特許第5872451号(P5872451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長興材料工業股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 至美電器股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許5872451電解質材料配合物、該電解質材料配合物から形成される電解質材料組成物およびその使用
<>
  • 特許5872451-電解質材料配合物、該電解質材料配合物から形成される電解質材料組成物およびその使用 図000136
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872451
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】電解質材料配合物、該電解質材料配合物から形成される電解質材料組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20160216BHJP
   H01G 9/028 20060101ALI20160216BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20160216BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20160216BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C08L101/00
   H01G9/02 331G
   C08L63/00 Z
   C08K5/00
   C08K3/00
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2012-284254(P2012-284254)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-139564(P2013-139564A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2013年2月27日
(31)【優先権主張番号】100150078
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500202322
【氏名又は名称】長興材料工業股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513000621
【氏名又は名称】至美電器股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 信宏
(72)【発明者】
【氏名】林 杰夫
【審査官】 新留 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−189644(JP,A)
【文献】 特許第4798812(JP,B2)
【文献】 特開平08−012741(JP,A)
【文献】 特開平04−268375(JP,A)
【文献】 特開2010−143980(JP,A)
【文献】 特開2006−054290(JP,A)
【文献】 特開2006−028439(JP,A)
【文献】 特開2013−042118(JP,A)
【文献】 特表2005−513219(JP,A)
【文献】 特表2011−505681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 − 101/14
C08G 2/00 − 2/38
C08G 61/00 − 61/12
C08G 59/00 − 59/72
H01G 9/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)のモノマー:
【化1】
(b)式(II)のモノマー:
【化2】
および
(c)以下:
【化3】
からなる群から選択される重合性化合物
[式中、
Aは(Rx)pによって置換されているC1〜4アルキレンであり、
XはOまたはSであり、
B1はO、S、またはNであり、
B2はNまたはCであり、
R1、R2、R3およびRxは独立にH、非置換もしくは置換のC1〜20アルキルもしくはアルコキシ、または非置換もしくは置換のC6〜20アリールであり、
pは0〜2の整数であり、
qおよびwは独立に0または1の整数である]
を含む電解質材料配合物であって、
モノマー(a)100重量部を基準として、モノマー(b)が1重量部〜800重量部の量であり、重合性化合物(c)が1重量部〜10000重量部の量である、電解質材料配合物。
【請求項2】
モノマー(a)が、
【化4】
(式中、R4およびR5はそれぞれ独立にH、非置換もしくは置換のC1〜15アルキルもしくはアルコキシ、または非置換もしくは置換のC6-15アリールを表す)
からなる群から選択される、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項3】
モノマー(b)が、
【化5】
(式中、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立にHまたはC1〜3アルキルもしくはアルコキシを表す)
ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項4】
重合性化合物(c)が、
【化6】
からなる群から選択される、請求項3に記載の電解質材料配合物。
【請求項5】
重合性化合物が40〜1,000,000の範囲の分子量を有する、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項6】
モノマー(a)100重量部を基準として、モノマー(b)の量が5重量部〜400重量部であり、重合性化合物(c)の量が5重量部〜5000重量部である、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項7】
アルカリ金属過硫酸塩、アンモニウム塩、過酸化物、および有機酸の第二鉄塩、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の電解質材料配合物。
【請求項8】
モノマー(a)とモノマー(b)の合計量100重量部を基準として、酸化剤の量が5重量部〜3000重量部である、請求項7に記載の電解質材料配合物。
【請求項9】
請求項1に記載の電解質材料配合物から重合によって形成される電解質材料組成物。
【請求項10】
(A)モノマー(a)およびモノマー(b)に由来する重合単位から形成される第1のポリマーと、
(B)重合性化合物(c)に由来する重合単位から形成される第2のポリマーと
を含む、請求項9に記載の電解質材料組成物。
【請求項11】
第1のポリマーが、1000〜500000の範囲の分子量を有する、請求項10に記載の電解質材料組成物。
【請求項12】
第2のポリマーが、重合性化合物(c)に由来する重合単位および硬化剤に由来する重合単位から形成される、請求項10に記載の電解質材料組成物。
【請求項13】
アノードと、
アノード上に形成される誘電体層と、
カソードと、
誘電体層とカソードとの間に設けられる固体電解質と
を含む固体コンデンサであって、固体電解質が請求項9に記載の電解質材料組成物を含む、固体コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質材料配合物(electrolyte material formulation)、該電解質材料配合物から形成される電解質材料組成物(electrolyte material composition)、および該電解質材料組成物を用いた固体コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサはさまざまな電子製品において広く使用される電子素子の一種である。技術開発の進展とともに、電子製品は小型化および軽量化の方向で開発されており、電子製品で使用されるコンデンサは、小型化され、高周波で使用される際に高容量および低インピーダンスを有することが要求される。
【0003】
コンデンサは、従来の液体コンデンサと新たに開発された固体コンデンサとに分類することができる。初期のアルミニウム液体コンデンサの電解質では、液体電解質が電荷移動物質として使用されている。液体電解質の主要な成分としては、高沸点アルコール、イオン液体、ホウ酸、リン酸、有機カルボン酸、アンモニウム、高極性有機溶媒、および少量の水が挙げられる。これらの成分は、電荷移動物質の役割をするだけではなく、アルミニウム箔上の酸化アルミニウムの誘電体層を補修する(patching)機能を有する。コンデンサの充電および放電プロセスの間、内部のアルミニウム金属が酸化アルミニウムの誘電体層の欠陥のために露出されれば、電解質は露出したアルミニウム金属と反応することができ、酸化アルミニウムが生成され、このようにして補修機能を達成する。しかし、従来のアルミニウム液体コンデンサは低コストで高容量の要求を満たすことができるものの、使用される電解質が液体であるので、低い導電性および乏しい高温耐性という不利点を有する。さらには、酸化アルミニウム生成のプロセスにおいて、水素も生成され、過剰の水素がコンデンサ内に蓄積されれば、コンデンサ破裂が容易に起きる可能性があり、これにより電子製品は損傷することになる。水素吸収剤を液体電解質に加えることによってコンデンサ破裂のリスクを低減することができるものの、この問題は解消されない。
【0004】
したがって、液体電解質が直接、固体電解質に置き換えられた新世代の固体コンデンサが開発されている。固体電解質は導電性ポリマーによって形成される。酸化剤の陰イオンがドーパントとしてポリマーの構造中に混ざり、正孔が形成されることで、ポリマーが導電性を有する。従来の電解質コンデンサで使用される液体電解質、またはテトラシアノキノジメタン(TCNQ)複合塩(composite salt)などの固体有機半導体錯塩および無機半導体MnO2に比べて、導電性ポリマーは高い導電性および適切な高い高温絶縁特性を有するので、導電性ポリマーは、現在の電解質コンデンサにおいて固体電解質を使用する傾向の発展を推進してきた。
【0005】
一般的なコンデンサの使用寿命より6倍長い長期の使用寿命を有することに加え、固体コンデンサは改良された安定性を有し、その容量は使用時の周囲温度および湿度の影響を容易には受けない。さらには、固体コンデンサは低ESR、低い容量変化率、優れた周波数応答(高周波耐性)、高温耐性、および高電流耐性という利点を有し、漏電およびプラズマ爆発の問題は解消される。従来の液体コンデンサは高容量を有するものの、その応用は高ESRのために限られている。
【0006】
Jesse S. Shafferらは、電解質コンデンサの電解質に導電性ポリマーを使用する方法を、米国特許第4,609,971号において初めて開示している。該方法は、コンデンサのアノードアルミニウム箔を、導電性ポリマーであるポリアニリン粉末およびドーパントのLiClO4により形成される混合液に浸漬し、次いでアルミニウム箔上の溶媒を除去する工程を含む。ポリアニリンはその過度に高い分子量のために、アノード箔の微細孔に浸透できないので、この方法により得られるコンデンサの含浸率は乏しく、インピーダンスは高い。次いで、ポリマーがアノード箔の微細孔に容易に浸透できるようにするために、Gerhard Hellwigらは、導電性ポリマーをコンデンサの電解質として使用する化学酸化重合法を、米国特許第4,803,596号において開示している。該方法は、コンデンサアノード箔を、導電性ポリマーのモノマーおよび酸化剤の溶液に浸漬すること、および導電性ポリマーのモノマーを適切な条件において重合させる工程をそれぞれ含み、導電性ポリマー電解質が複数回の浸漬によって十分な厚さまで堆積する。その後、Bayer Corporation(ドイツ)のFriedrich Jonasらは、モノマーである3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を酸化剤のp-トルエンスルホン酸鉄(III)と組み合わせて使用することによって、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を電解質として含むアルミニウム固体コンデンサを製造する方法を、米国特許第4,910,645号において初めて開示している。さらには、EDOTと構造的に関連している3,4-エチレンジチアチオフェン(EDTT)を電気活性ポリマーに変換できることが見出されている(Lambertus Groenendaalら、Adv. Mater.、2000年、12、No. 7を参照されたい)。
【0007】
導電性ポリマーPEDOTは、高い耐熱性、高い導電性、高い電荷移動速度、無毒性である、長期の使用寿命、およびコンデンサに適用した際にコンデンサ破裂が起きないという利点を有する。現在では、ほとんどすべての固体コンデンサメーカーが、これらの2つの材料を使用してアルミニウムまたはタンタル固体コンデンサを製造している。しかし、モノマーEDOTおよびp-トルエンスルホン酸鉄(III)を含有する混合液にコンデンサ素子を浸漬することにより重合された、アルミニウム箔表面または孔のPEDOTは、多くは重合度が比較的低い粉末構造を有しており、この粉末構造の物理的特性は乏しく、そのため粉末構造はアルミニウム箔表面または孔から比較的剥がれ落ちやすいので、該表面または孔に容易には付着させることができず、完全なPEDOTポリマー構造をアルミニウム箔表面または孔に容易には形成することができない。ゆえに、電圧16V以上において固体コンデンサの安定性は乏しく、結果として固体コンデンサを電圧16V以上のプロセスで使用することができず、あるいはプロセスの収率が低くなる。さらには、導電性ポリマーPEDOTにより形成される粉末構造はアルミニウム箔孔に容易には付着させることができないため、剥がれ落ちの問題が起きた場合、耐えられる動作電圧は限られる。
【0008】
特開2010-129651号公報では、ポリマーPEDOTを含有するポリマー溶液にコンデンサ素子を直接浸漬し、完全なPEDOTポリマー構造がアルミニウム箔表面または孔に形成され、そのため固体コンデンサが電圧50Vの動作環境において適用可能となることが開示されている。しかし、従来のプロセスと比較した場合、ポリマーPEDOT材料のコストはモノマーEDOTのコストよりも高く、ポリマーPEDOT材料は保存が困難であり、プロセスはより多くの時間を必要とし、制御することがより困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,609,971号
【特許文献2】米国特許第4,803,596号
【特許文献3】米国特許第4,910,645号
【特許文献4】特開2010-129651号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Lambertus Groenendaalら、Adv. Mater.、2000年、12、No. 7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、産業界は、高温耐性および高周波耐性を必要とする3C製品において液体コンデンサに置き換えるための、50V以上などのより高い電圧に耐えることができ、良好な安定性を有し、比較的低コストの価格である固体コンデンサの開発を求めている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、
(a)式(I)のモノマー:
【0013】
【化1】
【0014】
(b)式(II)のモノマー:
【0015】
【化2】
【0016】
および
(c)重合性化合物
[式中、
Aは(Rx)pによって置換されているC1〜4アルキレンであり、
XはOまたはSであり、
B1はO、S、またはNであり、
B2はNまたはCであり、
R1、R2、R3およびRxは独立にH、非置換もしくは置換C1〜20アルキルもしくはアルコキシ、または非置換もしくは置換C6〜20アリールであり、
pは0〜2の整数であり、
qおよびwは独立に0または1の整数である]
を含む電解質材料配合物であって、モノマー(a)100重量部を基準として、モノマー(b)が約1重量部〜約800重量部の量であり、重合性化合物(c)が約1重量部〜約10000重量部の量である、電解質材料配合物を対象とする。
【0017】
本発明はさらに、本発明の電解質材料配合物から重合によって形成される電解質材料組成物を対象とする。
【0018】
本発明はさらになお、
アノードと、
アノード上に形成される誘電体層と、
カソードと、
誘電体層とカソードとの間に設けられる固体電解質と
を含む固体コンデンサであって、固体電解質が本発明による電解質材料組成物を含む、固体コンデンサを対象とする。
【0019】
本発明による電解質材料組成物はより良好な構造安定性を示し、この電解質材料組成物から製造される固体コンデンサは、簡単な構成、低コスト、および良好な加工安定性という利点とともに、それによって高い耐電圧(または火花電圧ともいう)および高容量を有し、25V、35V、50V、63V、またはそれよりも高い電圧で動作することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態によるコンデンサ素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書の開示についてのより良い理解を得るため、いくつかの用語について以下のとおり定義する。
【0022】
用語「約」とは、当技術分野における通常の知識を有する者によって決定される値の許容可能な偏差で、部分的には値の計算または決定の仕方によるものを意味する。いくつかの実施形態では、用語「約」とは、標準偏差1、2、3、または4の範囲内を意味する。さらに他の実施形態では、用語「約」とは、所与の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%の範囲内を意味する。
【0023】
用語「アルキル」とは、直鎖または分枝状の炭素鎖基(carbon chain radical)を意味する。いくつかの実施形態では、アルキルは1〜20個の炭素(C1〜20)、1〜15個の炭素(C1〜15)、1〜10個の炭素(C1〜10)、または1〜6個の炭素(C1〜6)を有する炭素鎖基である。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル(すべての異性体形態を含む)、n-プロピル、イソプロピル、ブチル(すべての異性体形態を含む)、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル(すべての異性体形態を含む)、およびヘキシル(すべての異性体形態を含む)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0024】
用語「アルキレン」とは、置換されていてもよい、二価の、直鎖または分枝状の炭素鎖基を意味する。いくつかの実施形態では、アルキレンは1〜4個の炭素(C1〜4)を有する炭素鎖基である。アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン(すべての異性体形態を含む)、n-プロピレン、イソプロピレン、ブチレン(すべての異性体形態を含む)、n-ブチレン、イソブチレン、およびtert-ブチレンが挙げられるが、これらに制限されない。
【0025】
用語「アルコキシ」とは、上記で説明したアルキルが酸素原子と結合したものを意味する。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n-プロポキシ、2-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、および2-ナフトキシが挙げられるが、これらに制限されない。
【0026】
用語「アリール」とは、単環または多環の、一価の芳香族基(aromatic radical)を意味する。いくつかの実施形態では、アリールは6〜20個(C6〜20)、6〜15個(C6〜15)、または6〜10個(C6〜10)の環原子を有する。アリールの例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントラシル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、およびテルフェニルが挙げられるが、これらに制限されない。アリールはまた、二環または三環の炭素環であって、その環のうちの1つが芳香環であり、他の1つまたは2つの環は飽和、部分的に不飽和、または、ジヒドロナフチル、インデニル、ジヒドロインデニル、およびテトラヒドロナフチルなどの芳香環であることが可能なものを意味する。
【0027】
本発明によるいくつかの実施形態を以下のとおり例示する。しかし、本発明はまた、その趣旨から逸脱することなく、さまざまな実用的な実施形態を包含するものであり、明細書中に記載したものに制限されるものと解釈するべきではない。さらに、特に断りのない限り、「a」、「an」または「the」等は単数形または複数形を表す。用語「置換」とは、水素が置換基によって置き換えられることを表し、前記の置換基は水素以外の任意の基または元素が可能である。さらには、明瞭性を期すために、図面において示される要素および領域のサイズは、現実の率に従って描かれるのではなく、拡大をすることが可能である。
【0028】
本発明は、(a)式(I)のモノマー、(b)式(II)のモノマー、および(c)重合性化合物を含む電解質材料配合物に関する。
【0029】
本発明で使用するモノマー(a)は、下記の式(I):
【0030】
【化3】
【0031】
[式中、Aは(Rx)pによって置換されているC1〜4アルキレンであり、XはOまたはSであり、ここでRxは独立にH、非置換もしくは置換C1〜20アルキルもしくはアルコキシ、または非置換もしくは置換C6〜20アリールであり、pは0〜2の整数である]
の構造を有する。
【0032】
モノマー(a)としては、好ましくは、
【0033】
【化4】
【0034】
(式中、R4およびR5はそれぞれ独立にH、非置換もしくは置換のC1〜15アルキルもしくはアルコキシ、または非置換もしくは置換のC6〜15アリールを表す。好ましくは、R4およびR5はそれぞれ独立にHまたはC1〜3アルキルもしくはアルコキシを表す)
が挙げられるが、これらに制限されない。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、モノマー(a)は、
【0036】
【化5】
【0037】
(3-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキセピン)、または
【0038】
【化6】
【0039】
(チエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール)である。
【0040】
本発明の電解質材料配合物はモノマー(b)を含み、それによってモノマー(a)との重合度の高い導電性ポリマー構造を形成する。モノマー(b)は下記の式(II):
【0041】
【化7】
【0042】
(式中、B1はO、SまたはNであり、B2はNまたはCであり、qおよびwはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、R1、R2およびR3はそれぞれ独立にH、非置換もしくは置換のC1〜20アルキルもしくはアルコキシ、または非置換もしくは置換のC6〜20アリールを表し、B1がOまたはSの場合、qは0であり、B2がNの場合、wは0である)
の構造を有する。
【0043】
モノマー(b)としては、好ましくは、
【0044】
【化8】
【0045】
(式中、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立にHまたはC1〜3アルキルもしくはアルコキシを表す)またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに制限されない。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、モノマー(b)は、
【0047】
【化9】
【0048】
である。
【0049】
本発明の電解質材料配合物は重合性化合物(c)を含み、それによって第2のポリマーが形成されることにより、モノマー(a)およびモノマー(b)から重合した重合度の高い第1のポリマーをアルミニウム箔表面または孔に、該表面または孔から剥がれ落ちることなく容易に付着させることが可能となる。本発明で使用する重合性化合物(c)は、本発明の電解質材料配合物中に、モノマー、オリゴマー、またはこれらの組合せの形態で存在する。本発明の電解質材料配合物で使用する重合性化合物は、エポキシ基含有重合性化合物、ビニル含有不飽和重合性化合物、アクリレート含有不飽和重合性化合物、またはそれらの混合物であってもよい。
【0050】
好ましくは、重合性化合物(c)は、
【0051】
【化10】
【0052】
(式中、nは3以上の整数であり、mは2以上の整数であり、Gは有機基、無機基、またはそれらの混合物である)
からなる群から選択される。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、重合性化合物は、
【0054】
【化11】
【化12】
【0055】
からなる群から選択される。
【0056】
重合性化合物(c)は、好ましくは40〜1,000,000の範囲、より好ましくは40〜500,000の範囲、最も好ましくは40〜100,000の範囲の分子量を有する。
【0057】
本発明の電解質材料配合物において、モノマー(a)100重量部を基準として、モノマー(b)は約1重量部〜約800重量部の量であり、重合性化合物(c)は約1重量部〜約10000重量部の量である。好ましくは、モノマー(a)100重量部を基準として、モノマー(b)の量は約5重量部〜約400重量部であり、重合性化合物(c)の量は約5重量部〜約5000重量部である。
【0058】
本発明による電解質材料配合物は、任意選択により酸化剤を含有してもよく、これによりモノマー(a)およびモノマー(b)からの導電性ポリマーの形成が促進される。本発明において有用な酸化剤は当技術分野において既知であり、例えば、アルカリ金属過硫酸塩、アンモニウム塩、過酸化物、もしくは有機酸の第二鉄塩、またはこれらの組合せであることができる。好ましくは、酸化剤はp-トルエンスルホン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、もしくは過酸化水素、またはそれらの混合物であることができる。本発明の一実施形態によれば、酸化剤はp-トルエンスルホン酸鉄(III)である。
【0059】
本発明の電解質材料配合物において、モノマー(a)とモノマー(b)の合計量100重量部を基準として、酸化剤の量は、好ましくは約5重量部〜約3000重量部、より好ましくは約100重量部〜約1000重量部、最も好ましくは約100重量部〜約300重量部である。
【0060】
本発明の電解質材料配合物は、任意選択により硬化剤を含むことができる。例えば、エポキシ基含有重合性化合物を使用する場合、硬化剤を加え、架橋および硬化すると、3次元のネットワーク構造が形成される。本発明において有用な硬化剤は当技術分野において既知であり、例えば、
【0061】
【化13】
【0062】
などのアミンまたは酸無水物であることができる。
【0063】
本発明の電解質材料配合物において、重合性化合物(c)の量に対する硬化剤の量の重量比は0〜2、好ましくは0〜1.5である。
【0064】
硬化反応を加速するため、本発明の電解質材料配合物は触媒をさらに含んでもよい。本発明において有用な触媒は当技術分野において既知であり、例えば、第三級アミン、アゾ化合物、またはベンゾイル化合物が可能である。本発明の一実施形態によれば、有用な触媒としては、
【0065】
【化14】
【0066】
が挙げられる。
【0067】
本発明の電解質材料配合物において、触媒は、重合性化合物(c)に対する触媒の重量比が0.001〜1、好ましくは0.005〜0.5、より好ましくは0.01〜0.25となるような量で使用される。
【0068】
本発明はまた、
(A)モノマー(a)およびモノマー(b)に由来する重合単位から形成される第1のポリマーと、
(B)重合性化合物(c)に由来する重合単位から形成される第2のポリマーと
を含む、電解質材料配合物から重合によって形成される電解質材料組成物を提供する。
【0069】
従来の固体電解質で使用する導電性ポリマーは通常、重合度の低い粉末様の構造であって、これはアノード箔表面または孔に付着させることが容易ではなく、該表面または孔から剥がれ落ちやすく、乏しい安定性を示し、生産収率は低い。本発明の電解質材料組成物は第1のポリマーおよび第2のポリマーを含有し、第1のポリマーおよび第2のポリマーは互いに反応しない。
【0070】
第1のポリマーは導電性ポリマーとして使用され、高い耐熱性、高い導電性、高い電荷移動速度、無毒性である、長期の使用寿命、およびコンデンサに適用した際にコンデンサ破裂が起きないという特徴を示す。第1のポリマーは、酸化剤の存在下においてモノマー(a)およびモノマー(b)の重合から形成される。この第1のポリマーは、1000〜500000の範囲、好ましくは1000〜50000の範囲、より好ましくは1000〜20000の範囲の分子量を有する。
【0071】
第2のポリマーは重合可能な材料として使用されるが、重合において分子の架橋度を増大させ、第2のポリマーが硬化することを可能にするために、第2のポリマーは任意選択により、重合性化合物および硬化剤に由来する重合単位から形成される。第2のポリマーのネットワーク構造が薄膜を形成することによって、第1のポリマーの分子構造の安定性が改良されるので、第1のポリマーをコンデンサ素子に対して剥がれ落ちることなく付着させることが可能となり、高電圧(電圧16V以上)の動作環境、好ましくは電圧63V以上の動作環境において適用可能である。
【0072】
本発明の電解質材料配合物はコンデンサ内で重合され、そのプロセスはその場(in situ)での反応に属するものである。このその場でのプロセスは、一溶液法、二溶液法、および多溶液法(multiple- solution method)に分類することが可能である。例えば、本発明の電解質材料配合物および酸化剤は、単独の溶液中に配合することもできるし、あるいは第1の溶液および第2の溶液[第1の溶液がモノマー(a)、モノマー(b)および重合性化合物(c)を含有し、第2の溶液が酸化剤を含有する]を含む2つの溶液中に配合することもできる。本発明の電解質材料配合物はまた、第1の溶液、第2の溶液および第3の溶液[第1の溶液がモノマー(a)およびモノマー(b)を含有し、第2の溶液が酸化剤を含有し、第3の溶液が重合性化合物(c)を含有する]を含む複数の溶液中に配合することもできる。一溶液法、二溶液法、または多溶液法に関わらず、硬化剤および触媒を任意選択により加えてもよく、硬化剤および触媒は上記で定義のとおりである。溶液の粘性を調節するために、本発明の電解質材料配合物はさらに溶媒を含有してもよい。本発明において有用な溶媒は、原則的に特に制限されないが、例えば、水、アルコール、もしくはベンゼン、またはそれらの組合せが可能であり、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、もしくは水、またはそれらの組合せが可能である。
【0073】
本発明はさらに、アノードと、アノード上に形成される誘電体層と、カソードと、誘電体層とカソードとの間に設けられる固体電解質とを含む固体コンデンサであって、固体電解質が上述の電解質材料組成物を含む、固体コンデンサを提供する。この固体コンデンサは、アルミニウム固体コンデンサ、タンタル固体コンデンサ、またはニオブ固体コンデンサであってもよい。具体的には、固体コンデンサの主要部として、アノードは、エッチングした導電性金属箔をアノード箔として用いて、このアノード箔の表面にアノード酸化加工を実施し、アノード箔からワイヤを導くことによって形成され、カソードは、別の金属箔をカソード箔として用いて、カソード箔からワイヤを導くことによって形成される。誘電体層は酸化物等から形成され、アノード箔の表面に形成され、アノード箔とカソード箔との間に設けられる。アノード箔およびカソード箔は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、チタンめっきアルミニウム(titanium plated aluminum)、または炭素めっきアルミニウム(carbon plated aluminum)から形成される。アノード箔およびカソード箔は円筒形に巻かれ、溶液の形態の電解質材料配合物および酸化剤に浸漬され、硬化処理(例えば、熱硬化または光硬化)の後に、誘電体層と固体コンデンサのカソード箔との間に固体電解質が形成される。
【0074】
固体電解質がコンデンサ素子に形成された後、固体コンデンサは従来の技術および材料を使用して形成してもよい。例えば、コンデンサ素子を底部のあるボックスに取り付けてもよく、ワイヤを出す開口部のあるシール要素をボックスの上部に配置してもよく、封入後に固体コンデンサを形成してもよい。本発明の電解質材料配合物から製造される固体コンデンサは、簡単な構成、低コスト、高電圧耐性(63V以上)、高容量、および低インピーダンス(35mΩ以下)という利点を示す。
【0075】
以下において、本発明の一実施形態による電解質材料組成物および固体コンデンサを製造する方法を、図1に関連して説明する。
【0076】
図1は、本発明の一実施形態によるコンデンサ素子を示す。図1に示すように、アノード箔1およびカソード箔3、ならびにアノード箔1とカソード箔3との間に挟み込まれたスペーサー部品5aおよび5bは、一緒に巻かれてコンデンサ素子9を形成する。ワイヤ7aおよび7bは、カソード箔3およびアノード箔1を外部回路に接続するための端子の役割をする。
【0077】
カソード箔およびアノード箔のいずれもがワイヤ接続されていることを条件として、カソード箔およびアノード箔に接続するワイヤの数は特に制限されない。カソード箔およびアノード箔の数は特に制限されず、例えば、カソード箔の数はアノード箔の数と同じでもよく、あるいはカソード箔の数はアノード箔の数を超えていてもよい。酸化物等から形成される誘電体層(図示せず)がアノード箔の表面に形成され、アノード箔とカソード箔との間に設けられる。アノード箔1、カソード箔3、スペーサー部品5aおよび5b、ならびにワイヤ7aおよび7bは、既知の材料を用いて既知の技術によって製造される。
【0078】
次に、コンデンサ素子を、溶液の形態の電解質材料配合物に浸漬して、固体電解質が誘電体層と固体コンデンサのカソード箔との間に形成されるようにする。
【0079】
固体電解質を形成させる方法は、最初に、上記で説明したように、電解質材料配合物および酸化剤を単独の溶液または複数の溶液中に配合することを含む。電解質材料配合物および酸化剤を単独の溶液中に配合する場合には、コンデンサ素子9を電解質材料配合物および酸化剤の溶液に直接浸漬し、電解質材料配合物および酸化剤を上述のように2つの溶液中に配合する場合には、コンデンサ素子9を最初に第1の溶液に浸漬し、次いで第2の溶液に浸漬するか、あるいはコンデンサ素子9を最初に第2の溶液に浸漬し、次いで第1の溶液に浸漬し、その後で重合反応を行うことができる。重合反応は、温度25℃〜260℃、好ましくは85℃〜160℃で、1〜12時間、好ましくは1〜5時間で行うことができ、この時間内に、最初に、モノマー(a)を酸化剤の存在下でモノマー(b)と反応させて導電性ポリマーを形成させる。次に、重合性化合物を硬化処理(例えば、熱処理)にかけて重合性材料を形成させる。任意選択により、この熱処理プロセスにおいて、硬化剤、もしくは触媒、またはこれらの混合物を添加してもよい。
【0080】
このようにして、導電性ポリマーおよび重合性材料を含有する電解質材料組成物が、アノード箔の誘電体層とカソード箔との間に形成される。
【0081】
導電性ポリマーおよび重合性材料を含有する電解質材料組成物は、熱処理後に、本発明の電解質材料配合物から形成される。この重合性材料によって、導電性ポリマーの構造の安定性が高められ、アノードを漏洩電流が突き抜けることが防止され、それにより固体コンデンサの短絡を回避することが可能となる。ゆえに、この重合性材料は、固体コンデンサの電圧耐性を改良することができ、導電性ポリマーの付着特性を改良することができ、そのため重合度の高い導電性ポリマー構造を金属箔の電極表面または孔に形成させることが可能であり、高い電圧に耐えることができ、高容量を有する。ゆえに、本固体コンデンサは、高電圧コンデンサを必要とする産業、例えば、LEDランプ、電子省エネランプ(electronic energy-saving lamp)用の駆動電源、および整流器、モーター電子機器、コンピュータのマザーボード、周波数変換器、ネットワーク通信、医療機器用の電源、およびUPSなど他のハイエンド領域において広く利用することができる。
【0082】
以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、これらは例示目的のために提供されるものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者が容易になし得るいかなる修正形態または変更形態も、本明細書の開示の範囲および添付の特許請求の範囲内に含まれる。
【実施例】
【0083】
[実施例1]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、30gの
【化15】
、2.6gの
【化16】
、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するエタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化17】
、20gの硬化剤:
【化18】
、および2gの触媒:
【化19】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0084】
[実施例2]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、30gの
【化20】
、5.3gの
【化21】
、15gの重合性化合物:
【化22】
、20gの硬化剤:
【化23】
、および2gの触媒:
【化24】
を混合することによって形成された第一の溶液に5分間浸漬させ、次いで、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を45%含有するn-ブタノール溶液である第二の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0085】
[実施例3]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を50%含有するtert-ブタノール溶液である第二の溶液に5分間浸漬させ、次いで、7.9gの
【化25】
、30gの
【化26】
、15gの重合性化合物:
【化27】
、27gの硬化剤:
【化28】
、および2gの触媒:
【化29】
を混合することによって形成された第一の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0086】
[実施例4]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、30gの
【化30】
、および2.6gの
【化31】
を含有する第一の溶液に5分間浸漬させた後、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を50%含有するtert-ブタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化32】
、20gの硬化剤:
【化33】
、および2gの触媒:
【化34】
を混合することによって形成された第二の溶液に5分間浸漬させた。このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0087】
[実施例5]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を55%含有するエタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化35】
、20gの硬化剤:
【化36】
、および2gの触媒:
【化37】
を混合することによって形成された第二の溶液に5分間浸漬させ、次いで、30gの
【化38】
、および5.3gの
【化39】
を含有する第一の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0088】
[実施例6]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、40gの
【化40】
、5.3gの
【化41】
、120gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するプロパノール溶液、50gの重合性化合物:
【化42】
、50gの硬化剤:
【化43】
、および5gの触媒:
【化44】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0089】
[実施例7]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、40gの
【化45】
、2.6gの
【化46】
、120gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するエタノール溶液、40gの重合性化合物:
【化47】
、40gの硬化剤:
【化48】
、および5gの触媒:
【化49】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0090】
[実施例8]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、30gの
【化50】
、5.3gの
【化51】
、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化52】
、および20gの硬化剤:
【化53】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0091】
[実施例9]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、7.9gの、エタノール希釈した95%の
【化54】
、30gの
【化55】
、15gの重合性化合物:
【化56】
、15gの硬化剤:
【化57】
、および2gの触媒:
【化58】
を混合することによって形成された第一の溶液に5分間浸漬させ、次いで、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を45%含有するn-ブタノール溶液である第二の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0092】
[実施例10]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、30gの
【化59】
、2.6gの
【化60】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化61】
、20gの硬化剤:
【化62】
、および2gの触媒:
【化63】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0093】
[実施例11]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、30gの
【化64】
、5.3gの
【化65】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化66】
、20gの硬化剤:
【化67】
、および2gの触媒:
【化68】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0094】
[実施例12]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、30gの
【化69】
、7.9gの
【化70】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化71】
、15gの硬化剤:
【化72】
、および2gの触媒:
【化73】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0095】
[実施例13]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、30gの
【化74】
、2.6gの
【化75】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化76】
、15gの硬化剤:
【化77】
、および2gの触媒:
【化78】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0096】
[実施例14]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、30gの
【化79】
、5.3gの
【化80】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、20gの重合性化合物:
【化81】
、40gの硬化剤:
【化82】
、および5gの触媒:
【化83】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0097】
[実施例15]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、7.9gの
【化84】
、30gの
【化85】
、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、30gの重合性化合物:
【化86】
、40gの硬化剤:
【化87】
、および3gの触媒:
【化88】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0098】
[実施例16]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、30gの
【化89】
、2.6gの
【化90】
、30gの重合性化合物:
【化91】
、および3gの触媒:
【化92】
を混合することによって形成された第一の溶液に5分間浸漬させ、次いで、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を50%含有するtert-ブタノール溶液である第二の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0099】
[実施例17]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液である第二の溶液に5分間浸漬させ、次いで、30gの
【化93】
、5.3gの
【化94】
、および30gの重合性化合物:
【化95】
を混合することによって形成された第一の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0100】
[実施例18]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、30gの
【化96】
、および7.9gの
【化97】
を含む第一の溶液に5分間浸漬させ、次いで、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、25gの重合性化合物:
【化98】
、および3gの触媒:
【化99】
を混合することによって形成された第二の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0101】
[実施例19]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、まず、100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、および30gの重合性化合物:
【化100】
を混合することによって形成された第二の溶液に5分間浸漬させ、次いで、2.6gの
【化101】
、および30gの
【化102】
を混合することによって形成された第一の溶液に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0102】
[実施例20]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、50gの
【化103】
、5.3gの
【化104】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、30gの重合性化合物:
【化105】
、および3gの触媒:
【化106】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0103】
[実施例21]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、50gの
【化107】
、7.9gの
【化108】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、30gの重合性化合物:
【化109】
、および3gの触媒:
【化110】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0104】
[実施例22]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、50gの
【化111】
、7.9gの
【化112】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、30gの重合性化合物:
【化113】
、および3gの触媒:
【化114】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0105】
[実施例23]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、50gの
【化115】
、7.9gの
【化116】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、30gの重合性化合物:
【化117】
、および3gの触媒:
【化118】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0106】
[実施例24]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、50gの
【化119】
、7.9gの
【化120】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、30gの重合性化合物:
【化121】
、および3gの触媒:
【化122】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0107】
[実施例25]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、50gの
【化123】
、7.9gの
【化124】
、150gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液、30gの重合性化合物:
【化125】
、および3gの触媒:
【化126】
を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0108】
[比較例1]
図1に示したように、コンデンサ素子9を、10gの
【化127】
、および100gの、p-トルエンスルホン酸鉄(III)を40%含有するtert-ブタノール溶液を混合することによって形成された電解質材料配合物に5分間浸漬させた。次いで、このコンデンサ素子を電解質材料配合物から取り出し、25℃〜260℃の範囲の温度にて熱重合にかけて、導電性ポリマーおよび重合性材料の混合物を含む個体コンデンサを形成させた。
【0109】
[固体コンデンサの製造および電気特性試験]
実施例1〜25および比較例1にしたがって製造した固体コンデンサを有するコンデンサ素子を、底のある箱内に入れ、この箱を、弾性物質によって形成されたシール要素を用いてワイヤを露出させた状態で密封し、これによって固体コンデンサを形成させた。
【0110】
得られた固体コンデンサを、以下に記述するデバイスおよび方法によって試験した。
【0111】
[静電容量の測定]
固体コンデンサを、HP4284A LCRメータによって、20℃および120Hzの周波数で試験した。
【0112】
[耐電圧の測定]
固体コンデンサを、Capacitor Leakage Current/IR Meter Chroma Model 11200によって試験した。
【0113】
【表1】
【0114】
上述した実施例から、当業者であれば、本発明に基づくさまざまな変更態様が実施可能であり、期待可能であると考えるであろう。
【符号の説明】
【0115】
1 アノード箔
3 カソード箔
5a スペーサー部品
5b スペーサー部品
7a ワイヤ
7b ワイヤ
9 コンデンサ素子
図1