特許第5872259号(P5872259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872259
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20160216BHJP
   G03G 9/107 20060101ALI20160216BHJP
   G03G 9/113 20060101ALI20160216BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   G03G9/08 374
   G03G9/08 375
   G03G9/10 321
   G03G9/10 352
   G03G15/08 502C
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2011-252934(P2011-252934)
(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公開番号】特開2012-145918(P2012-145918A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2010-283519(P2010-283519)
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】國井 智史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 征人
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−103781(JP,A)
【文献】 特開2001−255692(JP,A)
【文献】 特開平07−287421(JP,A)
【文献】 特開2008−065285(JP,A)
【文献】 特開2010−020024(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0009282(US,A1)
【文献】 特開平08−292598(JP,A)
【文献】 特開2000−172003(JP,A)
【文献】 特開2002−182424(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/084184(WO,A1)
【文献】 特開2004−309883(JP,A)
【文献】 特開2003−207934(JP,A)
【文献】 特開2007−292854(JP,A)
【文献】 特開2012−145919(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0156602(US,A1)
【文献】 米国特許第06197466(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08
G03G 9/107
G03G 9/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外添剤として、チタニアとシリカからなる複合酸化物粒子(外添剤A)と疎水性シリカ粒子(外添剤B)を含有する静電荷像現像用トナーであって、該外添剤Aが、コア部分がチタニアからなり、シェル部分がシリカからなるコアシェル構造を有し、該外添剤A中のチタニアの含有量が75〜95重量%であり、該外添剤Bの平均一次粒子径が35〜50nmであり、該外添剤B中の炭素量が3.0〜5.0重量%である静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
外添剤Aと外添剤Bの重量比(外添剤A/外添剤B)が75/25〜25/75である請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーとキャリアからなる、二成分現像剤。
【請求項4】
キャリアのコア材が銅-亜鉛-マグネシウムフェライトである請求項3記載の二成分現像剤。
【請求項5】
キャリアの被覆材がシリコーン樹脂である請求項3又は4記載の二成現像剤。
【請求項6】
請求項1もしくは2記載の静電荷像現像用トナー又は請求項3〜5いずれか記載の二成分現像剤をハイブリッド現像方式の画像形成装置に使用する画像形成方法。
【請求項7】
画像形成装置の線速が800mm/sec以上である請求項6記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナー、該トナーを含有する二成分現像剤及び該トナー又は該二成分現像剤を用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機やレーザープリンターの高速化、小型化等の要求に伴い、トナーの流動性や帯電性を改善する目的で種々の外添剤が使用されている。
例えば、コア部分に酸化チタンを含みシェル部分に酸化珪素を含むコアシェル構造を有するとともに酸化チタンの含有量が80〜95重量%である複合酸化物を含有するトナーが、カブリや帯電ローラー汚れを抑制することが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
コア層が二酸化チタン、酸化アルミ、酸化亜鉛から選ばれる金属酸化物からなり、シェル層がシリカからなるコアシェル構造で、平均粒径が10〜30nmで、かつ球形度が1〜1.3である金属酸化物微粒子を含有するトナーが、カブリ、カスレ及びフィルミング等がなく耐久性に優れ、高い印字濃度を発現することが開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
コア層が二酸化チタン、酸化アルミ、酸化亜鉛から選ばれる金属酸化物からなり、シェル層がシリカからなるコアシェル構造を有するシリカ被覆金属酸化物粒子と、体積平均粒径が5〜20nmのシリカ微粒子を含有するトナーが、クリーニング性に優れるとともに良好な画質を得ることが開示されている(特許文献3参照)。
【0005】
気相法によって製造されたシリカ−チタニア複合酸化物粒子を表面処理してなる表面改質複合酸化物微粒子を含有するトナーが帯電量の経時変化の少ないことが開示されている(特許文献4参照)。
【0006】
また、一次粒子の平均粒径が30〜100nmの無機微粒子をジメチルシリコーンオイルにより疎水化処理し、粒子中のジメチルシリコーンオイルに由来する炭素量が3.1〜6.0重量%である粒子を含有するトナーが、現像性、転写性及びその経時安定性に優れることが開示され、炭素量と「文字中抜け」の現象に相関のあることが記載されている(特許文献5参照)。
【0007】
少なくともシリコーンオイルで処理された無機微粉体(A)と、少なくともSiを構成元素の一つとする複合金属酸化物を含み、かつ重量平均径が0.3〜5μmである無機微粉体(B)とを含有するトナーが、各種環境下での現像安定性、高転写性、スリーブコート性に優れ、多数枚の耐久印刷時においても高画質を与えることが開示され、シリコーンオイルで処理された無機微粉体(A)をトナー粒子に外添することで、長期にわたり「転写中抜け」を防止できることが開示されている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−20024号公報
【特許文献2】特開2002−182424号公報
【特許文献3】特開2004−177747号公報
【特許文献4】国際公開第2009/084184号
【特許文献5】特開平8−292598号公報
【特許文献6】特開平9−204065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、高速化、小型化した複写機やレーザープリンターにおいて、従来のトナーでは、長時間連続印刷した場合、文字中抜けを抑制することに対しては、不十分であった。
【0010】
本発明の課題は、長時間連続印刷しても、文字中抜けが抑制されるトナー、該トナーを用いた二成分現像剤、及びそれらを用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
〔1〕 外添剤として、チタニアとシリカからなる複合酸化物粒子(外添剤A)と疎水性シリカ粒子(外添剤B)を含有する静電荷像現像用トナーであって、該外添剤Aが、コア部分がチタニアからなり、シェル部分がシリカからなるコアシェル構造を有し、該外添剤A中のチタニアの含有量が75〜95重量%であり、該外添剤B中の炭素量が2.8〜6.0重量%である静電荷像現像用トナー、
〔2〕 前記〔1〕記載の静電荷像現像用トナーとキャリアからなる、二成分現像剤、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載の静電荷像現像用トナー又は前記〔2〕記載の二成分現像剤をハイブリッド現像方式の画像形成装置に使用する画像形成方法
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトナー及び該トナーを含有した二成分現像剤は、長時間連続印刷しても、文字の中抜けが抑制される効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の文字中抜けを示す光学顕微鏡写真(50倍)である。
図2】比較例1の文字中抜けを示す光学顕微鏡写真(50倍)である。
図3】比較例3の文字中抜けを示す光学顕微鏡写真(50倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のトナーは、外添剤として、チタニアとシリカからなる複合酸化物粒子(外添剤A)と疎水性シリカ粒子(外添剤B)を含有するトナーであって、該外添剤Aが、コア部分がチタニアからなり、シェル部分がシリカからなるコアシェル構造を有し、該外添剤A中のチタニアの含有量が75〜95重量%であり、該外添剤B中の炭素量が2.8〜6.0重量%である点に特徴を有する。
【0015】
文字中抜けが抑制される効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
外添剤Aはチタニアとシリカからなる複合酸化物粒子であり、かつシリカがシェル層であるコアシェル構造であるため、粒子表面にチタニアがほとんど存在しない。そのために、外添剤Aの体積抵抗値をシリカの体積抵抗値とチタニアの体積抵抗値との間に制御し、トナーの帯電量を適切に制御できる。また、粒子表面にチタニアがほとんど存在しないために、外添剤Aの粒子表面性状が均一であり、トナーの帯電量分布をシャープにすることができる。その結果、長時間連続印刷した場合においても、帯電量が適切な値で安定に維持される。
一方、外添剤Bは、炭素量の多いシリカであるために、炭素量の小さいシリカに比べ、トナー粒子間の付着力を高めることができる。
文字中抜けは、被転写材とトナー粒子の静電相互作用が強い、すなわちトナーの帯電量が大きい場合、あるいはトナー粒子間の付着力が弱い場合に発生すると推測される。外添剤Aと外添剤Bを併用することにより、長時間連続印刷した場合においても、被転写材とトナー粒子の静電相互作用とトナー粒子間の付着力が、安定かつ適切に制御され、文字中抜けが抑制されると考えられる。
【0016】
本発明のトナーは、トナー母粒子と外添剤Aと外添剤Bを含有するものである。すなわち、トナー母粒子に外添剤Aと外添剤Bが付着したものである。
【0017】
<外添剤A>
外添剤Aは、チタニアとシリカからなる複合酸化物粒子である。本発明の効果を損なわない範囲で、チタニアとシリカ以外の物質を含有してもよい。外添剤A中のチタニアとシリカの合計含有量は、95重量%以上が好ましく、97重量%以上がより好ましく、99重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%がよりさらに好ましい。なお、この複合酸化物粒子に後述される疎水化処理が行われる場合は、チタニアとシリカの合計含有量は、疎水化処理される前の複合酸化物粒子中の含有量である。
外添剤Aの体積抵抗値をシリカとチタニアの間に制御し、トナーの帯電量を適切に制御する観点、トナーの帯電量分布をシャープにし、帯電安定性を向上させる観点、外添剤Aの疎水化処理を容易にして、転写材や感光体などの部材とトナー粒子の付着力、及びトナー粒子間の付着力を高める観点、及びこれらの結果、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、コア部分がチタニアからなり、シェル部分がシリカからなるコアシェル構造を有する。コア部分には、本発明の効果を損なわない範囲でチタニア以外の物質が含有されていてもよく、シェル部分は、本発明の効果を損なわない範囲でシリカ以外の物質が含有されていてもよい。
【0018】
外添剤A中のチタニアの含有量は、シェル部分がコア部分を均一に被覆でき、帯電量が均一に制御される観点、及びチタニアの含有量を下げることにより外添剤Aの体積抵抗値を上げ、帯電量を適切な値に制御する観点、その結果、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、95重量%以下であり、92重量%以下が好ましく、90重量%以下がさらに好ましい。また、チタニアの含有量を上げることにより外添剤Aの体積抵抗値を下げ、帯電量を適切な値に制御して、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、75重量%以上であり、78重量%以上が好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤A中のチタニアの含有量は、75〜95重量%であり、78〜92重量%が好ましく、80〜90重量%がより好ましい。なお、この複合酸化物粒子に後述される疎水化処理が行われる場合は、チタニアの含有量は、疎水化処理される前の複合酸化物粒子中の含有量である。
【0019】
外添剤A中のシリカの含有量は、シェル部分がコア部分を均一に被覆できる観点、その結果、耐刷時のトナーの感光体摩耗を抑制し、画像濃度を維持する観点から、5重量%以上が好ましく、8重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。また、外添剤Aがコアシェル構造を構成することができ、その結果、耐刷時のトナーの感光体摩耗を抑制し、画像濃度を維持する観点から、外添剤A中のシリカの含有量は、25重量%以下が好ましく、22重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤A中のシリカの含有量は、5〜25重量%が好ましく、8〜22重量%がより好ましく、10〜20重量%がさらに好ましい。なお、この複合酸化物粒子に後述される疎水化処理が行われる場合は、シリカの含有量は、疎水化処理される前の複合酸化物粒子中の含有量である。
【0020】
外添剤Aの平均一次粒子径は、外添剤Aのトナーへの埋め込みを防止し、その結果、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましい。また、トナーの表面を均一に覆い、トナーの帯電量を安定かつ適切な値に制御して、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤Aの平均一次粒子径は、10〜50nmが好ましく、15〜40nmがより好ましい。平均一次粒子径は、後述する実施例に記載されている方法により求めることができる。
【0021】
外添剤Aは、転写材や感光体などの部材とトナー粒子の付着力を低減し転写性を向上することで、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、粒子表面を疎水化処理することが好ましい。
外添剤Aはシリカをシェル層とするコアシェル構造のために、チタニアが表面に存在する非コアシェル構造のチタニアとシリカの複合酸化物粒子に比べ、均一に疎水化処理することができ、その結果、トナーの文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持することができる。
【0022】
疎水化処理をする場合、疎水化処理剤に由来する炭素を外添剤A中に含有することになる。疎水化処理された外添剤A中の炭素量は、転写材や感光体などの部材とトナー粒子の付着力を低減し、トナーの転写性を向上することで、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましい。また、トナーの帯電量を適切な値に制御し、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、2.0重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、疎水化処理された外添剤A中の炭素量は、0.5〜2.0重量%が好ましく、1.0〜1.5重量%がより好ましい。外添剤A中の炭素量は疎水化処理に用いる疎水化処理剤の量を変えることにより調整できる。また、外添剤A中の炭素量は、後述する実施例に記載されている方法により求めることができる。
【0023】
疎水化処理剤としては、ジメチルジクロロシラン(DMDS)等のオルガノクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等のオルガノアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のオルガノジシラザン、環状オルガノポリシラザン、シリコーンオイル等の線状オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
これらの中では、転写材や感光体などの部材とトナー粒子の付着力、及びトナー粒子間の付着力を適切に制御する観点から、オルガノジシラザンが好ましく、ヘキサメチルジシラザンがより好ましい。
【0024】
外添剤Aの含有量は、トナーの適度な画像濃度を維持する観点から、トナー母粒子100重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましく、0.2重量部以上がさらに好ましく、0.3重量部以上がよりさらに好ましい。また、トナーの文字中抜けを抑制する観点から、3重量部以下が好ましく、1.5重量部以下がより好ましく、0.7重量部以下がさらに好ましく、0.5重量部以下がよりさらに好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤Aの含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜0.7重量部がさらに好ましく、0.3〜0.5重量部がよりさらに好ましい。
【0025】
外添剤Aは、例えば、特表2006−511638号公報や特開平11−193354号公報に記載されている方法等に従って作製することができる。
例えば、四塩化ケイ素ガスと四塩化チタンガスとを不活性ガスと共に燃焼バーナーを備えた混合室に導入し、水素及び空気と混合して所定比率の混合ガスとし、この混合ガスを反応室で1000〜3000℃にて燃焼させて、複合酸化物を生成させ、冷却後、フィルターで捕集することによって得られる。
あるいは、アルコール溶媒中にて分散機を使用して酸化チタン微粒子分散液を調製し、次いで、アルコキシシラン化合物、アルコール、アンモニア水、上記分散液、更に水を順に加えて混合し、80℃にてアルコキシドの加水分解を行い、シリカ層を酸化チタン微粒子表面に固着させた後、濾過、洗浄、乾燥し、その後粉砕して得ることもできる。
【0026】
疎水化処理は、例えば、複合酸化物原体を混合槽内で室温にて撹拌しながら、予め疎水化処理剤の必要量を溶剤にて希釈した混合液を噴霧し、さらに複合酸化物原体を撹拌し続けながら槽内の温度を上昇させ、所定時間撹拌し、その後、冷却することによって行われる。
【0027】
外添剤Aの具体例としては、STX801、STX501(以上、日本アエロジル社製)等が挙げられる。
【0028】
<外添剤B>
本発明に用いる外添剤Bは、トナー粒子間の付着力を適切に高め、トナー粒子が集合体となって転写することで文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、疎水化処理されたシリカ粒子である。
【0029】
外添剤B中の炭素量は、トナー粒子間の付着力を適切に高めることにより、トナー粒子が集合体となり、集合体として転写されることで、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、2.8重量%以上であり、3.0重量%以上が好ましく、3.1重量%以上がより好ましい。また、トナー粒子間の付着力を適切に高め、帯電量を適切な値に制御し、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、6.0重量%以下であり、5.6重量%以下が好ましく、5.0重量%以下がより好ましく、4.0重量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤B中の炭素量は、2.8〜6.0重量%であり、3.0〜5.6重量%が好ましく、3.0〜5.0重量%がより好ましく、3.1〜4.0重量%がさらに好ましい。なお、外添剤B中の炭素量は、後述する実施例に記載されている方法により求めることができる。
【0030】
外添剤B中の炭素量は、疎水化処理剤に由来するものである。疎水化処理剤としては、炭素量を高める観点から、オルガノポリシロキサンが好ましく、その中でジメチルシリコーンオイルがより好ましい。
ジメチルシリコーンオイルの25℃における動粘度は、疎水化処理工程においてジメチルシリコーンオイルの揮発性、引火性を抑制する観点から、50cSt以上が好ましく、シリカ表面に均一に付着させる観点から、10000cSt以下が好ましく、500cSt以下がさらに好ましい。
【0031】
外添剤Bの平均一次粒子径は、シリカの単位表面積に対するシリコーンオイル層を厚くし、トナー粒子間の付着力を高める観点から、30nm以上が好ましく、32nm以上がより好ましく、35nm以上がさらに好ましい。一方、外添剤Bのトナー母粒子からの脱離を防ぐ観点から、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤Bの平均一次粒子径は、30〜100nmが好ましく、32〜70nmがより好ましく、35〜50nmがさらに好ましい。平均一次粒子径は、後述する実施例に記載されている方法により求めることができる。
【0032】
外添剤Bの含有量は、トナーの文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、トナー母粒子100重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましく、0.3重量部以上がさらに好ましい。また、トナーの文字中抜けを抑制する観点から、3重量以下が好ましく、1.5重量部以下がより好ましくし、0.7重量部以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤Bの含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.3〜0.7重量部がさらに好ましい。
【0033】
外添剤Bは、例えば、以下のようにして得られる。シリカ粒子を混合槽にいれ、室温で撹拌しながら、予め疎水化処理剤の必要量を溶剤で希釈した溶液を噴霧する。噴霧した後、シリカ粒子を撹拌しながら槽内を昇温し、さらに撹拌する。その後、冷却して、外添剤Bが得られる。
【0034】
外添剤Aと外添剤Bの合計の含有量は、トナーの文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、トナー母粒子100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、0.2重量部以上がより好ましく、0.5重量部以上がさらに好ましく、0.8重量部以上がよりさらに好ましい。また、トナーの文字中抜けを抑制する観点から、3重量以下が好ましく、1.5重量部以下がより好ましく、1.2重量部以下がさらに好ましく、1.0重量部以下がよりさらに好ましい。これらの観点を総合すると、外添剤Aと外添剤Bの合計の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.2〜1.5重量部がより好ましく、0.5〜1.2重量部がさらに好ましく、0.8〜1.0重量部がよりさらに好ましい。
【0035】
<外添剤A/外添剤B比>
外添剤Aと外添剤Bの重量比[外添剤A/外添剤B]は、トナーの文字中抜けを抑制する観点から、75/25〜25/75が好ましく、70/30〜30/70がより好ましく、60/40〜40/60がさらに好ましく、50/50〜40/60がよりさらに好ましい。
また、トナーの帯電量を適切な値に制御し、画像濃度を適切な値に制御する観点から、75/25〜60/40が好ましい。
【0036】
<その他外添剤>
本発明のトナーは、外添剤Aや外添剤B以外の外添剤を、本発明の効果が損なわれない程度に適宜を含有してもよい。
【0037】
<トナー母粒子>
本発明のトナーは、トナー母粒子中に結着樹脂、着色剤を含有する。
[結着樹脂]
本発明に用いる結着樹脂は、トナーの低温定着性、保存安定性、耐久性に優れる観点から、ポリエステルを含有することが好ましい。結着樹脂として、ポリエステルのみを用いることが好ましいが、低温定着性の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル以外の他の樹脂が含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
【0038】
本発明に用いるポリエステルは、2価以上のアルコールからなるアルコール成分と2価以上のカルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを縮重合することにより得られる。
【0039】
2価のアルコールとしては、例えば、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15のジオールや、式(I):
【0040】
【化1】
【0041】
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2〜20の2価のアルコールとして、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0042】
アルコール成分としては、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がよりさらに好ましい。
【0043】
3価以上のアルコールとしては、例えば、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜10の3価以上の多価アルコールが挙げられる。具体的には、ソルビトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0044】
2価のカルボン酸化合物としては、例えば、炭素数3〜30、好ましくは炭素数3〜20、さらに好ましくは炭素数3〜10のジカルボン酸、及びそれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜8)エステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0045】
3価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数4〜20、さらに好ましくは炭素数4〜10の3価以上の多価カルボン酸、及びそれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜8)エステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられる。
【0046】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、ポリエステルの軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
【0047】
ポリエステルにおけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステルの酸価を低減する観点から、0.70〜1.10が好ましく、0.75〜1.00がさらに好ましい。
【0048】
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、180〜250℃程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.5重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がより好ましい。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましい。
【0049】
本発明に用いる結着樹脂は、文字中抜けを抑制する観点から、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を好ましくは90モル%以上、より好ましくは実質的に100モル%含むアルコール成分とイソフタル酸及びテレフタル酸から選ばれる1種以上のカルボン酸を好ましくは90モル%以上、より好ましくは実質的に100モル%含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル(ポリエステルI)及び式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を好ましくは90モル%以上、より好ましくは実質的に100モル%含むアルコール成分とフマル酸を好ましくは90モル%以上、より好ましくは実質的に100モル%含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル(ポリエステルII)を含有することが好ましい。
【0050】
ポリエステルIは、文字中抜けを抑制する観点から、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を好ましくは90モル%以上、より好ましくは実質的に100モル%含むアルコール成分とイソフタル酸を好ましくは90モル%以上、より好ましくは実質的に100モル%含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルが好ましい。
【0051】
ポリエステルI及びポリエステルIIの総含有量は、結着樹脂中、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、実質的に100重量%がさらに好ましい。
【0052】
ポリエステルIの含有量は、文字中抜けを抑制する観点から、ポリエステルIとポリエステルIIの合計量中、20重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。
【0053】
ポリエステルIIの含有量は、文字中抜けを抑制する観点から、ポリエステルIとポリエステルIIの合計量中、80重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。
【0054】
ポリエステルの軟化点は、外添剤のトナーへの埋め込みを防止し、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点、トナーの耐高温オフセット性を向上させる観点から、90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、120℃以下が好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、ポリエステルの軟化点は、90〜120℃が好ましく、95〜115℃より好ましく、100〜110℃がさらに好ましい。ポリエステルを2種以上用いる場合は、結着樹脂全体としての軟化点も上記範囲内であることが好ましい。結着樹脂全体の軟化点は、加重平均、すなわち、それぞれの軟化点と含有割合の積の和により求めることができる。
【0055】
ポリエステルの軟化点は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
【0056】
ポリエステルのガラス転移点は、外添剤のトナーへの埋め込みを防止し、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点、トナーの保存安定性を向上させる観点から、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましい。また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、85℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、ポリエステルのガラス転移点は、50〜85℃が好ましく、55〜80℃がより好ましい。ポリエステルを2種以上用いる場合は、結着樹脂全体としてのガラス転移点も上記範囲内であることが好ましい。結着樹脂全体のガラス転移点は、加重平均、すなわち、それぞれのガラス転移点と含有割合の積の和により求めることができる。
【0057】
ポリエステルのガラス転移点は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比等によって制御することができる。
【0058】
ポリエステルの軟化点及びガラス転移点は、複数のポリエステルからなる場合は、それらの加重平均値が上記範囲内となることが好ましい。
【0059】
ポリエステルの酸価は、樹脂の低分子量成分を低減し、外添剤のトナーへの埋め込みを防止し、その結果、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点、及び樹脂中の−COOH基、−OH基を低減し、トナーの帯電安定性を向上させ、その結果、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、50mgKOH/g以下が好ましく、30mgKOH/g以下がより好ましく、20mgKOH/g以下がさらに好ましい。
【0060】
ポリエステルの酸価は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
【0061】
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
【0062】
[着色剤]
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、具体的には、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができる。
【0063】
トナー母粒子中の着色剤の含有量は、画像濃度を向上させる観点、経済的な観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
【0064】
本発明のトナーは、トナー母粒子に、離型剤、荷電制御剤を、適宜含有してもよい。
【0065】
[離型剤]
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、高級アルコール等が挙げられる。これらのなかでは、トナーの低温定着性、保存安定性を向上させる観点、二成分現像剤として用いる際にキャリアへのトナーの付着を抑制する観点から、炭化水素系ワックス及びエステル系ワックスが好ましく、同様の観点から、エステル系ワックスではカルナウバワックスが好ましく、炭化水素系ワックスではポリプロピレンワックスが好ましい。
【0066】
離型剤の融点は、トナーの低温定着性、保存安定性を向上させる観点、キャリアへのトナーの付着を抑制する観点から、60〜160℃が好ましく、70〜150℃がより好ましい。
【0067】
トナー母粒子中の離型剤の含有量は、トナーの低温定着性、保存安定性を向上させる観点、二成分現像剤として用いる際にキャリアへのトナーの付着を抑制する観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜4重量部が好ましく、1〜3重量部がより好ましい。
【0068】
[荷電制御剤]
荷電制御剤として、負帯電性荷電制御剤、正帯電性荷電制御剤のいずれも用いることができる。
負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体、ベンジル酸ホウ素錯体等が挙げられる。含金属アゾ染料としては、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-28」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業社製)、「T-77」、「アイゼンスピロンブラックTRH」(以上、保土谷化学工業社製)等が挙げられる。サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体としては、例えば「ボントロンE-81」、「ボントロンE-82」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-85」(以上、オリエント化学工業社製)等が挙げられる。ベンジル酸ホウ素錯体としては、例えば、「LR-147」(日本カーリット社製)等が挙げられる。これらの中では、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、含金属アゾ染料及びサリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体が好ましく、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体がさらに好ましい。
【0069】
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。ニグロシン染料としては、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業社製)等が挙げられる。トリフェニルメタン系染料としては、例えば3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料が挙げられる。4級アンモニウム塩化合物としては、例えば「ボントロンP-51」、「ボントロンP-52」(以上、オリエント化学工業社製)、「TP-415」(保土谷化学工業社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PXVP435」「COPY CHARGE PSY」(以上、クラリアント社製)等が挙げられる。ポリアミン樹脂としては、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業社製)等が挙げられる。イミダゾール誘導体としては、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成社製)等が挙げられる。これらの中では、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、4級アンモニウム塩化合物が好ましい。
【0070】
トナー母粒子中の荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1〜4重量部がより好ましい。
【0071】
本発明のトナーは、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、荷電制御剤として、負帯電性荷電制御剤と正帯電性荷電制御剤とを含有することが好ましい。負帯電性荷電制御剤として含金属アゾ染料やサリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体を、正帯電性荷電制御剤として4級アンモニウム塩化合物を含有することが好ましく、負帯電性荷電制御剤としてサリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体を、正帯電性荷電制御剤として4級アンモニウム塩化合物を含有することがさらに好ましい。
【0072】
正帯電性荷電制御剤と負帯電性荷電制御剤の重量比(正帯電性荷電制御剤/負帯電性荷電制御剤)は、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、1/40〜1/2が好ましく、1/30〜1/3がより好ましく、1/20〜1/5がさらに好ましい。
【0073】
[他の成分]
本発明のトナーは、さらに、トナー母粒子中に磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
【0074】
<トナー製造方法>
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化凝集法、重合法等の従来より公知のいずれの方法によって得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。具体的には、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、溶融混練し、冷却後、粉砕、分級を行ってトナー母粒子を製造することができる。一方、トナーの小粒径化の観点からは、重合法や乳化凝集法等によるトナーが好ましい。
【0075】
<トナー母粒子の体積中位粒径>
トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は、トナーの画像品質を向上させる観点から、3〜15μmが好ましく、4〜12μmがより好ましく、6〜9μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
【0076】
<外添処理工程>
トナー母粒子と外添剤との混合には、回転羽根等の攪拌具を備えた混合機を用いることが好ましく、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速混合機が好ましく、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
外添剤Aと外添剤Bは、あらかじめ混合して高速混合機やV型ブレンダーに添加してもよく、また別々に添加してもよい。
【0077】
該混合機の周速は、外添剤がトナー母粒子に付着せずに遊離すること及びトナー母粒子中へ埋め込まれることを制御する観点から、20〜45m/secが好ましく、25〜40m/secがより好ましい。
【0078】
<トナー物性>
[軟化点]
【0079】
トナーの軟化点は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、120℃以下が好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。また、外添剤のトナーへの埋め込みを防止し、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点、トナーの耐高温オフセット性を向上させる観点から、90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、90〜120℃が好ましく、95℃〜115℃がより好ましく、100〜110℃がさらに好ましい。
【0080】
軟化点を調整する方法としては、特定の軟化点を有する樹脂を用いる方法が挙げられる。樹脂の軟化点を調製する方法としては、例えばカルボン酸成分とアルコール成分のモル比を調整する方法、反応温度、触媒の量、減圧下で長時間脱水反応を行う等のエステル化の反応条件を変更する方法が挙げられる。具体的には、カルボン酸成分とアルコール成分の割合を1に近づけたり、反応温度の上昇、触媒量の増加、脱水反応時間の延長等を行ったりすることにより軟化点を高くすることができる。また、前記記載の逆にすると軟化点が低くなる傾向がある。
【0081】
[ガラス転移点]
トナーのガラス転移点は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、70℃以下が好ましく、65℃以下がより好ましい。また、外添剤のトナーへの埋め込みを防止し、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点、トナーの保存安定性を向上させる観点から、45℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、トナーのガラス転移点は、好ましくは45〜70℃、より好ましくは50〜65℃である。
<画像形成方法>
【0082】
本発明のトナーは、オーブン定着、フラッシュ定着等の非接触定着方式の画像形成装置を用いた画像形成方法に用いた際にも、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持することができるので、線速が800mm/sec以上、好ましくは1000〜3000mm/secの高速の非接触定着方式の画像形成装置にも好適に用いることができる。ここで、線速とは画像形成装置のプロセススピードをいい、定着部の紙送り速度により決定される。
【0083】
また、本発明のトナーの現像方式は特に限定されないが、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持することができることから、ハイブリッド現像方式の画像形成装置を用いた画像形成方法にも好適に用いることができ、線速が800mm/sec以上、好ましくは1000〜3000mm/secの高速のハイブリッド現像方式の画像形成装置にも好適に用いることができる。
なお、ハイブリッド現像方式は、日本画像学会誌 第49巻 第2号:102-107頁(2010)に記載されており、二成分現像剤において、キャリアによってトナーへ帯電が付与され、磁気ロールによって運ばれた二成分現像剤からトナーが磁気ロールと現像ロールの電位差によって現像ロールに移動し、現像ロールから感光体潜像部へトナーが移動して、現像ロールと感光体が非接触で現像される方式である。
【0084】
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができるが、キャリアとの攪拌条件下で特に安定した帯電性が得られる観点から、非磁性現像方式、特に非磁性二成分現像方式の画像形成装置に好適に用いられる。
【0085】
従って、本発明のトナーは、非磁性二成分現像方式、かつハイブリッド現像方式の高速の画像形成装置を用いた画像形成方法にも好適に用いることができる。
<二成分現像剤>
[キャリア]
【0086】
本発明において、キャリアとしては、画像特性の観点から、磁気ブラシのあたりが弱くなる飽和磁化の低いキャリアが好ましい。キャリアの飽和磁化は、40〜100Am2/kgが好ましく、50〜90Am2/kgがより好ましい。飽和磁化は、磁気ブラシの固さを調節し、画像の階調再現性を保持する観点から、100Am2/kg以下が好ましく、キャリア付着やトナー飛散を防止する観点から、40Am2/kg以上が好ましい。
【0087】
キャリアは、コア材と被覆材からなる。
【0088】
[キャリアコア材]
キャリアのコア材としては、公知の材料からなるものを特に限定することなく用いることができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト、マグネシウムフェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられ、これらの中では、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、マグネタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト及びマンガンフェライトが好ましく、銅-亜鉛-マグネシウムフェライトがより好ましい。
【0089】
[キャリア被覆材]
キャリアの表面は、トナーのスペントを防止する観点から樹脂で被覆されていてもよい。キャリア表面を被覆する樹脂としては、ともに用いるトナーの原料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、ポリエステル、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が挙げられる。トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、シリコーン樹脂が好ましい。これらは単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0090】
樹脂によるコア材の被覆方法は、例えば、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させて塗布し、コア材に付着させる方法、樹脂粉体とコア材を混合して、コア材に付着させる方法等、特に限定されない。
【0091】
[トナーとキャリアの混合比]
トナーとキャリアとを混合して得られる二成分現像剤において、トナーの含有量は、外添剤のトナーへの埋め込みを防止し、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、2重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、4重量%以上がさらに好ましい。また、トナーの帯電安定性を向上させ、文字中抜けを抑制し、適度な画像濃度を維持する観点から、10重量%以下が好ましく、9重量%以下がより好ましく、8重量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、二成分現像剤中のトナーの含有量は、2〜10重量%が好ましく、3〜9重量%がより好ましく、4〜8重量%がさらに好ましい。
【実施例】
【0092】
〔樹脂及びトナーの軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0093】
〔樹脂及びトナーのガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に試料を昇温速度10℃/分で測定した。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とする。
【0094】
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
【0095】
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
【0096】
〔外添剤の平均一次粒子径〕
走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの平均値を平均一次粒子径とする。
【0097】
〔外添剤の炭素量〕
外添剤0.05gを12×9×60mmの燃焼ボートにのせ、その上に燃焼補助剤としてスズ粉末0.5gをかぶせる。固体中炭素分析装置(堀場社製品:EMIA-110型)を用いて、MeasurementをAUTOに設定し、外添剤及び燃焼助剤を入れた燃焼ボートを、炉内温度1200℃、炉内圧力0.08Mpaの条件にて、酸素雰囲気中120秒間燃焼し、炭素含有量を測定する。
【0098】
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
【0099】
〔キャリアの飽和磁化〕
(1) 外径7mm(内径6mm)、高さ5mmの蓋付プラスティックケースにキャリアをタッピングしながら充填し、プラスティックケースの重量とキャリアを充填したプラスティックケースの重量の差から、キャリアの質量を求める。
(2) 理研電子(株)の磁気特性測定装置「BHV-50H」(V.S.MAGNETOMETER)のサンプルホルダーにキャリアを充填したプラスティックケースをセットし、バイブレーション機能を使用して、プラスティックケースを加振しながら、79.6kA/mの磁場を印加して飽和磁化を測定する。得られた値は充填されたキャリアの質量を考慮し、単位質量当たりの飽和磁化に換算する。
【0100】
[外添剤製造例]
外添剤製造例1[外添剤B1]
平均一次粒子径40nmのシリカ原体100重量部を混合槽内で20℃にて撹拌し、窒素雰囲気下、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製 KF-96-100cs)10重量部を20重量部のn−ヘキサン溶媒に希釈した溶液を噴霧した。撹拌を続けながら槽内を105℃まで昇温し2時間維持し、その後、20℃まで冷却して、表2に示す外添剤B1を得た。
【0101】
外添剤製造例2[外添剤B2]
ジメチルシリコーンオイルの添加量を8重量部にした以外は外添剤製造例1同様にして表2に示す外添剤B2を得た。
【0102】
外添剤製造例3[外添剤B3]
ジメチルシリコーンオイルの添加量を20重量部にした以外は外添剤製造例1同様にして表2に示す外添剤B3を得た。
【0103】
外添剤製造例4[外添剤b1]
ジメチルシリコーンオイルの添加量を7重量部にした以外は外添剤製造例1同様にして表2に示す外添剤b1を得た。
【0104】
外添剤製造例5[外添剤b2]
ジメチルシリコーンオイルの添加量を23重量部にした以外は外添剤製造例1同様にして表2に示す外添剤b2を得た。
【0105】
実施例、比較例に用いた外添剤の物性を表1、表2に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
[樹脂製造例]
樹脂製造例1〔樹脂A(ポリエステルI)〕
表3に示す原料モノマーと、エステル化触媒(酸化ジブチル錫)19.5gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて樹脂Aを得た。なお、本発明において反応率とは、反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
【0109】
樹脂製造例2〔樹脂B(ポリエステルII)〕
表3に示す原料モノマーと、エステル化触媒(酸化ジブチル錫)19.5g、及び重合禁止剤(ハイドロキノン)2gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて、樹脂Bを得た。
【0110】
樹脂製造例3〔樹脂C(ポリエステルI)〕
表3に示す原料モノマーと、エステル化触媒(酸化ジブチル錫)19.5gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて樹脂Cを得た。
【0111】
【表3】
【0112】
[トナー製造例]
実施例1、3〜6、8、9及び比較例1〜12(実施例8、9は参考例である)
結着樹脂として樹脂Aを70重量部、樹脂Bを30重量部、着色剤「カーボンブラック NIPEX60」(エボニックデグサ社製)6重量部、負帯電荷電制御剤「鉄アゾ系錯体 ボントロンS-28」(オリエント化学工業社製)2重量部、正帯電荷電制御剤「4級アンモニム塩 COPYCHARGE PSY」(クラリアント社製)0.1重量部 、離型剤「カルナウバワックス1号」(加藤洋行社製、融点:81℃)2重量部を、ヘンシェルミキサーにて210秒間混合した後、以下に示す条件で溶融混練した。
【0113】
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:80cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.97m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度50r/min(21.98m/min)、ロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が135℃及び混練物排出側が90℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の供給速度は10kg/時間、平均滞留時間は約6分間であった。
【0114】
得られた混練物を冷却ロールで圧延しながら20℃以下に冷却し、冷却された溶融混練物をロートプレックス(東亜機械社製)で3mmに粗粉砕し、その後、流動槽式ジェットミル「AFG-400」(ホソカワアルピネ社製)で粉砕し、ローター式分級機「TTSP」(アルピネ社製)で分級して、体積中位粒径(D50)が8.5μmのトナー母粒子を得た。
【0115】
得られたトナー母粒子100重量部と、表4に示す所定量の外添剤A、外添剤Bを75Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製)で、1500回転/分(周速38m/sec)で3分間混合して、トナーを得た。尚、用いたヘンシェルミキサーの上羽根はST型で下羽根はA0型であった。
【0116】
実施例2
樹脂Aを樹脂Cに代えた以外は、実施例1と同様に行い、実施例2のトナーを得た。なお、トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は8.5μmであった。
【0117】
実施例7
着色剤を「PR122 スーパーマゼンダR」(大日本インキ化学工業社製)5重量部、負帯電荷電制御剤を「サリチル酸アルミニウム錯体 ボントロンE-84」(オリエント化学工業社製)4重量部及び正帯電荷電制御剤を「4級アンモニム塩 COPYCHARGE PSY」(クラリアント社製)0.3重量部に代えた以外は、実施例1と同様に行い、実施例7のトナーを得た。なお、トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は8.5μmであった。
【0118】
実施例10
樹脂Aの使用量を50重量部、樹脂Bの使用量を50重量部に代えた以外は、実施例1と同様に行い、実施例10のトナーを得た。なお、トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は8.5μmであった。
【0119】
実施例11
樹脂Aの使用量を20重量部、樹脂Bの使用量を80重量部に代えた以外は、実施例1と同様に行い、実施例11のトナーを得た。なお、トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は8.5μmであった。
【0120】
実施例12
樹脂Cの使用量を20重量部、樹脂Bの使用量を80重量部に代えた以外は、実施例2と同様に行い、実施例12のトナーを得た。なお、トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は8.5μmであった。
【0121】
【表4】
【0122】
試験例1〔文字中抜け〕
得られたトナー6重量部と、キャリア「KK01-C35」(コア材:銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、被覆材:シリコーン樹脂)(オセ・プリンティングシステムズ社製、体積平均粒径:60μm、飽和磁化:68Am2/kg)94重量部とを混合し、二成分現像剤を得た。得られた二成分現像剤をハイブリッド現像方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(オセ・プリンティングシステムズ社製)に実装し、印字率1%、線速1000mm/secで5時間連続印刷した後、フォント「Times New Roman」、9ptで「A」を100文字印字した。得られた画像を、デジタルマイクロスコープVHX-100(キーエンス社製)を用い倍率50倍で撮影した。写真映像をデジタルマイクロスコープVHX-100で2値化変換後、100文字画像解析を行い、以下の式に従って、転写中抜け率を測定し、文字中抜けの指標とした。結果を表5に示す。また、実施例1、比較例1及び比較例3のトナーの文字中抜けを示す光学顕微鏡写真を図1〜3に示す。
【0123】
転写中抜け率(%)= 転写中抜け部の面積(A100文字の白部分の面積の和)/Aの文字の面積(A100文字の黒部分の面積と白部分の面積の和) × 100
【0124】
試験例2〔画像濃度〕
試験例1と同様にして連続印刷した後、20cm×20cmの黒ベタ画像を印刷した。その画像サンプルの画像濃度を色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(X-Rite社製)で5点測定し、それらの平均値を画像濃度(OD)として評価した。なお、画像濃度の測定時は偏光板を挟まないモードで測定した。結果を表5に示す。
【0125】
【表5】
【0126】
以上の結果より、実施例1〜12のトナーは、比較例1〜12のトナーと比べて、文字中抜けが非常に抑制されており、1.6〜2.0の適切な画像濃度も得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の静電荷像現像用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられる。
図1
図2
図3