(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872311
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20160216BHJP
H01R 13/04 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/04 E
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-26009(P2012-26009)
(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公開番号】特開2013-164902(P2013-164902A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208835
【氏名又は名称】第一電子工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】根本 聖義
(72)【発明者】
【氏名】深澤 豪紀
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−040399(JP,A)
【文献】
米国特許第04990110(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0039458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタとソケットコネクタとが着脱自在に挿抜される電気コネクタであって、
複数のプラグコンタクトと該プラグコンタクトが配列・保持されるハウジングとを備える前記プラグコネクタと、
前記プラグコンタクトと接触する複数のソケットコンタクトと該ソケットコンタクトが配列・保持されるブロックとを備えるソケットコネクタと、
を備える電気コネクタにおいて、
前記プラグコンタクトは、前記ソケットコンタクトと接触する接触片を有する2枚のコンタクト体が一体化してなり、
前記接触片の周囲には、該接触片に弾性も持たせるための略U字形状のスリットを有し、
前記ハウジングは、長手ピッチ方向に前記プラグコンタクトが挿入・保持される複数の挿入孔を有し、
前記ソケットコンタクトは、対向すると共に略同一平面上に複数配置された弾性を持つ第2接触片を有し、
前記ブロックは、長手ピッチ方向に前記ソケットコンタクトが挿入・保持される複数の挿入孔を有し、
さらに、前記プラグコンタクトは少なくとも前記プラグコネクタ幅方向のどちらか一方側に第3接触片を有し、前記ハウジングは前記第3接触片が入り前記挿入孔と連設する挿入溝を有し、前記ソケットコンタクトは前記第3接触片に対応する位置に第4接触片を有し、前記ブロックは前記第4接触片が入り前記挿入孔と連設する挿入溝を有し、
コネクタ嵌合状態において、前記プラグコンタクトの接触片が前記ソケットコンタクトの第2接触片に挟持された状態であり、前記プラグコンタクトの接触片および/または前記ソケットコンタクトの第2接触片の変位が可能な空間が存在することで、長手ピッチ方向のフローティングが可能であり、
同様に、コネクタ嵌合状態において、前記ソケットコンタクトの第4接触片が前記プラグコンタクトの第3接触片に挟持された状態であり、前記ソケットコンタクトの第4接触片および/または前記プラグコンタクトの第3接触片の変位が可能な空間が存在することで、幅方向のフローティングが可能であることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記プラグコンタクトは、前記プラグコネクタ幅方向の両側に前記第3接触片を有し、
前記ソケットコンタクトは、前記第3接触片に対応する位置に第4接触片を有することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバやRAID装置や大型コンピュータ等の制御機器や電気機器や電子機器や産業機器に使用される電気コネクタに関するもので、10アンペア(A)以上の大電流を流すことができ、かつ、部品点数を増やすことがなく、X及びY方向へのフローティングが可能な構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気コネクタは、プラグコネクタとソケットコネクタとを備えており、前記プラグコネクタは絶縁物であるハウジングと金属である複数のプラグコンタクトとを有し、前記ソケットコネクタは絶縁物であるブロックと金属である複数のソケットコンタクトとを有している。前記プラグコネクタと前記ソケットコネクタが嵌合し、前記プラグコンタクトと前記ソケットコンタクトとが接触することで電気的な接続が得られる。
10アンペア(A)以上の大電流を流すためには、特許文献1のように各々のコンタクトの接触面接を大きくする必要がある。
一般的に、コネクタにフローティングを持たせるためには、特許文献2のように、一方のコネクタの絶縁物を2分割し、2分割した一方の絶縁物を弾性を持たせたコンタクトのみで保持させることで行っている。また、絶縁物を2分割することなく、フローティングを持たせる方法としては、特許文献3のように、可撓性のある2枚のフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)を貼りあわせることで行うこともできる。
下記に、大電流を流すことができる文献として、特許文献1(特開2006−49130)を挙げ、フローティング構造である文献として、特許文献2(特開平10−32062号)と特許文献3(特開2002−352908)を挙げる。
【特許文献1】特開2006−49130の要約によると、プラグコンタクトの先端部およびレセプタクルコンタクトの先端部の少なくとも一方の形状の適正化を図ることにより、レセプタクルコンタクトに対するプラグコンタクトの接触安定性に優れた電気コネクタを提供することを目的とし、レセプタクルコンタクト11、および該レセプタクルコンタクト11を収容する第1貫通穴12をもつ第1ハウジング13を有するレセプタクルコネクタ10と、プラグコンタクト51、および該プラグコンタクト51を収容する第2貫通穴52をもつ第2ハウジング53を有するプラグコネクタ50とを具え、プラグコンタクト51の先端部54およびレセプタクルコンタクト11の先端部14の双方に、それぞれ千鳥状に分岐させた少なくとも3個の分割接点部55〜57および15〜17を設けることを特徴とする構造の電気コネクタが開示されている。
【特許文献2】特開2002−352908の要約によると、部品点数を増やすことなく、簡単な構造で、コネクタ10、40がフローティングでき、コンタクト接続部22が位置決めできる構造のコネクタ10、40を提供することを目的とし、相手コンタクトと接触する接触部32とブロック12、42に固定される固定部34と基板に接続される接続部22とからなるコンタクト14、44と、所要数のコンタクト14、44が保持・固定されるブロック12、42とからなるコネクタ10、40において、コンタクト14、44の固定部34と接続部22の間に弾性部20、50を設け、ブロック12、42の外形寸法とクリアランスのある略箱形形状のハウジング16、46をコンタクト14、44の接続側に装着することによって基板へのコンタクト接続部22の位置決めとコネクタ10、40のフローティングを可能にすることで達成できるコネクタが開示され、フローティングがし易いようにコンタクト14、44の弾性部20、50を少なくとも1回以上蛇行させると良い。
【特許文献3】特開平10−32062号の要約によると、本発明は、基板相互間に生じた位置ずれ(0.5mm程度)に関係なく、各基板に設置されたコネクタが嵌合できる構造の電気コネクタ10を提供することを目的とし、絶縁体12にコンタクト14を保持・固定する手段を設け、前記コンタクト14が可撓性を有していることにより達成することができる。コンタクト14は絶縁層A18と絶縁層B20との間に導体19を挟み込んだコンタクト部材16を2枚張り合わせた構造の電気コネクタが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、10アンペア(A)以上の大電流を流すコネクタにおいても、2つのコネクタ同士に多少の位置ズレがあっても嵌合できるフローティング構造で、かつ、省スペース化が要求されるようになってきている。
特許文献1の構造では、10アンペア(A)の大電流を流すことは出来るが、位置ズレがあってもフローティング出来ない。
特許文献2の構造では、フローティングは出来るが、10アンペア(A)以上の大電流を流すことができなく、省スペース化にも不向きで、部品点数が増え、管理コストが掛かり、コストアップに繋がる。
特許文献3の構造では、フローティングは出来るが、フローティング量が小さく、10アンペア(A)以上の大電流を流すことができなく、安定した接続を得難い。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、省スペースでも10アンペア(A)以上の大電流を流すことができ、かつ、部品点数を増やすことがなく、X及びY方向へのフローティングが可能な構造の電気コネクタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、請求項1記載のように、プラグコネクタとソケットコネクタとが着脱自在に挿抜される電気コネクタであって、
複数のプラグコンタクトと該プラグコンタクトが配列・保持されるハウジングとを備える前記プラグコネクタと、前記プラグコンタクトと接触する複数のソケットコンタクトと該ソケットコンタクトが配列・保持されるブロックとを備えるソケットコネクタと、を備える電気コネクタにおいて、
前記プラグコンタクトは、
前記ソケットコンタクトと接触する接触片を有する2枚のコンタクト体が一体化してなり、
前記接触片の周囲には、該接触片に弾性も持たせるための略U字形状のスリットを有し、
前記ハウジング
は、長手ピッチ方向に前記プラグコンタクトが挿入・保持される
複数の挿入孔を有し、
前記ソケットコンタクトは、
対向すると共に略同一平面上に複数配置された弾性を持つ第2接触片を有し、
前記ブロック
は、長手ピッチ方向に前記ソケットコンタクトが挿入・保持される
複数の挿入孔を有し、
さらに、前記プラグコンタクトは少なくとも前記プラグコネクタ幅方向のどちらか一方側に第3接触片を有し、前記ハウジングは前記第3接触片が入り前記挿入孔と連設する挿入溝を有し、前記ソケットコンタクトは前記第3接触片に対応する位置に第4接触片を有し、前記ブロックは前記第4接触片が入り前記挿入孔と連設する挿入溝を有し、
コネクタ嵌合状態において、前記プラグコンタクトの接触片が前記ソケットコンタクトの第2接触片に挟持された状態であり、前記プラグコンタクトの接触片および/または前記ソケットコンタクトの第2接触片の変位が可能な空間が存在することで、長手ピッチ方向のフローティングが可能であり、
同様に、コネクタ嵌合状態において、前記ソケットコンタクトの第4接触片が前記プラグコンタクトの第3接触片に挟持された状態であり、前記ソケットコンタクトの第4接触片および/または前記プラグコンタクトの第3接触片の変位が可能な空間が存在することで、幅方向のフローティングが可能であることを特徴とする電気コネクタにすることにより達成できる。
【0006】
請求項2記載の電気コネクタは、
前記プラグコンタクトは、前記プラグコネクタ幅方向の両側に前記第3接触片を有し、
前記ソケットコンタクトは、前記第3接触片に対応する位置に第4接触片を有することを特徴とする
請求項1記載の電気コネクタにある。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明の電気コネクタによると、次のような優れた効果が得られる。簡単な構造で、
大型化せずにより大きな電流を流すことができ、かつ、部品点数を増やすことがなく(コスト低減に繋がる)、X及びY方向へのフローティングが可能な構造にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A) 嵌合した状態の電気コネクタをコンタクト部分で断面した縦断面図である。(B) 嵌合した状態の電気コネクタをコンタクト部分で断面した横断面図である。
【
図2】(A) プラグコネクタを嵌合口側の上方からみた斜視図である。(B) プラグコネクタをコンタクト部分で断面した縦断面図である。(C) プラグコネクタをコンタクト部分で断面した横断面図である。
【
図3】(A) ソケットコネクタを嵌合口側の上方からみた斜視図である。(B) ソケットコネクタをコンタクト部分で断面した縦断面図である。(C) ソケットコネクタをコンタクト部分で断面した横断面図である。
【
図4】(A) プラグコンタクトの斜視図である。(B) プラグコンタクトのコンタクト体の斜視図である。(C) ソケットコンタクトの斜視図である。
【
図5】(A) プラグコネクタのハウジングを嵌合口側上方よりみた斜視図である。(B) プラグコネクタのハウジングを嵌合口と反対側下方よりみた斜視図である。(C) プラグコネクタのハウジングをあるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。
【
図6】(A) ソケットコネクタのブロックを嵌合口側上方よりみた斜視図である。(B) ソケットコネクタのブロックを嵌合口と反対側下方よりみた斜視図である。(C) ソケットコネクタのブロックをあるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の特徴は、プラグコネクタ20とソケットコネクタ40とが着脱自在に挿抜される電気コネクタ10であって、複数のプラグコンタクト24と該プラグコンタクト24が配列・保持されるハウジング22とを備える前記プラグコネクタ20と、前記プラグコンタクト24と接触する複数のソケットコンタクト44と該ソケットコンタクト44が配列・保持されるブロック42とを備えるソケットコネクタ40と、を備える電気コネクタ10において、前記プラグコンタクト24は、少なくとも1以上の接触片242を有し、かつ、前記接触片242の周囲に略U字形状のスリット244を設けることにより前記接触片242に弾性を持たせたコンタクト体241を2枚貼り合せることにより形成し、前記ハウジング22には、長手ピッチ方向に前記プラグコンタクト24が挿入・保持される挿入孔221が複数設けられ、前記ソケットコンタクト44は、少なくとも2以上の第2接触片441を対向するように配置し、前記第2接触片441間にはスリット443を設けることにより前記第2接触片441に弾性を持たせ、前記ブロック42には、長手ピッチ方向に前記ソケットコンタクト44が挿入・保持される挿入孔424が複数設けられ、前記プラグコンタクト24の接触片242を前記ソケットコンタクト44の第2接触片441で挟み込むようにし、前記プラグコンタクト24の接触片242と前記ソケットコンタクト44の第2接触片441とを弾性接触させ、長手ピッチ方向と幅方向のフローティングを可能にするとともに省スペースでも大電流を流すことができることを特徴とする電気コネクタ10である。
つまり、前記プラグコンタクト24は、少なくとも1以上の接触片242を有し、かつ、前記接触片242の周囲に略U字形状のスリット244を設けることにより前記接触片242に弾性を持たせたコンタクト体241を2枚貼り合せることにより形成し、前記ソケットコンタクト44は、少なくとも2以上の第2接触片441を対向するように配置し、前記第2接触片441間にはスリット443を設けることにより前記第2接触片441に弾性を持たせ、前記プラグコンタクト24の接触片242を前記ソケットコンタクト44の第2接触片441で挟み込むようにし、前記プラグコンタクト24の接触片242と前記ソケットコンタクト44の第2接触片441とを弾性接触させ、長手ピッチ方向と幅方向のフローティングを可能にするものである。
【0012】
図1から
図6に基づいて、本発明の電気コネクタの一実施例について説明する。
図1(A)は嵌合した状態の電気コネクタをコンタクト部分で断面した縦断面図であり、(B)は嵌合した状態の電気コネクタをコンタクト部分で断面した横断面図である。
図2(A)はプラグコネクタを嵌合口側の上方からみた斜視図であり、(B)はプラグコネクタをコンタクト部分で断面した縦断面図であり、(C)はプラグコネクタをコンタクト部分で断面した横断面図である。
図3(A)ソケットコネクタを嵌合口側の上方からみた斜視図であり、(B)ソケットコネクタをコンタクト部分で断面した縦断面図であり、(C)ソケットコネクタをコンタクト部分で断面した横断面図である。
図4(A)はプラグコンタクトの斜視図であり、(B)プラグコンタクトのコンタクト体の斜視図であり、(C)はソケットコンタクトの斜視図である。
図5(A)はプラグコネクタのハウジングを嵌合口側上方よりみた斜視図であり、(B)はプラグコネクタのハウジングを嵌合口と反対側下方よりみた斜視図であり、(C)はプラグコネクタのハウジングをあるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。
図6(A)はソケットコネクタのブロックを嵌合口側上方よりみた斜視図であり、(B)はソケットコネクタのブロックを嵌合口と反対側下方よりみた斜視図であり、(C)はソケットコネクタのブロックをあるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。
【0013】
本発明の電気コネクタ10は、複数のプラグコンタクト24と該プラグコンタクト24が配列・保持されるハウジング22とを有する前記プラグコネクタ20と、前記プラグコンタクト24と接触する複数のソケットコンタクト44と該ソケットコンタクト44が配列・保持されるブロック42とを有するソケットコネクタ40とを備えている。
【0014】
図に基づいて本発明の電気コネクタ10の構成部品について説明する。まず、前記プラグコネクタ20の構成部品について説明する。最初に、プラグコンタクト24について説明する。前記プラグコンタクト24は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記プラグコンタクト24の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。本実施例では、前記プラグコンタクト24は前記ハウジング22の挿入孔221内に挿入される。
【0015】
前記プラグコンタクト24は、一方に前記ソケットコネクタ40と接触する部分と他方に基板と接続する接続部246を有するコンタクト体241を2枚貼り合わせている。前記コンタクト体241は、溶接やカシメやコーキングにより貼り付けられている。貼り付け方法は、コネクタの小型化や接触部分の弾性や接続安定性等を考慮して適宜設計する。本実施例では、溶接によって貼り付けられている。
【0016】
前記コンタクト体241には、少なくとも1以上の接触片242が設けられ、かつ、前記接触片242の周囲には略U字形状のスリット244が設けられている。前記スリット244を設けることで、前記接触片242に弾性を持たせている。前記スリット244の形状・大きさは、コネクタの小型化や前記接触片242の弾性及び接続安定性や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。前記接触片242は、相手コネクタである前記ソケットコネクタ40と接触する部分であり、その形状・大きさは接続安定性や流す電流や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。本実施例では接触性を考え、湾曲させている。前記接触片242は、切り起こしによって形成されている。
【0017】
さらに、前記プラグコンタクト24には、少なくとも幅方向のどちらか一方側に第3接触片243が設けられている。本実施例では、バランスや接続安定性を考えて、幅方向両側に設けている。前記第3接触片243の形状は、先端を凸形状にしている。前記第3接触片243の形状・大きさは、接続安定性や保持強度や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0018】
前記プラグコンタクト24には、前記ハウジング22に固定するための固定部245が設けられている。前記固定部245は、前記コンタクト体241の幅方向両側で、かつ、接続方向側に設けられている。前記固定部245の位置や大きさは、前記プラグコンタクト24の保持力や接続安定性等を考慮して適宜設計している。
【0019】
10アンペア(A)以上の大電流を流すために、接触する前記プラグコンタクト24の接触片242及び前記ソケットコンタクト44の第2接触片441の接触面積と接触する前記プラグコンタクト24の第3接触片243及び前記ソケットコンタクト44の第4接触片442の接触面積との合計を2平方ミリメートル以上にしている。
【0020】
対応する前記プラグコンタクト24の接触片242及び前記ソケットコンタクト44の第2接触片441の幅を、対応する前記ソケットコンタクト44の第2接触片441及び前記プラグコンタクト24の接触片242ごとに変更し、対応する前記プラグコンタクト24の第3接触片243及び前記ソケットコンタクト44の第4接触片442の幅を、対応する前記ソケットコンタクト44の第4接触片442及び前記プラグコンタクト24の第3接触片243ごとに変更している。変更することで、0.5mmの位置ズレがあってもX及びY方向へのフローティングを可能にしている。
【0021】
前記プラグコネクタ20と前記ソケットコネクタ40との嵌合では、前記プラグコンタクト24の接触片242を前記ソケットコンタクト44の第2接触片441で挟み込むようにし、前記プラグコンタクト24の接触片242と前記ソケットコンタクト44の第2接触片441とを弾性接触させ、かつ、前記プラグコンタクト24の第3接触片243で前記ソケットコンタクト44の第4接触片442を挟み込むようにし、前記プラグコンタクト24の第3接触片243と前記ソケットコンタクト44の第4接触片442とを弾性接触させることにより、長手ピッチ方向と幅方向のフローティングを可能にしている。
【0022】
次に、ハウジング22について説明する。このハウジング22は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ハウジング22には、相手コネクタである前記ソケットコネクタ40が挿入される嵌合口12が設けられている。前記嵌合口12は、前記ソケットコネクタ40が入ればよく、前記ソケットコネクタ40の大きさに沿うように適宜設計されている。
【0023】
前記ハウジング22には、所要数のプラグコンタクト24が装着される挿入孔221が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。前記挿入孔221の形状・大きさは、前記プラグコンタクト24が挿入できればよく、保持力や加工性や強度等を考慮して適宜設計している。
【0024】
さらに、前記ハウジング22には、前記プラグコンタクト24の第3接触片243部分が装着される挿入溝222が前記挿入孔221と連設して設けられている。前記挿入溝222の形状・大きさは、前記第3接触片243が装着できればよく、保持力や加工性や強度等を考慮して適宜設計している。
【0025】
次に、前記ソケットコネクタ40の構成部品について説明する。最初に、ソケットコンタクト44について説明する。前記ソケットコンタクト44は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記ソケットコンタクト44の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。本実施例では、前記ソケットコンタクト44は前記ブロック42の挿入孔424内に挿入される。
【0026】
前記ソケットコンタクト44には、少なくとも2以上の第2接触片441が対向するように配置し、前記第2接触片441間にはスリット443が設けられている。前記スリット443の形状・大きさは、コネクタの小型化や前記第2接触片441の弾性及び接続安定性や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。前記第2接触片441は、相手コネクタである前記プラグコネクタ20と接触する部分であり、その形状・大きさは接続安定性や流す電流や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。本実施例では接触性を考え、内側に湾曲させている。前記第2接触片441は、曲げ加工によって形成されている。
【0027】
さらに、前記ソケットコンタクト44には、前記プラグコンタクト24の第3接触片243に対応する位置に第4接触片442が設けられている。本実施例では、バランスや接続安定性を考えて、幅方向両側に設けている。前記第4接触片442の形状は、先端を略J字形状にしている。前記第4接触片442の形状・大きさは、接続安定性や保持強度や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0028】
前記ソケットコンタクト44には、前記ブロック42に固定するための固定部444が設けられている。前記固定部444は、幅方向両側で、かつ、接続
部側に設けられている。前記固定部444の位置や大きさは、前記ソケットコンタクト44の保持力や接続安定性等を考慮して適宜設計している。
【0029】
10アンペア以上の大電流を流すために、接触する前記ソケットコンタクト44の第2接触片441及び前記プラグコンタクト24の接触片242の接触面積と接触する前記ソケットコンタクト44の第4接触片442及び前記プラグコンタクト24の第3接触片243の接触面積との合計を2平方ミリメートル以上にしている。
【0030】
対応する前記ソケットコンタクト44の第2接触片441及び前記プラグコンタクト24の接触片242の幅を、対応する前記プラグコンタクト24の接触片242及び前記ソケットコンタクト44の第2接触片441ごとに変更し、対応する前記ソケットコンタクト44の第4接触片442及び前記プラグコンタクト24の第3接触片243の幅を、対応する前記プラグコンタクト24の第3接触片243及び前記ソケットコンタクト44の第4接触片442ごとに変更している。変更することで、0.5mmの位置ズレがあってもX及びY方向へのフローティングを可能にしている。
【0031】
前記プラグコネクタ20と前記ソケットコネクタ40との嵌合では、前記プラグコンタクト24の接触片242を前記ソケットコンタクト44の第2接触片441で挟み込むようにし、前記プラグコンタクト24の接触片242と前記ソケットコンタクト44の第2接触片441とを弾性接触させ、かつ、前記プラグコンタクト24の第3接触片243で前記ソケットコンタクト44の第4接触片442を挟み込むようにし、前記プラグコンタクト24の第3接触片243と前記ソケットコンタクト44の第4接触片442とを弾性接触させることにより、長手ピッチ方向と幅方向のフローティングを可能にしている。
【0032】
最後に、ブロック42について説明する。このブロック42は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ブロック42には、相手コネクタである前記プラグコネクタ20に挿入される嵌合部14が設けられている。前記嵌合部14は、前記プラグコネクタ20に入ればよく、前記プラグコネクタ20の大きさに沿うように適宜設計されている。
【0033】
前記嵌合部14は板状片の上に形成され、大別すると本体部421とフランジ部422から構成されている。前記フランジ部422の先端部分にはガイド部423が形成されている。前記フランジ部422はその位置や大きさを変えることで、誤嵌合防止の役割も果たしている。前記ガイド部423は前記プラグコネクタ20の嵌合口12へ挿入し易くする部分である。前記フランジ部422及び前記ガイド部の形状・大きさや位置は、その役割や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0034】
前記ブロック42の本体部421には、所要数のソケットコンタクト44が装着される挿入孔424が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。前記挿入孔424の形状・大きさは、前記ソケットコンタクト44が挿入できればよく、保持力や加工性や強度等を考慮して適宜設計している。
【0035】
さらに、前記ブロック42には、前記ソケットコンタクト44の第4接触片442部分が装着される挿入溝425が前記本体部421の両側に前記挿入孔424と連設して設けられている。前記挿入溝425の形状・大きさは、前記第4接触片442が装着できればよく、保持力や加工性や強度等を考慮して適宜設計している。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の活用例としては、サーバやRAID装置や大型コンピュータ等の制御機器や電気機器や電子機器や産業機器に使用される電気コネクタ10に活用され、特に、10アンペア(A)以上の大電流を流すことができ、かつ、部品点数を増やすことがなく、X及びY方向へのフローティングが可能な構造に関するものである。
【符号の説明】
【0037】
10 電気コネクタ
12 嵌合口
14 嵌合部
20 プラグコネクタ
22 ハウジング
221 挿入孔
222 挿入溝
24 プラグコンタクト
241 コンタクト体
242 接触片
243 第3接触片
244 スリット
245 固定部
246 接続部
40 ソケットコネクタ
42 ブロック
421 本体部
422 フランジ部
423 ガイド部
424 挿入孔
425 挿入溝
44 ソケットコンタクト
441 第2接触片
442 第4接触片
443 スリット
444 固定部
445 接続部