【実施例】
【0024】
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
なお、実施例1〜7は参考例である。
【0025】
実施例1〜4および比較例1〜2についての測定法
1.平均繊維径:
得られた繊維成形体の表面を走査型電子顕微鏡(キーエンス株式会社:商品名「VE8800」)により、倍率3000倍で撮影して得た写真から無作為に20箇所を選んで繊維の径を測定し、すべての繊維径の平均値を求めて平均繊維径とした。n=20である。
2.平均厚み:
50mm×100mmのサイズにカットした繊維成形体を高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ:商品名「ライトマチックVL−50」)を用いて測長力0.01Nによりn=15にて繊維成形体の膜厚を測定した平均値を算出した。なお、本測定においては測定機器が使用可能な最小の測定力で測定を行った。
【0026】
3.ELISA測定
(1)フィブリノゲン
ELISAプレート(NUNC 468667)に抗ヒトフィブリノゲン抗体(DAKO A0080)を10μg/mLで固定化した。0.05%Tween20を含むPBSで洗浄後、ブロックエース(DSファーマバイオメディカル UK−B80)を各ウェルに添加し、マスキングを行う。0.05%Tween20を含むPBSで洗浄後、検体を添加した。標準品としてヒトフィブリノゲン(Enzyme Research Laboratories No.FIB3)を用い、検量線を作成した。0.05%Tween20を含むPBSで洗浄後、HRP標識抗ヒトフィブリノゲン抗体(CPL5523)を添加し、反応後、0.05%Tween20を含むPBSで洗浄し、TMB試薬(KPL 50−76−02 50−65−02)を添加し、6分間静置して発色させた。1M H
3PO
4を加え、発色を停止し、マイクロプレートリーダーでOD450−650nmを測定した。
【0027】
(2)トロンビン
ELISAプレート(NUNC 468667)に抗ヒトトロンビン抗体(Affinity Biological社、No.SAHT−AP)を5μg/mLで固定化した。0.05%Tween20を含むPBSで洗浄後、ブロックエース(DSファーマバイオメディカル UK−B80)を各ウェルに添加し、マスキングを行った。0.05%Tween20を含むPBSで洗浄後、検体を添加した。標準品としてヒトトロンビン(ヘマトロジックテクノロジー社:HCT−0020)を用い、検量線を作成した。0.05%Tween20を含むPBSで洗浄後、HRP標識抗ヒトトロンビン抗体((Affinity Biological社、No.SAHT−HRP)を0.1μg/mLで添加した。反応後、0.05%Tween20を含むPBSで洗浄し、TMB試薬(DaKo S1599)を添加し、10分間静置して発色させた。0.5M H
2SO
4を加え、発色を停止し、マイクロプレートリーダーでOD450−650nmを測定した。
【0028】
4.トロンビン活性測定
BD社製ポリスチレンチューブに試料20μLと活性測定用希釈溶液(0.01% F−68、50mmol/L NaCl、50mmol/L Tris−HCl、pH8.4)80μL加え、37℃で3分インキュベーションした。標準品として組換トロンビン(JPU Thrombin Standard 400U/mLまたはWHO/US Thrombin Standard、110IU/mL:自社調整品)を同バッファーでJPUの場合、4、2、1、0.5、0.25U/mL、IUの場合、6、3、1.5、0.75、0.375IU/mLに希釈したものを用いた。その反応液にテストチーム発色基質S−2238(1mM:第一化学薬品工業)を100μL添加して攪拌混合し、37℃で7分間の反応後、0.1Mクエン酸溶液を800μL加えて反応を停止した。反応液200μLを96ウェルプレートに移し、OD405/650を測定した。
【0029】
実施例1
2−プロパノールにフィブリノゲン凍結乾燥粉末(ボルヒール(登録商標、以下同じ)組織接着用:バイアル1)を分散させた後、16wt%になるようにヒドロキシプロピルセルロース(6−10mPa・s 和光純薬製)を溶解し、フィブリノゲン含有粒子/ヒドロキシプロピルセルロース=20(フィブリノゲンとして9.2)/100(w/w)の紡糸液を調製した。温度22℃、湿度26%以下でエレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は11kV、紡糸液流量は1.2mL/h、噴出ノズルから平板までの距離は15cmであった。得られた繊維成形体の平均繊維径は0.86μm、平均厚みは137μmであった。得られたシートを20kGyで電子線滅菌した。滅菌したシートを0.5cm×0.5cmに切断して、62.5μLの生理食塩水で蛋白質を抽出してELISA測定を実施した。結果、固定化蛋白質量は0.15mg/cm
2であった。一方で、滅菌処理していないシートについても同様にELISA測定を実施した結果、固定化蛋白質量は、0.16mg/cm
2であった。以上のことから、未滅菌シートに対しての滅菌シートの蛋白回収率は94%であった。
【0030】
実施例2
2−プロパノールにフィブリノゲン凍結乾燥粉末(ボルヒール組織接着用:バイアル1)を分散させた後、16wt%になるようにヒドロキシプロピルセルロース(6−10mPa・s 和光純薬製)を溶解し、フィブリノゲン凍結乾燥粉末/ヒドロキシプロピルセルロース=40(フィブリノゲンとして18)/100(w/w)の紡糸液を調製した。温度22℃、湿度26%以下でエレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は12.5kV、紡糸液流量は1.2mL/h、噴出ノズルから平板までの距離は15cmであった。得られた繊維成形体の平均繊維径は0.43μm、平均厚みは152μmであった。得られたシートを20kGyで電子線滅菌した。滅菌したシートを0.5cm×0.5cmに切断して、62.5μLの生理食塩水で蛋白質を抽出してELISA測定を実施した。結果、固定化蛋白質量は0.27mg/cm
2であった。一方で、滅菌処理していないシートについても同様にELISA測定を実施した結果、固定化蛋白質量は、0.30mg/cm
2であった。以上のことから、未滅菌シートに対しての滅菌シートの蛋白回収率は90%であった。
【0031】
実施例3
2−プロパノールにフィブリノゲン凍結乾燥粉末(ボルヒール組織接着用:バイアル1)を分散させた後、16wt%になるようにヒドロキシプロピルセルロース(6−10mPa・s、和光純薬製)を溶解し、フィブリノゲン凍結乾燥粉末/ヒドロキシプロピルセルロース=100(フィブリノゲンとして46)/100(w/w)の紡糸液を調製した。温度22℃、湿度26%以下でエレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は12.5kV、紡糸液流量は1.2mL/h、噴出ノズルから平板までの距離は15cmであった。得られた繊維成形体の平均繊維径は0.35μm、平均厚みは191μmであった。得られたシートを20kGyで電子線滅菌した。滅菌したシートを0.5cm×0.5cmに切断して、62.5μLの生理食塩水で蛋白質を抽出してELISA測定を実施した。結果、固定化蛋白質量は0.78mg/cm
2であった。一方で、滅菌処理していないシートについても同様にELISA測定を実施した結果、固定化蛋白質量は、0.76mg/cm
2であった。以上のことから、未滅菌シートに対しての滅菌シートの蛋白回収率は102%であった。
【0032】
比較例1
フィブリノゲン凍結乾燥粉末(ボルヒール組織接着用:バイアル1)を20kGyで電子線滅菌した。1mLの生理食塩水で蛋白質を抽出してELISA測定を実施した。結果、ELISA測定値は、31μg/mLであった。一方で、滅菌処理していないフィブリノゲン凍結乾燥粉末(ボルヒール)についても同様にELISA測定を実施した結果、ELISA測定値は、90μg/mLであった。以上のことから、未滅菌シートに対しての滅菌シートの蛋白質回収率は34%であった。
【0033】
実施例4
2−プロパノールにトロンビン含有粒子(リコンビナントトロンビン1mg/mL、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カルシウム及びマンニトールを含有するpH7の水溶液を凍結乾燥したもの)を分散させた後、13重量%になるようにヒドロキシプロピルセルロース(2.0−2.9mPa・s 日本曹逹製)を溶解し、トロンビン含有粒子/ヒドロキシプロピルセルロース=100/100(w/w)のドープ液を調製した。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。得られた繊維成形体の厚さは204μm、目付けは2.08mg/cm
2、嵩密度101mg/cm
3であった。得られたシートを直径1cmに切り出し、200μLの生理食塩水で蛋白質を抽出して活性測定を実施した。その結果、活性測定値は110.3U/cm
2であった。得られたシートは、30kGyの電子線を照射し滅菌後、トロンビン活性を測定した。電子線照射直後のトロンビン活性は、滅菌前を100%としたとき、68.4%の保持率であった。
【0034】
比較例2
トロンビン含有粒子(リコンビナントトロンビン1mg/mL、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カルシウム及びマンニトールを含有するpH7の水溶液を凍結乾燥したもの)に30kGyの電子線を照射し滅菌後、トロンビン活性を測定した。照射前のトロンビン活性は、404.73U/バイアルであった。電子線照射直後のトロンビン活性は、滅菌前を100%としたとき、51.8%の保持率であった。
【0035】
実施例5〜6および比較例3〜4についての測定法
1.平均厚み:
適当なサイズにカットした組成物を高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ:商品名「ライトマチックVL−50」)を用いて測長力0.01Nによりn=9にて繊維成形体の膜厚を測定した平均値を算出した。なお、本測定においては測定機器が使用可能な最小の測定力で測定を行った。
2.酵素活性測定
リパーゼの活性測定にはContinuous Fluorometric Lipase Testキット(PROGEN BIOTECHNIK GMBH製)を使用した。以下の式により活性保持率を算出した。活性酵素量は、活性値から濃度換算して算出した。
活性保持率(%)={滅菌後の活性酵素量(mg/cm
2)/滅菌前の活性酵素量(mg/cm
2)}×100
一方、β‐グルコシダーゼの活性測定にはTokyogreen(登録商標、以下同じ。)−βGlu(積水メディカル株式会社)を用いた蛍光測定により行った。以下の式により活性回収率を算出した。固定化酵素理論重量は、仕込み酵素粉末重量%と組成物の重量から算出した。
活性回収率(%)={活性酵素量(mg)/(固定化酵素理論重量(mg)}×100
以下の式により活性保持率を算出した。
活性保持率(%)={滅菌後の活性回収率(%)/滅菌前の活性回収率(%)}×100
【0036】
実施例5
2−プロパノールにリパーゼ粉末(ブタ膵臓由来、和光純薬製、以下同じ)を分散させた後、13wt%になるようにヒドロキシプロピルセルロース(6−10mPa・s 和光純薬製)を溶解し、リパーゼ粉末/ヒドロキシプロピルセルロース=50/100(w/w)の紡糸液を調製した。温度27℃、湿度27%以下でエレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は18kV、紡糸液流量は1.2mL/h、噴出ノズルから平板までの距離は16.5cmであった。得られた繊維成形体(10cm×14cm)の平均厚みは168μmであった。得られた繊維成形体を20kGyで電子線滅菌した。滅菌した繊維成形体を1cm×1cmに切断後、キットに含まれるLipase buffer 1mLでリパーゼを抽出して活性測定を実施した。結果、活性酵素量は0.46mg/cm
2であった。一方で、滅菌処理していないシートについても同様に活性測定を実施した結果、活性酵素量は、0.40mg/cm
2であった。以上のことから、未滅菌繊維成形体に対しての滅菌繊維成形体の活性保持率は115%であり、電子線滅菌により失活していないことがわかった。
【0037】
実施例6
2−プロパノールにリパーゼ粉末を分散させた後、13wt%になるようにヒドロキシプロピルセルロース(6−10mPa・s、和光純薬製)を溶解し、リパーゼ粉末/ヒドロキシプロピルセルロース=50/100(w/w)のキャスト液を調製した。ドクターブレード(YOSHIMITSU製、YBA−3型)を用い、塗工幅15milでキャスティングし、シートを得た。得られたシート(4cm×6cm)の平均厚みは180μmであった。得られたシートを20kGyで電子線滅菌した。滅菌したシートを1cm×1cmに切断後、キットに含まれるLipase buffer 1mLでリパーゼを抽出して活性測定を実施した。結果、活性酵素量は0.69mg/cm
2であった。一方で、滅菌処理していないシートについても同様に活性測定を実施した結果、活性酵素量は、0.64mg/cm
2であった。以上のことから、未滅菌シートに対しての滅菌シートの活性保持率は108%であり、電子線滅菌により失活していないことがわかった。
【0038】
実施例7
2−プロパノールにβ‐グルコシダーゼ粉末(アーモンド由来、オリエンタル酵母工業製、以下同じ)を分散させた後、13wt%になるようにヒドロキシプロピルセルロース(6−10mPa・s 和光純薬製)を溶解し、β‐グルコシダーゼ粉末/ヒドロキシプロピルセルロース=38/62(w/w)の紡糸液を調製した。温度27℃、湿度27%以下でエレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.9mm、電圧は18kV、紡糸液流量は1.2mL/h、噴出ノズルから平板までの距離は16.5cmであった。得られた繊維成形体(10cm×10cm)の平均厚みは207μmであった。得られた繊維成形体を2cm×2cmに切断後、20kGyで電子線滅菌した。得られた滅菌シートを生理食塩水1mLでβ‐グルコシダーゼを抽出してTokyogreen−βGluで活性測定を実施した。結果、活性回収率は42%であった。一方で、滅菌処理していないシートについても同様に活性測定を実施した結果、活性回収率は46%であった。以上のことから、未滅菌繊維成形体に対しての滅菌繊維成形体の活性保持率は91%であり、セルロースエーテル誘導体に包含されることによって酵素の失活を抑制できることがわかった。
【0039】
比較例3
リパーゼ粉末を20kGyで電子線滅菌した。粉末1mgに1mLのLipase bufferを添加して活性測定を実施した。結果、活性値は、0.25pmol/mL・min.であった。一方で、滅菌処理していないリパーゼ粉末についても同様に活性測定を実施した結果、活性値は0.34pmol/mL・min.であった。以上のことから、未滅菌粉末に対しての滅菌粉末の活性保持率は74%であった。
【0040】
比較例4
β‐グルコシダーゼ粉末を20kGyで電子線滅菌した。粉末2mgを1mLの生理食塩水に溶解させ、Tokyogreen−βGluで活性測定を実施した。その結果、活性保持率は81%であった。
【0041】
実施例8〜10についての測定法
フィブリノゲン凍結乾燥粉末(フィブリノゲン含有粒子)に対して電子線を照射した際、フィブリノゲンの変化(凝集体増加、ゲル強度低下)が生じる。電子線照射によるフィブリノゲンの変化を抑制する効果(滅菌耐性効果)を調べるために、フィブリノゲンのバルク液を調製し、5mLのガラスバイアルに1mLを充填後に凍結乾燥を実施した。凍結乾燥が終了した一部のバイアルについて30kGyの電子線を照射し、滅菌前後の比較を各凍結乾燥品について行った。
比較評価は、小型卓上試験機EZTest(島津製作所製)によるゲル強度測定およびBioSep−SEC−s4000(Phenomenex社製)による凝集体含量測定(分析条件:50mM リン酸緩衝液(pH7.0)、0.5M アルギニン塩酸塩 を移動相として、流速1.0ml/minにて分画、280nmの波長により目的物質を検出;単量体ピークより早く検出されるピークを凝集体として定量)を実施した。
分析に際しての検体(分析用検体)調製手順は、未滅菌凍結乾燥品および滅菌済凍結乾燥品のバイアルを1mLの蒸留水により溶解。その溶液を遠心チューブ15000rpm×5分間遠心し、0.45μmのろ過フィルターを通液した後、分析用検体として用いた。
【0042】
実施例8
以下の方法によりセルロースエーテル誘導体と特定添加剤の組合せによる蛋白質の滅菌耐性効果を調べた。
(方法)「セルロースエーテル誘導体+特定添加剤」組成(下記表1のNo.1〜6に示す組成(1))およびこれらよりセルロースエーテル誘導体を除いた組成に相当する組成(2)の、フィブリノゲンのバルク液を用い、そのゲル強度を測定することでフィブリノゲンとしての機能を評価し滅菌前後のゲル強度を比較することで滅菌耐性効果を調べた。結果を表2に示した。
組成(1)(凍結乾燥粉末とヒドロキシプロピルセルロースを2−プロパノールに懸濁後シート化)、組成(2)(凍結乾燥粉末)共に、各試料を1% Fbg濃度になるように水にて溶解後、10mM アルギニン、270mM 塩化ナトリウム、pH8.5の緩衝液にて2mg/mLの濃度になるように希釈した。
2mLポリプロピレンチューブにフィブロガミン(240単位/mL)10μL、トロンビン溶液(0.2mg/mL、100mM 塩化カルシウムを含む)110μLを加え、ピペッティング後に2mg/mLのフィブリノゲン溶液900μLを気泡が入らないよう添加し、37℃で1時間静置した後、小型卓上試験機EZTest(島津製作所製)にてゲルの強度を測定した。
【0043】
【表1】
【0044】
組成(2):特定添加剤組成
上記組成(1)に対しセルロースエーテル誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース:HPC)を含有しないもの。
(結果)
滅菌前を100とした場合の滅菌後のゲル強度の値を表2および
図1に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
組成No.1でセルロースエーテル誘導体の存在による滅菌耐性向上効果が認められなかったのに対し組成No.2〜6ではセルロースエーテル誘導体の存在による同効果が認められ、特に組成No.3〜6で顕著であった。
【0047】
実施例9
実施例8と同様の方法により、下記表3の組成(2種)によりグリシンの滅菌耐性効果を調べた。結果を表4に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
グリシン添加によりフィブリノゲン凝集体含量増加を抑制した。
【0050】
実施例10
実施例8と同様の方法により、セルロースエーテル誘導体と特定添加剤の組合せによる滅菌耐性効果を調べた。
セルロースエーテル誘導体としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)および下記表5の8種の組成のフィブリノゲンのバルク溶液を用いた。1.0% フィブリノゲン、110mM 塩化ナトリウム、1.0%グリシン、0.2%マンニトールは下記8種の組成について共通である。結果を表6と
図2に示した。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
セルロースエーテル誘導体添加により、蛋白質凝集体含量の増加が抑制された。また、セルロースエーテル誘導体の存在による同含量の増加抑制効果は、フェニルアラニンとヒスチジンが共存する組成2〜4で顕著であった。このことから、実施例7において組成No.1でセルロースエーテル誘導体の存在による滅菌耐性向上効果が認められなかったのに対し組成No.3〜6で認められかつ顕著であったことは、組成No.3〜6のフェニルアラニンとヒスチジンがセルロースエーテル誘導体と共存することで顕著な蛋白の滅菌耐性効果をもたらしているためであると考えられた。