(54)【発明の名称】電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物、これを用いて得られる保護多孔質膜を有する電池電極又はセパレーター、及びこの電池電極又はセパレーターを有する電池
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結着剤、溶媒及び多面体粒子を含む電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物であって、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量が50重量%以上であり、前記多面体粒子の構成面数が概略4〜12でありかつ少なくとも2面角が70°以上180°未満の頂点を3以上有しアスペクト比が2以下であることを特徴とし、前記多面体粒子が三方晶系結晶のα−石英である、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、(1)構成面数が概略4〜12でありかつ少なくとも2面角が70°以上180°未満の頂点を3以上有しアスペクト比が2以下の多面体粒子、(2)結着剤、及び(3)溶媒を有する。
【0027】
[多面体粒子]
本発明の(1)多面体粒子について説明する。「構成面数が概略4〜12」における「概略4〜12」とは、多面体粒子を構成する面の内、粒子の性能に影響を与えない程度の粒子の欠けなどに伴って発生する相対的に面積の小さい面は構成面数として含まずに、4〜12であることを意味する。構成面数としては数えない「相対的に面積の小さい面」とは、粒子体積をV、多面体粒子の任意の1つの面の面積をLとすると、
【数1】
になる面をいう。構成面数は、4〜12であるのが好ましく、4〜9であるのがより好ましい。このような範囲であれば、粒子の角や片が、他の粒子の角や片や面に当たりやすくなり、空隙が発生しやすくなることで空隙率が高くかつ空隙の連続性が高い多孔質膜を得ることができる。本発明において、構成面数は、電子顕微鏡観察により求めることができる。
【0028】
本発明の多面体粒子の形状は概略凸多面体である。概略凸多面体とは、多面体を構成する2面角が180°より上の頂点からなる凹んだ部分の面の面積が、粒子全体の面積の1/10以下であることを意味する。本発明において、2面角は、電子顕微鏡により求めることができる。
【0029】
本発明の多面体粒子の形状は、正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、3方4面体、菱形12面体、切頂4面体、双三角錐、のいずれかに類似した形状である。本発明において、アスペクト比が2を超える概略板状、針状形状等を有する粒子は除外する。
【0030】
本発明の多面体粒子は、アスペクト比が2以下である。本発明の多面体粒子は、アスペクト比が1.0〜1.9であるのがより好ましい。このような範囲であれば、粒子どうしがかさばりやすくなることで多孔性保護膜の空隙率が更に向上し、電池特性が良好になる。本発明において、アスペクト比は、構成面数が概略4〜12でありかつ少なくとも2面角が70°以上180°未満の頂点を3以上有す多面体粒子に於いて粒子の長軸の長さ(長径)と短軸の長さ(短径)との比であり、アスペクト比=長径/短径である。本発明において、アスペクト比は、透過型電子顕微鏡により、試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、3次元的に観察した時の多面体粒子の最長となる長径と、それと交差しかつ最短となる短径とを測定し、長径/短径を粒子50個についての平均値として求めることができる。アスペクト比が2を超える概略板状、針状形状等を有する粒子は、粒子同士が重なり合いやすいため、保護多孔質膜の空隙率が低くなる。また、樹状粒子は、粉砕により、破断面は鋭利な面になるが、アスペクト比が2を超えるか、或いは構成面数が4以下、すなわち破断面及び破断面以外の面のみであるか、或いは凹部がある粒子になり、保護多孔質膜の空隙率が低くなる。
【0031】
本発明において、多面体粒子の形状は2以上の種類を有していても良い。すなわち、多面体粒子として、1種を用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0032】
多面体粒子の材質として、有機結晶(例えば、尿素、リゾチーム、及びp−ニトロアニリン等)、高分子(例えば、結晶性のポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブテン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、及びエポキシ樹脂等)、無機粒子(例えば、赤鉄鉱、α−石英、コランダム、イルメナイト、水酸化マグネシウム、方解石、マグネサイト、炭酸マンガン、炭酸亜鉛、炭酸鉄、ドロマイト、アンケル石、硝酸ナトリウム、明礬石、フッ化クロム、塩化ナトリウム、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、及びマンガン酸リチウム等)が例示できる。
【0033】
本発明において、粉砕により、三方晶系の結晶構造のため粉砕したときに上述の条件を満たす鋭利な頂点を有する多面体粒子を簡便に製造することが出来る点で、三方晶系結晶であるのが好ましい。すなわち、多面体粒子が三方晶系結晶を粉砕することにより得られる粒子であるのが好ましい。このような三方晶系結晶として、三方晶系のα−石英、コランダム、コバルト酸リチウム、イルメナイト、水酸化マグネシウム、方解石、マグネサイト、炭酸マンガン、炭酸亜鉛、炭酸鉄、ドロマイト、アンケル石、硝酸ナトリウム、明礬石が挙げられる。中でも、高純度品が安価に入手できるα−石英、コランダムが中でも好ましく、更に軽量性の観点ではα−石英が好ましく、熱伝導性の観点ではコランダムが好ましい。
【0034】
α−石英及びコランダムは天然に採掘できる鉱物でも良く、合成品や溶融再結晶品でも良い。α−石英は、市販品として株式会社龍森製のCRYSTALITEや丸釜釜戸陶科株式会社製の雪印珪石シリーズ等が挙げられる。コランダムは、市販品として昭和電工株式会社製のAS−10、AS−20、AS−30、AS−40、AS−50や日本軽金属株式会社製のA30シリーズ、ANシリーズ、A40シリーズ、NMシリーズ、LS−235、AHP−200等が挙げられる。
【0035】
多面体粒子の平均粒子径は0.001〜100μmの範囲が好ましく、0.01〜50μmの範囲であるのがより好ましく、0.05〜10μmの範囲であるのが更に好ましい。多孔質保護膜の空隙率をより高くできることから、多面体粒子の粒度分布は狭いものが好ましい。すなわち、多面体粒子の平均粒子径に対して、その1/5倍をA、その5倍をBとしたとき、A〜Bの範囲の粒子径を有する粒子が、多面体粒子の80体積%以上あることが好ましく、90体積%以上あることがより好ましい。平均粒子径及び粒度分布は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定でき、具体的には株式会社堀場製作所製LA−920等を用いることができる。
【0036】
[グラフト重合で表面を高分子で被覆した多面体粒子]
本発明の多面体粒子は、その表面がグラフト重合で形成された高分子で被覆された多面体粒子であるのが好ましい。被覆した高分子鎖によって粒子間距離が規定されることで空隙率と空隙の連続性を向上させることができ、また高分子鎖の間をイオンが伝導することでイオン伝導性を向上させることができる。
このような高分子として、後述の固体の結着剤において例示された、熱可塑性の高分子及び潜在性硬化型の固形樹脂が挙げられ、(メタ)アクリル基を有する化合物をグラフト重合することにより得られるグラフトポリマーを被覆した多面体粒子が好ましい。本発明において、多面体粒子とカップリング剤とを反応させて、カップリング剤で処理された多面体粒子に、モノマーを重合させてグラフトポリマーを形成させるか、ポリマーを反応させて得られる、ポリマーで被覆した多面体粒子であるのがより好ましい。本発明において、カップリング剤として、片方の末端に反応性置換基を有するカップリング剤(例えば、(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシプロピルトリエトキシシラン)を用いて、多面体粒子の表面を修飾することで、表面修飾後、表面に固定化された該反応性置換基を反応開始点にして前記グラフト重合を実施し多面体粒子の表面を被覆することにより得られる多面体粒子がさらに好ましい。
【0037】
多面体粒子の含有量は、溶媒を除いた保護多孔質膜組成物に含まれる成分のうちの50重量%以上であり、好ましくは70〜99.5重量%、より好ましくは80〜99重量%である。このような範囲であれば、粒子同士が嵩張りやすくなり空隙率や空隙率の連続性の点で好ましくイオン伝導性の高い多孔質膜が得られる。なお、溶媒には、後述する結着剤のための溶媒が含まれる。
【0038】
[結着剤]
本発明の(2)結着剤について説明する。本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、結着剤を含む。結着剤として、固体(例えば、粒子状)の結着剤又は液体の結着剤が挙げられる。結着剤は、溶媒に分散した状態、溶媒に溶解した状態、又は溶媒に分散した状態及び溶媒に溶解した状態であることもできる。
【0039】
[固体の結着剤]
固体の結着剤としては、各種公知の固体の結着剤を用いることが出来る。固体の結着剤として、熱可塑性の有機物の粒子、有機物の結晶、及び熱融着時に架橋する有機物の粒子が挙げられる。固体の結着剤の平均粒子径は特に限定されず、0.01〜500μmとすることができる。
【0040】
熱可塑性の有機物の粒子は、ホットメルトで粒子を熱融着させることで結着させることができるものであれば特に限定されず、熱可塑性の高分子の粒子が挙げられる。
【0041】
熱可塑性の高分子として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリ塩化ビニル、セルロイド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール構造を有する高分子、カーボネート基を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、アクリルゴム、シアノ基を有する高分子、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル−ビニルアルコール共重合体、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、多糖類、ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコーン、β−ジケトン構造を有する高分子及びこれらの共重合体、プレポリマー、アロイ又は誘導体が例示できる。
【0042】
シアノ基を有する高分子誘導体として、具体的には、シアノエチル化ビニルアルコール、シアノエチル化カルボキシメチルセルロース、シアノエチル化プルラン、シアノエチル化セルロース、シアノエチル化澱粉、シアノエチル化エステル化澱粉、シアノエチル化デキストリン、シアノエチル化コラーゲン、及びニトリルゴム等が例示できる。ポリエチレングリコール構造を有する高分子誘導体として、具体的には、ポリエチレングリコールアクリル酸アミドスチレン共重合体、ポリエチレングリコールポリ乳酸共重合体、ポリエチレングリコール鎖をペンダントしたポリビニルアルコール等が例示できる。β−ジケトン構造を有する高分子として、具体的には、アセト酢酸アリル等のβ−ジケトン構造を有するビニル化合物とアクリル酸エステルとをラジカル共重合することで作製できるβ−ジケトン構造を有するポリアクリルエステル共重合体や更に酢酸ビニルと共重合したポリビニルアルコール等が例示できる。カーボネート基を有する高分子として、具体的には、ポリカーボネート、CO
2−philic Co−polymer(CO
2親媒性コポリマー)等が例示できる。
【0043】
これらの熱可塑性の有機物の粒子は、単独で用いてもよく、また複数の組合せで用いてもよい。熱可塑性の有機物の粒子として、イオンと相互作用しやすく、イオン伝導の観点で、シアノ基を有する高分子誘導体の粒子、ポリエチレングリコール構造を有する高分子誘導体の粒子、β−ジケトン構造を有する高分子の粒子、及びカーボネート基を有する高分子の粒子が好ましく、シアノ基を有する高分子誘導体の粒子、ポリエチレングリコール構造を有する高分子の粒子、及びカーボネート基を有する高分子の粒子がより好ましい。
【0044】
熱可塑性の有機物の粒子は、−40〜300℃の範囲に融点や軟化点を有する程度に分子量や架橋密度を調整できる。
【0045】
熱可塑性の有機物の粒子は、乾燥粉末として用いることもできるし、界面活性剤や水溶性高分子による保護コロイド粒子にすることで水性エマルジョンとして用いることもできる。また、融点を調整する目的で、更にエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、及びイソホロンなどの沸点が80℃以上の高沸点溶媒を加えたものを用いることもできる。
【0046】
[有機物の結晶]
有機物の結晶としては、ヒドラジド結晶、酸無水物結晶、アミン結晶、イミダゾール結晶、及びトリアジン結晶やこれらの混晶が例示できる。有機物の結晶の融点は、40℃以上であるのが好ましく、50〜300℃であるのがより好ましい。
【0047】
ヒドラジド結晶として、アジピン酸ジヒドラジド(融点177〜180℃)、1,3−ビス(ヒドラジンカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点120℃)、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド(融点160℃)等が例示できる。酸無水物結晶として、無水マレイン酸(融点53℃)、無水フタル酸(融点131℃)、無水ピロメリット酸(融点286℃)等が例示できる。アミン結晶として、尿素(融点132℃)、ジシアンジアミド(融点208℃)等が例示できる。イミダゾール結晶として、イミダゾール(融点89〜91℃)、2−メチルイミダゾール(融点140〜148℃)、フェニルイミダゾール(融点174〜184℃)等が例示できる。トリアジン結晶として、2,4−ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジン(融点240℃)、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン(融点170℃)等が例示できる。有機物の結晶は、融点や軟化点を調整する目的で2種類以上を混ぜて固溶体にして用いることも出来る。
【0048】
[熱融着時に架橋する有機物の粒子]
熱融着時に架橋する有機物の粒子は、各種公知の潜在性硬化型の固形樹脂の粒子である。潜在性硬化型の固形樹脂として、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂とオキシラン化合物との混合物、(メタ)アクリル酸エステル、及び活性水素基を有するプレポリマーが挙げられる。よって、熱融着時に架橋する有機物の粒子として、固形のエポキシ樹脂に潜在性の熱開始剤を配合した粒子;固形のエポキシ樹脂とオキシラン化合物との混合物に潜在性の熱開始剤を配合した粒子;固形の(メタ)アクリル酸エステルと、硬化剤又は開始剤とを含む系である粒子;並びに、活性水素基を有するプレポリマーと架橋剤との組み合わせである粒子;が挙げられる。本発明において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを示す。
【0049】
固形のエポキシ樹脂としては、DIC株式会社製;EPICLON 1050(軟化点64〜74℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂)、DIC株式会社製;EPICLON N−660(軟化点62〜70℃のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、DIC株式会社製;EPICLON N−770(軟化点65〜75℃のフェノールノボラック型エポキシ樹脂)、DIC株式会社製;HP−7200HH(軟化点88〜98℃のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、DIC株式会社製;EPICLON HP−4700(軟化点85〜95℃のナフタレン型エポキシ樹脂)、ナガセケムテックス株式会社製;EX−721(融点94〜96℃の単官能固形エポキシフタルイミド骨格)、ナガセケムテックス株式会社製;EX−171(融点40℃のラウリルアルコール(EO)15グリシジルエーテル)等が例示できる。
【0050】
オキシラン化合物としては、オキセタン化合物が挙げられる。オキシラン化合物は、具体的には、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタニルシルセスキオキサン等が例示できる。
【0051】
エポキシ樹脂やオキシラン化合物に対する潜在性の熱開始剤は、カチオン重合用触媒であり、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のヨードニウム塩;
トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのスルホニウム塩;
トリフェニルピレニルメチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩;
(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート;
o−ニトロベンジルシリルエーテルとアルミニウムアセチルアセトナートとの組み合わせ;
シルセスキオキサンとアルミニウムアセチルアセトナートとの組み合わせ;
等が例示できる。
【0052】
熱開始剤の配合量は、固形のエポキシ樹脂又は前記固形のエポキシ樹脂とオキシラン化合物との混合物100重量部に対して、0.001〜50重量部であるのが好ましく、0.01〜20重量部であるのがより好ましく、0.1〜10重量部であるのが更に好ましい。
【0053】
固形のエポキシ樹脂に潜在性の熱開始剤を配合したもの、及び固形のエポキシ樹脂とオキシラン化合物との混合物に潜在性の熱開始剤を配合したものは、更にカルボン酸、カルボン酸無水物、アミン、及びヒドラジド等の硬化剤粒子を含有させてもよい。これにより、熱融着時に架橋反応を進行させることも出来る。硬化剤粒子を配合することで、熱融着と同時に架橋反応を進行させることができ、互いに連続相になりかつ架橋された構造を得ることが出来る。硬化剤の配合量は、固形のプレポリマー粒子100重量部に対して、1〜500重量部であるのが好ましく、より好ましくは2〜200重量部である。
【0054】
固形のエポキシ樹脂に潜在性の熱開始剤を配合したものである粒子、又は固形のエポキシ樹脂とオキシラン化合物との混合物に潜在性の熱開始剤を配合したものである粒子は、前記固形のエポキシ樹脂又は前記固形のエポキシ樹脂とオキシラン化合物との混合物、潜在性の熱開始剤、及び場合により配合される硬化剤を、混合して、次いで粉砕することにより、固形のプレポリマー粒子として製造することができる。また、固形のエポキシ樹脂の粒子又は前記固形のエポキシ樹脂とオキシラン化合物との混合物の粒子、開始剤粒子、及び硬化剤粒子を、混合することにより、固形のプレポリマー粒子として得てもよい。
【0055】
固形の(メタ)アクリル酸エステルと、硬化剤又は開始剤とを含む系としては、熱硬化性の系として、メタクリル酸エステルと熱開始剤の混合物(EBECRYL 767(ダイセル・サイテック株式会社製):パーヘキサHC(日油株式会社製)=100:5混合物)が例示でき、光硬化性の系として、メタクリル酸エステルと光開始剤の混合物(EBECRYL 740−40TP(ダイセル・サイテック株式会社製):1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン=100:5)等が例示できる。
【0056】
活性水素基を有するプレポリマーと架橋剤との組合せにおける架橋剤として、カルボン酸やカルボン酸無水物、金属キレート等が例示できる。活性水素基を有するプレポリマーと架橋剤との組合せとしては、ポリビニルアルコールとポリカルボン酸及びそれら誘導体との混合物、ポリビニルアルコールやその誘導体と金属キレートやアルコキシドとの混合物等、ホウ酸を例示することが出来る。ポリカルボン酸の例として、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン(酸無水物)、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート(酸無水物)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(酸無水物)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、アスパラギン酸、ピロメリット酸、メリト酸、含リンエステル基テトラカルボン酸、フェニルエチニルフタル酸、オキシジフタル酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びその誘導体などを例示できる。中でも芳香族カルボン酸が反応性の観点で好ましく、カルボン酸が1分子中に3以上置換されているものが反応性や架橋密度の観点で好ましい。また、例示したポリカルボン酸の内、酸無水物に相当するものを使用することも出来る。金属キレートとしては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、の様なチタンキレートやアルコキシド、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリブトキシモノステアレートのようなジルコニウムキレートやアルコキシド、アルミニウムイソプロポキシドのようなアルミキレート、など各種公知の金属化合物を例示することが出来る。また、活性水素基を有するプレポリマーと架橋剤との組合せは、場合により前記の硬化剤及び熱開始剤を含有することができる。活性水素基を有するプレポリマーと架橋剤との組合せである粒子は、活性水素基を有するプレポリマー、架橋剤、並びに場合により存在する硬化剤及び開始剤を、混合する際に熱で反応しないように、これらに対する良溶媒中で混合し、薄くキャストして溶媒を室温で乾燥させたものを、冷却しながら粉砕することで製造でき熱融着時に架橋する有機物粒子型の結着剤として用いることができる。
【0057】
熱融着時に架橋する有機物粒子を結着剤として含む電極電池又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、組成物をコートした後に、溶媒を蒸散させることで、組成物と電池電極又はセパレーターとを融着させると同時及び/又は融着後に、加熱やエネルギー線の照射によって架橋を進行させることができる。これにより、機械的強度に優れ耐熱性の高い保護膜が得られる。
【0058】
[液状の結着剤]
本発明の結着剤として液状の結着剤を使用することが出来る。
【0059】
液状の結着剤としては、各種公知の液状の結着剤を用いることが出来る。液状の結着剤として、具体的には、液状のプレポリマーと開始剤との混合物;固形高分子物質を溶媒に溶かしたもの;ゾルゲル反応によって固形の無機物になるもの;及び、水ガラスが挙げられる。
【0060】
(液状のプレポリマーと開始剤との混合物)
液状のプレポリマーと開始剤との混合物として、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル発生剤と、(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル基、マレイミド基などを有する化合物との組み合わせ;光カチオン開始剤又は熱カチオン開始剤と、エポキシ基、オキセタン環等のオキシラン環、ビニルエーテル、環状アセタールなどを有する化合物との組み合わせ;並びに、光アニオン開始剤と、エポキシ基を有する化合物及び/又はシアノアクリレート基を有する化合物との組合せ;を例示できる。なお、(メタ)アクリル基は、アクリル基及びメタクリル基を含む。
【0061】
光ラジカル開始剤又は熱ラジカル発生剤と、(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル基、マレイミド基などを有する化合物との組み合わせについて説明する。
【0062】
光ラジカル開始剤として、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェインル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、及び2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(O−エトキシカルボニル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1−[4−(3−メルカプトプロピルチオ)フェニル]−2−メチル−2−モルホリン−4−イル−プロパン−1−オン、1−[4−(10−メルカプトデカニルチオ)フェニル]−2−メチル−2−モルホリン−4−イル−プロパン−1−オン、1−(4−{2−[2−(2−メルカプト−エトキシ)エトキシ]エチルチオ}フェニル)−2−メチル−2−モルホリン−4−イル−プロパン−1−オン、1−[3−(メルカプトプロピルチオ)フェニル]−2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−プロパン−1−オン、1−[4−(3−メルカプトプロピルアミノ)フェニル]−2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−プロパン−1−オン、1−[4−(3−メルカプト−プロポキシ)フェニル]−2−メチル−2−モルホリン−4−イル−プロパン−1−オン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム、α−アリルベンゾイン、α−アリルベンゾインアリールエーテル、1,2−オクタンジオン、1−4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、及び1,3−ビス(p−ジメチルアミノベンジリデン)アセトンなどを例示することができる。光ラジカル開始剤のうち、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、イソブチルチオキサントンのような分子間水素引き抜き型の光開始剤に対しては、電子供与体(水素供与体)を開始助剤として添加できる。このような電子供与体として、活性水素を有する脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとして、具体的には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが例示できる。芳香族アミンとして、具体的には、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、及び4−ジメチルアミノ安息香酸エチルが例示できる。
【0063】
熱ラジカル発生剤としては、4−アジドアニリン塩酸塩、及び4,4’−ジチオビス(1−アジドベンゼン)などのアジ化物;4,4’−ジエチル−1,2−ジチオラン、テトラメチルチウラムジスルフィド、及びテトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド;オクタノイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、及びm−トルイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド;ジ−n−プロピルペルオキシジカルボナート、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、及びジ−(2−エトキシエチル)ペルオキシジカルボナートのようなペルオキシジカルボナート;t−ブチルペルオキシイソブチラート、t−ブチルペルオキシピバラート、t−ブチルペルオキシオクタノアート、オクチルペルオキシオクタノアート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート、t−ブチルペルオキシネオドデカノアート、オクチルペルオキシネオドデカノアート、t−ブチルペルオキシラウラート、及びt−ブチルペルオキシベンゾアートのようなペルオキシエステル;ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル)ヘキシン−3のようなジアルキルペルオキシド;2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラートのようなペルオキシケタール;メチルエチルケトンペルオキシドのようなケトンペルオキシド;p−メンタンヒドロペルオキシド、及びクメンヒドロペルオキシドなどの過酸化物;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、及び2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾニトリル類;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(4−フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などのアゾアミド類;2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などのアルキルアゾ化合物類;並びに、その他ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、及び2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオネート]などのアゾ化合物;ビピリジン;遷移金属を有する開始剤(例えば、塩化銅(I)及び塩化銅(II));メチル2−ブロモプロピオネート、エチル2−ブロモプロピオネート、エチル2−ブロモイソブチレートなどのハロゲン化合物;が例示出来る。
【0064】
上述の熱ラジカル発生剤に対して、分解促進剤を併用することができる。分解促進剤として、チオ尿素誘導体、有機金属錯体、アミン化合物、ホスフェート化合物、トルイジン誘導体、アニリン誘導体が例示できる。
【0065】
チオ尿素誘導体として、N,N’−ジメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジブチルチオ尿素、ベンゾイルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’−ジエチレンチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、及びN,N’−ジラウリルチオ尿素が挙げられ、好ましくは、テトラメチルチオ尿素またはベンゾイルチオ尿素である。有機金属錯体として、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉄、ナフテン酸マンガン、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸バナジウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸鉄、及びステアリン酸マンガンなどが例示できる。アミン化合物として、アルキル基またはアルキレン基の炭素数が1〜18の整数で表わされる1〜3級のアルキルアミン類またはアルキレンジアミン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルベンジルアミン、トリスジメチルアミノメチルフェノール、トリスジエチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、2−メチルイミダゾール、及び2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが例示できる。ホスフェート化合物として、メタクリルホスフェート、ジメチクリルホスフェート、モノアルキルアシッドフォスフェート、ジアルキルフォスフェート、トリアルキルホスフェート、ジアルキルホスファイト、及びトリアルキルホスファイトなどが例示できる。トルイジン誘導体として、N,N−ジメチル−p−トルイジン、及びN,N−ジエチル−p−トルイジンなどが例示できる。アニリン誘導体として、N,N−ジメチルアニリン、及びN,N−ジエチルアニリンなどが例示できる。
【0066】
(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル基、又はマレイミド基を有する化合物は、液状のプレポリマーである。(メタ)アクリル基を有する化合物としては、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ピリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、プリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルフタレート、N−(メタ)アクリロキシ−N−カルボキシピペリジン、N−(メタ)アクリロキシ−N,N−ジカルボキシメチル−p−フェニレンジアミン、ヒドロキシナフトキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルホスホリスフェニル、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、長鎖脂肪族(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロミル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール1000(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシプリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO(EO=エチレンオキサイド)変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート、EO変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO,PO(PO=プロピレンオキサイド)変性フタル酸(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール90(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール500(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール800(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、スルホン酸ナトリウムエトキシ(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールADジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、シルセスキオキサン(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート、クロレンド酸ジ(メタ)アクリレート、メトキシエーテル(メタ)アクリレート、及び2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアミニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンアニオンなどが例示できる。
【0067】
ビニル基を有する化合物として、酢酸ビニル、クロロエチレン、ビニルトリメトキシシラン、1−ビニルー3,4−エポキシシクロヘキサン、ビニルアセテート、等が例示できる。アリル基を有する化合物として、アリルアルコール、3−アミノプロペン、臭化アリル、塩化アリル、ジアリルエーテル、ジアリルスルフィド、アリシン、二硫化アリル、アリルイソチオシアネート、等が例示できる。マレイミド基を有する化合物として、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、4,4’−ジフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、及び1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン等が例示できる。これらの化合物のなかで、(メタ)アクリル基、及びビニル基を有する化合物が好ましい。これらの化合物は、光ラジカル開始剤の不存在下であっても、電子線で硬化させることが出来る。
【0068】
光ラジカル開始剤及び熱ラジカル発生剤は、2以上を組み合わせて用いることもできる。これら光ラジカル開始剤及び熱ラジカル発生剤は、液状のプレポリマーである(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル基、又はマレイミド基を有する化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部添加するのが好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。光ラジカル開始剤及び熱ラジカル発生剤を併用するときは、上記の含有量は、光ラジカル開始剤及び熱ラジカル発生剤の合計の含有量である。また、電子供与体の含有量は、光ラジカル開始剤100重量部に対して、10〜500重量部であるのが好ましい。分解促進剤の含有量は、熱ラジカル発生剤100重量部に対して、1〜500重量部であるのが好ましい。
【0069】
光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤又は光アニオン開始剤と、エポキシ基、オキセタン環等のオキシラン環、ビニルエーテル、環状アセタールなどを有する化合物との組み合わせについて説明する。
【0070】
光カチオン開始剤として、前記したエポキシ樹脂やオキシラン化合物に対する潜在性の熱開始剤における、シルセスキオキサンとアルミニウムアセチルアセトナートとの組み合わせ以外の化合物が挙げられる。
【0071】
光カチオン開始剤に増感剤を併用することができる。このような増感剤として、9,10−ブトキシアントラセン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、ベンゾフラビン、セトフラビンT、ペリレン、ピレン、アントラセン、フェノチアジン、1,2−ベンズアセトラセン、コロネン、チオキサントン、フルオレノン、ベンゾフェノン、及びアントラキノン等が例示できる。
【0072】
熱カチオン開始剤として、前記したエポキシ樹脂やオキシラン化合物に対する潜在性の熱開始剤が挙げられる。
【0073】
光アニオン開始剤として、o−ニトロベンジルアルコール化合物で2官能性以上のイソシアネートをブロックした2−ニトロベンジルカルバメート化合物、及びキノンジアジドスルホン酸エステル化合物とN−アルキルアジリジン化合物との組み合わせなどが例示出来る。光アニオン開始剤は、エポキシ基を有する化合物、シアノアクリレート基を有する化合物を重合させるために用いられる。
【0074】
エポキシ基、シアノアクリレート基、エピスルフィド、オキセタン環、スピロオルトカーボネート、又はビニルエーテル基を有する化合物は、液状のプレポリマーであり、光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤及び/又は光アニオン開始剤で架橋する反応性置換基を有する化合物である。
【0075】
エポキシ基を有する化合物は、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾イプシロン−カプロラクトン、エポキシ化ポリブタジエン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、α−オレフィンエポキシド、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジヒドロキシナフタレン・ジグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂、シルセスキオキサン型エポキシ樹脂、イソプレン型エポキシ樹脂、イソボニル骨格、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、エポキシ変性シリコーン、及びエポキシ変性シルセスキオキサンなどが例示できる。
【0076】
シアノアクリレート基を有する化合物は、メチルシアノアクリレート、及びエチルシアノアクリレートが例示できる。
【0077】
エピスルフィドを有する化合物は、上述のエポキシ基を有する化合物の酸素原子が硫黄原子に置換された化合物であり、エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド、1−ブテンスルフィド、2−ブテンスルフィド、イソブチレンスルフィド、1−ペンテンスルフィド、2−ペンテンスルフィド、1−へキセンスルフィド、1−オクテンスルフィド、1−ドデセンスルフィド、シクロペンテンスルフィド、シクロへキセンスルフィド、スチレンスルフィド、ビニルシクロへキセンスルフィド、3−フェニルプロピレンスルフィド、3,3,3−トリフルオロプロピレンスルフィド、3−ナフチルプロピレンスルフィド、3−フェノキシプロピレンスルフィド、3−ナフトキシプロピレンスルフィド、ブタジエンモノスルフィド、及び3−トリメチルシリルオキシプロピレンスルフィドなどが例示できる。
【0078】
オキセタン環を有する化合物としては、前記したオキセタン化合物が挙げられる。
【0079】
スピロオルトカーボネートを有する化合物としては、スピログリコールジアリルエーテル、及びビシクロオルトエステルなどが例示できる。
【0080】
ビニルエーテルを有する化合物としては、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチルプロパントリビニルエーテル、及びペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどが例示できる。
【0081】
エポキシ基、シアノアクリレート基、エピスルフィド、オキセタン環、スピロオルトカーボネート、又はビニルエーテル基を有する化合物は、オキセタン環を有する化合物が好ましい。
【0082】
光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤及び光アニオン開始剤は、2以上を組み合わせて用いることもできる。これら光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤及び光アニオン開始剤は、液状のプレポリマーであるエポキシ基、シアノアクリレート基、エピスルフィド、オキセタン環、スピロオルトカーボネート、又はビニルエーテル基を有する化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部添加するのが好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤及び光アニオン開始剤を併用するときは、上記の含有量は、光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤及び光アニオン開始剤の合計の含有量である。また、増感剤の含有量は、光カチオン開始剤100重量部に対して、5〜500重量部であるのが好ましい。
【0083】
(固形の高分子物質を溶媒に溶かした液状の結着剤)
固形の高分子物質を溶媒に溶かした液状の結着剤として、前述の高分子粒子を溶媒に溶かしたもの及び溶媒に懸濁したものが例示できる。溶媒としては、固形高分子を溶かすことが出来る溶媒から適宜選択することが出来、2以上を混合して用いることもできる。
【0084】
固形の高分子物質として、完全ケン化ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバールPVA−124、日本酢ビ・ポバール株式会社製;JC−25等)、部分ケン化ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバールPVA−235、日本酢ビ・ポバール株式会社製;JP−33等)変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレKポリマーKL−118、クラレCポリマーCM−318、クラレRポリマーR−1130、クラレLMポリマーLM−10HD、日本酢ビ・ポバール株式会社製;DポリマーDF−20、アニオン変性PVA AF−17、アルキル変性PVA ZF−15、カルボキシメチルセルロース(ダイセル工業株式会社製;H−CMC、DN−100L、1120、2200、日本製紙ケミカル株式会社製;MAC200HC等)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル工業株式会社製;SP−400等)、ポリアクリルアミド(MTアクアポリマー株式会社製;アコフロックA−102)、ポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)、エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製;EX−614、ジャパンケムテック株式会社製;エピコート5003−W55等)、ポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製;エポミンP−1000)、ポリアクリル酸エステル(MTアクアポリマー株式会社製;アコフロックC−502等)、並びに糖類及びその誘導体(和光純薬工業株式会社;キトサン5、日澱化学株式会社製;エステル化澱粉乳華、グリコ株式会社製;クラスターデキストリン、ポリスチレンスルホン酸(東ソー有機化学株式会社製;ボリナスPS−100等)等の水溶性高分子は、水に溶かした状態で用いることが出来る。
【0085】
固形の高分子物質として、アクリル酸エステル重合エマルジョン(昭和電工株式会社製;ポリゾールF−361、F−417、S−65、SH−502)、及びエチレン・酢酸ビニル共重合エマルジョン(株式会社クラレ製;パンフレックスOM−4000NT、OM−4200NT、OM−28NT、OM−5010NT)等のエマルジョンは、水に懸濁した状態で用いることが出来る。また、固形の高分子物質として、ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#1120)、変性ポリビニルアルコール(信越化学工業株式会社製;シアノレジンCR−V)、変性プルラン(信越化学工業株式会社製;シアノレジンCR−S)等の高分子は、N−メチルピロリドンに溶かした状態で用いることが出来る。
【0086】
固形の高分子物質を溶媒に溶かした液状の結着剤として、水溶性高分子を水に溶かした液状の結着剤、及びエマルジョンを水に懸濁した結着剤が好ましい。
【0087】
固形の高分子物質を溶媒に溶かした液状の結着剤は、加熱及び/又は減圧することで溶媒を除去し固化することが出来る。このような結着剤は、保護多孔質膜中で電解液を含浸しゲル電解層となることで保護多孔質膜のイオン伝導性を高めることも出来る。
【0088】
(ゾルゲル反応によって固形の無機物となる液状の結着剤)
ゾルゲル反応によって固形の無機物となる液状の結着剤としては、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、アルミニウムイソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラー2ーエチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、乳酸チタン、ポリヒドロキシチタンステアレート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート、などを例示する事が出来る。また、これらはゾルゲル反応用の触媒を添加する事ができる。ゾルゲル反応用の触媒として、無機成分を加水分解し重縮合させる反応のための触媒であれば特に限定されない。このような触媒として、塩酸のような酸;水酸化ナトリウムのようなアルカリ;アミン;あるいはジブチルスズジアセテ−ト、ジブチルスズジオクテ−ト、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラアルキルチタネート等の有機チタネート化合物;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム等の有機ジルコニウム化合物;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物;ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等の有機金属触媒等を挙げることができる。これらの中でも、市販品としてジブチルスズ化合物(三共有機化学(株)製SCAT−24)を具体的に挙げることができる。これらの化合物は、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0089】
(水ガラス)
ゾルゲル反応によって固形の無機物となる液状の結着剤の他に、固形の無機物が得られる液状の結着剤として、水ガラスを例示できる。具体的には、JIS規格表K1408の1号水ガラス、2号、水ガラス、3号水ガラスや、メタ珪酸ナトリウム1種、メタ珪酸ナトリウム2種、1号珪酸カリ、2号珪酸カリ、及び珪酸リチウム等を用いる事が出来る。
【0090】
結着剤の含有量は、粒子間に発生する空隙を埋めず、更に実用上十分な量の添加量であるのが好ましい。本発明の組成物において、結着剤の含有量は、前記多面体粒子100重量部に対して、0.01〜49重量部が好ましく、0.5〜30重量部がより好ましく、1〜20重量部がさらに好ましい。
【0091】
[溶媒]
本発明の(3)溶媒について説明する。本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、蒸散に伴う空隙を発生させまた流動性を調整するために溶媒を有する。溶媒の蒸散は、加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、又はこれらの組み合わせにより行うことができる。また、電池に使用する電解液溶媒を事前に添加しておき、電解質の含浸をアシストさせることも出来る。溶媒としては、炭化水素(プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、テレビン油、ピネン等)、ハロゲン系炭化水素(塩化メチル、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、臭化メチル、臭化エチル、クロロベンゼン、クロロブロモメタン、ブロモベンゼン、フルオロジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロクロロエタン等)、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、2−オクタノール、n−ドデカノール、ノナノール、シクロヘキサノール、グリシドール等)、エーテル、アセタール(エチルエーテル、ジクロロエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、シネオール、メチラール)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等)、エステル(ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−アミル、酢酸メチルシクロヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、ステアリン酸ブチル等、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等)、多価アルコールとその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル等)、脂肪酸及びフェノール(ギ酸、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、フェノール、クレゾール、o−クレゾール、キシレノール等)、窒素化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジアミルアミン、アニリン、モノメチルアニリン、o−トルイジン、o−クロロアニリン、ジクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル、ピリジン、α−ピコリン、2,4−ルチジン、キノリン、モルホリン等)、硫黄、リン、その他化合物(二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、4,4−ジエチル−1,2−ジチオラン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メタンチオール、プロパンスルトン、リン酸トリエチル、リン酸トフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、ホウ酸アミル等)、無機溶剤(液体アンモニア、シリコーンオイル等)、水等の液体を例示することができる。
【0092】
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物には、塗工装置に合わせて粘度調整のために、任意の比率で溶媒を添加することが可能である。本発明の組成物は、塗工性の観点から、1〜10,000mPa・sの粘度が好ましく、2〜5000mPa・sの粘度がより好ましく、3〜1,000mPa・sの粘度がさらに好ましい。このような粘度とするための溶媒の種類及び含有量は適宜決定できる。本発明において、粘度は、コーンプレート型回転粘度計で求めた値である。
【0093】
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の粒子、コアシェル型の発泡剤、塩、イオン性を有する液体、カップリング剤、安定剤、防腐剤、及び界面活性剤を含むことができる。
【0094】
[その他の粒子]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、更に、その他の粒子として、有機フィラー、炭素系フィラー及び無機フィラーからなる群より選択される1以上の粒子を含む事ができる。有機フィラー、炭素系フィラー及び無機フィラーは、構成面数が概略3以下であるか、13以上であるか、少なくとも2面角が70°以上180°未満の頂点を2以下有するか、アスペクト比が2を超えるか、概略球状の粒子である。
【0095】
有機フィラーの具体例として、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、ポリイミド等の高分子のうち三次元的に架橋して融点が無い高分子やセルロースの粒子やファイバー、フレークなどが挙げられる。有機フィラーは、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0096】
炭素系フィラーの具体例として、グラファイト、アセチレンブラック、及びカーボンナノチューブが挙げられる。炭素系フィラーは、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。炭素系フィラーは、絶縁性が損なわれない程度に添加できる粒子である。
【0097】
無機フィラーの具体例として、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ベリリア、酸化マグネシウム、チタニア、及び酸化鉄等の金属酸化物の粉末;コロイダルシリカやチタニアゾル、アルミナゾル等のゾル、タルク、カオリナイト、及びスメクタイト等の粘土鉱物;炭化ケイ素、及び炭化チタン等の炭化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及び窒化チタン等の窒化物;窒化ホウ素、ホウ化チタン、及び酸化ホウ素等のホウ化物;ムライト等の複合酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化鉄等の水酸化物;チタン酸バリウム、炭酸ストロンチウム、珪酸マグネシウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、及びガラス等が挙げられる。また、絶縁性が損なわれない程度に添加できる無機フィラーとして、コバルト酸リチウム、オリビン型リン酸鉄リチウムが挙げられる。無機フィラーは、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0098】
無機フィラーは、表面の活性水素基を活性化させるために、200℃程の高温で1時間ほど乾燥させたものが好ましい。活性水素基を活性化させることで、有機物粒子に対する密着性が向上し、機械的強度や耐熱性が向上し、電解質中のイオンを安定化することでイオン伝導性が向上する。
【0099】
無機フィラーは、粉体で使用しても良いし、シリカゾルやアルミゾルのような水分散コロイドの形やオルガノゾルのような有機溶媒に分散した状態で使用しても良い。これらは前記熱融着する有機物粒子に含有させても良いし、前記熱融着する有機物粒子の表面に密着した状態で用いても良いし、前記熱融着する有機物粒子とは独立した状態で加えても良い。
【0100】
その他の粒子の大きさは、0.001〜100μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.005〜10μmの範囲である。さらに、その他の粒子の多孔質体を用いることも空隙率を上げる観点で好ましく、具体的には、その他の粒子として、シリカゲルや多孔質アルミナ、各種ゼオライト等の無機フィラーを用いることも出来る。
【0101】
その他の粒子の表面は各種カップリング剤で修飾することができる。カップリング剤として、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤が挙げられる。
【0102】
シラン系カップリング剤としては、フッ素系のシランカップリング剤として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、臭素系のシランカップリン剤として、(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシプロピルトリエトキシシラン、オキセタン変性シランカップリング剤として、東亞合成株式会社製カップリング剤(商品名:TESOX)、あるいは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(市販品として、KBM−403(信越化学工業株式会社製))、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、シアノヒドリンシリルエーテル等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0103】
チタン系カップリング剤として、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート、チタニウムラクテートアンモニウム塩、テトラステアリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、イソプロピルトリオクタノルチタネート、イソプロピルジメタクリイソステアロイルチタネート、チタニウムラクテートエチルエステル、オクチレングリコールチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、トリイソステアリルイソプロピルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等を挙げることができる。
【0104】
カップリング剤として、チタン系カップリング剤、及び、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びシアノヒドリンシリルエーテルが好ましい。シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤は、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0105】
このようなカップリング剤は、電池電極表面やセパレーター表面と相互作用を起こすことで、密着力を向上させることが出来る。また、その他の粒子の表面をこれらカップリング剤で被覆することで、カップリング剤分子による排斥効果でその他の粒子の間に隙間が出来、その間をイオンが伝導することでイオン伝導性を向上させることも出来る。また、その他の粒子の表面の活性水素をシランカップリング剤で置換することで表面吸着水の量を減らすことが出来るため、非水系電池内に特性低下の原因になる水分の量を減らすことが出来る。また、その他の粒子は、表面をグラフト重合で形成された高分子鎖で被覆された粒子であるのが好ましい。高分子鎖は、好ましいものも含め、本発明の多面体粒子において説明したものが例示される。
【0106】
同様の効果は、デンドリマーを配合しても得る事が出来る。イオン伝導性の向上には、誘電率の高いシアノ基やイオンとの相互作用が強いポリオキシエチレン基等を有する構造を導入することが好ましい。チタン系のカップリング剤は等電点のpHが7以上の無機粒子に対してより好ましく適応でき、シランカプリング剤には等電点のpHが7未満の無機粒子に対してより好ましく適応できる。無機粒子の等電点のpHは、JIS R1638 「ファインセラミック粉末の等電点測定方法」で規定した方法で測定した数値を用いることが出来、シリカ(pH約1.8)、カオリン(pH約5.1)、ムライト(pH約6.3;ケイ素とアルミニウムの比率を変えることで、等電点のpHをコントロールできる)、チタニア(アナターゼ型)(pH約6.2)、酸化スズ(pH約6.9)、ベーマイト(pH約7.7)、γ−アルミナ(pH約7.9)、α−アルミナ(pH約9.1)、ベリリア(pH約10.1)、水酸化鉄;Fe(OH)
2(pH約12.0)、水酸化マンガン(pH約12.0)、水酸化マグネシウム(pH約12.4)等を例示する事が出来る。
【0107】
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、上述のその他の粒子を、空隙率や空隙の連続性を落とさない範囲で添加することができ、好ましくは多面体粒子100重量部に対して0〜90重量部含ませることができ、より好ましくは0〜50重量部含ませることができる。また、本発明の組成物において、絶縁性が損なわれない程度に添加できる炭素系フィラー及び無機フィラーの含有量は、多面体粒子100重量部に対して、0.01〜10重量部であるのが好ましく、0.1〜5重量部であるのがより好ましい。
【0108】
その他の粒子は、2種類以上を使用することができる。等電点のpHの差が大きい無機フィラーの組み合わせは、酸塩基相互作用が起きやすく、一方の活性水素が多くなるように配合した方が、もう一方の活性水素の活性が向上するので好ましい。具体的には、等電点のpHが小さいシリカと、等電点のpHが大きい無機フィラーである、γ−アルミナ、α−アルミナ、ベリリア、水酸化鉄、水酸化マンガン、水酸化マグネシウムとの組み合わせが好ましく、シリカとα−アルミナとの組み合わせ、又はシリカと水酸化マグネシウムとの組み合わせがより好ましい。Liイオン電池の場合、等電点のpHが小さいシリカの添加量は、前記等電点のpHが大きい無機フィラーに対して、0.1〜100重量%の範囲が好ましく、1〜10重量%の範囲がより好ましい。
【0109】
[コアシェル型の発泡剤]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、コアシェル型の発泡剤を含むことができる。このような発泡剤として、EXPANCEL(日本フィライト株式会社製)などを用いることが出来る。シェルは有機物であるから、電解液に対する長期信頼性が乏しい。そのため、このコアシェル型発泡剤を更に無機物で被覆したものを用いることもできる。このような無機物として、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ベリリア、酸化マグネシウム、チタニア、及び酸化鉄等の金属酸化物;コロイダルシリカやチタニアゾル、アルミナゾル等のゾル;シリカゲル、及び活性アルミナ等のゲル;ムライト等の複合酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の水酸化物:並びに、チタン酸バリウムを例示することが出来る。これらの無機物は、ゾルゲル反応や加熱により多面体粒子表面に被覆させることが出来る。また、無機物の被覆の前に、表面をクロメート処理やプラズマ処理、PVAやカルボキシメチルセルロース、澱粉などの水溶性高分子及びこれらに前述のポリカルボン酸を加えてエステル架橋させた配合物で表面処理することで密着性を上げることもできる。
【0110】
一定の温度になると軟化するシェルと、加熱による蒸発などによって体積が膨張する材料からなるコアを組み合わせたコアシェル型発泡剤を用いることで、電池が熱暴走した際に、発泡剤が発泡することで、電極間距離を広げることができ、これによりシャットダウン機能を発揮することができる。さらに、シェル部が大きく膨張することで、電極間距離を広げることができ、これによりショートなどを防ぐことができる。また、発熱が収まっても膨張したシェル部がその形状を維持するため、再び電極間が狭まり再度ショートすることを防ぐことも出来る。また、コアシェル型発泡剤を無機物で被覆することで、充放電時の電気分解の影響を低減でき、更に無機物表面の活性水素基がイオン伝導する際のカウンターイオンとなることで、イオン伝導性を効率よく高めることも出来る。
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、上記コアシェル型発泡剤を、多面体粒子及び結着剤の合計100重量部に対して、1〜99重量部含むのが好ましく、10〜98重量部含むのがより好ましく、20〜97重量部含むのがさらに好ましい。
【0111】
[塩]
本発明の電池電極又はセパレーター保護膜組成物は、各種イオン源となる塩を配合することができる。これによって、イオン伝導性を向上させる事が出来る。使用する電池の電解質を加えることも出来る。リチウムイオン電池の場合は、電解質として、水酸化リチウム、珪酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、及びトリフルオロメタンスルホン酸リチウム等を例示でき、ナトリウムイオン電池の場合は、水酸化ナトリウム、及び過塩素酸ナトリウム等を例示できる。カルシウムイオン電池の場合は、電解質として、水酸化カルシウム、及び過塩素酸カルシウム等を例示できる。マグネシウムイオン電池の場合は、電解質として、過塩素酸マグネシウム等を例示できる。電気二重層キャパシタの場合は、電解質として、四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、及びテトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等を例示できる。
【0112】
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、上記塩を、多面体粒子及び結着剤の合計100重量部に対して、0.1〜300重量部含むのが好ましく、0.5〜200重量部含むのがより好ましく、1〜100重量部含むのがさらに好ましい。上記塩は、粉体で添加したり、多孔質にして添加したり、配合成分に溶解させて用いても良い。
【0113】
[イオン性を有する液体]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、イオン性を有する液体を含むことができる。イオン性を有する液体は、前記塩が溶媒に溶解した溶液又はイオン性液体であり得る。塩が溶媒に溶解した溶液として、六フッ化リン酸リチウム、又はホウフッ化テトラエチルアンモニウム等の塩が、ジメチルカーボネート等の溶媒に溶解した溶液が例示できる。
【0114】
イオン性液体の例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド等のイミダゾリウム塩誘導体;3−メチル−1−プロピルピリジミウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド等のピリジニウム塩誘導体;テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルフォネート、テトラフェニルアンモニウムメタンスルフォネート等のアルキルアンモニウム誘導体;テトラブチルフォスフォニウムメタンスルフォネート等のホスホニウム塩誘導体;ポリアルキレングリコールと過塩素酸リチウムの複合体等の複合化導電性付与剤等を示すことができる。
【0115】
イオン性を有する液体の含有量は、多面体粒子100重量部に対して、0.01〜40重量部であるのが好ましく、0.1〜30重量部であるのがより好ましく、0.5〜5重量部であるのがさらに好ましい。
【0116】
[カップリング剤]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、さらに、カップリング剤を含むことができる。カップリング剤は、好ましいものを含め、先に例示したカップリング剤が例示できる。カップリング剤の含有量は、多面体粒子100重量部に対して、0.001〜10重量部含むのが好ましく、0.01〜5重量部含むのがより好ましい。
【0117】
[安定剤]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、安定剤を選択して含むことができる。このような安定剤としては、具体的には2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチル−フェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−アニリノ)−1,3,5−トリアジン等によって例示されるフェノール系酸化防止剤;アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等によって例示される芳香族アミン系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−tert−ブチル−フェニル]スルフィド、2−メルカプト−5−メチル−ベンゾイミダゾール等によって例示されるサルファイド系ヒドロペルオキシド分解剤;トリス(イソデシル)ホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスファートジエチルエステル、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファート等によって例示されるリン系ヒドロペルオキシド分解剤;フェニルサリチラート、4−tert−オクチルフェニルサリチラート等によって例示されるサリチレート系光安定剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等によって例示されるベンゾフェノン系光安定剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等によって例示されるベンゾトリアゾール系光安定剤;フェニル−4−ピペリジニルカルボナート、セバシン酸ビス−[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]等によって例示されるヒンダードアミン系光安定剤;[2,2’−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノラート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケル−(II)によって例示されるNi系光安定剤;シアノアクリレート系光安定剤;シュウ酸アニリド系光安定剤;フラーレン、水添フラーレン、水酸化フラーレン等のフラーレン系光安定剤等を挙げることができる。これらの安定剤は、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0118】
安定剤の含有量は、多面体粒子100重量部に対して、0.01〜10重量部であるのが好ましく、0.05〜5重量部であるのがより好ましく、0.1〜1重量部であるのがさらに好ましい。
【0119】
[防腐剤]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、さらに、防腐剤を含むことができ、これにより、該組成物の保存安定性を調節できる。
【0120】
防腐剤としては、安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸のような酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びソルビン酸カリウムのような塩、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、及び1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのようなイソチアゾリン系防腐剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びエチレングリコールなどのアルコール類、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン等が挙げられる。
【0121】
これらの防腐剤は、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することが出来る。
【0122】
防腐剤の含有量は、多面体粒子100重量部に対して、0.0001〜1重量部であるのが好ましく、0.0005〜0.5重量部であるのがより好ましい。
【0123】
[界面活性剤]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、組成物のぬれ性や消泡性を調節する目的で、さらに、界面活性剤を含むことができる。また、本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、さらにイオン伝導性を向上する目的で、イオン性の界面活性剤を含むことができる。
【0124】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤として、石ケン、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ペンタフルオロエタンスルホン酸塩、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸塩、及びノナフルオロブタンスルホン酸塩等が挙げられ、カウンターカチオンとしてはナトリウムイオンやリチウムイオン等を用いる事が出来る。リチウムイオン電池においてはリチウムイオンタイプの界面活性剤がより好ましく、ナトリウムイオン電池においてはナトリウムイオンタイプの界面活性剤がより好ましい。
【0125】
両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルキルベタイン、スルホベタイン、アミオキサイド等が挙げられる。
【0126】
非イオン(ノニオン)型界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル型化合物、ポリオキシソルビタンエステル等のエステル型化合物、アルキルフェノール型化合物、フッ素型化合物、シリコーン型化合物等が挙げられる。
【0127】
界面活性剤は、1種類、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0128】
界面活性剤の含有量は、多面体粒子100重量部に対して、0.01〜50重量部であるのが好ましく、0.05〜20重量部であるのがより好ましく、0.1〜10重量部であるのがさらに好ましい。
【0129】
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、電池電極又はセパレーターを保護するために用いられる。すなわち、本発明の組成物は、電池電極又はセパレーターの少なくとも表面に形成される保護多孔質膜のための組成物として用いられ、その一部が電池電極やセパレーター内部に入り込んでいても良い。
【0130】
[電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物の製造]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、上記成分を混合し撹拌することによって作製できる。なお、本発明の多面体粒子は溶媒に分散させた状態で混合してもよい。撹拌は、プロペラ式ミキサー、プラネタリーミキサー、ハイブリッドミキサー、ニーダー、乳化用ホモジナイザー、及び超音波ホモジナイザー等の撹拌装置を用いて行うことができる。また、必要に応じて加熱又は冷却しながら撹拌することもできる。
【0131】
[多面体粒子の製造]
本発明の多面体粒子の製造方法は、多面体粒子の原料粒子を粉砕する工程を含む。本発明の多面体粒子の製造方法により、鋭利な頂点を有する本発明の多面体粒子が得られる。
【0132】
多面体粒子の原料粒子の材質は、好ましいものを含み、前記した本発明の多面体粒子の材質が挙げられる。原料粒子の平均粒子径は特に限定されず、例えば、0.1〜1000μmとすることができる。
【0133】
原料粒子を粉砕する方法として、ビーズミル、ロールミル、ロッドミル、乳鉢、及びジェットミル等の公知の器機を用いた方法が挙げられる。例えばビーズミルを用いた粉砕の場合は、周速8〜15m/sで行うことが好ましく、周速9〜14m/sで行うことがより好ましい。周速が遅すぎると、粉砕できなかったり粉砕に時間が掛かったりする問題が生じ、早すぎると発熱の問題が生じる。またビーズは、ガラス、アルミナ、ジルコニア、ナイロン、鉄などのビーズを用いることができるが、中でも金属異物の混入の恐れが少なく比重が高いジルコニアが粉砕力の観点で好ましい。ビーズの充填量は60〜95%が好ましく、より好ましくは70〜90%の範囲である。ビーズの充填率は少なすぎると粉砕効率が悪く、多すぎると分散液が詰まり塗出量が少なくなる問題が生じる。
【0134】
原料粒子の粉砕は、原料粒子を溶媒に分散させた状態又は溶媒を用いない状態で行うことができる。原料粒子の粉砕は、原料粒子を溶媒に分散させた状態で行うこと、すなわち、溶媒及び多面体粒子の原料粒子を含む分散液を用いて行うのが好ましい。
【0135】
溶媒として、前述の溶媒が挙げられる。分散液における、多面体粒子の原料粒子の含有量は、所望の形状を有する粒子が得られる量であれば特に限定されず、10〜80重量%とすることができ、40〜60重量%であるのが好ましい。
【0136】
溶媒に分散させた状態で原料粒子を粉砕する場合は、粉砕は、分散溶媒の沸騰を抑えるために、溶媒の凝固点から沸点の間の温度で粉砕を行うことが好ましい。溶媒を用いないで状態で原料粒子を粉砕する場合は、原料粒子の融点以下の温度で粉砕を行うことが好ましい。
【0137】
よって、粉砕は、溶媒及び多面体粒子の原料粒子を含む分散液を用いて、溶媒の凝固点から沸点の間の温度で、周速8〜15m/sで行うことが好ましい。
【0138】
多面体粒子の微粉砕スラリーに含まれる粗大粒子は、フィルタリングで取り除くことができる。フィルタリングは、例えば、1〜10μmの大きさの目開きを有するメッシュに、微粉砕スラリーを通過させることにより行うことができる。
【0139】
溶媒及び多面体粒子の原料を含む分散液を用いて多面体粒子を粉砕することにより得られる多面体粒子の微粉砕スラリーを、フィルタリングした後、静置し、粒度の大きい沈殿物と粒度の小さい上澄み部を分離することが好ましい。これにより、粒度分布の幅が狭い粒子を製造できる。静置は、0.1〜15日とすることができ、1〜14日が好ましく、5〜10日がより好ましい。また、粒度の大きい沈殿物と粒度の小さい上澄み部を分離は、例えば、容積の1/5の上澄み層を除去した後、残り3/5を中間層として分取し、容器の底に残った1/5を沈降層として除去することにより行うことができる。また、粒度の小さい上澄み部のみを分離して、さらに溶媒を加えて攪拌し、粒度の大きい沈殿物と粒度の小さい上澄み部を分離することもできる。
【0140】
本発明の多面体粒子の製造方法において、製造時に混入する磁性異物を、磁石を用いて取り除くこともできる。すなわち、本発明の多面体粒子の製造方法は、粒度の大きい沈殿物と粒度の小さい上澄み部を分離した後、中間層から更に磁石で磁性異物を取り除く工程を含むことができる。
【0141】
さらに、本発明において、表面がグラフト重合で形成された高分子で被覆された多面体粒子の製造方法は、以下の工程:本発明の多面体粒子と、反応性置換基を有するカップリング剤を混合して、表面修飾された多面体粒子を得る工程、及び表面修飾された多面体粒子と、表面修飾された多面体粒子が有する反応性置換基と反応する重合性化合物とを混合して、グラフト重合により、表面がグラフト重合で形成された高分子で被覆された多面体粒子を得る工程を含む。
【0142】
表面修飾された多面体粒子を得る工程により、多面体粒子の表面には反応性置換基を有するシランカップリング剤が固定化される。表面修飾後表面に固定化された該反応性置換基を反応開始点にして前記グラフト重合が可能となる。なお、固定化とは、多面体粒子表面に化学的に結合した状態や物理的に吸着した状態を意味する。
【0143】
一端に反応性置換基を有するカップリング剤として、前記したシラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤が挙げられ、フッ素系のシランカップリング剤及び臭素系のシランカップリング剤が好ましく、(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0144】
一端に反応性置換基を有するカップリング剤の使用量は、多面体粒子の固形分100重量部に対して、0.1〜200重量部であるのが好ましく、1〜150重量部であるのがより好ましい。
【0145】
本発明において、表面修飾された多面体粒子を得る工程の後に、前述の溶媒を用いて多面体粒子を洗浄する工程を含むことができる。これにより、未反応のカップリング剤等の反応残渣を除去できる。多面体粒子を洗浄する工程において用いられる溶媒は、反応残渣を溶かしかつ表面修飾した高分子を引き剥がさないものであれば特に限定されず、使用する溶媒の量は反応残渣を除去できる量であれば特に限定されない。
【0146】
表面修飾された多面体粒子が有する反応性置換基と反応する重合性化合物として、前記した、(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル基、マレイミド基を有する化合物、エポキシ基、オキセタン環等のオキシラン環、ビニルエーテル、環状アセタールなどを有する化合物が挙げられ、表面修飾された多面体粒子が有する反応性置換基と反応し結合するものを選ぶことが出来る。このような組合せとして、例えば、反応性置換基が(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシ基である場合は、重合性化合物として、(メタ)アクリル基、アリル基、及びビニル基を有する化合物が挙げられる。重合性化合物の量は、所望のポリマーで被覆された多面体粒子が得られる量であれば特に限定されず、原料である多面体粒子100重量部に対して、100〜300重量部であることが好ましい。
【0147】
重合は、開始剤の存在下で行ってもよい。開始剤は、前記重合性化合物の種類に応じて用いることができる。このような開始剤として、前記した、潜在性の熱開始剤、光カチオン開始剤、及び熱カチオン開始剤が挙げられ、用いられる重合性化合物の種類に応じて用いることができる。これらの開始剤は、単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。開始剤の使用量は、前述した潜在性の熱開始剤、光カチオン開始剤、及び熱カチオン開始剤の含有量が例示できる。
【0148】
表面がグラフト重合で形成された高分子で被覆された多面体粒子を得る工程の後に、前記高分子で被覆された多面体粒子を洗浄する工程を含んでいてもよい。洗浄は、前述した溶媒を用いることができる。
【0149】
[電池電極又はセパレーター表面保護方法]
本発明の電池電極又はセパレーター表面保護方法は、電池電極又はセパレーター表面に、上記の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物の層を少なくとも1層以上形成し、前記溶媒を蒸散させることで空隙を有する保護多孔質膜を形成する工程を含む。本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜によって、電池電極又はセパレーターの表面は保護される。
【0150】
[電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の製造方法]
本発明は、前記電池電極又はセパレーター表面保護方法において、本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を用いて得られる保護多孔質膜にも関する。すなわち、本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を用いて得られる保護多孔質膜の製造方法は、結着剤が溶媒に溶解した状態である場合、電池電極又はセパレーター表面に、前記電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物のコート層を少なくとも1層以上形成する工程、及び溶媒を蒸散させる工程を含む。また、結着剤が溶媒に溶解しない固体の場合は、電池電極又はセパレーター表面に、前記電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物のコート層を少なくとも1層以上形成する工程、溶媒を蒸散させる工程、及び前記溶媒を蒸散させる温度条件で固体の結着剤が熱融着しない場合は前記固体の結着剤を加熱融着する工程を含む。
【0151】
[保護多孔質膜組成物のコート層の形成方法]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の製造方法において、電池電極やセパレーターに対する保護多孔質膜組成物のコート層の形成は、グラビアコーターやスリットダイコーター、スプレーコーター、ディッピングなどを利用することが出来る。コート層の厚さは0.01〜100μmの範囲が好ましく、電気特性及び密着性の観点から0.05〜50μmの範囲が更に好ましい。本発明において、コート層の乾燥厚み、つまり保護多孔質膜の厚みが、0.01〜100μmの範囲が好ましく、0.05〜50μmの範囲が更に好ましい。保護多孔質膜の厚みがあまり薄いと電子電導に対する絶縁性が悪くなり、ショートの危険性が増す。保護多孔質膜の厚みが厚すぎると抵抗が厚みに比例して上がるためイオン伝導に対する抵抗が高くなり、電池の充放電特性が低下する。
【0152】
[溶媒の蒸散方法]
溶媒は、加熱したり真空にしたりすることで蒸散させることが出来、加熱法としては熱風炉や赤外線ヒーター、ヒートロールなどを用いることができ、真空乾燥はチャンバー内に保護多孔質膜組成物の塗膜をいれ真空にすることで乾燥できる。また、昇華性がある溶媒を用いる場合、凍結乾燥させることで溶媒を蒸散させることも出来る。加熱法における加熱温度及び加熱時間は、溶媒が蒸散する温度及び時間であれば特に限定されず、例えば80〜120℃で、0.1時間〜2時間とすることができる。溶媒を蒸散させることにより、本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物の溶媒を除いた成分が、電池電極又はセパレーターと密着し、結着剤がホットメルト粒子の場合は熱融着することで本発明の保護多孔質膜が形成される。
【0153】
[加熱方法]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の製造方法において、結着剤を粒子状で使用する場合、結着剤同士を熱融着させて固化させることができる。その場合、粒子が完全に溶融する温度で熱融着させて固化させることも出来るし、有機物粒子の表面だけが熱溶解して溶着し相互に密着した状態で冷却することで粒子同士が点で密着し隙間が開いた状態で固化させることも出来る。前者の熱融着固化によれば、連続相になっている部分が多く、イオン伝導性や機械的強度及び耐熱性が高い。後者の熱融着固化によれば、連続相になっている部分が少ない分、融着した有機物粒子を通じたイオン伝導性や機械的強度及び耐熱性には劣るが、粒子間の空隙に電解液が含浸することでイオン伝導性を向上させることが出来る。また、後者はランダムに隙間が開いた構造になるため、デントライトが発生した場合、その直線的な成長を妨げることでショートを防ぐ効果を高めることも出来る。ホットメルトの際の加熱融着方法は、熱風やホットプレート、オーブン、赤外線、超音波融着など各種公知の方法を用いることが出来、加熱時にプレスすることで保護剤層の密度を高めることも出来る。また、冷却は自然冷却の他、冷却ガス、放熱板への押し付けなど各種公知の方法を用いることが出来る。また、結着剤が溶融する温度まで加熱する場合は、結着剤が溶融する温度で、0.1〜1000秒加熱することができる。
【0154】
[磁場及び/又は電場配向]
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の製造方法では、磁場及び/又は電場を用いて配合材料を配向させた状態で固化することができる。これにより、イオン伝導性や機械的強度及び耐熱性に異方性がある保護多孔質膜を形成できる。前述の高分子材料の場合、延伸することで磁化率及び/又は誘電率に異方性を与えることが出来るので、磁場及び/又は電場で配向させることが出来る。また、セルロース等の異方性がある繊維を用いることもできる。このような高分子を延伸して作製したファイバーや繊維を粉砕して粒子にし、長軸方向を電極面に垂直に立つように配向させることでイオン伝導性を向上させることが出来る。有機物結晶に付いては、結晶磁気及び/又は誘電率異方性があるものは磁場及び/又は電場で配向出来、前述の通りの効果を発揮させることが出来る。磁場及び/又は電場は静磁場及び/又は電場でも回転磁場及び/又は電場のような時間変動磁場及び/又は電場でも良く、磁場と電場は同時に印加しても良い。
【0155】
上記の工程を含む、本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の製造方法により、保護多孔質膜をその表面に有する電池電極又はセパレーターが得られる。なお、保護多孔質膜の少なくとも一部が、電池電極やセパレーター内部に入り込んで形成されていても良い。保護多孔質膜の空隙率は、40%以上であり、41〜90%であるのが好ましく、41〜80%であるのがより好ましい。
【0156】
[電極及び/又はセパレーター]
本発明は、上記電池電極又はセパレーター保護多孔質膜で保護されたか、上記電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の製造方法により製造した保護多孔質膜を有する電池電極及び/又はセパレーターに関する。
本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜で保護された電池電極又はセパレーターは、本発明の組成物を電池電極又はセパレーターにコートして、次いで溶媒を蒸散させることで製造できる。電池電極としては、公知の各種電池や電気二重層型キャパシタの正極及び/又は負極を例示でき、これらの少なくとも一面に電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を塗布又は含浸することができる。セパレーターとしては、ポリプロピレンやポリエチレン製の多孔質材料やセルロース製やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル製の不織布などを例示でき、これらの両面又は片面に塗布したり含浸させたり出来る。本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物は、対向するセパレーターや電極に密着させた状態で用いることができ、溶媒が蒸散しないうちにセパレーターと電極とを密着させてから乾燥させたり電池組み立て後にホットプレスを行ったりすることでこれら部材を密着させることも出来る。
【0157】
[電池]
本発明は、本発明の電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物で保護された電池電極及び/又はセパレーターを含む電池に関する。電池の製造は、公知の方法によって行うことができる。また、電池は電解液を保護多孔質膜組成物に含浸させてイオン伝導性を付与したり保護多孔質膜組成物自体にイオン伝導性を持たせ固体電解質膜として電池に組み込みこんだりすることも出来る。
【実施例】
【0158】
以下に実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。添加量の表示は、断りが無い場合は重量部又は重量%である。
【0159】
[試験例1]
多面体粒子の粒度分布、粒子の形状を以下の方法で測定した。
(測定試料作成)
多面体粒子を30mg/Lの濃度で水に分散させ、バッチセルに入れ、次いで装置組みつけの攪拌子で10分攪拌した。
(粒子径及び粒度分布の測定)
堀場製作所株式会社製;レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置Partica LA−950V2を用いて測定した。平均粒子径の1/5をA、平均粒子径の5倍をBとしたとき、A〜Bの範囲の粒子の体積比(%)を評価した。
(透過型電子顕微鏡観察)
上記水に分散させた多面体粒子を透過型顕微鏡用のコロジオン膜を張った銅グリッドの上に1滴たらし、10秒静置後ろ紙で余分な水を吸い取り、次いで室温で1日乾燥させ観察用試料を作製した。これを、透過型顕微鏡(日本電子株式会社製;JEM−2200FS)を用いて視野中に10〜20個の粒子が入る倍率で観察した(
図5)。場所を変えて5箇所同様に観察し、粒子50個の構成面数とアスペクト比の平均値を算出し、更に70°以上180°未満の2面角の数が3以上の粒子が50%以上存在するかの確認を行い、存在する場合○とした。
[試験例2]
後述する実施例及び比較例で製造したリチウムイオン二次電池について、下記の特性を測定した。
(初期容量測定)
初期容量を出すために0.01mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、次いで4.2Vの定電圧で2時間充電した。その後、0.01mAの定電流で電圧が3.5Vになるまで放電した。これを3回繰り返し、3回目の放電容量を初期容量とした。
(初期内部抵抗)
初期容量を測定したセルを4.2Vの電位にし、その電位をセンターに±15mVの電圧変化で1kHzのインピーダンスを測定した。
(レート特性)
初期容量から放電レートを求めて、放電レート別の放電容量を測定した。充電は毎回10時間かけて定電流で4.2Vまで電圧を上げた後、4.2V定電圧で2時間充電した。その後、10時間かけて定電流で3.5Vになるまで放電し、このときの放電容量を0.1Cの放電容量とした。次に同様に充電した後0.1Cで求めた放電容量から1時間で放電が完了する電流値で放電しそのときの放電容量を求め1Cのときの放電容量とした。同様に、3C、10C、30Cのときの放電用量を求め、0.1Cの時の放電容量を100%としたときの容量維持率を算出した。
(サイクル寿命)
1Cで4.2Vまで充電し、4.2Vの定電圧で2時間充電したあと1Cで3.5Vまで放電する充電及び放電試験を実施した。このとき、放電容量が最初の1回目の放電に対して何%になるかを計算し、容量が80%を下回ったときの充電及び放電回数を寿命とした。
(耐熱絶縁性試験)
1Cで4.2Vまで充電し、4.2Vの定電圧で2時間充電し満充電にした状態で、25℃から260℃まで1時間に10℃ずつ昇温させその後およそ25℃まで1時間に20℃ずつ冷却する試験を実施し、耐久試験後の抵抗を前記(初期内部抵抗)の測定法で確認した。評価基準は以下の通りであった。
1kHzのインピーダンスが
◎;10MΩ以上
○:100〜10MΩ
△:1〜100kΩ
×:1kΩ未満
(耐熱外観確認)
試験法は、前述の耐熱絶縁試験と同じで、試験後の電池を分解して内部の様子を確認した。評価基準は以下の通りであった。
◎:正極と負極のダイレクトタッチは無く絶縁状態が保たれており電池電極保護層は電極及び/又はセパレーターに密着していた
○:正極と負極のダイレクトタッチは無く絶縁状態が保たれているが電池電極保護層は一部浮きが見られるが剥離はしていない
△:脱離が進行し、正負極の一部がむき出しになっている
×:正負極がタッチしショートしている状態
[試験例3]
後述する実施例及び比較例で製造した多孔質膜に付いて、下記の特性を測定した。
(空隙率)
直径50mm、深さ20mmのアルミパンに、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を3g入れ、100℃×1時間乾燥させ皮膜を作製した。これを10mm角で切り取り、重量を測定した後、厚みをマイクロゲージで100点、幅と高さを20点測定し体積を求め、実測した重量と体積からかさ密度を求めた(かさ密度=重量/体積)。配合した材料の比重と組成比から真密度を計算で求め、見掛けの密度と真密度から空隙率を算出した(空隙率%=(1−かさ密度/真密度)×100)。
【0160】
[実施例1]
実施例1では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0161】
(電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物の製造)
(多面体粒子スラリー1の作製)
100Lポリプロピレン製タンクにイオン交換水50Lとα−石英粒子(株式会社龍森製;A−1)50kgを加え、12時間攪拌して50%分散液を作製した。これを冷却しながらベッセル容積20Lのビーズミル(0.5mmジルコニアビーズ80%充填、周速10m/s)を用いて1週間循環粉砕して微粉砕スラリーを作製した。微粉砕スラリーを目開き5μmのナイロンメッシュでフィルタリングし、更に2Tの電磁石で磁性異物を取り除き、工程で抜けた水を加えて多面体粒子を50%含むスラリーを作製し、粒度分布と粒子形状を測定した。
(組成物の配合)
前記スラリー50kgに水を20kg加え、更にポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)を1kg加え6時間攪拌して溶解させて、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、96.2重量%であった。
【0162】
(正極の製造)
冷却ジャケット付きの10Lプラネタリーミキサーに、PVdFの15%NMP溶液(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#1120)520部、コバルト酸リチウム(略称=LCO)(日本化学工業株式会社製;セルシードC−5H)1140部、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製;デンカブラックHS−100)120部、NMP5400部を加え液温が30℃を超えないように冷却しながら均一になるまで攪拌した。これを、圧延アルミ集電体(日本製箔株式会社製;幅300mm、厚さ20μm)に幅180mm、厚さ200μmで塗工し、130℃温風炉で30秒乾燥させた。これを線圧530kgf/cmでロールプレスした。プレス後の正極活物質層の厚みは22μmであった。
【0163】
(負極の製造)
冷却ジャケットつきの10Lプラネタリーミキサーに、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)の15%NMP溶液(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#9130)530部、グラファイト(日本黒鉛株式会社製;GR−15)1180部、NMP4100部を加え液温が30℃を超えないように冷却しながら均一になるまで攪拌した。これを、圧延銅箔集電体(日本製箔株式会社製;幅300mm、厚さ20μm)に幅180mm、厚さ200μmで塗工し、100℃温風炉で2分間乾燥させた。これを線圧360kgf/cmでロールプレスした。プレス後の負極活物質層の厚みは28μmであった。
【0164】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
前記負極に前記組成物を乾燥厚みが5μmになるようにグラビアコーターを用いて塗工し、100℃×60秒加熱し、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の厚みが5μmである、保護多孔質膜を有する負極を製造した。
【0165】
(リチウムイオン二次電池の製造)
正極及び保護多孔質膜でコートされた負極を短辺に10mmの幅で両端に活物質層が塗工されていない領域が含まれるように40mm×50mmでカットし、金属がむき出しになっている部分に正極はアルミのタブを、負極にニッケルのタブを抵抗溶接で接合した。セパレーター(セルガード株式会社製;#2400)を幅45mm、長さ120mmにカットし、3つに折り返してその間に正極及び負極が対向するように挟み込み、これを幅50mm長さ100mmのアルミラミネートセルを二つ折りにしたもので挟み、タブが当たる部分にシーラントを挟み込んだ上でシーラント部分とそれに直行する辺を熱ラミネートして袋状にした。これを100℃の真空オーブンに24時間入れて真空乾燥させ、次いでドライブローブボックス中で6フッ化リン酸リチウム/EC:DEC=1:1 1M電解液(キシダ化学株式会社製;LBG−96533)を注入し、真空含浸した後、余った電解液を扱き出し、真空シーラーで接合密封して、リチウムイオン二次電池を製造した。
【0166】
[実施例2]
実施例2では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0167】
(多面体粒子スラリー2の作製)
100Lポリプロピレン製タンクにイオン交換水50Lとα−石英粒子(株式会社龍森製;A−1)50kgを加え、12時間攪拌して50%分散液を作製した。これを冷却しながらベッセル容積20Lのビーズミル(0.3mmジルコニアビーズ80%充填、周速10m/s)を用いて1週間循環粉砕して微粉砕スラリーを作製した。前記微粉砕スラリーを目開き5μmのナイロンメッシュでフィルタリングし、100Lポリプロピレン製タンク内に溜めて1週間静置した後、容積の1/5の上澄み層をポンプで除去した後、残り3/5を中間層としてポンプで分取して100Lのポリプロピレン製タンクに溜め、容器の底に残った1/5を沈降層として除去した。分取した3/5に付いては、工程で抜けた水を加えて50%分散液にした後、50Lのポリプロピレン製のタンクに溜め更に1週間静置した後、同様に上澄み層と沈降層とを除去した。この中間層を分取する操作をポリプロピレン製のタンクの容量を20Lに変えて後3回繰り返した後、最終的に分取した中間層から更に2Tの電磁石で磁性異物を取り除き、工程で抜けた水を加えて多面体粒子を50%含むスラリーを作製し、粒度分布と粒子形状を測定した。
(組成物の配合)
10Lポリプロピレン容器に前記スラリー3kgと水1.2kgを加え、更にポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)0.06kgを加え6時間攪拌して溶解させて、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は96.2重量%であった。
【0168】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0169】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0170】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0171】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例3]
実施例3では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0172】
(組成物の配合)
10Lポリプロピレン製容器に、前記多面体粒子スラリー2を3kgと水1.2kgを加え、更にエチレン・酢酸ビニル共重合エマルジョン(株式会社クラレ製;パンフレックスOM−4000NT)を0.11kg加え6時間攪拌して溶解させて、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、96.5重量%であった。
【0173】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0174】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0175】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0176】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例4]
実施例4では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0177】
(組成物の配合)
10Lポリプロピレン製容器に、前記多面体粒子スラリー2を3kgと水を1.2kg加え、更にエチレン・酢酸ビニル共重合エマルジョン(株式会社クラレ製;パンフレックスOM−4000NT)0.1kgを加え6時間攪拌して溶解させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸リチウムの55%水溶液を0.01kg加え更に2時間攪拌して、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、96.8重量%であった。
【0178】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0179】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0180】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0181】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例5]
実施例5では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0182】
(多面体粒子スラリー3の作製)
100Lポリプロピレン製タンクにN−メチルピロリドン50Lとα−石英粒子(株式会社龍森製;A−1)50kgを加え、12時間攪拌して50%分散液を作製した。これを冷却しながらベッセル容積20Lのビーズミル(0.3mmジルコニアビーズ80%充填、周速10m/s)を用いて1週間循環粉砕して微粉砕スラリーを作製した。前記微粉砕スラリーを目開き5μmのナイロンメッシュでフィルタリングし、100Lポリプロピレン製タンク内に溜めて2週間静置した後、容積の1/5の上澄み層をポンプで除去した後、残り3/5を中間層としてポンプで分取して100Lのポリプロピレン製タンクに溜め、容器の底に残った1/5を沈降層として除去した。分取した3/5に付いては、工程で抜けたNMPを足して50%にした後50Lのポリプロピレン製のタンクに溜め更に2週間静置した後、同様に上澄み層と沈降層とを除去した。この中間層を分取する操作をポリプロピレン製のタンクの容量を20Lに変えて後3回繰り返した後、最終的に分取した中間層から更に2Tの電磁石で磁性異物を取り除き、工程で抜けたN−メチルピロリドンを加えて多面体粒子を50%含むスラリーを作製し、粒度分布と粒子形状を測定した。
(組成物の配合)
前記スラリー3kgにN−メチルピロリドンを1.2kg加え、更にポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#1120)0.05kgを加え6時間攪拌して溶解させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸リチウムの55%イソプロピルアルコール溶液を0.01kg加え更に2時間攪拌して、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、96.8重量%であった。
【0183】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0184】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0185】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0186】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例6]
実施例6では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0187】
(多面体粒子スラリー4の作製)
100Lポリプロピレン製タンクにエタノール50Lとα−石英粒子(株式会社龍森製;A−1)50kgを加え、12時間攪拌して50%分散液を作製した。これを冷却しながらベッセル容積20Lのビーズミル(0.3mmジルコニアビーズ80%充填、周速10m/s)を用いて1週間循環粉砕して微粉砕スラリーを作製した。前記微粉砕スラリーを目開き5μmのナイロンメッシュでフィルタリングし、100Lポリプロピレン製タンク内に溜めて4日間静置した後、容積の1/5の上澄み層をポンプで除去した後、残り3/5を中間層としてポンプで分取して100Lのポリプロピレン製タンクに溜め、容器の底に残った1/5を沈降層として除去した。分取した3/5に付いては工程で抜けたエタノールを足して50%にした後、50Lのポリプロピレン製のタンクに溜め更に4日間静置した後、同様に上澄み層と沈降層とを除去した。この中間層を分取する操作をポリプロピレン製のタンクの容量を20Lに変えて後3回繰り返した後、最終的に分取した中間層から更に2Tの電磁石で磁性異物を取り除き、工程で抜けたエタノールを加えて多面体粒子を50%含むスラリーを作製し、粒度分布と粒子形状を測定した。
(組成物の配合)
前記スラリー3kgにエタノールを1.2kg加え、更にオキセタニルシルセスキオキサン(東亞合成株式会社製;OX−SQ ME−20)0.06kgを加え1時間攪拌して溶解させ、次いで、アルミニウムイソプロポキシド0.0001gを加え1時間攪拌して溶解させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸リチウムの55%イソプロピルアルコール溶液0.01kgを加え更に2時間攪拌して、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、96.2重量%であった。
【0188】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0189】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0190】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0191】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例7]
実施例7では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する電極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0192】
(多面体粒子スラリー5の作製)
100Lポリプロピレン製タンクにイオン交換水50Lとコランダム(昭和電工株式会社製;A−50−F)100kgを加え、12時間攪拌して67%分散液を作製した。これを冷却しながらベッセル容積20Lのビーズミル(0.3mmジルコニアビーズ80%充填、周速10m/s)を用いて1週間循環粉砕して微粉砕スラリーを作製した。前記微粉砕スラリーを目開き5μmのナイロンメッシュでフィルタリングし、100Lポリプロピレン製タンク内に溜めて2日間静置した後、容積の1/5の上澄み層をポンプで除去した後、残り3/5を中間層としてポンプで分取して100Lのポリプロピレン製タンクに溜め、容器の底に残った1/5を沈降層として除去した。分取した3/5に付いては抜けた水を足して67%にした後、50Lのポリプロピレン製のタンクに溜め更に2日間静置した後、同様に上澄み層と沈降層とを除去した。この中間層を分取する操作をポリプロピレン製のタンクの容量を20Lに変えて後3回繰り返した後、最終的に分取した中間層から更に2Tの電磁石で磁性異物を取り除き、工程で抜けたイオン交換水を加えて多面体粒子を67%含むスラリーを作製し、粒度分布と粒子形状を測定した。
(組成物の配合)
前記スラリー3kgに水1kgを加え、更にポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)0.03kg加え6時間攪拌して溶解させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸リチウムの55%水溶液0.01kgを加え更に2時間攪拌して、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、98.5重量%であった。
【0193】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0194】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0195】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0196】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例8]
実施例8では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
(組成物の配合)
10Lポリプロピレン製容器に前記多面体粒子スラリー2を2kg入れ、そこに攪拌しながら1%水酸化リチウム水溶液を100g入れ2時間攪拌し、次いで前記多面体スラリー5を1kgと水1kgを入れ2時間攪拌した後、更にポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)0.04kg加え6時間攪拌して溶解させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸リチウムの55%水溶液0.012kgを加え更に2時間攪拌して、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、97.7重量%であった。
【0197】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0198】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0199】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0200】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例9]
実施例9では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
(多面体粒子スラリー6の作製)
100Lポリプロピレン製タンクに水50LとLCO(日本化学工業株式会社製;セルシードC−5H)10kgを加え、2時間攪拌して17%分散液を作製した。これを冷却しながらベッセル容積20Lのビーズミル(0.3mmジルコニアビーズ80%充填、周速10m/s)を用いて1週間循環粉砕して微粉砕スラリーを作製した。前記微粉砕スラリーを目開き5μmのナイロンメッシュでフィルタリングし、100Lポリプロピレン製タンク内に溜めて2週間静置した後、容積の4/5の上澄み層をポンプで除去した。残り1/5に水を加え17%に調整し2時間攪拌した後4日間静置した後、ポンプで容積の1/5を取り除き、残りの3/5を分取し、残り1/5の沈降層は除去した。分取した3/5に付いては、工程で抜けた水を足して17%に調整した。この3/5の容積の中間層を分取する操作をポリプロピレン製のタンクの容量を20Lに変えて後3回繰り返した後、最終的に分取した中間層から更に2Tの電磁石で磁性異物を取り除き、工程で抜けた水を加えて多面体粒子を17%含むスラリーを作製し、粒度分布と粒子形状を測定した。
(組成物の配合)
10Lポリプロピレン製容器に前記多面体粒子スラリー5を3kg入れ、次いで前記多面体スラリー6を0.3kgと水1kgとイソプロピルアルコール0.1kgを入れ2時間攪拌した後、更にポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)0.04kg加え6時間攪拌して溶解させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸リチウムの55%水溶液0.012kgを加え更に2時間攪拌して、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、97.8重量%であった。
【0201】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0202】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0203】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0204】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例10]
実施例10では、溶媒と結着剤と表面をグラフト重合で高分子を被覆した多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する負極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
(多面体粒子スラリー7の作製)
5Lのポリプロピレン製容器に、250gのアンモニウム水溶液(28%)とエタノール4Lを加え1時間攪拌した。そこに、多面体スラリー4を0.35kgゆっくり5時間かけて滴下した。これを投げ込み式超音波発生装置で超音波分散を1分間実施した後、1時間沈降しないようにゆっくり攪拌した。そこに、(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシプロピルトリエトキシシランの10%エタノール溶液を0.25Lゆっくり5時間かけて滴下した。これを投げ込み式超音波発生装置で超音波分散1分間実施した後、12時間沈降しないようにゆっくり攪拌した。その後、攪拌を止めて1週間静置し、上澄みをポンプで除去した。沈殿物にエタノールを1L加え1時間ゆっくり攪拌した後1週間静置し、上澄みをポンプで除去した。この洗浄操作を5回繰り返した後、得られた白色の沈殿物にアセトニトリルを1L加え1時間ゆっくり攪拌した後1週間静置し、上澄みをポンプで除去した。この溶媒置換操作を5回繰り返し、最後にアセトニトリルを加え多面体粒子がアセトニトリルに5%分散したスラリーを作製した。1Lの三口フラスコをアルゴン置換した後、前記スラリー740gとエチル2−ブロモイソブチレート1gとビピリジン0.3gと2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアミニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンアニオン250gを加え、攪拌しながらドライアルゴンで60分間バブリングし水分量を1ppm以下まで下げ分散液を作製した。酸素濃度1ppm以下、露点−90℃以下のドライグローブボックス中設置した1Lビーカーに塩化銅(I)0.72gと塩化銅(II)0.42gを入れそこへ前記分散液を全量5分かけてゆっくりと攪拌しながら滴下し、更に液温を70℃にして25h攪拌し2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアミニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンアニオンをシリカ表面の(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシプロピルトリエトキシシランを起点にリビングラジカル重合させた。これを3000G×10分遠心分離した後、沈殿物をアセトニトリルで10%になるように希釈し10分ゆっくりと攪拌した後、再び3000G×10分遠心分離した。この洗浄操作を、溶媒をエタノールに変えて5回繰り返し、最後に200G×1遠心分離し、上澄みをデカンテーションで取り除き、表面をグラフト重合で保護した85%多面体粒子スラリーを得た。
(組成物の配合)
10Lポリプロピレン製容器に前記多面体粒子スラリー7を3kgと水1kgとイソプロピルアルコール0.1kgを入れ2時間攪拌した後、更にポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)0.04kg加え6時間攪拌して溶解させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸リチウムの55%水溶液0.012kgを加え更に2時間攪拌して、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を得た。なお、組成物において、溶媒を除いた成分のうち多面体粒子の含有量は、98.2重量%であった。
【0205】
(正極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0206】
(負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0207】
(保護多孔質膜を有する負極の製造)
実施例1の方法で製造した。
【0208】
(リチウムイオン二次電池の製造)
実施例1の方法で製造した。
[実施例11]
実施例11では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を正極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する正極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
(正極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0209】
(負極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0210】
(保護多孔質膜を有する正極の製造)
実施例1の方法で作製した正極に実施例2で得られる電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を乾燥厚みが5μmになるようにグラビアコーターを用いて塗工し、100℃×60秒加熱し、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の厚みが5μmである、保護多孔質膜を有する正極を製造した。
【0211】
(リチウムイオン二次電池の製造)
上記正極を用いたこと以外は、実施例1の方法で作製した。
[実施例12]
実施例12では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物をセパレーターにコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有するセパレーターを用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
(正極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0212】
(負極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0213】
(保護多孔質膜を有するセパレーターの製造)
セパレーター(セルガード株式会社製;#2400)に、実施例2で得られる電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を乾燥厚みが5μmになるようにグラビアコーターを用いて塗工し、60℃×120秒加熱し、電池電極又はセパレーター保護多孔質膜の厚みが5μmである、保護多孔質膜を有するセパレーターを製造した。
【0214】
(リチウムイオン二次電池の製造)
上記セパレーターを用いたこと以外は、実施例1の方法で作製した。
[実施例13]
実施例13では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を正極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する正極を用い、セパレーターを用いずにリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
(正極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0215】
(負極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0216】
(保護多孔質膜を有する正極の製造)
実施例11の方法で作製した。
【0217】
(リチウムイオン二次電池の製造)
上記正極を用い、セパレーターを用いないこと以外は、実施例1の方法で作製した。
[実施例14]
実施例14では、溶媒と結着剤と多面体粒子から成る電池電極又はセパレーター保護多孔質膜組成物を正極と負極にコートして、溶媒を蒸散させることにより得られる保護多孔質膜を有する電極を用い、セパレーターを用いずにリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
(正極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0218】
(負極の製造)
実施例1の方法で作製した。
【0219】
(保護多孔質膜を有する正極と負極の製造)
正極は実施例11の方法で作製した。負極は実施例7の方法で作製した。
【0220】
(リチウムイオン二次電池の製造)
上記正極と負極を用い、セパレーターを用いないこと以外は、実施例1の方法で作製した。
[比較例1]
電池電極又はセパレーター保護多孔質膜を有さない電極及びセパレーターを用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、リチウムイオン二次電池を製造した。
【0221】
[比較例2]
多面体粒子の代わりに球状シリカ(アドマテックス株式会社製;アドマファインSO−C1)を用いたこと以外は実施例2と同じ方法で、リチウムイオン二次電池を製造した。
[比較例3]
多面体粒子の代わりに樹状アルミナ(住友化学株式会社製;AKP−3000)を用いたこと以外は実施例7と同じ方法で、リチウムイオン二次電池を製造した。
[比較例4]
ビーズミル分散を実施しなかったこと以外は比較例3と同じ方法でリチウムイオン二次電池を製造した。
【0222】
【表1】