(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第二端子は、被圧部に形成された係合被圧部が、可動部材の正方向回動中は、第二カム部の係合受圧部が上記第一カム部についての乗り上げ点よりも長手方向にて他端側に位置していることとする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のコネクタの外観そしてこれに接続される平型導体の接続前における接続部分となる前端部を示し、
図1(A)は斜視図、
図1(B)は平面図である。
【0017】
図1(A),(B)において、符号1は本実施形態の平型導体用電気コネクタであり、符号Fがこのコネクタ1に接続される平型導体である。
【0018】
平型導体Fは、その前端部(
図1(A)にてコネクタ1寄り部分をなす右上縁部、
図1(B)では上縁部)に上記コネクタ1との接続部分を有し、後方(
図1(A)にて左下方、
図1(B)にて下方)に長く延びているが、図では接続部分のすぐ後方位置までの部分が示されていて、それより後方は図示が省略されている。上記平型導体Fは、本実施形態では、前端部上面の被覆が除去されて接続回路部F1が露呈して接続部分をなしている。この接続部分は、コネクタとの接続時の強度向上のため下面に補強シートF2が施されている。
【0019】
かかる平型導体Fの接続部分には、その幅方向両側縁に切欠部によって被係止部F3が形成されている。この切欠き状の被係止部F3には後述の金具に形成された爪状の係止部が進入して係止して、平型導体Fの抜け防止に寄与する。
【0020】
上記平型導体Fの接続部分における接続回路部F1は、上記幅方向に配列された複数の配線部のそれぞれに形成されたパッドF4が設けられていて、該パッドF4は交互に前後して前列パッドF4Aと後列パッドF4Bが千鳥状に配列されている。上記前列パッドF4Aは、コネクタ1が有する後述の二種の端子(第一端子20と第二端子30)のうち、第一端子20、そして後列パッドF4Bが第二端子30が接続されるようになっている。以下、第一端子の一部位あるいは第一端子に対応して位置する他の部材について、「第一」を付すこととする。第二端子に関しても同様で、「第二」を付すこととする。
【0021】
一方コネクタ1は、コネクタ本体2と、該コネクタ本体2により可動に支持されている可動部材3から成っている(
図2をも参照)。
【0022】
コネクタ本体2は、電気絶縁材から作られたハウジング10と、金属板の平坦面を維持して作られていてハウジング10により保持されている第一端子20及び第二端子30の二種の端子と、これらの端子と同様に金属板から作られていて、ハウジング10により保持されている金具40とを有している。これらの第一端子20、第二端子30そして金具40については、後に詳述する。
【0023】
ハウジング10は、電気絶縁材料を成形して作られていて、上記平型導体Fの幅方向に長く、比較的高さ寸法の小さい略直方体外形を有しており、
図2に見られるように、前後方向に貫通する二種のスリット状の第一端子溝11と第二端子溝12が上記幅方向で交互に形成されている。二種の該第一端子溝11と第二端子溝12には、それぞれ、第一端子20と第二端子30が対応して挿入され保持されており、上記幅方向で端子の配列範囲を形成している。該端子の配列範囲の外側には、金具40を保持させるための金具溝13が第一そして第二端子溝11,12と同様なスリット状に、前後方向に貫通して形成されている。
【0024】
既述したように上記第一端子20、第二端子30そして金具40が金属板の平坦な板面を維持して作られている関係上、これらを挿入保持する第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13も、端子配列方向における溝幅が第一端子20、第二端子30そして金具40のそれぞれ板厚にほぼ等しく作られており、
図2(A),(B)そして(C)において、紙面に直角な方向を上記溝幅としている。
【0025】
第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13は、それぞれ
図2(A),(B)そして(C)に見られるように、ハウジング10の上壁14と底壁15との間で前後方向(図にて右方そして左方)に貫通形成されている。これらの第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13は、それらの後部同士が高さ方向中央位置で、
図2の紙面に対して直角方向に延びる連通溝で連通されていて、この連通溝が後方に開口する受入開口部16を形成し、この受入開口部16に既述の平型導体Fの接続部分を導入可能としている。かくして、第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13は、それらの後部域が上記受入開口部16によって上下に分離して、上壁14の下面と底壁15の上面にそれぞれ形成され、第一端子上部溝11Aと第一端子下部溝11B、第二端子上部溝12Aと第二端子下部溝12B、さらに、金具上部溝13Aと金具下部溝13Bを有するようになる。
【0026】
上記第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13は、それらの前部でも連通している。すなわち、これらの第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13の前部は、上記ハウジング10の底壁15よりも上方に形成された開放空間17により連通されている。したがって、この前部にて上壁14は切り欠かれていて、この開放空間17が可動部材3の配設そしてその回動を可能としている。上記上壁14は、端子配列方向にて、両端側の金具溝13の位置で、
図2(C)にも見られるように、後部でも切欠部分を有していて、ここでの金具40の対応部分の上方への十分な弾性変位を可能としている。
【0027】
上記第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13には、前後方向にて、前部の上記開放空間17と後部の受入開口部16との間に位置する部分に、上下方向で上壁14と底壁15との間で島状に形成された位置規制部18A,18Bそして18Cがそれぞれ設けられていて、各溝の対向内面同士を連結している。上記第二端子溝12と金具溝13に設けられた位置規制部18B,18Cは、互いに前後方向で同位置にあり、また、第一端子溝11に設けられた位置規制部18Aよりも前方に位置している。
【0028】
端子配列方向で、上記第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13に対応する底壁15の部分には、後述する第一端子20、第二端子30、そして金具40の固定のための固定部が形成されている。第一端子溝11における固定部19Aは底壁15の前端部の厚みがテーパ部をなして形成され、第二端子溝12と金具溝13における固定部19B,19Cは底壁15の後端部の厚みがテーパ部をなして形成されている。
【0029】
上記第一端子溝11、第二端子溝12そして金具溝13へそれぞれ挿入されて保持される第一端子20、第二端子30そして金具40は、いずれも、金属板の平坦な板面を維持したまま作られていて略横H字状をなしており、それぞれ、第一端子20そして第二端子30では、上方に位置する可動腕部21;31そしてその下方に位置する固定腕部22;32を有し、両者は前後方向の中間部に位置する連結部23;33で連結されている。また、金具40では、上方に位置する上腕部41とその下方に位置する下腕部42を有し、両者が中間部に位置する連結部43で連結されている。第一端子20の連結部23は対応の上記位置規制部18Aよりも前方に、そして第二端子30の連結部33と金具40の連結部43は対応のそれぞれの上記位置規制部18Bそして18Cよりも後方に位置している。
【0030】
第一端子20は、
図2(A)に見られるように、上方に位置する第一可動腕部21が前後方向でハウジング10の後端と該第一端子20の第一連結部23との間の中間位置まで延びているが、前方には前端よりも若干手前の位置にまで延びている。この第一可動腕部21は第一連結部23よりも前方が傾斜部24Bを経てもち上向きとなった後に、ほぼ水平方向で前方に延びる形状をなし、その水平部分に第一被圧腕部24をなし、上記第一連結部23よりも後方が第一押圧可動腕部25をなしている。上記第一被圧腕部24はその前端寄り下縁に浅い凹状の第一被圧部24Aが形成され、第一押圧可動腕部25の後端には下方に向け突出する第一押圧部25Aが設けられている。第一被圧部24Aは上述のように浅い凹状をなしていて後述の可動部材3のカムを回動案内する案内部としても機能している。このような第一可動腕部21は、後述の可動部材3から上記第一被圧部24Aが上方への力を受けると、梃子の原理で、第一連結部23の位置を支点として上記第一押圧可動腕部25が下方に向け撓んで傾斜するようになっている。上記第一被圧部24Aは、
図2(A)に見られるように、前後域に傾斜部をそして中間域を直線部として、浅い凹状を形成している。
【0031】
上記第一端子20の第一固定腕部22は、前後方向にて後部が上記第一可動腕部21の第一押圧可動腕部25と前後方向で同じ位置まで延びており、前部が上記第一可動腕部21の第一被圧腕部24よりも前方へ延びその前端がハウジング外に突出している。この第一固定腕部22は第一連結部23の位置に対して前後して第一前固定腕部26と第一後固定腕部27を有している。第一前固定腕部26は、前後方向で連結部23に寄った位置から階段状に高く形成されていて、高さ方向で中間位置まで隆起して横方向に延びる上縁部28Aと、該上縁部28Aから立ち上がる立ち上がり部28Bと、立ち上がり部28Bの上端に頂部が位置し横方向に延びている山状部28Cと、該山状部28Cの下部位置から前方へ向けハウジング外へ突出している第一接続部29とを有している。
【0032】
上記第一接続部29は、ハウジング10の底壁15の底面より若干下方に位置する下縁を有するように下方に屈曲して延びており、該下縁が回路基板との対応回路面と接面して半田接続を可能としている。この第一接続部29にはその後縁側に切込溝状の第一被固定部29Aが形成されていて、該第一被固定部29Aが既述のハウジング10の底壁15に形成されたテーパ状の固定部19Aへ圧入されて、第一端子20のハウジング10への固定の一役を担っている。
【0033】
上記第一端子20の第一固定腕部22の第一後固定腕部27は、第一連結部23の位置から後方に延び前後方向で第一可動腕部21の第一押圧部25Aに対応する位置にまで及んでいる。該第一後固定腕部27の後端には、上記第一可動腕部21の第一押圧部25Aに対向して上方へ突出する第一支持部27Aが設けられている。対向して位置する第一押圧部25Aと第一支持部27Aは、平型導体Fを挟圧するが、
図1のごとく平型導体Fの上面に接続回路部F1が設けられているときには、上記第一押圧部25Aが接続回路部F1と電気的に接触接続されるが、下面に接続回路部が形成されているときには、第一支持部27Aが電気的に接続され、両面に接続回路部が形成されているときには両者が該接続回路に対して電気的に接続される。
【0034】
このように形成された第一端子20は第一端子溝11へ前方から後方に向けて挿入される。所定位置まで挿入されると、第一後固定腕部27に形成された係止突起27Bが位置規制部18Aの下面に喰い込むと共に、第一前固定腕部26の第一被固定部29Aがハウジング10の底壁15の固定部19Aに嵌まり込むことにより固定されて、上記第一端子20の抜けが防止される。
【0035】
第二端子30は、
図2(B)に見られるように、第二可動腕部31が前方にハウジング10の前端近くまでそして後方には第一端子20の第一可動腕部21よりも長くハウジング10の後端近くまで延びている。この第二可動腕部31は第二連結部33よりも前方が第二被圧腕部34をなし後方が第二押圧可動腕部35をなしている。上記第二被圧腕部34にはその下縁に、若干凹弯曲して前後に横長な第二被圧部34Aが形成され、第二押圧可動腕部35の後端には下方に向け突出する第二押圧部35Aが設けられている。このような第二可動腕部31は、後述の可動部材3のカム部から上記第二被圧部34Aが上方への力を受けると、梃子の原理で、第二連結部33の位置を支点として上記第二押圧可動腕部35が下方に向け撓んで傾斜するようになっている。
【0036】
上記第二端子30の第二固定腕部32は、前後方向にて前部が上記第二可動腕部31の第二被圧腕部34とほぼ同じ前方位置まで延びて第二前固定腕部36を形成しており、後部は第二連結部33より後方へ延びて第二後固定腕部37を形成し、上記第二後固定腕部37の後端がハウジング外に突出している。第二前固定腕部36は、その前部のカム支持部38の上縁に直線状のカム当接部位38Aを形成している。上記第二後固定腕部37には前後方向で第二押圧部35Aと同じ位置で上方に向け対向して突出する第二支持部37Aが設けられている。
【0037】
対向する上記第二押圧部35Aと第二支持部37Aは、第一端子20の場合と同様に、平型導体Fを挟圧し、どちらが平型導体との電気的接続に用いられても、両者が用いられても良い。
【0038】
上記第二前固定腕部36のカム支持部38は、上縁がハウジング10の島状の位置規制部18Bの下縁と同じかそれよりも若干下方に位置しており、横方向に延びる直状縁をなすカム当接部位38Aを形成している。該カム当接部位38Aは、前後方向で上記第二被圧部34Aよりも前後に延びる範囲に形成されている。
【0039】
上記第二前固定腕部36には、前後方向にて、上記カム当接部位38Aと第二連結部33との間で、上記ハウジング10の位置規制部18Bに対応する位置に、上方へ突出する係止突部36Bが形成されている。
【0040】
上記第二端子30では、上述のごとく、第二接続部39は、前後方向で第一端子20の第一接続部29とは反対側となる後端部に設けられている。
【0041】
第二後固定腕部37の後端でハウジング外に突出して設けられた上記第二接続部39は、ハウジング10の底壁15の底面より若干下方に位置する下縁を有するように下方に屈曲して延びており、該下縁が回路基板との対応回路面と接面して半田接続を可能としている。この第二接続部39にはその前縁側に切込溝状の第二被固定部39Aが形成されていて、該第二被固定部39Aが既述のハウジング10のテーパ状の固定部19Bへ圧入されて第二端子30のハウジング10への固定の一役を担っている。
【0042】
このように形成された第二端子30は、第二端子溝12へ後方から前方に向けて挿入される。所定位置まで挿入されると、第二固定腕部32の第二前固定腕部36がハウジング10の底壁15と島状の位置規制部18Bの間を貫通し、第二前固定腕部36に形成された係止突部36Bが上記位置規制部18Bの下縁に喰い込むと共に、第二後固定腕部37の第二被固定部39Aがハウジング10の底壁15の固定部19Bに嵌まり込むことにより固定されて、上記第二端子30の抜けが防止される。
【0043】
金具40は、
図2(C)に見られるように、第二端子30に類似する形に作られているが、第二端子30と比較した場合、相違点は、第二端子30の第二可動腕部31に相当する上腕部41が比較的幅(上下方向寸法)が大きく、後端における係止部45Aが第二端子30の第二押圧部35Aと同様の形をしているものの、より大きく形成されていること、第二端子30の第二後固定腕部37に相当する下腕部42の後端には、第二端子30の第二支持部37Aに相当する部分がないことである。他は、第二端子30と同様であるので、第二端子30の符号に「10」を加えて、「40」台の符号とすることにより、その説明を省略する。
【0044】
金具40の上記係止部45Aは、大きな鉤状をなして下方に向け突出していて、前縁が前後方向に対してほぼ直角をなし、後縁が下端に向け斜縁をなしている。該係止部45Aが形成されている上腕部41の可動腕部45の上方ではハウジングの上壁14が大きく切り欠かれていて、挿入される平型導体Fの先端により押圧される上記係止部45Aがさらに上方へ傾くように弾性撓みを生じて、平型導体Fの所定位置までのさらなる挿入を可能としている。
【0045】
このように、ハウジング10に対して第一端子20、第二端子30そして金具40が保持されて成るコネクタ本体2には、可動部材3が可動に、本実施形態においては、回動可能に支持されている。
【0046】
この可動部材3は、
図1(A),(B)に見られるように、ハウジング10のほぼ全幅にわたり延びる部材としてハウジング10と同様の電気絶縁材で作られている。
【0047】
上記可動部材3は、
図2に見られる開位置と
図3に見られる閉位置の間を回動可能に支持されている。
図2において、可動部材3の回動軸線は該可動部材3の下半部に位置していて、該下半部はハウジング10の前部に形成された開放空間17に収まっている。
図2にて、該開放空間17外にあって、ハウジング10の上壁14よりも上方に突出している上半部は、使用者が該可動部材3を回動操作するための操作部51となっている。かかる可動部材3は、後述の第一カム部55、第二カム部56、第三カム部57から成るカム部を有していて、該カム部の存在により回動可能となっているが、該カム部の回動軸線自体の位置は、ハウジング10に対して固定されておらず、移動可能となっている。すなわち、状況によって、可動部材3は移動する回動軸線まわりに回動する。なお、この回動軸線は、上記第一カム部55、第二カム部56、第三カム部57に対して同一直線上にある。
【0048】
図2における上記可動部材3の下半部には、可動部材3の幅方向(端子配列方向で図では紙面に対し直角方向)で、第一端子20、第二端子30そして金具40に対応する位置に、第一端子20の第一被圧腕部24、第二端子30の第二被圧腕部34そして金具40の上腕部41の前部の進入を許容するスリット状の第一溝部52、第二溝部53そして第三溝部54が前後に貫通して形成されている。したがって、これらの第一溝部52、第二溝部53そして第三溝部54の溝幅(紙面に直角方向での溝内面同士幅)は、上記第一端子20、第二端子30そして金具40のそれぞれの板厚よりも若干大きい寸法となっている。上記第一溝部52、第二溝部53そして第三溝部54には、溝内面同士を連結する第一カム部55、第二カム部56そして第三カム部57がそれぞれ設けられている。
【0049】
第一端子20に対応して位置する第一溝部52に設けられた第一カム部55は、
図2(A)に見られるごとく、開位置における可動部材3の上記第一溝部52の下部に位置しており、横長な長円断面を有している。可動部材3が開位置にある
図2(A)に見られる姿勢では、第一端子20の第一被圧部24Aと山状部28Cの間隔に対し、第一カム部55の高さ寸法は小さく、横寸法が第一被圧部24Aと上縁部28Aの間隔に対し大きく設定されている。
図2(A)では、該第一カム部55の回動中心Xは、上記長円断面の右側の円弧部の曲率中心上にあって、既述した可動部材3の回動軸線の延長線上に位置している。したがって、上記回動中心Xを一端とし上記第一カム部55の円弧部の任意点を他端とする直線がカム半径となる。かくして、該第一カム部55の左右両側の円弧部のうち、
図2(A)にて回動中心Xが存在する右側の円弧部が小カム半径部55Aを、そして左側の円弧部が大カム半径部55Bを形成する。小カム半径部55Aはカム当接部位となる上記立ち上がり部28Bと摺接する摺接範囲を形成する。
図2(A)に見られる姿勢での第一カム部55の横寸法が上述の第一端子20の第一被圧部24Aと上縁部28Aの間隔に対して上述のような関係をもっているので、上記大カム半径部55Bは、上記第一カム部55が回動中心Xを中心に
図3の閉位置まで回動したときには、第一端子20の第一可動腕部21の第一被圧腕部24をその凹部状の第一被圧部24Aを上方に圧して弾性変位させるのに十分なだけのカム半径をもっている。上記小カム半径部55Aは、
図2(A)に見られる開位置においては第一端子20の上縁部28Aに没入して形成された円弧状部分28A−1との間に若干の隙間をもっているが、閉位置への回動につれて該円弧状部分28A−1に収まり回動中心Xの位置を安定させている。
【0050】
第二端子30に対応して位置する第二溝部53に設けられた第二カム部56は、
図2(B)に見られるごとく、右側に大円弧の小カム半径部56Aそして左側に小円弧の大カム半径部56Bをもつ略扇型をなしており、回動中心Xは第一カム部55と一致した位置にあり、カム当接部位38Aと摺接する摺接範囲を形成する上記小カム半径部56Aの円弧の曲率中心をなしている。上記回動中心Xに対して、カム支持部38のカム当接部位38Aは第一端子20の山状部28Cよりも下方に位置しているので、上記カム当接部位38Aに接する小カム半径部56Aのカム半径は第一カム部55のカム半径よりも大きく、どの回動角度位置でも第一カム部55に対して一定のカム半径差を有している。上記第二カム部56の大カム半径部56Bは、第一カム部55の大カム半径部55Bと同様に、上記第二カム部56が回動中心Xを中心に
図3の閉位置まで回動したときには、第二端子30の第二被圧部の受圧腕部34をその第二被圧部34Aで上方に圧して弾性変位させるのに十分なだけのカム半径をもっている。
【0051】
上記第二カム部56は、
図2(B)において、左部となる大カム半径部56Bから右部となる小カム半径部56Aへ移行する上側(
図3(B)で右側)縁56Cに係合受圧部56Dが突起状に設けられている。
図2(B)では、該係合受圧部56Dは、第二端子30の第二被圧部34Aの左端寄りに位置している。凹状の上記第二被圧部34Aは、凹弯曲形状となっている結果、右端寄り部分は右下がり勾配をなしていて係合被圧部34A−1を形成している。
【0052】
金具40に対応して位置する第三溝部54に設けられた第三カム部57は、
図2(C)に見られるごとく、第二溝部53に位置する上述の第二カム部56と似た形状に作られており、右側に大円弧の小カム半径部57Aそして左側に小円弧の大カム半径部57Bをもつ略扇型をなしており、回動中心Xは第一カム部55そして第二カム部56の回動中心と一致した位置にあり、カム当接部位48Aと摺接する摺接範囲を形成する上記小カム半径部57Aの円弧の曲率中心をなしている。この回動中心Xに対して、カム支持部48のカム当接部位48Aは、第二カム部56と同様に、第一端子20の山状部28Cよりも下方に位置しているので、上記カム当接部位48Aに接する小カム半径部57Aのカム半径は第一カム部55のカム半径よりも大きく、どの回動角度位置でも一定のカム半径差を有している。上記第三カム部57の大カム半径部57Bは、第一カム部55の大カム半径部55Bと同様に、上記第三カム部57が回動中心Xを中心に
図3の閉位置まで回動したときには、金具40の上腕部41の被圧腕部44をその被圧部44Aで上方に圧して弾性変位させるのに十分なだけのカム半径をもっている。
【0053】
上記第三カム部57は、
図2(C)において、左部となる大カム半径部57Bから右部となる小カム半径部57Aへ移行する上側(
図3(C)で右側)縁57Cに段状の没部が形成されていて、該没部を設けることで得られた角部を係合受圧部57Dとしている。該係合受圧部57Dは、可動部材3が
図2(C)に示される位置よりも負方向(反時計まわり方向)に回動されたとき、第二カム部56の係合受圧部56Dと同様の機能を果たす。
【0054】
このような構成の本実施形態のコネクタは、次の要領で使用されそして機能する。
【0055】
先ず、コネクタ1を回路基板(図示せず)上の所定位置に配し、第一端子20の第一接続部29、第二端子30の第二接続部39へ、そして金具40の半田固定部49を回路基板の対応部と半田接続すると共に固定する。
【0056】
このように回路基板に取り付けられたコネクタ1について、可動部材3を
図2に見られるような該可動部材3が垂立姿勢にある開位置にもたらし、ハウジング10の受入開口部16を後方に向け開口した状態とし、平型導体Fの挿入を可能状態とする。
【0057】
次に、平型導体Fの接続部分を上記受入開口部16内へ前方へ向け挿入する。第一端子20は第一可動部21の第一押圧部25Aと第一固定腕部22の第一支持部27Aとの間、第二端子30は第二可動腕部31の第二押圧部35Aと第二固定腕部32の第二支持部37Aとの間がいずれも平型導体Fの上記接続部分の厚みよりも若干広い間隔となっているので、該平型導体Fの接続部分は容易に挿入される。しかし、上記金具40に関しては、該金具40の上腕部41の係止部45Aと下腕部42との間が上記平型導体Fの接続部分の厚みよりも狭い間隔となっているので、平型導体Fはその前端で、上記係止部45Aをもち上げて所定位置まで前進し、平型導体Fの切欠き状の被係止部F3へ上記係止部45Aが入り込み、これにより平型導体Fは、仮保持される。
【0058】
次に、
図3に見られるごとく、ケーブル接続のために正規の操作手順として、可動部材3を
図2の開位置から水平姿勢の閉位置まで正方向(時計まわり方向)へ回動させる。この回動により、可動部材3の第一カム部55、第二カム部56そして第三カム部57は、回動中心Xを中心に回動して、それらの小カム半径部55A;56A;57Aが対応する第一端子20の上縁部28A、第二端子30そして金具40のカム当接部位38A;48A上を摺接すると共に、大カム半径部55B;56B;57Bが対応する第一端子20、第二端子30そして金具40のそれぞれの第二被圧部24A;34A;44Aを上方に圧する。その結果、第一端子20、第二端子30そして金具40は、それらの第一可動腕部21の第一被圧腕部24、第二可動腕部31の第二被圧腕部34、そして被圧腕部44がそれぞれもち上がり、梃子の原理により、第一押圧可動腕部25、第二押圧可動腕部35、可動腕部45がそれぞれ下方に撓み、第一押圧部25A、第二押圧部35Aが平型導体Fの上面を下方に圧し、また係止部45Aがさらに下方に変位してその位置を維持する。したがって、平型導体Fは所定の接圧をもって、第一端子20そして第二端子30の接触部として機能する第一押圧部25A、第二押圧部35Aと接触して電気的に接続がなされ、金具40の係止部45Aにより被係止部F3にて確実に抜けが防止される。
【0059】
次に、可動部材3が
図2の姿勢から
図3の姿勢へ正方向に向け回動する正規操作を受けずに、
図2の姿勢から一旦負方向へ回動されて
図4の姿勢になってから、その後に、正方向に
図5の姿勢を経て閉位置へ向け回動操作を受ける、あまり好ましくないが、しばしば行われる操作の際の作動について説明する。
【0060】
負方向への回動操作を受けて可動部材3が
図4の姿勢になったときに、可動部材3の操作部51の後面(
図4のおける左面)がハウジング10の対応規制部に当接している。この当接が行われた瞬間は可動部材3は負方向に力を受けており、ハウジングの規制部に位置する当接点を中心として可動部材3のカム部が位置する該可動部材3の下部が反時計方向に回動移動しようとする。既述のように、カム部は、第一カム部55、第二カム部56そして第三カム部57は同一軸線をカム軸線として回動するが、カム軸線自体の位置は一定となるように支持されているわけではないので、第一カム部55、第二カム部56そして第三カム部57はもち上がり、しかも、可動部材3は当接点で上記ハウジング10から右方への力を反力として受けているので、上記もち上がりと同時に右方へずれようと移動し、その結果、右方への移動が第一端子20の立ち上がり部28Bで規制されている筈の第一カム部55が
図4(A)のごとく、立ち上がり部28Bと山状部58Cがなす角部にかかり、さらに可動部材3が正方向へ回動して垂立位置(
図2に相当する姿勢)になったときには、上記角部を乗り上げ部Qとして乗り上げ始め、立ち上がり部28Bを越えて
図5(A)のごとく山状部28Cへ乗り上げようとしてしまう。このような
図4(A)、
図5(A)のカム部の位置は、最早、正規位置からずれた逸脱回動位置である。
【0061】
このように第一カム部55が逸脱回動位置にきてしまった場合、仮に、第二カム部に本実施形態のような対策が講じられていない従来の可動部材は、
図5の可動部材3が垂立する開位置から閉位置へ向けて、さらに正方向へ回動操作を受けると、その操作力によって、正方向への回動途中で、
図6のごとく、ハウジング10外へ外れてしまう。
【0062】
しかしながら、本実施形態では、第二カム部56に突起状の係合受圧部56Dが設けられていて、
図4(B)のごとく可動部材3が負方向に回動された姿勢から
図5(B)の姿勢へ正方向へ移動する過程で、上記係合受圧部56Dが第二端子30の第二被圧部34Aを上方へ圧するように係合しながら、その第二被圧部34Aとの接触点である係合点56Eを左方から右方へ移動する。この係合点は、第二被圧部34Aにとってみると、該第二被圧部34A上を移動する係合被圧部を形成する。また、この係合点は、第二カム部56にとっては、常に突起状の係合受圧部56Dに位置していて、定点である。
【0063】
さて、このような状況において、
図4(B)の第二カム部56を拡大して示す
図7に見られるように、第二被圧部34Aが凹弯曲形状をなしている関係上、該第二被圧部34Aの右端域34A−Rは右下がり勾配の傾斜となっている。
【0064】
したがって、上記係合点56E、すなわち第二被圧部34A上を移動する係合被圧部34A−1の位置は、上記右下がり勾配の傾斜となっている右端域34A−Rにさしかかると、その傾斜に起因して該右端域34A−Rで、上記第二カム部56の係合受圧部56Dはそれ以上の移動が阻止されて、移動がそれ以上できない限界位置で右方への移動が停止する。しかし、可動部材3は、上記限界位置においても引き続き正方向への回動操作を受けているわけであり、正方向に回動しようとする。したがって、第二カム部56は、上記第二端子30の係合被圧部34Aの右端域34A−Rと接触している上記限界位置(例えば、
図7に示される限界位置ML)を支点として正方向へ回動している操作力による同方向にトルクを受けることになる。このトルクを受けて、第二カム部56は、上記限界位置MLを瞬間中心として、正方向に回動しようとするし、左方へ向け押圧力を受けて左方へ移動しようとする。したがって、該第二カム部56とは軸線方向には異なる位置にあるものの該第二カム部56と一体に形成されている第一カム部55も上記正方向に回動しようとするし、左方へ移動しようとする。第二カム部56は、第二端子30の第二被圧腕部34からその弾性撓みに起因して反力として下向きの力を受けているので、この下向きの力は当然第一カム部55にも伝達される。したがって、第一カム部55は、第二カム部56の上記限界位置MLを瞬間中心とする正方向回動により、左方への力と下方への力を同時に受けることとなり、第一端子の立ち上がり部28Bから山状部28Cへの移行位置の角部を乗り上げ部Qとしていた
図7における破線の位置の状態から、左下方向へ外れるよう移動して上縁部28A上の正規位置へ戻されることとなる。かくして、正規位置に戻った第一カム部55が、
図2(A)の状態となり、立ち上がり部28Bにより右方への移動を阻止されつつ、可動部材3は正方向に向け正規の回動のもとで閉位置へ至る。
【0065】
本発明では、第二カム部56に形成される係合受圧部56Dは、既出の図に図示された突起状としそして位置せずとも、同様の作用をもたらす突状をもつ形態として種々変形可能である。例えば、既出の係合受圧部56Dが
図4(B)の姿勢をとっている状態で対比しながら説明すると、
図8(A)のように第二カム部56の上縁部の中央位置ではなく右端に突起状の係合受圧部56D−1を位置させることもできるし、
図8(B)のように、右端を単純な角部として係合受圧部56D−2とすることもできるし、
図8(C)のように、上縁部の右部を段状に没するように形成してその段状をなす角部を係合受圧部56D−3とすることもできるし、さらには、
図8(D)のごとく、第二カム部56を既出の第一カム部55の形状と同様な横長な長円として、その右部が第二端子30の第二被圧腕部34の右端に形成された鉤部34A−2と係合するようにして、この右部を係合受圧部56D−4としてもよい。
【0066】
本実施形態では、
図7に見られるように係合点56Eの限界位置(ML)と第一カム部55の乗り上げ部Qとの前後方向の位置関係が好ましい例として、係合点56Eの方が乗り上げ部Qよりも前方に位置している場合を図示したが、この前後位置関係は、たとえ逆になっていても、第二カム部56は、係合点56Eを支点としての正方向回動するし、左方へ押し戻されるので、同様な効果を得る。