(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ニアエンド判定部は、前記画素有りのスキャンの数が前記文字高さ方向に少なくとも所定長連続している場合に印字濃度正常と判定し、前記文字高さ方向に連続する前記画素有りのスキャンの数が前記所定長に達しない場合にニアエンドと判定し、前記画素有りのスキャンが存在しない場合にリボンエンドと判定することを特徴とする請求項1記載の通帳プリンタ装置。
前記ニアエンド判定部は、各印字行の文字高さセンタを中心とする所定範囲のスキャンのうち、前記画素有りのスキャンの数を合計した文字高さが所定長以上の場合に印字濃度正常と判定し、前記画素有りのスキャンの数を合計した文字高さが前記所定長に達しない場合にニアエンドと判定し、前記画素有りのスキャンが存在しない場合にリボンエンドと判定することを特徴とする請求項1記載の通帳プリンタ装置。
前記画素有無判定部は、前記検知視野領域の印字行のうち、印字最終行について行ったスキャンに対して画素有無判定を行うことを特徴とする請求項2または3記載の通帳プリンタ装置。
前記ニアエンド判定用の濃度スライスの値を任意に設定する判定濃度スライス設定部をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の通帳プリンタ装置。
ニアエンドの判定は、前記画素有りのスキャンの数が前記文字高さ方向に少なくとも所定長連続している場合に印字濃度正常と判定し、前記文字高さ方向に連続する前記画素有りのスキャンの数が前記所定長に達しない場合にニアエンドと判定し、前記画素有りのスキャンが存在しない場合にリボンエンドと判定することを特徴とする請求項8記載のインクリボン交換通知方法。
ニアエンドの判定は、各印字行の文字高さセンタを中心とする所定範囲のスキャンのうち、前記画素有りのスキャンの数を合計した文字高さが所定長以上の場合に印字濃度正常と判定し、前記画素有りのスキャンの数を合計した文字高さが前記所定長に達しない場合にニアエンドと判定し、前記画素有りのスキャンが存在しない場合にリボンエンドと判定することを特徴とする請求項8記載のインクリボン交換通知方法。
リボンエンドと判定されたとき、ニアエンド判定用の濃度スライスの値を小さな値に設定し直して、再度、ニアエンドの判定を行い、前記画素有りのスキャンが存在しない場合にリボンエンドと確定することを特徴とする請求項9または10記載のインクリボン交換通知方法。
【背景技術】
【0002】
金融機関等に設置されているATM(Automated Teller Machine)装置、通帳繰越機、通帳発行機、行員が窓口で使う端末装置等には、通帳媒体に取引情報を印字する通帳プリンタ装置を備えている。通帳プリンタ装置は、通帳媒体への記帳後に通帳媒体を返却するが、その際に通帳媒体の紙面を光学的に読み取り、その画像と印字を行ったときの印字位置、印字行数などの情報とを基に印字濃度を調べ、インクリボンが交換時期に達したかどうかを判定する。すなわち、通帳プリンタ装置は、インクリボンの交換直後は、印字文字が濃く印字されるが、その後、使っているうちに印字文字の濃さが徐々に薄くなっていく。そのため、通帳プリンタ装置は、印字濃度が正常状態にあるか、インクリボンが薄くなってきたニアエンド状態にあるか、またはインクリボンの交換が必要なリボンエンド状態にあるかを判定している(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図13は従来の印字濃度の判定方法の一例を示す図であって、(A)は通帳媒体に印字された行の読み取り画像の例を示し、(B)は印字された行の画像の画素量を求める一例を示す説明図である。
【0004】
通帳媒体に印字された文字の印字濃度は、通帳媒体の所定の領域、
図13の(A)の場合は取引の日付の領域を光学的に読み取った画像から、所定濃度以上の画素の総量を基に判定される。
【0005】
すなわち、まず、読み取った画像に対し、スキャンする度にそのスキャンライン上にある黒の画素の量を求めていく。図示の例では、1スキャン目および2スキャン目では、文字を構成する黒の画素がないので、それらの情報は、
図13の(B)に示したようなメモリ上のテーブルの対応場所に0が記録される。3スキャン目から11スキャン目までは、文字を構成する黒の画素が存在するので、その画素量がスキャン毎にテーブルの対応場所にそれぞれ記録される。このときの画素量は、画素濃度を表すPCS(Print Contrast Signal)値が所定のスライスレベルを超えている画素の量が記録される。12スキャン目および13スキャン目では、文字を構成する黒の画素がないので、テーブルの対応場所に0が記録される。その後、それぞれのスキャンで得られた画素量を積算して総画素量を算出し、その総画素量に基づいてリボンニアエンドを判定している。
【0006】
このようにして算出された総画素量が所定の第1スライスレベルを超えると、印字状態良好と判定される。総画素量が所定の第1スライスレベルとそれより低い第2スライスレベルとの間にある場合、リボンニアエンドと判定され、総画素量が所定の第2スライスレベルを下回ると、リボンエンドと判定され、それぞれ、係員に通知されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、ATM装置に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。なお、各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
【0017】
図1はATM装置の構成例を示す図、
図2は通帳プリンタ装置の構成例を示す説明図、
図3は通帳媒体への印字状態を示す図であって、(A)は通帳プリンタ装置へ挿入前の印字状態の例を示し、(B)は記帳後の印字状態の例を示している。
【0018】
ATM装置1は、
図1に示したように、通帳プリンタ装置2とATM制御部3とを備え、ATM制御部3は、ネットワーク4を介してホスト5に接続されている。通帳プリンタ装置2は、通帳媒体6を受け入れ、ホスト5からの情報を基にして取引内容を印字する。
【0019】
通帳プリンタ装置2は、
図2に示したように、通帳挿入口7を備え、この通帳挿入口7には、媒体搬送部8が接続されている。この媒体搬送部8には、媒体搬送方向に沿って、MS−R/W(磁気ストライプリーダライタ)部9、光学部10および印字ヘッド11が配置されている。通帳プリンタ装置2は、また、媒体搬送部8、MS−R/W部9、光学部10および印字ヘッド11の動作を制御し、インクリボンのニアエンド判定通知を行う制御部12を備えている。
【0020】
通帳挿入口7は、通帳媒体6への記帳を行うときに、記帳頁に開いた状態で通帳媒体6が挿入される。通帳挿入口7に挿入された通帳媒体6は、MS−R/W部9によって通帳媒体6の磁気ストライプに記録されている磁気情報が読み取られ、光学部10によって記帳頁の頁情報が読み取られ、磁気情報および頁情報から印字行にセットされる。すなわち、通帳媒体6の印字状態が、
図3の(A)に示すように、たとえば記帳頁の1行目が最終印字行であったとすると、その最終印字行の次の行である2行目が印字開始の印字行となり、通帳媒体6は、その印字行にセットされる。
【0021】
印字行にセットされた通帳媒体6は、印字ヘッド11により、たとえば、
図3の(B)に示すように、未記帳分の取引内容が印字される。印字が行われた後、通帳媒体6は、媒体搬送部8により搬送されて通帳挿入口7から返却される。そのとき、通帳媒体6は、光学部10によって印字情報が読み取られ、その印字情報を基に制御部12がインクリボンのニアエンド判定を行い、その判定結果に応じてリボンニアエンドまたはリボンエンドが保守員向けに通知される。次に、制御部12がニアエンド判定を行うニアエンド判定処理部について説明する。
【0022】
図4はニアエンド判定処理部の構成例を示す図、
図5は実施の形態に用いる制御部のハードウェア構成例を示す図である。
ニアエンド判定処理部20は、
図4に示すように、スキャン画素量格納部21と、判定濃度スライス設定部22と、画素有無判定部23と、ニアエンド判定部24と、所定長値設定部25と、リボン交換通知部26とを備えている。
【0023】
スキャン画素量格納部21は、通帳媒体6の所定の印字領域をスキャンして得られた画素情報から、判定濃度スライス設定部22によって設定されたニアエンド判定用の濃度スライスを超える濃度値の画素の画素量をスキャン毎に格納する。
【0024】
画素有無判定部23は、スキャン毎に格納された画素量が所定画素量以上有るか否かを判断し、画素量が所定画素量以上の場合に、そのスキャンに画素有りと判定し、所定画素量に満たない場合に、画素無しと判定する。
【0025】
ニアエンド判定部24は、文字高さ方向における画素有りのスキャンの数に応じてインクリボンのニアエンドを判定するもので、その文字高さ方向における画素有りのスキャンの数は、所定長値設定部25によって設定される。
【0026】
リボン交換通知部26は、ニアエンド判定部24がリボンニアエンドを判定した場合、インクリボンの交換時期が近いことを通知し、リボンエンドを判定した場合には、インクリボンの交換が必要であることを通知する。
【0027】
以上のニアエンド判定処理部20の処理を実行する制御部12は、
図5に示すように、装置全体の制御を行うことができるCPU(Central Processing Unit)31を含むコンピュータによって構成される。CPU31には、バス36を介してRAM(Random Access Memory)32、フラッシュROM(Read Only Memory)33、入力インタフェース34および通信部35が接続されている。
【0028】
RAM32には、CPU31に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM32には、CPU31による処理に必要な各種データが格納される。フラッシュROM33には、OSやインクリボン交換通知プログラムを含むアプリケーションプログラムが格納される。
【0029】
入力インタフェース34には、光学部10が接続されており、光学部10から送られてくる画像信号を、バス36を介してCPU31に送信する。通信部35は、通帳プリンタ装置2のATM制御部3に接続されており、ATM制御部3を介してホスト5との間で、磁気情報、未記帳データなどを含むデータの送受信を行う。
【0030】
以上のような制御部12のハードウェア構成によって、本実施の形態の通帳プリンタ装置2が有するニアエンド判定処理部20の処理機能を実現することができる。次に、この通帳プリンタ装置2における制御部12の全体的な処理内容について説明する。
【0031】
図6は第1の実施の形態に係る通帳プリンタ装置の全体的な処理概念フローを示す図、
図7はニアエンド判定の濃度スライスと印字濃度の関係を示す図、
図8はスキャン情報の格納イメージ図、
図9は印字箇所のスキャン情報の格納イメージ図である。
【0032】
制御部12の通帳処理は、ATM装置1の顧客操作画面(図示省略)で、「記帳」を選択し、通帳プリンタ装置2の通帳挿入口7に通帳媒体6を差し込むことによって開始される。まず、制御部12は、通帳受付を行い(ステップS1)、差し込まれた通帳媒体6を媒体搬送部8が引込み(ステップS2)、そして、順次、MS−R/W部9および光学部10に移送し、通帳情報をリードする(ステップS3)。
【0033】
すなわち、制御部12は、MS−R/W部9によって通帳媒体6の磁気情報をリードする。MS−R/W部9が読み取る磁気情報には、口座番号・通帳取引開始行・通帳種別などがある。次に、制御部12は、光学部10によって、通帳媒体6の記帳頁に印刷されている頁マーク(
図3参照)と、年月日欄に印字されている行との検知を行う。その後、制御部12は、媒体搬送部8により、印字位置が最終印字の次行となるように通帳媒体6を印字ヘッド11の直下にセットする(ステップS4)。
【0034】
次に、制御部12は、受付条件をチェックして受付条件が成立しているか否かを判断する(ステップS5)。すなわち、制御部12は、磁気情報が正しいこと、頁情報範囲が正しいこと、行セット位置が正しいことなどの条件を調べ、これらの条件がすべて正しいか否かを判断する。ここで、受け付けた通帳媒体6がたとえば正しい記帳頁以外の頁にして差し込まれた場合のように、受付条件が成立しなかった場合には、制御部12は、通帳の返却処理を行う(ステップS6)。その後、制御部12は、顧客操作画面に、窓口誘導または再挿入の指示を出す(ステップS7)。
【0035】
ステップS5の判断において、受付条件が成立していると判断された場合には、通帳媒体6を印字行にセットした状態で、制御部12は、ホスト5に磁気情報、頁情報、セット行情報などを通知し、ホスト5からの指示を待つ。これにより、ホスト5の側では、該当口座の認証と、未記帳有の確認と、記帳開始行の妥当性、頁情報などを調べ、問題がなければ、通帳プリンタ装置2の通帳印字として未記帳分の印字情報を送る(ステップS8)。
【0036】
次に、制御部12は、未記帳分の印字情報の有無を判断し(ステップS9)、記帳すべき印字情報がなければ、通帳返却処理を行い(ステップS10)、この通帳処理を終了させる。
【0037】
ステップS9の判断において、記帳すべき印字情報があった場合、制御部12は、印字ヘッド11による印字処理を実行する(ステップS11)。この印字処理では、印字動作を行うとともに、印字開始行と終了行との情報が記憶される。この記憶された情報は、ホスト5に送られ、ホスト5では、未記帳の印字情報が残っていなければ、送られてきた印字開始行と終了行との情報が保存される。ホスト5に、まだ、未記帳の印字情報が残っていれば、その印字情報がホスト5から送られてくる(ステップS12)。
【0038】
次に、制御部12は、継続印字があるか否かを判断し(ステップS13)、継続印字があれば、ステップS11に戻って、送られてきた未記帳の印字情報による記帳が行われる。通帳媒体6への記帳がすべて終了した場合には、ステップS11の印字処理で記憶されていた情報は、磁気情報の更新情報となる。
【0039】
次に、制御部12は、ニアエンド判定用の濃度スライスを設定し、通帳媒体6の通帳紙面の中でニアエンド判定に使用する検知視野領域を設定する(ステップS14)。これら濃度スライスおよび検知視野領域は、予め定めておくことができ、その場合は、予め定められている値に設定される。もちろん、濃度スライスの値は、ニアエンド判定処理部20の判定濃度スライス設定部22によって変更することができる。
【0040】
ここで、ニアエンド判定用の濃度スライスについて説明する。
図7には、印字濃度の異なる日付印字部分を微細単位で水平方向にスキャンしたときの光学部10が出力する画素濃度を示している。図示のように、日付印字部分の印字が濃い場合には、すべてのスキャンにおいて、画素濃度が濃い値になる。日付印字部分の印字が薄くなってきた場合には、スキャン毎に画素濃度にばらつきが生じるようになり、印字抜けまたは印字が薄すぎる場合には、すべてのスキャンにおいて、画素濃度が非常に薄い値になる。
【0041】
画素濃度が濃い場合には、印字状態が良好と判断することができる。印字が薄い場合には、リボンニアエンドであると判定され、印字が薄すぎる場合には、リボンエンドであると判断されるが、そのリボンニアエンドの判断基準となるのがニアエンド判定用の濃度スライスである。このニアエンド判定用の濃度スライスは、濃い側に設定するほど、画素濃度がまだ濃いうちにリボンニアエンドと判定されてしまう可能性があり、逆に、薄い側に設定するほど、印字文字がかすれて見えなくなってもリボンニアエンドと判定されない可能性がある。したがって、このニアエンド判定用の濃度スライスについては、ある程度、変更できるようにしておくのがよく、本実施の形態でも、判定濃度スライス設定部22によって変更可能にしている。
【0042】
ニアエンド判定に使用する検知視野領域の設定については、
図8に示したように、通帳媒体6の通帳紙面の中でニアエンド判定に使用する領域は、本実施の形態では、印字される領域の中でも、日付が印字される領域を検知視野領域と設定している。
図8では、通帳媒体6を上下逆さまに示しているが、これは、最終印字行を調べるのに、通帳媒体6の通帳下端からスキャンしていることによる。この検知視野領域は、通帳紙面を上下方向に見て、上端余白に頁マークを認識することによって設定される。
【0043】
次に、制御部12は、通帳媒体6を光学部10の方向に移送しながら通帳紙面の検知視野領域をスキャンし、検知視野領域のスキャン画素量を格納する(ステップS15)。すなわち、
図8に示したように、通帳媒体6の通帳下端から通帳上端に向かって通帳紙面の検知視野領域を順次スキャンし、スキャン毎にそのスキャンに含まれる所定濃度以上の画素の量を格納していく。このようにして、スキャンが通帳上端に向かって進行していき、日付印字部分のスキャンについても、
図9に示したように、スキャン毎にそのスキャンに含まれる所定濃度以上の画素の量を格納していく。
【0044】
検知視野領域におけるスキャン画素量の格納が終了すると、制御部12は、通帳媒体6を通帳停止位置で停止させる(ステップS16)。その後、制御部12は、格納した画素量に基づいて印字濃度確認処理を行い(ステップS17)、通帳媒体6をMS−R/W部9に移送して磁気情報の更新を行う(ステップS18)。
【0045】
次に、制御部12は、ステップS17の印字濃度確認処理において求められた印字文字の濃度が正常濃度であるか否かを判断し(ステップS19)、正常濃度でなければ、ニアエンド濃度か否かを判断する(ステップS20)。ここで、画素濃度が薄すぎてニアエンド濃度ではないと判断されると、制御部12は、リボンエンドであると判断し、リボン交換通知を行う(ステップS21)。その後、制御部12は、通帳媒体6を通帳プリンタ装置2の内部に保留した状態で装置を休止状態にする(ステップS22)。
【0046】
ステップS20において、ニアエンド濃度であると判断されると、制御部12は、インクリボンの交換時期が近づいている旨のリボン交換通知を保守員に向けて行う(ステップS23)。
【0047】
ステップS19において正常濃度であると判断された場合、または、ステップS23において、ニアエンド通知が行われた後、制御部12は、通帳媒体6を通帳挿入口7へ移送して利用者に返却し(ステップS24)、この記帳取引の通帳処理を終了する。
【0048】
図10は印字濃度確認処理の第1の例を示すフローチャートである。
印字濃度確認処理では、まず、制御部12は、
図9に示すようなスキャン情報を格納したテーブルから、格納情報の印字終了行の下端位置を算出する(ステップS31)。
図9の例では、未記帳データを印字した部分が、スキャンnoがnからn+22の範囲であり、スキャンno=nが印字終了行の下端位置として求められる。次に、制御部12は、格納した画素量から画素有無を判断し、その結果を格納する(ステップS32)。
図9に示すテーブルの例では、印字開始行上端から終了行下端までの格納画素の画素量から画素有無を判定し、「有」または「無」を格納している。なお、その画素有無の判定基準として、図示の例では、画素量が3以上を「有」、3未満を「無」と判定している。しかし、その値は、この例では3で固定にしているが、任意の値に設定できるようにしてもよい。
【0049】
次に、制御部12は、スキャン情報を格納したテーブルの画素有無の欄から画素有箇所を検索し(ステップS33)、画素有箇所があるか否かを判断する(ステップS34)。ここで、画素有箇所がなければ、リボンエンドが確定される(ステップS35)。
【0050】
ステップS34の判断において、画素有箇所が一つでもあれば、制御部12は、所定長が2ミリメートル(mm)以上となる連続箇所を検索する(ステップS36)。すなわち、印字終了行下端から印字開始行上端までの範囲に画素有箇所が所定長連続している箇所があるかどうかを調べる。たとえば、所定長値設定部25では、印字文字の高さが3mmの場合、その文字高さの3分の2である2mmを所定長として設定しているので、印字文字の高さ方向において画素有の箇所が2mm以上の範囲に亘って連続しているかを調べている。
【0051】
次に、制御部12は、印字文字の高さ方向に画素有の箇所が所定長以上連続しているか否かを判断し(ステップS37)、所定長以上連続していない場合には、ニアエンドを確定する(ステップS38)。ステップS37の判断において、画素有の箇所が所定長以上連続している場合、制御部12は、濃度正常を確定する(ステップS39)。
【0052】
このように、この第1の印字濃度確認処理では、画素有のスキャンが文字高さ方向に所定長以上連続しているか否かを判断し、画素有の連続長が所定長に満たなくなった場合には、リボンニアエンド状態にあると判断するようにしている。この印字濃度確認処理は、所定の領域に印字された文字を構成する黒点の総画素量でリボンニアエンドを判断しているのではないので、安定したリボンニアエンド判定を可能にしている。
【0053】
また、通帳印字用のリボン濃度は、使用していくうちに、文字全体が一様の濃度で印字されることはなく、文字自身に濃淡むらが生じてくる。しかも、濃度判定を行っている対象文字は日付であるため、常に異なる字体で印字される。このため文字の黒点の総画素量からニアエンド通知を行う場合、通知した時の濃度範囲が広くなってしまう。しかし、この第1の印字濃度確認処理では、画素有のスキャンが文字高さ方向の連続長で判断しているので、ニアエンド通知をした時の濃度範囲を狭めることができ、ニアエンドに至らないインクリボンに対し、ニアエンドの誤通知の可能性を減らすことができる。
【0054】
図11は印字濃度確認処理の第2の例を示すフローチャートである。
印字濃度確認処理では、まず、制御部12は、
図9に示すようなスキャン情報を格納したテーブルから、格納情報の印字終了行の下端位置を算出する(ステップS41)。
図9の例では、未記帳データを印字した部分が、スキャンnoがnからn+22の範囲であり、スキャンno=nが印字終了行の下端位置として求められる。次に、制御部12は、格納した画素量から画素有無を判断し、その結果を格納する(ステップS42)。
図9に示すテーブルの例では、印字開始行上端から終了行下端までの格納画素の画素量から画素有無を判定し、「有」または「無」を格納している。なお、その画素有無の判定基準として、図示の例では、画素量が3以上を「有」、3未満を「無」と判定している。しかし、その値は、この例では3で固定にしているが、任意の値に設定できるようにしてもよい。
【0055】
次に、制御部12は、スキャン情報を格納したテーブルの画素有無の欄を検索し、画素有箇所があるか否かを判断する(ステップS43)。ここで、画素有箇所がなければ、リボンエンドが確定される(ステップS44)。
【0056】
ステップS43の判断において、画素有箇所が一つでもあれば、制御部12は、印字した各行のセンタを、文字高さのセンタとして所定範囲に一定量の画素有が存在するかを各印字行について確認する(ステップS45)。たとえば、印字文字の高さを3mmとした場合、画素有の合計値が文字高さの3分の2である2mm以上となる箇所の有無を調べる。この画素有の合計値は、所定長値設定部25において設定されており、2mmの間に存在する黒点の画素量で設定され、その値は、任意に設定することができる。
【0057】
次に、制御部12は、印字文字の高さ方向に画素有の合計値が所定長以上あるか否かを判断し(ステップS46)、所定長以上ない場合には、ニアエンドを確定する(ステップS47)。ステップS46の判断において、画素有の箇所が所定長以上ある場合、制御部12は、濃度正常を確定する(ステップS48)。
【0058】
このように、この第2の印字濃度確認処理では、画素有のスキャンの合計値が文字高さ方向に所定長以上あるか否かを判断し、画素有の合計値が所定長に満たなくなった場合には、リボンニアエンド状態にあると判断するようにしている。この第2の印字濃度確認処理についても、第1の印字濃度確認処理と同様の効果を得ることができ、リボンニアエンド判定を安定して得ることができる。
【0059】
図12は第2の実施の形態に係る通帳プリンタ装置の全体的な処理概念フローを示す図である。
制御部12の通帳処理は、たとえば、未記帳の取引内容を印字するために、通帳媒体6を通帳プリンタ装置2の通帳挿入口7に差し込むことによって開始される。まず、制御部12は、通帳受付を行う(ステップS51)。ここの通帳受付の処理は、説明を簡略化するために
図6に示したステップS1−S8を含むものとしている。
【0060】
次に、制御部12は、未記帳分の印字情報の有無を判断し(ステップS52)、記帳すべき印字情報がなければ、通帳返却処理を行い(ステップS53)、この通帳処理を終了させる。
【0061】
ステップS52の判断において、記帳すべき印字情報があった場合、制御部12は、印字ヘッド11による印字処理を実行する(ステップS54)。この印字処理では、印字動作を行うとともに、印字開始行と終了行との情報が記憶される。この記憶された情報は、ホスト5に送られ、ホスト5では、未記帳の印字情報が残っていなければ、送られてきた印字開始行と終了行との情報が保存される。ホスト5に、まだ、未記帳の印字情報が残っていれば、その印字情報がホスト5から送られてくる(ステップS55)。
【0062】
次に、制御部12は、継続印字があるか否かを判断し(ステップS56)、継続印字があれば、ステップS54に戻って、送られてきた未記帳の印字情報による記帳が行われる。通帳媒体6への記帳がすべて終了した場合には、ステップS54の印字処理で記憶されていた情報は、磁気情報の更新情報となる。
【0063】
次に、制御部12は、ニアエンド判定用の濃度スライスを設定し、通帳媒体6の通帳紙面の中でニアエンド判定に使用する検知視野領域を設定する(ステップS57)。これら濃度スライスおよび検知視野領域は、予め定めておくことができ、その場合は、予め定められている値に設定される。もちろん、濃度スライスの値は、ニアエンド判定処理部20の判定濃度スライス設定部22によって変更することができる。
【0064】
次に、制御部12は、通帳媒体6を光学部10の方向に移送しながら通帳紙面の検知視野領域をスキャンし、検知視野領域のスキャン画素量を格納する(ステップS58)。
検知視野領域におけるスキャン画素量の格納が終了すると、制御部12は、通帳媒体6を通帳停止位置で停止させる(ステップS59)。その後、制御部12は、格納した画素量に基づいて印字濃度確認処理を行い(ステップS60)、通帳媒体6をMS−R/W部9に移送して磁気情報の更新を行う(ステップS61)。
【0065】
次に、制御部12は、ステップS60の印字濃度確認処理において求められた印字文字の濃度が正常濃度であるか否かを判断し(ステップS62)、正常濃度でなければ、ニアエンド濃度か否かを判断する(ステップS63)。
【0066】
ステップS63の判断において、ニアエンド濃度でない、すなわち、リボンエンドであると判断されると、制御部12は、通帳媒体6を戻し(ステップS64)、スキャン情報を格納するテーブルのポインタを、通帳紙面のスキャン画素量を格納する前位置まで戻す。
【0067】
次に、制御部12は、ニアエンド判定用の濃度スライスを設定し、通帳媒体6の通帳紙面の中でニアエンド判定に使用する検知視野領域を設定する(ステップS65)。このとき、設定されるニアエンド判定用の濃度スライスは、ステップS57で設定されるニアエンド判定用の濃度スライスの値よりも小さな値に設定され、エンド判定用の濃度スライスとして設定される。
【0068】
次に、制御部12は、通帳媒体6を光学部10の方向に移送しながら通帳紙面の検知視野領域をスキャンし、検知視野領域のスキャン画素量を格納する(ステップS66)。
検知視野領域におけるスキャン画素量の格納が終了すると、制御部12は、通帳媒体6を通帳停止位置で停止させる(ステップS67)。
【0069】
次に、制御部12は、ステップS60の印字濃度確認処理と同じ印字濃度確認処理を実行し、印字文字の濃度が正常濃度、ニアエンド濃度、リボンエンド濃度を判定し、記憶する(ステップS68)。ここで、リボンエンド濃度であるか否かが判定され(ステップS69)、リボンエンド濃度であると判定されると、制御部12は、リボン交換通知を行う(ステップS70)。
【0070】
ステップS63において、ニアエンド濃度であると判断されると、制御部12は、インクリボンの交換時期が近づいている旨のリボン交換通知を保守員に向けて行う(ステップS71)。
【0071】
ステップS62において正常濃度であると判断された場合、または、ステップS71において、ニアエンド通知が行われた後、制御部12は、通帳媒体6を通帳挿入口7へ移送して利用者に返却し(ステップS72)、この記帳取引の通帳処理を終了する。
【0072】
このように、第2の実施の形態では、最初にエンド濃度と判定されたときに、1回目のニアエンド判定用の濃度スライスを変更してエンド濃度判定を行い、再度、エンド濃度となったときにリボンエンド確定とするものである。
【0073】
このため、判定濃度スライス設定部22では、ニアエンド判定用の濃度スライスとエンド判定用の濃度スライスとを持つことにより、両方のスライスを超えた画素量を各々格納することになる。ニアエンド判定部24では、最初にニアエンド判定用の濃度スライスの格納情報で1回目の印字濃度確認を行い、エンド濃度となったとき、エンド判定用の濃度スライスの格納情報で2回目の印字濃度確認を行う。ここで、エンド濃度とならなかったときは、ニアエンド濃度としても同様の結果が得られる。
【0074】
なお、ステップS60,S68における印字濃度確認処理は、
図10または
図11で述べた印字濃度確認処理が適用される。