【文献】
松本康幸,"迫る 電子記録債権の時代〜「でんさいネット」、全国規模の新社会インフラ",月刊金融ジャーナル,金融ジャーナル社,2011年 5月 1日,第52巻,第5号,pp.16-19
【文献】
森俊二,"迫る 電子記録債権の時代〜<みずほ>における電子記録債権への取り組みと今後の展開",月刊金融ジャーナル,金融ジャーナル社,2011年 5月 1日,第52巻,第5号,pp.28-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の決済口座を債権者決済口座として記録された電子記録債権について、決済口座の名義人の譲渡記録請求データファイルをクライアントコンピュータから受信するステップと、
前記決済口座の名義人の譲渡記録請求データファイルに含まれる決済口座情報に基づいて、前記口座管理データ記憶部から口座データレコードを参照するステップと、
前記参照した口座データレコードに基づいて、前記決済口座の名義人の譲渡記録請求データファイルの受付を拒否するステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
プロセッサとメモリを備えたコンピュータであって、メモリは前記プロセッサに請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ。
【背景技術】
【0002】
平成19年6月に電子記録債権法が成立、公布され、平成20年12月に施行された。電子記録債権は、電子債権記録機関の記録原簿に電子的に記録を行うことにより、債権の発生および譲渡の効力要件としている。電子記録債権は、従来の紙の手形に代わり、国から認可を受けた電子債権記録機関が債権者および債務者の名前、支払い金額、ならびに支払期日などをコンピュータ上で管理し、手形のように譲渡および換金等が可能となる。これにより、取引の安全性および債権の流動化を促進するだけでなく、手形のペーパーレス化による管理業務の簡素化を図ることができる。
【0003】
電子記録債権は、従来の紙の手形と比較して、コンピュータ上で情報を管理するので、紙の手形につきまとった紛失や盗難などのリスクを回避し、決済期限より前に債権を換金することができるため、企業の資金繰りを円滑にする効果も期待されている。また、電子記録債権は、その額面での取引に加え、分割して譲渡することができるので、必要な額だけを分割して早期に現金化するなど、柔軟な対応が可能である。
【0004】
電子記録債権法では、利用者の利便性確保の観点から、電子債権記録機関が複数設立されることを前提としている。電子債権記録機関は大きく2つに分けて、いわゆるメガバンクにより設立された電子債権記録機関と、全国銀行協会により設立された電子債権記録機関とが存在する。後者は全銀行参加型のサービス(以下、「でんさいネット」(登録商標))を提供しており、各金融機関の窓口(以下、「参加金融機関」)を通じてのみ利用可能となっている。
【0005】
電子記録債権を利用する債権者または債務者(以下、「利用者」)は、指定する参加金融機関の支店毎に、利用者の決済口座情報(決済口座情報は、金融機関コード、支店コード、口座種別コードおよび口座番号を有する)を保有するアカウントを登録する必要がある。アカウントを登録すると(登録したアカウントに債権者利用特約の指定がない場合)、利用者は、参加金融機関が提供するシステム(以下、「銀行システム」)を通じて、決済口座情報を指定して電子記録債権の発生記録請求を行うことができる。発生記録請求が行われると、銀行システムは、全金融機関共通のフォーマットを有する発生記録請求データファイルを作成し、電子債権記録機関が提供するシステム(以下、「電子債権記録機関システム」)に送信する。電子債権記録機関システムは、発生記録請求データファイルの受信に応じて、電子債権記録機関システムが有する電子記録債権データベースに該当の記録原簿レコードを追加し、このことによって、電子記録債権が発生することになる。上記決済口座は、アカウントごとに保持する口座情報であり、電子記録債権は決済口座と関連付けて管理される。1つのアカウントに複数の決済口座を保持することができ、1つの決済口座に対して複数の電子記録債権を発生させることができる。
【0006】
ところで、電子記録債権の債権者は、債権の支払期日が到来しなければ現金を手にすることができないが、支払期日の前に現金が必要な場合がある。そのような場合に、未支払期日の電子記録債権を金融機関に譲渡して、当該金融機関は譲り受けた債権を買い取り、現金を支払うことによって、債権者は支払期日よりも前に現金を手にすることができる。支払期日の前に現金化することから、電子記録債権の支払期日までの金利(年利)を割引料として支払うことになる。このような仕組みを「電子記録債権の割引」という。
【0007】
また、電子記録債権の債権者は、電子記録債権を担保として金融機関に差し入れ、当該金融機関から融資を受けることも可能である。この場合も債権者は、未支払期日の電子記録債権を金融機関に譲渡して、当該金融機関は譲り受けた債権を担保とする与信を実行し、現金を支払うことになる。このような仕組みを「電子記録債権の担保差入」という。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る電子記録債権管理システムを詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る電子記録債権管理システム全体の構成の例を示す図である。
図1において、電子記録債権管理装置101は、専用線などのネットワーク102を介して、電子債権記録機関システム103に接続される。また、電子記録債権管理装置101は、インターネットなどのネットワーク104を介して、クライアントコンピュータ105に接続される。
【0019】
電子記録債権管理装置101は、本発明に係る電子記録債権管理システムのサービスを提供する主要なコンピューティングデバイスである。電子記録債権管理装置101は、利用者からの電子記録債権の割引または担保差入の要求があると、全銀行共通フォーマットを有する譲渡記録請求データファイルを作成して、当該譲渡記録請求データファイルを電子債権記録機関システム103に送信するなどの処理を行う。なお、電子記録債権管理装置101は単独で実装されてもよいし、または、従来から存在する、銀行の勘定系サービスを提供する銀行システムのサーバもしくはホストで実装されてもよい。
【0020】
電子記録債権管理装置101は、ネットワークI/F110、制御部120、主記憶部130、および、補助記憶部140を備え、それらの各要素がシステムバスを介して接続されている。
【0021】
ネットワークI/F110は、ネットワーク102および104を介してそれぞれ接続された電子債権記録機関システム103およびクライアントコンピュータ105との間で、データを送受信する。
【0022】
制御部120は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、上記各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部140に格納されている各種プログラムを主記憶部130に読み出して実行する。主記憶部130は、メインメモリとも呼ばれ、電子記録債権管理装置101が受信した入力データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。
【0023】
補助記憶部140は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、口座管理データ記憶部141、電子記録債権データ記憶部142および与信管理データ記憶部143などのデータベーステーブルを格納している。また、補助記憶部140は、制御部120に、本発明に係る各種処理を実行させるためのプログラム(図示せず)を格納している。
【0024】
電子債権記録機関システム103は、電子債権記録機関によって提供される、電子記録債権の発生、譲渡などの記録を行うシステムであり、電子記録債権の記録内容を保有する記録原簿を格納する電子記録債権データベース150を備える。電子債権記録機関システム103は、電子記録債権管理装置101から譲渡記録請求データファイルを受信すると、電子記録債権データベース150の該当の記録原簿レコードを更新するなどの処理を実行する。
【0025】
クライアントコンピュータ105は、本発明に係る電子記録債権管理システムが提供するサービスに対する要求を入力するためのコンピュータ端末である。利用者からの電子記録債権の割引または担保差入の要求を受け付けた参加金融機関の担当者は、クライアントコンピュータ105から所定の情報を入力する。入力された情報は、電子記録債権管理装置101に送信されて、譲渡記録などの処理が行われる。
【0026】
上述した電子記録債権管理装置101は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって構成されてもよい。また、上述したクライアントコンピュータ105は、例えば、通信機能を備えるパーソナルコンピュータ、ワークステーション、PDAなどの情報端末機器であってもよい。コンピューティングデバイスおよび情報端末機器は、中央処理装置(CPU)、メモリ、記憶装置などを備えるコンピューティングデバイスであって、メモリまたは記憶装置に格納されたコンピュータプログラムをCPUが処理することによって統括的に制御され、本発明に係る処理を実行し、その機能を実現することができる。なお、上述したシステム構成は、例示のためのものであり、本発明を実行することができるシステム構成を限定するものではない。
【0027】
次に、
図4を参照して、本発明に係る電子記録債権管理システムが実行する一連の処理を説明する。本実施形態では、以下の事項を前提とする(
図3を参照)。1)利用者は、自身が有する決済口座1について電子記録債権1を有し、決済口座2について電子記録債権2および3を有する債権者とする。2)利用者は、本発明に係る電子記録債権管理システムを提供する参加金融機関(以下、「サービス提供金融機関」)の窓口に、電子記録債権1に対する割引または電子記録債権3に対する担保差入の申込みを行ったものとする。
【0028】
<特殊決済口座開設>
サービス提供金融機関の担当者は、利用者からの割引または担保差入の申込みがあったことに応じて、クライアントコンピュータ105から口座開設データを入力する。入力した口座開設データは、クライアントコンピュータ105からネットワーク104を介して電子記録債権管理装置101に送信される(S401)。口座開設データとは、電子記録債権の取り扱いにおいて、電子記録債権の割引を行う際の専用口座(以下、「割引用決済口座」)または担保差入を行う際の専用口座(以下、「担保用決済口座」)を開設するために必要となるデータである(以下、割引用決済口座および担保用決済口座を「特殊決済口座」)。口座開設データは、利用者番号(電子債権記録機関システム103において利用者に割り振られる番号)、利用者が電子債権記録機関システム103上のアカウントにおいて既に有している決済口座とは別の口座の口座情報(当該別の口座情報が特殊決済口座の口座情報に該当する)を含むが、そのような項目に限定されない。
【0029】
電子記録債権管理装置101のネットワークI/F110は、S401で送信された口座開設データを受信し、制御部120が、当該口座開設データに基づいて、電子債権記録機関システム103に対し、利用者の既存アカウントへの決済口座の登録要求を行う。当該要求を受けた電子債権記録機関システム103は、上記アカウントへの決済口座の登録処理を行う。この決済口座登録の処理は現行で行われている処理と同様であるので、本明細書での詳細な説明は省略する。さらに制御部120は、口座管理データ記憶部141にレコードを追加する(S402)。ここで、口座管理データ記憶部141を、
図5を参照して説明する。
【0030】
口座管理データ記憶部141は、電子記録債権の決済口座として指定された、サービス提供金融機関に存在する口座情報を記憶したデータベーステーブルであり、
図5のNo.1および2のレコードが、上述した既存の決済口座1および2にそれぞれ該当する。口座管理データ記憶部141は、項目「利用者番号」、「金融機関コード」、「支店コード」、「口座種別コード」、「口座名義人」、「口座番号」(これらの項目は、上記受信した口座開設データの値が設定される、口座番号はシステムによって自動的に割り振られる)、「割引用フラグ」、および、「担保用フラグ」を備える。電子債権記録機関システム103においては、登録する決済口座は割引用または担保用などの区別がなく取り扱われるので、口座管理データ記憶部141の項目「割引用フラグ」または「担保用フラグ」に「1:有効」を設定して、開設する口座が特殊決済口座であるか否かを判定する。つまり、利用者が電子記録債権の割引を申し込んだ場合は、
図5のNo.3のレコードが追加され、担保差入を申し込んだ場合は、
図5のNo.4のレコードが追加される。この「特殊決済口座」の判定は、項目「質権設定フラグ」を設け、当該項目に「1:割引用」、「2:担保用」を設定して行うようにしてもよい。このように、口座管理データ記憶部141において、利用者が割引または担保差入を行う際に電子記録債権の譲渡先として指定される決済口座を、特殊決済口座に限定し、かつ質権設定して管理を行うこと、および、通常の発生記録請求や譲渡記録請求等の記録請求について、特殊決済口座を決済口座に指定できないように管理することによって、当該口座を決済口座として指定した無関係な電子記録債権が発生することなどを防止することができるが、詳細は後述する。なお、上述したS401およびS402の処理については、既に利用者が特殊決済口座を開設している場合は実行されない処理であり、この場合は、S403の処理から開始される
【0031】
<電子記録債権担保差入実行>
次に、電子記録債権の担保差入のフローについて説明する。本実施形態では、担保差入を実行する例を説明するが、割引を実行するケースにも同様の処理が適用されるので、本明細書での説明は省略する。サービス提供金融機関の担当者は、クライアントコンピュータ105から担保差入申込データを入力する。入力した担保差入申込データは、電子記録債権管理装置101に送信される(S403)。担保差入申込データとは、
図3での電子記録債権3についての担保差入を申し込むのに必要なデータである。担保差入申込データは、担保差入対象となる電子記録債権の記録番号、および、決済口座として指定された特殊決済口座の口座情報を少なくとも含むが、これらの項目に限定されない。
【0032】
次に、電子記録債権管理装置101のネットワークI/F110が、S403で送信された担保差入申込データを受信すると、制御部120は、譲受人の決済口座を特殊決済口座(担保用決済口座)とする(債権者名義の変更なし)譲渡記録請求データファイルを作成し、ネットワークI/F110が当該譲渡記録請求データファイルを電子債権記録機関システム103に送信する(S404)。譲渡記録請求データファイルは、電子債権記録機関システム103に対して譲渡記録請求を行うためのデータファイルであり、全金融機関共通フォーマットが定められている。電子債権記録機関システム103は、譲渡記録請求データファイルを受信すると、電子記録債権データベース150から該当の電子記録債権記録原簿レコードを更新し(S405)、譲渡記録結果データファイルを作成して電子記録債権管理装置101に送信する(S406)。この処理において、電子債権記録機関において譲渡記録がされ(譲渡の効力が発生し)、記録原簿上では電子記録債権1の債権者決済口座に特殊決済口座(担保用決済口座)が指定されて記録される。なお、S404からS406の処理は、既存の譲渡記録請求を行う処理と同一であるので、本明細書での詳細な説明は省略する。
【0033】
次に、制御部120は、当該担保差入申込データ(またはS406で送信された譲渡記録結果データファイル)に含まれる記録番号に基づいて、電子記録債権データ記憶部142の該当のレコードを更新する(S407)。ここで、電子記録債権データ記憶部142を、
図6を参照して説明する。
【0034】
電子記録債権データ記憶部142は、電子債権記録機関システム103上の記録原簿のうち、サービス提供金融機関が有する口座を決済口座とする電子記録債権情報を記憶したデータベーステーブルである。電子記録債権データ記憶部142は、項目「記録番号」(本項目の値によって電子記録債権が識別される)、「債権金額」、「支払期日」、「決済口座情報」および「質権設定フラグ」を備える。電子債権記録機関システム103においては、発生記録された電子記録債権について質権設定の記録をすることができないので、電子記録債権データ記憶部142の項目「質権設定フラグ」に「1:有効」を設定することによって、該当の電子記録債権がサービス提供金融機関によって質権設定されているか否かを判定することができる。上述したように、現行では電子記録債権の担保差入を行う場合は、金融機関に該当の電子記録債権を譲渡することが前提となっている。この前提において、当該譲渡を行わずに同一の債権者の別の決済口座(特殊決済口座)を譲受人として指定して譲渡し、譲渡を受けるべきであった金融機関(本実施形態におけるサービス提供金融機関)が特殊決済口座および当該電子記録債権に質権設定を行って管理することによって、担保差入対象の電子記録債権の自由な取引を防止することができるが、詳細は後述する。
【0035】
図6(a)は、S407における更新処理前の電子記録債権データ記憶部142を示しており、のNo.1、2および3のレコードが上述した既存の電子記録債権1、2および3にそれぞれ該当する。一方、
図6(b)は更新処理後の電子記録債権データ記憶部142を示している。本実施形態では、利用者が電子記録債権1の担保差入を申し込んでいるので、
図6(b)のNo.1のレコードが更新される(決済口座情報に特殊決済口座の口座情報が設定され、質権設定フラグに「1:有効」が設定される)。
【0036】
次に、制御部120は、担保差入申込データ(またはS406で送信された譲渡記録結果データファイル)に含まれる記録番号および決済口座情報に基づいて、与信管理データ記憶部143にレコードを追加する(S408)。ここで、与信管理データ記憶部143を、
図7を参照して説明する。
【0037】
与信管理データ記憶部143は、上述した電子記録債権データ記憶部142において質権設定された電子記録債権について、設定した担保金額を記憶したデータベーステーブルである。与信管理データ記憶部143は、項目「記録番号」(本項目の値によって電子記録債権が識別される)、「債権金額」、「担保金額」、「支払期日」および「決済口座情報」を備え、上述した担保差入の申込みが実行されるたびに、レコードが追加される。
【0038】
<口座間送金決済実行>
次に、担保設定された電子記録債権の口座間送金決済フローについて説明する。本フローにおいても、担保差入を実行する例を説明するが、割引を実行するケースにも同様の処理が適用されるので、本明細書での説明は省略する。上述した電子記録債権3の支払期日が到来し、債務者からの支払いがあった際の処理を説明する。電子記録債権の支払いは、口座間送金決済、すなわち、払込期日になると債務者の決済口座から自動的に引き落としが行われ、債権者の決済口座(S407で更新した特殊決済口座)に振込みが行われる。これらの処理は現行の処理と同様であるので、本明細書での詳細な説明は省略する。
【0039】
電子記録債権管理装置101の制御部120は、口座間送金決済が行われた(特殊決済口座に被振込がされた)ことを確認すると(S409)、担保設定を解除し、被振込資金を特殊決済口座に入金する。すなわち、制御部120は、電子記録債権データ記憶部142の電子記録債権1のレコード(
図6(b)のNo.1)の質権設定フラグに「空白:無効」を設定し、および、与信管理データ記憶部143から、担保用レコードの担保金額を減額する更新を行う(S410)。なお、特殊口座は質権設定されているため、振込入金された担保替り金についても引き続き質権設定の効力が及ぶので、口座管理データ記憶部141のレコードの更新は行わない。
【0040】
上述した処理によって、上記担保金額がゼロとなった電子記録債権について、制御部120は、電子記録債権データ記憶部142から電子記録債権1のレコード(
図6(b)のNo.1)のレコードを削除する(S411)。電子記録債権は、主たる債務者による全額の支払いが完了すると消滅するので、本実施形態では該当のレコードを削除する構成としているが、このような構成に限定されず、例えば、支払フラグの項目を設けて、当該項目を「1:支払済み」に更新し、および、項目「質権設定フラグ」を空白に更新するようにしてもよい。なお、担保金額の回収が、口座間送金決済によらずに、回収が行われたら、S411以降、上記と同様の処理を行う。なお、一部金額について回収が行われた場合は、与信管理データ記憶部143の担保金額を減額し、電子記録債権データ記憶部142の項目「質権設定フラグ」は更新しない(質権設定されたままの状態とする)。この場合、質権コードが解除された電子記録債権を、利用者に譲渡し返却することが可能となる。
【0041】
<譲渡記録請求制御>
次に、本発明に係る電子債権管理システムにおいて、上述した特殊決済口座の名義人(利用者)が、質権設定された電子記録債権(記録上の債権者となっている)について、譲渡記録請求もしくは分割譲渡記録請求、変更記録請求、保証記録請求、または支払等記録請求を行おうとした場合の処理を、
図8を参照して説明する。質権設定された電子記録債権が、譲渡されること、内容変更されること、または、支払等記録され消滅することを防止する必要がある。
【0042】
利用者が、電子記録債権の譲渡記録請求等の申込を行うと(クライアントコンピュータ105から記録請求データが入力される)、入力された記録請求データが、クライアントコンピュータ105からネットワーク104を介して電子記録債権管理装置101に送信される(S801)。譲渡記録請求データには、少なくとも、請求者決済口座に指定された口座の口座情報や記録対象の電子記録債権の記録番号が含まれる。
【0043】
次に、電子記録債権管理装置101のネットワークI/F110が、S801で送信された譲渡記録請求データを受信すると、制御部120が、当該譲渡記録請求データファイルに含まれる請求者決済口座情報に基づいて、口座管理データ記憶部141のレコードを参照する(S802)。
【0044】
次に、制御部120は、上記参照した口座管理データ記憶部141のレコードのレコード)に含まれる項目「割引用フラグ」または「担保用フラグ」の値を参照して、当該レコードの口座が特殊決済口座であるか否かを判定する(S803)。特殊決済口座である場合は、当該口座を債権者決済口座とする譲渡記録請求は不可として(S804)、クライアントコンピュータ105に、発生記録のエラー通知を返す(S805)。一方、指定された請求者決済口座が特殊決済口座でない場合は、通常の利用者からの記録請求受付として処理を行う(S806)。この請求受付の処理は、従来からの処理と同様であるので、本明細書での説明は省略する。
【0045】
以上説明したように、質権設定された電子記録債権は、電子記録債権の記録上の債権者が自由に記録請求できないように金融機関が管理するので、当該電子記録債権の内容を変更させることを防止することができる。なお、本実施形態では、質権設定されている電子記録債権を指定して譲渡記録請求があった場合を説明したが、上記電子記録債権に対して変更記録請求や保証記録請求、支払等記録請求があった場合にも、上述した方法と同様に処理を行って当該請求の受付を拒否する。
【0046】
<発生記録請求受付制御>
次に、本発明に係る電子記録債権管理システムにおいて、上述した特殊決済口座を債権者決済口座とする電子記録債権の発生記録請求が他の利用者された場合の処理を、
図9を参照して説明する。特殊決済口座は、債権者が電子記録債権の割引または担保差入を行う際の専用決済口座として利用するものであるので、当該口座を決済口座とする無関係な電子記録債権が発生する、もしくは譲渡されることを防止する必要がある。
【0047】
電子債権記録機関システム103は、電子記録債権に対する発生記録がされると、電子記録債権の債権者決済口座を管理する参加金融機関、すなわち、電子記録債権管理装置101に、発生記録結果データファイルを送信する(S901)。発生記録結果データファイルには、少なくとも、債権者決済口座に指定された口座の口座情報が含まれる。
【0048】
電子記録債権管理装置101のネットワークI/F110は、S901で送信された発生記録結果データファイルを受信し、制御部120が、当該発生記録結果データファイルに含まれる債権者決済口座情報に基づいて、口座管理データ記憶部141のレコードを参照する(S902)。
【0049】
次に、制御部120は、上記参照した口座管理データ記憶部141のレコードのレコード)に含まれる項目「割引用フラグ」または「担保用フラグ」の値を参照して、当該レコードの口座が特殊決済口座であるか否かを判定する(S903)。特殊決済口座である場合は、当該口座を債権者決済口座とする発生記録は不可として、発生記録を取消する変更記録請求データファイルを作成し、ネットワークI/F110を通じて電子債権記録機関システム103に変更記録請求データファイルを送信する(S904)。電子債権記録機関システム103は、当該変更記録請求データファイルを受信して、発生記録を取消する変更記録を行う(S905)。記録を受けた債権者は、発生記録日から5銀行営業日以内に変更記録請求することで、発生記録の取消が可能である。変更記録がされると、クライアントコンピュータ105に、発生記録のエラー通知を返す(S906)。一方、指定された債権者決済口座が特殊決済口座でない場合は、処理を終了する。
【0050】
以上説明したように、特殊決済口座は、割引または担保差入された電子記録債権専用の決済口座として金融機関が管理するので、当該口座を債権者決済口座としてそのような目的以外の電子記録債権を発生させることを防止することができる。なお、本実施形態では、特殊決済口座を債権者決済口座として指定して発生記録があった場合を説明したが、上記口座に対して譲渡記録請求または分割譲渡記録請求(割引または担保差入以外)があった場合にも、上述した方法と同様に処理を行って当該請求を拒否する。この場合は、電子債権記録機関システム103から受信した譲渡記録結果データファイルまたは分割譲渡記録結果データファイルが、割引または担保差入の申込みであるか否かを判定して、割引または担保差入のいずれでもない場合に、
図9と同様の処理を行う。
【0051】
<被振込制御>
次に、本発明に係る電子記録債権管理システムにおいて、上述した特殊決済口座に対する振込みが行われた場合の処理を、
図10を参照して説明する。上述したように、特殊決済口座は、金融機関によって質権設定がされていることから、当該決済口座に対して、質権設定を行っている電子記録債権に係る口座間送金決済以外の無関係な振込みを防止する必要がある。
【0052】
まず、電子記録債権管理装置101のネットワークI/F110は、サービス提供機関の勘定系システムから送信された、電子記録債権に対する入金処理データファイルを受信する(S1001)。入金処理データファイルとは、従来からの金融機関の振込みを行う際に作成された、振込先の金融機関に送信されるデータファイルであり、振込先の口座情報、該当の電子記録債権を特定する記録番号、および、入金額などが含まれる。なお、当該入金処理の詳細は、従来からの処理と同様であるので、本明細書での説明は省略する。
【0053】
次に、電子記録債権管理装置101の制御部120は、入金処理データファイルに含まれる口座情報に基づいて、口座管理データ記憶部141のレコードを参照する(S1002)。
【0054】
次に、制御部120は、上記参照した口座管理データ記憶部141のレコードに含まれる項目「割引用フラグ」または「担保用フラグ」の値を参照して、当該レコードの口座が特殊決済口座であるか否かを判定する(S1003)。特殊決済口座でない場合は、通常の口座間送金決済として指定口座への入金処理を行う。(S1004)。
【0055】
一方、上記判定の結果、特殊決済口座である場合は、電子記録債権管理装置101の制御部120は、入金処理データファイルに含まれる記録番号に基づいて、電子記録債権データ記憶部142のレコードを参照する(S1005)。
【0056】
次に、制御部120は、上記参照した電子記録債権データ記憶部142のレコードを参照して、当該レコードの電子記録債権が割引利用されているかを判定する(S1006)。割引利用されている場合は(口座管理データ記憶部141のレコードの項目「割引用フラグ」の値によって判定)、その振込資金で与信回収処理を行われるので、全額回収された場合に、与信管理データ記憶部143から該当レコードを削除する(S1007)。なお、本実施形態では該当のレコードを削除する構成としているが、このような構成に限定されず、例えば、回収フラグの項目を設けて、当該項目を「1:回収済み」に更新するようにしてもよい。
【0057】
次に、制御部120は、上記参照した電子記録債権データ記憶部142のレコードを参照して、当該レコードの電子記録債権が担保差入されているかを判定する(S1008)。担保利用されている場合は(口座管理データ記憶部141のレコードの項目「担保用フラグ」の値によって判定)、電子記録債権データ記憶部142の該当のレコードの項目「質権設定フラグ」に「空白:無効」を設定し(S1009)、与信管理データ記憶部143の担保レコードの担保金額を減額し、全額回収された場合は、該当レコードを削除する(S1010)。本実施形態では該当のレコードを削除する構成としているが、このような構成に限定されず、例えば、回収フラグの項目を設けて、当該項目を「1:回収済み」に更新するようにしてもよい。なお、振込資金は、特殊口座に入金処理を行う。一方、上記レコードの電子記録債権が割引利用および担保利用のいずれもされていない場合は(割引利用または担保利用に係る電子記録債権の口座間送金決済に関わらない振込の場合は)、入金エラーとする(S810)。
【0058】
このようにして、特殊決済口座に対して割引または担保差入された電子記録債権とは無関係な振込みがされた場合に、そのような振込みを防止することができる。
【0059】
<変更記録受付制御>
次に、本発明に係る電子記録債権管理システムにおいて、上述した割引または担保差入された電子記録債権に対し、債権金額の変更などの変更記録請求が他の利用者から行われた場合の処理を、
図11を参照して説明する。ここで、変更記録請求とは、電子記録債権の債権額または支払期日などを変更する場合に、電子債権記録機関に対してそれらの変更記録を請求することをいう。割引または担保差入された電子記録債権は、金融機関によって質権設定がされていることから、当該電子記録債権に対して、変更記録請求がされることを防止し、利用者による自由な取引を制限する必要がある。
【0060】
電子債権記録機関システム103は、変更記録請求がされると、電子記録債権の債権者決済口座を管理する参加金融機関、すなわち、電子記録債権管理装置101に、変更記録請求データを送信する(S1101)。変更記録請求データとは、電子記録債権の変更記録を行うために必要となるデータであり、少なくとも、変更対象となる電子記録債権を特定する記録番号を含む。本実施形態では、
図6(b)のNo.1の電子記録債権の記録番号(電子記録債権1)が指定されるものとする。
【0061】
電子記録債権管理装置101のネットワークI/F110は、S1101で送信された変更記録請求データを受信し、制御部120が、当該変更記録請求データに含まれる被請求者の決済口座情報に基づいて、電子記録債権データ記憶部142のレコードを参照する(S1102)。
【0062】
次に、制御部120は、上記参照した電子記録債権データ記憶部142のレコードに含まれる項目「割引用フラグ」または「担保用フラグ」の値を参照して、当該レコードの口座が特殊決済口座であるか否かを判定する(S1103)。特殊決済口座である場合は、当該口座を債権者決済口座として記録されている当該電子記録債権に対する変更記録請求が不可として、変更記録請求を取り消すデータを作成し、ネットワークI/F110を通じて電子債権記録機関システム103に変更記録請求の取消データを送信し(S1104)、電子債権記録機関で、変更記録が不成立となる(S1105)。変更記録請求を受けた債権者は、記録請求日から5銀行営業日以内に拒否を行うことで、変更記録は不成立となる。不成立となると、クライアントコンピュータ105に、変更記録の不成立通知を返す(S11006)。一方、質権設定がされていない場合は、処理を終了する。
【0063】
以上説明したように、質権設定された電子記録債権は金融機関が管理するので、当該電子記録債権の内容を変更させることを防止することができる。なお、本実施形態では、質権設定されている電子記録債権を指定して変更記録請求があった場合を説明したが、上記電子記録債権に対して支払等記録請求があった場合にも、上述した方法と同様に処理を行って当該請求を拒否する。
【0064】
以上のように、本発明に係る電子記録債権管理システムの説明を詳述したが、実施形態で説明した、口座管理データ記憶部141、電子記録債権データ記憶部142および与信管理データ記憶部143などの具体的なデータ構造は例示的なものにすぎず、特許請求する事項から逸脱しない範囲で変更がされてもよい。