(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送電コイル(11)を備える給電台(10)に、受電コイル(51)を内蔵する携帯機器(50)をセットし、前記給電台(10)の送電コイル(11)に前記携帯機器(50)の受電コイル(51)を電磁結合して、前記送電コイル(11)から前記受電コイル(51)に電磁誘導作用で電力搬送すると共に、前記携帯機器(50)から前記給電台(10)に、電力を調整する電力の増減要求信号を伝送して、前記給電台(10)が増減要求信号に基づいて前記送電コイル(11)の出力を調整して、前記携帯機器(50)の要求電力を給電するようにしてなる無接点給電方法であって、
前記給電台(10)が、出力の最大値を出力電力閾値に制限し、
前記携帯機器(50)は、前記給電台(10)から給電される受電電力を要求電力に比較して、受電電力が要求電力よりも小さいと増減要求信号として増加要求信号を前記給電台(10)に伝送し、受電電力が要求電力よりも大きいと減少要求信号を前記給電台(10)に伝送して、前記給電台(10)の出力を出力電力閾値に制限して調整し、
さらに、前記携帯機器(50)から出力される増加要求信号が、あらかじめ設定している設定時間継続することを検出して、給電台(10)の異物(30)を検出する無接点給電方法。
前記給電台(10)が、前記携帯機器(50)の要求電力で出力電力閾値を変更し、要求電力が大きくなると出力電力閾値を大きくする請求項1に記載される無接点給電方法。
前記給電台(10)が、前記携帯機器(50)の受電電力と異物(30)を検出する状態における異物検出閾値(効率)から出力電力閾値を設定する請求項1又は2に記載される無接点給電方法。
前記給電台(10)が充電台(10A)で、前記携帯機器(50)が電池内蔵機器(50A)で、前記充電台(10A)から前記電池内蔵機器(50A)に給電される電力で前記電池内蔵機器(50A)の電池(52)を充電する請求項1ないし5のいずれかに記載される無接点給電方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の充電台は、異物を検出するための温度センサと、この温度センサの検出温度から異物判定する判定回路を設ける必要があるので、異物検出のための回路構成が複雑で製造コストが高くなる欠点がある。また、温度センサから離れてセットされる異物を安定して確実に検出できなかったり、検出時間が相当に遅くなって異物が高温に発熱する等の欠点がある。さらに、以上の充電台は、異物の発熱を温度センサで検出して異物がセットされたことを判定するので、異物が加熱されない状態で安全に異物検出できない欠点もある。
【0007】
本発明は、さらに以上の弊害を解消することを目的に開発されたもので、本発明の大切な目的は、簡単な回路構成で製造コストを安価にしながら、セットされる異物を速やかに安定して確実に検出できる無接点給電方法を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、安全に異物検出できる無接点給電方法を提供することにある。
【0008】
本発明の無接点給電方法は、送電コイル11を備える給電台10に、受電コイル51を内蔵する携帯機器50をセットし、給電台10の送電コイル11に携帯機器50の受電コイル51を電磁結合して、送電コイル11から受電コイル51に電磁誘導作用で電力搬送する。さらに、携帯機器50から給電台10に、給電台10の出力を調整する増減要求信号を伝送する。給電台10は増減要求信号に基づいて送電コイル11の出力を調整して、携帯機器50の要求電力を給電する。さらに、以上の無接点給電方法は、給電台10の出力を出力電力閾値以下に制限し、携帯機器50は、給電台10から給電される受電電力を要求電力に比較して、受電電力が要求電力よりも小さいと増減要求信号として増加要求信号を給電台10に伝送し、受電電力が要求電力よりも大きいと減少要求信号を給電台10に伝送する。また、給電台10は、増加要求信号と減少要求信号でもって出力を調整すると共に、あらかじめ設定している設定時間、継続して携帯機器50から増加要求信号が伝送されると、給電台10に異物がセットされたと判定する。
【0009】
以上の無接点給電方法は、簡単な回路構成として製造コストを低コストとしながら、給電台にセットされる異物を速やかに安定して確実に検出できる特徴がある。この特徴は、以上の無接点給電方法が、給電台の最大出力を出力電力閾値に制限しながら、携帯機器から給電台に、出力の増減を要求する増加要求信号と減少要求信号を伝送して、給電台が出力を出力電力閾値に制限して調整し、さらに、あらかじめ設定している設定時間継続して増加要求信号が出力されることを検出して、給電台の異物を検出するからである。
以上の無接点給電方法は、給電台に異物がセットされると、異物が送電コイルの電力を吸収して送電効率が低下する。送電効率が低下すると、携帯機器の受電電力が低下して、要求電力よりも低くなる。この状態になると、携帯機器は増加要求信号を出力する。給電台は増加要求信号を検出して出力を増加させるが、最大出力を出力電力閾値に制限する。給電台が、出力を出力電力閾値まで増加しても、携帯機器の受電電力は要求電力に至らず、携帯機器は増加要求信号を出力し続ける。すなわち、給電台に異物がセットされると、携帯機器は増加要求信号を出力し続ける。給電台は、携帯機器から継続して出力される増加要求信号を検出して、異物がセットされたと判定する。
以上の無接点給電方法は、給電台の出力を出力電力閾値に制限するので、異物が大電力で高温に加熱される弊害も防止できる。
また、以上の無接点給電方法は、携帯機器が出力し続ける増減要求信号を検出して異物判定するので、異物検出のために給電台に温度センサ等を設ける必要がなく、回路構成を簡単にできる。
【0010】
また、以上の無接点給電方法は、従来のように異物の発熱を温度センサで検出して異物判定するのでなく、異物がセットされると、送電効率が低下して、携帯機器が増減要求信号を出力し続けることを検出して、異物検出するので、安全に異物検出できる特徴が実現される。
【0011】
本発明の無接点給電方法は、携帯機器50の要求電力で出力電力閾値を変更し、要求電力が大きくなると出力電力閾値を大きくすることもできる。
以上の無接点給電方法は、携帯機器の要求電力が大きくなると出力電力閾値を大きくするので、携帯機器に必要とする電力を給電しながら、異物検出できる特徴がある。
【0012】
本発明の無接点給電方法は、携帯機器50の受電電力と異物30を検出する状態における異物検出閾値(効率)から出力電力閾値を設定することができる。
この無接点給電方法は、携帯機器に所定の電力を供給する状態としながら異物検出できる特徴がある。
【0013】
本発明の無接点給電方法は、携帯機器50の定格最大電力から出力電力閾値を設定することができる。
この無接点給電方法は、給電台の出力を、携帯機器の定格最大電力に対して最適な出力電力閾値に設定して、すなわち、携帯機器に好ましい電力を供給しながら異物検出できる特徴がある。
【0014】
さらに、本発明の無接点給電方法は、携帯機器50の定格最大電力と送電効率から出力電力閾値を設定することができる。
この無接点給電方法は、給電台の出力を、携帯機器の定格最大電力と送電効率から最適な出力電力閾値に設定して、携帯機器に所定の電力を供給しながら異物検出できる特徴がある。
【0015】
本発明の無接点給電方法は、給電台10を充電台10Aとし、携帯機器50を電池内蔵機器50Aとして、充電台10Aから電池内蔵機器50Aに給電される電力で電池内蔵機器50Aの電池52を充電することができる。
この無接点給電方法は、電池内蔵機器を充電台にセットして、充電台から電池内蔵機器に電力搬送して、電池内蔵機器の電池を充電しながら、充電台に異物がセットされたことも確実に検出できる。
【0016】
さらに、本発明の無接点給電方法は、電池内蔵機器50Aが電池52を定電圧・定電流にて充電することができる。
この無接点給電方法は、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等の電池を、定電圧・定電流特性で安定して充電できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための無接点給電方法を例示するものであって、本発明は無接点給電方法を以下の方法や回路構成に特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0019】
図1は、本発明の無接点給電方法で電力搬送する給電台と携帯機器を示すブロック図である。この図は、給電台10の上に携帯機器50を載せて、給電台10から携帯機器50に給電する状態を示している。以下の実施例は、給電台10を充電台10Aとし、携帯機器50を電池内蔵機器50Aとして、充電台10Aから電池内蔵機器50Aに給電して、電池内蔵機器50Aの電池52を充電する状態を示している。
【0020】
ただし、本発明は、給電台を充電台として、携帯機器を電池内蔵機器に特定するものではない。携帯機器は照明器具や充電アダプタとして、給電台から携帯機器に給電して、携帯機器に電力供給することができる。照明の携帯機器は、給電台から給電される電力で光源を点灯し、充電アダプタの携帯機器は、給電台から給電される電力でもって、充電アダプタに接続される電池内蔵機器に電池の充電電力を供給して、電池内蔵機器の電池を充電する。また、携帯機器は、パック電池であっても良い。
【0021】
図1の携帯機器50は電池内蔵機器50Aで、この携帯機器50は、給電台10の送電コイル11に電磁結合される受電コイル51を内蔵している。受電コイル51に誘導される受電電力で電池52を充電する。したがって、
図1の携帯機器50は、電池52と、受電コイル51と、この受電コイル51に誘導される交流を直流に変換する整流回路56と、整流回路56の出力から受電電力を検出して、この受電電力を、電池52を充電するために必要な電力である要求電力に比較して増減要求信号を出力する電力検出回路55と、整流回路56から出力される直流で電池52を充電する充電電流や電圧を調整する充電制御回路53と、電池52の充電電流を検出する電流検出回路57と、電流検出回路57で検出される検出電流を給電台10に伝送する伝送回路54とを備える。
【0022】
電池52は、リチウムイオン電池又はリチウムポリマー電池である。ただし、電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池などの充電できる全ての電池とすることができる。携帯機器50は、1個ないし複数の電池52を内蔵している。複数の電池52は、直列又は並列に接続され、あるいは直列と並列に接続される。
【0023】
整流回路56は、図示しないが、受電コイル51に誘導される交流をダイオードブリッジで全波整流して脈流を平滑コンデンサーで平滑化する。整流回路は、ダイオードブリッジで交流を整流するが、整流回路には、FETをブリッジに接続して、交流に同期してFETをオンオフに切り換えて整流する同期整流回路も使用できる。FETの同期整流回路はオン抵抗が小さく、整流回路の発熱を少なくして、携帯機器のケース内温度の上昇を少なくできる。また、平滑コンデンサーは必ずしも必要でなく、ダイオードブリッジや同期整流回路の出力で電池を充電することもできる。
【0024】
電力検出回路55は、所定の周期で、整流回路56から出力される受電電力を要求電力に比較して、伝送回路54を介して給電台10に増減要求信号を出力する。電力検出回路55は、整流回路56の出力電圧と電流の積から受電電力を検出する。増減要求信号は、給電台10の出力を増加させる増加要求信号と、出力を小さくする減少要求信号の何れかで、増加要求信号は受電電力が要求電力よりも小さいときに出力され、減少要求信号は受電電力が要求電力よりも大きいときに出力される。電力検出回路55は、電池52のタイプ、容量、電圧、充電電流などから要求電力を特定する。リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池を充電する電池内蔵機器50Aは、電池52を定電圧・定電流特性で充電するので、電池52が満充電に近づくにしたがって充電電流は減少する。したがって、電池52が満充電に近づくにしたがって要求電力を小さくする。電力検出回路55は、負荷に最適な電力を供給できるように、受電電力を要求電力に比較して、増減要求信号を給電台10に伝送する。
図1は、携帯機器50を電池内蔵機器50Aとして、受電電力で電池52を充電する。この携帯機器50は、要求電力を電池52の充電電力とするが、携帯機器は必ずしも電池内蔵機器とせず、要求電力を携帯機器の負荷に供給する電力とする。
【0025】
充電制御回路53は、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等を定電圧・定電流充電し、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池を定電流充電する。さらに、充電制御回路53は、電池52の満充電を検出して、満充電信号を伝送回路54を介して給電台10に伝送する。給電台10は、伝送回路54から伝送される満充電信号を受信回路14で検出する。満充電信号を検出すると、コントロール回路13は交流電源12を制御して、送電コイル11への電力供給を停止させる。
【0026】
伝送回路54は、携帯機器50から給電台10に、給電台10の出力を増加又は減少するための増加要求信号と減少要求信号、電池52の充電電流、電池52の電圧、電池52の満充電信号、ID信号などの種々の伝送信号を伝送する。伝送回路54は、受電コイル51の負荷インピーダンスを変化させて、送電コイル11に種々の伝送信号を伝送する。この伝送回路54は、図示しないが、受電コイル51に変調回路を接続している。変調回路は、コンデンサーや抵抗等の負荷とスイッチング素子とを直列に接続して、スイッチング素子のオンオフを制御して種々の伝送信号を給電台10に伝送する。
【0027】
給電台10の受信回路14は、送電コイル11のインピーダンス変化、電圧変化、電流変化等を検出して、伝送回路54から伝送される伝送信号を検出する。受電コイル51の負荷インピーダンスが変化すると、これに電磁結合している送電コイル11のインピーダンスや電圧や電流が変化するので、受信回路14は、これ等の変化を検出して、携帯機器50の伝送信号を検出することができる。
【0028】
ただし、伝送回路は、搬送波を変調して伝送する回路、すなわち送信機とすることもできる。この伝送回路から伝送される伝送信号の受信回路は、搬送波を受信して、伝送信号を検出する受信器である。伝送回路と受信回路とは、携帯機器から給電台に伝送信号を伝送できる全ての回路構成とすることができる。
【0029】
電流検出回路57は、電池52の充電電流を検出する。
図2の電流検出回路57は、電池52と直列に接続している電流検出抵抗57Aと、この電流検出抵抗57Aの両端の電圧を増幅する差動アンプ57Bとを備えており、差動アンプ57Bの出力から電池52の充電電流を検出する。電池52の充電電流は整流回路56の出力、すなわち受電コイル51に誘導される電力の出力となる。したがって、電池52の充電電流は、整流回路56の出力電流を検出して検出することができ、また、受電コイル51の出力を検出して検出することもできる。
【0030】
給電台10は、ケース20の上面に、携帯機器50を一定の位置にセットして載せる上面プレート21を設けて、この上面プレート21の内側に送電コイル11を配置している。送電コイル11は、交流電源12を接続して、交流電源12をコントロール回路13で制御している。
【0031】
コントロール回路13は、携帯機器50から伝送される増減要求信号で交流電源12を制御して、送電コイル11に供給する電力を調整する。コントロール回路13は、受信回路14から入力される増加要求信号で送電コイル11に出力する電力を増加し、減少要求信号で送電コイル11への出力を小さくして、携帯機器50から要求された要求電力を給電する。ただ、コントロール回路13は、交流電源12の出力を出力電力閾値以下に制限する。すなわち、交流電源12の最大出力を出力電力閾値に制限する。コントロール回路13は、増加要求信号によって交流電源12の出力を出力電力閾値まで増加させるが、交流電源12の出力が出力電力閾値まで増加される状態においては、増加要求信号を検出しても、交流電源12の出力を増加させない。コントロール回路13は、交流電源12の出力を常に出力電力閾値以下に制限する。
【0032】
図2の曲線Aは、出力電力閾値を示している。この図は、充電電流及び要求電力に対する出力電力閾値を示している。なお、この図は、電池の電圧を4Vとする状態における充電電流及び要求電力を横軸として、これらの充電電流及び要求電力に対する出力電力閾値の変化を曲線Aで示している。この図の出力電力閾値は、携帯機器50の要求電力によって変化し、要求電力が設定値から増加するにしたがって次第に増加する。携帯機器50を電池内蔵機器50Aとし、給電台10を充電台10Aとする具体例において、携帯機器50の要求電力は内蔵する電池52の充電電流に比例する。電池52を充電する電力が、電池52の充電電流と電圧の積となるからである。この図の曲線Aで示す出力電力閾値は、設定値以下の範囲において一定値、設定値から増加するにしたがって、要求電力に比例して増加する。出力電力閾値は、図の鎖線の曲線Bで示すように、要求電力が増加するにしたがって増加するように設定することもできる。
【0033】
コントロール回路13は、交流電源12の出力を、
図2の曲線Aに示す出力電力閾値に制限しながら、送電コイル11への出力を調整する。
図2に示す出力電力閾値は、受電電力と、異物を検出する状態における異物検出閾値(効率)から特定することができる。異物検出閾値(効率)は、電力を停止せず、かつ異物の温度上昇が許容できる温度となる送電効率とする。異物検出閾値(効率)は、たとえば、異物のない状態における送電効率よりも15%〜30%低い値とする。例えば、異物検出閾値(効率)を45%とし、受電電力を3.6Wとすると、この受電電力における出力電力閾値は3.6W/0.45(45%)から算出して8Wとなる。このコントロール回路13は、受電電力を3.6Wとする状態で、交流電源12の出力を8W以下に制限して、携帯機器50に電力搬送する。
【0034】
出力電力閾値を
図2の曲線Aに示すように設定する給電台10は、以下のようにして携帯機器50に電力を供給し、また異物を検出する。
携帯機器50の電池内蔵機器50Aが4Vの電池52を0.5Aで定電流充電するとき、すなわち携帯機器50が要求電力を2Wとするとき、給電台10は出力電力閾値を約4Wに制限して、携帯機器50に電力を供給する。この状態において、異物がセットされない状態での送電効率を、
図2の曲線Cで示すように約65%とすれば、給電台10は、交流電源12の出力を約3Wとして要求電力である2Wの受電電力を携帯機器50に給電できる。すなわち、交流電源12の出力を出力電力閾値の4W以下に調整して、携帯機器50に要求電力を給電できる。この状態で給電台10に異物がセットされて、送電効率が45%に低下すると、給電台10が交流電源12の出力を出力電力閾値の4Wに増加しても、携帯機器50の受電電力は1.8Wに減少する。受電電力の1.8Wは、携帯機器50の要求電力の2Wよりも小さいので、携帯機器50は増加要求信号を出力する。給電台10は、携帯機器50の増加要求信号を検出しても、出力を既に出力電力閾値に増加しているので、出力を出力電力閾値からは増加させない。したがって、携帯機器50の受電電力は要求電力まで増加せず、携帯機器50は継続して増加要求信号を給電台10に出力する。給電台10は、継続して伝送される増加要求信号を検出して、異物がセットされたと判定する。異物検出する給電台10は、送電コイル11への電力供給を遮断して、携帯機器50への電力を停止する。ただし、給電台10は、異物検出する状態で、交流電源12の出力を最低値に設定して、異物の発熱を制限しながら携帯機器50に最低電力を給電することもできる。
【0035】
増加要求信号による異物検出は、給電台10でなく携帯機器50で検出することもできる。携帯機器50は、異物がセットされる状態で増加要求信号を継続して出力する。したがって、携帯機器50は、増加要求信号を所定時間継続して出力することを検出して、異物がセットされたことを検出できる。異物を検出した携帯機器50は、異物が検出したことを示す異物検出信号を伝送回路54を介して給電台10に伝送する。給電台10は、伝送回路54から伝送される異物検出信号を受信回路14で検出する。
【0036】
以上の給電台10は、携帯機器50の要求電力から出力電力閾値を特定するが、携帯機器50の定格最大電力から出力電力閾値を設定することができる。この無接点給電方法は、携帯機器50から給電台10に定格最大電力を示す信号を伝送し、給電台10は伝送される定格最大電力から出力電力閾値を特定する。この方式は、定格最大電力と送電効率から出力電力閾値を特定する。たとえば、異物がセットされた状態での送電効率を50%(0.5)とすれば、出力電力閾値は、定格最大電力の2倍に設定する。
【0037】
給電台10は、送電コイル11を受電コイル51に電磁結合して、送電コイル11から受電コイル51に電力搬送、すなわち給電する。携帯機器50を上面プレート21の自由な位置にセットして、電池52を充電する給電台10は、送電コイル11を受電コイル51に接近するように移動させる移動機構16を内蔵している。この給電台10は、送電コイル11をケース20の上面プレート21の下に配設して、上面プレート21に沿って移動させて受電コイル51に接近させる。
【0038】
給電台10と携帯機器50は、携帯機器50を給電台10の定位置にセットする位置決め部機構を設けて、携帯機器50を給電台10の定位置にセットすることができる。位置決め部機構は、受電コイル51を送電コイル11に接近させるように、携帯機器50を給電台10の定位置にセットする。送電コイル11に接近する受電コイル51は、電磁誘導作用で送電コイル11から受電コイル51に電力搬送して給電する。
【0039】
図3の位置決め部機構22は、給電台10の定位置に携帯機器50をセットする嵌合構造である。
図3の嵌合構造は、給電台10の上面に携帯機器50を嵌入する嵌入凹部23を設けて、嵌入凹部23に携帯機器50を入れて定位置にセットしている。図示しないが、位置決め部機構は、給電台と携帯機器との対向面に嵌合構造の凹凸を設けて、携帯機器を給電台の定位置にセットすることもできる。
【0040】
送電コイル11は、上面プレート21と平行な面で渦巻き状に巻いてなる平面コイルで、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。この送電コイル11は、上面プレート21に直交する交流磁束を上面プレート21の上方に放射する。送電コイル11は、交流電源12から交流電力が供給されて、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。送電コイル11は、磁性材からなるコア(図示せず)に線材を巻いてインダクタンスを大きくできる。コアのある送電コイルは、磁束を特定部分に集束して、効率よく電力を受電コイルに伝送できる。ただ、送電コイルは、必ずしもコアを設ける必要はなく、空芯コイルとすることもできる。空芯コイルは軽いので、送電コイルを上面プレートの内面で移動させる構造にあっては、移動機構を簡単にできる。送電コイル11は、受電コイル51の外径にほぼ等しくして、受電コイル51に効率よく電力搬送する。
【0041】
交流電源12は、たとえば、20kHz〜1MHzの高周波電力を送電コイル11に供給する。送電コイル11を受電コイル51に接近するように移動させる給電台10は、交流電源12を、可撓性のリード線を介して送電コイル11に接続している。交流電源12は、発振回路と、この発振回路から出力される交流を電力増幅するパワーアンプと備える。
【0042】
給電台10は、送電コイル11を受電コイル51に接近させた状態で、交流電源12で送電コイル11に交流電力を供給する。送電コイル11の交流電力は、受電コイル51に搬送されて、電池52を充電する。給電台10は、電池52が満充電されると、携帯機器50から伝送される満充電信号で送電コイル11への電力供給を停止して、電池52の充電を停止する。
【0043】
異物検出回路15は、携帯機器50から伝送される増加要求信号で異物検出する。増加要求信号が所定の時間継続して伝送されることを検出すると、給電台10に異物がセットされたと判定する。増加要求信号が伝送されても、あらかじめ設定している所定の時間継続しない状態では、異物がセットされたと判定しない。携帯機器50は、給電台10から伝送される受電電力を要求電力に比較して、受電電力が要求電力よりも小さいと、充電台の出力を増加するように、給電台10に増加要求信号を伝送する。受電電力が要求電力よりも大きいと、減少要求信号を給電台10に伝送して、給電台10の出力を小さくする。給電台10は、携帯機器50からの増加要求信号を検出すると、送電コイル11の供給電力、すなわち出力を大きくして、携帯機器50の受電電力が要求電力となるように増加させる。
【0044】
ここで、具体的には、電池52がリチウムイオン電池の場合には、充電制御回路53は、電池52を定電圧・定電流充電する。給電台10は、携帯機器50の電池52の電圧、電流等の電池情報により、例えば、最大4.2Vで充電する場合、電池電圧が4.2V以下のときは所定の定電流となるように、受信回路14が受信する増減要求信号に基づいてコントロール回路13が交流電源12を制御して、送電コイル11への出力を調整(詳細には、出力アップ要求と、出力ダウン要求が交互に出る)する。送電コイル11への出力が調整されて、充電される電池電圧が4.2Vとなると、給電台10は、電池電圧を4.2Vに維持できるように、受信回路14が受信する増減要求信号に基づいてコントロール回路13が交流電源12を制御して、送電コイル11への出力を調整(詳細には、出力アップ要求と、出力ダウン要求が交互に出る)する。
【0045】
給電台10に異物がセットされない状態において、送電コイル11から受電コイル51に電力搬送されて、給電台10から携帯機器50に効率よく給電される。この状態において、給電台10から携帯機器50に電力搬送される効率は、
図2の曲線Cで示すように高くなる。ただし、この図の送電効率は、以下の式で検出している。
送電効率=携帯機器の受電電力/給電台の出力電力
送電効率は、給電台10側にて、携帯機器50より伝送される2次側(携帯機器側)の電池情報である電池電圧、充電電流の積を、1次側(給電台側)の出力電圧、出力電流の積で割り算して求めることができる。
【0046】
ところが、給電台10に金属製の異物がセットされると、送電コイル11の出力の一部が金属製の異物に吸収される。とくに、
図4に示すように、異物30が送電コイル11に接近してセットされると、異物30が吸収する電力が大きくなり、異物30に誘電電流が流れて発熱し、また送電効率が低下する。送電効率が低下すると、携帯機器50の受電電力が小さくなるので、携帯機器50は、小さい受電電力を要求電力に近づけるために、増加要求信号を給電台10に伝送して、給電台10に出力の増加を要求する。給電台10は、増加要求信号を検出して出力を増加させる。この状態で、給電台10が出力を増加することは、携帯機器50の受電電力を大きくして要求電力に近づけるが、同じように異物30の誘電電流も増加させて異物30の発熱も大きくする。したがって、携帯機器50の受電電力が要求電力となるまで、給電台10が出力を増加させると、異物30の発熱が異常に高くなることがある。
【0047】
給電台10は、この弊害を防止するために、最大出力を出力電力閾値に制限する。すなわち、給電台10は、出力を出力電力閾値よりも小さくする状態で増加要求信号を検出すると出力を増加するが、出力電力閾値を出力する状態で増加要求信号を検出しても、出力をさらに大きくは増加させない。出力電力閾値は、異物がセットされない状態において、給電台10から携帯機器50に要求電力をでき、かつ給電台10に異物がセットされる状態で、給電台10から携帯機器50に給電しながら、異物を異常な高温に加熱しない電力に設定される。
【0048】
給電台10は、増加要求信号を検出して出力を増加するが、増加させる最大出力を出力電力閾値に制限する。この給電台10は、異物のない状態では、携帯機器50に要求電力を供給する。
図5は、携帯機器50が増加要求信号と減少要求信号とを給電台10に出力して、受電電力を要求電力とする状態を示している。携帯機器50が受電電力と要求電力とを比較して、
図5に示すように、携帯機器50が増加要求信号と減少要求信号を給電台10に伝送し、給電台10が増加要求信号と減少要求信号で出力をコントロールして、携帯機器50の受電電力は要求電力に調整される。
【0049】
図6は携帯機器50と一緒に異物が載せられて、異物が送電コイル11の電力の一部を吸収する状態で携帯機器50が増加要求信号を出力する状態を示している。この状態において、送電コイル11の電力の一部が異物に吸収されるので、電力の送電効率が低下する。したがって、送電コイル11の出力電力は有効に受電コイル51に給電されず、携帯機器50の受電電力が低下する。携帯機器50は受電電力が要求電力よりも小さいことを検出して増加要求信号を出力する。増加要求信号を検出した給電台10は出力を増加させる。給電台10は出力を増加するが、送電コイル11の電力が異物に吸収されて、携帯機器50の受電電力は要求電力に至らない。したがって、携帯機器50は増加要求信号を出力し続ける。繰り返し増加要求信号を検出する給電台10は、次第に出力を増加して、出力を出力電力閾値まで増加させる。給電台10の出力が出力電力閾値まで大きくなっても、送電コイル11の電力を異物が吸収して、携帯機器50の受電電力は要求電力まで増加しない。したがって、携帯機器50は増加要求信号を継続して給電台10に出力する。給電台10は、出力を最大出力の出力電力閾値まで増加しているので、増加要求信号を検出しても出力を増加することなく、出力を出力電力閾値に制限する。この状態が継続して、携帯機器50は増加要求信号を出力し続ける。すなわち、携帯機器50と一緒に異物が給電台10に載せられて、異物が電力を吸収する状態においては、給電台10が出力を出力電力閾値に制限し、かつ携帯機器50の受電電力は要求電力に至らず、携帯機器50は増加要求信号を出力し続ける。異物検出回路15は、この状態、すなわち所定の時間継続して、携帯機器50が増加要求信号を出力することを検出して、給電台10に異物がセットされたと判定する。増加要求信号が継続して出力される状態で、異物がセットされたと判定する設定時間は、あらかじめ給電台10が記憶している。この設定時間は、たとえば5秒ないし60秒、好ましくは10秒ないし45秒、さらに好ましくは20秒ないし30秒に設定される。設定時間を短くして、異物を速やかに検出でき、設定時間を長くして異物を確実に検出できる。設定時間は、異物検出に要求される時間と、異物検出の精度から最適な時間に設定される。
【0050】
図5と
図6の増減要求信号は、要求電力と受電電力との差によって信号レベルを変化させる。この携帯機器50は、受電電力と要求電力とを比較して増加要求信号や減少要求信号を出力するが、増加要求信号と減少要求信号は、受電電力と要求電力の差の大きさによって変更する。受電電力が要求電力よりも小さく、かつその差が大きいときは、出力をより大きく増加する増加要求信号を出力し、差が小さいときには出力を小さく増加する増加要求信号を出力する。ただし、携帯機器50は、受電電力が要求電力よりも小さく、あるいは大きい状態で、増加する割合や減少する割合を示すことなく、単に増加又は減少のみを要求する信号を出力することもできる。
【0051】
給電台10は、増加や減少のレベルを示す増加要求信号又は減少要求信号を検出すると、増加要求信号や減少要求信号が示す信号レベルの大きさ出力を増加し、あるいは減少する。また、増加又は減少する割合を示すことなく、増加又は減少のみを示す増加要求信号又は減少要求信号を減少すると、給電台10は一定の割合で出力を増加又は減少する。
【0052】
異物検出回路15は、異物を検出すると検出信号をコントロール回路13に出力する。コントロール回路13は、異物の検出信号で送電コイル11への電力供給を停止する。ただ、コントロール回路13は、送電コイル11の供給電力をあらかじめ設定している最低値に調整することもでき、また、出力電力閾値を、異物を異常な高温に加熱することなく給電を継続できる閾値に設定する方法にあっては、異物を検出する状態で給電台から携帯機器への給電を停止することなく、出力を出力電力閾値に制限して給電することもできる。
【0053】
以上の給電台10と携帯機器50は、
図7に示す以下のフローチャートで異物を検出する。
[n=1のステップ]
携帯機器50が給電台10にセットされると、電池内蔵機器50Aの携帯機器50と、充電台10Aの給電台10との間で通信が開始される。この通信で、携帯機器50から給電台10に受電電力(例えば電池52の電圧4V、充電電流0.4Aで1.6W)と、異物検出閾値(効率)(例えば45%)が伝送される。
[n=2のステップ]
給電台10は、携帯機器50から伝送される受電電力と異物検出閾値(効率)から、以下の式で、異物の発熱を設定温度よりも低くしながら携帯機器50に電力できる演算出力電力閾値を算出する。
演算出力電力閾値=受電電力/異物検出閾値(効率)
【0054】
たとえば、電池52の電圧が4V、充電電流が0.4Aであって受電電力を1.6W、異物検出閾値(効率)を0.45とすれば、演算出力電力閾値は1.6/0.45=約3.6Wとなる。すなわち、携帯機器50と一緒に異物がセットされて、電池52を充電できる電力は3.6Wとなる。
【0055】
[n=3〜5のステップ]
n=3のステップで、演算出力電力閾値を、
図2に示すように、要求電力1.6W(充電電流0.4A)における出力電力閾値(4W)に比較し、演算出力電力閾値が要求電力における出力電力閾値よりも小さいと、n=4のステップで出力電力閾値を、要求電力における出力電力閾値(4W)に設定する。演算出力電力閾値が
図2に示す要求電力における出力電力閾値よりも大きいと、n=5のステップで、出力電力閾値を演算出力電力閾値に設定する。
【0056】
[n=6〜8のステップ]
給電台10の出力を出力電力閾値に制限する。給電台10の出力が、出力電力閾値に制限される状態で、携帯機器50から増加要求信号が設定時間(20秒又は30秒)継続して出力されたかどうかを判定する。携帯機器50から増加要求信号が設定時間継続して出力されると、n=8のステップで、異物がセットされた状態、すなわちエラー検出して、給電台10の出力を遮断して、充電を停止する。増加要求信号が設定時間継続しないと、n=1のステップにループする。
【0057】
以上の給電台10は、コントロール回路13が交流電源12を制御して、交流電源12の出力を出力電力閾値以下に制限している。ただ、給電台は、必ずしもコントロール回路で交流電源を制御して、交流電源の出力を出力電力閾値以下に制限する必要はない。給電台は、交流電源によって特定される出力の最大値によって、その出力を制限することもできる。交流電源の出力は、最大値まで増加するとそれ以上は大きくできず、実質的に出力が制限される。したがって、給電台は、交流電源の出力の最大値を出力電力閾値の最大値に設定することにより、交流電源の出力を出力電力閾値以下に制限しながら給電することができる。