特許第5872007号(P5872007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5872007
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】レゾルバステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20160216BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20160216BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20160216BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   H02K3/52 E
   H02K3/34 B
   H02K24/00
   G01D5/20 110H
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-191024(P2014-191024)
(22)【出願日】2014年9月19日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100087790
【弁理士】
【氏名又は名称】尾関 伸介
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154900
【弁理士】
【氏名又は名称】関 京悟
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 仁亮
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5414918(JP,B1)
【文献】 実開昭61-32778(JP,U)
【文献】 特開2003−207370(JP,A)
【文献】 特開2013−198268(JP,A)
【文献】 特開2009−264892(JP,A)
【文献】 特開2009−131033(JP,A)
【文献】 特開2015−149878(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0056552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
G01D 5/20
H02K 3/34
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のステータコア本体と前記ステータコア本体から内周側に突出する複数のティース部を有するステータコアと、
前記ステータコア本体よりも前記内周側に配置されるインシュレータと、
前記複数のティース部に夫々巻かれた複数のコイルと、
前記複数のコイルを相互に電気的に連結する渡り線と、
を備えたレゾルバステータであって、
前記インシュレータは、
前記内周側を向くインシュレータ本体内面を有するインシュレータ本体と、
前記インシュレータ本体内面よりも前記内周側に突出する突出部と、
を含み、
前記渡り線は、
前記レゾルバステータの回転軸に対して平行な方向で前記突出部と対向すると共に、
前記回転軸に対して直交する方向で前記インシュレータ本体内面と対向するように配置される、
レゾルバステータ。
【請求項2】
請求項1に記載のレゾルバステータであって、
前記渡り線は、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部と隣接している、
レゾルバステータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレゾルバステータであって、
前記インシュレータ本体内面は、平面状に形成されている、
レゾルバステータ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のレゾルバステータであって、
前記インシュレータは、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部から突出する保持突起を更に含み、
前記渡り線は、前記インシュレータ本体内面と前記保持突起の間を通っている、
レゾルバステータ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のレゾルバステータであって、
前記インシュレータには、前記渡り線が前記突出部を乗り越えることなく前記突出部を挟んで反対側へと抜けるための連絡路が形成されている、
レゾルバステータ。
【請求項6】
請求項5に記載のレゾルバステータであって、
前記連絡路は、2つ形成されており、
前記渡り線の両端が前記2つの連絡路を通じて、前記突出部を挟んで反対側へ引き出されている、
レゾルバステータ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のレゾルバステータであって、
前記インシュレータ本体内面は、周方向において隣り合う第1インシュレータ本体内面と第2インシュレータ本体内面を有し、
前記第1インシュレータ本体内面と前記第2インシュレータ本体内面は何れも平面状に形成されており、
前記第1インシュレータ本体内面と前記第2インシュレータ本体内面の間の角度は180度未満である、
レゾルバステータ。
【請求項8】
請求項7に記載のレゾルバステータであって、
前記インシュレータは、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部から突出する保持突起を更に含み、
前記渡り線は、前記インシュレータ本体内面と前記保持突起の間を通っている、
レゾルバステータ。
【請求項9】
請求項8に記載のレゾルバステータであって、
前記保持突起は、前記第1インシュレータ本体内面と前記第2インシュレータ本体内面の交線又は仮想的な交線の近傍に配置されている、
レゾルバステータ。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載のレゾルバステータであって、
前記レゾルバステータは前記渡り線を複数備え、
前記複数の渡り線は、周方向において隣り合う2つの前記コイル間において、
束状に重なり合いつつ、
前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部に対向すると共に、
前記回転軸に対して直交する方向で前記インシュレータ本体内面と対向するように配置される、
レゾルバステータ。
【請求項11】
請求項1〜9の何れかに記載のレゾルバステータであって、
前記レゾルバステータは前記渡り線を複数備え、
前記インシュレータは、前記突出部よりも更に内周側に突出する追加突出部を更に含み、
周方向において隣り合う2つの前記コイル間において、
前記複数の渡り線のうち何れかの渡り線は、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部と対向すると共に、前記回転軸に対して直交する方向で前記インシュレータ本体内面と対向するように配置され、
前記複数の渡り線のうち他の渡り線は、前記回転軸に対して平行な方向で前記追加突出部と対向すると共に、前記回転軸に対して直交する方向で前記突出部と対向するように配置される、
レゾルバステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバステータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、本願の図12に示すように、磁石回転子が固定子100の内側で回転するように設けられる回転子内転形磁石発電機の固定子100を開示している。この固定子100では、隣接する発電コイル101を相互に接続するための渡り線102が、環状の継鉄部103の内周面104に添わせた状態で配置されている。そして、渡り線102が振動で断線することのないよう、渡り線102を覆うように塗布した接着剤105により渡り線102を継鉄部103の内周面104に接着固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−121520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1とは異なり渡り線102を継鉄部103の軸方向端面に配置した場合は勿論のこと、上記特許文献1のように渡り線102を継鉄部103の内周面104に沿わせて配置した場合であっても、巻線工程中に既に巻いてあるワイヤを巻線機の先端で切断してしまったり、固定子100を把持した際、把持したその手で渡り線102を直接触れてしまい、渡り線102を破損させてしまうことが考えられる。
【0005】
これに対し、上記特許文献1では、渡り線102を覆うように接着剤105を塗布することで、固定子100を把持した際、把持したその手で渡り線102を直接触れられないようになっている。しかしながら、この場合、接着剤105の塗布工程が必須となるので生産コストが高い。
【0006】
本発明の目的は、レゾルバステータを把持した際に、把持したその手で渡り線を直接触れ難くする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の観点によれば、環状のステータコア本体と前記ステータコア本体から内周側に突出する複数のティース部を有するステータコアと、前記ステータコア本体よりも前記内周側に配置されるインシュレータと、前記複数のティース部に夫々巻かれた複数のコイルと、前記複数のコイルを相互に電気的に連結する渡り線と、を備えたレゾルバステータであって、前記インシュレータは、前記内周側を向くインシュレータ本体内面を有するインシュレータ本体と、前記インシュレータ本体内面よりも前記内周側に突出する突出部と、を含み、前記渡り線は、前記レゾルバステータの回転軸に対して平行な方向で前記突出部と対向すると共に、前記回転軸に対して直交する方向で前記インシュレータ本体内面と対向するように配置される、レゾルバステータが提供される。
前記渡り線は、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部と隣接している。
前記インシュレータ本体内面は、平面状に形成されている。
前記インシュレータは、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部から突出する保持突起を更に含み、前記渡り線は、前記インシュレータ本体内面と前記保持突起の間を通っている。
前記インシュレータには、前記渡り線が前記突出部を乗り越えることなく前記突出部を挟んで反対側へと抜けるための連絡路が形成されている。
前記連絡路は、2つ形成されており、前記渡り線の両端が前記2つの連絡路を通じて、前記突出部を挟んで反対側へ引き出されている。
前記インシュレータ本体内面は、周方向において隣り合う第1インシュレータ本体内面と第2インシュレータ本体内面を有し、前記第1インシュレータ本体内面と前記第2インシュレータ本体内面は何れも平面状に形成されており、前記第1インシュレータ本体内面と前記第2インシュレータ本体内面の間の角度は180度未満である。
前記インシュレータは、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部から突出する保持突起を更に含み、前記渡り線は、前記インシュレータ本体内面と前記保持突起の間を通っている。
前記保持突起は、前記第1インシュレータ本体内面と前記第2インシュレータ本体内面の交線又は仮想的な交線の近傍に配置されている。
前記レゾルバステータは前記渡り線を複数備え、前記複数の渡り線は、周方向において隣り合う2つの前記コイル間において、束状に重なり合いつつ、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部に対向すると共に、前記回転軸に対して直交する方向で前記インシュレータ本体内面と対向するように配置される。
前記レゾルバステータは前記渡り線を複数備え、前記インシュレータは、前記突出部よりも更に内周側に突出する追加突出部を更に含み、周方向において隣り合う2つの前記コイル間において、前記複数の渡り線のうち何れかの渡り線は、前記回転軸に対して平行な方向で前記突出部と対向すると共に、前記回転軸に対して直交する方向で前記インシュレータ本体内面と対向するように配置され、前記複数の渡り線のうち他の渡り線は、前記回転軸に対して平行な方向で前記追加突出部と対向すると共に、前記回転軸に対して直交する方向で前記突出部と対向するように配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記レゾルバステータを把持した際に、把持したその手で前記渡り線を直接触れ難くさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】レゾルバステータの斜視図である。(第1実施形態)
図2】レゾルバステータの別の角度から見た斜視図である。(第1実施形態)
図3】レゾルバステータの底面図である。(第1実施形態)
図4】レゾルバステータの展開図である。(第1実施形態)
図5図1のA部拡大図である。(第1実施形態)
図6図1のB部拡大図である。(第1実施形態)
図7図2のC部拡大図である。(第1実施形態)
図8図2のD部拡大図である。(第1実施形態)
図9図3のE部拡大図である。(第1実施形態)
図10図4のX-X線矢視断面図である。(第1実施形態)
図11図10に相当する図である。(第2実施形態)
図12】特許文献1の図6に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図1図10を参照して、第1実施形態を説明する。
【0011】
図1にはレゾルバステータ1を表側から見た斜視図を示し、図2にはレゾルバステータ1を裏側から見た斜視図を示し、図3にはレゾルバステータ1の底面図を示している。また、図1にはレゾルバロータ2を二点鎖線で示している。
【0012】
図1に示すように、レゾルバ3は、例えばエンジンやモータの出力軸の回転を検出するためのものであって、出力軸に固定されたレゾルバロータ2と、レゾルバロータ2を取り囲むように配置された環状のレゾルバステータ1によって構成されている。
【0013】
図1図3に示すように、レゾルバステータ1は、ステータコア4と、インシュレータ5と、複数のステータ巻線6と、端子台7を備える。
【0014】
図1及び図2に示すように、ステータコア4は、環状のステータコア本体8と、ステータコア本体8から内周側に突出する複数のティース部9を有する。複数のティース部9は、周方向において等間隔に配置されている。
【0015】
インシュレータ5は、ステータコア4に対してインサート成形された樹脂であって、主として、ステータコア4と複数のステータ巻線6との間の電気的な絶縁を確保するために設けられる。インシュレータ5の具体的な形状については後述する。
【0016】
図3に示すように、複数のステータ巻線6は、複数のコイル10と、複数の渡り線11を有する。各コイル10は、各ティース部9に複数のステータ巻線6を巻き付けることで各ティース部9に形成されている。各渡り線11は、複数のコイル10を相互に電気的に連結する。例えば、各渡り線11は、周方向に隣り合う2つのコイル10を相互に電気的に連結する。本実施形態では、説明の便宜上、周方向に隣り合う2つのコイル10の間に複数の渡り線11が配置されている。渡り線11の具体的な配線については後述する。
【0017】
図1に示すように、端子台7は、レゾルバステータ1が生成した検出信号を外部へ出力するために、複数のステータ巻線6の端部を保持する部分である。端子台7は、複数のステータ巻線6の端部が接続される複数の出力端子12と、複数の出力端子12をインサート成形により保持する端子保持部13と、を備える。端子保持部13は、インシュレータ5と一体的に形成される。
【0018】
次に、インシュレータ5の形状と、渡り線11の配置について詳細に説明する。図4には、レゾルバステータ1を内周側から見たときの展開図を示している。図5には、図1のA部拡大図を示している。図6には、図1のB部拡大図を示している。図7には、図2のC部拡大図を示している。図8には、図2のD部拡大図を示している。図9には、図3のE部拡大図を示している。図10には、図4のX-X線矢視断面図を示している。なお、説明の便宜上、図5図7ではコイル10を描いておらず、図9では渡り線11を描いていない。
【0019】
図1図3に示すように、インシュレータ5は、ステータコア4に沿って概ね環状に形成されている。図4図10に示すように、インシュレータ5は、インシュレータ本体20と、複数の突出部21と、複数のティース絶縁部22と、複数の保持突起23と、を有する。
【0020】
図5及び図6に示すように、各ティース絶縁部22は、各ティース部9を覆うように形成されており、図示しないコイル10とティース部9との間の電気的な絶縁を確保している。
【0021】
図10に示すように、インシュレータ本体20は、環状のステータコア本体8の内周縁24を覆うように環状に形成された部分である。インシュレータ本体20は、周方向において隣り合う2つのティース部9の間において、内周側を向くインシュレータ本体内面25を有する。図7図9に示すように、インシュレータ本体内面25は、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27を有する。第1インシュレータ本体内面26及び第2インシュレータ本体内面27は、周方向において隣り合うように形成されている。第1インシュレータ本体内面26及び第2インシュレータ本体内面27は相互に接続している。第1インシュレータ本体内面26及び第2インシュレータ本体内面27は、何れも、平面状に形成されている。第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27は、レゾルバステータ1の軸方向で見て、概ね周方向に沿って直線的に延びている。即ち、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27は、同一平面ではない。第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27は、角度を持って相互に接続している。図9に示すように、軸方向で見て第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の間の角度θ1は、180度未満である。本実施形態では、角度θ1は、約135度である。第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の交線28は、軸方向に延びている。
【0022】
また、図4に示すように、インシュレータ本体20は、本体上面30及び本体下面31を有する。図5及び図6に示すように、インシュレータ本体20の本体上面30には、複数の渡り線保持突起32と、複数の渡り線保護壁33が形成されている。具体的には、図5に示すように、各ティース部9の近傍に2つの渡り線保持突起32が形成されており、2つの渡り線保持突起32の外周側に1つの渡り線保護壁33が形成されている。
【0023】
図5図8及び図10に示すように、複数の突出部21は、インシュレータ本体20から内周側に突出して形成されている。詳しくは、図10に示すように、複数の突出部21は、インシュレータ本体20のインシュレータ本体内面25よりも内周側に突出するように、インシュレータ本体20から突出している。図4に示すように、周方向において隣り合う2つのティース部9の間において、2つの突出部21がインシュレータ本体20から内周側に突出している。2つの突出部21は、周方向において隣り合うように形成されている。2つの突出部21は、相互に接続している。以下、底面図である図9に示すように、第1インシュレータ本体内面26の上側に形成された突出部21を第1突出部35と称し、第2インシュレータ本体内面27の上側に形成された突出部21を第2突出部36と称する。図9に示すように、レゾルバステータ1の軸方向で見ると、第1突出部35及び第2突出部36は、概ね周方向に沿って直線的に延びている。図5に示すように、第1突出部35は、内周側を向く第1突出部内面40と、軸方向下方を向く第1突出部底面41を有する。第1突出部内面40及び第1突出部底面41は何れも平面状に形成されている。図6に示すように、第2突出部36は、内周側を向く第2突出部内面42と、軸方向下方を向く第2突出部底面43を有する。第2突出部内面42及び第2突出部底面43は何れも平面状に形成されている。図9に示すように、第1突出部内面40と第2突出部内面42の間の角度θ2は、180度未満である。本実施形態では、角度θ2は、角度θ1と等しく、約135度である。図5に示すように、第1突出部35の端部45とティース絶縁部22の間には第1連絡路46(連絡路)が形成されている。第1連絡路46は、軸方向に延びると共に内周側に開口する溝状に形成されている。同様に、図6に示すように、第2突出部36の端部47とティース絶縁部22の間には第2連絡路48が形成されている。第2連絡路48は、軸方向に延びると共に内周側に開口する溝状に形成されている。
【0024】
図7に示すように、各保持突起23は、各突出部21から軸方向下方に向かって突出して形成されている。具体的には、各保持突起23は、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の交線28の近傍に配置されている。詳しくは、各保持突起23は、レゾルバステータ1の径方向において交線28と対向するように形成されている。
【0025】
次に、渡り線11の配線について説明する。
【0026】
渡り線11の配線は、一般的な自動巻線機によって行われる。即ち、ステータ巻線6をティース絶縁部22に巻き付けてコイル10を形成すると、図5に示すように、図示しないコイル10から引き出された渡り線11を一旦渡り線保持突起32に掛けてから第1連絡路46に通して第1突出部35の下側へと案内する。次に、図7に示すように、渡り線11を第1突出部35の第1突出部底面41に沿って配線し、保持突起23と交線28との間を通し、第2突出部36の第2突出部底面43に沿って配線し、図6に示すように、第2連絡路48を通すことで第2突出部36の反対側へ引き出す。そして、渡り線11を渡り線保持突起32に掛けたら、隣のティース絶縁部22に巻き付け始める。この手順を繰り返すことにより、各ティース部9においてコイル10が形成されると共に、複数のコイル10が渡り線11によって相互に電気的に接続されることになる。
【0027】
上記の第1実施形態は、以下の特長を有する。
【0028】
(1)レゾルバステータ1は、環状のステータコア本体8とステータコア本体8から内周側に突出する複数のティース部9を有するステータコア4と、ステータコア本体8よりも内周側に配置されるインシュレータ5と、複数のティース部9に夫々巻かれた複数のコイル10と、複数のコイル10を相互に電気的に連結する渡り線11と、を備える。インシュレータ5は、内周側を向くインシュレータ本体内面25を有するインシュレータ本体20と、インシュレータ本体内面25よりも内周側に突出する突出部21と、を含む。図10に示すように、渡り線11は、軸方向(レゾルバステータ1の回転軸に対して平行な方向)で突出部21と対向すると共に、径方向(回転軸に対して直交する方向)でインシュレータ本体内面25と対向するように配置される。以上の構成によれば、レゾルバステータ1を把持した際に、把持したその手で渡り線11を直接触れ難くさせることができる。従って、レゾルバステータ1の取り扱い時における渡り線11の断線を回避することができるようになる。
【0029】
別の言葉で表現すれば、渡り線11は、インシュレータ本体20のインシュレータ本体内面25と突出部21によって構成される段差Pに沿って配線される。以上の構成によれば、レゾルバステータ1を把持した際に、把持したその手で渡り線11を直接触れ難くさせることができる。従って、レゾルバステータ1の取り扱い時における渡り線11の断線を回避することができるようになる。
【0030】
(2)また、図10に示すように、渡り線11は、軸方向で突出部21と隣接している。以上の構成によれば、レゾルバステータ1を把持した際に、把持したその手で渡り線11を一層、直接触れ難くさせることができる。
【0031】
(3)また、図7に示すように、インシュレータ本体内面25は、平面状に形成されている。以上の構成によれば、インシュレータ本体内面25が外周側へ凸となるように湾曲して形成されている場合と比較して、インシュレータ本体内面25からの渡り線11の浮き上がりを抑制できる。
【0032】
(4)また、図7に示すように、インシュレータ5は、軸方向で突出部21から突出する保持突起23を更に含む。渡り線11は、インシュレータ本体内面25と保持突起23の間を通っている。以上の構成によれば、インシュレータ本体内面25からの渡り線11の浮き上がりを効果的に抑制できる。
【0033】
(5)また、図5に示すように、インシュレータ5には、渡り線11が突出部21を乗り越えることなく突出部21を挟んで反対側へと抜けるための連絡路が第1連絡路46又は第2連絡路48として形成されている。以上の構成によれば、渡り線11を内周側へ浮かすことなく突出部21の反対側へ引き出すことができる。
【0034】
別の言葉で表現すれば、インシュレータ5には、渡り線11が突出部21を乗り越えることなく軸方向において突出部21を通り過ぎるための連絡路が第1連絡路46又は第2連絡路48として形成されている。以上の構成によれば、渡り線11を内周側へ浮かすことなく突出部21を挟んで反対側へ引き出すことができる。
【0035】
(6)また、図5及び図6に示すように、2つの連絡路として第1連絡路46及び第2連絡路48が形成されている。渡り線11の両端(端部50及び端部51)が第1連絡路46及び第2連絡路48を通じて突出部21を挟んで反対側へ引き出されている。以上の構成によれば、渡り線11の両端(端部50及び端部51)を突出部21の反対側へ引き出すことができる。
【0036】
(7)また、図9に示すように、インシュレータ本体内面25は、周方向において隣り合う第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27を有する。第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27は何れも平面状に形成されている。第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の間の角度θ1は180度未満である。以上の構成によれば、インシュレータ本体内面25が1つの平面によって構成されている場合と比較して、各ティース部9の根元の近傍に広い空間Sを確保できるので、各ティース部9にステータ巻線6を自動巻線機で巻き付け易くなる。
【0037】
(8)また、図7及び図8に示すように、インシュレータ5は、軸方向で突出部21から突出する保持突起23を更に含む。渡り線11は、インシュレータ本体内面25と保持突起23の間を通っている。以上の構成によれば、インシュレータ本体内面25からの渡り線11の浮き上がりを効果的に抑制できる。
【0038】
(9)また、図9に示すように、保持突起23は、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の交線28の近傍に配置されている。以上の構成によれば、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の交線28の近傍における、インシュレータ本体内面25からの渡り線11の浮き上がりを効果的に抑制できる。
【0039】
なお、実際には、図9において、渡り線11はある程度の張力を持って配線されている。従って、渡り線11は、第1インシュレータ本体内面26及び第2インシュレータ本体内面27からは離れているものの、保持突起23の外周面に対して張り付いている。従って、渡り線11が第1突出部内面40や第2突出部内面42よりも内周側にはみ出ることが効果的に防止されている。
【0040】
なお、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の間に湾曲面や他の平面が介在している場合は、保持突起23は、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の仮想的な交線の近傍に配置されることが好ましい。この場合でも、第1インシュレータ本体内面26と第2インシュレータ本体内面27の仮想的な交線の近傍における、インシュレータ本体内面25からの渡り線11の浮き上がりを効果的に抑制できる。
【0041】
(10)また、図10に示すように、レゾルバステータ1は渡り線11を複数備える。複数の渡り線11は、周方向において隣り合う2つのコイル10間において、束状に重なり合いつつ、軸方向で突出部21に対向すると共に、径方向でインシュレータ本体内面25と対向するように配置される。
【0042】
(第2実施形態)
次に、図11を参照して、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0043】
本実施形態において、インシュレータ5は、突出部21よりも更に内周側に突出する追加突出部60を更に含む。周方向において隣り合う2つのコイル10間において、複数の渡り線11のうち何れかの渡り線は、軸方向で突出部21と対向すると共に、径方向でインシュレータ本体内面25と対向するように配置される。複数の渡り線のうち他の渡り線11は、軸方向で追加突出部60と対向すると共に、径方向で突出部21と対向するように配置される。以上の構成によれば、複数の渡り線11を相互に離して配置することができるようになる。
【符号の説明】
【0044】
1 レゾルバステータ
2 レゾルバロータ
3 レゾルバ
4 ステータコア
5 インシュレータ
6 ステータ巻線
7 端子台
8 ステータコア本体
9 ティース部
10 コイル
11 渡り線
12 出力端子
13 端子保持部
20 インシュレータ本体
21 突出部
22 ティース絶縁部
23 保持突起
24 内周縁
25 インシュレータ本体内面
26 第1インシュレータ本体内面(インシュレータ本体内面)
27 第2インシュレータ本体内面(インシュレータ本体内面)
28 交線
30 本体上面
31 本体下面
32 渡り線保持突起
33 渡り線保護壁
35 第1突出部(突出部)
36 第2突出部(突出部)
40 第1突出部内面
41 第1突出部底面
42 第2突出部内面
43 第2突出部底面
45 端部
46 第1連絡路(連絡路)
47 端部
48 第2連絡路(連絡路)
50 端部
51 端部
60 追加突出部
P 段差
S 空間
θ2 角度
θ1 角度
【要約】
【課題】レゾルバステータを把持した際に、把持したその手で渡り線を直接触れ難くする技術を提供する。
【解決手段】レゾルバステータ1は、環状のステータコア本体8とステータコア本体8から内周側に突出する複数のティース部9を有するステータコア4と、ステータコア本体8よりも内周側に配置されるインシュレータ5と、複数のティース部9に夫々巻かれた複数のコイル10と、複数のコイル10を相互に電気的に連結する渡り線11と、を備える。インシュレータ5は、内周側を向くインシュレータ本体内面25を有するインシュレータ本体20と、インシュレータ本体内面25よりも内周側に突出する突出部21と、を含む。図10に示すように、渡り線11は、軸方向(レゾルバステータ1の回転軸に対して平行な方向)で突出部21と対向すると共に、径方向(回転軸に対して直交する方向)でインシュレータ本体内面25と対向するように配置される。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12