(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872444
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】圧力検知装置
(51)【国際特許分類】
G01L 7/06 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
G01L7/06
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-270774(P2012-270774)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2013-234986(P2013-234986A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年1月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-104935(P2012-104935)
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592123853
【氏名又は名称】株式会社昭和螺旋管製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓司
(72)【発明者】
【氏名】石井 希依
(72)【発明者】
【氏名】橋本 憲明
(72)【発明者】
【氏名】木ノ切 恭治
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5517642(JP,B2)
【文献】
特許第3548546(JP,B2)
【文献】
特許第3526568(JP,B2)
【文献】
特許第3526572(JP,B2)
【文献】
特開昭51−27376(JP,A)
【文献】
実開昭53−108646(JP,U)
【文献】
特公昭64−3497(JP,B2)
【文献】
特開平9−49778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知体内の圧力を検知する圧力検知装置であって、
一端側が封止され、他端側が前記被検知体に接続された筒状のベローズ部材と、前記ベローズ部材を収容する筒状のハウジングと、前記ベローズ部材の内部に配置された伸縮補強機構とを備え、
前記ベローズ部材の周面は、前記ハウジングの軸方向に伸縮するベローズであり、
前記ハウジングの周面には、前記ベローズ部材の周面が視認可能な窓部が形成され、
前記伸縮補強機構は、前記ベローズ部材を伸長方向に付勢するバネを有し、
前記ベローズ部材の周面には、前記窓部で観察可能な領域に、目視可能な標識が設けられていることを特徴とする圧力検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力検知装置であって、
前記バネは、螺旋状のバネであり、
前記伸縮補強機構は、前記バネの内側に配置された伸縮自在なパイプを有していることを特徴とする圧力検知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力検知装置であって、
前記パイプは、前記バネの一端と当接する第1鍔部を有する第1パイプ部材と、前記バネの他端と当接する第2鍔部を有し、前記第1パイプ部材に対して軸方向で相対的に移動可能な第2パイプ部材とで構成されていることを特徴とする圧力検知装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧力検知装置であって、
前記窓部は、前記ハウジングの軸方向に沿って幅が徐々に狭くなっていることを特徴とする圧力検知装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の圧力検知装置であって、
前記標識は、着色部と、前記ハウジングの軸方向で前記着色部に隣接するように設けられた非着色部とを有していることを特徴とする圧力検知装置。
【請求項6】
被検知体内の圧力を検知する圧力検知装置であって、
一端側が封止され、他端側が前記被検知体に接続された筒状のベローズ部材と、前記ベローズ部材を収容する筒状のハウジングとを備え、
前記ベローズ部材の周面は、前記ハウジングの軸方向に伸縮するベローズであり、
前記ハウジングの周面には、前記ベローズ部材の周面が視認可能な窓部が形成され、
前記ベローズ部材の周面には、前記窓部で観察可能な領域に、目視可能な標識が設けられ、
前記窓部は、前記ハウジングの軸方向に沿って幅が徐々に狭くなっていることを特徴とする圧力検知装置。
【請求項7】
請求項6に記載の圧力検知装置であって、
前記標識は、着色部と、前記ハウジングの軸方向で前記着色部に隣接するように設けられた非着色部とを有していることを特徴とする圧力検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、真空ポンプなどの被検知体
内の圧力
を検出する圧
力検知装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気体や液体などを扱う被検知体の圧力状態を検知する手段として、真空計や圧力計などの圧力測定手段が知られている。例えば、
図12に示すように、被検知体Xである真空ポンプの測定として、この被検知体Xに検知体10である真空計を取り付け、そのポンプの状態を検知すると共に、その評価・分析を行い、しかるべき操作を行うようにしている。検出された圧力の状態を知るためには、ギヤーなどを使った複雑な圧力調整機構や目盛などの表示手段や記録手段などが必要であるため、この圧力の検出及び検知は低コストにはできなかった。
【0003】
このような圧力測定手段の一つとして機械式圧力計があり、機械式圧力計は、圧力の変化に応じて変形する金属部品を用い、この金属部品の変形の度合いを目盛などの表示手段に接続し、変換器などを介して読み取るものであり、ブルドン管式圧力手段、ダイヤフラム式圧力手段、カプセル式圧力手段、ベローズ式圧力手段などが知られている。このベローズ式圧力手段は、ベローズの圧力変形によって指針を動かし、その指針によって圧力を測定するものであり、次のような先行技術文献がある
【先行技術文献】
【0004】
すなわち、特許文献1には、ベローズ部材を使用したリザーブタンクが開示されており、このリザーブタンクのベローズ部材が撓みに応じて1軸方向に変形し、このベローズ部材の変化量を圧力検出手段が計測するようにした探触子が開示されている(段落[0019]、[0022]、
図4など参照)。
【0005】
また、特許文献2には、検出部内の圧力を検出するベローズが電気機器内の圧力が上昇した場合には収縮し、圧力が低下した場合には伸長し、そのベローズの動きに連動する指示棒が上下自在に移動することによりその先端の標識部の位置が圧力目盛を指し示し、これによりガスの圧力を読み取り視認する技術が開示されている(段落[0012]、[0013]
図1など参照)。なお、この特許文献2には、ベローズは2重構造にするなどの技術が示されている(段落[0018]、
図2など参照)。
【0006】
また、特許文献3には、容器内のガス圧力の変化に基づいたベローズの変位を外部から覗き窓(ガラス板)を通して目視し、そのベローズの下端位置が正常レベルにあるか異常レベルにあるかで、容器内に封入したSF
6ガスなどの絶縁性ガスが漏れているか否かを判断するガス絶縁機器が開示されている(.段落[0021]、
図1及び
図2など参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2011−155347号
【特許文献2】特開平11−108781号
【特許文献3】特開2000−114055号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来のベローズ式圧力手段は、単にベローズが圧力で変形することを利用するだけのものであって、如何にベローズの伸縮動作を安定的なものとして確保するかの配慮に欠けていた。すなわち、減圧下で使用されるこれら機器の減圧レベルを、無電源で検出するのではなく、かつベローズによるON/OFF動作をアナログ的に検出するものではなく、さらにその検出結果を目視により容易に視認することができるものではなかった。そのために、目盛などを用いた表示手段などの複雑な機構となり、部品点数も多くなり高価なインジケーターとなっていたため、低コスト化や小体積化に不向きで簡易な真空計や圧力計などのベローズ式圧力手段ではなかった。
【0009】
また、ベローズの伸縮量が圧力の変化と直線関係なるような配慮に欠けており、特にゴムあるいは樹脂などの可撓性部材によってベローズを構成した場合には、繰り返し行われる伸縮動作でベローズ自体が時間の経過とともに伸びきってしまい、減圧と同時に全圧縮(密着)してしまう恐れがあった。換言すれば、圧縮回数の増加とともに自由面間が短くなり、大気解放時にベローズが元の長さに戻らないという事態が生じる恐れがあり、高精度で長寿命化を図ることができなかった。
【0010】
本願出願人は、このような要請に応えるべく鋭意研究を行ったものであり、この結果、低コスト化や小体積化に対応でき、簡易な真空計や圧力計などのベローズ式圧力手段とすることが可能なこの発明の完成をみたものである。
【0011】
この発明は、以上のような観点からなされたもので、真空ポンプなどの被検知体
内の圧
力をアナログ的
に無電源で検出し、か
つ容易に
検出した圧力の値を視認することができる
圧力検知装
置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の圧力検知装置は、被検知体内の圧力を検知する圧力検知装置であって、一端側が封止され、他端側が被検知体に接続された筒状のベローズ部材と、ベローズ部材を収容する筒状のハウジングと、ベローズ部材の内部に配置された伸縮補強機構とを備え、ベローズ部材の周面は、ハウジングの軸方向に伸縮するベローズであり、ハウジングの周面には、ベローズ部材の周面が視認可能な窓部が形成され、伸縮補強機構は、ベローズ部材を伸長方向に付勢するバネを有
し、ベローズ部材の周面には、窓部で観察可能な領域に、目視可能な標識が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の圧力検知装置においては、バネは、螺旋状のバネであり、伸縮補強機構は、バネの内側に配置された伸縮自在なパイプを有していることが好ましい。
また、本発明の圧力検知装置においては、パイプは、バネの一端と当接する第1鍔部を有する第1パイプ部材と、バネの他端と当接する第2鍔部を有し、第1パイプ部材に対して軸方向で相対的に移動可能な第2パイプ部材とで構成されていることが好ましい。
また、本発明の圧力検知装置においては、窓部は、ハウジングの軸方向に沿って幅が徐々に狭くなっていることが好ましい。
また、本発明の圧力検知装置においては、
標識は、着色部と、ハウジングの軸方向で着色部に隣接するように設けられた非着色部とを有していることが好ましい。
【0013】
また、上記の目的を達成するために、本発明の圧力検知装置は、被検知体内の圧力を検知する圧力検知装置であって、一端側が封止され、他端側が被検知体に接続された筒状のベローズ部材と、ベローズ部材を収容する筒状のハウジングとを備え、ベローズ部材の周面は、ハウジングの軸方向に伸縮するベローズであり、ハウジングの周面には、ベローズ部材の周面が視認可能な窓部が形成され、
ベローズ部材の周面には、窓部で観察可能な領域に、目視可能な標識が設けられ、窓部は、ハウジングの軸方向に沿って幅が徐々に狭くなっていることを特徴とする。
また、本発明の圧力検知装置においては、
標識は、着色部と、ハウジングの軸方向で着色部に隣接するように設けられた非着色部とを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ベローズの伸縮量が圧力の変化と直線関係となるのを前提に、これをアナログ的に検出することができ、電源を用いずに無電源で検出することができると共に、表示手段はベローズの伸縮に伴って監視窓より目視され視認されることとなり、目盛などを用いない複雑な機構とせず、部品点数も少なく、圧力の状況が一目でわかる真空インジケーターとした
圧力検知装
置を提供することができる。
【0015】
また、樹脂ベローズに伸縮補強機構を備える場合には、より一層ベローズの伸縮動作に応動し協働させることができ、ベローズの伸縮量が圧力の変化と直線関係となるリニア性を向上させることができる
圧力検知装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明に係るベローズによる圧力の検知装置を示す外観図である。
【
図3】
図1の主要な内部構造を示す縦断面図である。
【
図4】
図1におけるベローズの伸縮動作を示す縦断面図である。
【
図5】この発明に係る監視窓より視認した場合を示すベローズの説明図である。
【
図6】
図1の内部構造の一例を説明する縦断面図である。
【
図7】この発明に係る第2の実施例を示す外観図である。
【
図9】
図8における伸縮補強機構の金属製バネ体と金属製または樹脂製のパイプとを示す斜視図である。
【
図10】
図7における表示手段の1例を示す説明図である。
【
図11】
図8における圧縮量と圧力との比例関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
なお、第1の実施例は、本発明の参考例であり、第2の実施例が、本発明の実施例である。図1乃至
図6は、この発明の第1の実施例である。検知体10は、
図12に示したように真空ポンプなどの被検知体Xに接続されるもので、
図1に示すようにキャップ体11とハウジング12とが一体となるように構成されており、ハウジング12の内部には伸縮自在なベローズ14を有すると共に、表示手段16の監視窓13を介してベローズ14を目視可能とする。
【0018】
図2は
図1の分解斜視図を示すが、
図3に示すようにキャップ体11は、中空状の筒体よりなるもので、その先端側((図中左側))の外周にはネジ部11bが設けられ、その中央部には中空状の通路11cが設けられている。また、ハウジング12は中空状の筒体よりなるもので、一方側(図中右側)は閉じられた底面である有底部12aとされ、この内部には軸線方向に伸縮可能なベローズ14が配置され、キャップ体11の中空状の通路11cを介して被検知体X(
図3においては図示略)と検知体10とは互いに連動し互いの圧力状態が計測される。
【0019】
さらに、ハウジング12の周囲の所望箇所には、表示手段16を構成する1または複数の監視窓13が開口されている。この表示手段16は、監視窓13を介してハウジング12内のベローズ14の伸縮状態を目視させるもので、ベローズ14の伸縮に伴って移動する非着色部16aあるいは着色部16bの目視を可能とする
(図5(a)(b)参照)。なお、15はベローズ14の有底部12a側に設けられた凹状のカバー部であり、ベローズ14の一方側(図中右側)を挿嵌するように配置されており、このカバー部15によりベローズ14の一方側はより確実に支持される。
【0020】
例えば、
図4(a)に示すように、検知体10が大気圧下にある場合には、検知体10内のベローズ14は軸線方向に対して伸長にある。このとき、監視窓13より視認されるベローズ14は、非着色部16a(通常のベローズの色)として目視され、被検知体X及び検知体10は大気圧下である状態、すなわちOFF状態と認識されるので、この伸長状態(OFF状態)が監視窓13を通じて目視により視認される。
【0021】
また、
図4(b)に示すように、検知体10が大気圧下から減圧下に入った場合には、検知体10内のベローズ14は軸線方向に対し減圧状態に応じて順次縮長される。このとき、監視窓13より視認されるベローズ14は、着色部16b(図中右側部分のベローズの着色部分)として目視され、被検知体X及び検知体10は減圧下にある状態、すなわちON状態と認識されるので、この縮長状態(ON状態)が監視窓13を通じて目視により視認される。
【0022】
なお、表示手段16における非着色部16aあるいは着色部16bは、目視可能に視認できるものであれば、これに限定されず適宜設計変更可能である。また、表示手段16を複数設けた場合には、360度のあらゆる角度から視認することができるし、この表示手段16に拡大機能を設け一目で圧力状態をより把握させるようにすることもでき種々の設計変更が可能である。
【0023】
このように、この実施例は、真空ポンプなどの被検知体Xに接続された検知体10の圧力状態を、ベローズ14の伸縮量が圧力の変化と直線関係となるのを前提に、これをアナログ的に検出すると共に、電源を用いずに無電源で検出し、かつシンプルな表示手段として目視可能に容易に視認する。表示手段16は、従来のような目盛などの複雑な表示手段を使わないインジケ−タとされ、監視窓13を通じて色調の差異などを伴って目視により容易に視認されることとなる。
【0024】
なお、検知体10のより詳細な内部構造や表示手段の1例を、
図6に示す。すなわち、キャップ体11の内部構造は、基部11a、ネジ部11b、通路11cよりなり、基部11aの内周壁面には段部11d、第1凹部11e、第2凹部11f、第3凹部11g、雌ねじ受承凹部11hなどが設けられている。また、キャップ体11の内部に挿入されるベローズ14の先筒部14aは、キャップ体11の段部11dに挿入される0リング17、キャップ体11の第1凹部11eに嵌め込まれる膨出部14b、続くキャップ体11の第2凹部11fにパッキン18を嵌め込んで接する部分、キャップ体11の第3凹部11g、雌ねじ受承凹部11hに接合する雄ねじ部14cが設けられている。
【0025】
一方、ハウジング12の構造は、一方側(図中右側)の端面を閉じられた底面とする有底部12a、他方側(図中左側)の端面を解放された開口部12b、周方向を囲繞する側壁部12c、側壁部12cの所望箇所に開口された表示手段16と複数の監視窓13が設けられている。
【0026】
また、ベローズ14の有底部12a側には、凹状のカバー部15がベローズ14の一方側(図中右側)を挿嵌するように配置されており、このカバー部15によりベローズ14の一方側はより確実に支持されている。また、ベローズ14の部分は、例えば、塗装などにより設けられた着色部16bとされ、それ以外の部分は非着色部16aとされている。
【0027】
なお、次のような手段を選択することができる。検知体10を構成するキャップ体11とハウジング12は、ゴムあるいは樹脂などの可撓性部材や金属部材などとすることができ、その接合方法や組み合わせ方法なども適宜自由に選択することができる。例えば、この実施例では、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を選択したが、PE(ポリエチレン)や鉄とユニクロメッキとの組み合わせなどにより構成することができ、ステンレスやその他の金属あるいは樹脂部材その他ゴム部材など選択することができ、検知しようとする装置に合わせて素材は自由に選択することができる。
【0028】
また、検知体10の構造もキャップ体1
1など相手方装置に合わせ金属製のネジ切りされたものとし、また、その元部もニップル型に構成することもできる。さらに、
検知体10の内部構造もベローズ+Oリング+締め込み部品としてのクランプ+ネジ部品、ベローズ+差し込み継手などの組み合わせなどとすることが可能で、その他逆テーパーなど種々の手段を選択することができる。
【0029】
次に、第2の実施例を
図7乃至
図11に基づいて説明する。この第2の実施例は、上記した第1の実施例とほぼ同様に構成されるが、特に可撓性部材であるゴム材あるいは樹脂材などのベローズによるものを示す。その説明においてベローズは樹脂材として説明するが、その他の部分はほぼ上記第1の実施例を援用する。従来、ベローズを樹脂材によって構成した場合には、繰り返し行われる伸縮動作でそのベローズ自体が時間の経過とともに伸びきってしまい、減圧と同時に全圧縮(密着)してしまうという恐れがある。すなわち、圧縮回数の増加とともに自由面間が短くなり、大気解放時にベローズが元の長さに戻らないという事態が生じる恐れがあるので、高精度で長寿命化を図れないという恐れがある。
【0030】
このため、この第2の実施例では、樹脂ベローズ14の内部側に伸縮補強機構20を備える構成としている。すなわち、この伸縮補強機構20は、樹脂ベローズ14の伸縮動作に応動して協働する圧縮可能なスプリングである金属製のバネ体21を装着すると共に、この金属製のバネ体21はその内側から金属製または樹脂製のパイプ22によって支持されている(
図8、
図9参照)。
【0031】
また、この表示手段16としては、検知体10の外周の360度にわたって形成し、監視窓13より目視されるベローズ14の視認性をよくすると共に、表示手段16の所望の箇所にはベローズ14の伸縮に伴って現れる非着色部16aあるいは着色部16bを10KPa,50KPa,100KPaなどの数値を付した目盛19によって視認性の向上を図るようにする。
【0032】
図4(a),(b),(c)、
図5(a),(b)、
図10を参照しつつ説明する。すなわち、大気圧下(100KPa)においては、
図10(a)および
図4(a)に示したように樹脂ベローズ14は伸長状態にあるので、通常の樹脂ベローズ14の非着色部分の色として視認され、OFF状態であることが即座に知れる。
【0033】
また、減圧状態下(100KPa→10KPa)においては、
図10(b)(c)および
図4(b)に示したように樹脂ベローズ14は縮長状態にあるので、樹脂ベローズ14の着色部分の色として順次視認されることとなり、ON状態であることが即座に知れる。
【0034】
より具体的に以下の実施例1によって説明する。伸縮補強機構20は、φ10の圧縮スプリング付の金属製のバネ体21であり、この属製のバネ体21はその内側に配置され金属製または樹脂製のパイプ22の外周に装着されている。また、この伸縮補強機構20は樹脂ベローズ14の有底部12aである一方端部から先筒部14aの他方端部に至るように装着されている。しかして、大気圧下(100KPa)において樹脂ベローズ14は伸長状態にあり(
図10(a)および
図4(a)参照)、減圧状態下(100KPa→10KPa)においては減圧状態に応じて順次縮長状態とされ(
図10(b)(c)および
図4(b)参照)、下記表1に示したような比例関係を構成する。
【0036】
この表1及び
図11のグラフからわかるように、樹脂ベローズ14はその内部に金属製のバネ体21を挿入してあるので、100KPa→10KPaの良好な比例圧縮の真空度の高い管理ができる。なお、ベローズの伸縮補強機構20は、樹脂ベローズ14の伸縮動作を補強し、比例関係を維持するものであれば種々のものが選択される。
【0037】
このように、この第1の実施例及び第2の実施例によれば、真空ポンプなどの被検知体Xの状態を、ベローズ14の伸縮量が圧力の変化により一層直線関係となるように検出することができ、ゴムあるいは樹脂などの可撓性部材による樹脂ベローズ14の伸縮に伴って無電源で、かつ目視により容易に検知することができる。また、樹脂ベローズ14において繰り返し行われる伸縮動作で、ベローズが時間の経過とともに伸びきり減圧と同時に全圧縮(密着)することがなく、圧縮回数の増加とともに自由面間が短くなり、大気解放時にベローズが元の長さに戻らないという事態を防ぐことができ、真空度がどのレベルにあるかを充分に管理し、高精度で長寿命化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、科学機器の分野では化学実験過装置,真空吸着など、電機・機械の分野ではエアコンガス置換機器,ラベル吸着,印刷機,炭素繊維樹脂含浸(CFRP)、電子機器の分野では真空ピンセット,ウエハ搬送、土建・建設の分野では真空コンクリート,吸引圧送浚渫工法,真空圧蜜工法、農業食品の分野では搾乳機,真空煮練機,減圧加熱調理器,吸着搬送、医療機器の分野では歯科用口腔内バキューム,真空採血管、その他バキュームアイロン、布団パック、真空掃除機、家庭用真空パックなど様々に応用可能である。
【符号の説明】
【0039】
X 被検知体
10 検知体
11 キャップ体
11a 基部
11b ネジ部
11c 通路
11d 段部
11e 第1凹部
11f 第2凹部
11g 第3凹部
11h 雌ねじ受承凹部
12 ハウジング
12a 有底部
12b 開口部
12c 側壁部
13 監視窓
14 ベローズ
14a 先筒部
14b 膨出部
14c 雄ねじ部
15 カバー部
16 表示手段
16a 非着色部
16
b 着色部
17 Oリング
18 パッキン
19 目盛
20 伸縮補強機構
21 金属製のバネ体
22 金属製または樹脂製のパイプ