特許第5872368号(P5872368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872368シール部材組付具及びシール部材の組付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872368
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】シール部材組付具及びシール部材の組付方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/28 20060101AFI20160216BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20160216BHJP
   F16D 55/228 20060101ALI20160216BHJP
   F16D 65/14 20060101ALI20160216BHJP
   F16D 125/06 20120101ALN20160216BHJP
   F16D 125/08 20120101ALN20160216BHJP
【FI】
   B25B27/28
   F16D65/00 E
   F16D55/228
   F16D65/14
   F16D125:06 A
   F16D125:08 Z
   F16D125:08 A
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-95227(P2012-95227)
(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-221603(P2013-221603A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226677
【氏名又は名称】日信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 武夫
(72)【発明者】
【氏名】平林 隆行
(72)【発明者】
【氏名】神林 岳之
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−178052(JP,A)
【文献】 特許第4778978(JP,B2)
【文献】 米国特許第04222161(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/28
F16D 49/00 − 71/04
F16D 125/06
F16D 125/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパボディのシリンダ孔に形成される環状のシール溝に、環状のシール部材を組み付けるシール部材組付具であって、
前記シール部材の内径より小さな外径を有する円形状の保持部材と、該保持部材の外周面に設けられて、前記シリンダ孔の内径より小さな外径に縮径させた状態のシール部材を保持する環状の保持溝部と、該保持溝部に開口して前記シール部材の一部が径方向に押し込まれて挿入される挿入溝部と、前記保持部材を前記シリンダ孔に挿入した状態で、前記縮径されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる復帰具とを備え
前記保持部材は、前記シール部材の内径に対応する外径を備えた基板と、該基板の上面に配置され、該基板より小さな外径を有するとともに、直径方向に前記挿入溝部を有するガイド部材と、該ガイド部材の上面に配置され、前記基板より大きな外径を有する天板部材とを有し、前記復帰具は、前記天板部材に、前記挿入溝部と平行な方向に移動可能に設けられたスライド部材と、該スライド部材から前記基板方向に突設され、天板部材に設けた前記挿入溝部と平行な方向のスリットを通して前記挿入溝部に先端部が挿入されて該挿入溝部に挿入されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる戻し部材とを備えている
ことを特徴とするシール部材組付具。
【請求項2】
キャリパボディのシリンダ孔に形成される環状のシール溝に、環状のシール部材を組み付けるシール部材組付具であって、
前記シール部材の内径より小さな外径を有する円形状の保持部材と、該保持部材の外周面に設けられて、前記シリンダ孔の内径より小さな外径に縮径させた状態のシール部材を保持する環状の保持溝部と、該保持溝部に開口して前記シール部材の一部が径方向に押し込まれて挿入される挿入溝部と、前記保持部材を前記シリンダ孔に挿入した状態で、前記縮径されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる復帰具とを備え、
前記保持部材に前記シール部材を保持させるためのシール部材縮径ガイド具を備え、該シール部材縮径ガイド具は、前記保持部材を挿入可能な内径を有する保持具挿入穴と、該保持具挿入穴の開口部周縁に設けられて前記シール部材を載置する環状のシール部材載置段部と、該シール部材載置段部に載置されたシール部材の一部を前記挿入溝部に押し込むことによってシール部材の残部を前記保持溝部に沿って縮径させる押し具とを備えている
ことを特徴とするシール部材組付具。
【請求項3】
前記シール部材縮径ガイド具は、前記保持具挿入穴及び前記シール部材載置段部を有する本体部と、該本体部の外面と前記シール部材載置段部の周壁とに開口して前記押し具を径方向に挿通する押し具挿通部とを備え、前記押し具は、前記シール部材の一部を前記挿入溝部に押し込む押込部を先端に備えていることを特徴とする請求項記載のシール部材組付具。
【請求項4】
キャリパボディのシリンダ孔に形成される環状のシール溝に、環状のシール部材を組み付けるシール部材組付具であって、
前記シール部材の内径より小さな外径を有する円形状の保持部材と、該保持部材の外周面に設けられて、前記シリンダ孔の内径より小さな外径に縮径させた状態のシール部材を保持する環状の保持溝部と、該保持溝部に開口して前記シール部材の一部が径方向に押し込まれて挿入される挿入溝部と、前記保持部材を前記シリンダ孔に挿入した状態で、前記縮径されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる復帰具とを備え、
前記保持部材は、並列に複数個連結されている
ことを特徴とするシール部材組付具。
【請求項5】
前記挿入溝部は、前記押し具で押し込まれて変形した前記シール部材の一部を変形状態で保持可能な形状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のシール部材組付具。
【請求項6】
前記シール部材は、ダストシール及びピストンシールであり、前記保持部材は、前記基板の上部に、該基板と同径で、且つ、前記挿入溝部に対応する位置に、前記戻し部材が挿通されるスライド溝を備えた第2の基板が配置され、該第2の基板と前記天板部材との間には、前記ダストシールを縮径させて保持するダストシール用の第1のガイド部材が設けられ、第2の基板と前記基板との間には、前記ピストンシールを縮径させて保持するピストンシール用の第2のガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のシール部材組付具。
【請求項7】
前記キャリパボディは、前記シリンダ孔をそれぞれ備えた一対の作用部がディスクロータの両側部に配置され、前記ディスクロータの外周側で前記一対の作用部を繋ぐブリッジ部が一体に形成されたモノコックピストン対向型のキャリパボディであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のシール部材組付具。
【請求項8】
請求項2,3,5のいずれか1項に記載のシール部材組付具を用いて前記シール溝に前記シール部材を組み付けるシール部材の組付方法において、
前記シール部材載置段部に、前記シール部材を載置するシール部材載置工程と、
前記保持部材を、前記シール部材の内側を通して前記保持具挿入穴に挿入する保持部材挿入工程と、
前記押し具によって前記シール部材載置段部に載置した前記シール部材の一部を前記挿入溝部に押し込むと共に、前記シール部材の残部を前記保持溝部に沿って縮径させるシール部材縮径工程と、
前記押し具を戻してから前記シール部材を縮径状態で保持した前記保持部材を前記保持具挿入穴から取り外して前記シリンダ孔に挿入するシリンダ孔挿入工程と、
前記シール部材と前記シール溝との位置を合わせた状態で、前記復帰具によって前記挿入溝部に押し込まれているシール部材の一部を元の状態に復帰させ、前記シール部材の弾発力にて該シール部材を前記シール溝に組み付けるシール部材組付工程と
を含むことを特徴とするシール部材の組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材をシリンダ孔に組み付けるシール部材組付具及びシール部材の組付方法に係り、詳しくは、キャリパボディのシリンダ孔に形成されたシール溝に、シール部材を組み付けるシール部材組付具及びシール部材の組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の作用部と、ディスクロータの外周側で前記一対の作用部を繋ぐブリッジ部とを一体に形成したモノコック構造のピストン対向型のキャリパボディでは、シリンダ孔に形成されるシール溝に、シール部材を組み付ける際には、両作用部間に形成される開口部から、ピストンシールやダストシール等のシール部材をシリンダ孔内に挿入して組み付けていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4778978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のように、両作用部間に形成される開口部から、ピストンシールやダストシール等のシール部材を組み付けるものでは、手間が掛かると共に、作業空間が狭いことから、作業性が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、キャリパボディにシール部材を容易に組み付けることができるシール部材組付具及び組付方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、キャリパボディのシリンダ孔に形成される環状のシール溝に、環状のシール部材を組み付けるシール部材組付具であって、前記シール部材の内径より小さな外径を有する円形状の保持部材と、該保持部材の外周面に設けられて、前記シリンダ孔の内径より小さな外径に縮径させた状態のシール部材を保持する環状の保持溝部と、該保持溝部に開口して前記シール部材の一部が径方向に押し込まれて挿入される挿入溝部と、前記保持部材を前記シリンダ孔に挿入した状態で、前記縮径されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる復帰具とを備えたシール部材組付具に関する
【0007】
そして、前記シール部材組付具に関する請求項1の発明は、前記保持部材は、前記シール部材の内径に対応する外径を備えた基板と、該基板の上面に配置され、基板より小さな外径を有するとともに、直径方向に前記挿入溝部を有するガイド部材と、該ガイド部材の上面に配置され、前記基板より大きな外径を有する天板部材とを有し、前記復帰具は、前記天板部材に、前記挿入溝部と平行な方向に移動可能に設けられたスライド部材と、該スライド部材から前記基板方向に突設され、天板部材に設けた前記挿入溝部と平行な方向のスリットを通して前記挿入溝部に先端部が挿入されて該挿入溝部に挿入されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる戻し部材とを備えていることを特徴としている
【0008】
請求項2の発明は、前記保持部材に前記シール部材を保持させるためのシール部材縮径ガイド具を備え、該シール部材縮径ガイド具は、前記保持部材を挿入可能な内径を有する保持具挿入穴と、該保持具挿入穴の開口部周縁に設けられて前記シール部材を載置する環状のシール部材載置段部と、該シール部材載置段部に載置されたシール部材の一部を前記挿入溝部に押し込むことによってシール部材の残部を前記保持溝部に沿って縮径させる押し具とを備えていることを特徴としている
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記シール部材縮径ガイド具は、前記保持具挿入穴及び前記シール部材載置段部を有する本体部と、該本体部の外面と前記シール部材載置段部の周壁とに開口して前記押し具を径方向に挿通する押し具挿通部とを備え、前記押し具は、前記シール部材の一部を前記挿入溝部に押し込む押込部を先端に備えていることを特徴としている
【0010】
請求項4の発明は、前記保持部材が並列に複数個連結されていることを特徴としている
【0011】
請求項5の発明は、請求項2又は3の発明において、前記挿入溝部は、前記押し具で押し込まれて変形した前記シール部材の一部を変形状態で保持可能な形状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項の発明において、 前記シール部材は、ダストシール及びピストンシールであり、前記保持部材は、前記基板の上部に、該基板と同径で、且つ、前記挿入溝部に対応する位置に、前記戻し部材が挿通されるスライド溝を備えた第2の基板が配置され、該第2の基板と前記天板部材との間には、前記ダストシールを縮径させて保持するダストシール用の第1のガイド部材が設けられ、第2の基板と前記基板との間には、前記ピストンシールを縮径させて保持するピストンシール用の第2のガイド部材が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の発明において、前記キャリパボディは、前記シリンダ孔をそれぞれ備えた一対の作用部がディスクロータの両側部に配置され、前記ディスクロータの外周側で前記一対の作用部を繋ぐブリッジ部が一体に形成されたモノコックピストン対向型のキャリパボディであるを特徴としている
【0014】
また、本発明のシール部材の組付方法は、上述のシール部材組付具を用いて前記シール溝に前記シール部材を組み付けるシール部材の組付方法において、前記シール部材載置段部に、前記シール部材を載置するシール部材載置工程と、前記保持部材を、前記シール部材の内側を通して前記保持具挿入穴に挿入する保持部材挿入工程と、前記押し具によって前記シール部材載置段部に載置した前記シール部材の一部を前記挿入溝部に押し込むと共に、前記シール部材の残部を前記保持溝部に沿って縮径させるシール部材縮径工程と、前記押し具を戻してから前記シール部材を縮径状態で保持した前記保持部材を前記保持具挿入穴から取り外して前記シリンダ孔に挿入するシリンダ孔挿入工程と、前記シール部材と前記シール溝との位置を合わせた状態で、前記復帰具によって前記挿入溝部に押し込まれているシール部材の一部を元の状態に復帰させ、前記シール部材の弾発力にて該シール部材を前記シール溝に組み付けるシール部材組付工程とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシール部材組付具によれば、シール部材の内径より小さな外径を有する円形状の保持部材と、保持部材の外周面に設けられて、シリンダ孔の内径より小さな外径に縮径させた状態のシール部材を保持する環状の保持溝部と、保持溝部に開口してシール部材の一部が径方向に押し込まれて挿入される挿入溝部と、保持部材をシリンダ孔に挿入した状態で、縮径されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる復帰具とを備えていることから、挿入溝部にシール部材の一部を押し込んで、シール部材を保持溝部に縮径させた状態で保持し、保持部材をシリンダ孔に挿入してシール溝の位置で、復帰具によって元の状態に復帰させることにより、シール部材をシール溝に、簡単、且つ、確実に組み付けることができる。
【0016】
また、保持部材は、シール部材の内径に対応する外径を備えた基板と、基板の上面に配置され、基板より小さな外径を有するとともに、直径方向に前記挿入溝部を有するガイド部材と、該ガイド部材の上面に配置され、基板より大きな外径を有する天板部材とを有し、復帰具は、天板部材に、挿入溝部と平行な方向に移動可能に設けられたスライド部材と、該スライド部材から基板方向に突設され、天板部材に設けた挿入溝部と平行な方向のスリットを通して挿入溝部に先端部が挿入されて挿入溝部に挿入されたシール部材の一部を元の状態に復帰させる戻し部材とを備えていることにより、基板の上面と、ガイド部材の外周面と、天板部材の下面とにより、保持溝部が形成され、さらに、復帰具は、天板部材に設けられていることにより、保持部材を簡単に形成することができる。さらに、保持部材を挿入可能な内径を有する保持具挿入穴と、保持具挿入穴の開口部周縁に設けられてシール部材を載置する環状のシール部材載置段部と、シール部材載置段部に載置されたシール部材の一部を挿入溝部に押し込むことによってシール部材の残部を保持溝部に沿って縮径させる押し具とを備えたシール部材縮径ガイド具を用いることにより、シール部材載置段部にシール部材を載置し、保持具挿入穴に保持具を挿入し、押し具でシール部材の一部を挿入溝部に押し込むことによって、シール部材の残部を保持溝部に沿って簡単に縮径させることができる。
【0017】
また、シール部材縮径ガイド具は、保持具挿入穴及びシール部材載置段部を有する本体部と、本体部の外面とシール部材載置段部の周壁とに開口して押し具を径方向に挿通する押し具挿通部とを備え、押し具は、シール部材の一部を挿入溝部に押し込む押込部を先端に備えていることにより、簡単な構造とすることができ、コストが嵩む虞がない。
【0018】
さらに、挿入溝部は、押し具で押し込まれて変形したシール部材の一部を変形状態で保持可能な形状に形成されていることから、シール部材を保持部材に確実に保持させることができる。
【0019】
また、保持部材を並列に複数個連結したことにより、複数のシリンダ孔が併設されているキャリパボディのシリンダ孔にシール材を組み付ける際に、効率よくシール部材の組付作業を行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0020】
特に、シリンダ孔をそれぞれ備えた一対の作用部がディスクロータの両側部に配置され、ディスクロータの外周側で前記一対の作用部を繋ぐブリッジ部が一体に形成された、作業空間が狭いモノコックピストン対向型のキャリパボディのシリンダ孔に、シール部材を良好に組み付けることができる。
【0021】
本発明のシール部材の組付方法によれば、上述のシール部材組付具を用いて、シール部材載置段部に、シール部材を載置するシール部材載置工程と、シール部材の内側を通して保持具挿入穴に保持部材を挿入する保持部材挿入工程と、シール部材載置段部に載置したシール部材の一部を、押し具によって挿入溝部に押し込むと共に、シール部材の残部を保持溝部に沿って縮径させるシール部材縮径工程と、押し具を戻してから前記シール部材を縮径状態で保持した保持部材を保持具挿入穴から取り外してシリンダ孔に挿入するシリンダ孔挿入工程と、シール部材とシール溝との位置を合わせた状態で、復帰具によって挿入溝部に押し込まれているシール部材の一部を元の状態に復帰させ、シール部材の弾発力にてシール部材をシール溝に組み付けるシール部材組付工程とを順次行うことにより、簡単な工程でシリンダ孔にシール材を組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1形態例を示すシール部材組付具を示す分解斜視図である。
図2】同じくシール部材組付具の要部断面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】シール部材縮径ガイド具にセットしたダストシールを縮径させた状態を示す要部断面図である。
図6図5のVI−VI断面図である。
図7】シール部材縮径ガイド具にピストンシールと保持部材とをセットした状態を示す要部断面である。
図8図7のVIII-VIII断面図である。
図9】シール部材縮径ガイド具にセットしたピストンシールを縮径させた状態を示す要部断面図である。
図10図9のX-X断面図である。
図11】シール保持具をシリンダ孔内に挿入した状態を示す断面図である。
図12図11のXII-XII断面図である。
図13】復帰具にてピストンシールとダストシールとを元の状態に復帰させてシール溝に組み付けた状態を示す断面図である。
図14図13のXIV-XIV断面図である。
図15】ディスクブレーキの断面図である。
図16】本発明の第2形態例を示すシール部材組付具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1乃至図14は、本発明の第1形態例を示すもので、キャリパボディのシリンダ孔に形成されたピストンシール溝とダストシール溝に、ピストンシールとダストシールとを同時に組み付ける際に用いられるシール部材組付具を示している。
【0024】
図15に示されるように、ディスクブレーキ1は、ディスクロータ2と、該ディスクロータ2の一側部で車体に固設されるモノコック構造ピストン対向型のキャリパボディ3と、該キャリパボディ3の内部にディスクロータ2を挟んで対向配置される一対の摩擦パッド4,4とを備えている。
【0025】
キャリパボディ3は、ディスクロータ2の外周を跨ぐブリッジ部3aの両端に、ディスクロータ2の両側部に配置される一対の作用部3b,3bを一体に備え、作用部3b,3bには、ディスクロータ2側が開口したシリンダ孔3cが対向してそれぞれ設けられている。各シリンダ孔3cには、ピストンシール5が組み付けられるピストンシール溝3dと、ダストシール6を組み付けるダストシール溝3eがそれぞれ周設され、シリンダ孔3cには、ピストン7がピストンシール5とダストシール6とを介して収容され、さらに、各シリンダ孔3cの底部と各ピストン7の底面との間には、作動液が供給される液圧室8がそれぞれ画成される。
【0026】
ピストンシール5及びダストシール6は、図1に示されるように、ダストシール縮径ガイド具11と、ピストンシール縮径ガイド具12とを用いて、ピストンシール5とダストシール6とを保持させたシール部材組付具20を用いて、ピストンシール溝3dとダストシール溝3eとにそれぞれ組み付けられる。
【0027】
シール部材組付具20は、シリンダ孔3cに組み付けた状態で、ピストンシール5及びダストシール6の内径よりも小さな外径を有する円形状の保持部材21と、該保持部材21の外周面に設けられて、シリンダ孔3cの内径よりも小さな外径に縮径させた状態のダストシール6及びピストンシール5をそれぞれ保持する、環状のダストシール保持溝部21a及びピストンシール保持溝部21bと、該ダストシール保持溝部21a及びピストンシール保持溝部21bにそれぞれ開口して、ダストシール6あるいはピストンシール5の一部が径方向にそれぞれ押し込まれて挿入されるダストシール挿入溝部21c及びピストンシール挿入溝部21dと、保持部材21をシリンダ孔3cに挿入した状態で、縮径されたダストシール6及びピストンシール5の一部を元の状態に復帰させる復帰具31とを備えている。
【0028】
保持部材21は、ダストシール6及びピストンシール5の内径に対応する外径を備えた第1の基板22と、該第1の基板22と同径の第2の基板23と、第2の基板23の上面に配設され、ダストシール6を縮径させて保持するダストシールガイド部材24(第1のガイド部材)と、第2の基板23の下面に配設され、ピストンシール5を縮径させて保持するピストンシールガイド部材25(第2のガイド部材)と、ダストシールガイド部材24の上面に配置され、第2の基板23よりも大きな外径を有する天板部材26とで形成されている。
【0029】
第2の基板23は、ダストシール挿入溝部21c及びピストンシール挿入溝部21dに対応する位置に、復帰具31の戻し部材31aが挿通されるスライド溝23aを備えている。さらに、第2の基板23の上面及び下面の中間位置には、ダストシール挿入溝部21c及びピストンシール挿入溝部21dの反開口側に向けて漸次肉厚となる上面肉厚部23bと下面肉厚部23cとがそれぞれ設けられている。
【0030】
ダストシールガイド部材24とピストンシールガイド部材25とは、第2の基板23よりも小さな外径をそれぞれ有すると共に、ダストシールガイド部材24には、直径方向に前記ダストシール挿入溝部21cが、ピストンシールガイド部材25には、直径方向に前記ピストンシール挿入溝部21dがそれぞれ同一方向に形成されている。
【0031】
天板部材26は、ダストシール挿入溝部21c及びピストンシール挿入溝部21dと平行な挿通孔26aが形成され、該挿通孔26aの下壁に、スライド溝23a側に向けて開口する開口部26bが形成されている。
【0032】
復帰具31は、天板部材26の挿通孔26aに移動可能に挿通されたスライド部材31bと、該スライド部材31bから基板方向に突設された戻し部材31aとを備えている。
【0033】
そして、これら天板部材26と、ダストシールガイド部材24と、第2の基板23と、ピストンシールガイド部材25と、第1の基板22とを複数のボルトと連結ピンとで連結することにより、天板部材26と第2の基板23との間に、前記ダストシール保持溝部21aとダストシール挿入溝部21cとが形成されると共に、第2の基板23と第1の基板22との間に、前記ピストンシール保持溝部21bとピストンシール挿入溝部21dとが形成される。さらに、ダストシール挿入溝部21cは、押し込んだダストシール6の一部を保持可能な形状に、ピストンシール挿入溝部21dは、押し込んだピストンシール5の一部を保持可能な形状にそれぞれ形成される。
【0034】
ダストシール縮径ガイド具11は、本体部11aと、押し具13とを備え、本体部11aは、保持部材21の第1の基板22とピストンシールガイド部材25と第2の基板23とを挿入可能な内径と深さとを有する保持具挿入穴11bと、該保持具挿入穴11bの開口部周縁に設けられて、ダストシール6を載置する環状のダストシール載置段部11cと、本体部11aの外面とダストシール載置段部11cの周壁とに開口して押し具13を径方向に挿通する押し具挿通部11dとを備えている。そして、保持具挿入穴11bに保持部材21を挿入した際に、ダストシール載置段部11cとダストシール保持溝部21aが同一平面上に配置される。また、押し具13の先端には、ダストシール載置段部11cに載置されたダストシール6の一部を、ダストシール挿入溝部21cに押し込む幅狭の押込部13aが設けられている。
【0035】
ピストンシール縮径ガイド具12は、本体部12aと、押し具13とを備え、本体部12aは、保持部材21の第1の基板22を挿入可能な内径と深さとを有する保持具挿入穴12bと、該保持具挿入穴12bの開口部周縁に設けられて、ピストンシール5を載置する環状のピストンシール載置段部12cと、本体部12aの外面とピストンシール載置段部12cの周壁とに開口して押し具13を径方向に挿通する押し具挿通部12dとを備えている。そして、保持具挿入穴12bに保持部材21を挿入した際に、ピストンシール載置段部12cとピストンシール保持溝部21bが同一平面上に配置される。押し具13は、ダストシール縮径ガイド具11に用いられたものと同一の押し具13を用いることができる。
【0036】
次に、図2乃至図14に基づいて、本発明方法により、ダストシール溝3eとピストンシール溝3dとに、ダストシール6とピストンシール5とを組み付ける組付工程について説明する。まず、図2乃至図4に示されるように、押し具13を後退させた状態で、ダストシール縮径ガイド具11のダストシール載置段部11cに、ダストシール6を載置するダストシール載置工程(シール部材載置工程)を行う。
【0037】
次いで、復帰具31の戻し部材31aを、反押し具挿通部側に配置させた状態で、保持部材21の第1の基板22とピストンシールガイド部材25と第2の基板23とを、ダストシール6の内側を通して、ダストシール縮径ガイド具11の保持具挿入穴11bに挿入する保持部材挿入工程を行う。
【0038】
次に、図5及び図6に示されるように、第1の基板22の底面と保持具挿入穴11bの底面とが当接した状態で、第2の基板23の上面と、ダストシール載置段部11cとが面一となり、押し具13を押し具挿通部11dに挿入し、押込部13aによって、ダストシール載置段部11cに載置したダストシール6の一部をダストシール挿入溝部21cに押し込むと共に、ダストシール6の残部をダストシール保持溝部21aに沿って縮径されるダストシール縮径工程(シール部材縮径工程)を行う。
【0039】
次に、押し具13を戻し、ダストシール6を縮径状態で保持した保持部材21をダストシール縮径ガイド具11から取り外してから、図7及び図8に示されるように、ピストンシール縮径ガイド具12のピストンシール載置段部12cにピストンシール5を載置するピストンシール載置工程(シール部材載置工程)を行い、次いで、保持部材21の第1の基板22を、ピストンシール5の内側を通して、ピストンシール縮径ガイド具12の保持具挿入穴12bに挿入する保持部材挿入工程を行う。
【0040】
次いで図9及び10に示されるように、第1の基板22の底面と保持具挿入穴12bの底面とが当接した状態で、第2の基板23の下面と、ピストンシール載置段部12cとが面一となり、押し具13を押し具挿通部12dに挿入し、押込部13aによって、ピストンシール載置段部12cに載置したピストンシール5の一部をピストンシール挿入溝部21dに押し込むと共に、ピストンシール5の残部をピストンシール保持溝部21bに沿って縮径されるピストンシール縮径工程(シール部材縮径工程)を行う。
【0041】
さらに、図11及び図12に示されるように、押し具13を戻してから、ダストシール6及びピストンシール5を縮径状態で保持した保持部材21をピストンシール縮径ガイド具12から取り外し、シリンダ孔3cに挿入するシリンダ孔挿入工程を行う。
【0042】
次に、キャリパボディのシリンダ孔開口部先端面と天板部材26とを当接させ、ダストシール6とダストシール溝3e、ピストンシール5とピストンシール溝3dの位置をそれぞれ合致させた状態で、図13及び図14に示されるように、復帰具31の戻し部材31aを、スライド溝23aに沿ってブリッジ部側にスライドさせて、ダストシール挿入溝部21cに挿入されたダストシール6の一部と、ピストンシール挿入溝部21dに挿入されたピストンシール5の一部とを元の状態に復帰させ、ダストシール6とピストンシール5の弾発力にてダストシール6とピストンシール5とをダストシール溝3eとピストンシール溝3dにそれぞれ組み付けるシール部材組付工程を行う。これにより、ダストシール6とピストンシール5とが、ダストシール溝3eとピストンシール溝3dにそれぞれ組み付けられる。
【0043】
本形態例のシール部材組付具20は、上述のように形成されていることにより、ダストシール6とピストンシール5とを縮径させた状態でシール部材組付具20に保持させ、シール部材組付具20をシリンダ孔3c内に挿入し、ダストシール6とピストンシール5とをダストシール溝3eとピストンシール溝3dに対応する位置にそれぞれ配置し、復帰具31によって縮径したダストシール6とピストンシール5を元の状態に復帰させて、ダストシール6とピストンシール5をダストシール溝3eとピストンシール溝3dとにそれぞれ同時に組み付けることから、ダストシール6とピストンシール5とを簡単、且つ、確実に組み付けることができ、作業性の向上を図ることができる。さらに、ダストシール6及びピストンシール5の組み付けの自動化も図ることができるようになり、作業効率の大幅な向上を図ることができる。
【0044】
また、第2の基板23の上面と下面とに、ダストシールガイド部材24とピストンシールガイド部材25とをそれぞれ取り付け、ダストシール6とピストンシール5とを一つのシール部材組付具20に保持させ、さらに、復帰具31によって、ダストシール6とピストンシール5とをダストシール溝3eとピストンシール溝3dとに一度に組み付けることができることから、ダストシール6とピストンシール5とをダストシール溝3eとピストンシール溝3dとに効率よく組み付けることができる。さらに、ダストシール挿入溝部21cは、押し込んだダストシール6の一部を保持可能な形状に、ピストンシール挿入溝部21dは、押し込んだピストンシール5の一部を保持可能な形状にそれぞれ形成され、さらに、第2の基板23に、上面肉厚部23bと下面肉厚部23cとをそれぞれ設けていることから、ダストシール6やピストンシール5を押し具13で押して、各シール挿入溝部21c,21dに挿入させた後、押し具13を後退させても、ダストシール6とピストンシール5とを各シール保持溝部21a,21bに沿わせてそれぞれ縮径状態で確実に保持させておくことができる。
【0045】
また、上述のシール部材組付具20を用いて、シール部材載置工程と、保持部材挿入工程と、シール部材縮径工程と、シリンダ孔挿入工程と、シール部材組付工程とを順次行うことにより、ダストシール6とピストンシール5とをダストシール溝3eとピストンシール溝3dとに同時に組み付けることができる。
【0046】
図16は、本発明の第2形態例を示すもので、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略する。本形態例のシール部材組付具は、6ポットピストン対向型のキャリパボディのシリンダ孔にダストシール6やピストンシール5を組み付ける際に用いられるもので、一方の作用部に設けられた3つのシリンダ孔に応じて、3つの保持部材が設けられている。3つの保持部材41,42,43は、3つのシリンダ孔の配置に応じて配置されると共に、連結腕44で連結され、復帰具41a,42a,43aも連結部材45で連結され、連結部材45の中央に摘み部45aを備えている。
【0047】
本形態例の各保持部材41,42,43は、第1形態例と同様に、各保持部材41,42,43にダストシール6とピストンシール5とをそれぞれ縮径させて保持させた状態で、対応するシリンダ孔にそれぞれ挿入し、所定の位置で、摘み部45aをキャリパボディのブリッジ部側に押し込むことにより、各シリンダ孔のダストシール溝とピストンシール溝とにダストシール6とピストンシール5とを、一度に組み付けることができる。これにより、多ポットのキャリパボディのシリンダ孔にダストシール6とピストンシール5を組み付ける組付作業の作業性を、大幅に向上させることができる。
【0048】
尚、本発明のシール部材組付具は上述の各形態例のように、シール部材縮径ガイド部を用いて、シール部材を保持部材に保持させるものに限らず、シール部材を保持部材に保持させる手段は任意である。また、上述の形態例のように、ダストシールとピストンシールを一度に組み付けるものではなくても良い。さらに、シール部材組付具は、適用するキャリパボディのシリンダ孔の数や外径や形成位置に応じて適宜連結して形成することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ディスクブレーキ、2…ディスクロータ、3…キャリパボディ、3a…ブリッジ部、3b…作用部、3c…シリンダ孔、3d…ピストンシール溝、3e…ダストシール溝、4…摩擦パッド、5…ピストンシール、6…ダストシール、7…ピストン、8…液圧室、11…ダストシール縮径ガイド具、11a…本体部、11b…保持具挿入穴、11c…ダストシール載置段部、11d…押し具挿通部、12…ピストンシール縮径ガイド具、12a…本体部、12b…保持具挿入穴、12c…ピストンシール載置段部、12d…押し具挿通部、13…押し具、13a…押込部、20…シール部材組付具、21…保持部材、21a…ダストシール保持溝部、21b…ピストンシール保持溝部、21c…ダストシール挿入溝部、21d…ピストンシール挿入溝部、22…第1の基板、23…第2の基板、23a…スライド溝、23b…上面肉厚部、23c…下面肉厚部、24…ダストシールガイド部材、25…ピストンシールガイド部材、26…天板部材、26a…挿通孔、26b…開口部、31…復帰具、31a…戻し部材、31b…スライド部材、41,42,43…保持部材、41a,42a,43a…復帰具、44…連結腕、45…連結部材、45a…摘み部
図1
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