(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る車両について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の実施形態に係る自動車の車体1を、側方から見た説明図である。自動車は、車両の一例である。
図1には、実施形態に係る自動車の後を走行する後続車両の車体として、トラックなどの大型車体100が併せて図示されている。
【0019】
図1の車体1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の車体1である。そして、
図1の車体1では、大容量のバッテリモジュール21は、車体1の後部に搭載されている。
また、
図1の車体1は、その骨格部材であるフレームにより、前室2、乗員室3、荷室4に画成される。前室2には、たとえばエンジンが配置される。乗員室3には、前シート5および後シート6が前後二列に配置される。
図1には、骨格部材として、乗員室3の床面を画成するフロアパネルの左右両側に沿って前後方向に伸在するサイドシル7、サイドシル7の後端から車体1の後端までに伸在するリアサイドフレーム8、車体1の幅方向に配列される左右一対のリアサイドフレーム8の後端同士を連結して前記車体1の幅方向に延在するリアバンパビーム9、が図示されている。
リアサイドフレーム8は、前側から順番に、サイドシル7に取り付けられる取付部11、取付部11から上内へ湾曲する上湾曲部12、上湾曲部12から車体1の後方へ伸在する後方延長部13、を有する。左右一対のリアサイドフレーム8の後方延長部13の間には、後輪を軸支する図示外のリアクロスメンバが取り付けられる。
【0020】
そして、ハイブリッド自動車または電気自動車では、駆動モータを駆動して車体1を走行させるために、電気を蓄電するバッテリが用いられる。多数のバッテリは、バッテリモジュールケース22に入れられて、バッテリモジュール21として車体1に搭載される。
図1では、バッテリモジュールケース22は、左右一対のリアサイドフレーム8の間に架け渡した状態で、左右一対のリアサイドフレーム8に取り付けられる。バッテリモジュールケース22は、バッテリモジュールケース22より後へリアサイドフレーム8が突出する状態で、一対のリアサイドフレーム8の後方延長部13の基端側(前側)に取り付けられる。
このように車体1の後部にバッテリモジュール21を配置することで、荷室4の空間を利用して、バッテリモジュール21を大容量化できる可能性が生じる。たとえば
図1に示すように、バッテリモジュール21は、リアサイドフレーム8より上へ突出した大容量のものにできる可能性が生じる。
【0021】
ところで、このように車体1の後部にバッテリモジュール21を配置する場合、後続車両の車体が追突した場合に、バッテリモジュール21を追突などから保護する必要がある。特に、バッテリモジュールケース22の変形、バッテリモジュールケース22への直撃を、可能な限り避ける必要がある。車体の後部に搭載されるスペアタイヤと異なり、バッテリモジュールケース22の変形はできる限り避ける必要がある。
たとえば、後続車両の車体が
図1の車体1と同様の乗用車である場合、後続車両の車体のフロントバンパービームが
図1の車体1のリアバンパビーム9に当たる。この場合、リアサイドフレーム8についての、バッテリモジュールケース22より後へ突出する部分が、リアサイドフレーム8の前後方向の軸に沿って圧縮されることにより、衝撃を吸収することができる。追突した後続車両の車体がバッテリモジュール21の搭載位置までに到達する前に追突の衝撃を吸収し、バッテリモジュール21に対して後続車両の車体が追突し難くできる。
これに対し、仮の話であるが、たとえば、
図1に示すようにトラックなどの大型車体100が追突する場合、大型車体100は、リアサイドフレーム8と上下にオフセットしたオーバライド状態で追突する。このため、オーバライド状態での追突では、リアサイドフレーム8が、追突した後続車両の車体の荷重によりその軸方向に圧縮されない。この場合、追突した後続車両の車体は、その衝撃を略吸収されることなく、バッテリモジュールケース22の搭載位置まで押し込まれる可能性が無いとは言えない。
【0022】
このため、車体1の後部にバッテリモジュール21を搭載する場合、バッテリモジュール21は、たとえばリアサイドフレーム8より上へ突出しないサイズおよび形状に形成するのが望ましい。これにより、オーバライド追突時に、追突した後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に対して直接的に追突しないようにできる。
しかしながら、バッテリモジュール21をリアサイドフレーム8より上へ突出しないように形成した場合、バッテリモジュール21の容量が極端に制限されてしまう。車体1の後部の荷室4などの空間を好適に利用して、大容量のバッテリモジュールケース22を、車体1の後部に搭載することができない。
また、単にバッテリモジュール21を低背に形成して直撃を避けるだけでは、衝撃を略吸収されない後続車体がバッテリモジュールの搭載位置まで入り込んでしまう可能性がある。
このように、自動車などの車体1では、その後部に搭載するバッテリモジュール21の追突安全性能を確保しながら、バッテリモジュール21の容量的な制限を緩和することが求められている。
【0023】
このため、本実施形態では、バッテリモジュール21をリアサイドフレーム8より上へ突出するサイズおよび形状に形成してバッテリモジュール21を大容量化するとともに、バッテリモジュール21より後の位置にバッテリモジュール21を保護する構造を設ける。
具体的には、リアサイドフレーム8より上へ突出する前上がりの傾斜面を有する複数のスロープ部材31,41,61を、リアサイドフレーム8およびリアバンパビーム9の上に設ける。前上がりの傾斜面は、リアサイドフレーム8の上へ突出し、たとえばリアサイドフレーム8より上へ突出しているバッテリモジュールケース22の上縁に対応する高さで形成する。
これにより、リアサイドフレーム8より上へ突出しているバッテリモジュール21に対して、追突した後続車両の車体が直接的に追突し難くなる。
以下、詳しく説明する。
【0024】
図2は、
図1の車体1の後部に設けられるリアフレームおよびバッテリモジュールケース22を、上方から見た説明図である。ここで、リアフレームとは、左右一対のリアサイドフレーム8およびリアバンパビーム9をいう。
図3は、
図2のリアサイドフレーム8およびバッテリモジュールケース22を後方から見た説明図である。
図4は、
図2のリアサイドフレーム8およびバッテリモジュールケース22のA−A断面図である。
図5は、
図2のリアサイドフレーム8およびバッテリモジュールケース22のB−B断面図である。
図5において、バッテリモジュールケース22は、リアサイドフレーム8から取り外されている。
図6は、
図2のリアサイドフレーム8およびバッテリモジュールケース22を、側方から見た説明図である。
図7は、
図2のリアサイドフレーム8およびバッテリモジュールケース22のC−C断面図である。
【0025】
図5に示すように、バッテリモジュールケース22は、左右一対のリアサイドフレーム8の後方延長部13の間隔より幅狭の矩形の立方体形状を有する下部22Aと、下部22Aの上に位置する上部22Bと、を有する。上部22Bは、下部22Aより幅広の矩形の立方体形状を有し、下部22Aより左右両側へ突出する。このようにバッテリモジュールケース22を略矩形の立方体形状を基本とした高さのある形状とすることにより、バッテリモジュール21には、大量のバッテリセルを密に並べて搭載できる。
上部22Bについての、下部22Aより左右へ突出した部分は、左右一対のリアサイドフレーム8の上面に載置される。この左右一対の突出部分は、左右一対のリアサイドフレーム8にネジ固定される。バッテリモジュールケース22は、車体1の後部に交換可能に搭載される。
バッテリモジュールケース22を取り付けた状態で、左右一対のリアサイドフレーム8の後方延長部13は、バッテリモジュールケース22より後ろへ突出する。左右一対のリアサイドフレーム8の後方延長部13の後端には、リアバンパビーム9が取り付けられる。
【0026】
そして、リアフレームの中のリアバンパビーム9の上には、後端スロープ部材31が配置される。後端スロープ部材31は、リアバンパビーム9に沿って左右方向へ伸在する。後端スロープ部材31は、バッテリモジュールケース22から後に離れた位置に設けられる。
【0027】
図8は、
図2の後端スロープ部材31の断面図である。
図8に示すように、後端スロープ部材31は、略三角形の断面形状を有する。そして、
図2、
図6および
図7に示すように、略三角形の断面の底辺がリアバンパビーム9の上面の上に配置される。これにより、略三角形の断面を有する後端スロープ部材31は、リアバンパビーム9の後上縁から、前上がりに伸びる後端傾斜面32を形成する。後端傾斜面32は、リアバンパビーム9の上に形成される。後端傾斜面32は、たとえば車体1の前後方向に対して45度以下の角度、好ましくは30度以下の角度とすればよい。
後端傾斜面32は、バッテリモジュールケース22がリアサイドフレーム8から上へ突出する高さの約2/3の高さまで、リアフレームより上へ突出する。
【0028】
また、
図8に示すように、略三角形の断面を有する後端スロープ部材31は、略三角形の断面の後端に、上下方向に沿って延びる平らな後端荷重受け面33が形成される。後端荷重受け面33の下端は、略三角形の底辺より下へ突出し、リアバンパビーム9の後上端の後側に重なる。リアバンパビーム9および後端スロープ部材31の中の、リアバンパビーム9のみに荷重が作用し難くできる。
このような複雑な外形形状のバルク構造を有する後端スロープ部材31は、たとえばエンジニアリングプラスチックなどの強化プラスチック材料を用いて金型により一体に形成できる。後端スロープ部材31を一体に形成することにより、トラックなどの大型車体100が後端スロープ部材31に追突した場合に、後端スロープ部材31が変形し難くなる。
【0029】
リアフレームの中の左右一対のリアサイドフレーム8の後方延長部13の上面には、サイドスロープ部材41が配置される。サイドスロープ部材41は、バッテリモジュールケース22の後側に隣接して配置される。サイドスロープ部材41は、バッテリモジュールケース22の直後となる位置に設けられる。
【0030】
図9は、
図2のサイドスロープ部材41の断面図である。
図9に示すように、サイドスロープ部材41は、車体1の前後方向の断面において略三角形の断面形状を形成するサイド三角枠部42と、サイド三角枠部42の内側に配列される複数のサイド支柱部43と、を有する。サイドスロープ部材41は、略三角形の外形の厚板形状に形成される。
そして、サイドスロープ部材41は、
図2、
図6および
図7に示すように、リアサイドフレーム8の上面においてバッテリモジュールケース22の直後となる位置に取り付けられる。これにより、サイドスロープ部材41は、リアサイドフレーム8の上面から前上がりに伸びるサイド傾斜面44を形成する。
サイド傾斜面44は、バッテリモジュールケース22の後端上縁と同じ高さ位置まで、リアフレームより上へ突出する。
【0031】
図9に示すように、サイドスロープ部材41のサイド三角枠部42は、サイド底部45、サイド前縦部46、サイド斜面部47、を有する。サイド底部45、サイド前縦部46およびサイド斜面部47は、サイド斜面部47に入力される荷重に耐え得る厚板とし、高剛性に形成するとよい。このため、サイド底部45およびサイド前縦部46は、基本的にサイド斜面部47と同等の厚さおよび強度に形成するとよい。
サイド底部45は、リアサイドフレーム8の上に載置される。この場合、サイド前縦部46は、サイド底部45の前端においてリアサイドフレーム8の上面に立つ。サイド斜面部47は、サイド前縦部46の上端とサイド底部45の後端との間に斜めに配置される。これにより、サイドスロープ部材41は、リアサイドフレーム8の上面に、前上がりのサイド傾斜面44を形成する。サイド傾斜面44は、たとえば車体1の前後方向に対して45度以下の角度、好ましくは30度以下の角度とすればよい。
【0032】
また、
図9に示すように、サイドスロープ部材41の複数のサイド支柱部43は、サイド斜面部47とサイド底部45との間に架け渡すように設けられる。複数のサイド支柱部43は、互いに前後方向に間隔を開けて配列される。複数のサイド支柱部43の間には、離間スペース48が形成される。各サイド支柱部43は、サイド傾斜面44に対して面直方向となるように、サイド斜面部47から下前方へ伸びる。これにより、サイド傾斜面44に対して垂直方向に作用する荷重は、サイド支柱部43に対してその軸方向に作用し易くなる。サイド支柱部43がオフセット衝突時の荷重により破断し難くなる。なお、各サイド支柱部43は、サイド底部45に対して垂直に設けてもよい。
【0033】
また、
図9に示すように、略三角形の断面を有するサイド三角枠部42の後端には、上下方向に沿って延びる平らなサイド荷重受け面49が形成される。
また、
図9に示すように、サイド三角枠部42についての、サイド斜面部47以外の部分であるサイド底部45には、サイド斜面部47より薄肉に形成された底脆弱部50が形成される。底脆弱部50は、サイド底部45についての後端寄りの部位に形成される。また、サイド前縦部46は、その全体が、サイド斜面部47より薄肉に形成され、前脆弱部51として形成されている。なお、底脆弱部50または前脆弱部51は、サイド斜面部47より細く形成されてもよい。これらの脆弱部は、他の部分より先に破断し易い。
【0034】
このような複雑な形状を有するサイドスロープ部材41は、たとえばエンジニアリングプラスチックなどの強化プラスチック材料を用いて金型により一体に形成できる。サイドスロープ部材41を一体に形成することにより、トラックなどの大型車体100がサイドスロープ部材41にオーバライド追突した場合に、サイドスロープ部材41が変形し難くなる。また、サイドスロープ部材41の変形の仕方を容易に作り込むことができる。
また、サイドスロープ部材41をリアサイドフレーム8より脆弱な樹脂材料で形成するとともに、サイドスロープ部材41に離間スペース48を設けてその内部を中空構造とすることにより、リアサイドフレーム8に対して後続車両が追突してリアサイドフレーム8が軸方向(前後方向)へ圧縮される場合には、サイドスロープ部材41をその軸方向に圧縮して破断させることができる。
【0035】
バッテリモジュールケース22の後面中央には、センタスロープ部材61が配置される。センタスロープ部材61は、バッテリモジュールケース22の後面中央から後へ伸在するように、バッテリモジュールケース22の後面に取り付けられる。センタスロープ部材61は、左右一対のリアサイドフレーム8の間で、バッテリモジュールケース22より後ろへ突出するように設けられる。
【0036】
図10は、
図2のセンタスロープ部材61の断面図である。
図10に示すように、センタスロープ部材61は、車体1の前後方向の断面において略三角形の断面形状を形成するセンタ三角枠部62と、センタ三角枠部62の内側に配列されるセンタ支柱部63と、を有する。センタスロープ部材61は、略三角形の外形の厚板形状に形成される。
そして、
図2、
図6および
図7に示すように、センタスロープ部材61は、前上がりに伸びるセンタ傾斜面64を形成する。センタ傾斜面64は、たとえば車体1の前後方向に対して45度以下の角度、好ましくは30度以下の角度とすればよい。
センタ傾斜面64は、バッテリモジュールケース22の後端上縁と同じ高さ位置まで、リアフレームより上へ突出する。
【0037】
図10に示すように、センタスロープ部材61のセンタ三角枠部62は、センタ底部65、センタ前縦部66、センタ斜面部67、を有する。センタ底部65、センタ前縦部66およびセンタ斜面部67は、センタ斜面部67に入力される荷重に耐え得る剛性に形成されるとよい。このため、センタ底部65およびセンタ前縦部66は、基本的にセンタ斜面部67と同等の厚さおよび強度に形成するとよい。
【0038】
また、
図10に示すように、センタスロープ部材61のセンタ支柱部63は、センタ斜面部67とセンタ底部65との間に架け渡すように設けられる。センタ支柱部63は、センタ底部65およびセンタ前縦部66と互いに前後方向に間隔を開けて配列される。これらの間には、離間スペース68が形成される。センタ支柱部63は、センタ傾斜面64に対して面直方向となるように、センタ斜面部67から下前方へ伸びる。これにより、センタ傾斜面64に対して垂直方向から作用する荷重は、センタ支柱部63に対してその軸方向に作用し易くなる。センタ支柱部63が荷重により破断し難くなる。なお、センタ支柱部63は、センタ底部65に対して垂直となるように設けられてもよい。
【0039】
また、
図10に示すように、センタ底部65の下には、補強板部69が形成される。これにより、センタスロープ部材61は、センタ傾斜面64に対して垂直方向に作用する荷重により破断し難くなる。センタ支柱部63がオフセット衝突時の荷重により破断し難くなる。
【0040】
このような複雑な形状を有するセンタスロープ部材61は、たとえばエンジニアリングプラスチックなどの強化プラスチック材料を用いて金型により一体に形成できる。センタスロープ部材61を一体に形成することにより、トラックなどの大型車体100がセンタスロープ部材61にオーバライド追突した場合に、センタスロープ部材61が変形し難くなる。また、センタスロープ部材61の変形の仕方を容易に作り込むことができる。
また、センタスロープ部材61をリアサイドフレーム8より脆弱な樹脂材料で形成し、センタスロープ部材61の内部を離間スペース68により中空構造とし、センタ三角枠部62の後側頂点をサイド傾斜面44より低い範囲内でリアサイドフレーム8より若干上となる位置に設けることにより、リアサイドフレーム8に対して後続車両が追突してリアサイドフレーム8が軸方向に圧縮される場合には、センタ三角枠部62を下から叩くようにしてセンタスロープ部材61を破断させることができる。
【0041】
次に、トラックなどの大型車体100が上下にオフセットして追突する場合での、バッテリモジュール21を保護する衝撃吸収の一例について説明する。
【0042】
図11は、上下にオフセットしたオーバライド追突時での車体1の変形の説明図である(第一段階)。
図12は、上下にオフセットしたオーバライド追突時での車体1の変形の説明図である(第二段階)。
【0043】
図11(A)に示すように、トラックなどの大型車体100が
図1の車体1に追突する場合、追突する大型車体100のフレームは、
図1の車体1のリアサイドフレーム8およびリアバンパビーム9より高い位置で、
図1の車体1に追突する。この場合、追突する大型車体100は、リアサイドフレーム8およびリアバンパビーム9に直接当たることなく、後端スロープ部材31の後端傾斜面32に追突する。
【0044】
後端スロープ部材31の後端傾斜面32に追突した大型車体100は、前上がりの後端傾斜面32に当たった後、
図11(B)に示すように後端スロープ部材31の上に乗り上げる。また、追突した大型車体100は、後端スロープ部材31の上に乗り上げた状態で、後端スロープ部材31を押し下げる。これにより、リアバンパビーム9およびリアサイドフレーム8は、後端スロープ部材31とともに押し下げられ、
図11(C)に示すようにリアサイドフレーム8が後端を下げるように下に湾曲する。
図11(C)では、リアサイドフレーム8は、点線のオリジナル位置から下がっている。
特に、
図1のリアサイドフレーム8は、サイドシル7に取り付けられる取付部11から上へ上湾曲部12が伸び、この上湾曲部12の後に後方延長部13が伸びた構造を有する。このため、追突した大型車体100が後端スロープ部材31を押し下げる荷重は、リアサイドフレーム8に対して上湾曲部12を下へ曲げるように作用し易く、後方延長部13の全体が後斜下へ向かうように上湾曲部12を下へ曲げ易い。
このように後端スロープ部材31とともにリアサイドフレーム8が下へ曲がることにより、追突した大型車体100の衝撃を吸収することができる。
【0045】
そして、追突した大型車体100が
図11(C)の状態でも停止せず、更に車体1に押し込まれる場合、大型車体100は後端スロープ部材31とともにリアサイドフレーム8を下へ押し曲げながら、後端スロープ部材31の上を前方へ移動し、
図12(A)に示すようにサイドスロープ部材41のサイド傾斜面44に当たる。
【0046】
サイドスロープ部材41のサイド傾斜面44に当たった大型車体100は、サイド傾斜面44に沿って移動し、
図12(B)に示すようにサイドスロープ部材41の上に乗り上げる。大型車体100は、サイドスロープ部材41の上に乗り上げながらサイドスロープ部材41を押し下げる。また、サイドスロープ部材41の上に乗り上げた大型車体100は、
図12(C)に示すようにバッテリモジュールケース22の上に乗り上げる。サイドスロープ部材41およびバッテリモジュールケース22の上に乗り上げた大型車体100は、サイドスロープ部材41およびバッテリモジュールケース22を押し下げる。これにより、大型車体100は、バッテリモジュールケース22とともにリアサイドフレーム8を下へ押し下げる。リアサイドフレーム8が下へ曲がることにより、追突した大型車体100の衝撃を吸収することができる。
なお、サイドスロープ部材41において、サイド三角枠部42の内側には、
図9に示すように複数のサイド支柱部43が面直方向に沿って配列されている。よって、大型車体100がサイドスロープ部材41のサイド傾斜面44に乗り上げる際に、サイドスロープ部材41が破損し難い。
【0047】
このように本実施形態では、
図1の車体1に対して大型車体100が上下にオフセットしたオーバライド状態で追突したとしても、その追突による衝撃を、リアサイドフレーム8を押し下げる力へ変換し、リアサイドフレーム8を下に押し曲げることにより吸収できる。
また、バッテリモジュールケース22より後ろに離れた後端スロープ部材31により先ずリアサイドフレーム8を押し下げてバッテリモジュールケース22の上面を前上がりの傾斜面とするとともに、サイドスロープ部材41によりバッテリモジュールケース22の搭載位置まで入り込む大型車体100を上へいなして前上がりの上面としたバッテリモジュールケース22の上に載せ、バッテリモジュールケース22とともにリアサイドフレーム8を更に下に押し曲げるようにしているので、バッテリモジュールケース22の搭載位置まで押し込まれる大型車体100がバッテリモジュールケース22の後面に対して直接に衝突しないようにできる。
仮にたとえば、バッテリモジュールケース22の後面についての、リアサイドフレーム8より上へ突出した部分に対して大型車体100が当たる場合、バッテリモジュールケース22が前後方向に圧縮されて破損したり、バッテリモジュールケース22が前へ移動して後シート6に当たったりする可能性がある。本実施形態では、このような事態の発生を効果的に抑制できる。
【0048】
次に、
図1の車体1に対して、
図1と同様の車体1の乗用車が追突する場合について説明する。ここでは、説明のために、後続車両の車体101が
図1の車体1の真後ろから追突するフルラップ追突を例に説明する。
【0049】
図13は、フルラップ追突時での、車体1の後部の変形の説明図である。
図13に示すように
図1と同様の車体101が
図1の車体1に追突する場合、追突する車体101は、
図13(A)に示すように
図1の車体1のリアバンパビーム9に直接に追突する。
そして、
図13(B)に示すように、追突した車体101の荷重により、リアバンパビーム9およびリアサイドフレーム8は座屈して変形する。リアサイドフレーム8は、その前後方向の軸方向に圧縮されて、衝撃を吸収する。この際、後端スロープ部材31は、後端荷重受け面33に車体101が当たり、リアバンパビーム9とともに前へ移動する。
図13(B)では、前へ移動した後端スロープ部材31は、リアバンパビーム9の上面から離脱している。
追突した車体101が更に押し込まれる場合、リアサイドフレーム8が更に軸方向に圧縮され、
図13(C)に示すように追突した車体101がサイドスロープ部材41の後端に当たる。サイドスロープ部材41には、それを前後方向に圧縮する荷重が入力される。サイドスロープ部材41の後端には、上下方向に伸在するサイド荷重受け面49が形成されている。また、サイドスロープ部材41は、サイド三角枠部42の内側に複数のサイド支柱部43が前後方向に配列された構造を有する。また、サイド三角枠部42のサイド底部45には底脆弱部50が形成され、サイド前縦部46は前脆弱部51として形成されている。よって、サイド三角枠部42は、追突する車体1とバッテリモジュールケース22との間に挟まれることにより、容易に破断する。サイド三角枠部42が容易に破断することにより、
図13(D)に示すように、追突した車体1の荷重により、リアサイドフレーム8が更に軸方向に圧縮され得る。
【0050】
このように、本実施形態では、サイドスロープ部材41は、フルラップ衝突時の荷重により容易に破断し、リアサイドフレーム8が更に軸方向に圧縮されることを妨げない。なお、センタスロープ部材61についても同様である。その結果、
図13(D)に示すように、
図13(C)と比べてリアサイドフレーム8が軸方向に圧縮される距離を長く確保することができる。フルラップ追突時にリアサイドフレーム8が軸方向に圧縮されることによる衝撃吸収性能を損なわないようにできる。
【0051】
次に、トラックなどの大型車体100が上下および左右にオフセットして追突する場合での、バッテリモジュール21を保護する衝撃吸収の一例について説明する。
【0052】
図14は、左右にオフセットしたオーバライド追突の説明図である。
図14(A)に示すように左右にオフセットして車体1がオーバライド追突する場合、追突する大型車体100は、後端スロープ部材31に当たって後端傾斜面32に沿って上へ移動し、
図14(B)に示すように後端スロープ部材31の上に左右にオフセットした状態で乗り上げる。後端スロープ部材31に乗り上げた大型車体100は、後端スロープ部材31とともにリアサイドフレーム8を押し下げる。リアサイドフレーム8が押し下げられることにより、衝撃を吸収できる。
後端スロープ部材31に当たった大型車体100がさらに押し込まれる場合、追突する大型車体100は、サイドスロープ部材41およびセンタスロープ部材61に当たり、
図14(C)に示すようにサイドスロープ部材41およびセンタスロープ部材61の上に乗り上げる。また、前上がりに傾斜したバッテリモジュールケース22の上面の上に乗り上げる。これらの上に乗り上げた大型車体100は、サイドスロープ部材41およびセンタスロープ部材61とともにバッテリモジュールケース22およびリアサイドフレーム8を押し下げる。リアサイドフレーム8が押し下げられることにより、衝撃を吸収できる。
このように左右一対のリアサイドフレーム8の上に載置されるバッテリモジュールケース22の後面中央にセンタスロープ部材61を設けることにより、トラックなどの大型車体100が左右にオフセットしてオーバライド追突する場合でも、バッテリモジュール21を保護することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、バッテリモジュールケース22より後へリアサイドフレーム8を突出させ、バッテリモジュールケース22より後に、後端スロープ部材31、サイドスロープ部材41およびセンタスロープ部材61を設けている。また、これらのスロープ部材31,41,61は、リアサイドフレーム8の上に配置されて、リアサイドフレーム8より上へ突出する前上がりの傾斜面を有する。
よって、リアサイドフレーム8と上下にオフセットしたオーバライド状態で後続車両の車体(大型車体100)が車体1に追突する場合、後続車両の車体は、リアサイドフレーム8より上へ突出している傾斜面32,44,64に対して後方から追突し、スロープ部材31,41,61に乗り上がり、乗り上げた状態でリアサイドフレーム8を上から押し下げる。リアサイドフレーム8は、押し下げられることにより下に折れ曲がり、衝突した後続車両の車体がバッテリモジュールケース22の搭載位置まで到達する前に、上下にオフセットしたオーバライド追突時の衝撃を吸収できる。
【0054】
また、リアサイドフレーム8が折れ曲がる場合、バッテリモジュールケース22は、リアサイドフレーム8とともに押し下げられる。そして、バッテリモジュールケース22の上面は前上がりの傾斜面となり、バッテリモジュールケース22に対して、追突した後続車両の車体による前後方向の荷重が直接的に作用し難くなる。後続車両の車体の衝突時にバッテリモジュールケース22が前後方向へ押し潰され難くなる。バッテリモジュールケース22への直接的な衝突を回避できる可能性が高い。
しかも、本実施形態では、リアサイドフレーム8とは別体にスロープ部材31,41,61を設けており、リアサイドフレーム8そのものに傾斜面を形成しない。よって、リアサイドフレーム8と上下にオフセットしない状態で後続車両の車体(車体101)が車体1に追突する場合、リアサイドフレーム8は前後方向に軸圧縮され得る。リアサイドフレーム8の突出部分がバッテリモジュールケース22の後においてその本来の形状から軸圧縮されることにより、上下にオフセットしていないたとえばフルラップ追突時の衝撃を吸収できる。
【0055】
このように、本実施形態では、バッテリモジュールケース22の後において、リアサイドフレーム8と別体に、リアサイドフレーム8より上へ突出する前上がりの傾斜面32,44,64を形成するので、リアサイドフレーム8と上下にオフセットしたオーバライド状態で後続車両の車体が追突する場合でも、リアサイドフレーム8と上下にオフセットしていないたとえばフルラップで後続車両の車体が追突する場合でも、後続車両の車体がバッテリフレームに到達する前に衝撃を吸収できる。
リアサイドフレーム8と上下にオフセットしていない後続車両の車体が追突する場合での衝撃吸収性能を損なうことなく、リアサイドフレーム8と上下にオフセットしたオーバライド状態で後続車両の車体が追突した場合においても衝撃を吸収できる。
その結果、車体1の後部に搭載されるバッテリモジュールケース22を大容量化してリアサイドフレーム8より上に突出させて搭載したとしても、上へ突出したバッテリモジュールケース22に対して後続車両の車体が直接的に追突することを抑制し、後続車両の車体の直撃によりバッテリモジュールケース22が破損することが起き難くなる。
その結果、本実施形態では、車体1の後部に搭載するバッテリモジュールケース22の追突安全性能を確保しながら、バッテリモジュールケース22の容量的な制限を緩和することができる。車体1の後部の荷室4などの空間を好適に利用して、大容量のバッテリモジュールケース22を、車体1の後部に搭載することができる。
【0056】
また、本実施形態では、後端スロープ部材31が、バッテリモジュールケース22より後の複数のリアサイドフレーム8およびリアバンパビーム9を含むリアフレームの上においてバッテリモジュールケース22から後に離れた位置に設けられ、リアフレームの後端上縁から前上がりに伸びる後端傾斜面32を形成し、後端傾斜面32が前記リアフレームより上へ突出する。
よって、追突する後続車両の車体(大型車体100)は、バッテリモジュールケース22から後に離れた位置において後端スロープ部材31に乗り上げ、後端スロープ部材31とともにリアサイドフレーム8を押し下げる。後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に到達する前に、リアサイドフレーム8を押し下げて下へ曲げ始めることができる。上下にオフセットした追突時に後続車両の車体の衝撃を効果的に吸収できる。また、後続車両の車体がバッテリモジュールケース22まで到達し難くなる。後続車両の車体の直撃によりバッテリモジュールケース22が破損することが起き難くなる。
【0057】
また、本実施形態では、サイドスロープ部材41が、バッテリモジュールケース22より後のリアサイドフレーム8の上に設けられ、リアサイドフレーム8の上面から前上がりに伸びるサイド傾斜面44を形成し、サイド傾斜面44がリアフレームより上へ突出する。
よって、追突する後続車両の車体(大型車体100)は、バッテリモジュールケース22に到達する前にサイドスロープ部材41に乗り上げ、サイドスロープ部材41とともにリアサイドフレーム8を押し下げる。後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に到達する前に、リアサイドフレーム8を押し下げて下へ曲げることができる。上下にオフセットした追突時に後続車両の車体の衝撃を効果的に吸収できる。また、後続車両の車体がバッテリモジュールケース22まで到達し難くなる。バッテリモジュールケース22が後続車両の車体の直撃により破損し難くなる。
【0058】
特に、本実施形態では、後端スロープ部材31とサイドスロープ部材41とが車体1の前後方向へ並べて配置されるので、追突する後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に到達する前に、衝撃を二段階の押し下げ力へ変換して効果的に吸収できる。後端スロープ部材31およびサイドスロープ部材41として、バッテリモジュールケース22と同等またはそれ以下の高さのものを使用しつつ、バッテリモジュールケース22に対する直接的な追突を回避できる。直接的な追突を回避するために、後端スロープ部材31またはサイドスロープ部材41に、バッテリモジュールケース22より高さがあるものを使用する必要がない。後端スロープ部材31、サイドスロープ部材41の上に、バッテリモジュールケース22の上と同様の高さの荷室4を確保できる。
【0059】
また、本実施形態では、バッテリモジュールケース22が複数のリアサイドフレーム8の上面より上へ突出し、サイドスロープ部材41のサイド傾斜面44は、バッテリモジュールケース22の後端上縁に対応する高さでリアフレームより上へ突出する。よって、仮にたとえば後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に到達するように追突することがあったとしても、後続車両の車体をサイドスロープ部材41により上へいなし、後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に後ろから直接的に追突し難くできる。バッテリモジュールケース22に対して前後方向に圧縮する力が作用し難くなる。
その結果、バッテリモジュールケース22をリアサイドフレーム8より上へ突出する大容量のサイズに形成しつつ、オーバライド状態の追突時にバッテリモジュールケース22の搭載位置まで後続車両の車体が入り込んだとしても、バッテリモジュールケース22を前後方向に圧縮して破損することが生じ難くなる。また、バッテリモジュールケース22が前に押し込まれなくなるので、バッテリモジュールケース22の前に着座するユーザに影響を与えないようにできる。
【0060】
また、本実施形態では、センタスロープ部材61は、複数のリアサイドフレーム8の間でバッテリモジュールケース22より後ろへ突出するように設けられ、前上がりに伸びるセンタ傾斜面64を形成し、センタ傾斜面64がリアフレームより上へ突出する。
よって、追突する後続車両の車体(大型車体100)は、バッテリモジュールケース22に到達する前にセンタスロープ部材61に乗り上げ、センタスロープ部材61とともにバッテリモジュールケース22およびリアサイドフレーム8を押し下げる。後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に到達する前に、リアサイドフレーム8を押し下げて下へ曲げることができる。上下および左右にオフセットした追突時に後続車両の車体の衝撃を効果的に吸収できる。また、後続車両の車体がバッテリモジュールケース22まで到達し難くなる。バッテリモジュールケース22が後続車両の車体の直撃により破損し難くなる。
【0061】
特に、後端スロープ部材31とセンタスロープ部材61とが車体1の前後方向へ並べて配置されるので、左右にオフセットして後続車両の車体がオーバラップ追突する場合でも、後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に到達する前に、衝撃を効果的に吸収できる。衝撃を二段階の押し下げ力へ変換して効果的に吸収できる。後端スロープ部材31およびセンタスロープ部材61として、バッテリモジュールケース22と同等またはそれ以下の高さのものを使用しつつ、バッテリモジュールケース22に対する直接的な追突を回避できる。直接的な追突を回避するために、後端スロープ部材31またはセンタスロープ部材61に、バッテリモジュールケース22より高さがあるものを使用する必要がない。後端スロープ部材31、センタスロープ部材61の上に、バッテリモジュールケース22の上と同様の高さの荷室4を確保できる。
【0062】
また、本実施形態では、バッテリモジュールケース22が複数のリアサイドフレーム8の上面より上へ突出し、センタスロープ部材61のセンタ傾斜面64は、バッテリモジュールケース22の後端上縁に対応する高さでリアフレームより上へ突出する。よって、仮にたとえば後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に到達するように追突することがあったとしても、後続車両の車体をセンタスロープ部材61により上へいなし、後続車両の車体がバッテリモジュールケース22に後ろから直接的に追突し難くできる。バッテリモジュールケース22に対して前後方向に圧縮する力が作用し難くなる。
その結果、バッテリモジュールケース22をリアサイドフレーム8より上へ突出する大容量のサイズに形成しつつ、オーバライド状態の追突時にバッテリモジュールケース22の搭載位置まで後続車両の車体が入り込んだとしても、バッテリモジュールケース22を前後方向に圧縮して破損することが生じ難くなる。また、バッテリモジュールケース22が前に押し込まれなくなるので、バッテリモジュールケース22の前に着座するユーザに影響を与えないようにできる。
【0063】
また、本実施形態では、スロープ部材31,41,61は、リアサイドフレーム8より脆弱な樹脂材料で形成される。また、たとえばサイドスロープ部材41は、前上がりの傾斜面が形成されるサイド斜面部47を含み、車体1の前後方向の断面において略三角形の断面形状を形成するサイド三角枠部42と、サイド斜面部47から下方または下前方へ伸びて枠部のサイド斜面部47とその他の部分とを連結する複数のサイド支柱部43と、を有する。よって、スロープ部材41を、樹脂材料により形成して、追突した後続車両の車体がサイド斜面部47に乗り上げた場合においてその荷重に耐えられるように形成することができる。
しかも、本実施形態では、複数のサイド支柱部43は、サイド三角枠部42の内側において、互いに前後方向に間隔を開けて配列される。よって、たとえばフルラップ衝突などによりリアサイドフレーム8がその軸方向に圧縮されるように変形する場合に、そのリアサイドフレーム8の変形を阻害しないように、サイドスロープ部材41を変形させることができる。リアサイドフレーム8がその軸方向に圧縮されることによる衝撃吸収性能を、サイドスロープ部材41により阻害しないようにできる。
なお、センタスロープ部材61についても同様のことが言える。
【0064】
また、本実施形態では、たとえばサイドスロープ部材41は、サイド三角枠部42の後端部に、車体1の上下方向に沿って延びるサイド荷重受け面49が形成される。よって、たとえばフルラップ衝突などによりリアサイドフレーム8がその軸方向に圧縮されるように変形する場合に、サイドスロープ部材41に対しても前後方向に圧縮する荷重を好適に作用させることができる。その結果、サイドスロープ部材41は、容易に破損する。リアサイドフレーム8がその軸方向に圧縮されることによる衝撃吸収性能を、サイドスロープ部材41により阻害しないようにできる。
【0065】
また、本実施形態では、サイドスロープ部材41は、サイド三角枠部42についての、サイド斜面部47以外の他の部分に、底脆弱部50および前脆弱部51が形成される。よって、たとえばフルラップ衝突などによりリアサイドフレーム8がその軸方向に圧縮されるように変形する場合に、サイドスロープ部材41が該脆弱部50,51により容易に破損する。リアサイドフレーム8がその軸方向に圧縮されることによる衝撃吸収性能を、サイドスロープ部材41により阻害しないようにできる。
しかも、上下にオフセットしたオーバライド追突時に、サイドスロープ部材41に対してその形状を維持することができないような大きな荷重が作用した場合でも、サイドスロープ部材41において該脆弱部50,51が破損し、サイド斜面部47が破損し難くなる。サイドスロープ部材41が破損した状態においてもサイド斜面部47を維持でき、後続車両の車体を上へいなす作用を維持できる。特に、本実施形態のように、サイドスロープ部材41のサイド三角枠部42のサイド前縦部46を脆弱に形成することにより、サイドスロープ部材41が破損する場合にはサイドスロープ部材41が下折れできる。サイド斜面部47についての前上がりの傾斜を維持できる。また、本実施形態のように、サイドスロープ部材41のサイド三角枠部42のサイド底部45の後端側を脆弱に形成することにより、サイドスロープ部材41が破損する場合にはサイドスロープ部材41が下折れする。サイド斜面部47についての前上がりの傾斜を維持できる。フルラップ衝突などにおいてリアサイドフレーム8による衝撃吸収性能を阻害しない効果を高めるためにサイドスロープ部材41に脆弱部50,51を設けているにもかかわらず、上下にオフセットしたオーバライド追突時でのサイドスロープ部材41のサイド傾斜面44によるいなし性能などを維持することができる。
【0066】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0067】
たとえば上記実施形態において、サイドスロープ部材41は、サイド三角枠部42と複数のサイド支柱部43を有し、サイド荷重受け面49を有し、脆弱部50,51が形成されている。
この他にもたとえば、サイドスロープ部材41は、これらのいずれかの構成のみを備えるものでもよい。
また、センタスロープ部材61および後端スロープ部材31の少なくとも一方が、サイドスロープ部材41と同様の構成を備えてもよい。
ただし、バッテリモジュール21の後に離れて設けられて第1段階の衝撃を吸収する後端スロープ部材31については、上記実施形態のようにバルク形状とするのが好ましい。これにより、後端スロープ部材31が追突時の衝撃に負け難くなり、オーバライド追突時の初動を上述したものに安定させる効果が得られる。
【0068】
上記実施形態では、後端スロープ部材31、サイドスロープ部材41およびセンタスロープ部材61を用いている。
この他にもたとえば、後端スロープ部材31、サイドスロープ部材41およびセンタスロープ部材61の一部のみを用いてもよい。
更に他にもたとえば、後端スロープ部材31、サイドスロープ部材41およびセンタスロープ部材61以外のスロープ部材を用いてもよい。
また、センタスロープ部材61は幅広に形成されてもよい。特に、左右のサイドスロープ部材41と一体となるように幅広に形成してもよい。これにより、左右方向でのオフセット量が異なる複数種類のオーバライド追突に対して好適に対応し得る。
ただし、バッテリモジュール21の直後に設けられるスロープ部材は、上記実施形態においてセンタスロープ部材61と左右のサイドスロープ部材41とに分けて形成されているように、複数に分けて形成するとよい。これにより、たとえばフルラップ追突時にバッテリモジュール21の直後のスロープ部材がリアサイドフレーム8の軸圧縮を妨げ難くなる。軸圧縮距離を稼ぎ易くなる。
【0069】
上記実施形態では、スロープ部材31,41,61は、その全体がバッテリモジュールケース22の後面より後に配置されている。
この他にもたとえば、スロープ部材31,41,61は、バッテリモジュールケース22の後面より前側から、バッテリモジュールケース22より後へ伸びるように配置されてもよい。