特許第5871954号(P5871954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871954歯科用ドリル及び歯科用ドリルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871954
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】歯科用ドリル及び歯科用ドリルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 3/02 20060101AFI20160216BHJP
   B22F 7/00 20060101ALI20160216BHJP
   B22F 7/06 20060101ALI20160216BHJP
   B23P 15/32 20060101ALI20160216BHJP
   B23B 51/06 20060101ALI20160216BHJP
   B22F 5/10 20060101ALI20160216BHJP
   B22F 3/20 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61C3/02 Z
   B22F7/00 F
   B22F7/06 D
   B23P15/32
   B23B51/06 F
   B23B51/06 E
   B22F5/10
   B22F3/20 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-550838(P2013-550838)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2014-511194(P2014-511194A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】EP2012050852
(87)【国際公開番号】WO2012101050
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】102011000352.5
(32)【優先日】2011年1月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502088157
【氏名又は名称】アルノ フリードリヒス
【氏名又は名称原語表記】Arno Friedrichs
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アルノ フリードリヒス
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−501743(JP,A)
【文献】 特表2003−508634(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0150673(US,A1)
【文献】 米国特許第04021920(US,A)
【文献】 米国特許第02541849(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 3/02
B22F 3/20
B22F 5/10
B22F 7/00
B22F 7/06
B23B 51/06
B23P 15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンクと作業区分とを備え、前記シャンクは、中心に配置された連続的な1つの第1の通路を備え、前記作業区分は、螺旋状に延在する連続的な1つ又は複数の別の通路を備え、前記第1の通路及び前記別の通路は、前記シャンクと前記作業区分とを結合する共通の室に通じている、歯科用ドリルを製造する方法であって、
中心に配置された連続的な1つの第1の通路を備えるシャンクを製造するステップと、
螺旋状に延在する連続的な1つ又は複数の別の通路を備える作業区分を製造するステップと、
前記シャンクと前記作業区分とを焼結化することにより、前記作業区分と前記シャンクとを結合して、前記シャンクと前記作業区分とを結合する室を完全に取り囲む、焼結化された一体的な構成要素を形成するステップと、
を有し、
前記シャンクを製造するために、可塑性材料を、第1の押出成形金型を通ってプレスして、可塑性材料から成る、中心に配置された連続的な前記第1の通路を有する第1のボディを送り出し、前記第1の押出成形金型から離間する前記第1のボディを、設定された第1の長さに定尺切断し、定尺切断された前記第1のボディを、乾燥により固化させ、前記第1のボディを、前記別の通路を有する第2のボディに結合することを特徴とする、歯科用ドリルを製造する方法。
【請求項2】
乾燥により固化された前記第1のボディと前記第2のボディとを、軸方向に相互に当て付けて、相互に当て付けられた前記第1及び第2のボディを加熱して、前記第1及び第2のボディの接触し合う表面が溶融し、接触し合う表面が相互に焼結化されるようにする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
シャンクと作業区分とを備え、前記シャンクは、中心に配置された連続的な1つの第1の通路を備え、前記作業区分は、螺旋状に延在する連続的な1つ又は複数の別の通路を備え、前記第1の通路及び前記別の通路は、前記シャンクと前記作業区分とを結合する共通の室に通じている、歯科用ドリルを製造する方法であって、
中心に配置された連続的な1つの第1の通路を備えるシャンクを製造するステップと、
螺旋状に延在する連続的な1つ又は複数の別の通路を備える作業区分を製造するステップと、
前記シャンクと前記作業区分とを焼結化することにより、前記作業区分と前記シャンクとを結合して、前記シャンクと前記作業区分とを結合する室を完全に取り囲む、焼結化された一体的な構成要素を形成するステップと、
を有し、
前記作業区分を製造するために、可塑性材料を、第2の押出成形金型を通ってプレスして、可塑性材料から成る、直線状に延在する前記別の通路を有する第2のボディを送り出し、前記第2の押出成形金型から離間する前記第2のボディを、設定された第2の長さに定尺切断し、定尺切断された前記第2のボディを、摩擦面アセンブリにより、その全長にわたって支持しながら、均等に穿孔するために、転がり運動させ、その際、転がり運動の速度は、全長にわたって線形でありかつ連続的に変化するものであり、穿孔された前記第2のボディを、乾燥により固化させ、前記第2のボディを、前記第1の通路を有する第1のボディに結合することを特徴とする歯科用ドリルを製造する方法。
【請求項4】
乾燥により固化された前記第2のボディと前記第1のボディとを、軸方向に相互に当て付けて、相互に当て付けられた前記第1及び第2のボディを加熱して、前記第1及び第2のボディの接触し合う表面が溶融し、接触し合う表面が相互に焼結化されるようにする、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用ドリル及び歯科用ドリルの製造方法に関する。
【0002】
一体的に構成された歯科用ドリルが既に公知である。この歯科用ドリルは、シャンクと、シャンクに接続する、1つ又は複数の切削区分を有する作業区分とを備える。歯科用ドリルには、シャンクの内側で、中心の冷却剤通路が設けられている。この冷却剤通路は、歯科用ドリルの作業運転中に、冷却剤、特に冷却液を作業区分の領域に搬送する働きをし、そこで作業区分及び患者の目下処理されている歯を冷却するために用いられる。
【0003】
このような公知の歯科用ドリルでは、前述の冷却剤通路は、シャンクと作業区分との間の領域に通じているので、冷却剤は、既に作業区分の後方の端部の領域で流出し、したがって作業区分の後方の部分しか直接に冷却しない。このようなドリルの欠点は、歯科用ドリルの切削領域の不十分な冷却しか行われないこと、さらに、患者の目下処理されている歯の不十分な冷却しか行われないことにある。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009043875号明細書において、歯科用ドリルが記載されている。この歯科用ドリルは、シャンクと、シャンクに結合された作業区分とを備える。シャンクは、中心に配置された連続的な第1の通路を備える。作業区分は、螺旋状に延在する連続的な1つ又は複数の別の通路を備える。シャンクと作業区分との間にギャップが設けられており、このギャップに、第1の通路及び別の通路が通じている。シャンク及び作業区分は、緊締スリーブ、ろう接結合部又は接着結合部により相互に結合されている。
【0005】
本発明の課題は、切削領域の冷却が改善された、歯科用ドリルを製造する方法及び歯科用ドリルを提供することである。この歯科用ドリルは、シャンクと作業区分との間の領域に、追加的な結合材料、特に緊締スリーブ、ろう接材料や接着材料を必要としない。
【0006】
この課題は、請求項1に記載された特徴を有する方法もしくは請求項5に記載された特徴を有する歯科用ドリルにより解決される。本発明の好適な態様及び改良形は、従属請求項の対象である。
【0007】
本発明の利点は、特に、シャンクと作業区分との間の移行領域に視認可能な継ぎ目もしくは接合箇所を全く有しない歯科用ドリルが提供されることにある。さらに、この移行領域に、例えばろう接材料、接着材料又は緊締スリーブのような結合材料が全く設けられていない。このことは、歯科用ドリルの生体親和性が改善されている、という利点を有する。これに関して、歯科用ドリルが歯の処置中に患者の唇、舌及び歯に接触することに意義がある。緊締スリーブ、ろう接材料又は接着材料のような結合材料が存在しないことにより、人体組織に有害な材料が患者の粘膜を介して吸収され、これにより患者の健康が損なわれ得ることがない、ということが保証される。さらに好適には、緊締スリーブ、ろう接結合部又は接着結合部の材料に対するアレルギーを有する患者がこれらの材料に接触する恐れがある、ということが阻止される。
【0008】
本発明の別の利点は、シャンクと作業区分との間の移行領域におけるシール性の問題の発生が排除されていることにある。このことは、作業区分とシャンクとの焼結化により、シャンクの表面領域に存在する粒子が作業区分の表面領域に存在する粒子と混合して、シャンクと作業区分との接合箇所のない結合部が生じることに起因する。したがって、歯科用ドリルの運転中に冷却液が不都合に流出し得る、視認可能な継ぎ目もしくは接合箇所が存在しない。
【0009】
さらに、本発明による歯科用ドリルでは、冷却液が、圧力損失なく、螺旋状に延在する別の通路の、シャンクから離れた方の端部領域まで案内され、そこで流出するので、歯科用ドリルの切削領域や患者の処理されている歯も所望に冷却される、ということが保証される。
【0010】
本発明の別の好適な特性は、図面に基づく本発明の例示的な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の態様による歯科用ドリルの縦断面図である。
図2】本発明の第2の態様による歯科用ドリルの縦断面図である。
図3】本発明による歯科用ドリルを製造する方法を説明するための概略図である。
図4】本発明の第3の態様による歯科用ドリルの縦断面図である。
【0012】
本発明による歯科用ドリルは、シャンクと作業区分とを備える。シャンクは、中心に配置された連続的な第1の通路を備え、作業区分は、螺旋状に延在する連続的な1つ又は複数の別の通路を備え、第1の通路及び別の通路は、共通の、シャンクと作業区分とを結合する室に通じており、シャンク及び作業区分は、相互に焼結化されている。歯科用ドリルのこのような構成により、歯科用ドリルの作業運転中に、十分な量の冷却剤、特に冷却液を、直接に歯科用ドリルの作業区分の切削領域に搬送することができ、その結果、公知の歯科用ドリルに対して改善された、切削領域及び患者の目下処理されている歯の改善された冷却が達成される。
【0013】
図1は、本発明の第1の態様による歯科用ドリルを概略縦断面図で示している。この歯科用ドリルは、円筒形に構成されたシャンク1と、同じく円筒形に構成された作業区分2とを備える。シャンク1には、中心に、軸方向に延在する連続的な第1の通路3が設けられている。シャンク1の直径は、d1で表されている。
【0014】
歯科用ドリルの作業区分2には、螺旋状に延在する連続的な別の2つの通路4a及び4bが設けられており、通路4a,4bは、作業区分2の切削領域2bに通じている。作業区分2の直径は、d2で表されていて、これは、シャンク1の直径d1に一致する。
【0015】
作業区分2へのシャンク1の移行領域では、歯科用ドリルの内側に室5が設けられている。この室5は、図1に示された態様では、ディスク状に構成されている。第1の通路3だけでなく螺旋状に延在する別の両方の通路4a及び4bも室5に通じており、室5は、択一的に、スリット状、円筒形、角形、角張った形状又は円錐形に構成してもよい。
【0016】
歯科用ドリルの作業運転時には、例えばインプラントをあとで収容するために顎を準備する際、又は患者の歯からう蝕部分を除去する際に、小さな圧力下で、冷却剤、特に冷却液が、図1において下側から第1の通路3に導入される。冷却剤は、直線状に構成された第1の通路3を通流し、作業区分2へのシャンク1の移行領域に設けられた室5を充填し、室5から外へ、螺旋状に延在する別の通路4a及び4bに進入し、別の通路4a及び4bを通流し、そのあとで作業区分2の切削領域2bにおいて導出される。したがって、歯科用ドリルの作業領域を形成する切削領域だけでなく、患者の目下処理されている歯も、通路4a及び4bから流出する冷却剤により直接に冷却される。
【0017】
歯科用ドリルのシャンク1及び作業区分2は、同一の材料又はそれぞれ異なる材料から成っていてよい。好適には、シャンク1は、鋼、セラミック、硬質合金又はプラスチックから成っており、作業区分2は、鋼、セラミック又は硬質合金から成っている。作業区分の切削領域2bは、作業区分2の残りの部分と同一の材料から成っていてよく、又は、別の材料から成っていてもよい。
【0018】
図2は、本発明の第2の態様による歯科用ドリルを概略縦断面図で示している。この歯科用ドリルは、円筒形に構成されたシャンク1と、同じく円筒形に構成された作業区分2とを備える。シャンク1には、中心に、軸方向に延在する連続的な第1の通路3が設けられている。シャンク1の直径は、d1で表されている。
【0019】
歯科用ドリルの作業区分2には、螺旋状に延在する連続的な別の2つの通路4a及び4bが設けられており、通路4a,4bは、作業区分2の切削領域2に通じている。作業区分2の直径は、d2で表されていて、これは、シャンク1の直径d1に一致する。
【0020】
作業区分2へのシャンク1の移行領域では、歯科用ドリルの内側に室5が設けられている。この室5は、図2に示された態様では、円錐形に構成されているが、別の形状を有してもよい。第1の通路3だけでなく螺旋状に延在する別の両方の通路4a及び4bも室5に通じている。室5は、図示の態様では、シャンク1に設けられている。択一的に、室5は、作業区分2に設けてもよい。別の態様では、室の一部がシャンク1に設けられていて、室の別の一部が作業区分2に設けられている。
【0021】
歯科用ドリルの作業運転時には、例えば患者の歯からう蝕部分を除去する際に、圧力下で、冷却剤、特に冷却液が、図2において下側から第1の通路3に導入される。冷却剤は、直線状に構成された第1の通路3を通流し、シャンク1と作業区分2との間に設けられた室5を充填し、室5から外へ、螺旋状に延在する別の通路4a及び4bに侵入し、別の通路4a及び4bを通流し、そのあとで作業区分2の切削領域2bにおいて導出される。したがって、歯科用ドリルの作業領域を形成する切削領域だけでなく、患者の目下処理されている歯も、通路4a及び4bから流出する冷却剤により直接に冷却される。
【0022】
歯科用ドリルのシャンク1及び作業区分2は、同一の材料又はそれぞれ異なる材料から成っていてよい。好適には、シャンク1は、鋼、セラミック、硬質合金又はプラスチックから成っており、作業区分2は、鋼、セラミック又は硬質合金から成っている。作業区分2の切削領域2bは、作業区分2の残りの部分と同一の材料から成っていてよく、又は、別の材料から成っていてもよい。
【0023】
図3は、本発明による歯科用ドリルを製造する方法を説明するための概略図を示している。図3において、a及びbに基づいて、図1に示された歯科用ドリルの製造を説明し、c及びdに基づいて、図2に示された歯科用ドリルの製造を説明する。
【0024】
図1に示された歯科用ドリルを製造するために、先ず、シャンク1及び作業区分2が相互に独立して製造される。シャンク1は、図3のbに示されている。作業区分2は、図3のaに示されている。
【0025】
シャンク1を製造するために、可塑性材料が第1の押出成形金型を通ってプレスされて、第1の押出成形金型から、可塑性材料から成る、中心に配置された連続的な第1の通路を有する第1のボディが送り出される。第1の押出成形金型から送り出された第1のボディは、円筒形に構成されていて、直径d1を有する。第1の押出成形金型から送り出されたボディは、設定された長さ11に定尺切断され、次いで乾燥されるので、ボディのコンシステンシーが固化される。
【0026】
作業区分2を製造するために、可塑性材料は、第2の押出成形金型を通ってプレスされて、第2の押出成形金型から、可塑性材料から成る、直線状に延在する別の通路を有する第2のボディが送り出される。第2の押出成形金型から送り出されたボディは、同じく円筒形に構成されている。第2のボディは、直径d2を有し、この直径d2は、シャンク1の直径d1に一致する。第2の押出成形金型から送り出された第2のボディは、設定された第2の長さl2に定尺切断される。定尺切断された第2のボディは、摩擦面アセンブリにより、その全長にわたって支持しながら、均等に穿孔するために、転がり運動させられる。転がり運動の速度は、全長12にわたって連続的に変化する。これにより、図3のaから看取されるように、当初は直線状に延在する別の通路から、螺旋状に延在する別の通路4a及び4bが形成される。このようにして製造されたボディは、乾燥されるので、ボディのコンシステンシーが固化される。乾燥されたボディの後方の領域では、研削によりボディに室5が形成され、このボディ5は、図示の態様では、矩形に構成されている。乾燥されたボディの前方の領域では、切削領域2bが同じく研削工程により形成される。
【0027】
そのあとで、図3のaとbとの間において矢印xにより看取されるように、乾燥により固化されたボディは、軸方向に相互に当て付けられて、加熱される。加熱は、次のように行われる。すなわち、加熱は、加熱されたボディの接触し合う表面が融解し、接触し合う表面が相互に焼結化され、表面の結合後に継ぎ目もしくは接合箇所が視認されないように行われる。相互に焼結化されたボディは、続いて更に乾燥されるので、ボディのコンシステンシーは更に固化される。
【0028】
作業区分とシャンクとの前述の焼結化により、焼結化された一体的な構成要素が形成される。この構成要素は、シャンク1と作業区分2とを結合する室5を完全に取り囲む。したがってシャンクと作業区分との間の移行領域は、あらゆる種類の追加的な結合材料から解放されている。
【0029】
図2に示された歯科用ドリルを製造するために、先ずシャンク1と作業区分2とが相互に独立して製造される。このシャンク1は、図3のdに示されている。作業区分2は、図3のcに示されている。
【0030】
シャンク1を製造するために、可塑性材料が、第1の押出成形金型を通ってプレスされて、第1の押出成形金型から、可塑性材料から成る、中心に配置された連続的な第1の通路3を有する第1のボディが送り出される。第1の押出成形金型から送り出された第1のボディは、円筒形に構成されていて、直径d1を有する。第1の押出成形金型から送り出されたボディは、設定された長さ13に定尺切断され、次いで乾燥されるので、ボディのコンシステンシーが固化される。乾燥されたボディの前方の領域で、研削によりボディに室5が形成され、室5は、図示の態様では、円錐形に構成されている。
【0031】
作業区分2を製造するために、可塑性材料は、第2の押出成形金型を通ってプレスされ、第2の押出成形金型から、可塑性材料から成る、直線状に延在する別の通路を有する第2のボディが送り出される。第2の押出成形金型から送り出されたボディは、同じく円筒形に構成されている。第2のボディは、直径d2を有し、この直径d2は、シャンク1の直径d1に一致する。第2の押出成形金型から送り出された第2のボディは、設定された第2の長さl4に定尺切断される。定尺切断された第2のボディは、その全長にわたって支持されながら、均等に穿孔するために、摩擦面アセンブリにより、転がり運動させられる。転がり運動の速度は、全長14にわたって連続的に変化する。これにより、図3のcから看取されるように、当初は直線状に延在する別の通路から、螺旋状に延在する別の通路4a及び4bが形成される。このようにして製造されたボディは、乾燥されるので、ボディのコンシステンシーが固化される。乾燥されたボディの前方の領域では、研削領域2bが研削工程により形成される。
【0032】
そのあとで、図3のdと図3のcとの間において矢印xにより看取されるように、乾燥により固化されたボディは、軸方向に相互に当て付けられて、加熱される。加熱は、次のように行われ、すなわち、加熱されたボディの接触し合う表面が融解し、接触し合う表面が相互に焼結化され、表面の結合後に継ぎ目もしくは接合箇所が視認されない、ように行われる。相互に焼結化されたボディは、続いて更に乾燥されるので、ボディのコンシステンシーは更に固化される。
【0033】
作業区分とシャンクとの前述の焼結化により、焼結化された一体的な構成要素が形成される。この構成要素は、シャンク1と作業区分2とを結合する室5を完全に取り囲む。したがってシャンクと作業区分との間の移行領域は、あらゆる種類の追加的な結合材料から解放されている。
【0034】
図4は、本発明の第3の態様による歯科用ドリルを縦断面図で示している。この第3の態様では、作業区分2へのシャンク1の移行領域に設けられた室5は、スリット状に構成されている。歯科用ドリルの半径方向の室5の幅は、螺旋状に延在する通路4a及び4bの半径方向の外寸に適合されているので、室5は、半径方向外向きに、螺旋状に延在する通路を越えて突出していない。このことは、図4の右側の図からも看取される。この図は、図4の左側で一点鎖線で示された線S−Sに沿った歯科用ドリルの横断面を示している。
【0035】
前述の態様では、シャンクは、中心に配置された1つの中心通路をそれぞれ有する。変化態様によれば、歯科用ドリルは、作業領域に設けられた螺旋状に延在する通路がシャンク内に達して、シャンクも完全に貫通するように、構成してもよい。この場合、冷却剤供給路は、歯科用ドリルの図示していないグリップ部材に設けられている。
【0036】
この場合、グリップ部材には例えば同じく室を設けてもよく、この室を通って、冷却液源から送られる冷却液が、歯科用ドリルの螺旋状に延在する通路に後続案内される。
【符号の説明】
【0037】
1 シャンク
2 作業区分
2b 作業区分の切削領域
3 第1の通路
4a,4b 別の通路
5 室
d1 シャンクの直径
d2 作業区分の直径
l1,l3 シャンクの長さ
l2,l4 作業区分の長さ
図1
図2
図3
図4