(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正手段は、前記第2重み係数を、前記マルチスライス検出器の中心列から端列に向かうに従って前記重みが直線的又は曲線的に高くなるように設定する請求項2に記載のマルチスライスCT装置。
前記補正するステップは、前記第2重み係数を、前記マルチスライス検出器の中心列から端列に向かうに従って前記重みが直線的又は曲線的に高くなるように設定する請求項7に記載のデータ前処理方法。
前記列方向にフィルタリングするステップは、前記再構成前データとしての生データを、前記補正後の重み係数に基づいて列方向に関してフィルタリングして投影データを生成する請求項6に記載のデータ前処理方法。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置は、被検体を透過したX線の強度に基づいて、被検体についての情報を画像により提供するものであり、疾病の診断・治療や手術計画等を初めとする多くの医療行為において重要な役割を果たしている。
【0003】
X線CT装置には、マルチスライス検出器を備えたマルチスライスCT(ADCT:area detector computed tomography)装置がある。マルチスライスCT装置を用いて球状やドーム状の被検体をヘリカルスキャンすると、画像上に風車状のアーチファクト(windmill artifact)が現れる。風車状のアーチファクトは、再構成において複数列の検出素子のデータが巧みに組み合わさることによって引き起こされる。マルチスライスCT装置による再構成では、360°全周において、常に同じ検出素子が用いられず、検出素子間のデータを角度に応じて補間することから、検出素子の各列のデータを乗り換えるような状態となる。この乗り換えの境界が複数存在するために風車状のアーチファクトが画像上に現れる。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術文献として、生データに対するフィルタリングを行なうことにより風車状のアーチファクトを低減する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、ヘリカルスキャンにおける風車状のアーチファクト対策として、channel−dependentである列方向のフィルタリングを導入している。
【0005】
しかし、風車状のアーチファクトはヘリカルスキャン固有のものではなく、コンベンショナルスキャンにおける円軌道(CFK:circular feldkamp)再構成において、特にコーン角端において顕著に発生する。その理由は、ヘリカルスキャンと同様に列方向のアンダーサンプリングであり、原理的に解決するためには列方向のflying focusが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先述のように、コンベンショナルスキャンにおける円軌道再構成においては、コーン角中心では風車状のアーチファクトは原理的に発生せず、マルチスライス検出器の中心列から端列にかけて顕著に発生するという傾向がある。よって、マルチスライス検出器の中心列から離れた端列付近で生成された生データに対してヘリカルスキャンにおける従来技術をコンベンショナルスキャンに適用すると、画像上のアーチファクト低減効果を得ることができる。
【0008】
しかしながら、マルチスライス検出器の中心列付近で生成された生データに対してヘリカルスキャンにおける従来技術をコンベンショナルスキャンに適用すると、風車状のアーチファクトが発生していない領域に対しても処理が施されることになる。その結果として、マルチスライス検出器の中心列付近の列の検出素子によって得られた画像に、不用意な空間分解能劣化を引き起こしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態のマルチスライスCT装置は、上述した課題を解決するために、X線を発生するX線源と、前記X線を検出する複数列の検出素子を備えるマルチスライス検出器と、前記X線源と前記マルチスライス検出器
とで、コンベンショナルスキャンを実行するスキャン実行手段と、前記マルチスライス検出器の中央チャンネルでは、
隣接する複数列のうち中央列の再構成前データに与えられる重みは高い一方
で前記複数列のうち中央列の両側列の再構成前データに与えられる重みは低く、かつ、
前記複数列が前記中央チャンネルから端チャンネルに向かうに従って
前記中央列の再構成前データに与えられる重みが低下する一方
で前記両側列の再構成前データに与えられる重みが高くなる重み係数を設定する重み係数設定手段と、
前記複数列が前記マルチスライス検出器の中心列から端列に向かうに従って
前記複数列のうち前記中央列及び前記両側列の再構成前データに与えられる重みが高くなるように前記重み係数を補正する補正手段と、前記スキャンによって収集された再構成前データを、前記補正後の重み係数に基づいて列方向に関してフィルタリングする列方向フィルタリング手段と、前記フィルタリングされた再構成前データに基づいて画像を再構成する画像再構成手段と、を有する。
【0010】
本実施形態のデータ前処理方法は、上述した課題を解決するために、マルチスライス検出器の中央チャンネルでは、
隣接する複数列のうち中央列の再構成前データに与えられる重みは高い一方
で前記複数列のうち中央列の両側列の再構成前データに与えられる重みは低く、かつ、
前記複数列が前記中央チャンネルから端チャンネルに向かうに従って
前記中央列の再構成前データに与えられる重みが低下する一方
で前記両側列の再構成前データに与えられる重みが高くなる重み係数を設定し、
前記複数列が前記マルチスライス検出器の中心列から端列に向かうに従って
前記複数列のうち前記中央列及び前記両側列の再構成前データに与えられる重みが高くなるように前記重み係数を補正し、コンベンショナルスキャンによって収集された再構成前データを、前記補正後の重み係数に基づいて列方向に関してフィルタリングする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態のマルチスライスCT装置及びデータ前処理方法について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態のマルチスライスCT装置には、X線管とマルチスライス検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプとして説明する。
【0013】
また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。
【0014】
加えて、近年では、X線管とマルチスライス検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のマルチスライスCT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態のマルチスライスCT装置は、従来からの一管球型のマルチスライスCT装置であっても、多管球型のマルチスライスCT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型のマルチスライスCT装置として説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のマルチスライスCT装置を示す構成図である。
【0016】
図1は、本実施形態のマルチスライスCT装置1を示す。マルチスライスCT装置1は、大きくは、スキャナ装置11及び画像処理装置(コンソール)12によって構成される。マルチスライスCT装置1のスキャナ装置11は、通常は検査室に設置され、患者Oの撮影部位(被検体)に関するX線の透過データを生成するために構成される。一方、画像処理装置12は、通常は検査室に隣接する制御室に設置され、透過データを基に投影データを生成して再構成画像の生成・表示を行なうために構成される。
【0017】
マルチスライスCT装置1のスキャナ装置11は、X線管(X線源)21、絞り22、マルチスライス検出器23、DAS(data acquisition system)24、回転部25、高電圧電源26、絞り駆動装置27、回転駆動装置28、天板30、天板駆動装置31、及びコントローラ32を設ける。
【0018】
X線管21は、高電圧電源26から供給された管電圧に応じて金属製のターゲットに電子線を衝突させることでX線を発生させ、マルチスライス検出器23に向かって照射する。X線管21から照射されるX線によって、ファンビームX線やコーンビームX線が形成される。X線管21は、高電圧電源26を介したコントローラ32による制御によって、X線の照射に必要な電力が供給される。
【0019】
絞り22は、絞り駆動装置27によって、X線管21から照射されるX線のスライス方向(z軸方向)の照射範囲を調整する。すなわち、絞り駆動装置27によって絞り22の開口を調整することによって、スライス方向のX線照射範囲を変更できる。
【0020】
マルチスライス検出器23は、マトリクス状、すなわち、チャンネル方向に複数、及びスライス方向に複数の検出素子を有する2次元アレイ型の検出器である。マルチスライス検出器23は、X線管21から照射され、患者Oを透過したX線を検出する。
【0021】
DAS24は、マルチスライス検出器23の各検出素子が検出する透過データの信号を増幅してデジタル信号に変換する。DAS24の出力データは、スキャナ装置11のコントローラ32を介して画像処理装置12に供給される。
【0022】
回転部25は、X線管21、絞り22、マルチスライス検出器23、及びDAS24を一体として保持する。回転部25は、X線管21とマルチスライス検出器23とを対向させた状態で、X線管21、絞り22、マルチスライス検出器23、及びDAS24を一体として患者Oの周りに回転できるように構成されている。なお、回転部25の回転中心軸と平行な方向をz軸方向、そのz軸方向に直交する平面をx軸方向、y軸方向で定義する。
【0023】
高電圧電源26は、コントローラ32による制御によって、X線の照射に必要な電力をX線管21に供給する。
【0024】
絞り駆動装置27は、コントローラ32による制御によって、絞り22におけるX線のスライス方向の照射範囲を調整する機構を有する。
【0025】
回転駆動装置28は、コントローラ32による制御によって、回転部25がその位置関係を維持した状態で空洞部の周りを回転するように回転部25を回転させる機構を有する。
【0026】
天板30は、患者Oを載置可能である。
【0027】
天板駆動装置31は、コントローラ32による制御によって、天板30をy軸方向に沿って昇降動させると共に、z軸方向に沿って進入/退避動させる機構を有する。回転部25の中央部分は開口を有し、その開口部の天板30に載置された患者Oが挿入される。
【0028】
コントローラ32は、CPU(central processing unit)、及びメモリによって構成される。コントローラ32は、マルチスライス検出器23、DAS24、高電圧電源26、絞り駆動装置27、回転駆動装置28、及び天板駆動装置31等の制御を行なってスキャンを実行させる。
【0029】
マルチスライスCT装置1の画像処理装置12は、コンピュータをベースとして構成されており、ネットワーク(local area network)Nと相互通信可能である。画像処理装置12は、大きくは、CPU41、メモリ42、HDD(hard disc drive)43、入力装置44、及び表示装置45等の基本的なハードウェアから構成される。CPU41は、共通信号伝送路としてのバスを介して、画像処理装置12を構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、画像処理装置12は、記憶媒体ドライブ46を具備する場合もある。
【0030】
CPU41は、半導体で構成された電子回路が複数の端子を持つパッケージに封入されている集積回路(LSI)の構成をもつ制御装置である。医師や検査技師等の操作者によって入力装置44が操作等されることにより指令が入力されると、CPU41は、メモリ42に記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU41は、HDD43に記憶しているプログラム、ネットワークNから転送されてHDD43にインストールされたプログラム、又は記憶媒体ドライブ46に装着された記憶媒体から読み出されてHDD43にインストールされたプログラムを、メモリ42にロードして実行する。
【0031】
メモリ42は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の要素を兼ね備える構成をもつ記憶装置である。メモリ42は、IPL(initial program loading)、BIOS(basic input/output system)及びデータを記憶したり、CPU41のワークメモリやデータの一時的な記憶に用いられたりする。
【0032】
HDD43は、磁性体を塗布又は蒸着した金属のディスクが着脱不能で内蔵されている構成をもつ記憶装置である。HDD43は、画像処理装置12にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や、投影データや画像データを記憶する記憶装置である。また、OSに、操作者に対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置44によって行なうことができるGUI(graphical user interface)を提供させることもできる。
【0033】
入力装置44は、操作者によって操作が可能なポインティングデバイスであり、操作に従った入力信号がCPU41に送られる。
【0034】
表示装置45は、図示しない画像合成回路、VRAM(video random access memory)、及びディスプレイ等を含んでいる。画像合成回路は、画像データに種々のパラメータの文字データ等を合成した合成データを生成する。VRAMは、合成データを、ディスプレイに表示する表示画像データとして展開する。ディスプレイは、液晶ディスプレイやCRT(cathode ray tube)等によって構成され、表示画像データを表示画像として順次表示する。
【0035】
記憶媒体ドライブ46は、記憶媒体の着脱が可能となっており、記憶媒体に記憶されたデータ(プログラムを含む)を読み出してバス上に出力し、また、バスを介して供給されるデータを記憶媒体に書き込む。このような記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0036】
画像処理装置12は、スキャナ装置11のDAS24から入力された生データに対して対数変換処理や、感度補正等の補正処理(前処理)を行なって投影データを生成してHDD43等の記憶装置に記憶させる。また、画像処理装置12は、前処理された投影データに対して散乱線の除去処理を行なう。画像処理装置12は、X線曝射範囲内の投影データの値に基づいて散乱線の除去を行なうものであり、散乱線補正を行なう対象の投影データ又はその隣接投影データの値の大きさから推定された散乱線を、対象となる投影データから減じて散乱線補正を行なう。画像処理装置12は、補正された投影データを基にセグメント再構成することで画像データを生成してHDD43等の記憶装置に記憶させる。
【0037】
図2は、本実施形態のマルチスライスCT装置1の機能を示すブロック図である。
【0038】
図1に示すCPU41(又は、コントローラ32)がプログラムを実行することによって、マルチスライスCT装置1は、
図2に示すように、スキャン実行部61、投影データ生成部(前処理部)62、及び画像再構成部63として機能する。なお、マルチスライスCT装置1を構成する各要素61乃至63は、CPU41がプログラムを実行することによって機能するものとするが、その場合に限定されるものではない。マルチスライスCT装置1を構成する各要素61乃至63の全部又は一部をハードウェアとしてマルチスライスCT装置1に設ける場合であってもよい。
【0039】
スキャン実行部61は、スキャナ装置11のコントローラ32を制御して、スキャン条件に従って天板30上の患者Oの撮影部位を含む領域に対してコンベンショナルスキャン(非ヘリカルスキャン、ボリュームスキャン)を実行する機能を有する。
【0040】
投影データ生成部62は、スキャン実行部61によって実行されたスキャンによって収集された、マルチスライス検出器23における複数列の検出素子に相当する生データを前処理して、複数列の検出素子に相当する投影データを生成する機能を有する。投影データ生成部62は、第1重み係数設定部62a、第2重み係数設定部62b、第1重み係数補正部62c、及び列方向フィルタリング部62dを有する。
【0041】
第1重み係数設定部62aは、マルチスライス検出器23の中央チャンネルでは、中央列の生データに与えられる重みは高い一方、中央列の両側列の生データに与えられる重みは低く、かつ、中央チャンネルから端チャンネルに向かうに従って中央列の生データに与えられる重みが低下する一方、両側列の生データに与えられる重みが高くなる第1重み係数を設定する機能を有する。
【0042】
例えば、マルチスライス検出器23の近傍3列の生データを列方向に重み付け加算する場合を考える。第1重み係数は、検出素子(チャンネル)が対応する画素の回転中心からの半径に依存して変化する。つまり、重みは、ビュー及び列と共に、チャンネル方向に関しても依存して変化する。回転中心ではフィルタ特性により鮮鋭度が高く、つまり中央列のデータ支配を高く、回転中心から離れるに従って、鮮鋭度が低くされる。重みの組み合わせを(一方の側の列の生データに対する重み,中央列の生データに対する重み,他方の側の列の生データに対する重み)と表記するものとすると、回転中心(中心チャンネル)では、(0,1,0)で与えられ、最端チャンネルには(0.3,0.4,0.3)で与えられる。その間は、(0,1,0)から(0.3,0.4,0.3)に向かって徐々に変化される。
【0043】
第2重み係数設定部62bは、マルチスライス検出器23の中心列から端列に向かうに従って高くなる第2重み係数を設定する機能を有する。
【0044】
図3(a),(b)は、第2重み係数の例を示す図である。
【0045】
図3(a),(b)に示すように、第2重み係数設定部62bは、第1重み係数が中心列から端列に向かうに従って高くなるように第1重み係数を重み付け加算するための第2重み係数を設定する。よって、マルチスライス検出器23の中央列(コーン角中心)では第1重み係数によるフィルタリング強度がゼロとなり、中央列から離れれば離れるほど、第1重み係数によるフィルタリング強度が得られるようになる。
【0046】
図2に示す第1重み係数補正部62cは、第1重み係数設定部62aによって設定された第1重み係数を、第2重み係数設定部62bによって設定された第2重み係数によって補正することで、補正後の第1重み係数を生成する機能を有する。
【0047】
図4は、従来の重み係数を説明するための図である。
【0048】
図4は、従来のマルチスライス検出器123と、マルチスライス検出器123の位置毎に設定される重み係数とを示す。従来の重み係数は、本実施形態の第1重み係数に相当する。マルチスライス検出器123の中央チャンネルでは、中央列の生データに与えられる重みは高い一方、中央列の両側列の生データに与えられる重みは低い。かつ、中央チャンネルから端チャンネルに向かうに従って中央列の生データに与えられる重みが低下する一方、両側列の生データに与えられる重みが高くなる。
【0049】
図5は、本実施形態の重み係数(補正後の第1重み係数)を説明するための図である。
【0050】
図5は、本実施形態のマルチスライス検出器23と、マルチスライス検出器23の位置毎に設定される補正後の第1重み係数とを示す。
【0051】
図5に示すように、補正後の第1重み係数は、
図4に示す従来の重み係数(第1重み係数)を、
図3(a),(b)に示す第2重み係数で重み付けして生成される。例えば、マルチスライス検出器23の端チャンネル、かつ、端列の生データに与えられる第1重み係数(0.3,0.4,0.3)に第2重み係数1.0を乗じて、補正後の第1重み係数(0.3,0.4,0.3)とする。また、マルチスライス検出器23の端チャンネル、かつ、中央列の生データに与えられる第1重み係数(0.3,0.4,0.3)に第2重み係数0.0を乗じて、補正後の第1重み係数(0.0,0.0,0.0)とする。
【0052】
さらに、マルチスライス検出器23の中央チャンネル、かつ、端列の生データに与えられる第1重み係数(0.0,1.0,0.0)に第2重み係数1.0を乗じて、補正後の第1重み係数(0.0,1.0,0.0)とする。また、マルチスライス検出器23の中央チャンネル、かつ、中央列の生データに与えられる第1重み係数(0.0,1.0,0.0)に第2重み係数0.0を乗じて、補正後の第1重み係数(0.0,0.0,0.0)とする。
【0053】
図2に示す列方向フィルタリング部62dは、スキャン実行部61によって収集された複数列の検出素子に相当する生データを、第1重み係数補正部62cによって生成された、補正後の第1重み係数に基づいて、列方向に関してフィルタリングする機能を有する。例えば、隣接3列を対象とする場合、列方向フィルタリング部62dは、チャンネル番号が同じ3列分の生データを重み付け加算する。
【0054】
画像再構成部63は、投影データ生成部62によって生成された投影データに基づいて、複数のスライス画像を再構成する機能を有する。画像再構成部63によって生成された複数のスライス画像は、表示装置45に表示されたり、HDD43等の記憶装置に記憶されたりする。
【0055】
続いて、本実施形態のマルチスライスCT装置1の動作を、
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0056】
まず、マルチスライスCT装置1は、スキャナ装置11のコントローラ32を制御して、スキャン条件に従って天板30上の患者Oの撮影部位を含む領域に対してコンベンショナルスキャン(非ヘリカルスキャン、ボリュームスキャン)を実行する(ステップST1)。次いで、マルチスライスCT装置1は、ステップST1によって実行されたスキャンによって収集された、マルチスライス検出器23における複数列の検出素子に相当する生データを前処理して、複数列の検出素子に相当する投影データを生成する(ステップST2)。
【0057】
ステップST2において、マルチスライスCT装置1は、マルチスライス検出器23の中央チャンネルでは、中央列の生データに与えられる重みは高い一方、中央列の両側列の生データに与えられる重みは低く、かつ、中央チャンネルから端チャンネルに向かうに従って中央列の生データに与えられる重みが低下する一方、両側列の生データに与えられる重みが高くなる第1重み係数を設定する(ステップST2a)。
【0058】
次いで、マルチスライスCT装置1は、マルチスライス検出器23の中心列から端列に向かうに従って高くなる第2重み係数を
図3(a),(b)に示すように設定する(ステップST2b)。ステップST2bによって、マルチスライス検出器23の中央列(コーン角中心)では第1重み係数によるフィルタリング強度がゼロとなり、中央列から離れれば離れるほど、第1重み係数によるフィルタリング強度が得られるようになる。
【0059】
次いで、マルチスライスCT装置1は、ステップST2aによって設定された第1重み係数を、ステップST2bによって設定された第2重み係数によって補正することで、補正後の第1重み係数を生成する(ステップST2c)。補正後の第1重み係数の例は、
図5を用いて説明した。次いで、マルチスライスCT装置1は、ステップST1によって収集された複数列の検出素子に相当する生データを、ステップST2cによって生成された、補正後の第1重み係数に基づいて列方向に関してフィルタリングする(ステップST2d)。
【0060】
次いで、マルチスライスCT装置1は、ステップST2によって生成された投影データに基づいて画像を再構成する(ステップST3)。ステップST3によって生成された画像は、表示装置45に表示されたり、HDD43等の記憶装置に記憶されたりする(ステップST4)。
【0061】
本実施形態のマルチスライスCT装置1及びデータ前処理方法によると、ヘリカルスキャンにおける重み係数を補正した第1重み係数を用いて生データを列方向にフィルタリングすることによって、マルチスライス検出器23の中心列から離れた端列付近に関しては風車状のアーチファクトを抑制できると共に、中心列付近に関しては、不用意な空間分解能劣化の発生を抑制できる。
【0062】
なお、本実施形態のマルチスライスCT装置1及びデータ前処理方法は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、本実施形態のマルチスライスCT装置1及びデータ前処理方法に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。