(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作規制部は、前記シート本体のフレームに取り付けられたベースプレートに設けられ、前記ガイド溝は、前記ベースプレートを貫通している請求項1に記載の車両用シート。
前記切替部材を前記操作部材に対する移動範囲の一端に設定された非操作位置へ付勢する弾性部材を有し、前記切替部材が前記非操作位置に位置する状態では、前記ガイド溝に設けられた凹部に前記突出部が嵌まり込むことで、前記操作部材が前記一側と前記他側との中間に設定された中立位置に保持される請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用シート。
前記切替部材は、前記操作部材に支持された操作側部材と、前記複数の伝達部材と係合可能に前記シート本体に支持されたシート側部材とを有し、前記操作側部材と前記シート側部材とが分離可能に連結されている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に示されたシート装置では、誤動作を防止するための構成が複雑になっている。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、1つの操作部材によって複数の被調整機構を個別に調整し又は調整可能な状態にすることができると共に、誤動作を防止するための構成を簡素化することができる車両用シートを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る車両用シートは、各々がシート本体に設けられ、操作力が伝達されることにより調整され又は調整可能な状態とされる複数の被調整機構と、各々が前記被調整機構と連結されると共に、連結された前記被調整機構に対して操作力を伝達可能とされた複数の伝達部材と、前記シート本体に対して移動可能に設けられ、移動範囲の一側及び他側へ操作可能とされた操作部材と、前記操作部材に対して移動可能に設けられ、前記シート本体側へ突出した突出部を有すると共に、前記複数の伝達部材に対して個別に係合可能とされ、自ら操作されることにより、係合する前記伝達部材を切り替えられる切替部材と、前記シート本体に対して変位不能に設けられると共に、前記突出部が挿入されたガイド溝を有し、前記切り替えの途中では前記操作部材の操作を規制すると共に、前記操作部材の前記一側又は前記他側への操作中には前記切替部材の操作を規制する操作規制部と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の車両用シートでは、シート本体に設けられた複数の被調整機構と、各々が被調整機構と連結された複数の伝達部材と、シート本体に対して移動可能に設けられた操作部材と、該操作部材に対して移動可能に設けられた切替部材とを備えている。この切替部材は、複数の伝達部材に対して個別に係合可能とされており、自ら操作されることにより、係合する伝達部材を切り替えられる。このため、操作部材を操作するに際し、切替部材と係合する伝達部材を適宜切り替ることにより、操作部材の操作力を所望の被調整機構に伝達することができる。これにより、1つの操作部材によって複数の被調整機構を調整し又は調整可能な状態にすることができる。
【0010】
さらに、本発明では、シート本体に対して変位不能に設けられた操作規制部がガイド溝を有しており、切替部材に設けられた突出部が前記ガイド溝に挿入されている。この操作規制部は、上記切り替えの途中では、操作部材の操作を規制する。これにより、切替部材が複数の伝達部材と係合する可能性がある状態で操作部材が操作されることによる誤動作を防止することができる。また、この操作規制部は、操作部材の一側又は他側への操作中には、切替部材の操作を規制する。これにより、切替部材と伝達部材との係合が不用意に解除されることによる誤動作を防止することができる。しかも、ガイド溝を有する操作規制部と切替部材に設けられた突出部とによって、誤動作を防止することができるので、誤動作を防止するための構成を簡素化することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記操作規制部は、前記シート本体のフレームに取り付けられたベースプレートに設けられ、前記ガイド溝は、前記ベースプレートを貫通している。
【0012】
請求項2に記載の車両用シートでは、例えば、ベースプレートをプレス加工によって成形する際にガイド溝を形成することができる。これにより、操作規制部を容易に製造することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記操作部材は、前記シート本体に対して回転可能に設けられ、前記切替部材は、前記操作部材に対して当該操作部材の回転半径方向へスライド可能に設けられ、前記ガイド溝は、前記操作部材の回転方向に沿った複数の円弧状部と、複数の円弧状部を前記切替部材のスライド方向に沿って連結した連通部とを有する。
【0014】
請求項3に記載の車両用シートでは、切替部材の突出部が、ガイド溝の円弧状部内を移動することによりシート本体に対する操作部材の回転操作が許容される。この際には、突出部が円弧状部の縁部と係合することにより切替部材の操作が規制される。また、切替部材の突出部が、ガイド溝の連通部内を移動することにより操作部材に対する切替部材のスライド操作が許容される。この際には、突出部が連通部の縁部と係合することにより操作部材の操作が規制される。このように、ガイド溝が複数の円弧状部と連通部によって構成されているため、簡単な形状のガイド溝によって操作部材及び切替部材の操作を規制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用シートにおいて、前記切替部材を前記操作部材に対する移動範囲の一端に設定された非操作位置へ付勢する弾性部材を有し、前記切替部材が前記非操作位置に位置する状態では、前記ガイド溝に設けられた凹部に前記突出部が嵌まり込むことで、前記操作部材が前記一側と前記他側との中間に設定された中立位置に保持される。
【0016】
請求項4に記載の発明に係る車両用シートでは、切替部材が操作されていない状態では、弾性部材の付勢力によって切替部材が非操作位置に保持されると共に、切替部材の突出部がガイド溝の凹部に嵌まり込むことで、操作部材が中立位置に保持される。この状態では、操作部材を中立位置の一側及び他側の何れの側にも操作することができるので、操作部材の操作性を向上させることができる。しかも、車両走行時の振動等によって、操作部材が不用意に中立位置から回転することを防止できる。
【0017】
請求項5に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用シートにおいて、前記切替部材は、前記操作部材に支持された操作側部材と、前記複数の伝達部材と係合可能に前記シート本体に支持されたシート側部材とを有し、前記操作側部材と前記シート側部材とが分離可能に連結されている。
【0018】
請求項5に記載の発明に係る車両用シートでは、切替部材が上記のように構成されているため、本車両用シートの製造時には、操作部材をシート本体に組み付ける前に、操作側部材を操作部材に組み付けてサブアッセンブリ化すると共に、シート側部材を複数の伝達部材と係合可能にシート本体に組み付けることができる。これにより、車両用シートの製造を容易なものにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートでは、1つの操作部材によって複数の被調整機構を個別に調整し又は調整可能な状態にすることができると共に、誤動作を防止するための構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1〜
図9を参照して、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印INは車両幅方向内方を示している。また、本実施形態では、車両用シート10の前方向、上方向および幅方向(左右方向)は、車両の前方向、上方向および幅方向(左右方向)と一致している。
【0022】
(構成)
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用シート10は、シート本体12と、シート調整装置14とによって構成されている。シート本体12は、シートクッションの骨格を構成するシートクッションフレーム16と、シートバックの骨格を構成するシートバックフレーム18とを有している。これらのシートクッションフレーム16及びシートバックフレーム18には、それぞれ図示しないシートパッドが取り付けられると共に、各シートパッドの表面が図示しないシート表皮によって覆われる構成になっている。
【0023】
シートクッションフレーム16の後端部とシートバックフレーム18の下端部とは、角度調整機構としてのリクライニング機構20(第1の被調整機構)を介して連結されている。このリクライニング機構20は、従来周知のものであり、ロック解除レバー22がロック解除方向(
図1の矢印A方向)へ回転されることによりロックが解除され、シートクッションフレーム16に対するシートバックフレーム18の相対角度(リクライニング角度)を多段階に調整可能となる。
【0024】
また、シートクッションフレーム16とシートバックフレーム18との間には、シートバックフレーム18を前傾方向へ付勢するリターンスプリング24が掛け渡されている。このため、リクライニング機構20のロック解除状態でシートバックフレーム18に負荷を掛けない場合には、シートバックフレーム18がシートクッションフレーム16に対して所定位置まで前傾するようになっている。一方、リクライニング機構20のロック解除状態においてシートバックフレーム18に所定値以上の後ろ向き荷重を作用させると、シートバックフレーム18がシートクッションフレーム16に対して後傾するようになっている。そして、任意の傾斜角でロック解除レバー22の操作力を解除すると、リクライニング機構20がロック状態に復帰し、シートバックフレーム18が傾倒不能に拘束される。
【0025】
また、シートクッションフレーム16は、高さ調整機構としてのリフタ機構26(第2の被調整機構)を介してロアフレーム28に連結されている。このリフタ機構26は、従来周知のものであり、シートクッションフレーム16とロアフレーム28とに回転自在に連結された前側リンク30及び後側リンク32(
図1以外では図示省略)を備えている。これらの前側リンク30及び後側リンク32は、シートクッションフレーム16及びロアフレーム28と共に4節リンク機構を構成している。
【0026】
また、リフタ機構26は、従来周知のポンプ式リフタ装置34(
図2〜
図5参照)を備えている。このポンプ式リフタ装置34は、シートクッションフレーム16における車両幅方向外方側の側面に取り付けられており、軸線方向がシート幅方向に沿った図示しない入力軸を備えている。この入力軸が回転されると、その回転力がシートクッションフレーム16に取り付けられた図示しないピニオン及びリフタギヤ35(
図2参照)を介して後側リンク32に伝達されるようになっている。これにより、後側リンク32及び前側リンク30が回動して、ロアフレーム28に対するシートクッションフレーム16の配置高さが調整されるようになっている。
【0027】
図1に示されるように、ロアフレーム28の下方には、前後位置調整機構としてのスライド機構38(第3の被調整機構)の構成部材であるスライドレール40が配置されている。このスライド機構38は、従来周知のものであり、ロアフレーム28の下端部に固定されたアッパレール42が、車体フロアに固定されたロアレール44によってシート前後方向にスライド可能に支持されている。このスライド機構38には、ロアレール44に対するアッパレール42のスライドをロック(規制)する図示しないロック機構が設けられている。このロック機構は、ロアフレーム28に軸支されたロック解除レバー46(
図3では図示省略)がロック解除方向(
図1の矢印D方向)に回転されることにより、上記ロックを解除するようになっている。これにより、ロアレール44に対するアッパレール42のスライド、すなわち車体フロアに対する本車両用シート10の前後位置調整が可能な状態になる。
【0028】
次に、シート調整装置14について説明する。
【0029】
図2に示されるように、シート調整装置14は、第1伝達部材50及び第2伝達部材52(何れも伝達部材)と、ベースプレート54と、リンク部材56と、ケーブル58と、操作レバー60(操作部材)と、切替部材62と、引張コイルスプリング64(弾性部材)と、によって構成されている。以下、これらの構成部材について説明する。
【0030】
第1伝達部材50は、
図2〜
図5に示されるように、ポンプ式リフタ装置34のシート幅方向外側に配置されている。この第1伝達部材50は、板金によって形成されたものであり、ポンプ式リフタ装置34の入力軸に同軸的かつ相対回転不能に取り付けられた円板状の本体部50Aと、本体部50Aの後端部からシート幅方向外側へ延出された連結片50Bとによって構成されている。連結片50Bの先端側は、シート後方側へ屈曲されており、連結片50Bの中央部には、略矩形状の開口66が形成されている。この連結片50Bがポンプ式リフタ装置34の入力軸と一体で
図2の矢印B方向へ回転されると、シートクッションフレーム16が上方へ変位する。また、この連結片50Bがポンプ式リフタ装置34の入力軸と一体で
図2の矢印C方向へ回転されると、シートクッションフレーム16が下方へ変位する。
【0031】
ベースプレート54は、第1伝達部材50及びポンプ式リフタ装置34をシート幅方向外側から覆うようにして設けられている。このベースプレート54は、板金によって形成されたものであり、シート上下方向から見てシート幅方向内側が開放された断面略ハット状に形成されている。ベースプレート54の前後両端部は、互いに反対側へ向けて屈曲されると共に、ボルト68及び図示しないナットによってシートクッションフレーム16のシート幅方向外側面に締結固定されている。
【0032】
このベースプレート54は、第1伝達部材50のシート幅方向外側に配置された本体部54Aを有しており、該本体部54Aの中央部には、シート幅方向外側へ突出した支軸70が一体的に固定されている。この支軸70は、ポンプ式リフタ装置34の入力軸と同軸的に配置されている。また、ベースプレート54には、支軸70よりもシート後方側に開口72が形成されており、連結片50Bを含む第1伝達部材50の後部側が開口72を介してベースプレート54のシート幅方向外側に露出している。
【0033】
さらに、ベースプレート54は、本体部54Aにおける支軸70よりもシート前方側の部位が操作規制部53とされており、当該操作規制部53には、シート幅方向から見て略H形のガイド溝74が形成されている。このガイド溝74は、
図6に示されるように、支軸70と同心の円弧状に形成された第1円弧状部74A及び第2円弧状部74Bと、第1円弧状部74Aの湾曲方向中央部と第2円弧状部74Bの湾曲方向中央部とを略シート前後方向に連通させた連通部74Cとを備えており、シート本体12に対して変位不能とされている。
【0034】
第2円弧状部74Bは、第1円弧状部74Aよりもシート後方側(支軸70側)に配置されており、第1円弧状部74Aよりも湾曲方向に沿った長さ寸法が短く設定されている。これらの第1円弧状部74Aと第2円弧状部74Bとの間には、連通部74Cを介して互いに対向した上下一対の規制片55が形成されている。また、第1円弧状部74Aの湾曲方向中央部には、連通部74Cとは反対側(シート前方側)の縁部に略半円状の凹部74Dが形成されている。この凹部74Dと第1円弧状部74Aとは滑らかに連続している。このガイド溝74は、後述する切替部材62に対応している。
【0035】
第2伝達部材52は、ベースプレート54の本体部54Aに対してシート幅方向外側に配置されている。この第2伝達部材52は、板金によって長尺状に形成されており、板厚方向がシート幅方向に沿い且つ長手方向が略シート上下方向に沿う状態で配置されている。この第2伝達部材52の長手方向一体部(上端部)には、円形の貫通孔76が形成されており、当該貫通孔76には、前記支軸70が挿入されている。これにより、第2伝達部材52は、支軸70に対して当該支軸70回りに回転可能に支持されている。また、第2伝達部材52の上端部における後端部には、シート幅方向から見て略三角形状の切欠78が形成されている。この切欠78は、後述する切替部材62に対応している。
【0036】
さらに、第2伝達部材52の長手方向中間部には、ケーブル係止部52Aが設けられている。このケーブル係止部52Aには、ケーブル58(ワイヤ)の一端部が係止されている。このケーブル58の他端部は、前述したスライド機構38のロック解除レバー46に係止されている。このため、ケーブル係止部52Aがシート後方側へ変位する方向(
図2の矢印C方向)に第2伝達部材52が回転すると、第2伝達部材52の回転力がケーブル58を介してロック解除レバー46に伝達され、ロック解除レバー46がロック解除方向へ回転される。これにより、スライド機構38のロックが解除される。
【0037】
また、第2伝達部材52の下端部には、略長円形状に形成された連結部52Bが設けられている。この連結部52Bは、略車両前後方向に沿って長尺状に形成されており、その中央部には、連結部52Bの長手方向を長手とする長孔80が形成されている。この長孔80は、第2伝達部材52の回転方向に沿って湾曲している。この長孔80は、リンク部材56に対応している。
【0038】
リンク部材56は、板金によって長尺状に形成されており、板厚方向がシート幅方向に沿う状態で配置されている。このリンク部材56の長手方向一端部には、シート幅方向外側へ突出した円柱状の連結ピン82が固定されており、当該連結ピン80が長孔80に挿入されている。この連結ピン82は、第2伝達部材52に対して長孔80に沿った範囲内で相対移動可能とされており、通常は長孔80の後端部に当接又は近接して配置されている。
【0039】
リンク部材56の長手方向他端部には、前述したロック解除レバー22の先端部が連結ピン82を介して回転自在に連結されている。これにより、第2伝達部材52とロック解除レバー22とがリンク部材56を介して連結されている。このため、第2伝達部材52がリンク部材56を引っ張る方向(
図2の矢印B方向)へ回転すると、第2伝達部材52の回転力がリンク部材56を介してロック解除レバー22に伝達され、ロック解除レバー22がロック解除方向へ回転される。これにより、リクライニング機構20のロックが解除される。
【0040】
なおこの場合、第2伝達部材52とロック解除レバー46との間でケーブル58が撓むことにより、第2伝達部材52の回転力がロック解除レバー46には伝達されないようになっている。また、第2伝達部材52が
図2の矢印C方向へ回転する際には、連結ピン80が長孔84の前端側へ移動することにより、第2伝達部材52の回転力がリンク部材56に伝達されないようになっている。
【0041】
操作レバー60(
図1及び
図2参照。
図3〜
図5では図示省略)は、上記第2伝達部材52のシート幅方向外側に配置されている。この操作レバー60は、樹脂材料によって長尺状に形成されており、シート幅方向内方側が開口した軸線方向寸法が短い有底円筒状の基部60Aと、基部60Aの外周部からシート前方側へ延出された筒状のアーム部60Bとによって構成されている。アーム部60Bの内側(筒内)は、基部60Aの内側に連通されている。
【0042】
基部60Aの底壁の中央部には、シート幅方向内側へ突出した円筒状のボス部60A1が設けられている。このボス部60A1には、当該ボス部60A1をシート幅方向に貫通した円形の貫通孔84が形成されており、当該貫通孔84には、前述した支軸70が挿入されている。貫通孔84を貫通した支軸70の先端部には、雄ねじが形成されており、当該雄ねじにナット86が螺合している。これにより、基部60Aが支軸70に対して回転可能に支持されており、操作レバー60がシートクッションフレーム16に対して支軸70回り(シート幅方向に沿った軸線回り)に回転可能に支持されている。
【0043】
切替部材62は、操作レバー60に取り付けられたシャフト88(操作側部材)と、当該シャフト88に取り付けられた操作ボタン90と、操作レバー60の基部60Aと第2伝達部材52との間に配置されたセレクタ92(シート側部材)と、によって構成されている。
【0044】
シャフト88は、金属製の棒材によって形成されており、操作レバー60のアーム部60B内に挿入されている。このシャフト88は、アーム部60Bの長手方向に沿って設けられており、アーム部60Bに対して長手方向にスライド可能に支持されている。このシャフト88の基端部(シート後方側の端部)は、シート幅方向内側(セレクタ92側)へ屈曲されており、シャフト88の基端部には、シート幅方向内側へ突出した突出部88Aが設けられている。この突出部88Aは、セレクタ92及び前述したガイド溝74に対応している。
【0045】
操作ボタン90は、樹脂材料によって円柱状に形成されており、アーム部60Bの先端に形成された円形の貫通孔94に挿入されている。この操作ボタン90のシート後方側(基部60A側)の端部には、図示しない圧入孔が形成されており、該圧入孔にシャフト88の先端部(シート前方側の端部)が圧入されている。これにより、操作ボタン90がシャフト88の先端部に取り付けられている。この操作ボタン90は、アーム部60Bの先端から突出した状態で配置されている。
【0046】
セレクタ92は、板金によって長尺状に形成されており、板厚方向がシート幅方向に沿い且つ長手方向が操作レバー60の長手方向(略シート前後方向)に沿う状態で配置されている。このセレクタ92の長手方向中央部には、セレクタ92の長手方向を長手とする長孔96が形成されている。この長孔96には、支軸70が挿通されており、セレクタ92は、支軸70及びベースプレート54を介してシートクッションフレーム16に支持されている。このセレクタ92は、支軸70に対して相対回転可能で且つ長孔96の範囲でスライド可能とされている。
【0047】
セレクタ92の長孔96よりもシート前方側の部分には、円形の貫通孔98が形成されている。この貫通孔98には、シャフト88の突出部88Aがシート幅方向外側から挿入されており、セレクタ92を貫通した突出部88Aの先端側がベースプレート54のガイド溝74内に挿入されている。
【0048】
そして、上記のように突出部88Aが貫通孔98に挿入されることにより、シャフト88とセレクタ92とが連結されており、シャフト88が操作レバー60に対して長手方向にスライドすると、セレクタ92がシャフト88と一体的に操作レバー60の長手方向にスライドするようになっている。但し、シャフト88とセレクタ92とは、突出部88Aを貫通孔98からシート幅方向外側へ引き抜くことにより、容易に分離できるようになっている。
【0049】
また、セレクタ92の後端部には、円柱状のピン100が固定されている。このピン100は、セレクタ92の後端部からシート幅方向内側へ突出しており、第1伝達部材50の連結片50Bと、第2伝達部材52の上端部との間に配置されている。なお、他の実施形態では、セレクタ92の後端部にシート幅方向内側へ切り起された切り起し部を形成し、或いはセレクタ92の後端部をシート幅方向内側へ屈曲して突起部を形成し、これらの切り起し部又は突起部をピン100の代わりとしてもよい。
【0050】
引張コイルスプリング64は、上記セレクタ92の前端部とシートクッションフレーム16との間に設けられている。この引張コイルスプリング64は、引張コイルスプリングであり、一端部に形成された略半円弧状の第1引掛部64Aがセレクタ92の前端部に形成された引掛け孔に挿入されている。これにより、引張コイルスプリング64の一端部がセレクタ92の前端部に係止されている。
【0051】
引張コイルスプリング64の他端部には、略半円弧状の第2引掛部64Bが設けられている。この第2引掛部64Bは、第1引掛部64Aに対してシート前方側かつシート上方側において、引掛片102に引掛けられている。この引掛片102は、シートクッションフレーム16のシート幅方向外側面の一部が切り起されて形成されている。これにより、引張コイルスプリング64の他端部がシートクッションフレーム16に係止されており、引張コイルスプリング64がセレクタ92の前端部とシートクッションフレーム16との間に掛け渡されている。なお、他の実施形態では、引張コイルスプリング64の他端部がベースプレート54に係止された構成にしてもよいし、シートクッションフレーム16又はベースプレート54に取り付けられた別の部材に係止された構成にしてもよい。
【0052】
ここで、上記構成のシート調整装置14では、上述の引張コイルスプリング64によって切替部材62が非操作位置(
図3及び
図4に示される位置)へ付勢されると共に、操作レバー60が中立位置(
図1及び
図3〜
図5に示される位置)へ付勢されている。前記非操作位置は、操作レバー60に対する切替部材62のスライド範囲の一端(ここでは前端)に設定されており、前記中立位置は、シート本体12に対する操作レバー60の回動範囲の中間(ここでは中央)に設定されている。
【0053】
切替部材62が非操作位置に位置し、操作レバー60が中立位置に位置する状態(以下、非操作状態という)では、シャフト88の突出部88Aがガイド溝74の凹部74Dに嵌まり込むようになっている。これにより、操作レバー60が中立位置に保持される。この状態から、操作レバー60のアーム部60Bに上側又は下側への操作力が加えられると、引張コイルスプリング64が若干伸ばされつつ突出部88Aが凹部74Dから抜け出すと共に、突出部88Aがガイド溝74の第1円弧状部74A内を移動することにより、操作レバー60の上側及び下側への回転が許容される。この際には、突出部88Aと凹部74Aとによって、操作レバー60の操作に節度感が生じるようになっている。
【0054】
また、上記非操作状態では、
図4に示されるように、セレクタ92のピン100が第2伝達部材52の切欠78内に挿入され、切替部材62と第2伝達部材52とが連結される(係合する)。この状態では、切替部材62を介して操作レバー60と第2伝達部材52とが連結されることにより、操作レバー60の操作力をスライド機構38及びリクライニング機構20に伝達可能な状態となる。
【0055】
さらに、上記非操作状態では、突出部88Aとガイド溝74の連通部74Cとが、切替部材62のスライド方向に対向する。この状態で、操作ボタン90にシート後方側への押圧力が加えられると、突出部88Aが連通部74C内をシート後方側へ移動することにより、操作ボタン90の押圧操作が許容される。その結果、切替部材62が
図5に示される操作位置へと移動(スライド)される。
【0056】
切替部材62が操作位置へスライドされた状態(以下、ボタン操作状態という)では、
図5に示されるように、突出部88Aがガイド溝74の第2円弧状部74B内に配置される。この状態では、突出部88Aがガイド溝74の第2円弧状部74B内を移動することにより、操作レバー60の上側及び下側への回転が許容される。
【0057】
また、上記ボタン操作状態では、
図5に示されるように、セレクタ92のピン100が第1伝達部材50の連結片50Bの開口66内に挿入される。この状態で操作レバー60が上側又は下側へ操作されると、ピン100が連結片50Bと当たる(係合する)ことにより、切替部材62を介して操作レバー60と第1伝達部材50と連結される。これにより、操作レバー60の操作力をリフタ機構26のポンプ式リフタ装置34に伝達可能な状態となる。
【0058】
さらに、このシート調整装置14では、切替部材62が非操作位置と操作位置との間に位置する状態、すなわち、第1伝達部材50及び第2伝達部材52に対する切替部材62の係合状態の切り替え途中の状態では、突出部88Aが連通部74Cの縁部(すなわち上下一対の規制片55の先端)に当たることにより、中立位置からの操作レバー60の回転が規制される構成になっている。
【0059】
また、操作レバー60が中立位置の上側又は下側へ操作された状態(操作途中の状態も含む)では、突出部88Aが第1円弧状部74Aの縁部又は第2円弧状部74Bの縁部(すなわち上下一対の規制片55のうちの一方の側部)と当たることにより、非操作位置から操作位置への切替部材62の移動、又は操作位置から非操作位置への切替部材62の移動が規制されるようになっている。
【0060】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0061】
上記構成の車両用シート10では、操作レバー60がシートクッションフレーム16に回転可能に取り付けられている。この操作レバー60は、シート本体12に着座した乗員がアーム部60Bを把持して上下に操作することができる。また、この操作レバー60には、アーム部60Bの先端から突出した操作ボタン90を備える切替部材62が取り付けられており、アーム部60Bを把持した乗員が親指等で操作ボタン90を押圧操作することにより、切替部材62が非操作位置から操作位置へと移動される。
【0062】
ここで、切替部材62が非操作位置に位置する状態(以下、ボタン非操作状態という)では、セレクタ92のピン100が第2伝達部材52の切欠78内に配置される。これにより、切替部材62を介して操作レバー60と第2伝達部材52とが連結される。この状態において、操作レバー60のアーム部60Bが、
図7に二点鎖線で示されるように中立位置の上側(一側)へ操作されると、その操作力が第2伝達部材52及びリンク部材56を介してリクライニング機構20のロック解除レバー22に伝達され、ロック解除レバー22がロック解除方向に回転される。これにより、リクライニング機構20のロックが解除され、シートバックのリクライニング角度を調整可能な状態になる。
【0063】
また、上記ボタン非操作状態において、操作レバー60のアーム部60Bが、
図8に二点鎖線で示されるように中立位置の下側(他側)へ操作されると、その操作力が第2伝達部材52及びケーブル58を介してスライド機構38のロック解除レバー46に伝達され、ロック解除レバー46がロック解除方向に回転される。これにより、スライド機構38のロックが解除され、車両用シート10の前後位置を調整可能な状態になる。
【0064】
一方、乗員が操作ボタン90を押圧操作することにより、切替部材62が操作位置へと移動された状態(ボタン操作状態)では、セレクタ92のピン100が連結片50Bの開口66内に配置される。これにより、切替部材62を介して操作レバー60と第1伝達部材50とが連結可能になる。この状態において、操作レバー60のアーム部60Bが、
図9に二点鎖線で示されるように中立位置の上側(一側)へ操作されると、その操作力が第1伝達部材50に伝達され、第1伝達部材50がポンプ式リフタ装置34の入力軸と一体で
図2及び
図9の矢印B方向へ回転される。これにより、当該回転力がピニオンやリフタギヤ35等を介して後側リンク32に伝達され、シートクッションフレーム16がロアフレーム28に対して上方へ変位する(シート高さが高く調整される)。なお、
図9ではシートクッションフレーム16がロアフレーム28に対して変位した状態については図示を省略している。
【0065】
また、上記操作状態において、操作レバー60のアーム部60Bが、
図9に一点鎖線で示されるように中立位置の下側(他側)へ操作されると、その操作力が第1伝達部材50に伝達され、第1伝達部材50がポンプ式リフタ装置34の入力軸と一体で
図2及び
図9の矢印C方向へ回転される。これにより、当該回転力がピニオンやリフタギヤ35等を介して後側リンク32に伝達され、シートクッションフレーム16がロアフレーム28に対して下方へ変位する(シート高さが低く調整される)。
【0066】
このように、本実施形態では、1つの操作レバー60によって、リクライニング機構20、スライド機構38、及びリフタ機構26を調整し又は調整可能な状態にすることができる。しかも、操作レバー60のアーム部60Bの操作方向が上側及び下側のみであり、単純であるため、操作性の向上及びスペースの有効利用を図ることができる。特に、車両用シートと車体側部(サイドドア等)との間のスペースを広く確保することが困難な小型車などにも適用可能な点で好適である。
【0067】
さらに、本実施形態では、ベースプレート54に設けられた操作規制部53がガイド溝74を有しており、切替部材62のシャフト88に設けられた突出部88Aが前記ガイド溝74に挿入されている。これにより、誤動作を防止することができる。
【0068】
つまり、切替部材62が非操作位置と操作位置との間に位置する状態では、切替部材62の突出部88Aがガイド溝74の連通部74C内に配置される。この状態では、突出部88Aが上下の規制片55と当たることにより、操作レバー60の操作が規制される。これにより、切替部材62が第1伝達部材50及び第2伝達部材52の両方と連結される可能性がある状態で操作レバー60が操作されることによる誤動作、すなわち2つの被調整機構が同時に調整等されることを回避できる。
【0069】
また、操作レバー60が中立位置の上側又は下側へ操作された際には、突出部88Aが上側又は下側の規制片55と当たることにより、切替部材62の操作が規制される。これにより、操作レバー60と第1伝達部材50との連結状態、又は操作レバー60と第2伝達部材52との連結状態が不用意に解除されることによる誤動作を防止することができる。
【0070】
しかも、ガイド溝74を有する操作規制部53(ベースプレート54)と、切替部材62に設けられた突出部88Aとによって、誤動作を防止することができるので、誤動作を防止するための構成を簡素化することができる。またしかも、ガイド溝74が第1円弧状部74A及び第2円弧状部74Bと連通部74Cとによって構成されており、シャフト88が屈曲されることにより突出部88Aが形成されているため、簡単な形状(構成)のガイド溝74及び突出部88Aによって操作レバー60及び切替部材62の操作を規制することができる。また、シャフト88の突出部88Aは、シャフト88とセレクタ92とを連結するための構成としても兼用されているため、これによっても構成を簡素化することができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、操作規制部53が、シートクッションフレーム16に取り付けられた板金製のベースプレート54に設けられており、ガイド溝74が当該ベースプレート54を貫通している。このため、板金製のベースプレートをプレス加工によって成形する際に、ガイド溝74を形成することができるので、操作規制部53を容易に製造することができる。
【0072】
また、本実施形態では、切替部材62が操作されていない状態(ボタン非操作状態)では、引張コイルスプリング64の付勢力によって切替部材62が非操作位置に保持されると共に、切替部材62の突出部88Aがガイド溝74の凹部74Dに嵌まり込むことで、操作レバー60が中立位置に保持される。この状態では、操作レバー60を中立位置の一側及び他側の何れの側にも操作することができるので、操作部材の操作性を向上させることができる。しかも、車両走行時の振動等によって、操作レバー60が不用意に中立位置から回転することを防止できる。
【0073】
また、本実施形態では、切替部材62は、操作レバー60に取り付けられたシャフト88と、支軸70等を介してシートクッションフレーム16に支持されたセレクタ92とを有しており、シャフト88とセレクタ92とが分離可能に連結されると共に、セレクタ92とシートクッションフレーム16との間に引張コイルスプリング64が掛け渡されている。このため、本車両用シート10の製造時には、操作レバー60をシート本体12に組み付ける前に、シャフト88を操作レバー60に組み付けてサブアッセンブリ化すると共に、セレクタ92を第1伝達部材50及び第2伝達部材52と係合可能にシートクッションフレーム16に組み付けて、該セレクタ92とシート本体12との間に引張コイルスプリング64を掛け渡すことができる。これにより、本車両用シート10の製造を容易なものにすることができる。
【0074】
さらに、本実施形態では、操作レバー60がシート幅方向に沿った軸線回りに回転可能とされており、操作レバー60の操作方向が上側及び下側とされている。このため、車両が前、後、左又は右から衝突された場合でも、操作レバー60が自重等によって不用意に回転されること、すなわちリクライニング機構やスライド機構のロックが不用意に解除されてしまうことを防止又は効果的に抑制することができる。
【0075】
(実施形態の補足説明)
また、上記実施形態では、第2伝達部材52の回転力が、リンク部材56を介してリクライニング機構20に伝達されると共に、ケーブル58を介してスライド機構38に伝達される構成にしたが、本発明はこれに限らず、リンク部材やケーブル以外の部材を用いてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、切替部材62を構成するシャフト88(操作側部材)とセレクタ92(シート側部材)とが分離可能に連結される構成にしたが、本発明はこれに限らず、操作側部材とシート側部材とが一体に形成される構成にしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ガイド溝74に設けられた凹部74Dにシャフト88の突出部88Aが嵌まり込むことで、操作レバー60が中立位置に保持される構成にしたが、本発明はこれに限らず、凹部74Dが省略された構成にしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、引張コイルスプリング64(弾性部材)によって操作レバー60(操作部材)と切替部材62との両方が付勢される構成にしたが、本発明はこれに限らず、操作部材と切替部材とが別々の弾性部材によって付勢される構成にしてもよい。また、弾性部材が省略された構成にしてもよい。さらに、弾性部材としては、引張コイルスプリング64以外の弾性部材(例えば、ゴム等)を用いることもできる。
【0079】
また、上記実施形態では、操作レバー60(操作部材)がシート本体12に対してシート幅方向に沿った軸線回りに回転可能に設けられた構成にしたが、本発明はこれに限らず、操作部材はシート本体に対して移動可能に設けられたものであればよく、操作部材がシート本体に対してスライド可能に設けられた構成にしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、ガイド溝74が第1円弧状部74A及び第2円弧状部74Bと連通部74Cとを備えた構成にしたが、本発明はこれに限らず、ガイド溝の構成は、シート本体に対する操作部材の移動方向や、操作部材に対する切替部材の移動方向に応じて適宜変更することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、ガイド溝74がベースプレート54を貫通した構成にしたが、本発明はこれに限らず、プレス加工等によりベースプレートに凹溝状のガイド溝を形成する構成にしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、ガイド溝74を備える操作規制部53がベースプレート54に設けられた構成にしたが、本発明はこれに限らず、ガイド溝を備える操作規制部がシート本体のフレーム(シートクッションフレーム等)に設けられた構成にしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、リクライニング機構20、スライド機構38及びリフタ機構26が被調整部とされた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、上記以外の機構(ランバーサポート機構、チルト機構など)が被調整機構とされた構成にしてもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態では、車両用シート10が、リクライニング機構20、スライド機構38およびリフタ機構26(何れも被調整機構)しか備えていない場合について説明したが、本発明はこれに限らず、車両用シートに上記以外の別の被調整機構が追加された構成にしてもよい。その場合、例えば、第1伝達部材50及び第2伝達部材52に加えて第3伝達部材を追加し、当該第3伝達部材に上記別の被調整機構を連結すればよい。またその場合、切替部材が非操作位置から第1の操作位置を経由して第2の操作位置へと移動されることにより、操作レバーが切替部材を介して第3伝達部材と連結される構成にすればよい。
【0085】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことはいうまでもない。