(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、広口容器は、容器口部の内径及び蓋部の径が大きいため、内圧が上昇すると、容器口部及び蓋部が変形する場合がある。容器口部及び蓋部が変形すると、気密性が低下して内容物や内部ガスが漏れるおそれがある。
【0007】
特開2005−105438号公報に開示される容器では、容器本体の雄螺子と蓋部の雌螺子を組み合わせて蓋部をねじ込んでいくと、口部端面と蓋部の内面とが接触する。口部端面と蓋部の内面との接触面積を大きくすると、気密性を高くすることができる。
【0008】
しかしながら、口部端面と蓋部の内面との接触面積を大きくすると、摩擦力が大きくなる。摩擦力が大きくなると、蓋部をねじ込む操作、及び容器本体から蓋部を外す操作のいずれの操作を行う場合にも、大きな操作力が必要になる。
【0009】
また、特開2005−105438号公報に開示される容器では、容器口部の側面と蓋部とが接触していない。このため、容器本体に蓋部を取り付けた状態で内圧が上昇した場合に、容器口部が外側に向けて変形しやすく、口部端面と蓋部の内面との接触状態が変化しやすい。口部端面と蓋部の内面との接触状態が変化すると、気密性が低下し、内容物や内部ガスの漏れが発生するおそれがある。
【0010】
特許第3102265号公報には、広口容器ではないが、パッキンを用いずに容器本体を蓋部で封止する液体用の容器が開示されている。容器本体の雄螺子に蓋部の雌螺子を組み合わせてねじ込むと、容器口部の外側端部と、蓋部の内側に形成された膨出部とが接触する。しかしながら、容器口部の外側端部と蓋部の膨出部は線接触している。容器本体と蓋部が線接触して接触面積が少ないため、容器の気密性は低い。尚、特許第3102265号公報の容器は、広口容器ではないため、容器口部及び蓋部の変形は生じにくい。
【0011】
特開平1−139348号公報にも、広口容器ではないが、パッキンを用いずに容器本体を蓋部で封止する飲料用の容器が開示されている。蓋部の内側には、肩部が形成されている。容器本体の雄螺子に蓋部の雌螺子を組み合わせてねじ込むと、容器口部の上面及び側面に、蓋部の肩部が接触する。しかしながら、容器口部の上面及び側面に蓋部の肩部が線接触しており、容器本体と蓋部との接触面積が少ないため、容器の気密性は低い。尚、特開平1−139348号公報の容器も、広口容器ではないため、容器口部及び蓋部の変形は生じにくい。
【0012】
本発明は、パッキンを用いずに容器本体と蓋部との間に気密性を持たせ、内圧が上昇して容器口部及び蓋部に変形が生じた場合でも、気密性の低下を抑制でき、しかも、容器本体に対して蓋部を軽い操作力で開閉できる広口容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広口容器は、容器本体及び容器本体に組み合わせる蓋部を備える広口容器であって、容器本体は、内容物を収容する収容空間を有する胴部と、胴部に対して連続して形成される容器口部と、を備える。容器口部は、収容空間に連通する開口部と、開口部を構成する内周面と、内周面と反対側の面であって、容器口部の外側の面である外周面と、容器口部の端面であって、内周面及び外周面の間に位置する口部端面と、外周面に形成される雄螺子と、を有する。蓋部は、蓋部本体と、蓋部本体の外縁に形成される外周壁と、外周壁に形成され、雄螺子に組み合わされる雌螺子と、蓋部本体の中心から外側に延びる方向を第1方向とし、蓋部本体の周方向及び第1方向に交差する方向を第2方向として、外周壁よりも蓋部の中心側に形成され、第2方向に延びる筒状のインナーリングと、を有する。さらに蓋部は、外周壁及びインナーリングの間に配置され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、口部端面との間に第2方向の間隔である第1間隔をあけて配置される非接触面と、非接触面よりも外側に配置され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、口部端面に接触する第1規制面と、非接触面と第1規制面との間に配置され、非接触面と第1規制面とを連結する連結面と、第1規制面よりも外側に配置され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、外周面との間に第1方向の間隔である第2間隔をあけて配置される第2規制面と、を備える。蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、インナーリングは、容器口部の内周面に接触するとともに、インナーリング、非接触面、連結面、及び容器口部によって囲まれる空間である気密空間が形成され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態において、容器口部が蓋部に対して第1方向に変形した場合、外周面は、第2規制面に接触し、インナーリングと内周面との接触状態、及び口部端面と第1規制面との接触状態は維持される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の広口容器によれば、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、非接触面は口部端面に対して間隔をあけて配置され、第1規制面は口部端面に接触し、第2規制面は外周面に対して間隔をおいて配置される。容器本体に対して蓋部を開閉する際に、蓋部の非接触面及び第2規制面は容器本体に接触しないため、摩擦力が小さい。このため、容器本体に対して蓋部を軽い操作力で開閉することができる。
【0015】
また、インナーリングと内周面とが接触し、口部端面と第1規制面とが接触しているため、パッキンを用いずに容器本体と蓋部との間に気密性を持たせることができる。また、例えば、内圧の上昇によって容器本体及び蓋部に変形が生じ、容器口部が第1方向に変形した場合には、外周面は、第2規制面に接触し、容器本体及び蓋部の変形が抑制され、インナーリングと内周面との接触状態、及び口部端面と第1規制面との接触状態は維持される。このため、内圧が上昇して容器口部及び蓋部に変形が生じた場合でも、気密性の低下を抑制することができる。さらに、気密空間を介在させることにより、内容物が容器内部から容器外部に移動しにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の構成にかかる広口容器は、容器本体及び容器本体に組み合わせる蓋部を備える広口容器であって、容器本体は、内容物を収容する収容空間を有する胴部と、胴部に対して連続して形成される容器口部と、を備える。容器口部は、収容空間に連通する開口部と、開口部を構成する内周面と、内周面と反対側の面であって、容器口部の外側の面である外周面と、容器口部の端面であって、内周面及び外周面の間に位置する口部端面と、外周面に形成される雄螺子と、を有する。蓋部は、蓋部本体と、蓋部本体の外縁に形成される外周壁と、外周壁に形成され、雄螺子に組み合わされる雌螺子と、蓋部本体の中心から外側に延びる方向を第1方向とし、蓋部本体の周方向及び第1方向に交差する方向を第2方向として、外周壁よりも蓋部の中心側に形成され、第2方向に延びる筒状のインナーリングと、を有する。さらに蓋部は、外周壁及びインナーリングの間に配置され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、口部端面との間に第2方向の間隔である第1間隔をあけて配置される非接触面と、非接触面よりも外側に配置され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、口部端面に接触する第1規制面と、非接触面と第1規制面との間に配置され、非接触面と第1規制面とを連結する連結面と、第1規制面よりも外側に配置され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、外周面との間に第1方向の間隔である第2間隔をあけて配置される第2規制面と、を備える。蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、インナーリングは、容器口部の内周面に接触するとともに、インナーリング、非接触面、連結面、及び容器口部によって囲まれる空間である気密空間が形成され、蓋部を容器本体に組み合わせた状態において、容器口部が蓋部に対して第1方向に変形した場合、外周面は、第2規制面に接触し、インナーリングと内周面との接触状態、及び口部端面と第1規制面との接触状態は維持される(第1の構成)。
【0018】
特許第3102265号公報に開示される容器の構造を広口容器に適用した場合、口部端面の外側端部と蓋部の膨出部とが線接触する。膨出部は、口部端面の外側端部に線接触しているため、内圧が上昇した場合に、特に容器口部の外方向への変形を抑制しにくい。このため、口部端面と膨出部の接触状態が変化しやすく、気密性が低下しやすい。
【0019】
特開平1−139348号公報に開示される容器の構造を広口容器に適用した場合、容器口部の上面及び側面に蓋部の肩部が線接触する。肩部は、容器口部の上面及び側面に外部の肩部が線接触しているため、内圧が上昇した場合に容器口部の変形を抑制しにくい。このため、容器口部と肩部との接触状態が変化しやすく、気密性が低下しやすい。
【0020】
内圧の上昇による容器口部及び蓋部の変形を抑制するため、容器本体及び蓋部の強度を高めることが考えられる。例えば、容器本体及び蓋部の肉厚を増加することが考えられる。しかしながら、容器本体及び蓋部の肉厚を増加させると、成形に必要な樹脂量が増加して製造コストが増大する。また、肉厚が増加すると容器にヒケや泡等の成形不良が生じやすくなる。このような成形不良は、広口容器の外観を損ねるため、化粧品用の広口容器としては好ましくない。
【0021】
上記第1の構成によれば、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、非接触面は口部端面に対して間隔をあけて配置され、第1規制面は口部端面に接触し、第2規制面は外周面に対して間隔をおいて配置される。容器本体に対して蓋部を開閉する際に、蓋部の非接触面及び第2規制面は容器本体に接触しないため、摩擦力が小さい。このため、容器本体に対して蓋部を軽い操作力で開閉することができる。
【0022】
また、インナーリングと内周面とが接触し、口部端面と第1規制面とが接触しているため、パッキンを用いずに容器本体と蓋部との間に気密性を持たせることができる。また、例えば、内圧の上昇によって容器本体及び蓋部に変形が生じ、容器口部が第1方向に変形した場合には、外周面は、第2規制面に接触し、容器本体及び蓋部の変形が抑制され、インナーリングと内周面との接触状態、及び口部端面と第1規制面との接触状態は維持される。このため、内圧が上昇して容器口部及び蓋部に変形が生じた場合でも、気密性の低下を抑制することができる。さらに、気密空間を介在させることにより、内容物が容器内部から容器外部に移動しにくくなる。
【0023】
第2の構成は、上記第1の構成において、開口部の内径を、40mmから100mmとする。
【0024】
上記第2の構成によれば、容器口部及び蓋部が変形しやすい広口容器であっても、パッキンを用いずに容器本体と蓋部との間に気密性を持たせることができる。また、内圧が上昇して容器口部及び蓋部に変形が生じた場合でも、気密性の低下を抑制することができる。
【0025】
第3の構成は、上記第1又は第2の構成において、インナーリングは、インナーリングの外側に形成され、インナーリングの周方向に延びる突条を有し、突条は、内周面に接触する。
【0026】
上記第3の構成によれば、インナーリングの突条と内周面は、線接触の状態となるため、摩擦力は小さい。このため、気密性を保ちつつ、容器本体に対して蓋部を軽い操作力で開閉することができる。
【0027】
第4の構成は、上記第3の構成において、突条が形成されている部分における、インナーリングの第1方向の厚さは、0.3mmから1.5mmである。
【0028】
上記第4の構成によれば、突条が形成されている部分における、インナーリングの第1方向の厚さを0.3mmから1.5mmとすることにより、インナーリングの追従性が確保される。このため、容器本体及び蓋部に変形が生じた場合にインナーリングが追従して、インナーリングと内周面との接触状態が保たれ、気密性の低下を抑制することができる。また、インナーリングに柔軟性があるため、インナーリングと内周面との接触圧力が必要以上に高くならず、摩擦力の増加を抑えることができる。このため、容器本体に対して蓋部を軽い操作力で開閉することができる。
【0029】
第5の構成は、上記第1から第4のいずれかの構成において、口部端面は、第1方向に延びる平坦面である第1平坦面を有し、第1規制面は、第1方向に延びる平坦面である第2平坦面を有し、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、第1平坦面及び第2平坦面が接触する。
【0030】
上記第5の構成によれば、口部端面と第1規制面は、面接触の状態となるため、容器本体と蓋部との気密性を高めることができる。
【0031】
第6の構成は、上記第1から第5のいずれかの構成において、外周面は、第2方向に延びる平坦面である第3平坦面を有し、第2規制面は、第2方向に延びる平坦面である第4平坦面を有し、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、容器口部が蓋部に対して第1方向に変形した場合、第3平坦面及び第4平坦面が接触する。
【0032】
上記第6の構成によれば、蓋部を容器本体に組み合わせた状態で、容器口部が第1方向に変形した場合、第3平坦面及び第4平坦面が接触する。外周面と第2規制面は、面接触の状態となるため、容器本体及び蓋部が変形した状態においても容器本体と蓋部との気密性の低下を抑制することができる。
【0033】
第7の構成は、上記第1から第6のいずれかの構成において、第2間隔は、0.02mmから0.1mmである。
【0034】
上記第7の構成によれば、容器本体及び蓋部が変形した場合に、外周面と第2規制面が接触しやすい。このため、容器本体及び蓋部の変形を抑制し、容器本体と蓋部との気密性の低下を抑制することができる。
【0035】
第8の構成は、上記第1から第7のいずれかの構成において、蓋部を容器本体に組み合わせていない状態において、第1方向における、インナーリングの外側から第2規制面までの距離は、容器口部の端部における内周面から外周面までの距離よりも小さい。
【0036】
上記第8の構成によれば、容器本体及び蓋部に変形が生じ、外周面が第2規制面に接触する状態になっても、インナーリングが内周面に追従して変形する。インナーリングと内周面との接触状態が保たれるため、気密性の低下を抑制することができる。
【0037】
[実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る広口容器について詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0038】
まず、広口容器100の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る広口容器100の容器本体110及び蓋部130を組み合わせた状態において一部を破断した側面図である。広口容器100は、化粧品用の容器であり、内容物として、例えば、クリーム状の化粧料を収容する。容器本体110の開口部115の内径は、40mm以上、100mm以下であることが好ましい。本実施形態では、容器本体110の開口部115の内径は、約60mmとする。広口容器100は、合成樹脂材料を用いて射出成形によって成形されている。合成樹脂材料として、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂を用いることができる。
【0039】
以下の図では、矢印Uは広口容器100の上方向を示し、矢印Dは広口容器100の下方向を示す。矢印Rは正面視で広口容器100の右方向を示し、矢印Lは正面視で広口容器100の左方向を示す。また、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、蓋部130の中心CLから外側に延びる方向を径方向RDとする。径方向RDは、本発明の第1方向に相当する。下方向Uは、本発明の第2方向に相当する。
【0040】
広口容器100は、容器本体110、及び蓋部130を有している。
【0041】
容器本体110は、胴部112、及び容器口部113を有している。胴部112は、胴部外壁112A、胴部内壁112B、及び底部112Cを有している。胴部外壁112Aは、胴部112の外側面を構成する。胴部外壁112Aは、略円筒状である。胴部内壁112B及び底部112Cは、胴部外壁112Aの内側に配置される。胴部内壁112B及び底部112Cは、内容物を収容する収容空間111を構成する。胴部外壁112A及び胴部内壁112Bは、接続部112Dで接続されている。胴部外壁112A及び胴部内壁112Bの間には、空間112Eが形成されている。底部112Cは、胴部外壁112Aの下端112Fよりも上方に配置されている。尚、胴部112の形状は一例であり、図示した形状以外の形状であってもよい。
【0042】
容器口部113は、胴部112に連続して形成されている。容器口部113は筒状である。容器口部113の外径は、胴部112の外径に対して小さくなっている。尚、容器口部113の外径は、胴部112の外径と同等であってもよい。
【0043】
容器口部113は、開口部115及び雄螺子119を有している。開口部115は、収容空間111に連通している。本実施形態では、開口部115の内径と、収容空間111の内径とは、略同一である。雄螺子119は、蓋部130と組み合わされる。尚、開口部115の内径と、収容空間111の内径とが異なっていてもよい。例えば、開口部115の内径が、収容空間111の内径より小さくてもよい。
【0044】
蓋部130は、容器本体110の容器口部113に取り付けられる。蓋部130は、蓋部本体131、外周壁132、及び雌螺子133を有している。蓋部本体131は平面視で略円形である。外周壁132は、蓋部本体131の外側の縁部に形成されている。外周壁132は、下方に向けて延びている。雌螺子133は、外周壁132の内側に形成され、雄螺子119に組み合わされる。
【0045】
図2は、容器本体110及び蓋部130を分離した状態における一部拡大断面図である。
図2に示すように、容器本体110の容器口部113は、内周面116、外周面117、及び口部端面118を有している。
【0046】
内周面116は、容器口部113の内側の面である。内周面116は、開口部115を構成する。外周面117は、内周面116とは反対側の面であって、容器口部113の外側の面である。口部端面118は、容器口部113の上端面である。口部端面118は、径方向RDにおいて、内周面116及び外周面117の間に位置している。雄螺子119は、外周面117に形成されている。
【0047】
蓋部130は、インナーリング135、非接触面137、第1規制面138、連結面140、及び第2規制面139を有している。
【0048】
インナーリング135は、外周壁132よりも蓋部130の中心側に形成されている。インナーリング135は筒状である。インナーリング135は、断面視で下方に向けて延びている。インナーリング135の上部は、断面視で、外側の面(
図2において右側の面)が
蓋部本体131の下面に対して垂直になるように形成されている。インナーリング135の下部は、外側の面(
図2において右側の面)がテーパー状になっており、断面視で径方向RDの厚さが徐々に小さくなるように形成されている。
【0049】
インナーリング135の外側には、突条141が形成されている。突条141は、インナーリング135の外側の面が径方向RDに向けて突出した部分である。突条141は、インナーリング135の周方向に延びている。突条141は、インナーリング135の全周において連続している。インナーリング135の下端部は、断面視で第1規制面138よりも下方に位置している。突条141も、断面視で第1規制面138よりも下方に位置している。
【0050】
突条141が形成されている部分において、インナーリング135の径方向RDにおける厚さW1は、0.3mmから1.5mmであることが好ましい。また、厚さW1は、0.3mmから0.7mmであることがより好ましい。本実施形態では、厚さW1は、約0.4mmから0.5mmとしている。
【0051】
インナーリング135の径方向RDにおける厚さは、インナーリング135が径方向RDに適度に変形可能となる厚さとする。具体的には、容器本体110及び蓋部130を組み合わせた状態において、インナーリング135が内周面116に適度な接触圧力で接触可能な厚さとする。また、内周面116の位置が径方向RDに移動した場合でも、インナーリング135が内周面116に追従できる厚さとする。例えば、インナーリング135の上部の厚さW2は、0.3mmから1.5mmであることが好ましい。
【0052】
非接触面137は、外周壁132及びインナーリング135の間に配置されている。非接触面137は、周方向に延びており、断面視では径方向RDに延びている。
【0053】
第1規制面138は、非接触面137よりも外側に配置されている。第1規制面138は、周方向に延びており、断面視では径方向RDに延びている。第1規制面138は、非接触面137に対して下方に形成されている。
【0054】
連結面140は、非接触面137と第1規制面138との間に配置されている。連結面140は、非接触面137と第1規制面138とを連結する。連結面140は、周方向に延びており、断面視では上下方向に延びている。
【0055】
第2規制面139は、第1規制面138よりも外側に配置されている。第2規制面139は、周方向に延びており、断面視では上下方向に延びている。
【0056】
蓋部130を容器本体110に組み合わせていない状態において、径方向RDにおける、インナーリング135の外側から第2規制面139までの距離を距離D1とする。具体的には、距離D1は、突条141の外側から第2規制面139までの距離とする。容器口部113の端部における内周面116から外周面117までの距離を距離D2とする。距離D1は、距離D2よりも小さく設定される。
【0057】
容器本体110の口部端面118は、第1平坦面143を有している。第1平坦面143は、周方向に延びており、断面視では径方向RDに延びる平坦面である。蓋部130の第1規制面138は、第2平坦面144を有している。第2平坦面144は、周方向に延びており、断面視では径方向RDに延びる平坦面である。
【0058】
容器本体110の外周面117は、第3平坦面145を有している。第3平坦面145は、周方向に延びており、断面視では上下方向に延びる平坦面である。蓋部130の第2規制面139は、第4平坦面146を有している。第4平坦面146は、周方向に延びており、断面視では上下方向に延びる平坦面である。
【0059】
図3は、
図1の一部を拡大した側面断面図である。蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、インナーリング135の突条141は、口部端面118よりも下方に位置し、容器口部113の内周面116に接触している。蓋部130を容器本体110に組み合わせていない状態において、径方向RDにおける、突条141の外側から第2規制面139までの距離D1は、容器口部113の端部における内周面116から外周面117までの距離D2よりも小さい(
図2参照)。このため、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、インナーリング135は、容器口部113によって蓋部130の中心側に押されて弾性変形している。突条141は、インナーリング135の弾性力により、容器口部113の内周面116に押し付けられるように接触している。
【0060】
また、非接触面137は、口部端面118に対して上方に配置されている。非接触面137と口部端面118との間には、第1間隔T1が設けられている。
【0061】
第1規制面138は、口部端面118に接触している。具体的には、口部端面118の第1平坦面143と、第1規制面138の第2平坦面144とが接触している。
【0062】
第2規制面139は、外周面117に対して径方向RDに第2間隔T2をおいて配置されている。第2間隔T2は、0.02mmから0.1mmに設定されることが好ましい。第2間隔T2は、0.04mmから0.06mmに設定されることがより好ましい。
【0063】
また、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態では、断面視で、インナーリング135、非接触面137、連結面140、及び容器口部113によって気密空間149が形成されている。気密空間149は、収容空間111と遮断され、広口容器110の外部とも遮断された空間である。
【0064】
図4は、容器本体110及び蓋部130が内圧によって変形した状態を示す側面断面図である。
図4では、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、内圧が上昇し、容器口部113が蓋部130に対して径方向RDに変形した状態を示している。
【0065】
容器口部113が径方向RDに変形した場合、外周面117は、第2規制面139に接触する。具体的には、外周面117の第3平坦面145と、第2規制面139の第4平坦面146が接触する。外周面117が第2規制面139に接触すると、蓋部130に対する容器口部113の相対的な変形は抑制される。
【0066】
蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、インナーリング135は、容器口部113によって蓋部130の中心側に押されて弾性変形している。インナーリング135の突条141は、容器口部113の内周面116に押し付けられるように接触している。容器口部113が径方向RDに変形した場合、インナーリング135の突条141は、内周面116の移動に追従して径方向RDに移動する。このため、突条141と内周面116との接触状態は維持されている。
【0067】
容器口部113が径方向RDに変形した場合でも、口部端面118の第1平坦面143と第1規制面138の第2平坦面144との接触状態は、維持されている。
【0068】
また、容器口部113が径方向RDに変形した場合でも、気密空間149は、収容空間111と遮断された状態、かつ、広口容器110の外部と遮断された状態が維持されている。
【0069】
[広口容器100の効果]
本実施形態に係る広口容器100によれば、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、非接触面137は口部端面118に対して第1間隔T1をあけて配置され、第1規制面138は口部端面118に接触し、第2規制面139は外周面117に対して第2間隔T2をおいて配置される。容器本体110に対して蓋部130を開閉する際に、蓋部130の非接触面137及び第2規制面139は容器本体110に接触しないため、摩擦力が小さい。このため、容器本体110に対して蓋部130を軽い操作力で開閉することができる。また、インナーリング135と内周面116とが接触し、口部端面118と第1規制面138とが接触しているため、パッキンを用いずに容器本体110と蓋部130との間に気密性を持たせることができる。また、例えば、内圧の上昇によって容器本体110及び蓋部130に変形が生じ、容器口部113が径方向RDに変形した場合には、外周面117は、第2規制面139に接触し、容器本体110及び蓋部130の変形が抑制され、インナーリング135と内周面116との接触状態、及び口部端面118と第1規制面138との接触状態は維持される。このため、内圧が上昇して容器口部113及び蓋部130に変形が生じた場合でも、気密性の低下を抑制することができる。さらに、気密空間149を介在させることにより、内容物が容器内部から容器外部に移動しにくくなる。
【0070】
本実施形態に係る広口容器100によれば、開口部115の内径は、40mmから100mmである。容器口部113及び蓋部130が変形しやすい広口容器100であっても、パッキンを用いずに容器本体110と蓋部130との間に気密性を持たせることができる。また、内圧が上昇して容器口部113及び蓋部130に変形が生じた場合でも、気密性の低下を抑制することができる。
【0071】
本実施形態に係る広口容器100によれば、インナーリング135の外側には、インナーリング135の周方向に延びる突条141が形成され、突条141は、内周面116に接触する。インナーリング135と内周面116は、線接触の状態となるため、摩擦力は小さい。このため、気密性を保ちつつ、容器本体110に対して蓋部130を軽い操作力で開閉することができる。
【0072】
本実施形態に係る広口容器100によれば、突条141が形成されている部分における、インナーリング135の径方向RDの厚さを0.3mmから1.5mmとすることにより、インナーリング135の追従性が確保される。このため、容器本体110及び蓋部130に変形が生じた場合にインナーリング135が追従して、インナーリング135と内周面116との接触状態が保たれ、気密性の低下を抑制することができる。また、インナーリング135に柔軟性があるため、インナーリング135と内周面116との接触圧力が必要以上に高くならず、摩擦力の増加を抑えることができる。このため、容器本体110に対して蓋部130を軽い操作力で開閉することができる。
【0073】
本実施形態に係る広口容器100によれば、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、第1平坦面143及び第2平坦面144が接触する。口部端面118と第1規制面138は、面接触の状態となるため、容器本体110と蓋部130との気密性を高めることができる。
【0074】
本実施形態に係る広口容器100によれば、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、容器口部113が径方向RDに変形した場合、第3平坦面145及び第4平坦面146が接触する。外周面117と第2規制面139は、面接触の状態となるため、容器本体110及び蓋部130が変形した状態においても容器本体110と蓋部130との気密性の低下を抑制することができる。
【0075】
本実施形態に係る広口容器100によれば、蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、外周面117と第2規制面139との間に設定される第2間隔T2は、0.02mmから0.1mmである。容器本体110及び蓋部130が変形した場合に、外周面117と第2規制面139が接触しやすい。このため、容器本体110及び蓋部130の変形を抑制し、容器本体110と蓋部130との気密性の低下を抑制することができる。
【0076】
本実施形態に係る広口容器100によれば、蓋部130を容器本体110に組み合わせていない状態において、径方向RDにおける、インナーリング135の外側から第2規制面139までの距離D1は、容器口部113の端部における内周面116から外周面117までの距離D2よりも小さい。このため、容器本体110及び蓋部130に変形が生じ、外周面117が第2規制面139に接触する状態になっても、インナーリング135が内周面116に追従して変形する。インナーリング135と内周面116との接触状態が保たれるため、気密性の低下を抑制することができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【課題】パッキンを用いずに気密性を持たせ、内圧が上昇して容器口部及び蓋部に変形が生じた場合でも、気密性の低下を抑制でき、蓋部を軽い操作力で開閉できる広口容器を提供する。
【解決手段】蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態で、蓋部130のインナーリング135は、容器口部113の内周面116に接触するとともに、インナーリング135、非接触面137、連結面140、及び容器口部113によって囲まれる空間である気密空間149が形成される。蓋部130を容器本体110に組み合わせた状態において、容器口部113が蓋部130に対して第1方向RDに変形した場合、外周面117は、第2規制面139に接触し、インナーリング135と内周面116との接触状態、及び口部端面118と第1規制面138との接触状態は維持される。