(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の音響信号の前記少なくとも第1の部分と、前記補聴器の少なくとも1つのマイクロホン等のような前記システムの少なくとも1つのマイクロホンにより受信された第2の音響信号との同期性を向上させることにより前記遅延の自動制御を提供するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
前記第2の音声信号を受信するように構成された中間装置を有し、前記中間装置が、受信された前記第2の音声信号に応答して前記第1の音声信号を送信するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
音響信号の映像表示への同期性を向上させるべく構成された補聴器であって、前記補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサを有し、第1の音声信号を受信するように構成されており、前記補聴器の前記使用者に提示する第1の音響信号を生成するように構成されており、前記第1の音響信号が前記第1の音声信号に応答して生成される少なくとも第1の部分を含んでおり、前記第1の音響信号の前記少なくとも第1の部分と前記映像表示との同期性が向上するように、前記第1の音声信号に遅延を施す又は第2の音声信号に遅延を施し該第1の音声信号を形成するように構成された遅延装置を有しており、前記遅延が前記使用者により制御可能である、補聴器。
前記第1の音響信号の前記少なくとも第1の部分と、前記補聴器の少なくとも1つのマイクロホン等のような少なくとも1つのマイクロホンにより受信された第2の音響信号との同期性を向上させることによる前記遅延の自動制御を含んでいる請求項11または12に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
補聴器の使用者が音声および映像を提示/表示する(テレビ等の)媒体システムを使用する場合、補聴器の使用者は、補聴器のマイクロホンを介して当該システムから音声を受信することができる。これにより補聴器の使用者が感じる音質が低下する場合がある。
【0003】
発明者らは、(例えばRCA電話コネクタ等、テレビの音声出力からストリーム出力されるような)音声信号が対応するテレビの映像表示と同期していない場合があることを見出した。特に、音声信号は映像表示に比べて時間的に先行する場合がある。この同期ずれ(非同期)は例えば、映像信号と音声信号を各々生成すべく実行される処理(例:符号化)に少なくとも部分的に起因している。従って、信号の処理により、映像信号と音声信号の各々の同期的生成(例:ストリーム)が生じない場合がある。映像ストリームの処理はより複雑であり、従って音声ストリームの処理よりも長時間を要する場合がある。
【0004】
発明者らは、映像および音声の提示が過度に同期ずれしている、例えば約40ms超ずれている場合、使用者(すなわち、閲覧者であり聴取者である)にとって顕著で煩わしい要因となり得ることを見出した。
【0005】
従って、発明者らは、補聴器、補聴器を含むシステム、および補聴器の利用を含む方法に対し、相互に関連する音声および映像信号の提示の同期性を向上させる固有の解決策を提供する必要があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、音響信号の映像表示への同期性を向上させるシステムが提供される。本システムは、補聴器および当該補聴器と一体化可能な遅延装置を含んでいる。補聴器は、当該補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサを有している。補聴器は、映像表示の閲覧者への同期的(すなわち少なくともほぼ同期的)提示を目的とした第1の音声信号を受信するように構成されている。補聴器は、補聴器の使用者に提示する第1の音響信号を生成するように構成されている。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成される少なくとも第1の部分を有する。遅延装置は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示の同期性が向上するように遅延を施すように構成されている。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、音響信号の映像表示への同期性を向上させるように構成された補聴器が提供される。補聴器は、当該補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサを有している。補聴器は、映像表示の閲覧者への同期的(すなわち少なくともほぼ同期的)提示を目的とした第1の音声信号を受信するように構成されている。補聴器は、補聴器の使用者に提示する第1の音響信号を生成するように構成されている。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成される少なくとも第1の部分を有する。補聴器は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すように構成された遅延装置を含んでいる。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、音響信号の映像表示への同期性を向上させる方法が提供される。本方法は、補聴器により第1の音声信号を受信するステップを有する。第1の音声信号は、映像表示の閲覧者への同期的(すなわち少なくともほぼ同期的)提示を目的としている。補聴器は、当該補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサを有する。本方法は、補聴器により第1の音響信号を生成するステップを含んでいる。第1の音響信号は、補聴器の使用者に提示される。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成された少なくとも第1の部分を含んでいる。本方法は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すステップを含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の利点は、従来技術の短所が抑えられることである。特に、本発明による同期の向上の利点は、使用者が体感する同期ずれが少なくなり、従って使用者が体感する煩わしさおよび/または不便さが少なくなることで、使用者の体感を向上できる点である。
【0010】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付図面を参照しながら例示的な実施形態の以下の詳細説明により当業者に容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による第1の実施形態のシステムを模式的に示す。
【
図2】本発明による第2の実施形態のシステムを模式的に示す。
【
図3】本発明による第3の実施形態のシステムを模式的に示す。
【
図4】本発明による第4の実施形態の補聴器を模式的に示す。
【
図5】本発明による第5の実施形態のシステムを模式的に示す。
【
図6】本発明による一実施形態の中間装置を模式的に示す。
【
図7】本発明による第6の実施形態の補聴器を模式的に示す。
【
図8】本発明による第7の実施形態のシステムを模式的に示す。
【
図9】本発明による第8の実施形態のシステムを模式的に示す。
【
図10】本発明による第9の実施形態のシステムを模式的に示す。
【
図11】本発明による第1の実施形態の方法を模式的に示す。
【
図12】本発明による第2の実施形態の方法を模式的に示す。
【
図13】本発明による一実施形態のシステムであって、両耳用の補聴器システムを含むシステムを模式的に示す。
【0012】
各図面は模式的であって、明解さのため簡略化されており、本発明を理解するために必須の詳細事項のみを示す一方、他の詳細事項を割愛する場合がある。図面全体を通じて、同一または対応する部品に同一の参照番号を用いる場合がる。
【0013】
添付の図面に示す本発明の例示的な実施形態に加え、本発明が異なる形式で実装可能であって、本明細書に開示した実施形態に限定されると解釈してはならない点に注意されたい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全且つ充分であって、本発明の概念を当業者に完全に伝えるべく提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
補聴器は、1つ以上のマイクロホン、例えば音響信号の受信および対応する1つ以上の音声信号の生成を行なう第1のマイクロホンおよび/または第2のマイクロホンを有し得る。
【0015】
補聴器は、1つ以上のマイクロホンにより生成された1つ以上の音声信号を1つ以上のデジタル信号に変換するアナログ/デジタル(AD)コンバータ装置を有し得る。ADコンバータ装置は、聴力損失プロセッサに埋め込まれていても、あるいはマイクロホンの一部を形成していてもよい。
【0016】
補聴器はメモリ装置を有し得る。メモリ装置は、聴力損失プロセッサに接続されていても、あるいは組み込まれて(一部を形成して)いてもよい。メモリ装置は、データおよび/または補聴器パラメータを格納するように構成され得る。例えば遅延生成用のデータを格納するように構成され得る。
【0017】
補聴器は、例えば、補聴器が聴覚装置および/または無線インターフェース等の他の装置と無線通信できるように、信号(例えば電波信号)を無線で受信および/または送信するように構成された通信装置を有し得る。通信は一方向でもよい。通信装置は、第1の音声信号を受信するように構成され得る。
【0018】
補聴器は、デジタル/アナログ(DA)コンバータ装置を含み得る。DAコンバータ装置は聴力損失プロセッサに組み込まれ得る。
【0019】
補聴器は、使用者に対し第1の音響信号を生成するように構成されたレシーバ(スピーカーまたは拡声器と表記する場合もある)を含み得る。
【0020】
1つ以上のマイクロホンは、ADコンバータ装置に接続されていても、あるいは一体化されていてもよい。ADコンバータ装置は、聴力損失プロセッサに接続されていても、あるいは一体化されていてもよい。ADコンバータ装置は、1つ以上のマイクロホンからの音声信号を対応するデジタル音声信号に変換または転換して聴力損失プロセッサへ送信することができる。聴力損失プロセッサは、制御信号をADコンバータ装置へ送信して、ADコンバータ装置の動作の設定および制御を行なうことができる。聴力損失プロセッサは、ユーザーインターフェースに接続され得る。レシーバは、聴力損失プロセッサおよび/またはDAコンバータに接続され得る。通信装置は、聴力損失プロセッサに接続され得る。
【0021】
第1の音響信号は、(例えば補聴器の)1つのマイクロホンにより受信された信号に応答して少なくとも生成された第2の部分を含むことができ、当該信号は、当該補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて(例えば聴力損失プロセッサにより)処理され得る。第1の音響信号の第1および第2の部分は混合されて使用者に同時に提示される(すなわち、結合信号として提示される)。
【0022】
遅延装置は聴力損失プロセッサに組み込まれ得る。
【0023】
通信装置を介した無線通信を行なうべくBluetooth(登録商標)プロトコル、または類似あるいは別のプロトコル、または専用プロトコルを用いることができる。例えば、補聴器への第1の音声信号の通信は無線通信によるものであってもよい。
【0024】
本発明では、同期的提示を目的とした信号は、相互に関係する音声信号を有する動画により知られているような、少なくともほぼ同期的提示を目的とした信号を含んでいる。
【0025】
第1の音声信号は、音声信号を表す電磁信号であってもよい。第1の音響信号は、音声信号であってもよい。音声信号は、当該補聴器の使用者の耳内の媒体(当該媒体は通常、空気である)を通して伝達される圧力の振動である機械的な波の形状の信号として定義することができ、当該信号は、当該補聴器の使用者の可聴範囲内で補聴器の使用者に聞こえる程度に充分強いレベルの周波数を含んでいる。
【0026】
本システムは、当該補聴器の使用者が遅延を制御できるように構成された制御インターフェースを有し得る。遅延の制御は、遅延の調整および/または設定を含み得る。制御インターフェースの提供により、遅延を現時点での個々のニーズおよび/または習慣に応じて制御することができるため、使用者の体感を向上させることができる。
【0027】
制御インターフェースは1つ以上の押しボタンを含み得る。
【0028】
制御インターフェース(または他のユーザーインターフェース)は、当該補聴器の使用者により第1の音響のボリュームおよび/または音響信号の第1の部分および/または音響信号の第2の部分を制御できるように構成され得る。
【0029】
制御インターフェースは、補聴器の一部を形成し得る。制御インターフェースが補聴器の一部を形成していることにより、常に補聴器の使用者側で制御できるため、容易に制御することができる。
【0030】
制御インターフェースは、遅延を遠隔制御するように構成された補助装置の一部を構成し得る。補助装置は、補聴器リモコンおよび/またはスマートフォンまたはPDA等を含み得る。制御インターフェースが補助装置の一部を形成していることにより、使用者が体感する利便性の向上および/または詳細な制御が可能になる。
【0031】
本システムは、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と、補聴器の少なくとも1つのマイクロホン等、本システムの少なくとも1つのマイクロホンにより受信された第2の音響信号との同期性を向上させることにより、遅延の自動制御を提供するように構成され得る。すなわち、補聴器の少なくとも1つのマイクロホンにより生成された(すなわち、第2の音響信号から生成された)信号を、第1の音響信号(またはそれから導かれた信号)と比較するために用いることができる。これは、同期的提示を目的とした信号のバージョンが、例えばテレビセットのスピーカーを介して補聴器に音響的に提示されている場合に有利であろう。自動制御を提供することにより、補聴器の使用者が行なう必要があった操作(例えば制御)を軽減および/または減少させることができるため、使用者の利便性を向上させることができる。
【0032】
自動制御は、制御インターフェースを介して使用者の操作により変更可能に構成され得る。
【0033】
自動制御は、例えば制御インターフェースを介して使用者により起動および/または停止可能に構成され得る。
【0034】
遅延はプリセット値を含み得る。プリセット値を提供することにより、補聴器の使用者が行なう必要があった操作(例えば制御)を軽減できるため、使用者の利便性を向上させることができる。
【0035】
本システムは、映像表示の閲覧者への同期的提示を目的とした第2の音声信号を受信するように構成された中間装置を含み得る。中間装置は、受信された第2の音声信号に応答して第1の音声信号を送信するように構成され得る。従って、中間装置の目的は、第1の音声信号を、補聴器用に用いることを目的とした(または補聴器に少なくとも有用な)形式(例えばプロトコル)で提供することであってもよい。
【0036】
遅延装置は中間装置の一部を構成し得る。遅延装置が中間装置の一部を構成し得るため、補聴器が遅延を提供する必要性を軽減または除去することができる。
【0037】
遅延装置は補聴器の一部を構成し得る。これにより、同期ずれ信号により生じる不快感を和らげるために遅延されることが必要な信号を受信するように補聴器が構成されるため、システムおよび/または補聴器の有用性を向上させることができる。
【0038】
遅延装置および制御インターフェースの両方が補聴器の一部を構成していることにより、信号を送信する必要性を減らすことができる。
【0039】
本システムは第2の遅延装置を含み得る。例えば、遅延装置が補聴器の一部を構成し、第2の遅延装置が中間装置の一部を構成し得る。
【0040】
本システムは、補聴器および第2の補聴器を含む両耳用の補聴器システムを含み得る。両耳用の補聴器システムの補聴器の少なくとも一方は、その両者に遅延を施すように構成され得る。代替的にまたは追加的に、第1の音声信号に遅延が施されてよく、すなわち、補聴器により受信された信号に遅延が含まれている。
【0041】
両耳用の補聴器システムの遅延/遅延の制御は、共通の制御インターフェース、例えば補聴器の一方の一部を構成するかまたは補助装置の一部を構成する制御インターフェースによるものであってもよい。
【0042】
遅延は使用者により制御可能であってもよい。遅延が制御可能であることにより、使用者の現時点での個々のニーズおよび/または習慣に応じて遅延が制御可能であるため、使用者の体感を向上させることができる。
【0043】
遅延は、少なくとも2ms、少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも15ms、少なくとも20ms、少なくとも25ms等の刻み幅で制御可能であってもよい。時間的刻み幅が大きいことにより、制御インターフェースに対して必要とされる操作を減らすことができる。時間的刻み幅が小さいことにより、遅延を微調整するオプション性を向上させることができる。
【0044】
本方法は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と、補聴器の少なくとも1つのマイクロホン等のような少なくとも1つのマイクロホンにより受信された第2の音響信号との同期性を向上させることによる遅延の自動制御を含み得る。
【0045】
本発明によるシステムおよび/または補聴器は、本発明による方法を実行するように構成され得る。
【0046】
以下の図において、接続線は、接続された部分間で信号の転送が生じるまたは生じ得ることを示している。
【0047】
図1に、音響信号と映像表示との同期性を向上させる本発明の第1の実施形態のシステム2を模式的に示す(映像表示は図示せず)。システム2は、補聴器4および補聴器4と一体化可能な遅延装置(
図1に示さず)を含んでいる。補聴器4は、補聴器4の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサ(
図1に示さず)を含んでいる。補聴器4は、映像表示の閲覧者への同期的(すなわち少なくともほぼ同期的)提示を目的とした第1の音声信号を受信するように構成されている。補聴器4は、補聴器4の使用者に提示する第1の音響信号を生成するように構成されている。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成された少なくとも第1の部分を含んでいる。遅延装置は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すように構成されている。
【0048】
図2に、音響信号と映像表示との同期性を向上させる、本発明による第2の実施形態のシステム202を模式的に示す(映像表示は図示せず)。システム202は、補聴器204および補聴器204の一部を形成する遅延装置6を含んでいる。補聴器204は、補聴器204の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサ(
図2に示さず)を含んでいる。補聴器204は、映像表示の閲覧者への同期的(すなわち少なくともほぼ同期的)提示を目的とした第1の音声信号を受信するように構成されている。補聴器204は、補聴器204の使用者に提示する第1の音響信号を生成するように構成されている。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成された少なくとも第1の部分を含んでいる。遅延装置6は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すように構成されている。
【0049】
図3に、音響信号と映像表示との同期性を向上させる、本発明による第3の実施形態のシステム302を模式的に示す(映像表示は図示せず)。システム302は、補聴器304および遅延装置6を含んでいる。システム302は、遅延装置6からの出力が直接または他の装置を介して補聴器304により受信可能なように構成されている。補聴器304は、補聴器304の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサ(
図3に示さず)を含んでいる。補聴器304は、映像表示の閲覧者への同期的(すなわち少なくともほぼ同期的)提示を目的とした第1の音声信号を受信するように構成されている。システム302は、第1の音声信号が遅延装置6を介して補聴器304により受信可能なように構成されている。補聴器304は、補聴器304の使用者に提示する第1の音響信号を生成するように構成されている。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成された少なくとも第1の部分を含んでいる。遅延装置6は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すように構成されている。
【0050】
システム302の遅延装置6は補聴器304の外側に配置されている。従って、補聴器により受信された第1の音響信号は既に遅延されており、従って同期性が向上しているであろう。
【0051】
図4に、本発明による第4の実施形態の補聴器404を模式的に示す。補聴器404は、音響信号と映像表示(図示せず)との同期性を向上させるべく構成されている。補聴器404は、当該補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサ8を含んでいる。補聴器404は、映像表示の閲覧者への同期的提示を目的とした第1の音声信号を受信するように構成されている。補聴器404は、補聴器の使用者に提示する第1の音響信号を生成するように構成されている。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成された少なくとも第1の部分を含んでいる。補聴器は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すように構成された遅延装置6を含んでいる。補聴器404は、第1のマイクロホン12およびレシーバ(代替的にスピーカーまたは拡声器と表記する)14を含んでいる。レシーバ14は、第1の音響信号を生成するように構成されている。補聴器404は、第1の音声信号を受信するように構成されている通信装置10を含んでいる。通信装置10は、無線通信を行なうように構成されている。無線通信は、少なくとも第1の音声信号を受信するステップを含んでいる。遅延装置6は、補聴器404の聴力損失プロセッサ8に含まれている。
【0052】
図5に、本発明による第5の実施形態のシステム502を模式的に示す。
図1のシステム2に関する記述に加え、システム502は、映像表示の閲覧者への同期的提示を目的とした第2の音声信号を受信するように構成されている中間装置18を含んでいる。中間装置18は、受信された第2の音声信号に応答して第1の音声信号を送信するように構成されている。
【0053】
図6に、本発明による一実施形態の中間装置618を模式的に示しており、遅延装置6は中間装置618の一部を形成している。中間装置618は、プロセッサ20、受信器(すなわち信号受信装置)22、および送信器24を含んでいる。受信器22と送信器24はトランシーバ26に一体化され得る。受信器22は、第2の音声信号を受信するように構成されている。送信器24は、第1の音声信号を送信するように構成されている。プロセッサ20は、遅延装置6を有しており、遅延を施すように構成されている。
【0054】
図7に、本発明による第6の実施形態の補聴器704を模式的に示す。
図4の補聴器404に関する記述に加え、補聴器704は、補聴器704の使用者により遅延を制御可能にするように構成された制御インターフェース16を含んでいる。従って、制御インターフェース16は補聴器704の一部を形成している。1つ以上の代替的な実施形態において、制御インターフェースは、補聴器の外部に配置された遅延装置を制御するように構成されていてもよく、当該補聴器は遅延装置を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0055】
従って、本発明によるシステムは、補聴器を含むシステムであり、当該補聴器の使用者が遅延を制御できるように構成された制御インターフェースを含んでいる。
【0056】
図8に、本発明による第7の実施形態のシステム802を模式的に示す。
図1のシステム2に関する記述に加え、システム802は、補聴器の使用者が遅延を制御できるように構成された制御インターフェース16を含んでいる。制御インターフェース16は、遅延を遠隔制御するように構成された補助装置28の一部を構成している。補助装置28は、システム802の一部を構成するものと考えてもよい。但し、制御インターフェース16にあまり関係がない補助装置28の部分については、システム802の一部であるとは考えない。これは、例えばスマートフォンで動作するソフトウエアプログラムの場合において、特定のソフトウエアプログラムだけがシステム802の一部であると考えることもできる。
【0057】
図9に、本発明による第8の実施形態のシステム902を模式的に示す。システム902は、システム502と802とを組合せたものである。但し、補助装置28から補聴器4への通信が、その代わりに、補助装置28から中間装置18への通信、または、補助装置28から補聴器4と中間装置18の両方への通信の形式であってもよい。これを破線により示しており、通信が一方の信号方向に、または逆方向に、あるいは双方向になされることを表している。通信は、無線電磁気通信であってもよい。
【0058】
図10に、本発明による第9の実施形態のシステム1002を模式的に示す。
図9のシステム902に関する記述に加え、システム1002(すなわち制御インターフェース16)によれば、信号エミッタ30(例えばテレビ)を介して、第2の音声信号を中間装置18に送信するか、または第1の音声信号を直接補聴器(例えば中間装置18を含まないシステム)に送信することで遅延を制御することができる。
【0059】
図11に、音響信号と映像表示との同期性を向上させる、本発明による第1の実施形態の方法40を模式的に示す。方法40は、補聴器により第1の音声信号を受信するステップ42を含んでいる。第1の音声信号は、映像表示の閲覧者への同期的提示を目的としている。補聴器は、当該補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサを含んでいる。方法40は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すステップ44を含んでいる。方法40は、補聴器により第1の音響信号を生成するステップ46を含んでいる。第1の音響信号は、補聴器の使用者に提示される。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成された少なくとも第1の部分を含んでいる。
【0060】
図12に、音響信号と映像表示との同期性を向上させる、本発明による第2の実施形態の方法1240を模式的に示す。方法1240は、第1の音響信号の少なくとも第1の部分と映像表示との同期性が向上するように遅延を施すステップ44を含んでいる。方法1240は、補聴器により第1の音声信号を受信するステップ42を含んでいる。第1の音声信号は、映像表示の閲覧者への同期的提示を目的としている。補聴器は、当該補聴器の使用者の聴力損失度合に応じて処理するように構成された聴力損失プロセッサを含んでいる。方法1240は、補聴器により第1の音響信号を生成するステップ46を含んでいる。第1の音響信号は、補聴器の使用者に提示される。第1の音響信号は、第1の音声信号に応答して生成された少なくとも第1の部分を含んでいる。
【0061】
図13に、本発明による一実施形態のシステムを模式的に示しており、本システムは両耳用の補聴器システムを含んでいる。本システムは、「左耳」および「右耳」で示す2つの補聴器を含む両耳用の補聴器システムを含んでいる。各補聴器は、補聴器プロセッサ(すなわち聴力損失プロセッサ)および通信装置を含むトランシーバを含んでいる。各トランシーバは、無線ネットワーク(すなわち、例えばプロトコル)から中間装置により生成され得る第1の音響信号を受信することができる。
【0062】
補聴器4は、補聴器204、304、404、および704のうち任意のもので構成されていてもよい。補聴器204は、補聴器404および704のいずれで構成されていてもよい。中間装置18は、中間装置618で構成されていてもよい。