(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)遊離型トリテルペンアルコールが、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール及びシクロブラノールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の油脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で用いられるトリテルペンアルコールは、炭素数30又は31の四環性トリテルペンアルコールである。これらトリテルペンアルコールは、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール等の炭素数28又は29の4−デスメチルステロールとは明確に相違する化合物である。
トリテルペンアルコールは、米(米糠)、米油(米糠油)、又は米油以外のトリテルペンアルコールを含有する油脂、油脂加工品からの抽出、γ−オリザノールの加水分解等によって得ることができる。また、市販品を用いることもでき、市販品としては、例えば、オリザトリテルペノイド−P(オリザ油化(株))等が挙げられる。
【0013】
トリテルペンアルコールには、(A)遊離型トリテルペンアルコールと(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールがある。遊離型とはステロイド核のC−3位に水酸基をもつものを指し、脂肪酸エステル型とは、前記遊離型のC−3位の水酸基に脂肪酸がエステル結合したものを指す。(A)遊離型トリテルペンアルコールとしては、例えば、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、シクロブラノール、シクロアルタノール、シクロサドール、シクロラウデノール、ブチロスペリモール、パルケオール等が挙げられる。遊離型トリテルペンアルコールは、単一化合物として用いることもできるし、混合物として用いることもできる。なかでも、生理効果の点から、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール及びシクロブラノールから選ばれる1種又は2種以上であるのが好ましく、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はこれらの組み合わせであるのがより好ましい。
【0014】
また、遊離型トリテルペンアルコールとエステルを形成する脂肪酸としては、特に限定されず、直鎖又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸が挙げられる。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ゾーマリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールは、単一化合物として用いることもできるし、混合物として用いることもできる。なかでも、生理効果の点から、シクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル、シクロブラノールの脂肪酸エステル、シクロアルタノールの脂肪酸エステル、シクロサドールの脂肪酸エステル、シクロラウデノールの脂肪酸エステル、ブチロスペリモールの脂肪酸エステル及びパルケオールの脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であるのが好ましく、シクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル及びシクロブラノールの脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であるのがより好ましく、シクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル又はこれらの組み合わせであるのがさらに好ましい。
脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールとしては、さらに、シクロアルテノールのオレイン酸エステル、シクロアルテノールのリノール酸エステル、シクロアルテノールのα−リノレン酸エステル、シクロアルテノールのステアリン酸エステル、シクロアルテノールのパルミチン酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールのオレイン酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールのリノール酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールのα−リノレン酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールのパルミチン酸エステル及び24−メチレンシクロアルタノールのステアリン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であるのが好ましく、シクロアルテノールのリノール酸エステル、シクロアルテノールのα−リノレン酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールのオレイン酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールのリノール酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールのα−リノレン酸エステル及び24−メチレンシクロアルタノールのパルミチン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であるのがさらに好ましい。
【0015】
本発明の油脂組成物は、(A)遊離型トリテルペンアルコールを0.02〜1.8質量%(以下、単に「%」とする)含有する。成分(A)の含有量を0.02%以上とすることで、消費者に敬遠されがちな素材の苦味を低減することができる。遊離型トリテルペンアルコールの含有量は、さらに0.05%以上、さらに0.1%以上、さらに0.15%以上、さらに0.2%以上、さらに0.3%以上、さらに0.4%以上、さらに0.5%以上とすることが素材の苦味を低減する点、生理効果の点から好ましい。他方、1.8%以下とすることで、低温下における油脂の白濁を抑制できる。従って、遊離型トリテルペンアルコールの含有量は、さらに1.6%以下、さらに1.55%以下、さらに1.5%以下、さらに1%以下、さらに0.75%以下であることが低温下における油脂の白濁を抑制できる点で好ましい。
さらに、油脂組成物中の遊離型トリテルペンアルコールの含有量は、0.05〜1.6%、さらに0.15〜1.55%、さらに0.3〜1.5%、さらに、0.4〜1%、さらに0.5〜0.75%であるのが、苦味を低減する点、耐冷性の点から好ましい。
【0016】
遊離型トリテルペンアルコール中、シクロアルテノールの含有量は、苦味を低減する点、耐冷性の点、生理効果の点から、15〜100%、さらに20〜90%、さらに25〜80%であるのが好ましい。
油脂組成物中のシクロアルテノールの含有量は、0.003〜1.8%、さらに0.004〜1.62%、さらに0.005〜1.44%、さらに0.0075〜1.4%、さらに0.01〜1.35%、さらに0.015〜0.9%、さらに0.03〜0.68%であるのが、同様の点から好ましい。
【0017】
また、遊離型トリテルペンアルコール中の24−メチレンシクロアルタノールの含有量は、5〜85%、さらに10〜80%、さらに20〜75%であるのが、工業的生産の点から好ましい。
油脂組成物中の24−メチレンシクロアルタノールの含有量は、0.001〜1.53%、さらに0.002〜1.44%、さらに0.004〜1.35%であるのが、同様の点から好ましい。
【0018】
本発明の油脂組成物の(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールの含有量は、1.4%以下である。成分(B)の含有量を1.4%以下とすることで、油脂組成物を加熱調理に使用した場合、素材本来の良好な風味を生かすことができ、また、食感を改善することができ、苦味を低減することができる。脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールの含有量は、さらに1.2%以下、さらに1%以下、さらに0.75%以下、さらに0.5%以下、さらに0.4%以下、さらに0.3%以下とすることが、風味を良好とする点、食感を改善する点、苦味の抑制の点から好ましい。脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールは、0.01%以上、さらに0.05%以上、さらに0.1%以上、さらに0.2%以上とすることが、素材特有の生臭みを抑制できる点、生理効果の点から好ましい。
さらに、脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールは、油脂組成物中に0.01〜1.4%、さらに0.01〜0.5%、さらに0.05〜0.5%、さらに0.1〜0.5%、さらに0.2〜0.4%であるのが、風味を良好とする点、食感を改善する点、苦味の抑制の点、肉の生臭みの抑制の点、生理効果の点から好ましい。
【0019】
脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール中、シクロアルテノールの脂肪酸エステルの含有量は、15〜100%、さらに20〜90%、さらに25〜80%であるのが、風味を良好とする点、食感を改善する点、苦味の抑制の点、肉の生臭みの抑制の点、生理効果の点から好ましい。
油脂組成物中のシクロアルテノールの脂肪酸エステルの含有量は、0.0015〜1.4%、さらに0.002〜1.26%、さらに0.0025〜1.12%であるのが、同様の点から好ましい。
【0020】
また、脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール中の24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステルの含有量は、5〜85%、さらに10〜80%、さらに20〜75%であるのが、工業的生産の点から好ましい。
油脂組成物中の24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステルの含有量は、0.0005〜1.19%、さらに0.001〜1.12%、さらに0.002〜1.05%であるのが、同様の点から好ましい。
【0021】
本発明の油脂組成物において、(A)遊離型トリテルペンアルコールの含有量は、(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールの含有量より多い。すなわち、(A)遊離型トリテルペンアルコールの、(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールに対する含有質量比[(A)/(B)]は1より大きい。(A)/(B)の質量比は、1.2以上、さらに1.2以上20以下、さらに1.25以上10以下であるのが、風味を良好とする点、耐冷性の点、苦味の抑制の点から好ましい。
【0022】
また、本発明の油脂組成物において、γ−オリザノールは、0.7%以下、さらに0.5%以下、さらに0.1%以下、さらに0.05%以下、さらに0.01%以下であるのが油っぽさを抑制する点から好ましい。γ−オリザノールの含有量は、さらに0〜0.5%、0.0002〜0.15%、さらに0.0002〜0.1%であり、さらに0.001〜0.1%であり、尚更0.001〜0.05%であるのが、風味を良好とする点、油っぽさを抑制する点及び製造上の観点から好ましい。
ここで、γ−オリザノールは、米油、トウモロコシ油、その他の穀類の糠油中に存在する物質で、植物性ステロールのフェルラ酸(3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)エステルの総称である。ここで、植物性ステロールとしては、上記トリテルペンアルコールや、トリテルペンアルコール以外の植物性ステロール、例えば、α−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、ブラシカステロール、フコステロール、イソフコステロール、スピナステロール、アベナステロール等が挙げられる。γ−オリザノールは、単一化合物として用いることもできるし、混合物として用いることもできる。
γ−オリザノールとしては、シクロアルテノ−ルフェルラ酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールフェルラ酸エステル、シクロブラノールフェルラ酸エステル、シクロサドールフェルラ酸エステル、β−シトステロールフェルラ酸エステル、スチグマステロールフェルラ酸エステル及びカンペステロールフェルラ酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を含有するものが好ましい。
【0023】
本発明の油脂組成物に使用できる食用油脂に特に制限はなく、例えば、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、米油、コーン油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油、サチャインチ油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、やし油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂、藻油等の植物性油脂;魚油、ラード、牛脂、バター脂等の動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油等の油脂類を挙げることができる。これらの油は、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは適宜混合して用いてもよい。なかでも、使用性の点から、植物性油脂を用いるのが好ましく、さらに低温耐性に優れた液状油脂を用いるのが好ましい。液状油脂とは、基準油脂分析試験法2.3.8−27による冷却試験を実施した場合、20℃で液状である油脂をいう。また、食用油脂は、精製工程を経た精製油脂であるのが好ましい。油脂の脂肪酸組成についてもなんら限定されるものではないが、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ステアリドン酸、EPA、DHAといった高度不飽和脂肪酸等の機能性脂肪酸を含有するものであることが好ましい。
【0024】
本発明の油脂組成物中、油脂の含有量は95〜99.95%であることが好ましく、さらに97〜99%であることが使用上の点から好ましい。
本発明の油脂組成物は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、及びトリアシルグリセロールのいずれか1種以上を油脂として含むものであるが、油脂組成物中、ジアシルグリセロールの含有量は、9%以下が好ましく、さらに0.1〜7%、さらに0.2〜5%であるのが油脂の工業的生産性の点から好ましい。また、モノアシルグリセロールの含有量は風味を良好とする点から、3%以下が好ましく、さらに0〜2%が好ましい。トリアシルグリセロールの含有量は88〜100%が好ましく、さらに90〜99.5%、さらに92〜99%であるのが油脂の工業的生産性の点から好ましい。
【0025】
また、本発明における油脂組成物に含まれる遊離脂肪酸(塩)含量は、5%以下が好ましく、さらに0〜2%、さらに0〜1%であるのが風味、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
【0026】
本発明の油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸は、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、60〜100%が不飽和脂肪酸であることが好ましく、より好ましくは70〜100%、さらに75〜100%、さらに80〜98%であるのが外観、油脂の工業的生産性の点で好ましい。不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、さらに16〜22であるのが生理効果の点から好ましい。
【0027】
また、油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の含有量は40%以下であることが好ましく、より好ましくは0〜30%、さらに0〜25%、さらに2〜20%であるのが、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、さらに16〜22のものが好ましい。
【0028】
更に、本発明の油脂組成物は、保存時及び調理時の酸化安定性の点より、油脂組成物中に抗酸化剤を0.01〜2%含有するのが好ましく、さらに0.01〜1%、さらに0.01〜0.5%含有するのが好ましい。抗酸化剤としては、天然抗酸化剤、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)等から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、より好ましい例としては、天然抗酸化剤、トコフェロール及びアスコルビルパルミテートから選ばれる1種又は2種以上の抗酸化剤である。そのなかでも、アスコルビルパルミテートとトコフェロールの併用が好ましい。
【0029】
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食物に広範に適用することができる。なかでも、加熱調理用油脂、特に、フライ、天ぷら等の揚げ物、炒め物、焼き物等の調理用油脂として好適である。
【0030】
また、後記実施例に示すとおり、油脂組成物に遊離型トリテルペンアルコールを含有させることで野菜の苦味が抑制されたことから、遊離型トリテルペンアルコールには野菜の苦味抑制作用があると考えられる。したがって、遊離型トリテルペンアルコールは、野菜の苦味抑制剤として有用であり、野菜の苦味抑制のために使用できる。苦味のある野菜としては、ピーマン、ししとう等のナス科の野菜や長葱等のネギ科の野菜が挙げられる。
【0031】
また、後記実施例に示すとおり、油脂組成物に脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールを含有させることで肉の生臭みが抑制されたことから、脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールには肉の生臭みを抑制する作用があると考えられる。したがって、脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールは、肉の生臭み抑制剤として有用であり、肉の生臭み抑制のために使用できる。
【0032】
本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
<1>(A)遊離型トリテルペンアルコールを0.02〜1.8%、(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールを1.4%以下含有し、成分(A)と(B)の含有質量比[(A)/(B)]が1より大きい油脂組成物。
<2>(A)遊離型トリテルペンアルコールの含有量が、好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.15%以上、さらに好ましくは0.2%以上、さらに好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.4%以上、さらに好ましくは0.5%以上である、前記<1>に記載の油脂組成物。
<3>(A)遊離型トリテルペンアルコールの含有量が、好ましくは1.6%以下、さらに好ましくは1.55%以下、さらに好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.75%以下である、前記<1>又は<2>に記載の油脂組成物。
<4>(A)遊離型トリテルペンアルコールの含有量が、好ましくは0.05〜1.6%、さらに好ましくは0.15〜1.55%、さらに好ましくは0.3〜1.5%、さらに好ましくは0.4〜1%、さらに好ましくは0.5〜0.75%である、前記<1>に記載の油脂組成物。
<5>(A)遊離型トリテルペンアルコールが、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、シクロブラノール、シクロアルタノール、シクロサドール、シクロラウデノール、ブチロスペリモール及びパルケオールから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはシクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール及びシクロブラノールから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはシクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はこれらの組み合わせである、前記<1>〜<4>の1に記載の油脂組成物。
<6>(A)遊離型トリテルペンアルコール中のシクロアルテノールの含有量が、15〜100%、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは25〜80%である、前記<5>に記載の油脂組成物。
<7>油脂組成物中のシクロアルテノールの含有量が、0.003〜1.8%、好ましくは0.004〜1.62%、さらに好ましくは0.005〜1.44%、さらに好ましくは0.0075〜1.4%、さらに好ましくは0.01〜1.35%、さらに好ましくは0.015〜0.9%、さらに好ましくは0.03〜0.68%である、前記<5>又は<6>に記載の油脂組成物。
<8>(A)遊離型トリテルペンアルコール中の24−メチレンシクロアルタノールの含有量が、5〜85%、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜75%である、前記<5>〜<7>の1に記載の油脂組成物。
<9>油脂組成物中の24−メチレンシクロアルタノールの含有量が、0.001〜1.53%、好ましくは0.002〜1.44%、さらに好ましくは0.004〜1.35%である、前記<5>〜<8>の1に記載の油脂組成物。
【0033】
<10>(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールの含有量が、好ましくは1.2%以下、さらに好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.75%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.3%以下である、前記<1>〜<9>の1に記載の油脂組成物。
<11>(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールの含有量が、好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.2%以上である、前記<1>〜<10>の1に記載の油脂組成物。
<12>(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールの含有量が、好ましくは0.01〜1.4%、さらに好ましくは0.01〜0.5%、さらに好ましくは0.05〜0.5%、さらに好ましくは0.1〜0.5%、さらに好ましくは0.2〜0.4%である、前記<1>〜<9>の1に記載の油脂組成物。
<13>(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールが、シクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル、シクロブラノールの脂肪酸エステル、シクロアルタノールの脂肪酸エステル、シクロサドールの脂肪酸エステル、シクロラウデノールの脂肪酸エステル、ブチロスペリモールの脂肪酸エステル及びパルケオールの脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはシクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル及びはシクロブラノールの脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはシクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル又はこれらの組み合わせである、前記<1>〜<12>の1に記載の油脂組成物。
<14>(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール中のシクロアルテノールの脂肪酸エステルの含有量が、15〜100%、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは25〜80%である、前記<13>に記載の油脂組成物。
<15>油脂組成物中のシクロアルテノールの脂肪酸エステルの含有量が、0.0015〜1.4%、好ましくは0.002〜1.26%、さらに好ましくは0.0025〜1.12%である、前記<13>又は<14>に記載の油脂組成物。
<16>(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール中の24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステルの含有量が、5〜85%、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜75%である、前記<13>〜<15>の1に記載の油脂組成物。
<17>油脂組成物中の24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステルの含有量が、0.0005〜1.19%、好ましくは0.001〜1.12%、さらに好ましくは0.002〜1.05%である、前記<13>〜<16>の1に記載の油脂組成物。
【0034】
<18>(A)遊離型トリテルペンアルコールの、(B)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールに対する含有質量比[(A)/(B)]が、好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.2以上20以下、さらに好ましくは1.25以上10以下である、前記<1>〜<17>の1に記載の油脂組成物。
【0035】
<19>γ−オリザノールの含有量が、0.7%以下、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.01%以下である、前記<1>〜<18>の1に記載の油脂組成物。
<20>γ−オリザノールの含有量が、0〜0.5%、さら好ましくは0.0002〜0.15%、さらに好ましくは0.0002〜0.1%、さらに好ましくは0.001〜0.1%、さらに好ましくは0.001〜0.05%である、前記<1>〜<18>の1に記載の油脂組成物。
【0036】
<21>油脂を95〜99.95%、好ましくは97〜99%含有する、前記<1>〜<20>の1に記載の油脂組成物。
<22>トリアシルグリセロールの含有量が88〜100%、好ましくは90〜99.5%、さらに好ましくは92〜99%である、前記<1>〜<21>の1に記載の油脂組成物。
<23>油脂を構成する脂肪酸の60〜100%、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは75〜100%、さらに好ましくは80〜98%が不飽和脂肪酸である、前記<1>〜<22>の1に記載の油脂組成物。
<24>さらに抗酸化剤を、0.01〜2%、好ましくは0.01〜1%、さらに好ましくは0.01〜0.5%含有する、前記<1>〜<23>の1に記載の油脂組成物。
<25>抗酸化剤が、天然抗酸化剤、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは天然抗酸化剤、トコフェロール及びアスコルビルパルミテートから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはトコフェロールとアスコルビルパルミテートの併用である、前記<24>に記載の油脂組成物。
【0037】
<26>前記<1>〜<25>の1に記載の油脂組成物の食用油脂としての使用。
<27>加熱調理用油脂としての前記<26>に記載の使用。
<28>揚げ物、炒め物又は焼き物の調理用油脂としての前記<26>に記載の使用。
【0038】
<29>脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールの、肉の生臭み抑制のための使用。
<30>脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールが、シクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル、シクロブラノールの脂肪酸エステル、シクロアルタノールの脂肪酸エステル、シクロサドールの脂肪酸エステル、シクロラウデノールの脂肪酸エステル、ブチロスペリモールの脂肪酸エステル及びパルケオールの脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはシクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル及びシクロブラノールの脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはシクロアルテノールの脂肪酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールの脂肪酸エステル又はこれらの組み合わせである、前記<29>に記載の使用。
<31>脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール中のシクロアルテノールの脂肪酸エステルの含有量が、15〜100%、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは25〜80%である、前記<29>又は<30>に記載の使用。
【実施例】
【0039】
〔分析方法〕
(i)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
カラム:DB−1ht 10.0m×0.25mm×0.10μm (Agilent)
インジェクター:340℃、スプリット比50:1
ディテクター:350℃(FID)
キャリアガス:ヘリウム、1mL/分
オーブン温度:80℃→(10℃/分)→340℃ (20分間保持)
【0040】
(ii)油脂の構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP−SIL88 100m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
インジェクター:250℃、スプリット比200:1
ディテクター:250℃(FID)
キャリアガス:ヘリウム、1mL/分
オーブン温度:174℃(50分保持)→(5℃/分)→220℃ (25分間保持)
【0041】
(iii)総トリテルペンアルコール
三角フラスコに、油脂サンプル約5gと2N水酸化カリウム/エタノール溶液約20mLを加え、80℃で60分間加熱した。室温まで放冷した後、内部標準(コレステロール)と水15mLとヘキサン10mLを加え、振とうした。静置後、上層を分取し、濃縮した。濃縮物にトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で30分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析し、総トリテルペンアルコール量(質量%)を測定した。
<GLC分析条件>
カラム:DB−1ht 10.0m×0.25mm×0.10μm (Agilent)
インジェクター:340℃、スプリット比80:1
ディテクター:350℃(FID)
キャリアガス:ヘリウム、1mL/分
オーブン温度:200℃→(10℃/分)→340℃ (10分間保持)
【0042】
(iv)遊離型トリテルペンアルコール
油脂サンプル約500mgをヘキサン約5mLに溶解し、SPEカートリッジ(Sep−Pak Silica、5g、GLサイエンス社)にチャージした。ヘキサン/エーテル(体積比95/5)約40mLで洗浄した後、エタノール/エーテル/ヘキサン(体積比50/25/25)約40mLで溶出し、エタノール/エーテル/ヘキサン溶出画分を分取した。得られた画分から溶媒を留去し、PTLC(Si60、20×20×0.1cm、Merck社)にチャージした。ヘキサン/エーテル/酢酸(体積比90/10/2)、クロロホルム/エーテル(体積比95/5)で順に展開した後、遊離型トリテルペンアルコール部分を分取した。分取した遊離型トリテルペンアルコール画分とトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で30分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析し、遊離型トリテルペンアルコール量(質量%)を測定した。GLC分析条件は、(iii)と同じものを用いた。
【0043】
(v)γ−オリザノール
油脂サンプル約100mgを酢酸エチルに溶解して10mLとし、HPLC法により分析した。
<HPLC分析条件>
カラム:Inertsil ODS−3 4.6mm×250mm、5μm(GLサイエンス)
カラム温度:40℃
流速:1.2mL/分
検出:UV325nm
溶離液:アセトニトリル/ブタノール/酢酸(体積比82/3/2)
【0044】
(vi)脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール
総トリテルペンアルコール量から、遊離型トリテルペンアルコール量と遊離型に換算したγ―オリザノール量を減算し、遊離型に換算した脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール量を算出した。遊離型から脂肪酸エステル型へ換算を行い、脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール量(質量%)とした。なお、遊離型から脂肪酸エステル型への換算を行う場合には、結合脂肪酸をオレイン酸と仮定して計算した。
【0045】
(vii)4−デスメチルステロール
(iv)遊離型トリテルペンアルコールと同様にして油脂サンプルから4−デスメチルステロール部分を分取し、ガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
【0046】
実施例1〜28及び比較例1〜12
〔油脂組成物の調製〕
遊離型トリテルペンアルコールは、市販のトリテルペンアルコール製剤(オリザ油化「オリザトリテルペノイドP」、トリテルペンアルコール59%)を用いた。本品の成分組成は、カンペステロール21%、β−シトステロール15%、スチグマステロール3%、シクロアルテノール22%、24−メチレンシクロアルタノール37%である。
脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールは、市販のトリテルペンアルコール脂肪酸エステル(築野食品工業「ライステロールエステル」、トリテルペンアルコールエステル31%)を精製して用いた。本品の成分組成は、シクロアルテノールエステル12%、24−メチレンシクロアルタノールエステル12%、シクロブラノールエステル7%、カンペステロールエステル14%、β−シトステロールエステル15%、スチグマステロールエステル4%である。
植物性ステロール(4−デスメチルステロール)は、市販の植物性ステロール製剤(タマ生化学工業(株)「フィトステロールS」、フィトステロール97%)を用いた。本品の成分組成は、ブラシカステロール5%、カンペステロール25%、スチグマステロール21%、β−シトステロール46%である。
【0047】
菜種白絞油(日清オイリオ(株)製)に対して、各成分を配合し、50℃の温度を保ちながら撹拌機を用いて全体が清澄になるまで混合・溶解を行い、油脂組成物をそれぞれ調製した。各油脂組成物の遊離型トリテルペンアルコール、脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール、4−デスメチルステロールの含有量は表2又は3に示したとおりである。
なお、菜種白絞油のグリセリド組成及び脂肪酸組成は、表1に示すとおりであった。また、菜種白絞油中の遊離型及び脂肪酸エステル型トリテルペンアルコール含量及びγ−オリザノール含量は0%であった。
【0048】
【表1】
【0049】
〔天ぷら調理〕
前記の各油脂組成物を用いて、下記の方法により、天ぷら調理を行った。
油量:600g(中華鍋)
油温:180℃、ガスコンロ(中火)加熱
揚げ種:エビ(ブラックタイガー)8尾
レンコン(スライス)8枚
カボチャ(スライス)8枚
ピーマン(1個を1/2切)8個
ししとう(丸ごと)8個
大葉(丸ごと)8枚
なす(1個を1/2切)8個
衣:小麦粉100g
卵50g
水150g
【0050】
〔耐冷性の評価〕
5℃で1日保存した際の外観をパネル9名が下記の評価基準で評価し、その平均値を耐冷性の評点とした。結果を表2及び3に示す。
(耐冷性)
5:非常に良好
4:良好
3:概ね良好だが、わずかに霞がかっている
2:やや劣り、若干霞がかっている
1:劣り、白濁している
【0051】
〔風味の評価〕
フライ調理品の風味をパネル9名が下記の評価基準で評価し、その平均値をその天ぷらの評点とした。なお、苦味については、ピーマン、ししとうの調理品を評価した。結果を表2及び3に示す。
(苦味)
5:苦味がない
4:苦味がかなり減少
3:苦味が減少
2:苦味がわずかに減少
1:苦味がある
(全体の風味)
5:揚げ種の風味が感じられる
4:揚げ種の風味がかなり感じられる
3:揚げ種の風味がやや感じられる
2:揚げ種の風味があまり感じられない
1:揚げ種の風味が感じられない
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
表2に示された結果から明らかなように、遊離型トリテルペンアルコール及び脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールを特定量ずつ配合した油脂組成物は、優れた低温耐性を示した。また、この油脂組成物を使用して調理した揚げ物は、揚げ種本来の良好な風味が感じられ、一方で消費者に敬遠されがちな苦味は低減され、風味において良好な性能を示すことが確認された。
これに対し、トリテルペンアルコールのうち遊離型を多く含む油脂は、耐冷性に劣り(比較例3、7)、特に脂肪酸エステル型も多くなると低温保存時に白濁が生じた(比較例9−11)。
また、菜種白絞油(比較例1)や遊離型の含量が少ない油脂(比較例2)を使用した揚げ物は、揚げ種の苦味がそのまま残り、4−デスメチルステロールを含む油脂(比較例12)においても揚げ種の苦味がそのまま残った。また、脂肪酸エステル型が多くなると、揚げ種の風味をマスキングしてしまい、揚げ種本来の良好な風味を感じ難くなった(比較例8−11)。また、遊離型に対する脂肪酸エステル型の比率が大きくなると、苦味の抑制が低減され、揚げ種本来の良好な風味を感じ難くなった(比較例4−6、8、9)。
【0055】
実施例29〜34、比較例13
上記で調製した油脂のうち表4に記載した油脂を用い、下記方法にてチャーハンを作製した。
鉄製フライパン(直径24cm)に油脂組成物9gを入れ、中火で加熱し、長葱(10g)、卵(40g)を炒めた後、冷えたご飯(300g)を炒め、塩(1g)、醤油(2.5mL)で味付けした。得られたチャーハンの風味(長葱の苦味)、米粒の食感をパネル9名が下記の評価基準で評価し、その平均値をそのチャーハンの評点とした。結果を表4に示す。
(苦味)
5:苦味がない
4:苦味がかなり減少
3:苦味が減少
2:苦味がわずかに減少
1:苦味がある
(米粒の食感)
5:パラパラとほぐれ、美味しい
4:わずかにかたまりを生じる
3:ややかたまりが生じる
2:かたまりが生じ、ややベタベタする
1:かたまりが生じ、ベタベタする
【0056】
【表4】
【0057】
表4に示された結果から明らかなように、遊離型トリテルペンアルコール及び脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールを特定量ずつ配合した油脂組成物を使用して調理したチャーハンは、風味、食感において良好な性能を示すことが確認された。
これに対し、遊離型に比べ脂肪酸エステル型を多く含む油脂(比較例13)においては、米粒が粘ついた。
【0058】
実施例35〜42、比較例14〜16
上記で調製した油脂のうち表4に記載した油脂を用い、下記方法にてヒレカツ調理を行った。
油量:600g(中華鍋)
油温:180℃、ガスコンロ(中火)加熱
揚げ種:豚ヒレ(4枚×3回)
下準備:塩コショウで味付け後、卵、小麦粉、パン粉をまぶした
【0059】
〔風味の評価〕
フライ調理品の風味をパネル9名が下記の評価基準で評価し、その平均値をその天ぷらの評点とした。結果を表5に示す
(肉の生臭み)
5:生臭みがない
4:生臭みがかなり減少
3:生臭みが減少
2:生臭みがわずかに減少
1:生臭みがある
(全体の風味)
5:揚げ種の風味が感じられる
4:揚げ種の風味がかなり感じられる
3:揚げ種の風味がやや感じられる
2:揚げ種の風味があまり感じられない
1:揚げ種の風味が感じられない
【0060】
【表5】
【0061】
表5に示された結果から明らかなように、脂肪酸エステル型トリテルペンアルコールを特定量配合した油脂組成物を使用して調理した揚げ物は、揚げ種本来の良好な風味が感じられ、一方で消費者に敬遠されがちな肉の生臭みは低減され、風味において良好な性能を示すことが確認された。
また、菜種白絞油(比較例14)を使用した揚げ物は、揚げ種の生臭みがそのまま残った。また、脂肪酸エステル型が多くなると、揚げ種本来の風味を感じ難くなった(比較例15−16)。