(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
<1.装置構成>
第1の実施の形態に係る描画装置1の構成について、
図1、
図2を参照しながら説明する。
図1は、描画装置1の構成を模式的に示す側面図である。
図2は、描画装置1の構成を模式的に示す平面図である。
【0023】
描画装置1は、レジスト等の感光材料の層が形成された基板Wの上面に光を照射して、パターン(例えば、回路パターン)を露光する露光装置である。なお、基板Wは、例えば、半導体基板、プリント基板、液晶表示装置等に具備されるカラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置等に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、太陽電池用パネル、等のいずれであってもよい。図示の例では、基板Wとして、円形の半導体基板が例示されている。ただし、ここでいう「円形」には、完全な円形だけでなく、円形の外周縁の一部に切り欠きまたは平坦な縁部等が形成されている形状を含む。
【0024】
描画装置1は、本体フレーム101で構成される骨格の天井面および周囲面にカバーパネル(図示省略)が取り付けられることによって形成される本体内部と、本体フレーム101の外側である本体外部とに、各種の構成要素を配置した構成となっている。
【0025】
描画装置1の本体内部は、処理領域102と受渡し領域103とに区分されている。処理領域102には、主として、基板Wを保持するステージ10、ステージ10を移動させるステージ駆動機構20、ステージ10の位置を計測するステージ位置計測部30、基板Wの上面に光を照射する2個の光学ユニット40、および、基板W上のアライメントマークを撮像するアライメント撮像部50が配置される。一方、受渡し領域103には、処理領域102に対する基板Wの搬出入を行う搬送装置60とプリアライメント部70とが配置される。
【0026】
描画装置1の本体外部であって、受渡し領域103に隣接する位置には、カセットCを載置するためのカセット載置部104が配置される。受渡し領域103に配置された搬送装置60は、カセット載置部104に載置されたカセットCに収容された未処理の基板Wを取り出して処理領域102に搬入するとともに、処理領域102から処理済みの基板Wを搬出してカセットCに収容する。カセット載置部104に対するカセットCの受渡しは外部搬送装置(図示省略)によって行われる。
【0027】
また、描画装置1は、描画装置1が備える各部と電気的に接続されて、これら各部の動作を制御する制御部80を備える。
【0028】
以下において、描画装置1が備える各部の構成について説明する。
【0029】
<ステージ10>
ステージ10は、平板状の外形を有し、その上面に円形の基板Wを水平姿勢に載置して保持する保持部である。ステージ10の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、ステージ10上に載置された基板Wをステージ10の上面に固定保持することができるようになっている。
【0030】
<ステージ駆動機構20>
ステージ駆動機構20は、ステージ10を基台105に対して移動させる機構であり、ステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、および回転方向(Z軸周りの回転方向(θ軸方向))に移動させる。ステージ駆動機構20は、具体的には、ステージ10を回転させる回転機構21と、回転機構21を介してステージ10を支持する支持プレート22と、支持プレート22を副走査方向に移動させる副走査機構23とを備える。ステージ駆動機構20は、さらに、副走査機構23を介して支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25とを備える。
【0031】
回転機構21は、ステージ10の上面(基板Wの載置面)の中心を通り、当該載置面に垂直な回転軸Aを中心としてステージ10を回転させる。回転機構21は、例えば、上端が載置面の裏面側に固着され、鉛直軸に沿って延在する回転軸部211と、回転軸部211の下端に設けられ、回転軸部211を回転させる回転駆動部(例えば、回転モータ)212とを含む構成とすることができる。この構成においては、回転駆動部212が回転軸部211を回転させることにより、ステージ10が水平面内で回転軸Aを中心として回転することになる。
【0032】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子とベースプレート24の上面に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ231とを有している。また、ベースプレート24には、副走査方向に延びる一対のガイド部材232が敷設されており、各ガイド部材232と支持プレート22との間には、ガイド部材232に摺動しながら当該ガイド部材232に沿って移動可能なボールベアリングが設置されている。つまり、支持プレート22は、当該ボールベアリングを介して一対のガイド部材232上に支持される。この構成においてリニアモータ231を動作させると、支持プレート22はガイド部材232に案内された状態で副走査方向に沿って滑らかに移動する。
【0033】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子と描画装置1の基台105上に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ251を有している。また、基台105には、主走査方向に延びる一対のガイド部材252が敷設されており、各ガイド部材252とベースプレート24との間には例えばエアベアリングが設置されている。エアベアリングにはユーティリティ設備から常時エアが供給されており、ベースプレート24は、エアベアリングによってガイド部材252上に非接触で浮上支持される。この構成においてリニアモータ251を動作させると、ベースプレート24はガイド部材252に案内された状態で主走査方向に沿って摩擦なしで滑らかに移動する。
【0034】
<ステージ位置計測部30>
ステージ位置計測部30は、ステージ10の位置を計測する機構であり、ステージ10外からステージ10に向けてレーザ光を出射するとともにその反射光を受光し、当該反射光と出射光との干渉からステージ10の位置(具体的には、主走査方向に沿うY位置、および、回転方向に沿うθ位置)を計測する、干渉式のレーザ測長器により構成される。
【0035】
ステージ位置計測部30は、例えば、ステージ10の−Y側の側面に取り付けられるとともに、−Y側の面に主走査方向に垂直な反射面を備えるプレーンミラー31と、ステージの−Y側において基台105に対して固定される各部(具体的には、レーザ光源32、スプリッタ33、第1リニア干渉計34、第1レシーバ35、第2リニア干渉計36および第2レシーバ37)とを備える構成とすることができる。
【0036】
このステージ位置計測部30においては、レーザ光源32から出射されたレーザ光は、スプリッタ33により2分割され、一方のレーザ光の一部が第1リニア干渉計34を介してプレーンミラー31上の第1の部位に入射し、プレーンミラー31からの反射光が、第1リニア干渉計34において元のレーザ光の一部(これが参照光として利用される)と干渉して第1レシーバ35により受光される。第1レシーバ35における、反射光と参照光との干渉後の強度変化に基づいて、第1リニア干渉計34とプレーンミラー31との主走査方向における距離が特定される。この第1レシーバ35からの出力に基づいて、専門の演算回路(図示省略)にてステージ10の主走査方向における位置が求められる。
【0037】
一方、レーザ光源32から出射されてスプリッタ33により分割された他方のレーザ光の一部は、取付台38の内部を+X側から−X側へと通過し、第2リニア干渉計36を介してプレーンミラー31に入射する。ここで、第2リニア干渉計36からのレーザ光は、プレーンミラー31上の第1の部位から副走査方向に一定距離だけ離間したプレーンミラー31上の第2の部位に入射することになる。プレーンミラー31からの反射光は、第2リニア干渉計36において元のレーザ光の一部と干渉して第2レシーバ37により受光される。第2レシーバ37における、反射光と参照光との干渉後の強度変化に基づいて、第2リニア干渉計36とプレーンミラー31との主走査方向における距離が特定される。第2レシーバ37からの出力と上述した第1レシーバ35からの出力に基づいて、専門の演算回路(図示省略)にてステージ10の回転角度が求められる。
【0038】
<光学ユニット40>
光学ユニット40は、ステージ10上に保持された基板Wの上面に光を照射して基板Wにパターンを描画するための機構である。上述したとおり、描画装置1は2個の光学ユニット40,40を備える。一方の光学ユニット40は基板Wの+X側半分の露光を担当し、他方の光学ユニット40は基板Wの−X側半分の露光を担当する。これら2個の光学ユニット40,40は、ステージ10およびステージ駆動機構20を跨ぐようにして基台105上に架設された支持フレーム107に、副走査方向(X軸方向)に沿って、間隔をあけて固設される。なお、2個の光学ユニット40,40の間隔は必ずしも一定に固定されている必要はなく、光学ユニット40,40の一方あるいは両方の位置を変更可能とする機構を設けて、両者の間隔を調整可能としてもよい。
【0039】
2個の光学ユニット40,40はいずれも同じ構成を備える。すなわち、各光学ユニット40は、天板を形成するボックスの内部に配置されたレーザ駆動部41、レーザ発振器42および照明光学系43と、支持フレーム107の+Y側に取り付けられた付設ボックスの内部に収容されたヘッド部400とを備える。ヘッド部400は、空間光変調ユニット44と投影光学系45と光路補正部46とを主として備える。
【0040】
レーザ発振器42は、レーザ駆動部41からの駆動を受けて、出力ミラー(図示省略)からレーザ光を出射する。照明光学系43は、レーザ発振器42から出射された光(スポットビーム)を、強度分布が均一な線状の光(光束断面が線状の光であるラインビーム)とする。レーザ発振器42から出射され、照明光学系43にてラインビームとされた光は、ヘッド部400に入射する。
【0041】
ヘッド部400に入射した光は、ここで「パターンデータ」に応じた空間変調を施された上で、基板Wに照射される。すなわち、ヘッド部400に入射した光は、具体的には、ミラー47を介して、定められた角度で空間光変調ユニット44に入射する。空間光変調ユニット44は、当該入射光をパターンデータに応じて空間変調して、パターンの描画に寄与させる必要光と、パターンの描画に寄与させない不要光とを、互いに異なる方向に反射させる。ただし、光を空間変調させるとは、光の空間分布(振幅、位相、および偏光等)を変化させることを意味する。ここで、「パターンデータ」とは、例えば、CAD(computer aided design)を用いて生成されたCADデータをラスタライズしたデータであり、光を照射すべき基板W上の位置情報が画素単位で記録される。パターンデータは、例えばネットワーク等を介して接続された外部端末装置から受信することによって、あるいは、記録媒体から読み取ることによって取得されて、制御部80の記憶装置に格納される。
【0042】
空間光変調ユニット44は、具体的には、電気的な制御によって入射光を空間変調させる空間光変調器441を備える。空間光変調器441は、その反射面の法線が、ミラー47を介して入射する入射光の光軸に対して傾斜して配置され、当該入射光を制御部80の制御に応じて空間変調させる。空間光変調器441は、例えば、回折格子型の空間変調器(例えば、GLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・開閉弁)(シリコン・ライト・マシーンズ(サンノゼ、カリフォルニア)の登録商標)等を利用して構成される。回折格子型の空間変調器は、格子の深さを変更することができる回折格子であり、例えば、半導体装置製造技術を用いて製造される。
【0043】
空間光変調器441の構成例についてより具体的に説明する。空間光変調器441は、例えば、複数の空間光変調素子を一次元に並べた構成となっている。各空間光変調素子の動作は、電圧のオン/オフで制御される。すなわち、例えば電圧がオフされている状態においては空間光変調素子の表面は平面となっており、この状態で空間光変調素子に光が入射すると、その入射光は回折せずに正反射する。これにより、正反射光(0次回折光)が発生する。一方、例えば電圧がオンされている状態においては、空間光変調素子の表面には平行な溝が周期的に並んで複数本形成される。この状態で空間光変調素子に光が入射すると、正反射光(0次回折光)は打ち消しあって消滅し、他の次数の回折光(±1次回折光、±2次回折光、および、さらに高次の回折光)が発生する。より正確には、0次回折光の強度が最小となり、他の次数の回折光の強度が最大となる。空間光変調器441は、複数の空間光変調素子のそれぞれに対して独立に電圧を印加可能なドライバ回路ユニットを備えており、各空間光変調素子の電圧が独立して切り換え可能となっている。
【0044】
投影光学系45は、空間光変調器441にて空間変調された光のうち、パターンの描画に寄与させるべきでない不要光を遮断するとともにパターンの描画に寄与させるべき必要光のみを基板Wの表面に導いて、当該表面に結像させる。ただし、空間光変調器441にて空間変調された光には、上述したとおり、0次回折光と、0次以外の次数の回折光(具体的には、±1次回折光、±2次回折光、および、比較的微量の±3次以上の高次回折光)とが含まれており、0次回折光がパターンの描画に寄与させるべき必要光であり、それ以外の回折光がパターンの描画に寄与させるべきでない不要光である。これら必要光と不要光とは互いに異なる方向に沿って出射される。すなわち、必要光はZ軸に沿って−Z方向に、不要光はZ軸から±X方向に僅かに傾斜した軸に沿って−Z方向に、それぞれ出射される。投影光学系45は、例えば、遮断板によって、Z軸から±X方向に僅かに傾斜した軸に沿って進行する不要光を遮断するとともに、Z軸に沿って進行する必要光のみを通過させる。投影光学系45は、この遮断板の他に、入射光の幅を広げる(あるいは狭める)ズーム部を構成する複数のレンズ、入射光を定められた倍率として基板W上に結像させる対物レンズ、等をさらに含む構成とすることができる。
【0045】
光学ユニット40に描画動作を実行させる場合、制御部80は、レーザ駆動部41を駆動してレーザ発振器42から光を出射させる。出射された光は照明光学系43にてラインビームとされ、ミラー47を介して空間光変調ユニット44の空間光変調器441に入射する。上述したとおり、空間光変調器441においては複数の空間光変調素子が副走査方向(X軸方向)に沿って並んで配置されており、入射光はその線状の光束断面を空間光変調素子の配列方向に沿わせるようにして、一列に配列された複数の空間光変調素子に入射する。制御部80は、パターンデータに基づいてドライバ回路ユニットに指示を与え、ドライバ回路ユニットが指示された空間光変調素子に対して電圧を印加する。これによって、各空間光変調素子にて個々に空間変調された光が形成され、基板Wに向けて出射されることになる。空間光変調器441が備える空間光変調素子の個数を「N個」とすると、空間光変調器441からは、副走査方向に沿うN画素分の空間変調された光が出射されることになる。空間光変調器441にて空間変調された光は、必要な場合は後述する光路補正部46によりその光路を補正された上で、投影光学系45に入射する。そして、投影光学系45において、入射光のうちの不要光が遮断されるとともに必要光のみが基板Wの表面に導かれ、定められた倍率とされて基板Wの表面に結像される。
【0046】
後に明らかになるように、各光学ユニット40は、主走査方向(Y軸方向)に沿って光学ユニット40に対して相対的に移動されるステージ10に保持された基板Wに対して、副走査方向に沿うN画素分の空間変調された光を断続的に照射し続ける(すなわち、基板Wの表面にパルス光を繰り返して投影し続ける)。したがって、光学ユニット40が主走査方向に沿って基板Wに対して相対移動して基板Wを横断すると、基板Wの表面に、主走査方向に沿って延在し、副走査方向に沿ってN画素分の幅(以下、「描画幅」ともいう)をもつ、1本の帯状領域に、パターン群が描画されることになる。この、帯状領域を、以下、「ストライプ領域」ともいう。
【0047】
光路補正部46は、ヘッド部400において、空間光変調ユニット44と投影光学系45との間に設けられ、空間光変調ユニット44で変調された光の経路を副走査方向(X方向)に沿ってシフトさせる。光路補正部46は、例えば、2個のウェッジプリズム(非平行な光学面を備えることにより入射光の光路を変更できるプリズム)と、一方のウェッジプリズムを、他方のウェッジプリズムに対して、入射光の光軸の方向(Z軸方向)に沿って直線的に移動させるウェッジプリズム移動機構とから実現することができる。この構成においては、ウェッジプリズム移動機構を駆動制御して、2個のウェッジプリズム間の離間距離を調整することによって、必要な量だけ入射光をシフトさせることができる。光路補正部46が必要に応じて光の経路をシフトさせることによって、基板Wに照射される光の位置を副走査方向に沿って微調整することが可能となる。
【0048】
<アライメント撮像部50>
アライメント撮像部50は、支持フレーム107に固設され、ステージ10に保持された基板Wの上面に形成されたアライメントマークを撮像する。アライメント撮像部50は、例えば、
図3に模式的に示されるように、鏡筒51、対物レンズ52、および、例えばエリアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)により構成されるCCDイメージセンサ53を備える。また、アライメント撮像部50は、撮像に用いられる照明光を供給する照明ユニット501とファイバ等を介して接続される。ただし、この照明光としては、基板W上のレジスト等を感光させない波長の光源が採用される。照明ユニット501から出射される光はファイバを介して鏡筒51に導かれ、鏡筒51を介して基板Wの上面に導かれる。そして、その反射光が、対物レンズ52を介してCCDイメージセンサ53で受光される。これによって、基板Wの上面の撮像データが取得されることになる。CCDイメージセンサ53は、制御部80(具体的には、後述する画像処理部92)からの指示に応じて撮像データを取得するとともに、取得した撮像データを制御部80(具体的には、画像処理部92)に送信する。なお、アライメント撮像部50はオートフォーカス可能なオートフォーカスユニットをさらに備えていてもよい。
【0049】
<搬送装置60>
搬送装置60は、基板Wを支持するための2本のハンド61,61と、ハンド61,61を独立に移動させるハンド駆動機構62とを備える。各ハンド61は、ハンド駆動機構62によって駆動されることにより進退移動および昇降移動されて、ステージ10に対する基板Wの受渡しを行う。
【0050】
<プリアライメント部70>
プリアライメント部70は、基板Wの回転位置を粗く補正する装置である。プリアライメント部70は、例えば、回転可能に構成された載置台と、載置台に載置された基板Wの外周縁の一部に形成された切り欠き部(例えば、ノッチ、オリエンテーションフラット等)の位置を検出するセンサと、載置台を回転させる回転機構とから構成することができる。この場合、プリアライメント部70におけるプリアライメント処理は、まず、載置台に載置された基板Wの切り欠き部の位置をセンサで検出し、続いて、回転機構が、当該切り欠き部の位置が定められた位置となるように載置台を回転させることによって行われる。
【0051】
<制御部80>
制御部80は、描画装置1が備える各部と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ描画装置1の各部の動作を制御する。
【0052】
制御部80の構成について、
図4を参照しながら具体的に説明する。制御部80は、例えば、描画装置1の本体部に設けられた制御用基板800と、複数のコンピュータ801,802とを含んで構成され、各部が協働することにより実現される。
【0053】
制御用基板800は、例えば、制御用VME(VERSAmodule Eurocard)ボードにより構成される。制御用基板800には、描画処理に直接的に関連する制御系統が実現される。具体的には、制御用基板800には、例えば、ステージ駆動機構20を制御してステージ10を移動させる移動制御部91、ステージ位置計測部30を制御してステージ10の位置を計測するレーザ測長部(図示省略)、光学ユニット40,40を制御して描画光を出射させる描画制御部(図示省略)、主制御部(図示省略)、等が実現されており、これら各部がVMEバス等を介して互いに接続されている。なお、主制御部は、例えば、演算処理を実行するCPU、描画処理に関連する情報を記憶するメモリ、ネットワーク(例えば、LAN等の通信回線)を介してコンピュータ801,802等との間でコマンドやデータなどの送受信を行う通信部等を備えており、これらの構成要素が1つのCPUボードに搭載された構成となっている。
【0054】
複数のコンピュータ801,802のそれぞれは、例えば、
図5に示されるように、CPU81、ROM82、RAM83、記憶装置84等がバスライン85を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成される。各コンピュータ801,802は、ネットワーク(例えば、LAN等の通信回線)を介して互いに接続されているとともに、制御用基板800ともネットワーク(例えば、LAN等の通信回線)を介して接続されている。各コンピュータ801,802において、ROM82は基本プログラム等を格納しており、RAM83はCPU81が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置84は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。記憶装置84にはプログラムPが格納されており、このプログラムPに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU81が演算処理を行うことにより、各種機能が実現されるように構成されている。プログラムPは、通常、予め記憶装置84等のメモリに格納されて使用されるものであるが、CD−ROMあるいはDVD−ROM、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態(プログラムプロダクト)で提供され(あるいは、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより提供され)、追加的または交換的に記憶装置84等のメモリに格納されるものであってもよい。なお、各コンピュータ801,802において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。また、各コンピュータ801,802では、入力部86、表示部87、通信部88もバスライン85に接続されている。入力部86は、例えば、キーボードおよびマウスによって構成される入力デバイスであり、オペレータからの各種の操作(コマンドや各種データの入力といった操作)を受け付ける。なお、入力部86は、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されてもよい。表示部87は、液晶表示装置、ランプ等により構成される表示装置であり、CPU81による制御の下、各種の情報を表示する。通信部88は、ネットワークを介して外部装置との間でコマンドやデータなどの送受信を行うデータ通信機能を有する。
【0055】
第1コンピュータ801には、描画装置1の動作を統括制御する統括制御部90が実現される。また、第2コンピュータ802には、各種の画像処理等を実行する画像処理部92が実現される。描画処理に直接的に関連する制御系統を、コンピュータ801,802とは別の制御用基板800にて実現することによって、描画処理の制御に特化した基本プログラムによって当該制御系統を形成することができるため、安定した描画処理を実現することが可能となる。
【0056】
ただし、ここでは、第2コンピュータ802と制御用基板800とは、サーバとクライアントの関係を形成しているものとする。すなわち、第2コンピュータ802は、サーバとして動作するサーバ部であり、制御用基板800は、クライアントとして動作するクライアント部である。このため、サーバ部である第2コンピュータ802にて実現される画像処理部92を起点として、クライアント部である制御用基板800にて実現される移動制御部91に対して制御信号等を送信することはできないという制限がある。
【0057】
<2.描画装置1の動作>
描画装置1において実行される基板Wに対する一連の処理の全体の流れについて、
図6を参照しながら説明する。
図6は、当該処理の流れを示す図である。以下に説明する一連の動作は、制御部80の制御下で行われる。
【0058】
まず、搬送装置60が、カセット載置部104に載置されたカセットCから未処理基板Wを取り出して描画装置1に搬入する(ステップS1)。なお、処理対象となる基板Wには、例えば、
図7に示されるように、格子状のスクライブライン121が形成されており、スクライブライン121によって囲まれた複数の露光領域122が規定されている。また、スクライブライン121上には、複数のアライメントマークALが形成されている。アライメントマークALは、例えば、基板Wの前後方向の位置合わせに用いられるマーク部分(基板Wの前後方向に沿う長尺のマーク部分)と、基板Wの左右方向の位置合わせに用いられるマーク部分(基板Wの左右方向に沿う長尺のマーク部分)とが重ねられた十字状のマークであり、例えば、一辺が約0.1mm(ミリメートル)の多層膜反射層(蒸着等の方法によって形成され、赤外線を効率よく反射する多層膜反射層)により形成される。なお、図においては2個のアライメントマークALが示されているが、基板Wにはさらに多くのアライメントマークALが形成されていてもよい。また、アライメントマークALの形状も、上述したものに限らない。
【0059】
続いて、搬送装置60は搬入した基板Wをプリアライメント部70に搬入し、プリアライメント部70にて当該基板Wに対するプリアライメント処理が行われる(ステップS2)。プリアライメント処理は、上述したとおり、例えば、載置台に載置された基板Wの切り欠き部の位置をセンサで検出し、当該切り欠き部の位置が定められた位置となるように載置台を回転させることによって行われる。これによって、載置台に載置された基板Wが定められた回転位置におおまかに位置合わせされた状態におかれることになる。
【0060】
続いて、搬送装置60が、プリアライメント処理済みの基板Wをプリアライメント部70から搬出してこれをステージ10に載置する(ステップS3)。ステージ10は、その上面に基板Wが載置されると、これを吸着保持する。
【0061】
基板Wがステージ10に吸着保持された状態となると、続いて、当該基板Wが適正な位置にくるように精密に位置合わせする処理(ファインアライメント)が行われる(ステップS4)。
【0062】
基板Wの位置あわせ処理について、
図8を参照しながら具体的に説明する。
図8は、基板Wの位置あわせ処理の流れを示す図である。
【0063】
まず、制御部80(具体的には、移動制御部91)が、ステージ駆動機構20を制御して、ステージ10をアライメント撮像部50の下方位置まで移動させる(ステップS41)。
【0064】
ステージ10がアライメント撮像部50の下方に配置されると、続いて、制御部80(具体的には、画像処理部92)が、アライメント撮像部50に、基板W上のアライメントマークALを撮像させて、撮像データを取得する(ステップS42)。
【0065】
続いて、制御部80(具体的には、画像処理部92)が、アライメント撮像部50により取得された撮像データから、アライメントマークALを検出する(ステップS43)。アライメントマークALの検出は、テンプレートTとのパターンマッチングによって行われる。ここで、パターンマッチングに用いられるテンプレートTは、予め記憶装置(第2コンピュータ802の記憶装置)84に登録されており(
図4参照)、画像処理部92は、検出すべきアライメントマーク(すなわち、処理対象となる基板Wに形成されているアライメントマーク)ALと対応するテンプレートTを、記憶装置84から読み出して、当該テンプレートTを用いてパターンマッチングを行う。ただし、記憶装置84には複数種類のアライメントマークそれぞれのテンプレートTが格納されていてもよく、この場合、統括制御部90(
図4参照)がパターンマッチングに用いるべきテンプレートTの識別記号(テンプレートID)をレシピ等に基づいて特定し、当該識別記号が、制御用基板800(
図4参照)を介して、画像処理部92に通知される。そして、画像処理部92が、通知された識別記号が付与されているテンプレートTを記憶装置84から読み出して、当該テンプレートTを用いてパターンマッチングを行う。
【0066】
アライメントマークALが検出されると、制御部80は、当該検出位置の理想位置からのずれ量に基づいて、基板Wの理想位置からのずれ量を特定し、ステージ駆動機構20を制御して、当該算出されたずれ量だけステージ10を移動させて、基板Wが理想位置にくるように位置合わせする(ステップS44)。なお、ステージ10の位置調整に代えて、制御部80は、パターンデータに記述されるパターンを、当該特定されたずれ量分だけずらすように修正してもよい。また、当該特定されたずれ量のうち、ある方向成分についてはステージ10の位置調整によって対応し、残りの方向成分についてはパターンデータの修正によって対応してもよい。
【0067】
再び
図6を参照する。基板Wが位置合わせされると、続いて、パターンの描画処理が行われる(ステップS5)。描画処理について、
図9を参照しながら具体的に説明する。
図9は、描画処理を説明するための図である。
【0068】
描画処理は、移動制御部91の制御下でステージ駆動機構20がステージ10に載置された基板Wを光学ユニット40,40に対して相対的に移動させつつ、光学ユニット40,40のそれぞれから基板Wの上面に空間変調された光を照射させることによって行われる。
【0069】
具体的には、ステージ駆動機構20は、まず、アライメント撮像部50の下方位置に配置されているステージ10を主走査方向(Y軸方向)に沿って+Y方向に移動させることによって、基板Wを光学ユニット40,40に対して主走査方向に沿って相対的に移動させる(主走査)。これを基板Wからみると、各光学ユニット40は基板W上を主走査方向に沿って−Y方向に横断することになる(矢印AR11)。主走査が行われる間、各光学ユニット40は、パターンデータに応じた空間変調が形成された光(具体的には、副走査方向に沿うN画素分の空間変調された光)を、基板Wに向けて断続的に照射し続ける(すなわち、基板Wの表面にパルス光が繰り返して投影され続ける)。つまり、各光学ユニット40は、副走査方向に沿うN画素分の空間変調された光を断続的に照射し続けながら基板W上を主走査方向に沿って横断する。したがって、光学ユニット40が主走査方向に沿って基板Wを1回横断すると、1本のストライプ領域m(主走査方向に沿って延在し、副走査方向に沿う幅が描画幅に相当する領域)に、パターン群が描画されることになる。ここでは、2個の光学ユニット40が同時に基板Wを横断するので、一回の主走査により2本のストライプ領域mのそれぞれにパターン群が描画されることになる。
【0070】
1回の主走査が終了すると、ステージ駆動機構20は、ステージ10を副走査方向(X軸方向)に沿って−X方向に、描画幅に相当する距離だけ移動させることによって、基板Wを光学ユニット40,40に対して副査方向に沿って相対的に移動させる(副走査)。これを基板Wからみると、各光学ユニット40は副走査方向に沿って+X方向に、ストライプ領域mの幅分だけ移動することになる(矢印AR12)。
【0071】
副走査が終了すると、再び主走査が行われる。すなわち、ステージ駆動機構20は、ステージ10を主走査方向に沿って−Y方向に移動させることによって、基板Wを光学ユニット40,40に対して主走査方向に沿って相対的に移動させる。これを基板Wからみると、各光学ユニット40は、基板W上における、先の主走査で描画されたストライプ領域mの隣を、主走査方向に沿って+Y方向に移動して横断することになる(矢印AR13)。ここでも、各光学ユニット40は、パターンデータに応じた空間変調が形成された光を、基板Wに向けて断続的に照射し続けながら基板W上を主走査方向に沿って横断する。これによって、先の主走査で描画されたストライプ領域mの隣のストライプ領域mに、パターン群が描画されることになる。以後、同様に、主走査と副走査とが繰り返して行われ、描画対象領域の全域にパターンが描画されると、描画処理が終了する。
【0072】
再び
図6を参照する。描画処理が終了すると、搬送装置60が処理済みの基板Wを搬出する(ステップS6)。これによって、当該基板Wに対する一連の処理が終了する。
【0073】
<3.テンプレートTの作成>
上述したとおり、描画装置1においては、基板Wに対する一連の処理の中で、処理対象となる基板Wに形成されているアライメントマークALを撮像し、当該撮像データからパターンマッチングによってアライメントマークALを検出する処理が行われる。ここで、描画装置1は、基板Wに対する上述した一連の処理が行われるのに先立って、アライメントマークの検出に用いられるテンプレートTを作成して登録する機能(以下、「テンプレート登録機能」ともいう)を備えている。以下において、テンプレート登録機能について説明する。
【0074】
<3−1.機能構成>
テンプレート登録機能に関する構成について、
図4を参照しながら説明する。テンプレート登録機能に関する構成として、画像処理部92は、撮像制御部921と、表示制御部922と、受付部923と、ACK信号生成部924と、テンプレート作成処理部925とを備える。これら各部は、第2コンピュータ802において、プログラムPに記述された手順に従ってCPU81が演算処理を行うことにより実現される。
【0075】
撮像制御部921は、アライメント撮像部50と電気的に接続されており、移動制御部91からの撮像指示に応じて、アライメント撮像部50に、ステージ10に保持された基板Wを撮像させて、撮像データを取得させる。
【0076】
表示制御部922は、表示部(第2コンピュータ802の表示部)87に各種の情報を表示させる機能部である。表示制御部922は、アライメント撮像部50が取得した撮像データを表示する画面(後述する、撮像データ表示画面7)等の各種画面を、表示部87に表示させる。
【0077】
受付部923は、入力部(第2コンピュータ802の入力部)86を介して、オペレータから各種の操作(例えば、後述する、追加移動指示、追加移動量、移動終了指示等の入力操作等)を受け付ける。
【0078】
ACK信号生成部924は、移動制御部91から撮像指示を受信した場合に、当該撮像指示に対する応答信号であるACK(ACKnowledgement)信号(送達確認信号、肯定応答信号)を生成して、通信部(第2コンピュータ802の通信部)88を介して、移動制御部91に送信させる。
【0079】
テンプレート作成処理部925は、アライメント撮像部50によって取得された登録用撮像データから、アライメントマークALのテンプレートTを作成して、記憶装置(第2コンピュータ802の記憶装置)84に格納する。
【0080】
<3−2.画面構成>
上述したとおり、画像処理部92においては、表示制御部922が、アライメント撮像部50が取得した撮像データを表示部87に表示させる。撮像データを表示する画面(撮像データ表示画面7)の構成について、
図10、
図11を参照しながら説明する。
図10には、撮像データ表示画面7の構成例が示されている。
図11には、撮像画像表示領域71の表示内容が更新された後の様子が示されている。
【0081】
撮像データ表示画面7には、アライメント撮像部50が取得した撮像データが表示される撮像画像表示領域71が配置される。撮像画像表示領域71の中央には、例えば十字マーク等が表示されており、撮像エリアの中央位置が一目でわかるようになっていることが好ましい。表示制御部922は、アライメント撮像部50によって撮像データが取得されると、当該取得された撮像データを撮像画像表示領域71に表示させる。また、撮像画像表示領域71に撮像データが表示されている状態で、アライメント撮像部50によって新たな撮像データが取得されると、撮像画像表示領域71の表示内容を更新して、当該新たに取得された撮像データを撮像画像表示領域71に表示させる。
【0082】
さらに、撮像データ表示画面7には、画像処理部92が移動制御部91と通信中であることをオペレータに報知するための報知アイコン72が配置される。ただし、ここで「通信中」とは、画像処理部92が移動制御部91から撮像指示を受信してから(
図14のステップS201)、当該撮像指示に対するACK信号を返信するまで(
図14のステップS206)の期間Bを指す(
図15参照)。表示制御部922は、移動制御部91との通信中の期間Bとそれ以外の期間とで報知アイコン72の表示状態を変化させる(例えば、通信中の期間Bは報知アイコン72を赤くする、あるいは、点滅させる)。したがって、オペレータは、報知アイコン72の表示状態から、移動制御部91と通信中であるか否かを知得することができる。
【0083】
撮像データ表示画面7は、オペレータからの各種の入力操作を受け付ける受付画面としても機能する。すなわち、撮像データ表示画面7には、ステージ10の追加の移動量の入力を受け付ける入力ボックス73(具体的には、X軸に沿うステージ10の追加の移動量の入力を受け付ける第1入力ボックス731、および、Y軸に沿うステージ10の追加の移動量の入力を受け付ける第2入力ボックス732)が配置される。また、撮像データ表示画面7には、ステージ10を追加移動させる旨の指示(追加移動指示)を入力する追加移動指示入力アイコン74と、ステージ10の移動を終了させる旨の指示(移動終了指示)を入力する移動終了指示入力アイコン75とが配置される。
【0084】
オペレータは、入力部86を介して、入力ボックス73に所望の数値を入力するとともに、追加移動指示入力アイコン74を選択操作することによって、ステージ10を、X方向およびY方向のそれぞれに、入力された数値分だけ追加移動させる旨の指示を入力することができる。後に明らかになるように、当該指示を入力すると、ステージ10が入力された数値分だけ追加移動された上で、アライメント撮像部50によって撮像データの取得が行われる。例えば、ステージ10をΔdだけ移動させる旨の指示を入力すれば、現在の撮像領域から−Δdだけ移動した位置の撮像データが取得されることになる。
【0085】
また、オペレータは、入力部86を介して、移動終了指示入力アイコン75を選択操作することによって、ステージ10の移動を終了させる旨の指示を入力することができる。後に明らかになるように、当該指示を入力すると、ステージ10の移動が終了し(具体的には、ステージ10が定められた終了位置まで移動された上で停止し)、これ以上撮像データは取得されない。この場合、最後に取得されている撮像データが、登録用撮像データとして記憶され、当該登録用撮像データを用いて、テンプレートTが作成されることになる。
【0086】
<3−3.処理の流れ>
テンプレートTを登録する一連の処理の流れについて、
図12を参照しながら説明する。
図12は、当該処理の流れを示す図である。
【0087】
テンプレートTの登録においては、まず、登録すべきアライメントマークALが形成された基板(登録用基板)Wを撮像して、登録すべきアライメントマークALの撮像データ(以下「登録用撮像データ」ともいう)が取得される(ステップS11)。登録用撮像データにおいては、登録すべきアライメントマークALの全体が収められている必要があり、登録すべきアライメントマークALが撮像領域の中央付近に捉えられていることが特に好ましい。
【0088】
登録用撮像データを取得する一連の処理の流れを、
図13〜
図15を参照しながら説明する。
図13は、移動制御部91に係る一連の処理の流れを示す図である。
図14は、画像処理部92に係る一連の処理の流れを示す図である。
図15は、登録用撮像データを取得する一連の処理における移動制御部91と画像処理部92との間の通信の様子を模式的に示す説明図である。なお、
図15においては、一部のステップについては図示を省略している。
【0089】
まず、描画装置1に登録用基板Wが搬入され、これがステージ10に保持された状態とされる。登録用基板Wがステージ10に保持された状態となると、統括制御部90が、移動制御部91に対して、登録用撮像データの取得処理の開始指示を与える。なお、登録用基板Wは、処理対象となる基板W(同一レシピの下で描画処理されるべき一群の基板Wのうちの、1枚目の基板W)であってもよいし、処理対象となる基板Wとは別に準備されたサンプル基板W等であってもよい。
【0090】
移動制御部91は、統括制御部90から開始指示を受信すると(ステップS101でYES)、ステージ駆動機構20を制御して、登録用基板Wを保持しているステージ10を、指定された初期位置に移動させる(ステップS102)。初期位置は、例えば、ステージ10上の登録用基板Wが理想位置に載置されていると仮定した場合に、当該登録用基板WにおけるアライメントマークALの形成位置が、アライメント撮像部50の真下にくるようなステージ10の位置とされている。この初期位置の情報は、統括制御部90から送られる開始指示に含まれるものとする。
【0091】
ステージ10が初期位置まで移動された状態となると、移動制御部91は、画像処理部92に対して撮像指示を送信する(ステップS103)。なお、この撮像指示に対するACK待ち時間は、必要に応じて十分に長い時間に設定されているものとする。
【0092】
画像処理部92にて撮像指示が受信されると(ステップS201でYES)、撮像制御部921が、アライメント撮像部50に登録用基板Wを撮像させて、撮像データD1を取得させる(ステップS202)。
【0093】
撮像データD1が取得されると、続いて、表示制御部922が、撮像データ表示画面7(撮像画像表示領域71に、ステップS202で取得された撮像データD1が表示された撮像データ表示画面7)を、表示部87に表示させる。(ステップS203)。
【0094】
いま、表示部87に表示された撮像データ表示画面7が、
図10に示されるようなものであったとする。この撮像データ表示画面7から、ステップS202で取得された撮像データD1において、アライメントマークの一部が撮像領域の外にはみだしていることが判明し、アライメントマークを撮像領域の中央付近にもってくるためには、ステージ10を+X方向および−Y方向に移動させればよいことがわかる。そこで、これをみたオペレータが、第1入力ボックス731に「+70」μmとの数値を入力するとともに、第2入力ボックス732に「−50」μmとの数値を入力した上で、追加移動指示入力アイコン74を選択操作したとする。この場合、受付部923が、オペレータが入力した追加移動指示を受け付けるとともに、オペレータが入力した追加移動量を受け付ける(ステップS204)。
【0095】
受付部923がオペレータからの入力を受け付けると、続いて、ACK信号生成部924が、ACK信号を生成する(ステップS205)。このACK信号には、ステージ10のステータス情報が含められる。また、オペレータから追加移動量を受け付けている場合、ACK信号には、当該受け付けられた追加移動量がさらに含められる。いま、ステップS204において、受付部923が、オペレータから、追加移動指示と追加移動量とを受け付けている。この場合、ACK信号生成部924は、「移動継続」とのステータス情報(すなわち、ステージ10の追加の移動指示)と、オペレータから受け付けた追加移動量とを含めたACK信号A1を生成する。
【0096】
ACK信号生成部924にて生成されたACK信号は、通信部88を介して、移動制御部91に送信される(ステップS206)。
【0097】
画像処理部92からACK信号を受信すると(ステップS104でYES)、移動制御部91はそこに含まれているステータス情報を参照する。ここで、ステータスが「移動継続」とされている場合(ステップS105でYES)、移動制御部91は、当該ACK信号に含まれている追加移動量を読み出し、ステージ駆動機構20を制御して、ステージ10を当該追加移動量だけ追加移動させる(ステップS106)。
【0098】
ステージ10が追加移動されると、移動制御部91は、再び、画像処理部92に対して撮像指示を送信する(ステップS103)。
【0099】
画像処理部92にて撮像指示が受信されると(ステップS201でYES)、撮像制御部921が、アライメント撮像部50に登録用基板Wを撮像させて、撮像データD2を取得させる(ステップS202)。例えば、X軸に沿うステージ10の追加移動量が「+70μm」、Y軸に沿うステージ10の追加移動量が「−50μm」、であった場合、先の撮像データD1の撮像領域からX方向に−70μm、Y方向に+50μmだけずれた領域を撮像した撮像データD2が取得されることになる。
【0100】
撮像データD2が取得されると、続いて、表示制御部922が、表示部87に撮像データ表示画面7の表示を更新させる。すなわち、撮像画像表示領域71の表示内容を、先に取得された撮像データD1から、新たに取得された撮像データD2に表示更新させる(ステップS203)。これによって、撮像データ表示画面7の撮像画像表示領域71には、最新の撮像データD2が表示されることになる。
【0101】
いま、更新後の撮像データ表示画面7が、
図11に示されるようなものであったとする。この撮像データ表示画面7から、最新の撮像データD2において、アライメントマークの全体が撮像領域内に収められていることが判明する。そこで、これをみたオペレータが、移動終了指示入力アイコン75を選択操作したとする。この場合、受付部923が、オペレータが入力した移動終了指示を受け付ける(ステップS204)。オペレータからの移動終了指示が受け付けられると、この時点で取得されている最新の撮像データD2が、登録用撮像データとして記憶される。
【0102】
受付部923がオペレータからの入力を受け付けると、続いて、ACK信号生成部924が、ACK信号を生成する(ステップS205)。いま、ステップS204において、受付部923がオペレータから移動終了指示を受け付けている。この場合、ACK信号生成部924は、「移動終了」とのステータス情報を含めたACK信号A2を生成する(ステップS205)。
【0103】
ACK信号生成部924にて生成されたACK信号は、通信部88を介して、移動制御部91に送信される(ステップS206)。
【0104】
画像処理部92からACK信号を受信すると(ステップS104でYES)、移動制御部91はそこに含まれているステータス情報を参照する。ここで、ステータスが「移動終了」とされている場合(ステップS105でNO)、移動制御部91は、ステージ駆動機構20を制御して、ステージ10を、予め規定された終了位置まで移動させた上で、ステージ10の移動を停止させる(ステップS107)。以上で、登録用撮像データの取得処理が終了する。
【0105】
再び
図12を参照する。登録用撮像データが取得されると、続いて、テンプレート作成処理部925が、当該取得された登録用撮像データからテンプレートTを作成する(ステップS12)。
【0106】
テンプレート作成処理部925が行う具体的な処理の流れは、例えば、次の通りである。すなわち、テンプレート作成処理部925は、まず、登録用撮像データから、テンプレートTとして登録するためのアライメントマークの領域(以下「アライメントマーク領域」という)を抽出する。この処理は、例えば、オペレータが、登録用撮像データが表示された画面を見ながら、入力部86を介して、登録用撮像データ内の任意の領域を指定し、テンプレート作成処理部925が当該指定された領域をアライメントマーク領域として記憶することによって行われる。なお、アライメントマーク領域を抽出するのに先立って、アライメントマーク領域を適切に抽出できるよう、登録用撮像データのコントラストを高めるように調整する画像処理を行ってもよい。また、アライメントマーク領域は、自動で設定されてもよく、この場合、例えば、アライメントマークに外接する矩形領域を自動で設定し、当該矩形領域をアライメントマーク領域として取得してもよい。
【0107】
続いて、テンプレート作成処理部925は、アライメントマーク領域内のエッジを検出することによって、アライメントマークと背景との境界を抽出する。そして、抽出された境界に基づいて、アライメントマークの画像部分を切り出す。このとき、アライメントマークの周囲に定められた余白を含ませてアライメントマークの画像部分を切り出すことが好ましい。そして、切り出された画像部分のエッジ情報を、マーク情報ファイルとして記憶する。この態様によると、マーク情報ファイルにおいて、アライメントマークは、エッジ情報からなる形状情報として保持されることになる。マーク情報ファイルには、アライメントマークのエッジ情報の他、アライメントマークの輝度情報等がさらに含まれてもよい。
【0108】
マーク情報ファイルが作成されると、テンプレート作成処理部925は、当該作成されたマーク情報ファイルに基づいて、アライメントマークの重心位置を特定する。ここで、先に規定されているアライメントマーク領域の中心(幾何学中心)を、アライメントマークの重心位置として取得してもよい。
【0109】
続いて、テンプレート作成処理部925は、マーク情報ファイルおよび重心位置を、アライメントマークのテンプレートTとし、当該テンプレートTに固有の識別記号(例えば、固有の番号)を付与した上で、当該テンプレートTを記憶装置84に格納する。
【0110】
<4.効果>
上記の実施の形態においては、第2コンピュータ802と制御用基板800とは、サーバとクライアントの関係を形成しており、第2コンピュータ802にて実現される画像処理部92を起点として、制御用基板800にて実現される移動制御部91に対して制御信号等を送信することはできないという制限がある。ここにおいて、画像処理部92は、撮像指示に応じてアライメント撮像部50に登録用基板Wを撮像させた後に、当該撮像指示に対する応答信号であるACK信号に、ステージ10の追加の移動指示を含めて、移動制御部91に送信することができる。したがって、上記の制限があっても、画像処理部92から移動制御部91へ追加の移動指示を送信することが可能となる。この構成によると、登録用基板Wの撮像データが取得された後に、必要に応じて、ステージ10を追加で移動した上で、もう一度、登録用基板の撮像データを取得することが可能となる。したがって、アライメントマークの全体を収めた撮像データをスムースに取得することができる。その結果、アライメントマークの検出に用いられるテンプレートTを適切に作成することができる。
【0111】
また、上記の実施の形態によると、オペレータは、表示部87に表示された登録用基板Wの撮像データを見ながら、ステージ10を追加で移動させるか否かを決定することができる。この構成によると、オペレータは、ステージ10を追加で移動させるか否かの判断を容易かつ的確に行うことができる。その結果、ステージ10が無駄に追加移動されるといった事態も生じにくい。
【0112】
また、上記の実施の形態によると、ステージ10を追加で移動させるべき移動量を、オペレータから受け付ける。この構成によると、オペレータの所望通りに、ステージ10を追加で移動させることができる。
【0113】
また、上記の実施の形態によると、オペレータは、表示部87に表示された登録用基板Wの撮像データを見ながら、ステージ10を追加で移動させる際の移動量を決定することができる。この構成によると、オペレータは、必要な追加の移動量(例えば、アライメント撮像部50の視野領域内にアライメントマークALの全体が収まるような位置にステージ10をおくために必要なステージ10の追加の移動量)を、簡易かつ的確に決定することができる。
【0114】
また、上記の実施の形態によると、撮像データ表示画面7に撮像画像表示領域71と、追加の移動量の入力ボックス73とが配置されるので、オペレータは、登録用基板Wの撮像データを見ながら、ステージ10を追加で移動させる際の移動量を入力することができる。
【0115】
<5.変形例>
上記の実施の形態において、描画装置1は、描画処理を実行した後に、当該描画処理によって形成されたパターン(上層パターン)と、その下に形成されていた既設のパターン(下層パターン)との位置ずれを検査する機能をさらに備えてもよい。この場合、上層パターンのアライメントマークを、当該アライメントマークのテンプレートTを用いてパターンマッチングにより検出するとともに、下層パターンのアライメントマークを、当該アライメントマークのテンプレートTを用いてパターンマッチングにより検出し、各検出位置のずれ量に基づいて、上層パターンと下層パターンとの間のずれ量を特定すればよい。ここにおいて、上層パターンのアライメントマーク、および、下層パターンのアライメントマークのそれぞれの検出に用いるテンプレートTの登録も、上記の態様で行うことができる。
【0116】
また、上記の実施形態では、空間光変調器441として変調単位である固定リボンと可動リボンとが一次元に配設された回折格子型の空間光変調器であるGLVが用いられていたが、このような形態には限られない。例えば、GLVに限らず、ミラーのような変調単位が、一次元に配列されている空間光変調器が利用される形態であってもよい。また、例えば、DMD(Digital Micromirror Device:デジタルマイクロミラーデバイス:テキサスインスツルメンツ社の登録商標)のような変調単位であるマイクロミラーが二次元的に配列された空間光変調器が利用されてもよい。
【0117】
また、上記の実施の形態においては、変調した描画光によって基板上の感光材料を走査することにより、当該感光材料に直接パターンを露光する描画装置に本願発明が適用された場合について説明したが、本願発明は、光源とフォトマスクを用いて当該感光材料を面状に露光する露光装置に適用することもできる。