べて小さいならば許容される。この仮定は、充填機とパレタイザーとの間の包装ラインがパイプと見なされる結果をもたらす。
【0034】
パッケージ追跡アルゴリズム
には、次のデータ
が入力される。
・時間単位当たりに生産される一次パッケージの数で表される、充填機速度対時間。
・二次パッケージ中の一次パッケージの数。
・各二次パッケージのための一意の識別子。
・例えば二次パッケージの完了時間によって規定される、二次パッケージが生産バッチ中に生産される順番。
【0035】
パッケージ追跡アルゴリズムは、以下で述べる次のステップを含む。
【0036】
パッケージ追跡アルゴリズムの第1のステップは、生産バッチ中に生産される各二次パッケージについて、二次パッケージ中の最初の一次パッケージについての一次パッケージ連続番号および二次パッケージ中の最後の一次パッケージについての一次パッケージ連続番号を計算するステップであり、一次パッケージ連続番号は、生産バッチでの一次パッケージの連続的時間昇順番号を表し、任意の新しい生産バッチの初めに1に初期化され、一次パッケージが生産されるたびに1単位だけ増やされる。
【0037】
特に、二次パッケージ中の最初(FIRST)および最後(LAST)の一次パッケージについての一次パッケージ連続番号は、次の式を使用して計算される。
【0039】
ただし、
PPSNは、一次パッケージ連続番号であり、
FPは、二次パッケージ連続番号であり、それは、生産バッチで問題になっている二次パッケージの連続的時間昇順番号を表し、任意の新しい生産バッチの初めに1に初期化され、二次パッケージが生産されるたびに1単位だけ増やされ、
iは、二次パッケージ連続指標であり、それは、生産バッチでの二次パッケージを指示し、
PPISP
iは、iに等しい二次パッケージ連続指標を持つ二次パッケージ中の一次パッケージの数である。
【0040】
パッケージ追跡アルゴリズムの第2のステップは、生産バッチ中に生産される各二次パッケージについて、二次パッケージ中の最初の一次パッケージについての一次パッケージ生産時間および二次パッケージ中の最後の一次パッケージについての一次パッケージ生産時間を、対応する一次パッケージ連続番号に基づいて計算するステップであり、一次パッケージ生産時間は、一次パッケージが生産バッチの初めから生産される時間を表す。
【0041】
特に、二次パッケージ中の最初(FIRST)および最後(LAST)の一次パッケージの両方についての一次パッケージ生産時間は、一次パッケージ生産時間および一次パッケージ連続番号を関連付ける次の式に基づいて計算される。
【0043】
ただし、
PPSNは、一次パッケージ連続番号であり、
PPPTは、一次パッケージ生産時間であり、
BSTは、生産バッチ開始時間であり、
FSM(t)は、生産バッチ中の充填機の、時間単位当たりに生産されるパッケージの数で表される生産速度の時間展開を表す。
【0044】
図2で描写されるような時間展開をする生産速度を持つ充填機について、上記の式での時間積分の指数である一次パッケージ生産時間は、実際には、各時間区分で充填機速度が一定値を有するように、まず充填機の生産速度の時間展開を連続的時間区分(TS)に分割し、生産バッチの初めから時間区分の終わりまでに生産される一次パッケージの数を次の式に基づいて計算することによって計算され得る。
【0046】
ただし、
ACCNPは、生産バッチの初めから時間区分の終わりまでに生産される一次パッケージの数であり、
TSSNは、時間区分連続番号であり、それは、時間区分の並びでの時間区分の連続的時間昇順番号を表し、生産バッチの初めに1に初期化され、
NP
iは、iに等しい時間区分連続番号を持つ時間区分中に生産される一次パッケージの数であり、この場合NP
i = S・D
iであり、ただしSは、時間区分中の1秒当たりの一次パッケージで表される充填機速度であり、D
iは、秒で表される時間区分持続時間である。
【0047】
いったん生産バッチの初めから時間区分の終わりまでに生産される一次パッケージの数が計算されると、次の関係式を満たす時間区分の並びでの第1の時間区分が、識別される。
ACCNP≧PPSN
【0048】
識別された時間区分での充填機速度に基づいて、一次パッケージ生産時間PPPTは、次の式を使用することに基づいて計算される。
【0050】
ただし、ATは、識別された時間区分の、日および時刻で表される開始時間である。
【0051】
パッケージ追跡アルゴリズムの第3で最後のステップは、包装ライン監視システムのリポジトリに、生産バッチ中に生産される二次パッケージ中の最初および最後の一次パッケージの両方についての一次パッケージ生産時間を、関連する二次パッケージ識別子と一緒に保存するステップである。
【0052】
リポジトリは、生産時間、または一次パッケージにマーキングしたいくつかの他の時間関連マーキングもしくはバッチ/ロット識別子に基づいて、欠陥があることが判明するまたは欠陥があるとされる一次パッケージを含有する二次パッケージ、特にパレットの識別子を取り出すためにいつでも問い合わせされ得る。
【0053】
上述のパッケージ追跡アルゴリズムは、減少した計算リソース要求および許容誤差によって、包装済み消費者製品を確実に追跡することを可能にする。
【0054】
パッケージ追跡アルゴリズムは、生産バッチ中のパッケージ廃棄物をさらに考慮することによって、さらに改善され得ると共に、これは、自動データ収集または手動データ入力を通じて実施されるであろう。