(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多断面の第1断層画像に基づいて作成された3次元画像は、厚み方向をZ方向とし、厚み方向に対し直交する面をXY平面とすると、X座標またはY座標の一方の座標の一端側に胸部側の画像、及び、前記一方の座標の他端側にニップルの画像を含む前記関心領域を有し、
前記線分として、該関心領域を通り該関心領域から前記胸部側の前記一方の座標の一端に向かうにつれZ座標が変化する直線の線分が指定され、
前記画像作成手段は、前記第1断層画像の座標および直線の線分の座標を基に、前記直線の線分を含む面を断面とする、第1断層画像に基づく前記第2断層画像を作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、画像処理表示装置の実施形態について各図を参照して説明する。
【0013】
画像処理表示装置の一例として、医用画像を読影するための読影装置がある。読影装置は、病院内に構築されたローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されている。
【0014】
LANには医用画像診断装置及び画像統合サーバが接続されている。医用画像診断装置の一例として、乳房としての被検体の断層画像を取得するマンモグラフィ装置について以下に説明する。
【0015】
マンモグラフィ装置を用いたトモシンセシス撮影により投影データが収集され、収集されたデータに基づき、被検体の厚さ方向に直交する面を断面とした、数枚から数十枚の多断面の医用画像(第1断層画像)が生成される。第1断層画像はマンモグラフィ装置の記憶部または画像統合サーバに記憶される。なお、被検体の厚さ方向は、撮影においてはいずれの方向であってもよく、特に限定されるものではないが、トモシンセシス撮影においては、圧迫板(後述する)により乳房が圧迫される方向をいう。
【0016】
医用画像の要求を受けて、送信元である記憶部(または画像統合サーバ)から送信先としての読影装置に医用画像が送信される。読影装置は、送信された医用画像を表示させる。
【0017】
[マンモグラフィ装置の基本構成]
次に、マンモグラフィ装置の基本的な構成を説明し、その後、画像処理表示装置について説明する。
【0018】
図1はマンモグラフィ装置の構成ブロック図である。
図1に示すように、マンモグラフィ装置は、X線撮影台1、システム制御部7、撮影制御部8、操作部9、画像記憶部10、生成部12、表示制御部15、及び、ディスプレイ17を有している。
【0019】
〔X線撮影台〕
図2は、マンモグラフィ装置のX線撮影台1の主要部構造を示す図である。
図2に示すように、X線撮影台1は、フレーム40とフレーム41を有している。フレーム40、41は支柱42に水平に取り付けられた軸部43に接続されている。フレーム40、41は軸部43の軸心を回転中心軸Rとして個別に回転可能なように支柱42により支持される。この回転方向をβ方向とする。
【0020】
フレーム40の端にはX線管装置44が装備されている。X線管装置44はX線管2を収容する。X線管2は高電圧発生部3から高電圧の印加とフィラメント電流の供給とを受けてX線を発生する。
【0021】
フレーム41の端にはX線管2に対向する向きに平面検出器(フラット・パネル・ディテクタ、「FPD」という場合がある。)5が装備されている。平面検出器5は、入射X線を直接的に電気信号に変換する直接変換形又は入射X線を蛍光体で光に変換しその光を電気信号に変換する間接変換形の複数の半導体検出素子を有する。この複数の半導体検出素子は2次元格子状に配列される。X線入射に伴って複数の半導体検出素子で発生した信号電荷はデータ収集部6を介してデジタル信号として読み出される。
【0022】
図2に示すように、フレーム41の端には平面検出器5とともに下側圧迫板45が取り付けられている。下側圧迫板45の背面に平面検出器5が配置される。上側圧迫板46は下側圧迫板45に対向して位置し、下側圧迫板45と接近/離反する方向に移動可能にフレーム41に取り付けられている。ここで、回転中心軸RをZ軸とし、Y軸を焦点fと平面検出器5の有効面の中心とを結ぶ線(撮影軸)に規定し、X軸をYZ平面に垂直に規定する。なお、XYZ座標系はZ軸を中心とした回転座標系を構成する。下側圧迫板45と上側圧迫板46間距離を矢印α方向とする。下側圧迫板45は、フレーム41に矢印α方向に関して移動可能に支持された上側圧迫板46とともに、乳房をスラブ状に圧迫するために設けられている。
【0023】
図3に示すように、トモシンセシス撮影はX線管2を平面検出器5の鉛直方向から片側に20°以上傾けた位置から開始し、β方向に連続的に移動させながら一定間隔でX線の発生/投影データの収集を繰り返す。X線撮影は、X線管2が平面検出器5の鉛直方向に関し開始位置から反対側20°以上の位置で終了する。
【0024】
〔システム制御部〕
システム制御部7は、トモシンセシス撮影を行うために、マンモグラフィ装置全体を制御する。
【0025】
例えば、システム制御部7は、操作部9の操作を受けて、生成部12及び表示制御部15に対し、第1断層画像及び3次元画像の生成、第1断層画像の表示、第1断層画像の選択などの制御を行う。
【0026】
〔撮影制御部〕
撮影制御部8は、トモシンセシス撮影を行うための所定の手順に従って支持機構4を制御し、X線発生条件(X線継続時間、管電流、管電圧)に基づいて高電圧発生部3を制御することでX線管2からX線を発生させ、データ収集部6を制御することでデジタル信号を収集する。このように、撮影制御部8が繰り返し支持機構4と高電圧発生部3とデータ収集部6とを制御することでトモシンセシス撮影が可能となる。
【0027】
〔生成部〕
生成部12は、トモシンセシス撮影により収集された複数の投影データに結像処理を行い、被検体の厚さ方向に直交する面を断面とした多断面の第1断層画像(マルチスライス画像)を生成する。
【0028】
図4は、多断面の第1断層画像の模式図である。
図4では、厚さ方向をZ方向で示し、厚さ方向に直交する面をXY平面で示す。また、
図4に、Z座標を”Z1”、・・・、”Zv”、・・・”Zw”で示し、さらに、Z座標のXY平面を”PL1”、・・・、”PLv”、・・・、”PLw”で示し、さらに、XY平面を断面とする第1断層画像を、”G1”、・・・、”Gv”、・・・、”Gw”で示す。
【0029】
さらに、生成部12は、この多断面の第1断層画像G1〜Gwに対して座標変換処理及び補間処理を行い、3次元画像を生成する。この補間処理は、通常、第1断層画像(XY平面)の解像度と第1断層画像間(Z方向)の解像度とが等しくなるように行われる。なお、3次元画像を多断面の第1断層画像という場合がある。
【0030】
〔画像記憶部〕
画像記憶部10はトモシンセシス撮影によって得られた複数の投影データを記憶する。
また、画像記憶部10は、生成部12により生成された多断面の第1断層画像(3次元画像)を記憶する。
【0031】
次に、画像記憶部10に記憶された多断面の第1断層画像について
図5を参照して説明する。
図5は多断面の第1断層画像のデータ構造を示す図である。
【0032】
第1断層画像のデータは、その識別番号毎に画像記憶部10に記憶されている。第1断層画像Gの識別番は、第1断層画像のZ座標と対応付けられている。Z座標Z1、Z2、Z3、・・・Zwと対応付けられた第1断層画像の識別番号を、
図5に”Z1”、”Z2”、”Z3”、・・・、”Zw”で示す。
【0033】
第1断層画像のデータ構造としては、第1断層画像のピクセルの値がm×nのマトリクス状に配列されている。
図5では、1行1列、・・・、1行n列、・・・、u行1列、・・・u行n列、・・・m行1列、・・・、m行n列のピクセルの値を”p11”、・・・、”p1n”、・・・、”pu1”、・・・、”pun”、・・・、”pm1”、・・・、”pmn”で示す。
【0034】
以下、説明をわかり易くするために、行番号1〜mがX座標1〜mに対応し、列番号1〜nがY座標1〜nに対応しているものとする。
【0035】
〔表示制御部〕
表示制御部15は、操作部9による操作を受けて、画像記憶部10に記憶されている第1断層画像Gを読み込み、ディスプレイ17に所定の順番に表示させる。
【0036】
読影時において、マンモグラフィ装置によるX線撮影の発見目標は石灰化と腫瘤である。通常使用するネガ像では石灰化された部分は被検体内の組織に比べ画素値が大きい。そのため第1断層画像を順番に表示させることにより、石灰化の存在の有無が判断できる。
【0037】
[画像処理表示装置]
次に、画像処理表示装置20について
図6及び
図7〜
図10を参照して説明する。
【0038】
画像処理表示装置20は、LANを介してマンモグラフィ装置1a又は画像統合サーバ(図示省略)に対し画像の送信を要求することで、マンモグラフィ装置1aの画像記憶部10又は画像統合サーバから多断面の第1断層画像を受信する。
【0039】
図6は画像処理表示装置の構成ブロック図である。
図6に示すように、画像処理表示装置20は、システム制御手段21、操作手段22、選択手段23、表示制御手段24、ディスプレイ25、及び、画像作成手段30を有している。
【0040】
また、画像作成手段30は、第1作成手段31、第2作成手段32、及び、第3作成手段33を有している。
【0041】
〔システム制御手段〕
システム制御手段21は、画像処理表示装置20全体を制御する。例えば、システム制御手段21は、操作手段22の操作を受けて、選択手段23、表示制御手段23、画像作成手段30に対し、関心領域等の指定、第2断層画像の表示、第2断層画像の作成などの制御を行う。
【0042】
〔選択手段〕
選択手段23は、システム制御手段21からの指示を受けて、第1作成手段31、第2作成手段32、及び、第3作成手段33のうちから一または二以上を選択する。選択手段23により二以上の作成手段が選択される場合は、画像作成手段30は、優先順位に従って各作成手段を実行する。操作手段22の操作を受けて、システム制御手段21が優先順位を変更するようにしてもよい。
【0043】
〔表示制御手段、ディスプレイ〕
表示制御手段24は、送信された多断面の第1断層画像に基づいて、多断面の第1断層画像を表示データに変換し、ディスプレイ25に表示させる。
【0044】
〔画像作成手段〕
前述したように、操作手段22の操作を受けて、システム制御手段21により、ディスプレイ25に表示された第1断層画像上の関心領域、及び、その関心領域内の一又は複数の点を通る線分が指定される。
【0045】
画像作成手段30は、関心領域内の一又は複数の点を通る線分の指定を受けて、多断面の第1断層画像に基づいて、線分を含み、かつ、第1断層画像と異なる第2断層画像を作成する。作成された第2断層画像は、表示制御手段24によりディスプレイ25に表示される。
【0046】
ディスプレイ25に第1断層画像ばりでなく、第2断層画像を表示させることにより、読影時に、被検体を3次元的な構成として把握することが可能となる。
【0047】
(第1作成手段)
次に、第1作成手段31について
図7〜
図10を参照して説明する。
図7はニップルを中心とした第2断層画像の模式図である。
【0048】
図7に示すように、3次元画像は、厚み方向をZ方向とし、厚み方向に対し直交する面をXY平面とすると、Y座標の一端側に胸部側の画像、及び、Y座標の他端側にニップルの画像を有する。さらに、関心領域は、ニップルの画像が含まれる第1の領域を有する。
【0049】
第1作成手段31は、第1の領域内の一または複数の点をその一端部が通り、かつ、胸部側の画像が含まれる領域であって、第1の領域とZ座標が異なる第2の領域内の一または複数の点をその他端部が通る直線を含む第2断層画像を作成する。
【0050】
第1の領域、第2の領域、及び、線分を、
図7に”A1”、”A2”、及び、”Lk”で示す。第1の領域A1、第2領域A2が、指定される関心領域の一例であり、線分Lkが指定される線分の一例である。
【0051】
第1作成手段31は、操作手段22の操作を受けて、第1の領域A1のXYZ座標を求める。指定された第1の領域A1のXYZ座標を、
図7〜
図10に(k,u,v)で示す。
【0052】
さらに、第1作成手段31は、第1の領域A1の座標に基づき、Y=0、Z=0とすることで、第2の領域A2のXYZ座標を求める。第2の領域A2のXYZ座標を、
図7〜
図10に(k,0,0)で示す。なお、領域A1、A2を、座標上の点でなく、面積として指定してもよい。
【0053】
さらに、第1作成手段31は、第1の領域A1の座標(k,u,v)、及び、第2の領域A2の座標(k,0,0)を通る直線として線分Lkを求める。これらの座標をXYZ空間の直線の一般式(aX+bY+cZ=d)に代入することにより、線分Lkを求めることが可能である。
【0054】
線分Lkは、X=kを通る直線である。さらに、第1作成手段31は、X=k以外(X=0〜n、ただし、X≠k)の線分を求める。例えば、X=0を通る線分を、座標(0,u,v)、(0,0,0)を通る直線として求める。また、X=nを通る線分を、座標(n,u,v)、(n,0,0)を通る直線として求める。
【0055】
さらに、第1作成手段31は、線分Lkを含む各線分のXY座標を、Z座標0〜vについて求める。
【0056】
第1作成手段31は、Z座標毎のXY座標を次のように求める。第1作成手段31は、Z座標から第2断層画像の識別番号Z1〜Zvを求め、求めた識別番号及びXY座標からピクセルの列番号及び行番号を求める。ピクセルの列番号及び行番号からピクセルの値を求める。このようにして、各線分上のピクセルの値を求めることができる。
【0057】
以上により、座標(0,0,0)、(n,0,0)、(n,u,v)、(0,u,v)を頂点とする断面上のピクセルの値を求める。その断面を
図7〜
図10に”PLs”で示す。これらのピクセルの値により第2断層画像を作成する。
【0058】
同様にして、第1作成手段31は、Z座標を0〜wの間の任意の値に変えることで、座標(0,0,Z)、(n,0,Z)、(n,u,v)、(0,u,v)を頂点とする断面上のピクセルの値を求めることが可能となる。
【0059】
ちなみに、Z=wのとき、座標(0,0,w)、(n,0,w)、(n,u,v)、(0,u,v)を頂点とする断面上のピクセルの値を求めることが可能となる。その断面を
図11〜
図14に”PLt”で示す。
【0060】
操作手段22の操作によるZ座標を受けて、第1作成手段31は、第1の領域A1(ニップルの画像)を中心とした第2断層画像を作成する。表示制御手段24は、それらの第2断層画像をディスプレイ25に表示させる。それにより、ニップルの画像を中心とした被検体の3次元的な構成が把握し易くなり、結果的に、読影時間を短縮化することが可能となる。
【0061】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る画像処理表示装置20について
図15及び
図16を参照して説明する。
【0062】
第1の実施形態では、画像作成手段30の一例として、厚み方向(Z方向)と異なる方向(Z方向をYZ座標上で時計回り又は反時計回りに回転させた方向)に対し直交する面を断面とした第2断層画像を作成する第1作成手段31を示したが、これに限らず、厚み方向(Z方向)と異なる方向であれば、どのような方向であってもよい。
【0063】
第2の実施形態において、第1の実施形態の構成と同じものについては同一番号を付してその説明を省略する。
【0064】
第2の実施形態では、画像作成手段30の一例として第2作成手段32を示す。
【0065】
前述したように、操作手段22の操作を受けて、システム制御手段21により、ディスプレイ25に表示された第1断層画像上の関心領域、及び、その関心領域内の一または複数の点を通る線分が指定される。ディスプレイ25に表示された第1断層画像とされた断面を
図15に”PLv”で示す。さらに、関心領域の座標を
図15に(k,Y1,v)で示す。さらに、線分を
図15に”L”で示す。
【0066】
なお、関心領域を、座標上の点でなく、面積として指定してもよい。
【0067】
第2作成手段32は、指定された関心領域及び線分Lを含み、X方向と直交する面を断面とした第2断層画像を作成する。
【0068】
第2作成手段32は、線分Lを、座標(k,0,v)、(k,m,v)を通る直線として求める。これらの座標をXYZ空間の直線の一般式(aX+bY+cZ=d)に代入することにより、線分Lを求めるのは、第1の実施形態と同様である。
【0069】
線分Lは、X=k、Z=v、0≦Y≦mの直線である。さらに、第2作成手段32は、この線分L以外の線分(X=k、0≦Z≦w(ただし、Z≠v)、0≦Y≦mの線分)を求める。例えば、Z=0を通る線分を、座標(k,m,0)、(k,0,0)を通る直線として求める。また、Z=wを通る線分を、座標(k,m,w)、(k,0,w)を通る直線として求める。
【0070】
さらに、第2作成手段32は、線分Lを含む各線分のY座標を、Z座標0〜wについて求める。
【0071】
第2作成手段32は、Z座標毎のXY座標を次のように求める。ここで、X座標は一定(X=k)である。
【0072】
第2作成手段32は、Z座標から第2断層画像の識別番号Z1〜Zvを求め、求めた識別番号及びXY座標からピクセルの列番号及び行番号を求める。なお、ピクセルの行番号は、X=kから求める。ピクセルの列番号及び行番号からピクセルの値を求める。このようにして、各線分上のピクセルの値を求めることができる。
【0073】
以上により、座標(k,0,0)、(k,m,0)、(k,n,w)、(k,0,w)を頂点とする断面上のピクセルの値を求める。その断面を
図16に”PLk”で示す。第2作成手段32は、この断面上のピクセルの値により第2断層画像を作成する。
【0074】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る画像処理表示装置20について
図6、
図17A〜
図17C、及び
図18を参照して説明する。
【0075】
第1、第2の実施形態では、一つの関心領域内の一または複数の点を通る線分を指定し、その線分を含み、かつ、第1断層画像と異なる第2断層画像を作成する第1作成手段31及び第2作成手段32を示したが、複数の関心領域において、各関心領域内の一または複数の点を通る第2断層画像を作成し、それを表示させるようにしてもよい。
【0076】
第3の実施形態において、第1の実施形態の構成と同じものについては同一番号を付してその説明を省略する。
【0077】
図6に示すように、第3の実施形態では、画像作成手段30の一例として第3作成手段33を示す。
【0078】
前述したように、操作手段22の操作を受けて、システム制御手段21により、ディスプレイ25に表示された第1断層画像上の関心領域が指定される。
【0079】
図17AはXZ座標に表示された線分の図、
図17BはYZ座標に表示された線分の図、
図17CはXY座標に表示された線分の図である。
【0080】
ディスプレイ25に表示された第1断層画像とされた断面を
図17A、
図17B、
図17Cに”PLa”、”PLb”、”PLc”で示す。さらに、関心領域の座標を
図17A、
図17B、
図17Cに(k1,u1,v1)、(k2,u2,v2)、(k3,u3,v3)で示す。なお、これらの関心領域を、座標上の点でなく、面積として指定してもよい。
【0081】
第3作成手段33は、指定された複数の関心領域を含む第2断層画像を作成する。複数の関心領域を含む第2断層画像を作成する方法について、以下に説明する。
【0082】
第3作成手段33は、指定された複数の関心領域において、各関心領域の一または複数の点の座標を通る線分Lを求める。
【0083】
線分Lは、XZ座標、YZ座標、XY座標上にそれぞれ表すことができる。第3作成手段33は、XZ座標、YZ座標、XY座標上のいずれかに表された線分L基づき、第2断層画像を作成する。
【0084】
(XZ座標上に表された線分に基づく、第2断層画像の作成)
先ず、XZ座標上に表された線分Lに基づき、第2断層画像を作成する場合について
図18及び
図19を参照して説明する。
図18は複数の関心領域において各関心領域内の一または複数の点を通る第2断層画像の模式図、
図19はXZ座標上に表された線分Lを示す図である。
【0085】
第3作成手段33は、線分Lの各点のXZ座標を(kh,vj)を通るY座標一定の線分Luiを求める。ここで、k1≦kh≦k3(k1≦k3としたとき)、0≦ui≦m、v1≦vj≦v3(v1≦v3としたとき)とする。さらに、第3作成手段33は、その線分Lui上の各点のXYZ座標を求める。さらに、第3作成手段33は、その線分Lui上の各点のXYZ座標に対応するピクセルの行番号、列番号、及び、第1断層画像の識別番号を求める。ピクセルの行番号、列番号及び第1断層画像の識別番号からピクセルの値を求める。このようにして、各線分Lui上のピクセルの値を求めることができる。
【0086】
以上により、線分Lui上の各点の集合である断面を
図18及び
図19に”PLy”で示す。第3作成手段33は、この断面上のピクセルの値により第2断層画像を作成する。
【0087】
(YZ座標上に表された線分に基づく、第2断層画像の作成)
次に、YZ座標上に表された線分Lに基づき、第2断層画像を作成する場合について
図20を参照して説明する。
図20はYZ座標上に表された線分Lを示す図である。
【0088】
第3作成手段33は、線分Lの各点のYZ座標を(ui,vj)を通るX座標一定の線分Lkhを求める。ここで、0≦kh≦n、u1≦ui≦u3(u1≦u3としたとき)、v1≦vj≦v3(v1≦v3としたとき)とする。さらに、第3作成手段33は、その線分Lui上の各点のXYZ座標を求める。さらに、第3作成手段33は、その線分Lkh上の各点のXYZ座標に対応するピクセルの行番号、列番号、及び、第1断層画像の識別番号を求める。ピクセルの行番号、列番号及び第1断層画像の識別番号からピクセルの値を求める。このようにして、各線分Lkh上のピクセルの値を求めることができる。
【0089】
以上により、線分Lkh上の各点の集合である断面を
図20に”PLx”で示す。第3作成手段33は、この断面上のピクセルの値により第2断層画像を作成する。
【0090】
(XY座標上に表された線分に基づく、第2断層画像の作成)
次に、XY座標上に表された線分Lに基づき、第2断層画像を作成する場合について
図21を参照して説明する。
図21はXY座標上に表された線分Lを示す図である。
【0091】
第3作成手段33は、線分Lの各点のXY座標を(kh,ui)を通るZ座標一定の線分Lvjを求める。ここで、k1≦kh≦k3(k1≦k3としたとき)、u1≦ui≦u3(u1≦u3としたとき)、0≦vj≦wとする。さらに、第3作成手段33は、その線分Lvj上の各点のXYZ座標を求める。さらに、第3作成手段33は、その線分Lvj上の各点のXYZ座標に対応するピクセルの行番号、列番号、及び、第1断層画像の識別番号を求める。ピクセルの行番号、列番号及び第1断層画像の識別番号からピクセルの値を求める。このようにして、各線分Lvj上のピクセルの値を求めることができる。
【0092】
以上により、線分Lvj上の各点の集合である断面を
図21に”PLz”で示す。第3作成手段33は、この断面上のピクセルの値により第2断層画像を作成する。
【0093】
以上のように、第3作成手段33は、XZ座標、YZ座標、XY座標上のいずれかに表示された線分Lに基づき、Y座標、X座標、Z座標一定の線分Lui、Lkh、Lvjを求め、それらの線分から第2断層画像を作成したが、これに限らない。例えば、第3作成手段33は、線分L上の各点において、所定の曲線(例えば、スプライン曲線)を用いて線分Lui、Lkh、Lvjを求め、それらの線分から第2断層画像を作成するようにしてもよい。
【0094】
[動作]
次に、画像処理表示装置20の一連の動作について
図22を参照して説明する。
図22は、画像処理表示装置20の一連の動作を示すフローチャートである。
【0095】
(第1作成機能:S101)
操作手段22の操作による読影開始の指示を受けて、システム制御手段21は、選択手段23に対して選択指示をする。選択手段23は、第1作成手段31による画像作成を選択する。
【0096】
第1作成手段31は、被検体の3次元画像のうちニップルの画像が含まれる第1の領域A1内の一または複数の点をその一端部が通り、かつ、3次元画像のうち胸部側の画像が含まれる領域であって、第1の領域A1とは被検体の厚み方向(Z方向)の座標が異なる第2の領域A2内の一または複数の点をその他端部が通る直線Lkを含む第2断層画像を作成する。
【0097】
(第1表示機能:S102)
次に、システム制御手段21は、第2断層画像の作成終了を受けて、表示制御手段24に画像表示の指示を出力する。表示制御手段24は、第2断層画像をディスプレイ25に表示させる(
図7及び
図11参照)。
【0098】
(第2作成機能:S103)
操作手段22の操作を受けて、システム制御手段21は、選択手段23に対して選択指示をする。選択手段23が第2作成手段31による画像作成を選択すると、第2作成手段32は、3次元画像に基づいて、厚み方向(Z方向)に直交する面を断面とする多断面の第2断層画像を作成する。
【0099】
(第2表示機能:S104)
次に、システム制御手段21は、第2断層画像の作成終了を受けて、表示制御手段24に画像表示の指示を出力する。表示制御手段24は、第2断層画像をディスプレイ25に表示させる(
図15参照)。
【0100】
(第3作成機能:S105)
操作手段22の操作を受けて、システム制御手段21は、選択手段23に対して選択指示をする。選択手段23が第3作成手段32による画像作成を選択すると、第3作成手段32は、3次元画像に基づいて、厚み方向(Z方向)と異なる方向(例えば、X方向)に対し直交する面(YZ平面)を断面(
図16に示す断面PLkを参照)とした第2断層画像を作成する。
【0101】
(第3表示機能:S106)
次に、システム制御手段21は、第2断層画像の作成終了を受けて、表示制御手段24に画像表示の指示を出力する。表示制御手段24は、第2断層画像をディスプレイ25に表示させる(
図16参照)。
【0102】
実施形態に係る画像処理表示装置20では、第2断層画像の最初の表示として、ステップS102で、でニップルを中心とした第2断層画像(
図7及び
図11参照)が表示されるので、ニップルを中心に放射状に発生する石灰化の存在の有無を容易に発見することが可能となる。
【0103】
続いて、ステップS104で、多断面の第1断層画像(
図15参照)が表示されるので、腫瘤の発見を容易に行うことができる。さらに、続いて、ステップS106で、異なる第2断層画像(
図16参照)が表示されるので、腫瘤であるかどうかの判断を正確に行うことが可能となる。
【0104】
なお、上記画像処理表示装置20の一連の動作に続いて、さらに、上記の第3作成手段33による、ステップS101やS103により作成された第2断層画像と異なる面を断面とする他の第2断層画像を第3作成手段33により作成し、表示させることにより、石灰化や腫瘤の存在の有無の判断をより正確に行うことが可能となる。
【0105】
また、前記実施形態においては、マンモグラフィ装置において取得される第1断層画像を用いて、それとは異なる面を断面とする第2断層画像を作成し、表示させる画像処理表示装置20を示したが、これに限らない。例えば、他の医用画像診断装置により取得される第1断層画像を用いて、別の第2断層画像を作成してもよい。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるととともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。