(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872119
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C03B 23/057 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
C03B23/057
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-533497(P2015-533497)
(86)(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公表番号】特表2015-535794(P2015-535794A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】EP2013067640
(87)【国際公開番号】WO2014048653
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】102012109189.7
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フランツ フェルクル
(72)【発明者】
【氏名】アルベアト シュミート
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シアメル
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ−ヨーゼフ ヘンケ
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ハーマン
【審査官】
相田 悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−246390(JP,A)
【文献】
米国特許第2633672(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/04〜23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する方法であって、
ガラス管(2)を、該ガラス管(2)の端部分(3)の近傍における切離し箇所(4)において軟化させるステップと、
前記ガラス管(2)を、予め設定された速度で該ガラス管の長手方向軸線に対して横方向に、引出し装置(11)に沿って搬送するステップと、
前記端部分(3)が前記引出し装置(11)を用いて前記切離し箇所から引き出されて、前記ガラス管が前記切離し箇所において溶融閉鎖される間に、前記ガラス管をその長手方向軸線を中心にして回転させるステップと、を有しており、
前記引出し装置(11)を回動不能にするか、又は前記ガラス管の角速度とは異なる角速度で回転させ、
前記端部分(3)が前記切離し箇所から引き出される間に、前記引出し装置(11)を前記ガラス管(2)の運動に対応させて、前記長手方向軸線に対して横方向に移動させ、
前記ガラス管を、少なくとも1つの位置固定の支持ストリップ(6)上における転動によって、前記長手方向軸線を中心にして回転させて、回転前進運動で前記長手方向軸線に対して横方向に前記引出し装置に沿って搬送する
ことを特徴とする、ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する方法。
【請求項2】
前記支持ストリップ(6)は、斜め上方に傾けられている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記引出し装置(11)に少なくとも1つの駆動装置(14,15)が対応配置されていて、該駆動装置がそれぞれ、前記長手方向軸線の方向における前記ガラス管の運動及び/又は前記長手方向軸線に対して横方向の運動に対応する、前記引出し装置の引出し軌道を確定する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記引出し軌道を、制御装置(18)を用いて、前記ガラス管の直径及び/又は前記長手方向軸線に対して横方向の前記ガラス管の運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の型式に関連して制御する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス管の直径及び/又は前記長手方向軸線に対して横方向の前記ガラス管の運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の型式を、センサ(17)によって検出し、前記制御装置(18)は、検出された、前記ガラス管の直径及び/又は前記長手方向軸線に対して横方向の前記ガラス管の運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の型式に基づいて、前記引出し軌道を制御する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記切離し箇所(4)の近傍における前記ガラス管の閉鎖される端部分の形状に、前記引出し装置(11)に後置されたブローノズル(19)を用いて、影響を及ぼす、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記切離し箇所で軟化された領域においてより強い狭窄作用を生ぜしめるために、前記ガラス管がその長手方向軸線を中心にしてさらに回転する間に、前記引出し装置(11)は前記ガラス管(2)の前記端部分(3)の、該ガラス管の長手方向軸線を中心にした回転を停止させる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する装置であって、
前記ガラス管(2)の1つの端部分(3)を軟化させるための加熱装置(7)と、
該加熱装置に沿って前記ガラス管を該ガラス管の長手方向軸線に対して横方向に搬送するための搬送装置(5)と、
前記ガラス管の、前記加熱装置(7)によって軟化された端部分(3)を引き出すための引出し装置(11)と、が設けられており、
前記搬送装置は、前記加熱装置(7)に沿った前記ガラス管の搬送中に該ガラス管をその長手方向軸線を中心にして回転させるように設計されており、
軟化した前記端部分(3)を前記ガラス管から引き出して、該ガラス管を切離し箇所において溶融閉鎖するために、前記引出し装置(11)は回動不能に配置されているか、又は前記ガラス管の角速度とは異なる角速度で回転するように構成されており、
前記搬送装置は、前記ガラス管を前記加熱装置(7)に沿って移動させるために働く、前記ガラス管に部分的に接触する複数のコンタクトピン(5)と、少なくとも1つの位置固定の支持ストリップ(6)と、を有しており、該支持ストリップ上に前記運動させられるガラス管が支持されていて、該支持ストリップ上における転動によって長手方向軸線を中心にして回転させられ、これにより前記ガラス管は、その長手方向軸線に対して横方向に回転前進運動させられて前記引出し装置に沿って搬送させられる
ことを特徴とする、ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する装置。
【請求項9】
前記支持ストリップ(6)は、斜め上方に傾けられている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記端部分(3)が前記切離し箇所から引き出される間に、前記引出し装置(11)を前記ガラス管(2)の運動に対応させて前記長手方向軸線に対して横方向に運動させるために、前記引出し装置(11)に、少なくとも1つの駆動装置(14,15)が対応配置されており、該駆動装置はそれぞれ制御装置(18)によって制御されて、前記引出し装置が引出し軌道に沿って前記ガラス管の運動に対応して前記長手方向軸線の方向及び/又は前記長手方向軸線に対して横方向に移動させられるようになっている、請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記制御装置(18)は前記引出し軌道を、前記ガラス管の直径及び/又は前記ガラス管の、長手方向軸線に対して横方向の運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の型式に関連して制御する、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記ガラス管の直径及び/又は前記ガラス管の、長手方向軸線に対して横方向の運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の型式を検出するために、センサ(17)が設けられており、これにより前記制御装置(18)は、前記ガラス管の検出された直径及び/又は前記ガラス管の、長手方向軸線に対して横方向の検出された運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の検出された型式に基づいて、前記引出し軌道を制御する、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記切離し箇所で軟化された領域においてより強い狭窄作用を生ぜしめるために、前記ガラス管がその長手方向軸線を中心にしてさらに回転する間に、前記ガラス管(2)の前記端部分(3)の、該ガラス管の長手方向軸線を中心にした回転を停止させるように、前記引出し装置(11)は設計されているか又は制御されている、請求項8記載の装置。
【請求項14】
前記切離し箇所(4)の近傍で前記ガラス管の閉鎖される端部分の形状に、さらに影響を及ぼすために、ブローノズル(19)が、前記引出し装置(11)に後置されて設けられている、請求項8記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、独国特許出願第102012109189号明細書「ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する方法及び装置」(出願日2012年9月27日)の優先権を主張し、従って当該明細書のすべての内容は、開示目的に関連して明確に、本出願に含まれているものである。
【0002】
本発明は、ガラス管、特に、製薬の分野において有効な対象を保管する、ガラス製の1次パッケージ手段を製造するために役立つガラス管を、熱軟化状態で閉鎖する方法及び装置に関する。
【0003】
発明の背景
ガラス管の製造時には、通常、ガラス管ストランドから複数のガラス管が切り離され、これらのガラス管は、次いでさらに加工される。これらのガラス管は、例えば1.5mの規格長さを有することができるが、また同様に、数cmの長さの比較的短いガラス管に分断することも可能であり、このようなガラス管は、次いで直ぐに、製薬分野における対象を保管するために、例えばガラスアンプル、ガラス瓶又はガラス注射器のような1次パッケージ手段に加工することができる。まさにガラスアンプル、ガラス瓶又はガラス注射器のような使用例のためには、加工中及び取扱中にガラス管の内室に異物が侵入することは許されない。それというのは、内部に侵入した異物は、多大の手間を掛けてしか再び除去することができないからである。
【0004】
従って管端部は、ガラス管内における粒子堆積物を回避するために、特殊な管端部・加工機において、ガラス管ストランドにおいて直に、熱軟化されて切り離され、そしてこのときに管は閉鎖される。
【0005】
公知の方法では、管は通常、回転するローラ上において個々に加工され、リングゾーンの加熱と次いで行われるロールユニットの離反移動によってガラス管が切り離される。
【0006】
英国特許出願公開第174049号明細書に開示された装置では、ガラス管はローラ対によって連続的に長手方向軸線を中心にして回転させられる。ガラス管の周縁の近傍に配置されたバーナが、回転するガラス管を、該ガラス管が十分に軟化するまで加熱する。ガラス管の熱軟化した状態において、ローラ対はガラス管の長手方向軸線に沿って互いに引き離され、これによってガラス管を切り離すことができる。このときガラス管の両端部分における縁部が溶融されて平らな底部を形成し、これによってガラス管端部を閉鎖することができる。しかしながら、ローラ対によるガラス管の均一な回転を可能にするのに必要な圧着圧には、亀裂及び擦過傷を発生させるおそれがある。従って接触面は、汚染及び摩耗に対する潜在的なエラー源である。
【0007】
西独国特許出願公開第1114992号明細書によれば、ガラス管は保持手段によって周囲をクランプされていて、鉛直搬送装置を用いて鉛直な搬送区間に沿って搬送され、このとき複数のリング状の軟化バーナを用いて加熱される。一緒に走行するトングが、ガラス管の軟化した端部分を把持し、互いに離反する方向に引っ張られる。熱軟化した端部分の切離しは、側部に設けられた障害物を用いて、例えばカッタによってさらに促進される。しかしながら鉛直方向の搬送によって、割れた管又は管部分は、後続のガラス管の上に落下し、これによって後続のガラス管が破損又は損傷することがある。
【0008】
西独国特許出願公開第1127042号明細書に開示された別の方法では、ガラス管は、ガラス管の各端部分に係合する複数のローラ対を用いて、均一に回転運動させられる。ガラス管が回転させられる間に、作用するガス火炎が切離し領域を軟化させる。斜めに接触する別ローラが、各端部分を軸方向でガラス管から引き離す。同時にガス火炎は、端部分を溶融して平らな底部を形成する。しかしながらガラス管の製作誤差、変動する摩擦状態及び滑り効果に基づいて、一義的でない変動する運動経過が生じ、又はそれどころか揺動運動が発生し、これにより管端部の閉鎖時にばらつきのある結果が生じてしまう。ガラス管はタイミング制御されて断続的に加工されるので、加工のためには比較的僅かな時間しか利用できない。
【0009】
独国特許発明第19908342号明細書に開示された別の方法では、ガラス管に対して同軸的に支持されたウォームが、ガラス管の搬送運動に対して同期的に回転させられて、ウォームの周縁が、画定された係合ポイントにおいてガラス管の周面に達し、軸線に対して垂直な平面においてガラス管の周りを移動し、これによってガラス管を分断できるようになっている。しかしながらこのときガラス管は引き出されない。
【0010】
欧州特許出願公開第1834931号明細書には、ガラス管の端部を溶融する方法が開示されている。そのために長いガラス管がまず、比較的短いガラス管に分断され、分断された短いガラス管は、次いでグリッパチェーン上に下ろされる。このときガラス管の端部は、側部から自由に接近可能である。ガラス管は、リフティングレールを介して案内され、これにより持ち上げられる。次いで行われるリフティングレール上での転動時に、ガラス管の端部がガス火炎によって溶融される間、ガラス管は回転させられる。ガラス管端部の閉鎖については、開示されていない。
【0011】
米国特許第2633672号明細書には、アンプルを製造するためにガラス管を熱軟化状態で閉鎖する方法が開示されており、この方法では、ガラス管は搬送区間に沿って移動させられ、一緒に走行するゴムベルトによって、該ガラス管の長手方向軸線を中心にして均一に回転させられる。このときアンプルの回転軸線は、シリンダを用いて安定させられる。回転するアンプルは、バーナストリップのそばを移動させられ、その周囲を均一に加熱されかつ軟化される。このとき、U字形のフックを備えた一緒に走行するフィンガによって軸方向に引き出されるスロート部分が軟化して、端部分は溶融され、アンプルは栓体によって閉鎖される。ガラス管を均一に回転させるために、著しい手間が必要である。単純な栓体を用いたガラス管端部の閉鎖は、多くの使用例のために適していない。
【0012】
発明のまとめ
本発明の課題は、ガラス管を安価にかつ均一にしかも極めてフレキシブルに閉鎖することができる、ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する改善された方法を提供することである。さらにまた、相応の装置を提供することが望まれている。
【0013】
この課題は、請求項1記載の方法、及び請求項10記載の装置によって解決される。別の有利な態様は、従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明に係る、ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する方法では、端部分が難なく切り離され得るような熱軟化された状態が得られるまで、ガラス管は、該ガラス管の端部分の近傍における切離し箇所において軟化させられ、かつガラス管はその長手方向軸線を中心にして回転させられて加熱される。
【0015】
本発明によれば、ガラス管の熱軟化された端部分は、好ましくは回動不能である引出し装置、しかしながらまた択一的な態様では、ガラス管の角速度とは異なった角速度で回転することができる引出し装置を用いて、切離し箇所から引き出され、これによりガラス管は切離し箇所において切離し工程中に同時に溶融閉鎖される。搬送区間上における管の回転によって、リングバーナの代わりに、ガラス管の下に配置された単純で直線的な軟化バーナを、使用することができる。ガラス管の回転運動と、位置固定に配置された(又は択一的に他の角速度で回転する)端部分とを重畳させることによって、管端部の均一な狭窄部が生ぜしめられ、ひいてはより均一な閉鎖が達成される。特にガラス管端部の狭窄及び溶融閉鎖時におけるプロセスパラメータは、本発明によれば簡単な形式でフレキシブルに設定することができる。
【0016】
本発明に係る方法では、ガラス管は、引出し装置に沿って、予め設定された速度で長手方向軸線に対して横方向に搬送区間に沿って搬送される。この搬送区間は、特にベルトコンベヤ装置又はチェーンコンベヤ装置において、実質的に直線的に、かつ好ましくは循環式に形成されていてよく、しかしながら基本的には、横断面円形又は楕円形に形成されていてもよく、例えばコンベヤカルーセルとして形成されていてよい。ガラス管は、好ましくは、連続的に、かつ上流側に位置するガラス管引抜き装置に対して正確に同期して搬送される。しかしながらまた基本的には、ガラス管はタイミング制御されて断続的に搬送されてもよい。ガラス管はいずれにせよ、好ましくは、加熱領域及び後置された切離し領域において一定の速度で搬送される。そのために正確な速度制御装置又は速度調整装置が設けられていてよい。
【0017】
このときガラス管は、搬送区間上において回転させられ、この回転はいずれにせよ、加熱領域及び後置された切離し領域において均一かつ一定であるので、前記領域において一定でかつ再現可能なプロセス条件が生ぜしめられる。
【0018】
基本的にはガラス管はそのために、既に述べたように、搬送区間に沿って移動させられるローラ対を用いて回転させることができる。しかしながら好適な態様によれば、ガラス管は、少なくとも1つの位置固定の支持ストリップ上における転動によって、該ガラス管の長手方向軸線を中心にして回転させられ、これにより、長手方向軸線に対して横方向の回転前進運動で、引出し装置に沿って搬送される。支持ストリップ及び搬送装置(例えばコンベヤベルト又はコンタクトピン又はコンタクトウェブ)とガラス管との間におけるすべての接触箇所は、そのために低摩擦の高温耐熱性材料によってコーティングされているか又はこのような材料(特にテフロン又はグラファイト製)から形成されている。これによってガラス管の周壁における摩耗、傷跡及び不均一性を回避することができる。このときガラス管は、好ましくは、ガラス管に局部的に比較的短い部分においてしか接触しない、搬送装置の押し手段によって、搬送区間に沿って押されるか又は引っ張られる。このような押し手段は例えば、鉛直なコンタクトピン又はコンタクトウェブとして形成することができるので、ガラス管の最大部分は搬送区間上に載っていない。
【0019】
別の態様によれば、支持ストリップは、例えば3°〜25°の角度を成して、斜め上方に傾けられているので、重力の、斜面に沿った方向に作用する力によって、ガラス管は常に確実にしかしながら僅かな力で、搬送装置の押し手段に押し付けられる。支持ストリップ及び搬送区間の傾斜角はそのために、製造経過中においても、調節可能であってよい。
【0020】
別の態様によれば、端部分が切離し箇所から引き出される間に、引出し装置はガラス管の移動に対応して該ガラス管の長手方向軸線に対して横方向に移動させられる。そのために引出し装置には、少なくとも1つの駆動装置、例えば電動機又はリニアモータが対応配置されている。引出し装置の運動は、好ましくは、引出し領域においてかつ搬送区間に沿って、ガラス管の搬送運動に対して正確に同期して行われる。つまり駆動装置は、全体として、引出し装置の引出し軌道を、長手方向軸線に対して横方向のガラス管の運動に対応させて設定する。このようにして、回転する管端部に対する引出し装置の予め設定された相対位置を常に、切離し領域において所定することができる。各管端部を対称的に閉鎖するために、引出し装置は、好ましくは、各管端部に対して正確にセンタリングされて保持される。
【0021】
別の態様によれば、しかしながらまた引出し装置の引出し軌道を、意図的に、切離し領域におけるガラス管の運動とは異ならせること、特に僅かに異ならせることもできる。時間にも関連しかつ一定でなくてもよい、ガラス管端部の運動軌道と引出し装置の運動軌道とのこの差異によって、本発明によれば、管端部の切離し及び閉鎖時におけるプロセス条件を設定するために、別のパラメータを使用することができる。
【0022】
別の態様によれば、引出し軌道は、例えばマイクロプロセッサのような制御装置を用いて、ガラス管の直径及び/又は長手方向軸線の方向におけるガラス管の運動及び/又は長手方向軸線に対して横方向におけるガラス管の運動及び/又は閉鎖されるガラス管の型式に関連して、制御される。これによって熱軟化状態での切離し及び閉鎖持におけるプロセス条件を、さらに変化させかつ制御することができる。
【0023】
別の態様によれば、ガラス管の直径及び/又は長手方向軸線に対して横方向のガラス管の運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の型式は、センサによって検出され、制御装置は、検出された、ガラス管の直径及び/又は長手方向軸線に対して横方向のガラス管の運動及び/又は閉鎖されるガラス管の型式に基づいて、引出し軌道を制御する。これによって熱軟化状態での切断及び閉鎖持におけるプロセス条件を、さらに正確にかつ個別に各ガラス管に合わせて変化させかつ制御することができる。
【0024】
別の態様によれば、切離し箇所の近傍におけるガラス管の閉鎖される端部分の形状に、引出し装置に後置されたブローノズルを用いて、影響を及ぼす。これによって、閉鎖された管端部における底部の湾曲に、簡単に影響を及ぼすことができる。
【0025】
別の好適な態様によれば、ガラス管がさらにその長手方向軸線を中心にして回転する間、ガラス管の端部分の回転、つまり管端部は、引出し装置によって、特にグリッパによって好適に停止されるか、又はガラス管の長手方向軸線を中心にした管端部の回転は大幅にもしくは少なくともほぼ完全に停止される。これによってガラス管は、切離し箇所における軟化された領域において、本発明によれば、汎用の方法におけるよりも強く狭窄される。互いに離反されて切り離される前における、軟化された領域におけるより小さな残留横断面と、引出し装置の制御された引出し運動とによって、管端部は切離し後に本発明によれば十分にコントロールされて縮まる。同時に、本発明によれば明らかに良好な狭窄部によって、硬い領域から軟化された領域への移行領域は、既に適宜に予備成形されるので、この箇所においてはより均一な円形が生ぜしめられ、このことは、底部成形の均一性、ひいては底部領域における切り離されたガラス管の安定性に対してポジティブに作用する。特に、このようにして本発明によれば、ほぼ平らな底部を備えた熱軟化状態で閉鎖された端部分を得ることができる。
【0026】
ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する装置は、ガラス管の1つの端部分を軟化させるための加熱装置と、該加熱装置に沿ってガラス管を該ガラス管の長手方向軸線に対して横方向に搬送するための搬送装置と、ガラス管の、加熱装置によって軟化された端部分を引き出すための引出し装置と、を有している。
【0027】
本発明によれば、搬送装置は、加熱装置に沿ったガラス管の搬送中に該ガラス管をその長手方向軸線を中心にして回転させるように設計されており、軟化した端部分をガラス管から引き出して、該ガラス管を切離し箇所において溶融閉鎖するために、引出し装置は回動不能に配置されているか、又はガラス管の角速度とは異なる角速度で回転するように構成されている。
【0028】
別の態様によれば、搬送装置は、ガラス管を加熱装置に沿って移動させるために働く、ガラス管に部分的に接触する複数のコンタクトピンと、少なくとも1つの位置固定の支持ストリップと、を有しており、該支持ストリップ上に運動させられるガラス管が支持されていて、該支持ストリップ上における転動によって長手方向軸線を中心にして回転させられ、これによりガラス管は、その長手方向軸線に対して横方向に回転前進運動させられて引出し装置に沿って搬送させられる。このとき支持ストリップは、斜め上方に傾けられている。
【0029】
別の態様によれば、端部分が切離し箇所から引き出される間に、引出し装置をガラス管の運動に対応させて長手方向軸線に対して横方向に運動させるために、引出し装置に、少なくとも1つの駆動装置が対応配置されており、該駆動装置はそれぞれプロセッサによって制御されて、引出し装置が引出し軌道に沿ってガラス管の運動に対応して長手方向軸線に対して横方向に移動させられるようになっている。
【0030】
別の態様によれば、プロセッサは引出し軌道を、ガラス管の直径及び/又はガラス管の、長手方向軸線に対して横方向の運動及び/又は閉鎖されるガラス管の型式に関連して制御する。このように構成されていると、一方では、管端部に対する引出し装置の正確にセンタリングされた位置決め及び相対位置を、種々異なった管直径に対しても保証することができる。また他方では、閉鎖されるガラス管の型式及び/又は後の使用形態をも、引出し軌道の制御に導入することができる。例えば、閉鎖されるガラス管の極めてフラットな底部を得るために、引出し装置は、ガラス管の運動に対して同期させて切離し領域において案内することができる。これに対してガラス管の運動に対する引出し軌道の僅かな差異は、例えば、閉鎖されるガラス管の幾分湾曲した底部を形成するために使用することができる。
【0031】
別の態様によれば、さらにガラス管の直径及び/又はガラス管の、長手方向軸線に対して横方向の運動及び/又は閉鎖される前記ガラス管の型式を検出するために、センサが設けられており、これによりプロセッサは、ガラス管の検出された直径及び/又はガラス管の、長手方向軸線に対して横方向の検出された運動及び/又は閉鎖されるガラス管の検出された型式に基づいて、引出し軌道を制御する。制御は、特に、制御装置内に記憶させておくことができる参照表又は制御関数を用いて行うことができる。
【0032】
次に、別の利点、特徴及び解決すべき課題を示す添付の図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明に係る、ガラス管を熱軟化状態で閉鎖する装置を、概略的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示した装置を上から見た概略図である。
【
図3a】本発明に係る方法の1つの実施の形態による、ガラス管の熱軟化した端部分の切離し及び閉鎖を説明するための、切離し箇所を拡大して示す図である。
【
図3b】本発明に係る方法の別の実施の形態による、ガラス管の熱軟化した端部分の切離し及び閉鎖を説明するための、切離し箇所を拡大して示す図である。
【
図4】
図1に示した装置を制御するための参照表の1例を示す図である。
【0034】
図面において同一の符号は、同一の又はほぼ同じ作用を有するエレメント又はエレメントグループを示す。
【0035】
好適な実施の形態の詳細な説明
図1及び
図2に示すように、ガラス管2はガラスストランドから適宜に、例えば1.5mの長さに分断され、搬送区間上に載置される。この搬送区間は、垂直なコンタクトピン5を用いて規則的なセグメントに分けられており、これらのセグメント内には各1つのガラス管2が収容されている。コンタクトピン5は、コンベヤベルト(図示せず)を用いて連続的に矢印方向に所定の速度で移動し、この速度は、ガラス管製造設備の走入するガラス管ストランド(図示せず)の速度に合わせられかつ同期されている。
【0036】
これによってガラス管2は、局部的にしか、つまり溶融分離される端部分3の近傍においてしか、コンタクトピン5に接触しない。ガラス管2の反対側に位置する端部には、コンタクトピン5の別の列(図示せず)が設けられているので、ガラス管2は、コンタクトピン5によって形成された収容部内において対称的に載置されている。ガラス管2の周壁のほとんどの部分は、載っていない、つまり下から支持されていない。
図1に示すように、ガラス管2は端部分3の近傍において、位置固定の支持ストリップ6上に載っており、この支持ストリップ6は、約3°〜25°の角度を成して斜め上方に延びている。搬送区間の上昇に基づく、重力の、斜面に沿った方向に作用する力(Hangabtriebskraft)によって、ガラス管2は、確定されて後続のコンタクトピン5に接触している。ガラス管2は同時にコンタクトピン5によってさらに移動させられるので、ガラス管2は均一に回転前進運動させられる(
図1の回転矢印参照)。このとき角速度は公知のように、搬送速度とガラス管2の外径によって予め設定されている。
【0037】
ガラス管2における擦過傷及び摩耗痕を回避するために、管に接触する接触材料(コンタクトピン5、支持ストリップ6)は、典型的には、例えばテフロンのようなプラスチック又はフラファイトのような材料から、つまり、小さな摩擦係数を有し、低摩擦であり、ガラス管2における条痕を残さず、しかも十分な耐熱性を有する材料から成っている。
【0038】
このようにして、ガラス管2は均一な回転前進運動で加熱領域8を通して搬送され、この加熱領域8は、例えば、互いに均一に間隔をおいて位置する一列の個別バーナから成るバーナストリップ7によって形成されている。加熱領域8において端部領域もしくは端部分3は、該端部領域もしくは端部分3が、熱軟化されて切り離されかつ溶融閉鎖され得るまで加熱される。これについては以下において詳しく述べる。
【0039】
最終的にガラス管2は、均一な回転前進運動をしながら引出し装置11に沿って搬送される。この引出し装置11は、個別のグリッパ12を有しており、このグリッパ12は、端部分3を軸方向に、つまりガラス管2の長手方向軸線(y方向)に沿って引き出すように設計されている。グリッパ12は、好ましくはそのために2つのグリッパトングによって形成されているので(
図3aに概略的に図示)、装置は迅速に他の管直径に適合することができる。
【0040】
引出し装置11には、好ましくは電気式のリニアモータである駆動モータ14,15が対応配置されており、これらの駆動モータ14,15は、グリッパ12が切断される端部分3を把持している場合、ガラス管2の前進運動に相応してグリッパ12を移動させる。そのために引出し装置11の運動は、一方ではガラス管2の前進運動に対して平行な移動(x方向)が必要であり、かつ他方では、端部分3を引き出すためにガラス管2の長手方向軸線の方向における移動(y方向)が必要であり、つまり互いに直交する2つの方向における移動が必要である。ガラス管2の前進運動は、支持ストリップ6における支持に基づいて斜め上方に向かって行われるので、そのために引出し装置11は、x方向が正確にガラス管2の前進運動に対して平行であるように、つまり同様に斜め上方に向けられているように駆動される(
図2において符号16によって概略的に図示)。熱軟化した端部分3を軸方向において引き出すために、駆動装置14は、ガラス管2の長手方向軸線に沿ってグリッパ12を移動させるようになっている。
【0041】
図面を簡単にするために
図1及び
図2には、引出し装置11が端部分3を切り離す切離し領域が、加熱領域8に後置されている。しかしながら基本的には、両方の領域は部分的に又は完全にオーバラップしていてよい。
【0042】
切離し領域の下には、切り離された端部分3を捕集するための捕集トラフ13が配置されているので、後続の管が汚されるおそれはない。切離し領域に後置されてブローノズル19が設けられており、このブローノズル19を用いて、切離し箇所の近傍においてガラス管2の閉鎖された端部分の形状に影響を及ぼすことができる。破線20によって略示されているように、切離し領域の後ろにはさらに冷却炉20が配置されており、ガラス管2は、内部応力を消滅させるために、この冷却炉20を貫通走行する。管端部加工装置1全体又はそのうちの一部、例えば加熱領域8又は切離し領域は、ハウジング又はカバーを用いて周囲の影響に対して遮蔽されていてよい。
【0043】
次に
図3a及び
図3bを参照しながら、端部分3の切離し工程及びガラス管2の閉鎖工程について詳説する。回転前進運動時に、ガラス管2は単数又は複数のバーナストリップ7の上方を移動する。このとき、極めて細い火炎によって、ガラス管2の特定されたリング状領域が均一に加熱され、これによって最終的に狭窄部4が形成される。
【0044】
熱軟化した状態で、管状の端部分3はグリッパ12によって把持される。本発明によればグリッパ12は好ましくは回動不能であるか(
図3b参照)、又はガラス管の角速度とは異なった角速度で回転する(
図3a参照)。好ましくは、角速度における差は可能な限り大きいことが望ましく、つまりグリッパはほぼ回動不能であり、つまり回転しない。
【0045】
ガラス管2は引き続き転動しながらグリッパ12のところを通過させられるので、これにより最終的に狭窄領域4は捩られる。狭窄領域4におけるこの捩れは、
図3bにおいて符号30と、ライン30の近傍における逆向きの斜線とによって示されている。ここで留意すべきことは、
図3bには、グリッパ12が回動不能である方法が示されているということである。つまりこの方法では、グリッパ12は回動不能であるので、ガラス管2がその長手方向軸線を中心にしてさらに回転する間、グリッパ12によって保持された端部分3は、さらなる回転を阻止されており、その結果ガラス管2はライン30に沿って捩れることになる。
【0046】
熱軟化した端部分3をガラス管2の長手方向軸線の方向でさらに引き出すと、捩れた狭窄領域4は、最終的に裂断し、ガラス管2の熱軟化した壁部分は、折り返して、最終的に相互に接触して、互いに溶融結合することができる。この効果は、ガラス管2の均一な転動運動によってさらに促進されるので、本発明によればガラス管2の端部に均一な底部が形成されることになる。この底部の形状には、切離し領域における温度条件、ガラス管2の角速度及び周囲条件によって、特に切離し領域に後置されたブローノズル19(
図1参照)によっても、さらに影響を及ぼすことができる。このブローノズル19は、端部分3の切離し後におけるガラス管2の熱軟化した壁部分の上に述べた折返しをさらに促進し、本来の切離し工程後におけるガラス管2の閉鎖を加速し、つまりさらに促進して、ガラス管2の、なお熱軟化している真っ直ぐに形成された底部の底部形状に適宜に影響を及ぼすことができる。
【0047】
狭窄領域4を端部分3の切離し後に均一にして、均一の底部を形成するために、グリッパ12は本発明によれば、長手方向軸線の方向における、熱軟化した端部分3の引出し中に、引出し軌道に沿ってガラス管2の移動に対応して移動させられる。
【0048】
好ましくは、x方向におけるグリッパ12の移動は、切離し領域におけるガラス管2の移動に対して正確に同期して行われ、すなわち
図1に示した実施の形態では水平方向及び鉛直方向に、つまり(x方向において)斜め上方に向かう方向において、正確に同期して行われる。さらに、y方向におけるグリッパ12の引出し運動は、ガラス管2の長手方向軸線の方向に対して正確に平行に(y方向において)行われる。そのためには、ガラス管2の管直径の正確な認識が必要である。このガラス管2の管直径は、引出し装置11を制御する制御装置18、例えばマイクロプロセッサに入力すること又はそこで記憶しておくことができる。管直径の認識に基づいて、グリッパ12は常にまた、ガラス管2に対して正確に同心的に位置決めされ、かつ案内されることができる。
【0049】
本発明に係る装置では、
図3bに示すように、ガラス管2がさらに回転する間、管端部はグリッパ12によって、好ましくは停止させられる(回転運動なし)。これによってガラス管2は軟化した領域において強く狭窄される。グリッパ12の制御された引出し運動と相俟った切離し前における、軟化した領域における小さな残留横断面によって、管端部は切離し後に十分にコントロールされて1つにまとまる。同時に、明らかにより良好な狭窄部によって、硬い領域から軟化した領域への移行領域は既に予備成形されるので、この箇所において均一な丸み部が得られ、このことは、底部成形の均一性に対して、ひいては底部領域における管の安定性に対してポジティブな影響を及ぼす。
【0050】
好適な実施の形態によれば、ガラス管2の運動の重要なパラメータ、特にガラス管2の直径、及び引出し装置11に沿った運動の重要なパラメータを、単数又は複数のセンサ17(
図2参照)を用いて、例えば光学センサ、画像評価ソフトウェアを備えたカメラ又はレーザを用いて検出することができる。検出された測定データは、引出し装置11の引出し軌道を制御するために制御装置18に入力される。
【0051】
別の実施の形態によれば、引出し装置11の引出し軌道は、また意識的に、ガラス管2の長手方向軸線(y方向)に対して及び/又はx方向におけるガラス管2の運動に対して幾分異ならせて制御することができ、このようにすると、ガラス管端部における閉鎖部の形状及びガラス管2の切離し及び閉鎖時におけるプロセス条件に所望のように影響を及ぼすことができる。特に、制御装置18によって、閉鎖されるガラス管2の型式に応じて、例えば使用目的(例えばガラスアンプル用、ガラス瓶用、ガラス注射器用、ガラス中空体用)に関連して、同一の管直径に対して種々異なった引出し条件及び溶解条件を、予め設定することができる。このことは、制御装置によって使用される参照表を概略的に示す
図4に、概略的に示されている。
【0052】
参照表において各管直径には、種々異なった別のパラメータ及び制御値が対応して示されており、これらのパラメータ及び制御値は、引出し装置11によって実施される引出し軌道にさらなる影響を及ぼすことができる。このとき閉鎖されるガラス管2の型式の他に、既に述べたように、そのために特に、引出し軌道の、ガラス管2に対してセンタリングされた開始位置のための、ガラス管2の長手方向軸線に対して横方向もしくは該長手方向軸線に対して平行な方向(x方向及びy方向)である、両方の空間方向における位置と、ガラス管2の長手方向軸線に対して横方向もしくは該長手方向軸線に対して平行な方向(x方向及びy方向)である、両方の空間方向における(時間にも関連した)速度及び/又は加速のような、引出し軌道自体の重要なパラメータCと、引出し装置11に沿ったガラス管に対する正確に同期した運動からの、もしくはガラス管の長手方向軸線の方向からの引出し軌道の偏差である修正値Δと、が記憶されていてよい。これらのパラメータに基づいて、制御装置18は、引出し装置11によって実施される引出し軌道を計算する。もちろん、これらのパラメータ及び制御値は、制御装置18のメモリ内に関数として記憶されていてよい。またこれらの関数は、時間に関連して変化してよい。
【0053】
後続のx−y引出し装置11のグリッパ12によって、切り離される管端部分が把持され、確定されて引き出される。切離しはこのとき正確に、バーナ7によって生ぜしめられた軟化ゾーンの領域において行われる。同時にガス管は、軟化ゾーンからの互いに流れ込むガラスによって閉鎖される。本発明の利点は特に、引出し工程が1つの送りピッチ内においてただ1つのグリッパトング12だけを用いて行われ、ひいては各ガラス管2が同じプロセスパラメータを得ることにある。このことは特に、好ましくは搬送区間の送りに対して正確に同期して作動する2つのハイダイナミックのリニアモータをx−y配置で使用することによって、可能になる。又は管直径の入力によって、グリッパ12は自動的にガラス管2に対して同心的にセンタリングされるので、管分類全体の中における直径の変化をグリッパ交換なしに処理することができる。リニアモータの速度は、自由にプログラミング可能であるので、正確に確定可能な引出し軌道を設定することができ、つまり引出し工程中における速度変化又は短い停止時間をも設定することができる。本発明の別の特殊性としては、把持された管端部が停止している間にガラス管2が回転することが挙げられる。これによって簡単な狭窄効果が得られ、この狭窄効果は、生ぜしめられる管底部の品質に対してポジティブな影響を及ぼし、均一な底部形状を生ぜしめる。同時に、グリッパによって管軸線の方向における正確な引出しが保証されている。
【0054】
本発明の利点は、特に下記のようにまとめることができる:すなわち、本発明による配置形態によって、上に述べたように、一定で低摩耗の管送りを転動運動を含めて、パルスモジュールなしに実現することができる。特に、タイミング制御される設備において生じるような位置決めエラーが発生しない。搬送区間上におけるガラス管の転動工程によって、単純な直線的な軟化バーナを、リングバーナの代わりに、管の下で使用することができる。これによって、リングバーナにおいて生じるような、火炎相互の影響がなくなる。その結果、上方に向かって逃げる排ガスによりバーナ摩耗は僅かになる。リングバーナにおける個々のバーナノズル内部の製作誤差は、通常、不均一な温度を管全周にわたって生ぜしめる。このような欠点は、リニアバーナの上においてガラス管が回転する、本発明による配置形態では、排除される。種々異なった管直径への適合を目的としたバーナ交換は、不要である。管支持体に対するバーナの固定の間隔によって、常に、管に対するバーナの一定の間隔が生ぜしめられる。そして移動式のバーナは本発明では不要であり、その結果、移動するエネルギラインを回避することにより事故のリスクを低減することができる。これによって全体として、極めて均一な引出し工程のための、極めて均質でかつ良好に調整可能な軟化ゾーンが、生ぜしめられる。本発明によれば、ただ1つのグリッパトングしか必要ないので、それぞれのガラス管に対して同一の条件が存在している。さらに、管直径に関連して制御される、運動方向における自動式のトング位置決め及びトングセンタリングが保証されている。確定された速度特性曲線による、サーボ制御された引出し速度が、ガラス管の端部における均一な摩耗を保証する。別の利点としては、僅かな熱進入、ひいてはガラス管内における排ガス残留、特に後置のブローノズルを用いて影響を与えることができる底部形状、及び既存のラインに簡単に組み込むことができるモジュラ構造が挙げられる。
【0055】
本発明による切離し方法は、種々様々な直径及び壁厚さを有するガラス管を、フレキシブルにかつ工具交換なしに閉鎖することができる。好適な使用例としては、製薬的に有効な物質を保管するためのアンプル、カープル、注射器又は瓶を製造するための、ガラス管の熱軟化状態での閉鎖が挙げられる。
【0056】
本出願を検討した場合に当業者にとって明らかになるように、特許請求の範囲に記載した事項によって確定された、本発明における共通の解決思想及び保護範囲を逸脱することなしに、上に開示した実施の形態に対する多くの別の変化形態が可能である。特に、本発明の特徴及び観点は、上に実施の形態によって開示したのとは異なった形式で互いに組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 管端部加工装置
2 ガラス管
3 端部分
4 狭窄部
5 搬送装置
6 支持ストリップ
7 バーナストリップ
8 加熱領域
9 バーナ
10 火炎
11 引出し装置
12 グリッパ
13 捕集トラフ
14 モータ
15 モータ
16 引出し軌道/調節軌道
17 センサ
18 CPU
19 後置されたブローノズル
20 冷却炉
30 捩り部