(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相手コネクタに挿抜可能に嵌合接続される電気コネクタであって、該電気コネクタは、コネクタ挿抜方向に対して直角な一方向を長手方向として延びるハウジングと、上記長手方向を端子配列方向として該ハウジングに配列保持される複数の端子と、上記ハウジングで保持されるロック金具とを有しており、上記ハウジングは、上記コネクタ挿抜方向に対して直角な面で延びる底壁と、該底壁から上記コネクタ挿抜方向に起立する周壁とを有しており、上記周壁は、上記端子配列方向に延びる二つの側壁と、上記端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向に延び上記側壁の上記端子配列方向での端部同士を連結する端壁とを有し、上記周壁によって囲まれた空間が、相手コネクタを受け入れるための受入部として形成されている電気コネクタにおいて、
ロック金具は、金属板が板厚方向に屈曲した形状をなし、両端壁のそれぞれに配されており、相手コネクタに対面するハウジングの端壁の上壁面に配置される基部と、端子配列方向での上記基部の両側縁から延び略同一形状に形成された二つの被ロック脚部を有し、相手コネクタに設けられた相手ロック部が上記両端壁のロック金具のそれぞれに対して、端子配列方向で同じ側に位置する被ロック部へ一方向から係合可能とするように、各ロック金具の両方の上記被ロック脚部に被ロック部として孔部、凹部そして凸部のいずれかが形成されていてコネクタ抜出方向で上記相手ロック部に対して係止することを特徴とする電気コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ1およびこれに対して上方から嵌合されるプラグコネクタ2の斜視図であり、コネクタ嵌合前の状態を示している。
図2は、
図1のレセプタクルコネクタ1およびプラグコネクタ2を上下反転させて示した斜視図であり、プラグコネクタ2を下方から嵌合させるようにした姿勢で示した斜視図である。
【0020】
本実施形態におけるプラグコネクタ2及び該プラグコネクタ2の相手コネクタとしてのレセプタクルコネクタ1は、それぞれ異なる回路基板(図示せず)の実装面上に配される回路基板用電気コネクタであり、各回路基板の面に対して直角な方向(
図1での上下方向)を挿抜方向とするコネクタ組立体を構成している。本実施形態では、相手コネクタたるレセプタクルコネクタ2に対するプラグコネクタ1の嵌合方向、すなわち
図1でプラグコネクタ2を下方へ向けて移動させる方向を「コネクタ嵌合方向」とし、その反対方向、すなわち
図1での上方へ向かう方向を「コネクタ抜出方向」として説明する。また、プラグコネクタ1に対するレセプタクルコネクタ2の嵌合方向および抜出方向は、それぞれ上述のプラグコネクタ1の「コネクタ嵌合方向」および「コネクタ抜出方向」の反対方向になる。
【0021】
まず、プラグコネクタ2の説明に先立って、相手コネクタであるレセプタクルコネクタ1について説明する。レセプタクルコネクタ1は、
図1に見られるように、略直方体外形をなすレセプタクル側ハウジング10と、該レセプタクル側ハウジング10の長手方向を端子配列方向として該レセプタクル側ハウジング10によって二列に配列保持される複数の相手端子20と、上記長手方向での上記レセプタクル側ハウジング10に保持される相手ロック部材としての相手ロック金具30および弾性変形部としての弾性変形部材40(
図2参照)と、レセプタクル側ハウジング10の周壁を覆うようにして該レセプタクル側ハウジング10に取り付けられたシールド部材50とを有している。該レセプタクルコネクタ1は、
図1で示される姿勢で、回路基板上に配置実装される。
【0022】
上記レセプタクル側ハウジング10は、例えば樹脂等の電気絶縁材で作られており、回路基板の実装面と平行な一方向を長手方向(端子配列方向)として延びている。該レセプタクル側ハウジング10は、上記実装面に対して平行な底壁11(
図2参照)と、
図1にて、該底壁11から上方へ向けて起立するとともに端子配列方向に延びる突壁部12と、上記底壁11から上方へ向けて起立するとともに上記突壁部12を囲む枠状の周壁13とを有している。該周壁13は、上記端子配列方向に延びる一対の側壁14と、該端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向に延び上記一対の側壁14の端部同士を連結する一対の端壁15とを有している。上記突壁部12と周壁13との間で上方へ向け開口する環状空間は、プラグコネクタ2の嵌合部としての周壁63を受け入れるための受入部16として形成されている。
【0023】
上記レセプタクル側ハウジング10には、相手端子20を保持するための端子収容部17が、突壁部12の長手方向中心線に対してコネクタ幅方向で対称な二列をなし、端子配列方向で等間隔に配列形成されている。各端子収容部17は、突壁部12の側面から没して上下方向に延びる縦溝部17A(
図1参照)と、底壁11を上下方向に貫通しコネクタ幅方向に延びる横溝部17B(
図2参照)と、側壁14で上下方向に貫通する端子保持孔部17C(
図1参照)を有している。
【0024】
レセプタクル側ハウジング10の側壁14の外側面および該外側面の延長上に位置する端壁15の外側面には、端子配列方向での端子配列範囲外での複数位置に、後述のシールド部材50の被保持側板部52を圧入保持するためのシールド部材保持溝14Aが、コネクタ幅方向に対して直角に拡がり上方へ開口するスリット状の溝部として形成されている。また、側壁14の外側面には、隣接するシールド部材保持溝14A同士間に、後述のシールド部材50の幅広シールド脚部56を収容するための脚部収容溝14Bが上下方向に延びて形成されている。また、側壁14の内側面には、端子配列方向での端子配列範囲外の位置で、後述のシールド部材50のシールド舌片55を収容するための舌片収容溝14Cが、側壁14の上面そして内側面にわたって形成されている。該舌片収容溝14Cは、側壁14の上面から没した横溝部と、側壁14の内側面から没した縦溝部とを有している。
【0025】
上記レセプタクル側ハウジング10は、相手ロック金具30、弾性変形部材40およびシールド部材50を保持する形態をなしているが、その形態の理解のために、レセプタクル側ハウジング10のさらなる説明に先立ち、まず、相手ロック金具30、弾性変形部40およびシールド部材50について説明する。
【0026】
図3は、
図1のレセプタクルコネクタ1の相手ロック金具30と弾性変形部材40を、
図1のレセプタクル側ハウジング10に保持されている姿勢で示した斜視図であり、(A)は、相手ロック金具30および弾性変形部材40の両方を、(B)は相手ロック金具30のみを、(C)は弾性変形部材40のみを示している。この
図3(A)〜(C)は
図1と一致する方向で示されている。
【0027】
図3(A),(B)に見られるように、相手ロック金具30は、金属板の平坦面を維持したまま該金属板を所定の形状に打ち抜いて作られている。相手ロック金具30は、端子配列方向に直状をなして延びる基部31と、該基部31の一部から上方へ起立する二つの起立部32、二つの被支持部33および二つの被規制部34と、各起立部32の上部から端子配列方向で相手ロック金具30の一端側(
図3(A),(B)にて左斜下方向)へ向けて突出するロック部35と、上記基部31の一端に形成されたロック解除操作部36とを有している。
【0028】
図3(A),(B)に見られるように、起立部32、被支持部33および被規制部34は、基部31の長手方向(端子配列方向)における中央位置よりも一端側の範囲(
図3(A),(B)にて左下半分の範囲)そして他端側の範囲(
図3(A),(B)にて右上半分の範囲)のそれぞれに一つずつ設けられている。以下、説明の便宜上、起立部32、被支持部33および被規制部34について、上記一端側の範囲に位置する各部をそれぞれ「第一起立部32A」、「第一被支持部33A」、「第一被規制部34A」ともいい、また、上記他端側の範囲に位置する各部をそれぞれ「第二起立部32B」、「第二被支持部33B」、「第二被規制部34B」ともいう。
図3(A),(B)に見られるように、上記一端側の範囲では、基部31の一端から他端へ向けて第一被規制部34A、第一起立部32A、第一被支持部33Aがこの順で設けられている。また、上記他端側の範囲では、基部31の一端から他端へ向けて「第二被支持部33B」、「第二被規制部34B」、「第二起立部32B」がこの順で設けられている。また、該第二起立部32Bは、基部31の他端に位置しており、該第二起立部32Bの上下方向に延びる側縁には、上端位置および下端位置に上側突部32B−1および下側突部32B−2が形成されている。
【0029】
起立部32A,32Bのそれぞれ上部には、既述したように、基部31の長手方向(端子配列方向)で一端側へ向けて突出するロック部35が形成されている。本実施形態では、説明の便宜上、第一起立部32Aから突出するロック部を「第一ロック部35A」、第二起立部32Bから突出するロック部を「第二ロック部35B」ともいう。ロック部35A,35Bは、上縁が上記一端側へ向かうにつれて下方に傾斜する斜縁を有しているとともに、下縁が上下方向に対して直角な方向(端子配列方向)に延びていて鉤状に形成されている(
図5(A),(B)をも参照)。後述するように、該ロック部35A,35Bは、コネクタ嵌合状態にて、プラグコネクタ2に設けられた後述のロック金具80の被ロック部82D−1,83D−1に対してコネクタ抜出方向に係止可能となっている(
図6参照)。また、起立部32A,32Bは、後述するように、それぞれ第一突壁溝部18Dそして第二端壁溝部18Cの上側内壁面(後述する規制面18D−2,18C−2)に当接することにより上方への移動が規制されるようになっている。
【0030】
被支持部33A、33Bは、レセプタクル側ハウジング10の対応部(後述の第一端支持部12B−2および第二中央支持部12A−2)に対して下方へ向けて係止してレセプタクル側ハウジング10からの相手ロック金具30の下方への脱落を防止するための部分であり(
図5(B)参照)、基部31から起立して端子配列方向で一端側に向け屈曲した逆L字状をなして形成されている。被支持部33A,33Bの逆L字状部分のうち上下方向に延びる縦部は、後述するように、第一端支持部12B−2および第二中央支持部12A−2の規制面12B−2A,12A−2A(端子配列方向に対して直角な端面)に当接して一端側の端壁15側へ向けた相手ロック金具30の最大移動量を規制するための部分として機能する(
図5(B)参照)。
【0031】
また、被規制部34A,34Bは、後述するように、レセプタクル側ハウジング10の規制面18B−1,18E−1(後述する第一端壁溝部18Bおよび第二突壁溝部18Eのそれぞれの内壁面)に当接して一端側の端壁15側へ向けた相手ロック金具30の最大移動量を規制するための部分であり、基部31から上方へ向けて直状に起立している。また、被規制部34A,34Bは、後述するように、それぞれ第一端壁溝部18Bそして第二突壁溝部18Eの上側内壁面(後述する規制面18B−2,18E−2)によって上方への移動が規制されるようになっている。本実施形態では、第一被規制部34Aは、第二被規制部34Bよりも端子配列方向での寸法が大きく形成されており(
図5(A),(B)をも参照)、強度が高められている。これは、第一被規制部34Aを収容する第一端壁溝部18Bが第二被規制部34Bを収容する第二突壁溝部18Eよりも端子配列方向で大きく形成されていることに起因している。
【0032】
ロック解除操作部36は、基部31の一端にて基部31よりも上下方向寸法が大きく形成されている。
図1,2に見られるように、ロック解除操作部36は、端子配列方向でレセプタクル側ハウジング10の外側に露呈している。後述するように、該ロック解除操作部36は、ロック解除のための端子配列方向での押圧操作を受けるようになっている。
【0033】
図3(A),(C)に見られるように、弾性変形部材40は、帯状の金属板部材を、該金属板部材の長手方向での二位置で板厚方向に折り返すように屈曲して作られており、全体としてコネクタ幅方向(端子配列方向に対して直角な方向)に延びる長細い輪状をなしている。折り返されて互いに近づくように延びる二つの弾性腕部41,42は、自由端へ向かうにつれて幅が狭くなる先細りの片持ち梁状をなしており、上方から見たとき、上記弾性腕部41,42の先端(自由端)同士が交差している(
図4をも参照)。また、該弾性腕部41,42は、弾性変形部材40の長手方向での各端部、すなわち各折返し部分を支点として、その板厚方向、換言すると端子配列方向に弾性変形可能な片持ち梁状をなしている。相手ロック金具30および弾性変形部材40がレセプタクル側ハウジング10に保持された状態では、弾性変形部材40は、上記弾性腕部41,42同士の交差部分が、相手ロック金具30の第二起立部32Bの側縁に当接して、該相手ロック金具30に対して端子配列方向での一端側(
図3(A)での左斜下方、
図4の左方)へ向けた付勢力を与えている。
【0034】
図1に見られるように、シールド部材50は、金属板を所定の形状に打ち抜いた後、板厚方向に屈曲して作られている(
図8をも参照)。
図1に見られるように、シールド部材50は、レセプタクル側ハウジング10の両端壁15の上面を覆う上板部51と、コネクタ幅方向での該上板部51の両端縁で下方へ向けて直角に屈曲され端子配列方向に延びて端子配列範囲外で側壁14を覆うとともにレセプタクル側ハウジング10に保持される被保持側板部52と、該被保持側板部52の側端縁で上記コネクタ幅方向内方へ向けて屈曲され両端壁15の端壁面を覆う端板部53と、被保持側板部52から連続して側壁14に沿って端子配列方向に延び端子配列範囲で側壁14を覆う側板部54とを有している。
【0035】
被保持側板部52は、その上縁にてコネクタ幅方向内側で下方へ向けて屈曲され受入部16内へ延びるシールド舌片55と、端子配列方向での該シールド舌片55よりも外側位置で、被保持側板部52の下縁で直角に屈曲されコネクタ幅方向外方へ向けて延びる幅広シールド脚部56を有している。該シールド舌片55は、その基部(被保持側板部52の上縁に連結されている側の部分)がレセプタクル側ハウジング10の舌片収容溝14Cの横溝部に収容されているが、自由端側(下端側)部分は舌片収容溝14Cの縦溝部外に位置し、受入部16内へ延出している。この自由端側部分は、その板厚方向(コネクタ幅方向)に弾性変形可能となっており、コネクタ嵌合状態にて、後述するプラグコネクタ2のロック金具80のシールド接続部84と接圧をもって接触する。また、上記自由端側部分の弾性変形は、舌片収容溝14Cの縦溝部によって許容される。
【0036】
側板部54は、端子配列方向での二位置で該側板部54の下縁で直角に屈曲され上記コネクタ幅方向外方へ向けて延び上記幅広シールド脚部56よりも幅狭な幅狭シールド脚部57を有している。幅広シールド脚部56および幅狭シールド脚部57は、回路基板のグランド回路部に半田接続されるようになっている。
【0037】
このような構成のシールド部材50は、レセプタクル側ハウジング10の上方からシールド部材50の被保持側板部52をシールド部材保持溝14Aに圧入することにより保持される。シールド部材50の取付けが完了した状態にて、
図1に見られるように、シールド部材50のシールド舌片55は、その基部が舌片収容溝14Cの横溝部に収容されるとともに、自由端側部分が受入部16内へ延出する。また、シールド部材50の幅広シールド脚部56が脚部収容溝14B内に収容されるとともに、幅狭シールド脚部57が後述する相手端子20の接続部23同士間に位置する。
【0038】
レセプタクル側ハウジング10の説明に戻る。レセプタクル側ハウジング10は、相手ロック金具30を収容するためのロック金具収容溝部18が、コネクタ幅方向での中央位置で、該コネクタ幅方向に対して直角に拡がるスリット状をなし、端子配列方向でのレセプタクル側ハウジング10の全域にわたって延びて形成されている。
図5(A)に見られるように、ロック金具収容溝部18は、コネクタ幅方向中心線に対して端子配列方向で対称の形状をなしている。
【0039】
図5(A)に見られるように、ロック金具収容溝部18は、相手ロック金具30の基部31、起立部32A,32B、被支持部33A,33Bおよび被規制部34A,34Bをそれぞれ収容するための溝部あるいは孔部が連通して形成されている。具体的には、ロック金具収容溝部18は、相手ロック金具30の基部31を収容するための底溝部18Aと、第一被規制部34Aを収容するための第一端壁溝部18Bと、第二起立部32Bを収容するための第二端壁溝部18Cと、第一起立部32Aを収容するための第一突壁溝部18Dと、第二被規制部34Bを収容するための第二突壁溝部18Eと、第一被支持部33Aを収容するための第一突壁孔部18Fと、第二被支持部33Bを収容するための第二突壁孔部18Gとを有している。第一端壁溝部18B、第二端壁溝部18C、第一突壁溝部18D、第二突壁溝部18E、第一突壁孔部18F、第二突壁孔部18Gは端子配列方向で一直線上に位置している。本実施形態では、端子配列方向でレセプタクル側ハウジング10の範囲内に位置する突壁部12そして端壁15を利用して相手ロック金具30を収容するためのロック金具収容溝18を形成することにより、端子配列方向でのレセプタクルコネクタ1の大型化の防止が図られている。
【0040】
図5(A)に見られるように、底溝部18Aは、底壁11に沿って端子配列方向での全域にわたって同方向に貫通して延びている。また、該底溝部18Aは、端子配列方向での受入部16に対応する範囲、すなわち突壁部12と端壁15との間の範囲にて上下方向に貫通して、受入部16と連通している。第一端壁溝部18Bは、端子配列方向での一端側(
図5(A)にて左端側)に位置する一方の端壁15で、また、第二端壁溝部18Cは、端子配列方向での他端側(
図5(A)にて右端側)に位置する他方の端壁で、上下方向に延びるとともに端子配列方向内方、すなわち受入部16側へ開口して形成されている。端壁溝部18B,18Cの上側内壁面(上下方向に対して直角な面)は、後述するように、それぞれ相手ロック金具30の第一被規制部34Aの上縁および第二起立部32Bの上縁に当接して上方へ向けた相手ロック金具30の移動を規制する規制面18B−2,18C−2として機能する。
【0041】
第一突壁溝部18Dは突壁部12の一端側(
図5(A)にて左端側)で、また、第二突壁溝部18Eは突壁部12の他端側(
図5(A)にて右端側)で、上下方向に延びるとともに端子配列方向外方、すなわち受入部16側へ開口して形成されている。第一突壁孔部18Fは端子配列方向での突壁部12の中央位置よりも一端側に寄った位置で、また、第二突壁孔部18Gは突壁部12の中央位置よりも他端側に寄った位置で、上下方向に貫通した孔部として形成されている。
【0042】
図5(A)に見られるように、突壁部12には、端子配列方向での中央位置で第一突壁孔部18Fと第二突壁孔部18Gとを隔てる中央隔壁部12Aと、同方向での一端(左端)寄り位置で第一突壁溝部18Dと第一突壁孔部18Fとを隔てる第一端隔壁部12Bと、同方向での他端(右端)寄り位置で第二突壁溝部18Eと第二突壁孔部18Gとを隔てる第二端隔壁部12Cとが、島状に形成されている。
【0043】
中央隔壁部12Aは、下部で一端側そして他端側へそれぞれ突出する第一中央支持部12A−1、第二中央支持部12A−2を有しており、断面形状が全体として逆T字状をなしている。また、第一端隔壁部12Bは、上部で一端側へ向けて延び第一突壁溝部18Dの上端を閉塞する上壁部12B−1と、下部で他端側へ向けて突出する第一端支持部12B−2とを有しており、断面形状が全体としてクランク状をなしている。また、第二端隔壁部12Cは、上部で他端側へ向けて延び第二突壁溝部18Eの上端を閉塞する上壁部12C−1と、下部で一端側へ向けて突出する第二端支持部12C−2とを有しており、断面形状が全体として第一端隔壁部12Bの断面形状を左右反転させたクランク状をなしている。上壁部12B−1,12C−1の下面(上下方向に対して直角な面)、換言すると突壁溝部18D,18Eの上側内壁面は、後述するように、それぞれ相手ロック金具30の第一起立部32Aの上縁および第二被規制部34Bの上縁に当接して上方へ向けた相手ロック金具30の移動を規制する規制面18D−2,18E−2として機能する。
【0044】
第一突壁孔部18Fは、端子配列方向で互いに近づいて突出する第一中央支持部12A−1および第一端支持部12B−2によって下部が狭められており、全体としてT字状をなしている。また、第二突壁孔部18Gは、端子配列方向で互いに近づいて突出する第二中央支持部12A−2および第二端支持部12C−2によって下部が狭められており、全体として逆T字状をなしている。
【0045】
図5(B)に見られるように、本実施形態では、第一端支持部12B−2が相手ロック金具30の第一被支持部33Aに係止し、第二中央支持部12A−2が相手ロック金具30の第二被支持部33Bに係止することにより、レセプタクル側ハウジング10からの相手ロック金具30の下方への脱落を阻止するための支持部として機能する。つまり、本実施形態では、第二中央支持部12A−1および第二端支持部12C−2は支持部として使用されない。
【0046】
第一端支持部12B−2および第二中央支持部12A−2のそれぞれの端面(端子配列方向に対して直角な面)は、相手ロック金具30の被支持部33A,33Bの縦部と当接して、端子配列方向での相手ロック金具30の一端側への移動を規制する規制面12B−2A,12A−2Aとして機能する。
【0047】
また、第一端壁溝部18Bおよび第二突壁溝部18Eの端子配列方向に対して直角な内壁面は、それぞれ相手ロック金具30の被規制部34A,34Bと当接して、端子配列方向での相手ロック金具30の一端側への移動を規制する規制面18B−1,18E−1として機能する。
【0048】
また、
図2,4に見られるように、レセプタクル側ハウジング10は、端子配列方向での両端部のそれぞれに、弾性変形部材40を収容するための弾性変形部材収容凹部19が上方(
図1、
図5(A),(B)では下方)に開口して形成されている。本実施形態では、端子配列方向での他端側(
図2,4,5(A),(B)で右端側)に設けられた弾性変形部材収容凹部19のみに弾性変形部材40が収容される。つまり、本実施形態では、一端側(
図2,4,5(A),(B)で左端側)に設けられた弾性変形部材収容凹部19は使用されない。弾性変形部材収容凹部19は、
図2,4に見られるように、上下方向に見て、弾性変形部材40に適合してコネクタ幅方向に延びる長孔形状をなしており、
図5(A)に見られるように、上下方向にて端壁15の中間位置から底壁11の底面まで延びて下方へ開口している。また、
図2,4に見られるように、弾性変形部材収容凹部19は、ロック金具収容溝部18に対して交差しており、ロック金具収容溝部18の底溝部18A、第一端壁溝部18Bおよび第二端壁溝部18Cと連通している。
【0049】
次に、
図5(A),(B)にもとづいて、レセプタクル側ハウジング10への相手ロック金具30および弾性変形部材40の取付けについて説明する。まず、
図5(A)に示されるように、相手ロック金具30の被支持部33A,33Bがそれぞれ端子配列方向でレセプタクル側ハウジング10の突壁孔部18F,18Gと同位置となるようにして、相手ロック金具30をレセプタクル側ハウジング10の下方に位置させる。そして、相手ロック金具30を上方に移動させて(矢印P1)、被支持部33A,33Bをそれぞれ突壁孔部18F,18Gに進入させて、被支持部33A,33Bのそれぞれの横部を、第一端支持部12B−2および第一中央支持部12A−2よりも上方にもたらす。このとき、相手ロック金具30の基部31、第一起立部32A、第二起立部32B、第一被規制部34Aおよび第二被規制部34Bは、それぞれレセプタクル側ハウジング10の底溝部18A、第一突壁溝部18D、第二端壁溝部18C、第一端壁溝部18Bおよび第二突壁溝部18Eに進入する。また、ロック解除操作部36は、レセプタクル側ハウジング10の一端側(左端側)で該レセプタクル側ハウジング10外に位置する。
【0050】
次に、相手ロック金具30を端子配列方向での一端側へ移動させて(矢印P2)、被支持部33A,33Bのそれぞれの横部を第一端支持部12B−2および第一中央支持部12A−2の直上にもたらす。この結果、各横部が第一端支持部12B−2および第一中央支持部12A−2に対して下方へ向けて係止可能に支持されて、レセプタクル側ハウジング10からの相手ロック金具30の脱落が阻止される。このとき、相手ロック金具30のロック部35A,35Bが、それぞれレセプタクル側ハウジング10の第一突壁溝部18D外そして第二端壁溝部18C外へ突出し、受入部16内に位置する。また、被支持部33A,33Bの縦部の側縁(左縁)および被規制部34A,34Bの側縁(左縁)が、それぞれ第一端支持部12B−2の規制面12B−2A、第二中央支持部12A−2の規制面12A−2A、第一端壁溝部18Bの規制面18B−1および第二突壁溝部18Eの規制面18E−1と近接して当接可能に位置する(
図5(B)参照)。
【0051】
次に、
図5(A)に示されるように、弾性変形部材40を、他端側(
図5(A)にて右側)の弾性変形部材収容凹部19へ下方から取り付ける(矢印P3)。本実施形態では、すでにロック金具収容溝部18に収容されている相手ロック金具30の第二起立部32Bと第二端壁溝部18Cの内壁面(端子配列方向に対して直角な面)との間の端子配列方向での寸法が、弾性変形部材40の端子配列方向での寸法よりも小さくなっている。したがって、弾性変形部材40は、端子配列方向で圧縮するように、すなわち該弾性変形部材40の弾性腕部41,42が他端側へ弾性変形した状態で弾性変形部材収容凹部19に収容される。弾性変形部材40は、弾性変形部材収容凹部19内にて、上下方向で第二起立部32Bの上側突部32B−1と下側突部32B−2との間に位置し、これらの突部によって上下方向での位置が規制される。
【0052】
また、弾性変形部材40は、弾性変形部材収容凹部19内にて、その復元力により、相手ロック金具30を一端側へ向けて付勢する。この結果、相手ロック金具30の被支持部33A,33Bのそれぞれの横部が第一端支持部12B−2および第一中央支持部12A−2に対して下方へ向けて係止可能な状態が維持されて、相手ロック金具30がレセプタクル側ハウジング10に保持される。また、相手ロック金具30のロック部35A,35Bが、それぞれレセプタクル側ハウジング10の第一突壁溝部18D外そして第二端壁溝部18C外へ突出した状態が維持される。また、被支持部33A,33Bおよび被規制部34A,34Bがそれぞれ第一端支持部12B−2の規制面12B−2A、第二中央支持部12A−2の規制面12A−2A、第一端壁溝部18Bの規制面18B−1および第二突壁溝部18Eの規制面18E−1に当接し、一端側へ向けた相手ロック金具30の最大移動量が規制される。このようにロック金具の最大移動量が規制されることにより、後述するプラグコネクタ2のロック金具80の被ロック部82D−1,83D−1に対するロック部35A,35Bのロック量の最大値が規制される。したがって、該ロック量が過大となることに起因して、コネクタ嵌合過程にてロック金具80がロック部35A,35Bに上方から当接した際に該ロック部35A,35Bが損傷することを防止できる。
【0053】
本実施形態では、相手ロック金具30は、上記付勢力を受けてロック部35A,35Bがそれぞれ第一突壁溝部18Dそして第二端壁溝部18Cから突出する「ロック位置」(
図6にて実線で図示)と、上記付勢力に抗してロック部35A,35Bがそれぞれ第一突壁溝部18D内そして第二端壁溝部18C内に収容される「ロック解除位置」(
図6にて破線で図示)との間を、端子配列方向で移動可能となっている。
【0054】
本実施形態では、
図5(A),(B)に見られるように、ロック金具収容溝部18が左右対称な形状をなしているので、相手ロック金具30を、
図5(A),(B)で示される姿勢を左右反転させた姿勢としても、ロック金具収容溝部18へ収容することが可能である。このように相手ロック金具30を左右反転させた場合、該相手ロック金具30の基部31、第一起立部32A、第二起立部32B、第一被支持部33A、第二被支持部33B、第一被規制部34Aおよび第二被規制部34Bは、それぞれロック金具収容溝部18の底溝部18A、第二突壁溝部18E、第一端壁溝部18B、第二突壁孔部18G、第一突壁孔部18F、第二端壁溝部18Cおよび第一突壁溝部18Dに収容される。ロック解除操作部36は、レセプタクル側ハウジング10の他端側(
図5(A),(B)にて右端)でハウジング外に位置する。また、弾性変形部材40は、一端側(
図5(A),(B)にて左端)の弾性変形部材収容凹部19に収容され、ロック金具を他端側(
図5(A),(B)にて右方)へ向けて付勢する。
【0055】
このとき、被支持部33A,33Bの横部は、それぞれ第二端支持部12C−2および第一中央支持部12A−1と係止することにより、相手ロック金具30の下方への抜けが防止される。また、被支持部33A,33Bは、それぞれ第二端支持部12C−2および第一中央支持部12A−1の端面(端子配列方向に対して直角な面)である規制面12C−2A,12A−1A(
図5(A),(B)参照)と当接可能に位置する。さらに、被規制部34A,34Bは、それぞれ第二端壁溝部18Cおよび第一突壁溝部18Dの内壁面(端子配列方向に対して直角な面)である規制面18C−1,18D−1(
図5(A),(B)参照)と当接可能に位置する。この結果、これらの規制面12C−2A,12A−1A,18C−1,18D−1によって、他端側(
図5(A),(B)にて右方)への相手ロック金具30の最大移動量が規制される。
【0056】
また、このとき、起立部32A,32Bおよび被規制部34A,34Bのそれぞれの上縁が、第二突壁溝部18E、第一端壁溝部18B、第二端壁溝部18Cそして第一突壁溝部18Dの上側内壁面(上下方向方向に対して直角な面)である規制面18E−2,18B−2,18C−2,18D−2(
図5(A)参照)と当接可能に位置し、上方への相手ロック金具30の移動が規制される。
【0057】
相手端子20は、
図1,2に見られるように、金属板を打ち抜いて得られた帯状片を板厚方向に屈曲して作られている。該相手端子20は、端子収容部17の横溝部(底壁11に形成された溝部)内でコネクタ幅方向に延びる基部21(
図2参照)と、該基部21の一端で直角に屈曲されて端子収容部17の縦溝部(突壁部12に形成された溝部)内で上方へ向けて延びる接触腕部22(
図4参照)と、該接触腕部22と並行して基部21から上方へ向けて延びる被保持腕部(図示せず)と、基部21の他端からレセプタクル側ハウジング10外へ延出する接続部23とを有している。接触腕部22は、板厚方向、換言するとコネクタ幅方向で弾性変形可能であり、該接触腕部22の上端にはコネクタ幅方向外方へ向けて突出し受入部16内に位置する接触突部22Aが形成されている。このような構成の相手端子20は、側壁14に形成された端子保持孔部17Cへ相手端子20の上記被保持腕部を、レセプタクル側ハウジング10の下方(底壁11側)から圧入することにより、端子収容部17内に収容されて保持される。
【0058】
次に、
図1、
図2および
図6〜8にもとづいて、プラグコネクタ2の構成を説明する。プラグコネクタ2は、略直方体外形をなすプラグ側ハウジング60と、該プラグ側ハウジング60の長手方向を端子配列方向として該プラグ側ハウジング60によって二列に配列保持される複数の端子70と、上記長手方向での上記プラグ側ハウジング60の両端部(後述の端壁65)で保持される二つのロック金具80とを有している。該プラグコネクタ2は、
図2に示される姿勢で回路基板上に配置実装され、
図1に示されるように上下反転させた姿勢でレセプタクルコネクタ1に嵌合接続される。
【0059】
上記プラグ側ハウジング60は、例えば樹脂等の電気絶縁材で作られており、回路基板の実装面と平行な一方向を長手方向(端子配列方向)として延びている。該プラグ側ハウジング60は、上記実装面に対して平行な底壁61(
図1参照)と、
図2に見られるように、該底壁61から上方へ向けて起立する枠状の嵌合部としての周壁63とを有している。該周壁63は、上記端子配列方向に延びる一対の側壁64と、該端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向に延び上記一対の側壁64の端部同士を連結する一対の端壁65とを有している。該周壁63に囲まれ上方へ開口する空間は、レセプタクルコネクタ1の突壁部12を受け入れるための受入部66として形成されている。
【0060】
上記プラグ側ハウジング60は、ロック金具80を保持する形態をなしているが、その形態の理解のために、プラグ側ハウジング60のさらなる説明に先立ち、まず、ロック金具80について説明する。
【0061】
ロック金具80は、金属板を所定の形状に打ち抜いた後、板厚方向に屈曲加工して作られている。
図2によく見られるように、ロック金具80は、プラグ側ハウジング60の端壁65の上壁面を覆うように配置される基部81と、該基部81から端子配列方向に延び端壁65の内外の両側の端壁面に沿って屈曲された二つの被ロック脚部82,83と、基部81からコネクタ幅方向に延び端壁65の両方の側壁面に沿って屈曲された、レセプタクルコネクタ1のシールド部材50のシールド舌片55と接触する二つのシールド接続部84とを有している。このように、ロック金具80は、プラグ側ハウジング60の端壁面そして側壁面に沿って金属板の板厚方向に屈曲されており、これによって、ロック金具80自体の補強そしてプラグ側ハウジング60への取付強度の向上が図られている。
【0062】
上記二つの被ロック脚部82,83のうち、端壁65の内側の端壁面側に位置する被ロック脚部を「内側被ロック脚部82」、端壁65の外側の端壁面側に位置する被ロック脚部を「外側被ロック脚部83」という。
図7は、
図6にて端子配列方向での一端側(左端側)に設けられたロック金具80を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は
図6の一部拡大図である。ここで、
図7(B)では、
図7(A)と異なり、レセプタクルコネクタ1の相手ロック金具30のロック部35Aが係止している状態で示している。
図7(A),(B)に見られるように、内側被ロック脚部82は、基部81に連結され上方(
図2では下方)へ向けて延びる内側露呈板部82Aと、該内側露呈板部82Aの上縁をなす内側折返縁部82Bで端子配列方向外側(
図7(A),(B)にて左側)に折り返され下方へ向けて延びる内側被保持板部82Cとを有している。また、外側被ロック脚部83は、基部81に連結され上方(
図2では下方)へ向けて延びる外側露呈板部83Aと、該外側露呈板部83Aの上縁をなす外側折返縁部83Bで端子配列方向内側(
図7(A),(B)にて右側)に折り返され下方へ向けて延びる外側被保持板部83Cとを有している。
【0063】
ロック金具80をプラグ側ハウジング60に取り付けた状態において、該ロック金具80の内側露呈板部82Aおよび外側露呈板部83Aは、
図7(B)に見られるように、それぞれ端壁65の内側面および外側面と同一面を形成するようにして露呈している。また、
図7(A)に見られるように、内側被保持板部82Cおよび外側被保持板部83Cは、上下方向に延びる両側縁に、プラグ側ハウジング60によるロック金具80の圧入時の圧入保持のための圧入突部82C−1,83C−1が突出して形成されている。なお、圧入突部は、被保持板部82C,83Cに加えて、露呈板部82A,83Aにも設けられてもよい。また、被保持板部82C,83Cに代えて露呈板部82A,83Aだけに圧入突部を設けてもよい。
【0064】
図7(B)によく見られるように、内側被ロック脚部82の内側露呈板部82Aと内側被保持板部82Cは、端子配列方向で互いに対面しており、それぞれ板厚方向に貫通する孔部82Dが、端子配列方向から見て同位置に形成されている。上記内側被ロック脚部82の二つの孔部82Dの縁部(
図7(A),(B)での下縁)が相俟って、相手ロック金具30のロック部35Aと係止するための内側被ロック部82D−1としての機能を有する。また、外側被ロック脚部83の外側露呈板部83Aと外側被保持板部83Cも、内側被ロック脚部82と同様に、端子配列方向で互いに対面しており、それぞれ板厚方向に貫通する孔部83Dが、端子配列方向から見て同位置に形成されている。上記外側被ロック脚部83の二つの孔部83Dの縁部(
図7(A),(B)での下縁)が相俟って、相手ロック金具30のロック部と係止するための外側被ロック部83D−1としての機能を有する。
【0065】
本実施形態では、
図6に見られるように、端子配列方向での一端側(
図6にて左端側)に設けられたロック金具80の内側被ロック脚部82の内側被ロック部82D−1と、他端側(
図6にて右端側)に設けられたロック金具80の外側被ロック部83D−1が、レセプタクルコネクタ1の相手ロック金具30のロック部35A,35Bと係止する被ロック部として使用される。つまり、本実施形態では、一端側に設けられたロック金具80の外側被ロック脚部83の外側被ロック部83D−1と、他端側(
図6にて右端側)に設けられたロック金具80の内側被ロック部82D−1は、被ロック部として使用されない。
【0066】
既述したように、本実施形態に係るプラグコネクタ2のロック金具80は、二つの被ロック脚部82,83がプラグ側ハウジング60の各端壁65の内外両端壁面に沿って位置し、いずれの被ロック脚部82,83にも被ロック部82D−1,83D−1が形成されている。したがって、仮に、レセプタクルコネクタ1が、
図5,6に示される姿勢を左右反転させた姿勢となっていても、プラグコネクタ2のロック金具80をレセプタクルコネクタ1の相手ロック金具30とロックさせることができる。その場合には、一端側のロック金具80の外側被ロック部83D−1および他端側の内側被ロック部82D−1が被ロック部として使用されることとなる。
【0067】
プラグ側ハウジング60の説明に戻る。
図2によく見られるように、端壁65の上壁面(
図1,6では下面)には、ロック金具80の基部81を収容するための凹部65Aが、コネクタ幅方向に延びる溝部と端子配列方向に延びる溝部が交差したような十字状の凹部として形成されている。端壁65の内側の端壁面には、ロック金具80の内側被ロック脚部82を収容するための内溝部65B(
図7(B)をも参照)が、上記凹部65Aに連続して上下方向に延びて形成されている。端壁65の外側の端壁面には、ロック金具80の外側被ロック脚部83を収容するための外溝部65C(
図7(B)をも参照)が、上記凹部65Aに連続して上下方向に延びて形成されている。端壁65の側壁面、すなわち端子配列方向で側壁64の外面の延長上に位置する面には、ロック金具80のシールド接続部84を収容するための側溝部65Dが、上記凹部65Aに連続して上下方向に延びて形成されている。
【0068】
ロック金具80は、被ロック脚部82,83をそれぞれ
図2での上方から内溝部65Bおよび外溝部65C内に圧入することにより、プラグ側ハウジング60に取り付けられる。取付けが完了した状態では、ロック金具80の基部81、内側被ロック脚部82、外側被ロック脚部83およびシールド接続部84がそれぞれプラグ側ハウジング60の凹部65A、内溝部65B、外溝部65Cおよび側溝部65D内に収容される。また、被保持板部82C,83Cの圧入突部82C−1,83C−1(いずれも
図7(A)参照)が内溝部65Bおよび外溝部65Cの上下方向に延びる両側内縁に対して喰い込み、これによってロック金具80の抜けが防止される。
【0069】
端子70は、金属板を打ち抜いて得られた帯状片を板厚方向に屈曲して作られている。
図1,2に見られるように、該端子70は、プラグ側ハウジング60の各側壁64に一体モールド成形されて保持されており、該側壁64の長手方向で等間隔をなして配列されている。該端子70は、プラグ側ハウジング60の底壁61とほぼ同じ高さ位置で側壁64からコネクタ幅方向外方へ延出する直状の接続部71と、該接続部71に連続して
図2での上方(
図1での下方)へ向けて屈曲されて上記側壁64に埋没保持される接触腕部72とを有している。該接触腕部72は、上記側壁64の内側面に沿って延びていて、該接触腕部72の板面が該側壁64の内側面と同一面を形成するようにして受入部66へ向けて露呈している。該接触腕部72の露呈した板面には、レセプタクルコネクタ1の相手端子20の接触突部22Aを受け入れて該接触突部22Aと接触するための接触凹部72Aが板面から没して形成されている。
【0070】
次に、
図1および
図6にもとづいて、レセプタクルコネクタ1とプラグコネクタ2とのコネクタ嵌合動作について説明する。まず、レセプタクルコネクタ1およびプラグコネクタ2をそれぞれ対応する回路基板に半田接続により取り付ける。次に、
図1に見られるように、レセプタクルコネクタ1を受入部16が上方へ向いた姿勢とするとともに、該レセプタクルコネクタ1の上方で、プラグコネクタ2の受入部66(
図2参照)が下方へ向いた姿勢とする。
【0071】
次に、
図1の姿勢を維持したままプラグコネクタ2を降下させて、レセプタクルコネクタ1の突壁部12をプラグコネクタ2の受入部66内へ下方から進入させるとともに、プラグコネクタ2の周壁63をレセプタクルコネクタ1の受入部16内へ上方から進入させる。この結果、レセプタクルコネクタ1の相手端子20の接触突部22Aが、プラグコネクタ2の端子70の接触凹部72A内に突入して、端子同士の電気的な接触がなされる。
【0072】
また、コネクタ嵌合過程において、プラグコネクタ2に設けられた二つのロック金具80の下端が、それぞれロック位置にある相手ロック金具30のロック部35A,35B(
図6にて実線で図示)の上縁(傾斜縁)に当接し、該ロック部35A,35Bを端子配列方向で他端側(
図6での右端側)へ向けた押圧力をもって押圧する。ロック部35A,35Bは、上記押圧力を受けると、
図6にて破線で示されるように、起立部32A,32Bとともに他端側へ移動(後退)して、それぞれ第一突壁溝部18D内、第二端壁溝部18C内に収容されてロック解除位置にもたらされる。このとき、ロック部35A,35Bの移動は、弾性変形部材40の弾性変形(圧縮)、すなわち弾性腕部41,42の他端側へ向けた弾性変形によって許容される。
【0073】
上述したように、ロック部35A,35Bがロック解除位置にもたらされることにより、プラグコネクタ2のさらなる降下が許容される。そして、
図6に見られるように、一端側(
図6にて左端側)のロック金具80の内側被ロック脚部82の孔部82Dそして他端側(
図6にて右端側)のロック金具80の外側被ロック脚部83の孔部83Dが、相手ロック金具30のロック部35A,35Bの位置に達すると、該ロック部35A,35Bが上述の押圧力から開放される。この結果、弾性変形部材40の弾性腕部41,42が弾性変形量を減ずるように一端側へ復元され、当初のロック位置に復帰する。ロック位置に戻ったロック部35A,35Bは、
図6にて実線で示されるように、それぞれ上記孔部82D,83D内へ進入し、被ロック部82D−1,83D−1(
図7(A),(B)参照)、すなわち孔部82D,83Dの下縁に対してコネクタ抜出方向(上方)へ係止可能に位置してロック状態となる。
【0074】
また、
図8に見られるように、プラグコネクタ2のロック金具80のシールド接続部84が、それぞれ対応するレセプタクルコネクタ1のシールド部材50のシールド舌片55をコネクタ幅方向外方へ向けて押圧して弾性変形させることにより、該シールド舌片55と接圧をもって接触する。
【0075】
このように、相手端子20,50同士が互いに接続され、相手ロック金具30,80同士がロックされ、シールド舌片55とシールド接続部84とが互いに接続されることにより、コネクタ嵌合動作が完了する。コネクタ嵌合状態にて、プラグコネクタ2がコネクタ抜出方向(上方)へ不用意にもち上げられたとしても、起立部32A,32Bおよび被規制部34A,34Bのそれぞれの上縁がレセプタクル側ハウジング10の規制面18D−2,18C−2,18B−2,18E−2に当接するので、上方へ向けた相手ロック金具30の移動が規制される。この結果、相手ロック金具30のロック部35A,35Bとロック金具80の被ロック部82D−1,83D−1との係止状態が維持され、安定したロック状態を維持できる。
【0076】
次に、
図6にもとづいて、コネクタ抜出動作について説明する。レセプタクルコネクタ1とのコネクタ嵌合状態にあるプラグコネクタ2を抜出する際には、レセプタクルコネクタ1の相手ロック金具30のロック解除操作部36を端子配列方向で他端側(
図6にて右方)へ向けて押圧して解除操作を行う。ロック解除操作部36が上記他端側への押圧力を解除操作力として受けると、弾性変形部材40が同方向に弾性変形する。そして、既述したコネクタ嵌合過程について説明したのと同様に、弾性変形部材40が圧縮して弾性変形し、ロック部35A,35Bが起立部32A,32Bとともに上記他端側へ向けて移動する。
【0077】
この結果、ロック部35A,35Bが第一突壁溝部18D内、第二端壁溝部18C内に収容されてロック解除位置にもたらされ(
図6の破線参照)、該ロック部35A,35Bとプラグコネクタ2のロック金具80の被ロック部82D−1,83D−1(
図7(A),(B)参照)との係止可能なロック状態が解除される。そして、プラグコネクタ2をコネクタ抜出方向(上方)へもち上げることにより、該プラグコネクタ2が難なく抜出され、コネクタ抜出動作が完了する。
【0078】
相手ロック金具30は、起立部32A,32Bが第一突壁溝部18D内、第二端壁溝部18C内に位置しているとともに、ロック部35A,35Bが上記起立部32A,32Bの上部から突出して受入部16内に位置している。換言すると、起立部32A,32Bおよびロック部35A,35Bが端子配列方向、すなわちレセプタクル側ハウジングの長手方向で該レセプタクル側ハウジング10の範囲内に位置しており、この範囲内で移動するようになっている。したがって、ロック部35A,35Bの突出量を大きく確保しても、相手ロック金具30の配置の有無にかかわらず元々存在する上記範囲内で該ロック部35A,35Bそして起立部32A,32Bの上記端子配列方向での移動を許容するための空間を容易に確保できるので、上記端子配列方向でコネクタの大型化を回避できる。また、本実施形態では、相手ロック金具30は屈曲加工されることなく、コネクタ幅方向に対して直角な板面を維持して作られている。したがって、該コネクタ幅方向では相手ロック金具30の板厚分の寸法を、同方向での側壁14同士間の範囲に確保すれば済むので、同方向でもコネクタの大型化を回避できる。
【0079】
また、本実施形態では、弾性変形部材40の弾性変形により、端子配列方向での相手ロック金具30の移動が許容されている。このように、相手ロック金具30とは別部材である弾性変形部材40を設けたことにより、ロック部35A,35B自体に弾性をもたせる必要がなくなるので、ロック部35A,35B自体の剛性ひいては強度を高くでき、安定したロック状態を得ることができる。また、ロック部35A,35Bの突出量を大きくすることにより、該ロック部35A,35Bの剛性ひいては強度をさらに高くできるので、ロック状態の安定性のさらなる向上を図ることができる。
【0080】
既述したように、本実施形態では、ロック金具80の二つの被ロック脚部82,83がプラグ側ハウジング60の両端壁65の内外両端壁面に沿って位置し、いずれの被ロック脚部82,83にも被ロック部82D−1,83D−1が形成されている。したがって、本実施形態のプラグコネクタ2は、レセプタクルコネクタ1のような、すなわちロック部35A,35Bのそれぞれが突壁部12の一端側と他端側の端壁15の内側に設けられているような形態のコネクタに限らず、ロック部がさらに異なる位置に設けられた相手コネクタに対してもロック可能となっている。
【0081】
例えば、レセプタクルコネクタが、レセプタクル側ハウジングの両端壁のそれぞれの内側面から端子配列方向内方へ向けて突出するロック部を有している場合には、プラグコネクタ2の両端壁65に設けられたロック金具80の各外側被ロック部83D−1が被ロック部として使用される。また、レセプタクルコネクタが、レセプタクル側ハウジングの突壁部の両端壁面から端子配列方向外方へ向けて突出するロック部を有している場合には、プラグコネクタ2の両端壁65に設けられたロック金具80の各内側被ロック部82D−1が被ロック部として使用される。
【0082】
また、レセプタクルコネクタが、レセプタクル側ハウジングの周壁全体がプラグコネクタ2の受入部66内に嵌入するようなコネクタであって、上記レセプタクル側ハウジングの両端壁のそれぞれの外側面から端子配列方向外方へ向けて突出するロック部を有している場合には、プラグコネクタ2の両端壁65に設けられたロック金具80の各内側被ロック部82D−1が被ロック部として使用される。
【0083】
このように、本実施形態に係るプラグコネクタ2によれば、ロック部の位置が異なる種々の形態のレセプタクルコネクタに対しても、一種のロック金具80で選択的にロックさせることができる。この結果、対応可能な相手コネクタの形式の幅を拡げることができる。
【0084】
本実施形態では、ロック金具80の上記被ロック部82D−1,83D−1は、ロック金具80の被ロック脚部82,83のそれぞれの二つの板部、すなわち露呈板部82A,83Aおよび被保持板部82C,83Cで、同一位置にて同一径で貫通する孔部の縁部として形成されているので、一つの板部だけに被ロック部を設ける場合と比較して、相手ロック金具30のロック部35A,35Bに対して係止可能な部分の範囲が二枚の板厚分となって倍増し、その分、ロック状態の確実性そして安定性を向上させることができる。本実施形態では、被ロック部を二つの板部に設けることしたが、三つ以上の板部に設けることにより、ロック状態をさらに安定させることができるのは言うまでもない。また、一枚分の板厚寸法で十分なロック係止量を確保できるのであれば、露呈板部82A,83Aだけに孔部を形成してその縁部を被ロック部とすることも可能である。
【0085】
<第二実施形態>
第一実施形態では、プラグコネクタ2のロック金具80の被ロック部82D−1,83D−1は被ロック脚部82,83の孔部82D,83Dの縁部に設けられているが、第二実施形態では、被ロック部が被ロック脚部の板面から突出する凸部として形成されており、この点で、第一実施形態と異なっている。第二実施形態に係るレセプタクルコネクタおよびプラグコネクタの一部を拡大して示す断面図であり、端子配列方向での一端側に設けられたプラグコネクタのロック金具とレセプタクルコネクタの相手ロック金具とのロック状態を、コネクタ幅方向に対して直角な面での断面で示している。第二実施形態のプラグコネクタ102の形状は、上記被ロック部182D,183Dを除いて、第一実施形態のプラグコネクタ2と同じであるので、同一部分には、第一実施形態の符号に「100」を加えて説明を省略する。
【0086】
図9に見られるように、ロック金具180の被ロック部182D,183Dは、被ロック脚部182,183の露呈板部182A,183Aの板面から突出する凸部として形成されている。上記被ロック部182D,183Dは、例えば、露呈板部182A,183Aにプレス加工を施すことにより形成されている。コネクタ嵌合状態では、
図9に見られるように、上記被ロック部182D,183Dは、レセプタクルコネクタ101に設けられた相手ロック金具130のロック部135A,135Bの下方位置で、該ロック部135A,135Bに対してコネクタ抜出方向(上方)へ向けて係止可能に位置する。
【0087】
プラグコネクタの被ロック部の形状は、第一実施形態のような孔部や第二実施形態のような凸部に限られず、例えば、被ロック脚部の露出板部を貫通することなく該露出板部の板面から没した凹部として形成されていてもよい。このような形態では、該凹部を形成する内壁面のうちコネクタ挿抜方向に対して直角な面(プラグコネクタが上方から嵌合される場合には下側内壁面)が被ロック部として機能する。
【0088】
第一および第二実施形態では、相手ロック金具のロック部の下縁は、上下方向に対してほぼ直角に延びていることとしたが、これに代えて、端子配列方向で先端へ向かうにつれて上方へ向けて傾斜する傾斜縁を有していてもよい。このようにロック部に傾斜縁を設けた場合、コネクタ抜出の際にプラグコネクタを一定量以上の抜出力をもって上方へもち上げると、ロック位置にある上記ロック部の傾斜縁(下縁)に上記被ロック部が下方から当接して該ロック部を端子配列方向でロック解除位置へ向けて押圧する。この結果、弾性変形部材または弾性変形部の弾性変形によって、上記ロック部のロック解除位置への移動が許容されて、ロック状態が解除されるので、プラグコネクタの抜出が可能になる。つまり、プラグコネクタをもち上げる操作だけで該プラグコネクタを抜出できるので、相手ロック金具にロック解除操作部を設ける必要がなくなる。このような形態は、ロック強度がさほど大きくないようなコネクタに適用されるのが好ましい。また、ロック部の下縁に代えてあるいはロック部の下縁とともに、被ロック部の上縁部に、端子配列方向でロック部側へ向かうにつれて下方へ傾斜する傾斜縁を設けた場合も同様の効果が得られる。
【0089】
また、第一および第二実施形態では、プラグコネクタおよびレセプタクルコネクタは回路基板用電気コネクタであることとしたが、両コネクタの種類はこれに限られず、例えば、ケーブルに接続されるケーブル用電気コネクタであることとしてもよい。
【0090】
第一および第二実施形態では、相手ロック部材および弾性変形部材が金具として形成されていることとしたが、これに代えて、相手ロック部材および弾性変形部材は、例えば樹脂で形成されていてもよい。