【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方法および構成は、0.005%〜10%(w/w)の表面修飾高分子を含む体外血液循環回路およびその構成要素(例えば、中空糸膜、収容された束、および血液チューブ)を特徴とする。
【0011】
第1の態様では、本発明は、ポリマー構成要素を含む体外血液循環回路を特徴とし、このポリマー構成要素は、0.005%〜10%(w/w)(例えば、0.005%〜0.1%(w/w)、0.005%〜5%(w/w)、0.1%〜0.3%(w/w)、0.1%〜5%(w/w)、0.1%〜10%(w/w)、0.05%〜5%(w/w)、0.05%〜8%(w/w)、1%〜5%(w/w)、1%〜8%(w/w)、1%〜10%(w/w)、および2%〜10%(w/w))の表面修飾高分子と混合された基本ポリマーを含み、このポリマー構成要素は、体外血液循環回路の使用中に血液に接触するように配置された表面を備え、この表面は、血液に接触した際に抗血栓形成性である。一実施形態では、血液と接触した際のこの表面での血栓沈着は、少なくとも10%、20%、40%、60%、または80%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜95%、35%〜85%、または40%〜80%)減少する。別の実施形態では、体外血液循環回路は、少なくとも110%、125%、150%、200%、または400%(例えば、110%〜1,000%、200%〜900%、または300%〜900%)の増加した機能的平均可使時間を有する。さらに別の実施形態では、体外血液循環回路は、体外血液循環回路を通過する血液を投与される被験体での有害事象を減少させる。
【0012】
本明細書に記載するどの体外血液循環回路も、本発明の中空糸膜、本発明の収容された束、または本発明の血液チューブの1つまたは複数を含むことができる。
【0013】
第2の態様では、本発明は、中空糸膜を特徴とし、この中空糸膜は、0.005%〜10%(w/w)(例えば、0.005%〜0.1%(w/w)、0.005%〜5%(w/w)、0.1%〜0.3%(w/w)、0.1%〜5%(w/w)、0.1%〜10%(w/w)、0.05%〜5%(w/w)、0.05%〜8%(w/w)、1%〜5%(w/w)、1%〜8%(w/w)、1%〜10%(w/w)、および2%〜10%(w/w))の表面修飾高分子と混合された基本ポリマーを含み、この中空糸膜は、血液と接触した際に抗血栓形成性である。一実施形態では、血液と接触した際の中空糸膜での血栓沈着は、少なくとも10%、20%、40%、60%、または80%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜95%、35%〜85%、または40%〜80%)減少する。別の実施形態では、中空糸膜は、4時間の使用後に少なくとも10%、20%、30%、40%、または50%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜75%、25%〜45%、または30%〜80%)減少した作動圧を有する。さらに別の実施形態では、中空糸膜は、中空糸膜を通過する血液を投与される被験体での有害事象を減少させる。特定の実施形態では、基本ポリマーは、ポリスルホン(例えば、ポリ(オキシ-1,4-フェニレンスルホニル-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンイソプロピリデン-1,4-フェニレン)またはポリエーテルスルホン)、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、およびポリエチレンからなる群より選択される。さらなる実施形態では、中空糸膜は、親水性孔形成剤(例えば、ポリビニルピロリドン、エチレングリコール、アルコール、ポリプロピレングリコール、およびポリエチレングリコール、またはそれらの混合物)をさらに含む。一実施形態では、中空糸膜は、80%〜96.5%(w/w)(例えば、80%〜95%、80%〜90%(w/w)、85%〜90%(w/w)、および90%〜95%(w/w))の基本ポリマー、3%〜20%(w/w)(例えば、3%〜15%(w/w)、3%〜7%(w/w)、3%〜5%(w/w)、および5%〜10%(w/w))の親水性孔形成剤、および0.005%〜10%(w/w)(例えば、0.005%〜0.1%(w/w)、0.005%〜5%(w/w)、0.1%〜0.3%(w/w)、0.1%〜5%(w/w)、0.1%〜10%(w/w)、0.05%〜5%(w/w)、0.05%〜8%(w/w)、1%〜5%(w/w)、1%〜8%(w/w)、1%〜10%(w/w)、および2%〜10%(w/w))の表面修飾高分子を含む。
【0014】
第3の態様では、本発明は、(a)管腔、糸端部の第1セット、および糸端部の第2セットを有する中空糸膜の配列、(b)この糸端部の第1セットは、外装体の第1端部に近接した第1内壁を規定する収容樹脂中に収容されている、および(c)この糸端部の第2セットは、外装体の第2端部に近接した第2内壁を規定する収容樹脂中に収容されている、を含む外装体に収容された中空糸膜の束を特徴とし、中空糸膜の管腔は、第1内壁から第2内壁への血流に流路を提供し、この収容樹脂は、0.005%〜10%(w/w)(例えば、0.005%〜0.1%(w/w)、0.005%〜5%(w/w)、0.1%〜0.3%(w/w)、0.1%〜5%(w/w)、0.1%〜10%(w/w)、0.05%〜5%(w/w)、0.05%〜8%(w/w)、1%〜5%(w/w)、1%〜8%(w/w)、1%〜10%(w/w)、および2%〜10%(w/w))の表面修飾高分子を含む。特定の実施形態では、この束は、延長された可使時間を有する。一部の実施形態では、この束は、少なくとも110%、125%、150%、200%、または400%(例えば、110%〜1,000%、125%〜1,000%、200%〜900%、または300%〜900%)の増加した機能的平均可使時間を有する。他の実施形態では、血液と接触した際の収容された束での血栓沈着は、少なくとも10%、20%、40%、60%、または80%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜95%、35%〜85%、または40%〜80%)減少する。さらに他の実施形態では、束は、4時間の使用後に少なくとも10%、20%、30%、40%、または50%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜75%、25%〜45%、または30%〜80%)減少した作動圧を有する。一部の実施形態では、収容された束は、この収容された束を通過する血液を投与される被験体での有害事象を減少させる。他の実施形態では、収容樹脂は、血液と接触した際に抗血栓形成性である。
【0015】
一実施形態では、外装体に収容された中空糸膜の束は、血液浄化装置(例えば、血液透析、血液透析ろ過、血液ろ過、血液濃縮、または酸素化装置)の一部である。さらに別の実施形態では、収容樹脂は、架橋ポリウレタン(例えば、4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,2'-メチレンビス(フェニル)イソシアネート、2,4'-メチレンビス(フェニル)イソシアネート、または4,4'-メチレンビス(フェニル)イソシアネートから形成される架橋ポリウレタン)である。
【0016】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載するいずれかの中空糸膜または本明細書に記載するいずれかの収容された束を含み、かつ延長された可使時間を有する透析フィルターを特徴とする。一実施形態では、透析フィルターは、この透析フィルターを通過する血液を投与される被験体での有害事象を減少させる。
【0017】
別の態様では、本発明は、0.005%〜10%(w/w)(例えば、0.005%〜0.1%(w/w)、0.005%〜5%(w/w)、0.1%〜0.3%(w/w)、0.1%〜5%(w/w)、0.1%〜10%(w/w)、0.05%〜5%(w/w), 0.05%〜8%(w/w)、1%〜5%(w/w)、1%〜8%(w/w)、1%〜10%(w/w)、および2%〜10%(w/w))の表面修飾高分子と混合された基本ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)を含み、血液と接触した際に抗血栓形成性である血液チューブを特徴とする。特定の実施形態では、基本ポリマーは、ポリ塩化ビニルを含む。一実施形態では、血液チューブは、この血液チューブを通過する血液を投与される被験体での有害事象を減少させる。一実施形態では、血液と接触した際の血液チューブの表面での血栓沈着は、少なくとも10%、20%、40%、60%、または80%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜95%、35%〜85%、または40%〜80%)減少する。別の実施形態では、血液チューブは、少なくとも110%、125%、150%、200%、または400%(例えば、110%〜1,000%、125%〜1,000%、200%〜900%、または300%〜900%)の増加した機能的平均可使時間を有する。
【0018】
本発明は、腎機能障害の被験体を治療する方法を特徴とし、この方法は、本明細書に記載するいずれかの中空糸膜または本明細書に記載するいずれかの収容された束を含む透析フィルターを用いて、被験体に対して、血液透析、血液ろ過、血液濃縮、または血液透析ろ過より選択される手順を行うステップを含む。一実施形態では、この手順の間、被験体は、標準用量未満の抗凝固剤を投与される(例えば、手順の間、被験体は抗凝固剤を投与されない)。別の実施形態では、このフィルターは、延長された可使時間を有する。さらに別の実施形態では、このフィルターは、少なくとも110%、125%、150%、200%、または400%(例えば、110%〜1,000%、125%〜1,000%、200%〜900%、または300%〜900%)の増加した機能的平均可使時間を有する。一実施形態では、血液と接触した際のこの透析フィルターでの血栓沈着は、少なくとも10%、20%、40%、60%、または80%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜95%、35%〜85%、または40%〜80%)減少する。別の実施形態では、このフィルターは、4時間の使用後に少なくとも10%、20%、30%、40%、または50%(例えば、10%〜95%、10%〜80%、20%〜75%、25%〜45%、または30%〜80%)減少した作動圧を有する。さらに別の実施形態では、被験体が受ける有害事象が減少する。
【0019】
本発明は、心機能障害の被験体を治療する方法を特徴とし、この方法は、本明細書に記載するいずれかの中空糸膜または本明細書に記載するいずれかの収容された束を含む酸素化装置を用いて、冠動脈バイパス移植術および心弁置換術より選択される手術を行うステップを含む。一実施形態では、この手順の間、被験体は、標準用量未満の抗凝固剤を投与される(例えば、手順の間、被験体は抗凝固剤を投与されない)。別の実施形態では、被験体が受ける有害事象が減少する。
【0020】
本発明は、被験体を治療する方法を特徴とし、この方法は、本明細書に記載する体外血液循環回路を用いて、被験体から血液を抜き出すステップ、および抜き出した血液を被験体に戻すステップを含む。一実施形態では、手順の間、被験体は、標準用量未満の抗凝固剤を投与される(例えば、手順の間、被験体は抗凝固剤を投与されない)。別の実施形態では、被験体が受ける有害事象が減少する。
【0021】
本発明はまた、血液中のタンパク質、血液生産物(例えば、血漿や分画血液成分)、またはその組み合わせを精製する方法を特徴とし、この方法は、血液、血液生産物、またはその組み合わせを、本明細書に記載するいずれかの中空糸膜または本明細書に記載するいずれかの収容された束を通して透析するステップを含む。
【0022】
本発明は、本明細書に記載するいずれかの収容された中空糸膜を含む、中空糸血漿浄化膜を特徴とする。
【0023】
本発明はまた、中空糸膜を調製するための紡糸液を特徴とし、この紡糸液は、(i)57%〜87%(w/w)(例えば、57%〜85%(w/w)、70%〜87%(w/w)、および70%〜85%(w/w))の非プロトン性溶媒、(ii)10%〜25%(w/w)(例えば、10%〜20%(w/w)、12%〜25%(w/w)、および12%〜20%(w/w))の基本ポリマー、(iii)0.005%〜8%(w/w)(例えば、0.005%〜5%(w/w)、0.005%〜3%(w/w)、0.005%〜2%(w/w)、0.01%〜3%(w/w)、および0.01%〜2%(w/w))の表面修飾高分子、および(iv)3%〜10%(w/w)(例えば、3%〜7%(w/w)、3%〜5%(w/w)、および5%〜10%(w/w))の親水性孔形成剤を含む。特定の実施形態では、非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、およびそれらの混合物より選択される。他の実施形態では、非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、アセトン、およびそれらの混合物より選択される25%(v/v)未満(すなわち、1%〜25%(v/v)、1%〜15%(v/v)、または5%〜20%(v/v))の低沸点溶媒を含む。さらに他の実施形態では、親水性孔形成剤は、ポリビニルピロリドンである。紡糸液を本明細書に記載するように処理して、本発明の中空糸膜を形成することができる。
【0024】
本発明は、(a)本発明の均一な紡糸液を調製するステップ、および(b)チューブインオリフィス型スピナレットの外側輪状オリフィスから均一な紡糸液を水溶液中に押し出して中空糸膜を形成するステップを含む中空糸膜を形成する方法を特徴とする。
【0025】
本発明はまた、(a)管腔、糸端部の第1セット、および糸端部の第2セットを有する中空糸膜の束を形成するステップ、(b)糸端部の第1セットおよび糸端部の第2セットを未硬化収容液中に入れるステップ、(c)この収容液を硬化させて、内部に中空糸膜を収容した収容樹脂を形成するステップ、(d)収容樹脂および糸端部を切断して、糸端部の第1のセットが収容された第1の壁および糸端部の第2セットが収容された第2の壁を形成するステップ、および(e)第1の壁および第2の壁を加熱するステップ(すなわち、加熱して表面修飾高分子が壁の表面に移動するようにする)を含む中空糸膜を収容する方法を特徴とし、収容液は、0.005%〜10%(w/w)(例えば、0.005%〜0.1%(w/w)、0.005%〜5%(w/w)、0.1%〜0.3%(w/w)、0.1%〜5%(w/w)、0.1%〜10%(w/w)、0.05%〜5%(w/w)、0.05%〜8%(w/w)、1%〜5%(w/w)、1%〜8%(w/w)、1%〜10%(w/w)、および2%〜10%(w/w))の表面修飾高分子を含む。
【0026】
本発明は、(i)本発明の中空糸膜、本発明の収容された束、本発明の透析フィルター、および/または本発明の血液チューブ、および(ii)標準用量未満の抗凝固剤を投与される(例えば、抗凝固剤を投与されない)被験体に対して透析を行うための取扱説明書を含む透析キットを特徴とする。
【0027】
本明細書に記載する中空糸膜では、表面修飾高分子は、VII-a、VIII-a、VIII-b、VIII-c、VIII-d, IX-a、X-a、X-b、XI-a、XI-b、XII-a、XII-b、XIII-a、XIII-b、XIII-c、XIII-d、XIV-a、およびXIV-bより選択される。
【0028】
一実施形態では、収容樹脂は、VII-a、VIII-a、IX-a、XI-a、VIII-d、およびXI-bより選択される表面修飾高分子を含む。
【0029】
別の実施形態では、血液チューブは、VII-a、XIV-a、およびXIV-bより選択される表面修飾高分子を含む。
【0030】
体外血液循環回路、中空糸膜(またはその収容された束、またはその血漿浄化膜)、収容材料(例えば、収容樹脂や収容液)、血液チューブ、透析フィルター、紡糸液、方法、システム、およびキットのいずれでも、表面修飾高分子は、以下の式(I)〜(XIV)のいずれかによって表される。
【0031】
(1) F
T-(oligo)-F
T (I)
[式中、
F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、oligoは、オリゴマーセグメントである]
【0032】
(2)
【化1】
【0033】
[式中、
(i) F
Tは、LinkBに共有結合したポリフルオロオルガノ基であり、
(ii) Cは、連鎖停止基(chain terminating group)であり、
(iii) Oligoは、オリゴマーセグメントであり、
(iv) LinkBは、カップリングセグメントであり、
(v) aは、0よりも大きい整数である]
【0034】
(3) F
T-[B-(oligo)]
n-B-F
T (III)
[式中、
(i) Bは、ウレタンを含み、
(ii) oligoは、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、またはポリテトラメチレンオキシドを含み、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、1〜10の整数である]
【0035】
(4) F
T-[B-A]
n-B-F
T (IV)
[式中、
(i) Aは、水素化ポリブタジエン、ポリ(2,2ジメチル-1-3-プロピルカーボネート)、ポリブタジエン、ポリアジピン酸(ジエチレングリコール)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(エチレン-コ-ブチレン)、ネオペンチルグリコール-オルトフタル酸無水物ポリエステル、ジエチレングリコール-オルトフタル酸無水物ポリエステル、1,6-ヘキサンジオール-オルトフタル酸無水物ポリエステル、またはビスフェノールAエトキシレートを含む軟セグメントであり、
(ii) Bは、ウレタンを含む硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、1〜10の整数である]
【0036】
(5)
【化2】
【0037】
[式中、
(i) Aは、軟セグメントであり、
(ii) Bは、イソシアヌレート三量体またはビウレット三量体を含む硬セグメントであり、
(iii) 各F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、0〜10の整数である]
【0038】
(6) F
T-[B-(Oligo)]
n-B-F
T (VII)
[式中、
(i) Oligoは、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、またはポリテトラメチレンオキシドを含み、500〜3,000ダルトン(例えば、500〜2,000ダルトン、1,000〜2,000ダルトン、または1,000〜3,000ダルトン)の理論分子量を有するオリゴマーセグメントであり、
(ii) Bは、イソシアネート二量体から形成される硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、1〜10の整数である]
【0039】
(7)
【化3】
【0040】
[式中、
(i) Aは、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、またはそれらの混合物を含み、500〜3,000ダルトン(例えば、500〜2,000ダルトン、1,000〜2,000ダルトン、または1,000〜3,000ダルトン)の理論分子量を有するオリゴマーセグメントであり、
(ii) Bは、イソシアヌレート三量体またはビウレット三量体を含む硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、0〜10の整数である]
【0041】
(8) F
T-[B-(Oligo)]
n-B-F
T (IX)
[式中、
(i) Oligoは、500〜3,000ダルトン(例えば、500〜2,000ダルトン、1,000〜2,000ダルトン、または1,000〜3,000ダルトン)の理論分子量を有するポリカーボネートポリオールであり、
(ii) Bは、イソシアネート二量体から形成される硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、1〜10の整数である]
【0042】
(9)
【化4】
【0043】
[式中、
(i) Aは、500〜3,000ダルトン(例えば、500〜2,000ダルトン、1,000〜2,000ダルトン、または1,000〜3,000ダルトン)の理論分子量を有するポリカーボネートポリオールを含むオリゴマーセグメントであり、
(ii) Bは、イソシアヌレート三量体またはビウレット三量体を含む硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、0〜10の整数である]
【0044】
(10)
【化5】
【0045】
[式中、
(i) Aは、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、またはそれらの混合物より選択される第1ブロックセグメント、およびポリシロキサンまたはポリジメチルシロキサンを含む第2ブロックセグメントを含み、1,000〜5,000ダルトン(例えば、1,000〜3,000ダルトン、2,000〜5,000ダルトン、または2,500〜5,000ダルトン)の理論分子量を有しており、
(ii) Bは、イソシアヌレート三量体またはビウレット三量体を含む硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、0〜10の整数である]
【0046】
(11) F
T-[B-A]
n-B-F
T (XII)
[式中、
(i) Aは、水素化ポリブタジエン(HLBH)ジオール(例えば、HLBHジオール)、ポリブタジエン(LBHP)ジオール(例えば、LBHPジオール)、水素化ポリイソプレン(HHTPI)ジオール(例えば、HHTPIジオール)、およびポリスチレンより選択される軟セグメントであり、750〜3,500ダルトン(例えば、750〜2,000ダルトン、1,000〜2,500ダルトン、または1,000〜3,500ダルトン)の理論分子量を有し、
(ii) Bは、イソシアネート二量体から形成される硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、1〜10の整数である]
【0047】
(12)
【化6】
【0048】
[式中、
(i) Aは、水素化ポリブタジエン(HLBH)ジオール(例えば、HLBHジオール)、ポリブタジエン(LBHP)ジオール(例えば、LBHPジオール)、水素化ポリイソプレン(HHTPI)ジオール(例えば、HHTPIジオール)、およびポリスチレンより選択される軟セグメントであり、750〜3,500ダルトン(例えば、750〜2,000ダルトン、1,000〜2,500ダルトン、または1,000〜3,500ダルトン)の理論分子量を有し、
(ii) Bは、イソシアヌレート三量体またはビウレット三量体を含む硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、0〜10の整数である]
【0049】
(13)
【化7】
【0050】
[式中、
(i) Aは、500〜3,500ダルトン(例えば、500〜2,000ダルトン、1,000〜2,000ダルトン、または1,000〜3,000ダルトン)の理論分子量を有するポリエステルであり、
(ii) Bは、イソシアヌレート三量体またはビウレット三量体を含む硬セグメントであり、
(iii) F
Tは、ポリフルオロオルガノ基であり、
(iv) nは、0〜10の整数である]。
【0051】
特定の実施形態では、式(I)および(II)の表面修飾高分子は、20未満の繰り返し単位(例えば、2〜15単位、2〜10単位、3〜15単位、および3〜10単位)の分岐鎖または非分岐鎖オリゴマーセグメントであるオリゴセグメントを含む。別の実施形態では、式(I)および(II)の表面修飾高分子は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル誘導体、ポリペプチド、多糖、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン-ブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、またはポリエチレンブチレンセグメントより選択されるオリゴマーセグメントを含む。
【0052】
特定の実施形態では、式(IV)の表面修飾高分子は、3-イソシアネートメチル、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'-メチレンビス(フェニル)イソシアネート、トルエン-2,4ジイソシアネート)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートより形成される硬セグメントを含み、nは1または2である。
【0053】
特定の実施形態では、式(V)および(VI)の表面修飾高分子は、500〜3,500ダルトン(例えば、500〜2,000ダルトン、1,000〜2,000ダルトン、または1,000〜3,000ダルトン)の理論分子量を有する軟セグメントを含み、かつ/またはこの軟セグメントは、水素化ポリブタジエン(HLBH)、ポリ(2,2ジメチル-1-3-プロピルカーボネート)(PCN)、ポリブタジエン(LBHP)、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)、(プロピレン)オキシド(PPO)、ジエチレングリコール-オルトフタル酸無水物ポリエステル(PDP)、水素化ポリイソプレン(HHTPI)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(2-ブチル-2-エチル-1,3-プロピルカーボネート)、またはヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(C22)を含む。式(V)および(VI)の表面修飾高分子の他の実施形態では、硬セグメントは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレット三量体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)三量体、またはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体より選択されるトリイソシアネートを、軟セグメントを含むジオールと反応させることにより形成される。
【0054】
式(VII)の表面修飾高分子の一部の実施形態では、Bは、3-イソシアネートメチル、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'-メチレンビス(フェニル)イソシアネート、トルエン-2,4ジイソシアネート)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートより形成される硬セグメントであり、nは1〜3の整数である。特定の一実施形態では、式(VII)の表面修飾高分子は、VII-aである。式(VII)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(VII)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0055】
式(VIII)の表面修飾高分子の特定の実施形態では、Bは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレット三量体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体より選択されるトリイソシアネートをAのジオール(例えば、オリゴマーセグメント)と反応させることにより形成される硬セグメントであり、nは、0、1、2、または3である。特定の一実施形態では、式(VIII)の表面修飾高分子は、VIII-a、VIII-b、VIII-c、またはVIII-dである。式(VIII)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(VIII)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0056】
式(IX)の表面修飾高分子の特定の実施形態では、Oligoは、ポリ(2,2ジメチル-1-3-プロピルカーボネート)(PCN)ポリオール(例えば、PCNジオール)、Bは、3-イソシアネートメチル、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'-メチレンビス(フェニル)イソシアネート、トルエン-2,4ジイソシアネート)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートより形成される硬セグメントであり、nは1、2、または3である。特定の一実施形態では、式(IX)の表面修飾高分子は、IX-aである。式(IX)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(IX)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0057】
式(X)の表面修飾高分子の特定の実施形態では、Aは、ポリ(2,2ジメチル-1-3-プロピルカーボネート)(PCN)ポリオール(例えば、PCNジオール)またはポリ(ヘキサメチレンカーボネート)(PHCN)ポリオールを含み、Bは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレット三量体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体より選択されるトリイソシアネートをAのジオール(例えば、オリゴマーセグメント)と反応させることにより形成される硬セグメントであり、nは0、1、2、または3である。特定の一実施形態では、式(X)の表面修飾高分子は、X-aまたはX-bである。式(X)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(X)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0058】
式(XI)の表面修飾高分子の特定の実施形態では、Aは、ポリプロピレンオキシドおよびポリジメチルシロキサンを含み、Bは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレット三量体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体より選択されるトリイソシアネートをAのジオールと反応させることにより形成される硬セグメントであり、nは0、1、2、または3である。特定の一実施形態では、式(XI)の表面修飾高分子は、XI-aまたはXI-bである。式(XI)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(XI)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0059】
式(XII)の表面修飾高分子の特定の実施形態では、Aは、水素化ポリブタジエンジオールを含み、Bは、3-イソシアネートメチル、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'-メチレンビス(フェニル)イソシアネート、トルエン-2,4ジイソシアネート)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートより形成される硬セグメントであり、nは1、2、または3である。特定の一実施形態では、式(XII)の表面修飾高分子は、XII-aまたはXII-bである。式(XII)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(XII)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0060】
式(XIII)の表面修飾高分子の特定の実施形態では、Aは、水素化ポリブタジエン(HLBH)ジオール(例えば、HLBHジオール)および水素化ポリイソプレン(HHTPI)ジオール(例えば、HHTPIジオール)より選択され、Bは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレット三量体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体より選択されるトリイソシアネートをAのジオール(例えば、オリゴマーセグメント)と反応させることにより形成される硬セグメントであり、nは、0、1、2、または3である。特定の一実施形態では、式(XIII)の表面修飾高分子は、XIII-a、XIII-b、XIII-c、またはXIII-dである。式(XIII)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(XIII)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0061】
式(XIV)の表面修飾高分子の特定の実施形態では、Aは、ポリアジピン酸(ジエチレングリコール)、ネオペンチルグリコール-オルトフタル酸無水物ポリエステル、ジエチレングリコール-オルトフタル酸無水物ポリエステル、および1,6-ヘキサンジオール-オルトフタル酸無水物ポリエステルより選択され、Bは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレット三量体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体より選択されるトリイソシアネートをAのジオール(例えば、ポリエステルグメント)と反応させることにより形成される硬セグメントであり、nは、0、1、2、または3である。特定の一実施形態では、式(XIV)の表面修飾高分子は、XIV-aまたはXIV-bである。式(XIV)の表面修飾高分子は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素、例えば、中空糸膜、収容された束、血液チューブ、もしくは透析フィルターに、本明細書に記載する本発明のいずれかの方法、システム、およびキットと共に用いることができる。例えば、式(XIV)の表面修飾高分子は、ポリ塩化ビニルに添加して抗血栓形成性の血液チューブを形成することができ、収容材料に添加して抗血栓形成性の収容された束を形成することができ、かつ/または中空糸膜の基本ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、二酢酸または三酢酸セルロース、ポリイミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、またはポリエチレン)に添加して、血液に接触した際に抗血栓形成性である中空糸膜を形成することができる。
【0062】
イソシアネート二量体から形成される本発明のいずれの表面修飾高分子でも、イソシアネート二量体は、3-イソシアネートメチル、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)、2,2'-、2,4'-、および4,4'-メチレンビス(フェニル)イソシアネート(MDI)、トルエン-2,4ジイソシアネート、1,2-、1,3-、および1,4-キシレンジイソシアネートなどの芳香族脂肪族イソシアネート、メタ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI)、パラ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(p-TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、エチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカン-1,12-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、メチル-シクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI)、2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート、イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート、1-イソシアネート-3,3-5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン、イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン、2,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネ
ート(TODI)、ポリマーMDI、カルボジイミド修飾液状4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(carbodiimide-modified liquid 4,4'-diphenylmethane diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、メタ-フェニレンジイソシアネート(MPDI)、トリフェニルメタン-4,4'-、およびトリフェニルメタン-4,4''-トリイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、2,4'-、4,4'-、および2,2-ビフェニルジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)、MDIとPMDIの混合物、PMDIとTDIの混合物、本明細書に記載するいずれかのイソシアネートの二量体化ウレジオン(dimerized uredione)、例えば、トルエンジイソシアネートのウレジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレジオン、およびそれらの混合物、ならびにそれらの置換された混合物および異性体の混合物より選択することができる。
【0063】
イソシアネート三量体より形成される本発明のいずれの表面修飾高分子でも、イソシアネート三量体は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレット三量体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)三量体、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート、本明細書に記載するいずれかのイソシアネートの三量体化イソシアヌレート、例えば、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、およびそれらの混合物、本明細書に記載するいずれかのイソシアネートの三量体化ビウレット、上記ジイソシアネートに由来する修飾イソシアネート(modified isocyanates)、ならびにそれらの置換された混合物および異性体の混合物より選択することができる。
【0064】
式(I)〜(XIV)のいずれにおいても、上記表面修飾高分子は、100〜1,500ダルトンの理論分子量を有するポリフルオロアルキルである基F
Tを含む。例えば、F
Tは、一般式CF
3(CF
2)
rCH
2CH
2[式中、rは2〜20である]およびCF
3(CF
2)
s(CH
2CH
2O)
χ[式中、χは1〜10であり、sは1〜20である]の基からなる群より選択することができる。あるいは、F
Tは、一般式CH
mF
(3-m)(CF
2)
rCH
2CH
2-およびCH
mF
(3-m)(CF
2)
s(CH
2CH
2O)
χ[式中、mは0、1、2、または3であり、χは1〜10の整数であり、rは2〜20の整数であり、sは1〜20の整数である]の基からなる群より選択することができる。特定の実施形態では、F
Tは、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ-1-デカノール、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ-1-オクタノール、1H,1H,5H-ペルフルオロ-1-ペンタノール、および1H,1H,ペルフルオロ-1-ブタノール、およびそれらの混合物より選択される。さらに他の実施形態では、F
Tは、(CF
3)(CF
2)
5CH
2CH
2O-、(CF
3)(CF
2)
7CH
2CH
2O-、(CF
3)(CF
2)
5CH
2CH
2O-、CHF
2(CF
2)
3CH
2O-、および(CF
3)(CF
2)
2CH
2O-より選択される。
【0065】
別の実施形態では、上記表面修飾高分子は、10,000ダルトン未満(例えば、500〜10,000ダルトン、500〜9,000ダルトン、500〜5,000ダルトン、1,000〜10,000ダルトン、1,000〜6,000ダルトン、または1,500〜8,000ダルトン)の理論分子量を有する。
【0066】
さらに別の実施形態では、上記表面修飾高分子は、5%〜40%(w/w)(例えば、5%〜35%(w/w)、5%〜30%(w/w)、および10%〜40%(w/w))の硬セグメント、20%〜90%(w/w)(例えば、20%〜80%(w/w)、30%〜90%(w/w)、および40%〜90%(w/w))の軟セグメント、および5%〜50%(w/w)(例えば、5%〜40%(w/w)、5%〜30%(w/w)、および10%〜40%(w/w))のポリフルオロオルガノ基を含む。
【0067】
一実施形態では、上記表面修飾高分子は、0.15〜2.0(例えば、0.15〜1.8、0.15〜1.5、または0.2〜2.0)の硬セグメントの軟セグメントに対する比を有する。
【0068】
本明細書で使用する用語「抗血栓形成性」は、同じ血液接触条件下で試験された、表面修飾高分子が存在しない点のみが異なる、他は同一の体外血液循環回路またはその構成要素(例えば、中空糸膜、血液チューブ、透析フィルター、および/または中空糸膜の収容された束)と比較して、全血に曝露された際に血栓形成が起きる率が低下した体外血液循環回路またはその構成要素を指す。血栓形成率の低下は、本明細書に記載するいずれかのアッセイおよび方法によって決定することができる。例えば、抗血栓形成性は、血液成分を放射標識し、例えば、表面で起こる血栓形成の量を評価するガンマカウント(γ-count)を用いて血栓形成を測定することにより決定することができる。本発明の体外血液循環回路またはその構成要素の場合、ガンマカウントに基づいた血栓形成の平均の低下は、表面修飾高分子を含まない参照中空糸膜のガンマカウントによって決定される平均の血栓形成の70%、60%、50%、40%、30%、20%、または10%とすることができる。あるいは、フィルターまたは中空糸膜における抗血栓形成性は、作動圧の低下(例えば、表面修飾高分子を含まない参照フィルターまたは中空糸膜のヘッダーにおける平均圧力と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、または60%低下している中空糸膜のヘッダーにおける作動圧の平均の低下)によって決定することができる。
【0069】
「基本ポリマー」は、50,000ダルトンを超える(例えば、50,000、75,000、100,000、150,000、200,000ダルトンを超える)理論分子量を有するポリマーを意味する。
【0070】
本明細書で使用する「C」は、連鎖停止基を指す。例示的な連鎖停止基には、アミン、アルコール、またはカルボン酸官能基を含む単官能基を含む。
【0071】
「透析フィルター」は、腎機能障害の患者に使用することができる透析装置での使用のために構成されているフィルターを意味する。
【0072】
「硬セグメント」は、表面修飾高分子の一部分またはオリゴセグメントの一部分を意味し、この一部分は、ウレタン基-NH-C(O)O-(例えば、イソシアネートを、軟セグメントジオールのヒドロキシル基またはポリフルオロオルガノ基のヒドロキシル基と反応させることにより形成されるウレタン基)を含む。
【0073】
本明細書で使用する用語「増加した機能的平均可使時間」は、表面修飾高分子が存在しない点のみが異なるが他は同じ条件下で使用した体外血液循環回路またはその構成要素の平均可使時間と比較した、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素の機能的可使時間の平均の増加を指し、この可使時間は、体外血液循環回路またはその構成要素から血栓沈着を洗い流さずに体外血液循環回路またはその構成要素を使用できる時間によって決定される(例えば、生理食塩水での洗浄または抗凝固剤での洗浄なしの可使時間)。本発明の体外血液循環回路またはその構成要素の増加した機能的平均可使時間は、表面修飾高分子を含まない体外血液循環回路またはその構成要素の可使時間よりも少なくとも110%、125%、150%、200%、250%、300%、または400%長くすることができる。
【0074】
「標準用量未満の抗凝固剤」は、表面修飾高分子が存在しない点のみが異なる透析フィルターに使用する量と比較した、本発明の透析フィルターを使用する際に血液透析中に被験体に投与される抗凝固剤の減少を意味する。標準用量は、一般的には、体外血液循環回路またはその構成要素の使用などのために臨床現場での標準的な手術手順に対して各施設によって認定される。抗凝固剤の標準用量は、施設の標準的な手術手順を参考にして決定される用量または用量範囲を指し、用量の減少は、標準用量と比較して決定される。抗凝固剤の用量の減少は、抗凝固剤(例えば、ヘパリンやクエン酸塩)の標準用量の80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、または10%とすることができる。
【0075】
本明細書で使用する「LinkB」は、2つのオリゴ部分と表面活性基を共有結合させることができるカップリングセグメントを指す。典型的には、LinkB分子は、40〜700の分子量を有する。好ましくは、LinkB分子は、官能化ジアミン、ジイソシアネート、ジスルホン酸、ジカルボン酸、二酸塩化物、およびジアルデヒドより選択され、官能化成分は、表面活性基の化学的付着のためにアクセスされる二次官能化学基(secondary functional chemistry)を有する。このような二次基(secondary group)には、例えば、エステル、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、チオール、ビニル、および第2級アミンが含まれる。オリゴ中間体における末端ヒドロキシル基、アミン、またはカルボン酸は、二量体と反応してオリゴ-アミドを形成し、ジイソシアネートと反応してオリゴ-ウレタン、オリゴ-尿素、オリゴ-アミドを形成し、ジスルホン酸と反応してオリゴ-スルホン酸塩、オリゴ-スルホンアミドを形成し、ジカルボン酸と反応してオリゴ-エステル、オリゴ-アミドを形成し、二酸塩化物と反応してオリゴ-エステル、オリゴ-アミドを形成し、ジアルデヒドと反応してオリゴ-アセタール、オリゴ-イミンを形成する。
【0076】
「オリゴ」は、一般的には、約50未満の単量体単位で、理論分子量が10,000ダルトン未満であるが、好ましくは7,000ダルトン未満であり、一部の例では5,000ダルトン未満である、比較的短い長さの1つまたは複数の繰り返し単位を意味する。特定の実施形態では、オリゴは、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリシリコーン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリペプチド、多糖、ならびにそれらのセグメントに結合したエーテルおよびアミンよりなる群から選択される。
【0077】
「ポリエーテルスルホン」は、以下の式のポリマーを意味する:
【化8】
【0078】
このポリマーは、商標名Radel(商標)としてアモコ社(Amoco Corp)が販売している。
【0079】
「ポリマー構成要素」は、体外血液循環回路内のあらゆる構成要素を意味し、ポリマー構成要素は、本明細書に記載する基本ポリマーを含む。例えば、ポリマー構成要素は、中空糸膜、中空糸膜の収容された束、透析フィルター、酸素化装置、および血液チューブを含む。
【0080】
「ポリ(オキシ-1,4-フェニレンスルホニル-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンイソプロピリデン-1,4-フェニレン)」は、以下の式のポリマーを意味する:
【化9】
【0081】
このポリマーは、ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ(Solvay Advanced Polymers)が商標名Udel(商標)P-350として販売している。本発明の中空糸膜に使用する場合、このポリマーの特定のサイズ(すなわち、30〜90kDa、45〜80kDa、または60〜80kDa)が好ましいであろう。
【0082】
本明細書で使用する用語「ポリスルホン」は、繰り返しサブユニットとして部分-アリール-SO
2-アリール-を含むポリマーのクラスを指す。ポリスルホンには、限定されるものではないが、ポリエーテルスルホンおよびポリ(オキシ-1,4-フェニレンスルホニル-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンイソプロピリデン-1,4-フェニレン)が含まれる。
【0083】
「延長された可使時間」は、表面修飾高分子が存在しない点のみが異なる同じ条件で使用された透析フィルターと比較して、透析処置中にフィルターが目詰まりする(例えば、次に生理食塩水を流してフィルターの目詰まりをとる必要がある)率が低下した透析フィルターを意味する。透析フィルターの延長された可使時間は、表面修飾高分子を含まない参照透析フィルターの可使時間よりも少なくとも110%、125%、150%、200%、250%、300%、または400%とすることができる。
【0084】
本明細書で使用する用語「減少した血栓沈着」は、表面修飾高分子が存在しない点のみが異なる同じ条件下で使用した体外血液循環回路で観察される平均ガンマカウントと比較した、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素の所定時間(例えば、60分、90分、120分、360、または720分)使用後のガンマカウントの平均の減少を指す。ガンマカウントは、表面修飾高分子を体外血液循環回路に組み込んで膜とこの膜を通過する血液の流れとの間に抗血栓形成性界面を提供することにより得られ、ガンマカウントは、この回路のいずれかの処理された表面で、血液中に含まれる抗凝固剤の量が、表面修飾高分子の非存在下で血栓の形成を防止するのに不十分である条件下で測定される。ガンマカウントは、本明細書に記載するいずれかのアッセイおよび方法によって決定することができる。例えば、ガンマカウントは、放射標識血小板(または他の血液成分、例えば、赤血球など)を含む血液または血漿を体外血液循環回路に流して、体外血液循環回路内の放射標識からの放射線を測定することによって決定することができる。これらのアッセイおよび方法を数回行って、平均ガンマカウントまたはガンマカウントの平均の減少を得ることができる。本発明の体外血液循環回路またはその構成要素の血栓沈着は、表面修飾高分子を含まない体外血液循環回路またはその構成要素の平均血栓沈着と比較して、平均で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%減少させることができる。
【0085】
「作動圧の低下」は、表面修飾高分子が存在しない点のみが異なる同じ条件下で使用した中空糸膜フィルターで観察された平均圧力と比較して、本発明の中空糸膜またはそのフィルターもしくは収容された束の一定時間(例えば、2時間、4時間、8時間、12時間、または16時間)の使用の後の作動圧の平均の低下を意味する。作動圧の低下は、表面修飾高分子を中空糸膜の中に組み込んでこの膜とこの膜を通過する血液の流れとの間に抗血栓形成性の界面を提供することにより得られ、作動圧は、膜のヘッダーで測定される。配列の端部に収容樹脂を有する中空糸膜の配列の場合、作動圧の低下は、表面修飾高分子を使用して膜および/または収容樹脂と収容された束を通過する血液の流れとの間に抗血栓形成性の界面を提供することによって得ることができる。作動圧は、本明細書に記載するいずれかのアッセイおよび方法によって決定することができる。例えば、作動圧は、中空糸膜に血液を流して、一定時間に渡って中空糸膜内の圧力の変化を測定することによって決定することができる。これらのアッセイおよび方法を数回行って、平均作動圧または作動圧の平均の低下を得ることができる。本発明の中空糸膜(またはそのフィルターもしくは収容された束)の作動圧の低下は、表面修飾高分子を含まない参照中空糸膜、フィルター、または収容された束で観察された平均圧力と比較して、2時間、4時間、8時間、12時間、または16時間の使用後に10%、20%、30、40%、50%、60%、70%、または80%未満にすることができる。
【0086】
本明細書で使用する用語「有害事象を減少させる」および「被験体に起こる有害事象」は、本発明の体外血液循環回路またはその構成要素に接続された被検体が受ける有害事象の数または程度を指し、このような有害事象は、表面修飾高分子が存在しない点のみが異なる同じ条件下で使用される体外血液循環回路または構成要素と比較して、使用中または一定期間の使用後に減少または軽減する。有害事象の数または程度は、動物モデルの使用を含むいずれかの有用な方法によって決定することができる(Livigniら、Critical Care 10:R151(2006);Walkerら、Artificial Organs 8:329-333(1984);Cheung、Blood Purification 5:155-161(1987);Kamlerら、Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 49:157-161(2001);およびKamlerら、European Journal of Cardio-Thoracic Surgery 11:973-980(1997)を参照)。有害事象には、出血(例えば、活性凝固時間によって測定)、溶血、血球数の減少、重度の血行動態不安定性、塞栓症、血栓塞栓症、血栓関連事象、および赤血球産生刺激剤(例えば、エリスロポエチンおよび/または鉄静注)を被験体に投与する必要があるいずれかの他の事象が含まれる。1つまたは複数の有害事象の存在は、血栓の存在または凝固カスケードにおける血液の補体の活性化を示し得る。
【0087】
「軟セグメント」は、表面修飾高分子の一部分またはオリゴセグメントの一部分を意味し、この一部分には、エーテル基、エステル基(例えば、ポリエステル)、アルキル基、炭酸塩基、シロキサン基、またはそれらの混合物が含まれる。例えば、軟セグメントは、500〜3,000ダルトン(例えば、500〜2,000ダルトン、1,000〜2,000ダルトン、または1,000〜3,000ダルトン)の理論分子量または平均分子量を有することができる。
【0088】
本明細書で使用する「表面修飾高分子」は、ポリフルオロオルガノ基を含む高分子を指し、式(I)〜(XIV)によって本明細書で表され、それぞれが参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,127,507号、米国特許出願公開第20080228253号、および2008年8月28に出願された米国仮特許出願第61/092,667号に記載されている。表面修飾高分子は、米国特許第6,127,507号、米国特許出願公開第20080228253号、および2009年8月28に出願された国際公開第2010/025398号パンフレットに記載されているように調製することができる。簡単に述べると、XI-aおよびX-aなどの表面修飾高分子は、触媒の存在下、25℃で2時間、有機溶媒(例えば、無水THFまたはDMAC)に溶解したフルオロアルキルアルコールを用いて滴下反応させたポリイソシアネート(例えば、Desmodur N3200またはDesmodur Z4470)から合成することができる。フッ化アルコールを添加した後、50℃で1時間撹拌を続け、さらに70℃で1時間撹拌する。これらのステップにより、部分的にフッ素化した中間体が形成され、次いでこの中間体を、70℃で14時間、ポリオール軟セグメント(例えば、ポリジメチルシロキサンジオールまたはポリ(2,2ジメチル-1-3-プロピルカーボネート)ジオール)に結合させて、表面修飾高分子を得る。反応は、水分に敏感であるため、典型的には、不活性N
2雰囲気下および無水条件下で行う。反応生成物は、1%MeOH/水混合物中で沈降させ、次いで水で数回洗浄し、使用する前に表面修飾高分子を乾燥させる。表面修飾高分子の軟セグメントは、混合されると基本ポリマー基質内で表面修飾高分子のアンカーとして機能することができる。表面活性基は、表面修飾高分子の混合物表面への輸送に部分的に関与し、表面活性基が表面に露出される。表面修飾高分子の表面への移動は、動的プロセスであり、表面環境に依存する。移動のプロセスは、混合物の表面で低い表面エネルギーを確立しようとする性質によってもたらされる。固定と表面への移動との間のバランスが達成されると、表面修飾高分子は、ポリマーの表面での安定にとどまると同時に表面特性を変更する。
【0089】
本発明は、血小板付着の低減、閉塞の軽減、ヘパリンおよび/または他の抗凝固剤の必要性の低減、透析などの特定の医療処置に関連したコストの削減、血液循環回路の可使時間の延長、患者の安全の向上、および廃棄物の削減に有用となり得る血液循環回路を特徴とする。
【0090】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面、発明を実施するための形態、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。