【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明のうち、ブロー成形装置に係る主たる構成は、
ブロー成形用の金型と、有底筒状のプリフォームの口筒部に密に連通するブローノズルと、このブローノズルに挿通する延伸ロッドと、ブローノズル内に形成される供給路を介してプリフォーム内に加圧した液体を供給する加圧液体供給部
と、供給路を開閉する開閉機構とを有し、延伸ロッドによる縦延伸と、加圧した液体による膨張状の延伸により金型のキャビティに沿って容器を賦形するブロー成形装置において、
延伸ロッドの先端部の形状及び先端の引上げ高さ位置により液体を充填した状態で成形された容器におけるヘッドスペースを所定の量に制御する制御手段を有し、制御手段は、加圧した液体による膨張状の延伸に係る液体の供給を継続した状態で延伸ロッドによる縦延伸後の所定のタイミングで延伸ロッドの先端が縦延伸後の位置から容器内部の所定の高さ位置になるまで引上げ、延伸ロッドの引上げ後の所定のタイミングで、液体の供給を停止した状態で延伸ロッドを容器内から脱挿入する手段である、と云うものである。
【0010】
上記構成の装置によれば、プリフォームを延伸ロッドにより縦延伸しながら、あるいは縦延伸の終了後に加圧した液体により膨張状に延伸して容器を賦形するが、延伸ロッドをプリフォームの底壁中央部に当接させながら、所謂、芯ずれのない状態で縦延伸を均一に実施することができ、容器の賦形を安定した状態で達成することができる。
一方、容器の賦形後には、容器内に挿入された延伸ロッドは容器内でかなりの容積を占めるため、ブロー成形の最終段階で加圧した液体により容器が賦形され、液体の供給が停止された状態で延伸ロッドを容器内から引抜く際、容器の内部がかなりの減圧状態になり、賦形された容器が減容状に変形すると云う問題がある。
【0011】
そこで、上記構成のブロー成形装置によれば、加圧した液体による膨張状の延伸に係る液体の供給を継続した状態で、延伸ロッドの先端を縦延伸後の位置から容器内部の所定の高さ位置になるまで引上げることができ、延伸ロッドを上昇させた分、加圧した液体が容器の内部に充填されるため、延伸ロッドの引上げに伴う容器の減容変形を防ぎながら、金型のキャビティに沿った容器の賦形を完成し、さらに加圧した液体で容器の周壁を金型キャビティに押付けて、保圧、冷却することが可能となる。
【0012】
また、上記構成によれば、延伸ロッドの引上げ後の所定のタイミングで、液体の供給を停止した状態で延伸ロッドを容器内から脱挿入する手段により、
液体の供給が停止された状態で、ノズル内の供給路から容器内部にかけての領域に予め決められた量、すなわち最終的に容器内に充填される量の液体を残留させ、この状態で容器内から延伸ロッドの先端部を脱挿入、すなわち引抜くことにより、供給路に残留する液体を全て、口筒部から周辺外部に散乱させることなく容器内に流入させることができ、ヘッドスペースの量を再現良く調整することができる。
また、同じ容器でも製品によってヘッドスペースを変える必要がある場合、さらに異なる形状の容器を成形する場合にも、装置を大幅に変更することなく、延伸ロッドの先端部の形状を変更したり、引上げ時の先端位置を変更したりすることで容易に対応することが可能である。
【0013】
ここで、上記したように特に延伸ロッドを所定の高さ位置に引上げるタイミングや、引上げ後の延伸ロッドの先端の高さ位置の調整は、容器の成形性や成形後の物性、そしてヘッドスペースの調整に関連して重要な要素であるが、
サーボモータを使用したサーボ機構を配設することにより、延伸ロッドの引上げを所定のタイミングで開始したり、所定の位置で停止させる動作を高精度に制御したりすることが可能である。
また、延伸ロッドの高さ位置をモニタリングしたり、供給路における液体の圧力をモニタリングする等することにより、これら高さ位置や、圧力の変動パターンにより延伸ロッドの引上げや脱挿入を開始する所定のタイミングを知ることがでる。
そして、このような延伸ロッドの高さ位置のモニタリングや液体の圧力のモニタリング機構と延伸ロッドの移動を制御するサーボ機構を連動させること等により、所定のタイミングで所定の高さ位置まで延伸ロッドを引上げる手段や、所定のタイミングで液体の供給を停止した状態で延伸ロッドを容器内から脱挿入する手段を構成することができる。
【0014】
なお、上記装置の構成によれば、
前述したようにプリフォームを延伸ロッドにより縦延伸しながら、あるいは縦延伸の終了後に加圧した液体により膨張状に延伸して容器を賦形することができる。
また、延伸ロッドによる縦延伸についてはプリフォームの底壁が延伸ロッドの先端と金型の底壁により挟持する状態になるまで延伸する構成の他にも、途中まで延伸する構成とすることもできる。
また、延伸ロッドの先端を縦延伸後の位置から容器内部の所定の高さ位置になるまで引上げる所定のタイミングは、加圧した液体による膨張状の延伸による容器の賦形中、賦形が完了すると同時、賦形が完了してから所定の時間後等、特に限定されるものではないが、生産性を含めたブロー成形性、減容変形の有無、成形した容器における残留歪みの有無、周壁の均一性等を考慮して適宜決めることができるものである。
【0015】
本発明のブロー成形装置に係る他の構成は、上記主たる構成において、
ブローノズルの先端にプリフォームの口筒部に嵌入する嵌入筒片を配設し、この嵌入筒片の外周壁に先端に向かって縮径する周段部を周設し、この周段部と口筒部の上端面のシール部材を介した当接により、ブローノズルを口筒部に密に連通する構成とすると、云うものである。
【0016】
上記構成は、ブローノズルを口筒部に密に連通するためのシール方法に係るものであるが、上記構成によりシンプルな構成でシール性を確実に保持することができ、またプリフォームの装着、脱装着についても高速で実施でき、さらにシール部材の交換を含む保守管理も容易に実施することができる。
勿論、上記シール方法に関する構成は一例であり、シール性、生産性等を考慮して適宜のシール方法を採用することができる。
【0017】
本発明のブロー成形装置に係るさらに他の構成は、上記主たる構成において、ブローノズル内の供給路の下流側端部に
、開閉機構として、この供給路の開閉が可能にバルブ機構を配設する構成とする、と云うものである。
【0018】
上記構成はプリフォーム内への液の供給の開始と、供給の停止を達成するための手段に係るものであり、供給路の下流側端部、すなわちプリフォームの口筒部に極く近い位置に供給路を開閉するためのバルブ機構を配設することにより、
プリフォーム内への液の供給と停止を所定のタイミングで高精度に達成することができる。
また、後述するように本発明の容器の製造方法では、ブロー成形の最終段階で、延伸ロッドを口筒部から脱挿入する分、供給路に残留した液が容器の内部に流入して液体を充填した状態で成形された容器におけるヘッドスペースを所定の量に制御するが、
上記構成では、バルブ機構で液の供給路を閉状態とした際、このバルブ機構が配設される位置からプリフォームの口筒部の上端にかけての供給路部分に残留する液の量を少なくして計量することができ、ヘッドスペースをより高精度に制御することが可能となる
【0019】
本発明のブロー成形装置に係るさらに他の構成は、上記構成において、
ブローノズルに、このブローノズルの軸方向に沿って移動可能に筒棒状の軸体を挿通、配設し、この軸体に液密状に摺動可能に延伸ロッドを挿通する構成とし、
軸体と延伸ロッドでシールピンを構成し、
このシールピンの先端部の、ブローノズルの内周面に配設したシール段部への当接と脱当接によりバルブ機構を構成する、と云うものである。
【0020】
上記構成は、ブローノズル内の下端部に配設するバルブ機構の具体例に係るものであり、ブローノズルの軸方向に移動可能に挿通、配設した棒状のシールピンの移動動作により、供給路を容易に開閉することができる。
ここで、筒棒状の軸体とこの軸体に挿通する延伸ロッドは独立に上下方向に移動可能であり、前述した延伸ロッドと同様に、軸体についてもサーボモータを使用したサーボ機構により上下動の開始と停止を高精度に制御することができ、
バルブ機構がプリフォームの口筒部に極く近い位置に配設されることと相俟って、プリフォーム内部への液体の供給の開始と停止を所定のタイミングに高精度に制御することができる。
【0021】
本発明のうち、合成樹脂製容器の製造方法に係る主たる構成は、前述した本発明のブロー成形装置により可能なものであり、
ブロー成形用の金型と、有底筒状のプリフォームの口筒部に密に連通するブローノズルと、ブローノズルに挿通する延伸ロッドと、ブローノズル内に形成される供給路を介してプリフォーム内に加圧した液体を供給する加圧液体供給部を有し、延伸ロッドによる縦延伸と、加圧した液体による膨張状の延伸により金型のキャビティに沿って容器を賦形するブロー成形装置を使用し、
次に記載する工程1〜3を次実施し、液体を充填した状態で成形された容器におけるヘッドスペースを所定の量に制御する、と云うものである。
・工程1;延伸ロッドによりプリフォームを縦延伸しながら、あるいは縦延伸の終了後、加圧液体供給部から加圧した液体を、ブローノズル内の供給路を介して口筒部からプリフォーム内に供給して金型のキャビティの形状に沿って容器を膨張状に延伸して賦形する。
・工程2;延伸ロッドによる縦延伸後の所定のタイミングで、加圧した液体による膨張状の延伸に係る液体の供給を継続した状態で、延伸ロッドの先端が縦延伸後の位置から容器内部の所定の高さ位置になるまで引上げる。
・工程3;延伸ロッドの先端が前記所定の高さ位置へ到達し、また容器の賦形が完了した後の所定のタイミングで液体の供給を停止し、延伸ロッドを容器内から脱挿入する。
【0022】
なお、上記製造方法の構成によれば、
加圧した液体による容器を賦形は、延伸ロッドにより縦延伸しながら、あるいは縦延伸の終了後に実施することができる。
また、延伸ロッドによる縦延伸についてはプリフォームの底壁が延伸ロッドの先端と金型の底壁により挟持する状態になるまで延伸する構成の他にも、途中まで延伸する構成とすることもできる。
また、延伸ロッドの先端を縦延伸後の位置から容器内部の所定の高さ位置になるまで引上げる所定のタイミングは、加圧した液体による膨張状の延伸による容器の賦形中、賦形が完了すると同時、賦形が完了してから所定の時間後等、特に限定されるものではないが、生産性を含めたブロー成形性、減容変形の有無、成形した容器における残留歪みの有無、周壁の均一性等を考慮して適宜決めることができるものである。
【0023】
上記課題を解決するための本発明のうち、合成樹脂製容器の製造方法に係る他の構成は上記主たる構成において、延伸ロッドによる縦延伸後に、縦延伸されたプリフォームの底壁中央部を延伸ロッドの先端部と金型の底壁で挟持した状態とする、と云うものであり、
延伸ロッドの先端部と金型の底壁でプリフォームの底壁を挟持して、縦延伸されたプリフォームの姿勢を、所謂、芯ずれのない状態でより安定して保持することができ、加圧した液体による膨張状の延伸による容器の賦形をより安定した状態で達成することができる。
【0024】
上記課題を解決するための本発明のうち、合成樹脂製容器の製造方法に係る他の構成は上記主たる構成において、供給路の開閉が可能にブローノズル内の供給路の下流側端部に配設したバルブ機構により、液体のプリフォーム内、あるいは容器内への供給と停止を制御する、と云うものである。