【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0032】
参考例1〜3、実施例
4〜5、
参考例6〜10、比較例1〜3
<特性の評価方法>
(ガラス転移点:Tg)
JIS K7121に準拠して、各層の熱可塑性樹脂を使用し、(株)島津製作所製 DSC−60Aにてガラス転移点を測定した。毎分50ml窒素ガスフロー環境とした試験槽内にて、熱可塑性樹脂10〜20mgを毎分20℃で200℃まで昇温して融解させて35℃まで冷却して試料を得て、再び毎分20℃で昇温したときのベースラインの“ずれ”の生じた中間点をガラス転移点とした。
【0033】
(吸水率)
各層の熱可塑性樹脂の成形板(縦80mm、横10mm、厚さ4mm)を作成し、試験片として用い、試験片を温度85℃、湿度0%RHの恒温恒湿槽に24時間静置した後に取り出してさらに室温で10分間静置した後、天秤で重量を測定して、これを乾燥重量とした。次に、試験片を温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿槽に120時間静置した後に取り出してさらに室温で10分間静置した後、天秤で重量を測定して、これを吸水重量とした。下記式にて吸水率を求めた。
吸水率[%]=(吸水重量[g]−乾燥重量[g])/乾燥重量[g]×100[%]
【0034】
(鉛筆硬度)
積層体を、JIS K5600−5−4に準拠し、樹脂層(B)を積層させている面に対して750g加重で鉛筆硬度の測定を行い、表面に目視で傷がつかなかった鉛筆の硬度を評価結果とした。鉛筆は三菱鉛筆Uni(商品名)を使用した。
【0035】
(常温常湿試験後の反り率)
積層体を、製造時のシート進行方向が長辺となるように縦50mm×横100mm、シート幅方向が長辺となるように縦50mm×横100mmの大きさにそれぞれ3枚ずつ切り出し、これら6枚の試験片を温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後、樹脂層(B)側が上になるように平置きし、四隅とその中間点の計8点の浮き量を測定した。測定した6枚の中で最大浮き量(最大反り量)を求め、次式にて計算した値を反り率(%)とした。
反り率(%)=100×最大反り量(mm)/100(mm)
なお、樹脂層(B)側が凹となる浮き量を正とした。
【0036】
(湿熱試験後の反り率)
積層体を、製造時のシート進行方向が長辺となるように縦50mm×横100mm、シート幅方向が長辺となるように縦50mm×横100mmの大きさにそれぞれ3枚ずつ切り出し、これら6枚の試験片を温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間放置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後、樹脂層(B)側が上になるように平置きし、四隅とその中間点の計8点の浮き量を測定した。測定した6枚の中で最大浮き量(最大反り量)を求め、次式にて計算した値を反り率(%)とした。
反り率(%)=100×最大反り量(mm)/100(mm)
なお、樹脂層(B)側が凹となる浮き量を正とした。
【0037】
(湿熱試験後の剥離確認)
積層体から、縦50mm×横100mmのサンプルを切り出し、住友スリーエム(株)製両面テープ、品番Y4914を用いて、スマートホンの筐体に4辺で固定した。温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間放置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後、前面板固定部分の状態を目視観察し、両面テープの剥離発生有無を確認した。○を剥離発生なし、×を剥離発生ありとして表1に示した。
【0038】
<樹脂1〜5の製造>
樹脂層(B)を構成する樹脂1〜5は以下の方法で製造した。
(変性ポリカーボネート樹脂の製造例1:樹脂1)
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液3845部およびイオン交換水18182部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン3984部およびハイドロサルファイト8.37部を溶解した後、塩化メチレン10567部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約60分かけて吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液897部およびp−tert−ブチルフェノール58.28部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。
次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。その後、該パウダーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05重量%となるように添加し、均一に混合した後、かかるパウダーをベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]により脱気しながら溶融混錬し、単位[1]からなる変性ポリカーボネート樹脂ペレット(粘度平均分子量25,000)を得た。これを樹脂1とした。
【0039】
(変性ポリカーボネート樹脂の製造例2:樹脂2)
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液4485部およびイオン交換水22377部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン1992部(7.9モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1773部(7.8モル)、およびハイドロサルファイト7.53部を溶解した後、塩化メチレン13209部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約60分かけて吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液640部およびp−tert−ブチルフェノール97.90部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。
次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。その後、該パウダーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05重量%となるように添加し、均一に混合した後、かかるパウダーをベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]により脱気しながら溶融混錬し、単位[1]、および[2]からなる変性ポリカーボネート樹脂ペレット(粘度平均分子量19,500)を得た。これを樹脂2とした。
【0040】
(変性ポリカーボネート樹脂の製造例3:樹脂3)
製造例1と同様の操作で得られた樹脂1の乾燥パウダー50重量部と、ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量24,000)50重量部をドライブレンドし、その後、該パウダーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05重量%となるように添加し、均一に混合した後、かかるパウダーをベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]により脱気しながら溶融混錬し、単位[1]、および[2]からなる変性ポリカーボネート樹脂ペレット(粘度平均分子量24,500)を得た。これを樹脂3とした。
【0041】
(アクリル共重合体とポリカーボネート樹脂とのブレンド樹脂の製造例:樹脂4および樹脂5)
温度計、窒素導入管、還流冷却管、および攪拌装置を備えた加温可能な反応容器中に下記成分を仕込み、反応容器内を窒素で置換し、80℃に昇温した。脱イオン水200部、分散剤0.3部、硫酸ナトリウム0.5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3部、フェニルメタクリレート33部、メチルメタクリレート66部、メチルアクリレート1部、n−オクチルメルカプタン2.5部を導入し、4時間攪拌を続け、得られたビーズ状の重合体を水洗、乾燥し、アクリル共重合体(重量平均分子量19,200)を得た。なお、分散剤として、カリウムメタクリレート70部、メチルメタクリレート30部を共重合した重合体、およびナトリウム2−スルホエチルメタクリレート65部、カリウムメタクリレート10部、メチルメタクリレート25部を共重合した重合体を質量比1:1で混合し、この混合した重合体の10%水溶液を用いた。
得られたアクリル共重合体とポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量22,200)を二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]に供給し、280℃で溶融混練し、樹脂組成物ペレットを得た。アクリル共重合体とポリカーボネート樹脂との比率を50:50とした樹脂ペレットを樹脂4、30:70とした樹脂ペレットを樹脂5とした。
【0042】
参考例1
第1、第2押出機1A、1B、ダイ2、および第1〜第3ロール4〜6、また一対の引取りロール7を
図1に示すように配置し、2種2層分配のフィードブロックを樹脂層(A)が第2ロールに接触するように配置した。
樹脂層(A)を構成するポリカーボネート樹脂はスクリュー径40mmの単軸押出機(
図1の1A)押出機で、また樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂はスクリュー径30mmの単軸押出機(
図1の1B)でそれぞれ溶融させ、フィードブロック法にて2層に積層させ、設定温度280℃のダイを介して押出した。第1ロールと第2ロールで圧延し、第3ロールにて冷却させながら引取った。
樹脂層(A)としてポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量23,300)を用いた。樹脂層(B)として樹脂1を用いて、積層体の総厚み1.0mm、樹脂層(B)の厚みが100μmとなるように積層体を製造した。
得られた積層体について、総厚み、樹脂層(B)の厚み、樹脂層(A)および樹脂層(B)のガラス転移温度(Tg)、樹脂層(A)および樹脂層(B)の吸水率(%)、鉛筆硬度、成形時の第2ロールに対する第3ロール周速度比並びに第2ロールに対する引取りロールの周速度比、反り率(%)および湿熱試験後の反り率(%)の結果を表1に示す。
【0043】
参考例2
樹脂層(B)として樹脂2を用いた以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0044】
参考例3
樹脂層(B)として樹脂3を用いた以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
樹脂層(B)として樹脂4を用いた以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0046】
実施例5
樹脂層(B)として樹脂5を用いた以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0047】
参考例6
樹脂層(B)の厚みを60μmとした以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0048】
参考例7
積層体の総厚みを2.0mmとした以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0049】
参考例8
成形時の第2ロール対する第3ロールの周速度比を1.005倍とした以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0050】
参考例9
成形時の第2ロール対する第3ロールの周速度比を1.003倍、第2ロール対する引取りロールの周速度比を0.996倍とした以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0051】
参考例10
100重量部の樹脂1に対して、紫外線吸収剤として2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェノール]](ADEKA社製、商品名:アデカスタブLA−31)を1.0量部添加した以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0052】
比較例1
樹脂層(B)として市販のアクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製 商品名:アクリペットVH001)を用い、樹脂層(B)の厚みを60μmとした以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0053】
比較例2
樹脂層(B)として市販のアクリル樹脂(Arkema社製、商品名:Altuglas HT−121)を用い、樹脂層(B)の厚みを60μmとした以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0054】
比較例3
成形時の第2ロールに対する引取りロールの周速度比を0.992倍とした以外は
参考例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、評価結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表1から明らかなように、実施例
4〜
5は、常温常湿試験後の反り率、湿熱試験後の反り率ともに0.2%以下であっ
た。
これに対し、Tgが115℃未満であり、吸水率が0.7%を超える樹脂を樹脂層(B)に用いた比較例1、Tgが115℃以上であるが、吸水率が0.7%を超える樹脂を樹脂層(B)に用いた比較例2は常温常湿試験後の反り率、湿熱試験後の反り率ともに大きい結果となった。また、層構成は
参考例1と同様だが、第2ロールに対する引取りロールの周速度比が低い比較例3は湿熱試験後の反り率が大きい結果となった。
【0058】
参考例11〜15、実施例16〜17、参考例18〜22、比較例4〜6
<特性の評価方法>
(ガラス転移点:Tg)
JIS K7121に準拠して、各層の熱可塑性樹脂を使用し、(株)島津製作所製 DSC−60Aにてガラス転移点を測定した。毎分50ml窒素ガスフロー環境とした試験槽内にて、熱可塑性樹脂10〜20mgを毎分20℃で200℃まで昇温して融解させて35℃まで冷却して試料を得て、再び毎分20℃で昇温したときのベースラインの“ずれ“の生じた中間点をガラス転移点とした。
【0059】
(吸水率)
各層の熱可塑性樹脂の成形板(縦80mm、横10mm、厚さ4mm)を作成し、試験片として用い、試験片を温度85℃、湿度0%RHの恒温恒湿槽に24時間静置した後に取り出してさらに室温で10分間静置した後、天秤で重量を測定して、これを乾燥重量とした。次に、試験片を温度85℃、湿度85%RHの恒温恒湿槽に120時間静置した後に取り出してさらに室温で10分間静置した後、天秤で重量を測定して、これを吸水重量とした。下記式にて吸水率を求めた。
吸水率[%]=(吸水重量[g]−乾燥重量[g])/乾燥重量[g]×100[%]
【0060】
(鉛筆硬度)
ハードコート層を積層する前後の積層体を、JIS K5600−5−4に準拠し、樹脂層(B)および樹脂層(B)上のハードコート層の面に対して750g加重で鉛筆硬度の測定を行い、表面に目視で傷がつかなかった鉛筆の硬度を評価結果とした。鉛筆は三菱鉛筆Uni(商品名)を使用した。
【0061】
(耐擦傷性)
ハードコート層を積層した積層体の樹脂層(B)上のハードコート層の面に対して、500gの加重をかけて、スチールウール(日本スチールウール株式会社製 ボンスター♯0000)を20往復擦った後の傷の有無を目視により確認した。傷の発生が無いものを〇、傷の発生しているものを×とした。なお、ハードコート層を積層する前の積層体の樹脂層(B)面について、上記耐擦傷性試験を実施すると「×」判定となる。
【0062】
(常温常湿試験後の反り率)
ハードコート層を積層した積層体を、製造時のシート進行方向が長辺となるように縦50mm×横100mm、シート幅方向が長辺となるように縦50mm×横100mmの大きさにそれぞれ3枚ずつ切り出し、これら6枚の試験片を温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後、樹脂層(B)側が上になるように平置きし、四隅とその中間点の計8点の浮き量を測定した。測定した6枚の中で最大浮き量(最大反り量)を求め、次式にて計算した値を反り率(%)とした。
反り率(%)=100×最大反り量(mm)/100(mm)
なお、樹脂層(B)側が凹となる浮き量を正とした。
【0063】
(湿熱試験後の反り率)
ハードコート層を積層した積層体を、製造時のシート進行方向が長辺となるように縦50mm×横100mm、シート幅方向が長辺となるように縦50mm×横100mmの大きさにそれぞれ3枚ずつ切り出し、これら6枚の試験片を温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間放置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後、樹脂層(B)側が上になるように平置きし、四隅とその中間点の計8点の浮き量を測定した。測定した6枚の中で最大浮き量(最大反り量)を求め、次式にて計算した値を反り率(%)とした。
反り率(%)=100×最大反り量(mm)/100(mm)
なお、樹脂層(B)側が凹となる浮き量を正とした。
【0064】
(湿熱試験後の剥離確認)
ハードコートを積層した積層体から、縦50mm×横100mmのサンプルを切り出し、住友スリーエム(株)製両面テープ、品番Y4914を用いて、スマートホンの筐体に4辺で固定した。温度85℃、湿度85%RH環境下に120時間放置し、次いで温度23℃、湿度50%RH環境下に4時間放置した後、前面板固定部分の状態を目視観察し、両面テープの剥離発生有無を確認した。○を剥離発生なし、×を剥離発生ありとして表2に示した。
【0065】
<樹脂1〜5>
樹脂層(B)を構成する樹脂は、
参考例1〜3、実施例4〜5、参考例6〜10と同じ樹脂1〜5を用いた。
参考例11
第1、第2押出機1A、1B、ダイ2、および第1〜第3ロール4〜6、また一対の引取りロール7を
図1に示すように配置し、2種2層分配のフィードブロックを樹脂層(A)が第2ロールに接触するように配置した。
樹脂層(A)を構成するポリカーボネート樹脂はスクリュー径40mmの単軸押出機(
図1の1A)押出機で、また樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂はスクリュー径30mmの単軸押出機(
図1の1B)でそれぞれ溶融させ、フィードブロック法にて2層に積層させ、設定温度280℃のダイを介して押出し、第1ロールと第2ロールで圧延し、第3ロールにて冷却させながら、一対の引取りロールにより引取った。
樹脂層(A)としてポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量23,300)、樹脂層(B)として樹脂1を用いて、樹脂層(A)と樹脂層(B)の厚みを合計した厚みが1.0mm、樹脂層(B)の厚みが100μmとなるように積層体を製造した。
得られた積層体の両面に、金属製バーコーターを用いて、厚み10μmの膜厚になるように紫外線硬化性塗料(荒川化学工業(株)製ビームセット575CL)を塗布し、乾燥後、紫外線照射装置を用いて積算光量600mJ/cm
2となるように硬化し、ハードコート層が積層された積層体を得た。
得られた積層体について、樹脂層(A)+樹脂層(B)の厚み、樹脂層(B)の厚み、樹脂層(A)および樹脂層(B)のガラス転移温度(Tg)、樹脂層(A)および樹脂層(B)の吸水率(%)、成形時の第2ロールに対する第3ロール周速度比並びに第2ロールに対する引取りロールの周速度比、鉛筆硬度の測定結果を表2に示す。またハードコート層が積層された積層体について、ハードコート層の厚み、鉛筆硬度、耐擦傷性、反り率(%)および湿熱試験後の反り率(%)の結果を表2に示す。
【0066】
参考例12
ハードコート層の厚みを5μmとなるように紫外線硬化性塗料(荒川化学工業(株)製 ビームセット575CL)を塗布した以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0067】
参考例13
ハードコート層の厚みを20μmとなるように紫外線硬化性塗料(荒川化学工業(株)製 ビームセット575CL)を塗布した以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0068】
参考例14
樹脂層(B)として樹脂2を用いた以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0069】
参考例15
樹脂層(B)として樹脂3を用いた以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0070】
実施例16
樹脂層(B)として樹脂4を用いた以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0071】
実施例17
樹脂層(B)として樹脂5を用いた以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0072】
参考例18
樹脂層(B)の厚みを60μmとした以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0073】
参考例19
樹脂層(A)および樹脂層(B)の厚みを合計した厚みを2.0mmとした以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0074】
参考例20
成形時の第2ロール対する第3ロールの周速度比を1.005倍とした以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0075】
参考例21
成形時の第2ロール対する第3ロールの周速度比を1.003倍、第2ロール対する引取りロールの周速度比を0.996倍とした以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0076】
参考例22
樹脂1が100重量部に対して、紫外線吸収剤として2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]フェノール]](ADEKA社製、商品名:アデカスタブLA−31)を1.0量部添加した以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0077】
比較例4
樹脂層(B)として市販のアクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製 商品名:アクリペットVH001)を用い、樹脂層(B)の厚みを60μmとした以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0078】
比較例5
樹脂層(B)として市販のアクリル樹脂(Arkema社製、商品名:Altuglas HT−121)を用い、樹脂層(B)の厚みを60μmとした以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0079】
比較例6
成形時の第2ロールに対する引取りロールの周速度比を0.992倍とした以外は
参考例11と同様にしてハードコート層が積層された積層体を得た。評価結果を表2に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
表2から明らかなように、実施例
16〜
17は、常温常湿試験後の反り率、湿熱試験後の反り率ともに0.2%以下であっ
た。
これに対し、Tgが115℃未満であり、吸水率が0.7%を超える樹脂を樹脂層(B)に用いた比較例4、Tgが115℃以上であるが、吸水率が0.7%を超える樹脂を樹脂層(B)に用いた比較例5は常温常湿試験後の反り率、湿熱試験後の反り率ともに大きい結果となった。また、層構成は
参考例11と同様だが、成形時の第2ロールに対する引取りロールの周速度比が低い比較例6は湿熱試験後の反り率が大きい結果となった。