特許第5872233号(P5872233)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872233
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ウェットシート収容体及び蓋シール
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20160216BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B65D83/08 B
   A47K7/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-217459(P2011-217459)
(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公開番号】特開2013-75691(P2013-75691A)
(43)【公開日】2013年4月25日
【審査請求日】2014年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小山 英俊
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−171479(JP,U)
【文献】 特開2010−058837(JP,A)
【文献】 特開2002−104550(JP,A)
【文献】 実開平03−029449(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D83/08
A47K 7/00−7/08
A47K10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にウェットシートの収容空間を有し、収容されたウェットシートを取り出すための取出口が設けられた袋体と、
前記取出口を繰り返し閉塞・開放するために前記袋体の該取出口の周縁部に粘着し、再粘着可能な開閉部を有した蓋シールと、
を備えるウェットシート収容体において、
前記蓋シールは、前記開閉部に隣接し前記袋体に付着した隣接部と、前記開閉部と前記隣接部との境界に形成された易引裂き部と、基端部と、前記基端部と逆側の摘み部とを有し、
前記隣接部及び前記基端部は、前記開閉部の前記袋体に対する粘着力より強力に前記袋体に付着し、
前記隣接部は、前記摘み部の両隣の角部又はそのうち一方の角部に限定して設けられていて前記開閉部の両側縁が前記蓋シールの両側縁とされ、
前記隣接部を前記袋体に付着したままにして前記開閉部を前記袋体から剥離することに伴って、前記易引裂き部において該蓋シールの素材が切断されて開封されることを特徴とするウェットシート収容体。
【請求項2】
収容物を取り出すための取出口が設けられた収容体の該取出口を繰り返し閉塞・開放するために前記収容体の該取出口の周縁部に粘着し、再粘着可能な開閉部を有した蓋シールにおいて、
前記開閉部に隣接し前記収容体に付着する隣接部と、前記開閉部と前記隣接部との境界に形成された易引裂き部と、基端部と、前記基端部と逆側の摘み部とを有し、
前記隣接部及び前記基端部は、前記開閉部の粘着力より強力な付着力を有する付着剤層を有し、
前記隣接部は、前記摘み部の両隣の角部又はそのうち一方の角部に限定して設けられていて前記開閉部の両側縁が当該蓋シールの両側縁とされ、
前記隣接部を前記収容体に付着したままにして前記開閉部を前記収容体から剥離することに伴って、前記易引裂き部において該蓋シールの素材が切断されて開封可能に構成されたことを特徴とする蓋シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物を取り出すための取出口を蓋う再粘着可能な蓋シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水分、アルコールや液体の薬剤を含有させたウェットティシューなどのウェットシートを収容する携帯型の収容体がある。この収容体としては、取出口が開口した袋体と、再粘着可能な蓋シールとを備え、未使用時にはこの蓋シールを取出口の周縁に粘着させて取出口を塞ぐことが可能となっているものが知られている(例えば、特許文献1,2)。
特許文献1、2にも記載されるように、蓋シールは、基端部が袋体に固定され、先端部から剥離される。その先端部には蓋シールを剥離する際に使用者が摘むための摘み部が設けられている。
特許文献1に記載の蓋シールにあっては、摘み部と反対側に設けられた舌片部とこれに連続するミシン目による切裂部とを有し、収納ケースに詰め替え用として収めて使用する時のために、蓋シールの取出口を蓋う部分が切除可能にされている。
特許文献2に記載の蓋シールにあっては、基端部のほか、開閉部の両側の部分(側枠部)も、袋体に常時固定される部分とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−219777号公報
【特許文献2】特開2002−104550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、以上の従来技術にあってもさらに次のような問題があった。
以上の従来の再粘着可能な蓋シールを有した収容体にあっては、一度開封した後にも蓋をすることができ、未開封であるか否かを見分けずらい。そのため、未開封であることを顕示するために、蓋シールの袋体からの剥離に伴い破れるバージンシールと呼ばれるシール体を、蓋シールと袋体表面との境界に跨るように貼付しておくことが広く行われている。これにより、バージンシールが破れていないことが未開封の目印となる。
しかし、このバージンシールも材料費や製造工数がかかり、さらにはバージンシールの貼付失敗による生産損失を生じさせるなどの負担がある。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、収容物を取り出すための取出口を蓋う再粘着可能な蓋シールに未開封顕示機能を付加することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、内部にウェットシートの収容空間を有し、収容されたウェットシートを取り出すための取出口が設けられた袋体と、
前記取出口を繰り返し閉塞・開放するために前記袋体の該取出口の周縁部に粘着し、再粘着可能な開閉部を有した蓋シールと、
を備えるウェットシート収容体において、
前記蓋シールは、前記開閉部に隣接し前記袋体に付着した隣接部と、前記開閉部と前記隣接部との境界に形成された易引裂き部と、基端部と、前記基端部と逆側の摘み部とを有し、
前記隣接部及び前記基端部は、前記開閉部の前記袋体に対する粘着力より強力に前記袋体に付着し、
前記隣接部は、前記摘み部の両隣の角部又はそのうち一方の角部に限定して設けられていて前記開閉部の両側縁が前記蓋シールの両側縁とされ、
前記隣接部を前記袋体に付着したままにして前記開閉部を前記袋体から剥離することに伴って、前記易引裂き部において該蓋シールの素材が切断されて開封されることを特徴とするウェットシート収容体である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、蓋シールの開閉部と隣接部との境界の易引裂き部が切断されていないことによって未開封が顕示される。隣接部は、摘み部の両隣の角部又はそのうち一方の角部に限定して設けられていて開閉部の両側縁が蓋シールの両側縁とされているので、開閉部の幅を大きくとることができる。
【0010】
請求項記載の発明は、収容物を取り出すための取出口が設けられた収容体の該取出口を繰り返し閉塞・開放するために前記収容体の該取出口の周縁部に粘着し、再粘着可能な開閉部を有した蓋シールにおいて、
前記開閉部に隣接し前記収容体に付着する隣接部と、前記開閉部と前記隣接部との境界に形成された易引裂き部と、基端部と、前記基端部と逆側の摘み部とを有し、
前記隣接部及び前記基端部は、前記開閉部の粘着力より強力な付着力を有する付着剤層を有し、
前記隣接部は、前記摘み部の両隣の角部又はそのうち一方の角部に限定して設けられていて前記開閉部の両側縁が当該蓋シールの両側縁とされ、
前記隣接部を前記収容体に付着したままにして前記開閉部を前記収容体から剥離することに伴って、前記易引裂き部において該蓋シールの素材が切断されて開封可能に構成されたことを特徴とする蓋シールである。
【0011】
請求項3記載の発明の蓋シールを袋体等の収容体の取出口に適用すれば、蓋シールの開閉部と隣接部との境界の易引裂き部が切断されていないことによって未開封が顕示される。隣接部は、摘み部の両隣の角部又はそのうち一方の角部に限定して設けられていて開閉部の両側縁が蓋シールの両側縁とされているので、開閉部の幅を大きくとることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ウェットシート等の収容物を収容する袋体等の収容体の取出口を蓋う再粘着可能な蓋シールに未開封顕示機能が付加されるので、バージンシールを廃止することができ、これによりバージンシールに係るコストを削減し、生産効率を向上することができるという効果がある。隣接部は、摘み部の両隣の角部又はそのうち一方の角部に限定して設けられていて開閉部の両側縁が蓋シールの両側縁とされているので、開閉部の幅を大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るウェットシート収容体の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る蓋シールの平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る蓋シールの粘着時の斜視図(a)及び剥離時の斜視図(b)である。
図4】本発明の一実施形態に係る蓋シールに形成されたミシン目(易引裂き部)の平面図であり、(a)は未開封(未切断)時の平面図、(b)は開封後(切断後)の平面図である。
図5】本発明の他の一実施形態に係る蓋シールに形成されたミシン目(易引裂き部)の平面図であり、(a)は未開封(未切断)時の平面図、(b)は開封後(切断後)の平面図である。
図6】本発明の他の一実施形態に係る蓋シールの平面図(a)及び半開放状態の平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0017】
本発明の一実施形態のウェットシート収容体1は、内部にウェットシートの収容空間を有し、収容されたウェットシートを取り出すための取出口2aが設けられた袋体2と、取出口2aを繰り返し閉塞・開放するために袋体2の取出口2aの周縁部に粘着し、再粘着可能な開閉部31を有した蓋シール3とを備えて構成される。
袋体2は、一方向に長く平面視で長方形状に形成されている。取出口2aは袋体2の面2bに形成されている。取出口2aは袋体2の長手方向に長く形成され角部が丸くされた長円状に形成されている。袋体2内に、アルコールや液体の薬剤を含有させたウェットティシューなどのウェットシートが収容されている。
【0018】
蓋シール3が袋体2の面2bに付設され、開閉部31が取出口2a及びその周縁部を蓋うように配置される。開閉部31の取出口2aの周縁部に合わされる表面領域には粘着層が形成されており、剥離、再粘着、従って取出口2aの閉塞・開放を繰り返し行うことができる。
蓋シール3の基端部32及び両側隣接部34,35は袋体2の面2bに付着している。基端部32は、開閉部31の剥離時等において容易に剥離しないように開閉部31の粘着力より高い固定力をもって接着剤等により固定されている。
開閉部31は、基端部32と逆側の先端部33から剥離される。その先端部33には開閉部31を剥離する際に使用者が摘むための摘み部33aが設けられている。摘み部33aは粘着面を有さず袋体2に付着しない。摘み部33aは先端部33において外側に突出して形成されおり、袋体2の表面から浮き易く、従って摘み易くなっている。
【0019】
蓋シール3は、開閉部31に隣接し袋体2の面2bに付着した両側隣接部34,35を有する。さらに蓋シール3は、開閉部31と両側隣接部34,35との境界に形成された易引裂き部としてのミシン目線34a,35aを有する。
取出口2aを開放するときには、使用者が摘み部33aを手で摘んで袋体2の面2bから開閉部31を剥離して引き離していくことによって、取出口2aを開放する。図3(a) 取出口2aの閉塞状態から、図3(b)の全開放状態まで開閉部31を剥離することができる。
【0020】
未開封状態から初めて取出口2aを開放する、すなわち、開封するときには、使用者が摘み部33aを手で摘んで袋体2の面2bから開閉部31を剥離して引き離していき、その一方で両側隣接部34,35が袋体2に付着したままになっている。このようにして開閉部31の袋体2から剥離することに伴って、ミシン目線34a,35aにおいて蓋シール3の素材が切断されて開封される。そのため、両側隣接部34,35は少なくとも開閉部31の剥離に連れられて袋体2から剥離しない程度以上の固定力を持って接着剤等により袋体2に固定されている。両側隣接部34,35は、開閉部31の袋体2に対する粘着力より強力に袋体2に付着し、そのために蓋シール3の貼付面における両側隣接部34,35の部分には、開閉部31の部分に形成された粘着層の粘着力より強力な付着力を有する接着剤等よりなる付着剤層が形成されている。
図4(a)は、未開封状態におけるミシン目線34a,35aであり、ミシン目m1,m1の間の部分eが繋がっている。開封後は図4(b)に示すとおりミシン目m1,m1の間に切断線dが目視確認できるようになる。
したがって、切断線dが現れていたら開封済みであることが示され、切断線dが現れていない、すなわち、ミシン目線34a,35aに沿って切断されていないことをもって未開封が表示される。
【0021】
図4に示したミシン目線34a,35aでは、切断線dとミシン目m1が同方向であるため目視により確認しにくい点がある。
切断線dを確認しやすくするために、図5に示すように楔型ミシン目m2,m2,m2,・・・による易引裂き部を構成する形態を実施することができる。楔型ミシン目m2,m2,m2,・・・が、その先端方向を同方向に向かせながら連なることによって、楔型ミシン目m2,m2,m2,・・・の先端を繋ぐ線で容易に切断され、図5(b)に示すように切断線dが現れる。これにより、未開封か開封済みか否かの判別がさらに容易になる。
【0022】
開封時及びその後を含めて開閉部31を剥離して取出口2aを開放した時には、図3(b)に示すように両側隣接部34,35が袋体2の面2bに付着したまま残る。この両側隣接部34,35は、図3(b)に示すように取出口2aの長手方向に沿った縁部に当該長手方向に延在して付着しているので、この縁部が両側隣接部34,35により補強されてヨレにくくなり、再び蓋シール3の開閉部31を取出口2aの周縁部に貼り合わせる際に袋体2の面2bとの間に隙間を生じさせること無く容易に密閉することができる。
このような開閉部31の側部に設けられた隣接部による取出口縁部の補強効果は、隣接部を開閉部の一側部のみに設けても効果はあるが、開閉部の両側部に設けることが好ましい。開閉部の一側部のみに隣接部を設ける場合でも、未開封顕示機能は発揮されるとともに、開閉部の幅を大きくとることができる。
【0023】
なお、このような隣接部による取出口縁部の補強効果を得ることを目的としない場合には、図6に示すように、角部に隣接部44、45を設けた蓋シール4を実施することもできる。
図6に示すように蓋シール4にあっては、開閉部41、基端部42、摘み部43a、両角隣接部44,45、ミシン目線44a,45aが構成される。両角隣接部44,45は、摘み部43aの両隣の角部に設けられる。ミシン目線44a,45aには、上述した楔型ミシン目m2を適用してもよい。
蓋シール4によれば、開閉部41の両側には開放時に袋体に残る隣接部が無いので、上述した一側部のみに隣接部を設ける場合に比較してもさらに開閉部41の幅を大きくとることができる。
また、隣接部を一方の角部のみに設けても未開封顕示機能は発揮される。
【0024】
なお、袋体2の素材は、内部の液体を漏出させず、且つ、液体成分と反応しないものであれば特に限られないが、好ましくは、熱可塑性樹脂によるものであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂、さらにアルミ等よりなる層との組合せで構成される。この袋体2の上面に設けられた取出口2aの形状は、楕円形、円形、方形、方形の角を丸めた形状など、任意の形状とすることができる。
【0025】
蓋シール3,4は、合成紙又は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂による単層又は多層構造により構成される。特に、無延伸ポリプロピレン(CPP)のような比較的伸びやすい合成樹脂を用いるとミシン目線で素材が切断されるときに、ミシン目とミシン目との間の部分の素材が塑性変形により伸びて切断されるため、切断面を荒くすることができ、目視確認し易くすることができる。
【0026】
以上説明したウェットシート収容体によれば、ウェットシートを収容する袋体2の取出口2aを蓋う再粘着可能な蓋シール3,4に未開封顕示機能が付加されるので、バージンシールを廃止することができ、これによりバージンシールに係るコストを削減し、生産効率を向上することができる。
なお、この蓋シールの未開封顕示機能は、収容物がウェットシートでなく、収容体が袋体でない場合にも有効であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 ウェットシート収容体
2 袋体
2a 取出口
2b 取出口配置面
3 蓋シール
4 蓋シール
31 開閉部
32 基端部
33 先端部
33a 摘み部
34,35 両側隣接部
34a,35aミシン目線
41 開閉部
42 基端部
43a 摘み部
44,45 両角隣接部
d 切断線
m1 ミシン目(破線型)
m2 楔型ミシン目
図1
図2
図3
図4
図5
図6