(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871955
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】グランドコンタクトを有する安全拘束システムのための電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/652 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
H01R13/652
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-552150(P2013-552150)
(86)(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公表番号】特表2014-504790(P2014-504790A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】EP2012051024
(87)【国際公開番号】WO2012104171
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】11/00307
(32)【優先日】2011年2月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502168334
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス フランス エス アー エス
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・パマール
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06000970(US,A)
【文献】
特開平10−040982(JP,A)
【文献】
特開平10−069945(JP,A)
【文献】
米国特許第06056602(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40−13/72
H01R 24/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグイン接続(2)のための電気コネクタ(1)であって、
カウンターコネクタ(3)の嵌合部位(38)を収容するように適合された収容部(11)を規定する嵌合部(8)を有するコネクタハウジング(7)、
前記収容部(11)内に配置される少なくとも2つのコンタクトエレメント(13)、および
前記カウンターコネクタ(3)のグランディングエレメント(37)と電気的に接続するように適合された接点部(36)を有するグランドコンタクト(33)と、前記グランドコンタクト(33)を配置するための取り付けエレメント(43)とを含むグランドコンタクトアセンブリ(67)
を含み、
前記グランドコンタクトアセンブリ(67)が前記収容部(11)の外側に配置され、前記接点部(36)が少なくとも部分的に前記収容部(11)内へと延在していて、
前記グランドコンタクト(33)は、ポジショニングエレメント(53)を含み、
前記ポジショニングエレメント(53)は、前記グランドコンタクト(33)のアンカープレート(32)が接続されている一方の端部(34)から挿入方向(I)に沿って延在している前記グランドコンタクト(33)のもう一方の端部(35)に配置されていて、
前記ポジショニングエレメント(53)は、前記グランドコンタクト(33)を固定するために、前記挿入方向(I)に対して垂直な方向に移動しないように前記取り付けエレメント(43)に固定されていることを特徴とする、
電気コネクタ(1)。
【請求項2】
前記取り付けエレメント(43)が前記嵌合部(8)の外側面(44)に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項3】
前記取り付けエレメント(43)が、前記グランドコンタクト(33)をその外部から保護するグランドコンタクトハウジング(45)を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項4】
前記グランドコンタクトハウジング(45)が前記コネクタハウジング(7)と一体的に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項5】
カバー(21)が前記グランドコンタクト(33)を、前記取り付けエレメント(43)から脱離しないように固定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項6】
前記収容部(11)への通路(48)を形成する窓部(47)を前記嵌合部(8)が含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項7】
前記窓部(47)が、前記グランドコンタクトハウジング(45)から前記収容部(11)への通路(48)を形成することを特徴とする請求項6に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項8】
前記窓部(47)がスロットとして設計されることを特徴とする請求項6〜7のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項9】
前記電気コネクタ(1)を前記カウンターコネクタ(3)に差し込む挿入方向(I)に沿って前記グランドコンタクト(33)が実質的に構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項10】
前記グランドコンタクト(33)が、向上した耐変形性を提供する剛性領域(49)を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項11】
前記グランドコンタクト(33)が、少なくとも部分的にU字形断面を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグイン接続のための電気コネクタ、特に安全拘束システムのためのスクイブコネクタに関し、これは、カウンターコネクタの嵌合部位を収容するように適合された収容部を規定する嵌合部を有するコネクタハウジングと、上記収容部に配置される少なくとも2つのコンタクトエレメント(又はコンタクト要素もしくは接触要素)と、グランドコンタクトアセンブリ(又はアースコンタクトアセンブリもしくは接地接触アセンブリ)とを含み、上記グランドコンタクトアセンブリは、上記カウンターコネクタのグランディングエレメント(又はアースエレメントもしくは接地要素)と電気的に接続するように適合された接点部を有するグランドコンタクトと、上記グランドコンタクトを配置するための取り付けエレメントとを含む。
【背景技術】
【0002】
最近、自動車(又はモーター・ビークル)は、シートベルト・プリテンショナーまたはエアバッグなどの様々な安全拘束システムを有し、これらは事故の場合に乗客への衝撃を緩和または制限するのに役立つ。車体中のセンサは、事故の発生を検知することができ、ケーブルを介して安全拘束システムにトリガー信号を送信することができる。次いで、スクイブとして知られる爆発デバイスがエアバッグを膨張させるか、あるいはベルトを締め付ける。かかるセンサの電気コントロールユニットから出るケーブルは、電気コネクタ、一般にはスクイブコネクタと呼ばれるコネクタで終端し、これは、スクイブソケットへの挿入方向において、コネクタの嵌合部または差し込み部を挿入することによって、カウンターコネクタのスクイブホルダまたはソケットと接続され得る。
【0003】
スクイブと電気プラグコネクタとの間の接続を向上させるためにリテイナーインサートが開発された。これは、規格化されたスクイブのレセプタクルまたはポケットに嵌合(又はフィット)するように適合され、なおかつスクイブと電気コネクタとの間の接続を促進して固定するものである。このリテイナーは、一般には、カウンターコネクタ内で完全に嵌合した電気コネクタを機械的に固定するための固定手段を提供する。かかるリテイナーインサートは、一般的には、ショートデバイスを更に備え、これによって、プラグコネクタがスクイブのカウンターコネクタと電気的に接続される前においてスクイブ側でコンタクトピンが短絡する。電気コネクタとカウンターコネクタとが完全に嵌合した状態にある場合においてのみ(ここでは電気コネクタとカウンターコネクタとが電気的および機械的に接続される)、スクイブのプラグイン接続を活性化するためにリテイナーのショートデバイスは通常は解除(又は解放)され得る。ショートデバイスを解除(又は解放)してスクイブの接続を活性化するためのアクティベータは、通常はコネクタハウジングに対して相対的に移動され得るコネクション・ポジション・アシュアランスとして設計され、これは、プラグイン接続の完全に嵌合した状態においてのみ、この短絡を解除(又は解放)するためのものである。
【0004】
電気コネクタは、グランドコンタクトを有するグランド端子を備えていてもよい。グランドコンタクトは、リテイナーの対応するグランディングエレメントと電気的に接続されてもよい。コネクタのグランドコンタクトと、リテイナーのグランディングエレメントとの間の電気的な接続は、安全拘束システム内部のあらゆる電気的な放電を回避する。なお、この安全拘束システムもまたパイロテクニックデバイス(又は火工デバイス)を偶発的に発火させ得るものである。
【0005】
安全拘束システムのための上記の公知の電気的なスクイブコネクタにおいて、嵌合部の収容部内においてグランドコンタクト全体を配置する。グランドコンタクトを配置および載置するためには、かかる公知のコネクタの収容部の内側に配置手段または固定手段が提供される。しかし、収容部の内側にグランドコンタクトの取り付け手段を提供することには問題がある。なぜなら、かかる取り付け手段は、嵌合部位の収容を妨げ得るからである。さらに、カウンターコネクタの嵌合部位は、この配置手段にダメージを与えてグランドコンタクトが緩み得る。
【0006】
それ故、収容部の内側に配置されて固定されたグランドコンタクトを有する電気コネクタとともに、特別に設計された嵌合部位を有するカウンターコネクタが使用されることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、グランドコンタクトを備え、なおかつ規格化されたカウンターコネクタ(又は標準のカウンターコネクタ)と結合し得る安全拘束システムのためのスクイブコネクタなどの改良された電気コネクタの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも部分的(section-wise)に(又はセクション方式もしくはセクションごとに)収容部内へと延在する(又は延びる、もしくは広がる)接点部とともに、収容部の外側にグランドコンタクトアセンブリを配置することによって、上記の技術上の課題を解決する。
【0009】
先行技術から公知のコネクタに対して、このグランドコンタクトアセンブリは、特にそのグランドコンタクトおよびその取り付けエレメントが収容部の外側に配置され、収容部には拡張(又は展開)しない。本発明によると、接点部だけが、すなわちリテイナーのグランディングエレメントとの電気的な接続をもたらし得るグランドコンタクトの部分が収容部内へと延在し(又は延び、もしくは広がり)、収容部内に取り付け手段や固定手段を提供する必要は全くない。この驚くべきシンプルな解決手段によって、収容部内において取り付け手段は不要となり、電気コネクタの収容部のコーディング面(又は規格面)を改変する必要のないグランドコンタクトの配置が可能となる。
【0010】
従って、本発明の電気コネクタとともに、規格化されたリテイナー(又は標準のリテイナー)を使用することができる。さらに取り付けエレメントへのダメージが防止される。なぜなら、この取り付け手段は収容部の外側に配置されるからである。
【0011】
本発明の解決手段は、本発明の以下の有利な実施形態のいずれか1つが任意の方法によってそれぞれ組み合わされてもよく、さらに改良されてもよい。
【0012】
一実施形態によると、接点部は、収容部を含む嵌合部の内壁と実質的に整列(又はアライメント)され得る。この実質的に整列した手段は、接点部が嵌合部の内壁と同じ高さであり、わずかに最小の程度で収容部に突出する。なお、これはグランディングエレメントと接触するために必要である。この整列によってコネクタのコンパクトな設計が可能となり、一般的なコーディング面(又は規格面)は変更されていない。
【0013】
一実施形態によると、コネクタハウジングは、グランドコンタクトを配置するための取り付けエレメントを含んでいてよい。好ましくは、取り付けエレメントは嵌合部に提供され、特に嵌合部の外側面に提供され、これは収容部から離れて面を形成し、挿入方向に対して垂直方向に実質的に面を形成する。それによって、小さくコンパクトなグランドコンタクトを使用してもよく、これは収容部に近接する取り付けエレメントによって配置され得る。取り付けエレメントは、保護デバイスとしてさらに作用してもよく、グランドエレメントをその外部から保護(又はシールド)する。
【0014】
さらなる実施形態によると、取り付けエレメントはグランドコンタクトをその外部から保護するためのグランドコンタクトハウジングを含んでいてもよい。グランドコンタクトハウジングはグランドコンタクトを収容してもよく、これはグランドコンタクトをコネクタに取り付けて配置するためにある。それと同時に、ハウジングは、グランドコンタクトを被覆して保護する。取り付け手段(グランドコンタクトハウジングとして形成されるものなど)を製造する簡便な方法は、グランドコンタクトハウジングをコネクタハウジングと一体的に形成することである。例えば嵌合部の外側面において取り付け手段をコネクタハウジングと一体的に形成することによって、グランドコンタクトを取り付けて保護するための更なるエレメント(又は構成要素)の製造が不要となり、電気コネクタのコンパクトな設計がさらに可能となる。
【0015】
グランドコンタクトハウジングをコネクタハウジングとともに一体的に形成する1つの方法は射出成形である。
【0016】
さらなる実施形態によると、グランドコンタクトは、取り付けエレメントにおいてポジティブロック(機構)で配置される。あるいは、またはさらに、グランドコンタクトは、ポジティブロックではなく、フリクションロックで配置されてもよい。一実施形態では、グランドコンタクトは、グランドコンタクトハウジングの内側において積極的(又はポジティブ)に適合されてもよい。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によると、取り付けエレメントからグランドコンタクトが脱落しないように固定するためのカバーが提供されてもよい。一実施形態において、カバーは、電気コネクタの標準のカバーであってもよく、これはコネクタハウジングの露出した(又はオープンの)部品、例えばコンタクト端子を挿入するための露出した(又はオープンの)部品、ケーブルの端部および/またはグランドコンタクトに提供されるグランディング端子を閉じるように適合されるものである。
【0018】
さらなる実施形態によると、コネクタハウジングの嵌合部は、窓部を含んでいてもよく、これは収容部の内側に接点部のための通路を形成するものである。このような窓部、例えば境界部(嵌合ボディあるいは嵌合部または差し込み部の壁部など)における貫通孔(又はスルー開口部)は、簡便に設計することができ、そして作製するのが簡単であり、さらにグランドコンタクトの接点部の収容部への効率的な延長(又は拡張)が確実に可能となる。なお、収容部の内側の改変は必要ない。
【0019】
さらなる実施形態によると、窓部はスロットとして設計され得る。これにより、スロット形状の窓部を通して、伸長した接点部の収容部への延長(又は拡大)が可能となる。スロットをその接点部が電気コネクの挿入方向に対して実質的に平行に延びるグランドコンタクトと適合させるために、スロットは挿入方向に対して実質的に平行に広がる窓部を形成してもよい。
【0020】
本発明のさらなる実施形態において、窓部はグランドコンタクトハウジングから収容部にかけて通路を形成してもよい。グランドコンタクトハウジングから、嵌合部の収容部へと広がる直接的な開口部は、シンプルな設計のグランドコンタクトの使用を可能とし、コネクタハウジングのコンパクトな設計に役立つ。一実施形態において、グランドコンタクトハウジングは挿入方向に実質的に延びる。ハウジングは挿入開口部を備えていてもよく、これはハウジングの内部にグランドコンタクトを配置するためのものである。挿入開口部は、好ましくは挿入方向に対向する方向に開口を有する。
【0021】
さらなる実施形態において、グランドコンタクトは、グランドコンタクトハウジング内に積極的(又はポジティブ)に適合されてもよく、そして/またはグランドコンタクトハウジング内に非積極的に適合されてもよく、ハウジングは窓部(スロット状の窓部など)を有し、グランドコンタクトハウジングから収容部へと通路を形成する。これによりグランドコンタクトがその配置された位置において維持されることが保証される。
【0022】
さらなる実施形態によると、グランドコンタクトは、挿入方向に沿って実質的に構成されてもよい。カウンターコネクタのグランディングエレメントは、一般的には、挿入方向に同様に延びるので、従って、グランドコンタクトとリテイナーのグランディングエレメントとの整列(又はアライメント)が達成され、これによって電気コネクタのカウンターコネクタへのプラグインの早期の段階における電気接続が可能となる。さらにこのような整列によって、グランドコンタクトの接点部とリテイナーのグランディングエレメントとの間において広い接触領域が提供される。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によると、グランドコンタクトが予め決められた取り付け位置から移動しないようにグランドコンタクトを固定するための少なくとも1つのポジショニングエレメントが提供されてもよい。このようなポジショニングエレメントは、取り付け手段におけるグランドコンタクトの正確な配置を保証し、それと同時にグランドコンタクトをその予め決められた取り付け位置に固定する。従って、完全に組み立てられた電気コネクタにおいて、グランドコンタクトが移動または運動することが回避され、このポジショニングエレメントによって、グランドコンタクトがその予め決められた取り付け位置に維持されることが保証され、その接点部が収容部内へと延在した(又は延びた、もしくは広がった)状態となる。
【0024】
ポジショニングエレメントは、グランドコンタクトに好ましくは提供される。一実施形態において、ポジショニングエレメントは、グランドコンタクトの遠位端(又は遠位の端部)に配置されてもよい。グランドコンタクトの遠位端は、グランドコンタクトの近位端(又は近位の端部)またはケーブル端部とは反対側の自由端である。なお、グランドコンタクトの近位端またはケーブル端部は、グランドワイヤ(又はアース線)と電気的に接続するグランド端子の終了エレメントに面するものである。この遠位端にポジショニングエレメントを配置することによって、特に最も簡単に移動および/または変形するグランドコンタクトの部分、すなわち、その自由先端部が、その予め決められた位置において保持されることが保証される。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によると、グランドコンタクトは剛性領域を含んでいてもよく、これは向上した耐変形性(曲げに対する耐性など)を提供する。
【0026】
剛性領域は、グランドコンタクトのより強固な設計を提供し、グランドコンタクトが簡単には変形できないようにし、それによってグランドコンタクトの接点部が収容部に滞在し、偶発的に変形または収容部から移動しないことを保証する。グランドコンタクトは、この剛性領域を形成するバルジ、ビードまたは特定の断面を備えていてもよい。あるいは、グランドコンタクトを剛化(又は硬化)するためのさらなる補強部材が提供されてもよい。
【0027】
1つの実施形態において、グランドコンタクトは、少なくとも部分的(section-wise)にU字形断面を有していてもよい。U字形断面はグランドコンタクトを剛性化し、その曲げに対する耐性を向上させる。それと同時に、その曲げられた部位またはU字形断面の湾曲部は、収容部内へと延在する(又は延びる、もしくは広がる)接点部として使用され得る。これにより、接点部と、リテイナーのグランディングエレメントとの間の電気的な接触の向上が可能となる。リテイナーのグランディングエレメントは一般に平坦である。平坦なグランディングエレメントを平坦なグランドコンタクトと接続することには問題がある場合があり、2つの平面の正確な整列(又はアライメント)が要求される。しかし、曲げられて湾曲した接点部を提供することにより、電気的なグランディングコンタクト(又は接地接触)が改良される。なぜなら、曲げられたコンタクトまたはU字形のコンタクトは、平坦なグランディングエレメントに作用し、かつこれを押圧するさらに強い接触力を付与することができ、平坦−平坦のコンタクトが要求するような正確な整列などを要求しないからである。好ましくは、この曲げられた部位または湾曲部は、収容部の内側に面を形成する嵌合部の内壁と整列され、湾曲部の頂上または頂点の領域のみが収容部の内側に到達する。
【0028】
以下、図面を参照しながら例示の実施形態について言及する実施例によって、本発明を説明する。説明される実施形態の様々な特徴は、上記で既に説明した通り、互いに独立して組み合わされても、あるいは省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、プラグイン接続を示す概略斜視図を示し、本発明の例示の電気コネクタを分解して示し、それとともにリテイナーを有するカウンターコネクタを部分的に示す。
【
図2】
図2は、
図1の組み立てられた電気コネクタの底部を示す概略斜視図を示し、特にその嵌合部を示す。
【
図3】
図3は、
図1に示すカウンターコネクタのリテイナーを詳細に示す。
【
図4】
図4は、
図1の電気コネクタの嵌合部を詳細に示し、これは挿入方向に対向して示すものである。
【
図5】
図5は、
図4を拡大して詳細に示し、グランドコンタクトの接点部に関する部分を示す。
【
図7】
図7は、
図6を拡大して詳細に示し、取り付けたグランドコンタクトに関する部分を示し、コネクタのグランドコンタクトとカウンターコネクタのグランド端子との間の接触を示す。
【
図8】
図8は、コネクタの収容部に固定されたグランドコンタクトを備える先行技術のスクイブコネクタの底面図を抜粋して示し、コネクタのグランドコンタクトとカウンターコネクタのグランド端子との間の接触を示す。
【
図9】
図9は、上記で示した実施形態の接点(又はコンタクト)を含むグランド端子を示す部分概略斜視図を示す。
【
図10】
図10は、コネクタハウジングに組み付けられた
図9のグランド端子部の挿入方向での上面図である。
【
図11】
図11は、組み付けられたグランド端子を切り取り線A−Aに沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の電気コネクタ1を図面に示すその実施形態を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、カウンターコネクタ3とともにプラグイン接続2を形成する電気コネクタ1(これはスクイブコネクタアセンブリとも呼ばれる場合もある)を分解して示す。
図1においては、カウンターコネクタ3のソケット4のみが示されていて、そのリテイナー5は、ソケット4によって提供されるポケット6の内部に配置されている。コネクタ1は、挿入方向Iにおいて、カウンターコネクタ3に差し込まれ(挿入され)得る。
【0032】
電気コネクタ1は、
図2、4および6に詳細に示される嵌合部8を有するコネクタハウジング7を含む。嵌合部8は、実質的に環状の嵌合ハウジングまたは嵌合ボディ9として設計される。コンタクトハウジング9は、挿入方向Iにおいて、コネクタハウジング7の底部10から突出している。収容部11およびその中に配置される全てのコンポーネント(又は部品)は、コネクタ1のコーディング面17を形成する。コンタクトハウジング9の外側面44は、挿入方向Iに対して実質的に垂直方向に面を形成する。嵌合部8は収容部11を規定し、これはカウンターコネクタ3のリテイナー5の少なくとも嵌合部位36を収容するように適合される。
【0033】
電気コネクタ1は、2つのコンタクト端子12を更に含み、それぞれコンタクトエレメント13を含む。図示する実施形態においてコンタクトエレメント13は、3つのクランプアーム13’を有するコンタクトクランプ13として設計され、このクランプアーム13’は、実質的に挿入方向Iにおいて互いに平行に配置され、その断面において、カウンターコネクタ3のコンタクトピン14を収容するための三角形を形成する。コンタクトエレメント13は挿入方向Iで嵌合部8のコンタクト開口15に挿入され得る。コンタクト開口15は、実質的に挿入方向Iに広がり、コンタクトエレメント13は、少なくともクランプアーム13’が嵌合部8の収容部11に配置されるように配置され得る。コンタクト開口15を規定して包囲するコンタクト開口のボディ16は、収容部11に形成され、電気コネクタ1のコーディング面17に寄与し、このことは、例えば
図2、4または6に示され得る。
【0034】
コンタクトクランプアーム13’は、挿入方向に面を形成するコンタクトエレメント13の遠位の自由端に提供される。その反対側の近位端(又は近位の端部)では、コンタクトエレメント13がコンタクト端子12のトランジションエレメント18と接続される。トランジションエレメント12は、コンタクトエレメント13に対して実質的に垂直方向に広がり、ケーブル20と接続されて終了し、そのケーブルの端部は、コンタクトエレメント13と接続するトランジション部位の部分と対向する。トランジション部位18の自由端またはケーブルの端部は、2つのコンタクト端子12を互いに分離するフェライトフィルタ19の内側に配置される。ケーブル20(図示する実施形態においては捻られたケーブルのペア20として提供されるもの)は、コンタクト端子12に接続されて終了し、その部分のトランジション部位18は、フェライトフィルタ19の内部に配置される。
【0035】
電気コネクタ1は、カバー21を更に含み、これはコネクタハウジング7の上方の面22に配置され得るものであり、挿入方向Iに対向して面を形成するものである。カバー21は、ハウジング7を閉じて、コネクタハウジング7の内側に配置されるコネクタ1の部品を隠す。カバー21は、カバー21をコネクタハウジング7に容易に固定するためのラッチ23を備える。
【0036】
図示する実施形態における電気コネクタ1は、アクチュエータ24を備えたスクイブコネクタとして設計される。アクチュエータ24は、コンタクト・ポジショニング・アシュアランス・メンバ(又は部材)として設計される。アクチュエータ24は、プラグイン接続2を不活動化(非アクティブ化)する短絡エレメント(又は短絡要素)(図示せず)を解除(又はリリース)するためのコンタクト解除部25を含む。アクチュエータ24は、その予め配置された状態(ここでは活動表面26がカバー21の上方の一定の距離において挿入方向Iに対向して配置される)から、その完全に係合して作動する状態(ここでは活動表面26がカバー21の表面と主に整列してカバー21の表面に載置される)へと挿入方向Iで移動される場合、このコンタクト解除部25によって上記の短絡が解除(又はリリース)される。アクチュエータ24はロックエレメント(又はロック要素)27を更に備える。ロックエレメント27は、ロックラッチ28を固定するように適合され、電気コネクタ1をカウンターコネクタ3と係合した状態で機械的に固定する。ロックラッチ28は嵌合部8に提供される。
【0037】
図示する実施形態の電気コネクタ1はグランド端子29を更に備える。
図9において、より詳細に示すグランド端子29はクランプ部30を備え、これはグランドワイヤ(又はアース線)31に接続するためものである。クランプ部30は、アンカープレート32のケーブル端部に配置される。このアンカープレート32は、コネクタハウジング7の底部10または上方の面22によって規定される面(これは挿入方向Iに対して垂直の面である)に実質的に広がる。クランプ部30の反対側の端部において、アンカープレート32はグランドコンタクト33を備える。グランドコンタクト33は、アンカープレート32に対して実質的に垂直方向に広がり、その近位端34(これはアンカープレート32に接続される)からその遠位端または先端部35(これは挿入方向Iに対向する(又は面する))まで、挿入方向Iで実質的に延びる。グランドコンタクト33は、接点部36を備え、これはリテイナーのグランディングエレメント37と電気的に接続されるように適合される。
【0038】
挿入方向Iにおいて電気プラグインコネクタ1をカウンターコネクタ3と接続する場合、嵌合部8は、カウンターコネクタ3のソケット4に収容される。次いで、嵌合部8の収容部11は、リテイナー5の嵌合部位38を収容する。この嵌合部位38は、コンタクト開口部39を含み、この中にカウンターコネクタ3のコンタクトピン14が配置される。コンタクト開口部39は、コンタクトエレメント13を収納するコンタクト開口ボディ16を収容するように設計される。このプラグインの間にコンタクトエレメント13は、コンタクトピン14と電気的に接続する。また、リテイナー5の嵌合部位39は、アクチュエータ24のコンタクト解除部25を収容するための開口40を含む。
【0039】
挿入方向Iにおいて電気コネクタ1をカウンターコネクタ3と接続する場合、さらにグランドコンタクト33の接点部36をリテイナー5のグランディングエレメント37と電気的に接続させる。グランドコンタクト33の接点部36と、カウンターコネクタ3のグランディングエレメント37との間の電気的な接続によって、プラグイン接続2を使用する安全拘束システムを偶発的に起動させ得るプラグイン接続2の内部での静電気放電が回避される。
【0040】
本発明の図示する実施形態による電気コネクタ1のグランドコンタクト33は、嵌合部8によって規定される収容部11の外側に配置および載置される。収容部11は、環状の嵌合ハウジングまたは嵌合ボディ9の内壁41によって囲まれる環状の部位に主として対応する。グランドコンタクト33は収容部11の外側に配置され、
図2、4および5に例として示され得るように、その接点部36が収容部11に延在する(または延びる、もしくは広がる)ように配置される。
【0041】
コネクタハウジング7は、グランドワイヤ31の終了端部、クランプ部30およびアンカープレート32の大半を収容するためのグランディングチャネル42を備える。
【0042】
コネクタ1は、グランドコンタクトを配置するための取り付けエレメント43をさらに含む。取り付けエレメント43およびグランドコンタクト33は、コネクタ1のグラン
ドコンタクトアセンブリ67を構成する。
【0043】
グラン
ドコンタクトアセンブリ67の取り付けエレメント43は、嵌合部8の外側面44に配置され、従って、収容部11の外側にも同様に配置される。
【0044】
図示する実施形態において、取り付けエレメント43はグランドコンタクトハウジング45を含む。グランドコンタクトハウジング45は、主として、嵌合部8の全長に沿って、挿入方向Iに延在する(又は延びる、もしくは広がる)。グランドコンタクトハウジング45は、挿入方向Iに対向して面を形成する開口部46を有し、これは、まず、グランドコンタクト33の遠位端35を開口部46を通して、挿入方向Iに沿って、グランドコンタクト33をグランドコンタクトハウジング45に挿入するためのものである。グランドコンタクトハウジング45は、グランドコンタクト33を配置するための取り付け手段43として役立つ。それと同時にグランドコンタクトハウジング45はグランドコンタクト33を被覆し、グランドコンタクト33をその外部から保護する。図示する実施形態のグランドコンタクトハウジング45は、コネクタハウジング(ここでは嵌合部8)と一体的に形成され、例えば射出成形によって製造され得る。
【0045】
本発明の電気コネクタ1の図示する実施形態においては、嵌合部8は窓部47を含む。この窓部は、収容部11の外側から収容部11の内側に通路48を形成する。図示する実施形態において、窓部47は、嵌合部8のボディ9のスルーホールとして設計される。窓部47は、グランドコンタクトハウジング45の内側から収容部11へと延び(又は広がり)、そうすることで、窓部47は、コンタクトエレメント33の接点部36のために、取り付け手段43(すなわちグランドコンタクトハウジング45)から収容部11まで、通路を形成するようになり、ここで接点部36は、少なくとも部分的(section-wise)に配置され、リテイナーのグランディングエレメント37との電気的な接続をもたらし得る。図示する実施形態において、窓部47はスロットとして設計され、これはグランドコンタクトハウジング45の内側に挿入方向Iに実質的に平行に広がる。
【0046】
以下において、電気コネクタ1の収容部11を規定する嵌合部8、アンカープレート32、ならびにグランドコンタクト33を含むグランド端子29について、より詳細に説明する。
【0047】
グランドコンタクト33は、取り付け手段43に配置される場合、挿入方向Iにおいて実質的に広がる伸長した形状を有する。これは例えば
図11から見受けられ得る。
図11は、嵌合部8の外側面または壁部44に提供されるグランドコンタクトハウジング45の内部での挿入方向Iに沿うグランドエレメント33の配置を示す。
【0048】
グランドコンタクト33は、剛性領域49を備え、これはグランドコンタクト33の曲げ(ベンディング)に対する耐性を向上させる。図示する実施形態においては、
図6および9に例として見受けられ得るように、剛性領域49はグランドコンタクト33のU字形断面によって提供される。グランドコンタクト33の剛性領域49によって、グランドコンタクト33の可塑性の変形を回避し、それにより収容部11に延在する(又は延びる、もしくは広がる)接点部36の部分が収容部11から外側に移動されることを防止する。図示する実施形態において、その断面がU字形のグランドコンタクト33の湾曲部50またはその曲げられた部分は、グランドコンタクト33の接点部36を構成する。
【0049】
図7および8は、概略断面を示し、
図7では本発明のコネクタ1に関して、
図8では従来技術のコネクタについて、グランドコンタクト33をカウンターコネクタ3のグランディングエレメント37にどのようにして接触させるのかを示す。
【0050】
図7に見受けられ得るように、U字形グランドコンタクト33の湾曲部50は、カウンターコネクタ3のリテイナー5の平坦なグランディングエレメント37と電気的に接続する。それに対して、
図8に示す従来技術では、平坦なグランドコンタクト33を使用する。本発明の図示する実施形態のグランドコンタクト33のU字形の設計は、コネクタ1のグランドコンタクト33と、カウンターコネクタ3のグランディングエレメント37と
の間の電気的な接触を促進および向上させる。なぜなら、平坦なグランド端子37がグランドコンタクト33の湾曲部50と接触することによって、より高い接触圧力が付与され得、これが湾曲部50から平坦なグランディングエレメント37へと作用し得るからである。さらに、平坦−平坦の接続は、従来技術におけるように、グランドコンタクト33のグランディングエレメント37とのさらにより正確な整列(アライメント)が必要である。対して、
図7に示すような湾曲した接点部26は、より大きな許容誤差(トレランス)を可能とする。
【0051】
さらに
図7に示され得るように、接点部36は、収容部11を含む嵌合部8の内壁41と実質的に整列される。一般的には、湾曲した接点部36の全体は、嵌合ハウジング9の内壁41と実質的に同じ高さにされる。グランドコンタクト33とグランディングエレメント36との間での電気的な接触が実現される接点部36の頂上(クレスト)または頂点(サミット)のみが収容部11に延在する(又は延びる、もしくは広がる)。湾曲部50の収容部11への突出は、可能な限り低い程度に維持され、その一方で同時に接点部とグランディング端子37との間での安全な電子的な接続を保証する。
【0052】
これに対して、
図8に示され得るように、従来技術のコネクタのグラン
ドコンタクトアセンブリ67は、一般的には、収容部11の内側に配置され、そのコーディング面17を変化させて、それに対応する調整、特に取り付けエレメント43を収容するための調整がカウンターコネクタ3の側部に必要となる。
【0053】
U字形グランドコンタクト33の2つの脚部51は、取り付けエレメント43においてポジティブロックで配置される。
図6に見受けられ得るように、グランドコンタクト33の2つの脚部51は、グランドコンタクトハウジング45の2つの対向する内壁に主に支えられていて、このグランドコンタクトハウジング45は、グランドコンタクト33が挿入方向Iに対して垂直方向かつ窓部47の通路48に対して垂直方向に移動するのを制限するものである。脚部51の自由な側(フリーサイド)52は、窓部47に対向するグランドコンタクトハウジング45の内壁に支えられている。窓部47の幅w
47は、グランドコンタクト33の幅w
33よりも小さくてもよい。このような形状を有することで、湾曲した接点部36は、グランドコンタクトハウジング45の内側から窓部47に隣接して、グランドコンタクトハウジング45の内側に部分的に配置され得、曲げた部分50の頂上または頂点は収容部11へと延在する(又は延びる、もしくは広がる)。それによって、グランドコンタクト33は、取り付けエレメント43のグランドコンタクトハウジング45における挿入方向Iの運動ならびに挿入方向Iに対する垂直方向の運動に対して、ポジティブロックで配置される。
【0054】
しかし、
図10および11に示すように、窓部47の幅w
47は、グランドコンタクト33にポジショニングエレメント53が提供される場合、グランドコンタクト33の幅w
33よりも広いものであってもよい。図示する実施形態のポジショニングエレメント53は、グランドコンタクト33の遠位端35に配置されたピン54として設計される。ピン54は、グランドコンタクト33の遠位端35から挿入方向Iに主に突出する。ピン54は、グランドコンタクトハウジング45の底部56に設けられた凹部55と係合することによって、グランドコンタクト33が予め決められた取り付け位置から移動しないようにグランドコンタクト33を固定する。
【0055】
グランドコンタクトハウジング45の底部56に設けられた凹部55にグランドコンタクト33の遠位端35にあるピン54を配置すると、グランドコンタクト33は、グランドコンタクトハウジング45に配置されると、挿入方向Iに対して垂直方向に移動しないように固定される。それによって、グランドコンタクト33の接点部36がリテイナー5のグランド端子29と接触するように適合された収容部11の内側に留まることが保証される。
【0056】
グランドコンタクト33の近位の端部34は、ポジショニングショルダー57を備える。ポジショニングショルダー57、さらにポジショニングエレメント53は、U字形のグランドコンタクト33の脚部51から形成される。近位の端部34において、脚部51は、グランドコンタクト33の残りの部分と比べて、側部51がU字形のコンタクトエレメント33の基部において面を形成する方向に長く、さらにその方向に延在する(又は延びる、もしくは広がる)。さらに、近位の端部34のポジショニングショルダー57と、グランドコンタクト33の脚部51の残りの部分との間にはノッチ58が提供され、そうすることによって、挿入方向Iに面を有するポジショニングショルダー57のレスティング面59が、取り付けエレメント43にグランドコンタクトを配置するための支持部を提供するようになる。
【0057】
図11に見受けられ得るように、グランドコンタクトハウジング43は、入口部60を備え、これは挿入方向Iに対向して面を形成し、開口部46を含む。収容部11から離れて面を形成する入口部60の側壁61にはスロープが形成され、グランドコンタクトハウジング45の底部56に向かって狭くなり、これによって、グランドコンタクト33のグランドコンタクトハウジング45への挿入方向Iでの挿入および配置が促進される。
【0058】
入口部60の底端部62はステップ63を備え、ポジショニングショルダー57のレスティング面59を配置するためのレストを規定する。グランドコンタクトハウジング45の入口部60の底端部62にポジショニングショルダー57を配置することによって、グランドコンタクト33のグランドコンタクトハウジング45への挿入方向Iでの挿入を制限し、グランドコンタクト33が意図したよりも挿入方向Iでグランドコンタクトハウジング内へとさらに押圧されるのを回避する。これはグランドコンタクト33の望ましくない変形を防止する。
【0059】
アンカープレート32は、挿入方向Iに対向して面を形成するポジショニングショルダー57の近位の端部と接続される。アンカープレート32は、挿入方向Iに対して垂直方向の面に主に配置され、コネクタハウジング7のグランドチャネル42にこれが配置され得るように適合され、グランドチャネル42からグランドコンタクトハウジング45の開口部46へと延びる。アンカープレート32は、その狭い測面の側部68において、アンカープレート32の長手方向Lに沿ってアンカー凹部64を有し、これはコネクタハウジング7のカウンターエレメント65を収容してそれと係合するように適合されている。これらのアンカー凹部64の内側には、挿入方向Iに対して垂直方向の平面において、アンカープレート33の移動を制限するためにカウンターハウジングの固定エレメント65、65aが配置され得る。それによって、アンカー凹部65は、アンカーエレメント65、65aと協同して、ストレイン・リリーフ・エレメント(又は歪み緩和要素)を提供する。これは、グランドワイヤ31にて引っ張られる場合にグランドコンタクト33に付与されるあらゆるストレイン(又は歪み)を調整するためのものである。
【0060】
この配置した状態において、グランド端子29は、グランドコンタクトハウジング45に配置されるそのグランドコンタクト33とともにコネクタハウジング7に配置され、それによって、ピン54はグランドコンタクトハウジング45の底部56の凹部55に配置され、ポジショニングショルダー57のレスティング面59は、入口部60の底端部62においてステップ63に配置され、アンカー凹部64は、コネクタハウジング7のアンカーエレメント65、65aと係合する。カバー21は、コネクタハウジング7に接続される場合、グランド端子29がグランドコンタクト33において取り付けエレメント43から挿入方向Iに対向して脱離しないようにグランド端子29を固定する。これを達成するために、カバー21は、本願の図面に示す実施形態の電気コネクタ1の完全に組み立てられた状態において、挿入方向Iおいて、アンカープレート32と整列してアンカープレート32を押圧する押圧部66を備える。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
プラグイン接続(2)のための電気コネクタ(1)であって、
カウンターコネクタ(3)の嵌合部位(38)を収容するように適合された収容部(11)を規定する嵌合部(8)を有するコネクタハウジング(7)、
前記収容部(11)内に配置される少なくとも2つのコンタクトエレメント(13)、および
前記カウンターコネクタ(3)のグランディングエレメント(37)と電気的に接続するように適合された接点部(36)を有するグランドコンタクト(33)と、前記グランドコンタクト(33)を配置するための取り付けエレメント(43)とを含むグランドアセンブリ(67)
を含み、
前記グランドコンタクトアセンブリ(67)が前記収容部(11)の外側に配置され、前記接点部(36)が少なくとも部分的に前記収容部(11)内へと延在することを特徴とする、電気コネクタ(1)。
(態様2)
前記取り付けエレメント(43)が前記嵌合部(8)の外側面(44)に配置されることを特徴とする態様1に記載の電気コネクタ(1)。
(態様3)
前記取り付けエレメント(43)が、前記グランドコンタクト(33)をその外部から保護するグランドコンタクトハウジング(45)を含むことを特徴とする態様1〜2のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
(態様4)
前記グランドコンタクトハウジング(45)が前記コネクタハウジング(7)と一体的に形成されていることを特徴とする態様3に記載の電気コネクタ(1)。
(態様5)
前記取り付けエレメント(43)において、前記グランドコンタクト(33)がポジティブロックで配置されることを特徴とする態様1〜4のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
(態様6)
カバー(21)が前記グランドコンタクト(33)を、前記取り付けエレメント(43)から脱離しないように固定することを特徴とする態様5に記載の電気コネクタ(1)。
(態様7)
前記収容部(11)への通路(48)を形成する窓部(47)を前記嵌合部(8)が含むことを特徴とする態様1〜6のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
(態様8)
前記窓部(47)が、前記グランドコンタクトハウジング(45)から前記収容部(11)への通路(48)を形成することを特徴とする態様7に記載の電気コネクタ(1)。
(態様9)
前記窓部(47)がスロットとして設計されることを特徴とする態様7〜8のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
(態様10)
前記電気コネクタ(1)を前記カウンターコネクタ(3)に差し込む挿入方向(I)に沿って前記グランドコンタクト(33)が実質的に構成されることを特徴とする態様1〜9のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
(態様11)
前記グランドコンタクト(33)を、予め決められた取り付け位置から移動しないように固定するための少なくとも1つのポジショニングエレメント(53)によって特徴付けられる態様1〜10のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
(態様12)
前記ポジショニングエレメント(53)が前記グランドコンタクト(33)の遠位端(35)に配置されることを特徴とする態様11に記載の電気コネクタ(1)。
(態様13)
前記グランドコンタクト(33)が、向上した耐変形性を提供する剛性領域(49)を含むことを特徴とする態様1〜12のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。
(態様14)
前記グランドコンタクト(33)が、少なくとも部分的にU字形断面を有することを特徴とする態様1〜13のいずれか1項に記載の電気コネクタ(1)。