(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
屋外における、いわゆる環境汚染物質(花粉、排気ガス又は放射性物質等)の濃度が高い地域では、建物の気密性を高めて建物内部を屋外と仕切り、生活空間である建物内部を清浄に維持している。このような建物においては、これらの環境汚染物質を建物の出入口で除去し、建物内部へ入り込むのを抑制するエントランスが求められている。
例えば、花粉除去を目的とし、建物内部に花粉を持ち込ませないように、建物の外側で衣服に付着した花粉を除去する、玄関先に送風設備を備えた建物が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された建物(花粉配慮建物)は、玄関先に設けたスリット状の吹き出し口から気流を吹き付け、建物内部へ入る前に、衣服等に付着した花粉を吹き飛ばして洗浄する構成である。更に、建物内部の圧力を外部より高く保つと共に、換気の際に、建物内に取り込む外気中の花粉を分離除去することで、建物内部への花粉の浸入を阻止している。また、浸入を阻止しきれなかった花粉は、建物内部へ放散する帯電した水分子や、床面に塗布又は含浸させた不活化剤で不活化させている。
【0004】
しかし、特許文献1の花粉配慮建物では、花粉の濃度が高い屋外(玄関先)で衣服等に付着した花粉を吹き飛ばして洗浄しており、洗浄された後に再び、周囲の花粉が付着する可能性が高い。また、靴底に付着した花粉を除去することはできず、靴底に付着した花粉は建物内部へ持ち込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実に鑑み、衣服に付着した環境汚染物質のみならず、靴底に付着した環境汚染物質を建物内部に持ち込ませないエントランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係るエントランスは、建物への出入空間となるエントランス室と、前記エントランス室を、前記建物への出入通路となる入退出室と前記建物への進入通路となる進入室とに区画するエアシャワー室と、前記エアシャワー室に設けられ、開放されると前記入退出室から前記エアシャワー室内へ入室可能とする入退出室側ドアと、前記エアシャワー室に設けられ、開放されると前記エアシャワー室内から前記進入室へ移動可能とする進入室側ドアと、前記入退出室に設けられ、屋外と前記入退出室との通路を開閉する第1外部開閉ドアと、前記入退出室と前記建物との間に設けられ、前記入退出室より空気圧が高くされた退出準備室と、前記退出準備室に設けられ、開放されると前記建物から前記退出準備室へ移動可能とする第1退出ドアと、前記退出準備室に設けられ、開放されると前記退出準備室から前記入退出室へ移動可能とする第2退出ドアと、前記第1退出ドアが開放されている間は、前記第2退出ドアが開放しないようにインターロックさせる退出準備室制御部と、前記入退出室に設けられた履物収納部と、前記履物収納部に履物が存在するか否かを検出する履物検出手段と、前記履物検出手段が前記履物を検出すると、前記エアシャワー室の前記入退出室側ドアを開放させ、前記エアシャワー室内へ人が入室すると、該入退出室側ドアを閉じて入室した人へエアシャワーを所定時間吹き付けた後、前記進入室側ドアを開放させ、エアシャワーの吹き付けを終えた人が前記進入室へ移動可能とするエアシャワー室制御部と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、エアシャワー室により、エントランス室が建物への出入通路となる入退出室と建物への進入通路となる進入室とに区画されている。
即ち、エアシャワー室を通らないと、入退出室から進入室へ移動できず、建物には入れない。このため、エアシャワー室で、建物へ入る人の衣服等に付着したいわゆる環境汚染物質(花粉、排気ガス又は放射性物質等)が除去される。これにより、人を介して、屋外から建物内部へ持ち込まれる環境汚染物質を抑制することができる。
【0009】
また、履物を脱いで履物収納部へ収納するだけで、履物検出手段が履物を検出し、エアシャワー室制御部がエアシャワー室の入退出室側ドアを開放させる。この結果、屋外から建物に入る人は、入退出室で、屋外で使用した履物を脱がないとエアシャワー室へ入れず、履物の底に付いた環境汚染物質が、屋外から建物へ持ち込まれるのを抑制することができる。
【0010】
建物から屋外へ出るときは、第1退出ドアを開放させて退出準備室に入り、第1退出ドアを閉じた後、第2退出ドアを開放して入退出室へ移動する。入退出室で履物収納部から履物を取り出し、履物を履いて第1外部開閉ドアを開放して屋外へ出る。
このとき、退出準備室の空気圧は入退出室より高くされているので、環境汚染物質が入退出室から退出準備室へ流入するのが抑制される。また、第1退出ドアと第2退出ドアは同時には開放しないよう制御されているので、入退出室から退出準備室を経由して建物内部へ汚染物質が流入するのを抑制できる。なお、第2退出ドアを退出準備室側からのみ開放可能とすることで、間違って、エアシャワー室を通過しないで入退出室側から退出準備室へ移動するのを防止できる。
【0011】
本構成とすることにより、衣服に付着した環境汚染物質のみならず、靴底に付着した環境汚染物質を建物内部に持ち込ませないエントランスを提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエントランスにおいて、前記第2退出ドアに替えて前記退出準備室の開口部を閉塞する壁と、前記履物収納部の裏側に設けられ、前記退出準備室から移動可能な退出室と、前記退出準備室に設けられ、開放されると前記退出準備室から前記退出室へ移動可能とする第3退出ドアと、前記退出室に設けられ、開放されると前記履物収納部に収納された履物を取り出し可能な退出室側ドアと、前記退出室に設けられ、屋外と前記退出室との通路を開閉する第2外部開閉ドアと、前記履物収納部の前記入退出室側ドアと前記退出室側ドアを、いずれか一方が開放されているときは他方を閉じるようにインターロックさせる履物収納部制御部と、前記第1退出ドアが開放されている間は、前記第3退出ドアが開放しないようにインターロックさせる退出準備室制御部と、を有することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、履物収納部の裏側に設けられた退出室を通過して、退出準備室から屋外に移動可能とされている。また、退出準備室の第2退出ドアに替えて開放されると退出準備室から退出室へ移動可能とする第3退出ドアが設けられている。更に、退出室から、履物収納部の退出室側ドアを開放して履物収納部に収納された履物を取り出すことができる。これにより、入室者と退室者の動線が交わることがなくなり、スムーズな入退出ができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のエントランスにおいて、前記履物検出手段には、前記履物の重量を検出する重量センサが設けられ、前記重量センサの出力から前記履物の存在を判断することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、重量センサにより、履物収納部に収納された状態で履物の重量が検出され、履物の重量検出信号が出力されないとエアシャワー室に入室することができない。これにより、屋外で使用した履物を、入退出室の履物収納部に収納させることができる。
この結果、環境汚染物質が、履物の底に付着した状態で建物内部へ持ち込まれるのを防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエントランスにおいて、前記進入室には、屋内用の履物の収納部が備えられていることを特徴としている。
これにより、屋内用の履物を履いて進入室から建物内に進入することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記構成としてあるので、衣服に付着した環境汚染物質の除去のみならず、靴底に付着した環境汚染物質を建物内部に持ち込ませないエントランスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るエントランス10を備えた建物の平面図、
図2は、エントランス10の拡大図、
図3は、第1の実施の形態に係るエントランス10を備えた建物の外観斜視図である。
【0020】
図1〜3に示すように、第1の実施の形態に係るエントランス10は、建物12の側壁の中央部から屋外空間へ向けてせり出して設けられ、外部空間と屋根や壁で仕切られたエントランス室14を備えている。
建物12の内部には、エントランス室14と連通する共用空間40が設けられ、建物12への入退出には、エントランス室14と共用空間40が利用される。共用空間40は建物12の桁行方向に、対向する外壁間に渡る幅で設けられ、共用空間40を挟んで複数の住戸42A〜42Fが設けられている。共用空間40は、建物12の地上階から屋根までの吹き抜け空間とされている。
【0021】
図1(A)は1階平面図であり、住戸42Aと住戸42C、住戸42Bと住戸42Dが共用空間40を挟んで設けられている。また、
図1(B)は2階平面図であり、1階と同じように、共用空間40を挟んで住戸42Eと住戸42Fが設けられている。共用空間40に面して、各住戸42A〜42Fの玄関112A〜112Fやバルコニー128A〜128Fが設けられている。各住戸42A〜42Fへの出入りは、共用空間40からのみ可能とされている。
【0022】
図2に示すように、エントランス室14には、エントランス室14を通過する人へ圧縮空気を吹付け、衣服等に付着した環境汚染物質を除去するエアシャワー室16が設けられている。エントランス室14は、エアシャワー室16により、建物12への出入通路となる入退出室18と、建物12への進入通路となる進入室20とに区画されている。
【0023】
エントランス室14の屋外28と接する空間は、一般のエントランスと同じ構成であり、風除け室44と玄関46が設けられている。風除け室44と屋外28は防風ドア48で仕切られ、風除け室44と玄関46は玄関ドア50で仕切られている。
入退出室18は玄関46と接して設けられ、第1外部開閉ドア26により、玄関46と入退出室18との通路が開閉されている。
【0024】
入退出室18は、建物12へ入退出するための準備室であり、周囲空間から独立した閉じた空間とされている。
入退出室18には、屋外で使用した靴(履物)を収納する靴箱36が設けられている。靴箱36は、個人毎(1足毎)に靴を収納する収納部を備えた扉付ロッカーであり、例えば、建物12の全ての住人用及び来客用に、複数の収納部が用意されている。
【0025】
靴箱36のそれぞれの内部には、収納された靴の重量を検出する重量センサ86が設けられ、靴箱36に収納された状態で靴の重量を検出することができる。検出結果は、後述するコントローラ84へ出力される。これにより、重量センサ86の出力から靴の収納の有無を判断することができる。
【0026】
なお、図示は省略するが、靴箱36には、靴が収納されて所定時間経過後に、自動的に靴底へ圧縮空気を吹き付け、靴底に付着した環境汚染物質を除去する、靴の自動洗浄装置を組み込んでおくこともできる。これにより、次回に使用するまでの間に、環境汚染物質に直接触れることなく、屋外で使用する靴を洗浄することができる。
【0027】
また、入退出室18には、手洗い用の流し台52が設けられ、屋外28で付着した環境汚染物質を、建物12に入る前に水で洗い流すことができる。また、入退出室18には、郵便受け54やエアシャワー室16A、16Bの入口ドア22が設けられている。
【0028】
エアシャワー室16は、並列に2台(エアシャワー室16A、16B)が設けられ、いずれも、中央部のエアシャワー部を挟んで、入退出室18に入口ドア22が設けられ、進入室20に出口ドア24が設けられている。なお、エアシャワー室16の設置台数は、本実施の形態では2台としたが、建物12の入居者数等に基づいて決定すればよい。
【0029】
これにより、入退出室18から、入口ドア22を開けてエアシャワー室16A、16Bのいずれかへ入室可能となる。また、エアシャワー室16A、16Bは一方通行に制御されており、エアシャワーを浴びた後は、出口ドア24を開けて、エアシャワー室16、16B内から進入室20へ移動する。なお、入口ドア22と出口ドア24の開閉は、後述するコントローラ84で制御される。
【0030】
また、エアシャワー室16A、16Bには、それぞれ赤外線センサ88が取り付けられ、エアシャワー室16内へ人が入室したことを検出することができる。検出結果は、後述するコントローラ84へ出力される。これにより、赤外線センサ88の出力に基づいてエアシャワー室16の運転を制御することができる。
【0031】
進入室20には、屋内用の履物を収納する屋内履物箱38が備えられている。これにより、エアシャワー室16を通過し、環境汚染物質が除去された状態で、屋内用の履物を履いて進入室20から建物12の共用空間40に移動することができる。
また、進入室20には、コントローラ84が取り付けられている。後述するように、コントローラ84は、エントランス10の全体を制御する。
【0032】
入退出室18と建物12との間には、退出準備室30が設けられている。退出準備室30は、気密性を高めた構成とされ、入退出室18より空気圧が高くされている。
退出準備室30には、開放されると建物12から退出準備室30へ移動可能とする第1退出ドア32と、開放されると退出準備室30から入退出室18へ移動可能とする第2退出ドア34が設けられている。
【0033】
また、退出準備室30には、退出者の入室を検出する赤外線センサ89と、空気圧を検出する空気圧センサ90が取り付けられている。赤外線センサ89と空気圧センサ90の検出結果は、いずれもコントローラ84へ出力される。
【0034】
ここに、退出準備室30は、入退出室18より空気圧が高くされているので、入退出室18の環境汚染物質が退出準備室30に入るのが抑制される。また、第1退出ドア32と第2退出ドア34は、後述するように、同時には開放しない構成とされているので、入退出室18から退出準備室30を経て建物内部へ汚染物質が流入するのを抑制できる。また、第2退出ドア34を退出準備室30側からのみ開放可能とすることで、間違って入退出室18側から退出準備室30へ進入されるのを防止できる。
【0035】
エントランス10は、
図4に示すコントローラ84によりが制御される。コントローラ84には、図示しないCPU、ROM、RAMが組み込まれ、ROMに記憶されたプログラムに基づいて、エントランス構成部材を制御する。なお、アクチュエータやインターフェース類の記載は省略している。
【0036】
コントローラ84へ入力されるデータには、上述したように、重量センサ86からの出力、赤外線センサ88、89からの出力、空気圧センサからの出力がある。
また、コントローラ84の制御対象には、エアシャワー室16A、16Bの入口ドア22と出口ドア24の開閉、エアシャワー室16A、16Bのエアシャワー運転、退出準備室30の第1退出ドア32、第2退出ドア34の開閉がある。
【0037】
次に、本構成のエントランス10を通る入室者、退出者の移動順序を、コントローラ84の作動と併せて
図5、6のフロー図を用いて説明する。
先ず、入室時について説明する。
図2、5に示すように、入室者は矢印92で示す方向、即ち、屋外28から風除け室44を経て玄関46へ入り(ステップ60)、玄関46から、入退出室18へ移動する。入退出室18では、靴を脱いで靴箱36へ入れる(ステップ61)。
【0038】
このときコントローラ84は、靴箱36に設けられた重量センサ86から、収納された靴の重量を取り込む。検出された重量が予め設定した範囲内にあるとき、収納された物が靴と判断する(ステップ62)。ここに、誤検出を防止するため、収納された物を靴と判断するための許容レンジを予め設定しておくのが望ましい。
また、同時に複数の靴が収納された時の優先順序や、2つのエアシャワー室16A、16Bへの振り分け方法等を予め定めておくのが望ましい。
【0039】
続いて、エアシャワー室16へ移動する(ステップ63)。このときコントローラ84は、収納された物が靴と判断したとき、エアシャワー室16の出口ドア24が閉じているのを確認した後、エアシャワー室16の入口ドア22を開ける。これは、入口ドア22と出口ドア24が同時に開放され、エアシャワー室16を通じて環境汚染物質が入退出室18から進入室20へ流入するのを防止するためである。
【0040】
また、入室者がエアシャワー室16へ入ったのを赤外線センサ88で確認した後、入口ドア22を閉じて、エアシャワーを予め定められた設定時間だけ運転させる。エアシャワー室16への入室前に入口ドア22を閉じる等の不具合を避けるためである。なお、エアシャワーの運転開始は、入室者の手動操作でも良い。このとき、エアシャワーの運転時間は、建物12の管理者が予め設定した時間だけ連続運転させ、時間経過と共に自動で停止させればよい。
【0041】
他の方法として、エアシャワー室16の内部に、環境汚染物質濃度を検出する図示しない濃度センサを取り付けておき、この濃度センサの出力に基づいてエアシャワーの運転時間を決定してもよい。これにより、環境汚染物質濃度を、確実に設定値以下に低下させることができる。
エアシャワーの運転終了後、コントローラ84は、入口ドア22が閉じているのを確認した後、出口ドア24を開ける(ステップ64)。
【0042】
続いて、入室者は、エアシャワー室16から進入室20へ移動する。進入室20には室内履きを収納した収納箱38が設けられており、室内履きを履いてそれぞれの住戸へ移動する(ステップ65)。
このときコントローラ84は、入室者がエアシャワー室16から退出したのを赤外線センサで88確認した後、エアシャワー室16の出口ドア24を閉じる(ステップ66)。
【0043】
続いて、退出時について説明する。
退出時には、
図2、6に示すように、屋外28に出ようとする退出者は、矢印94で示す方向、即ち、建物12の共用空間40から、一旦進入室20へ進み、室内履きを脱いで退出準備室30に入る(ステップ68)。
このときコントローラ84は、赤外線センサ89で退室者を確認した後、第2退出ドア34が閉じているのを確認して第1退出ドア32を開放する(ステップ69)。
【0044】
次に、退出者は、退出準備室30から入退出室18へ移動する(ステップ70)。このときコントローラ84は、第1退出ドア32が閉じているのを確認し、更に、退出準備室30の空気圧が入退出室18より高いのを確認した後に、第2退出ドア34を開放する(ステップ71)。
【0045】
続いて、退室者は、入退出室18で靴箱36から靴を取り出し、靴を履いて第1外部開閉ドア26、玄関ドア50、防風ドア48を通り屋外28へ出る(ステップ72)。
【0046】
以上説明したように、本構成とすることにより、建物12へ入るときは、エアシャワー室16A、16Bを通らないと、入退出室18から進入室20へ移動できず、建物12には入れない。この結果、建物12へ入る人はすべて、エアシャワー室16で衣服等に付着した、いわゆる環境汚染物質(花粉、排気ガス又は放射性物質等)が除去される。これにより、人を介して屋外28から環境汚染物質が建物12の内部へ持ち込まれるのを抑制することができる。
【0047】
また、履物を脱いで靴箱36へ入れ、重量センサ86により履物が収納されたことが検出されないと、エアシャワー室16の入口ドア22が開放されないため、建物12に入る人は、靴を履いたままでは入室できない。この結果、履物の底に付いた環境汚染物質が、屋外から建物へ持ち込まれるのを抑制することができる。
即ち、衣服に付着した環境汚染物質のみならず、靴底に付着した環境汚染物質を建物内部に持ち込ませないエントランス10を提供することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、住戸42A〜42Fが設けられた建物12にエントランス10を設けた構成について説明した。しかし、この構成に限定されることはなく、例えば、病院、幼稚園、学校、集会施設、プール等が設けられた建物に、本実施の形態のエントランス10を設けてもよい。
これにより、これらの建物が、環境汚染物質濃度が高い地域に建てられていても、エントランス10により、衣服に付着した環境汚染物質のみならず、靴底に付着した環境汚染物質の建物内部への持ち込みを抑制することができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
図7の平面図に示すように、第2の実施の形態に係るエントランス56は、第1の実施の形態で説明したエントランス10における、靴箱36の裏側に退出室76を設け、建物への入室経路と退出経路を分離した構成である。第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0050】
退出室76は、靴箱78を挟んで入退出室18の反対側に設けられている。退出室76は、壁体で周囲の空間と仕切られた独立空間とされ、建物12との間には退出準備室74が設けられている。また、第1の実施の形態において退出準備室74に設けられていた第2退出ドアは壁100で閉塞されている。退出準備室74には、開放されると退出準備室74から退出室76へ移動可能とする第3退出ドア80が追加されている。
【0051】
退出室76には、靴箱78に収納された靴を取り出す退出室側ドアが設けられている。これにより、退出室76から靴箱78に収納した靴を取り出すことができる。また、退出室76には、出口専用室96との間に出口専用ドア82が設けられ、退出室76との通路を開閉している。出口専用室96には、出口専用室96と屋外28との通路を開閉するドア98が設けられている。
【0052】
また、進入室20に設けられたコントローラ104により、靴箱78の進入準備室18側ドアと退出室76側ドアを、いずれか一方が開放されているときは他方を閉じるようにインターロックさせている。これにより、収納される靴の管理が容易となる。
更に、コントローラ104により、退出準備室74の第1退出ドア32が開放されている間は、第3退出ドア80が開放しないようにインターロックされている。これにより、退出準備室74を通過して、環境汚染物質が退出室76から建物12の内部に侵入するのを抑制できる。
【0053】
他の構成は、第1の実施の形態と同一であり説明は省略する。
上記構成とすることにより、退出専用に設けられた退出室76を移動して、退出準備室74から屋外に移動することができ、入室者と退出者の動線の交わりをなくすことができる。