特許第5872525号(P5872525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5872525-汚泥の再資源化方法 図000002
  • 特許5872525-汚泥の再資源化方法 図000003
  • 特許5872525-汚泥の再資源化方法 図000004
  • 特許5872525-汚泥の再資源化方法 図000005
  • 特許5872525-汚泥の再資源化方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872525
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】汚泥の再資源化方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20160216BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C02F11/00 J
   C02F11/12 ZZAB
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-254834(P2013-254834)
(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公開番号】特開2015-112515(P2015-112515A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】大平 一騎
(72)【発明者】
【氏名】沢田 健
(72)【発明者】
【氏名】島田 裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 敏也
(72)【発明者】
【氏名】森下 啓司
(72)【発明者】
【氏名】福原 洋地
(72)【発明者】
【氏名】盛田 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】垰田 敦司
(72)【発明者】
【氏名】徳竹 一人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉野 貴文
(72)【発明者】
【氏名】大野 忠雄
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−000549(JP,A)
【文献】 特開2011−139985(JP,A)
【文献】 特開平11−077093(JP,A)
【文献】 特開2013−112825(JP,A)
【文献】 特開2012−081426(JP,A)
【文献】 米国特許第03942970(US,A)
【文献】 特開2005−337644(JP,A)
【文献】 特開2000−271600(JP,A)
【文献】 特開平11−333500(JP,A)
【文献】 特開平07−265900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00
C02F 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火力発電所からの鉄分を含んだ排水を沈殿槽に沈殿させ、鉄分を含んだ汚泥スラリーを生成する沈殿ステップと、
前記汚泥スラリーから水分を脱水し、脱水汚泥ケーキを作成する脱水ケーキ作成ステップと、
前記脱水汚泥ケーキと前記汚泥スラリーと水とをそれぞれ所定の割合で混合して、混練することにより混練物を生成する混練ステップと、
前記混練物の含水率を検出する含水率検出ステップと、
前記混練物の含水率が90%〜93%の範囲内にある場合に混練物が良好な状態にあると判断する判断ステップと、
前記混練物が良好な状態にあると判断した場合に、前記混練物を生成物として抽出する抽出ステップと、を備えたことを特徴とする汚泥の再資源化方法。
【請求項2】
前記混練物の含水率が90%〜93%の範囲内ではない場合に、前記混練ステップにおいて前記汚泥スラリーを所定の微量だけ供給して微調整する微調整ステップを備えたことを特徴とする請求項1記載の汚泥の再資源化方法。
【請求項3】
前記混練ステップは、脱水汚泥ケーキと汚泥スラリーを1:5、または脱水汚泥ケーキと水を1:2の割合で混合することを特徴とする請求項1記載の汚泥の再資源化方法。
【請求項4】
前記混練物の含水率が90〜93%の範囲内にある場合に、製鉄所のスラジ処理設備に設けられた移送ポンプのポンプ翼が傷まない程度の液状化状態であることを特徴とする請求項記載の汚泥の再資源化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物として処理していた脱水汚泥を資源として有効利用することに好適な汚泥の再資源化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火力発電所では、石炭や重油等の化石燃料を燃焼させて水を加熱して蒸気タービンを回転させ、発電機により電力を発電している。このような火力発電所から排出される排水には鉄分が多く含まれていることが知られている。従来、この排水を総合排水処理装置で処理して得られた脱水汚泥ケーキを産業廃棄物としていた。この際、従来の脱水機を利用すると、脱水汚泥ケーキの含水率は76%程度となっている。
具体的には図4に示すように、火力発電所からの排水は、汚泥貯留タンクに貯留しておき、汚泥貯留タンクに沈殿した汚泥スラリーをろ布袋に入れて120分、0.4MPaの圧力で打ち込みを行い、次いで脱水機で0.7MPaの圧力で圧搾し、含水率76%程度の脱水ケーキを得ていた。
ところで、搬送効率が良く、製鉄所での再資源化処理に最適な状態になった汚泥が切望されていた。そこで、脱水機の運用・調整を試みてみた。詳しくは、図5に示すように、脱水機での圧搾圧力や、打ち込み時間、打ち込み圧力等を変更しながら含水率を計測した。
しかしながら、固形物と液体が混在する点、洗浄工程での汚泥固形物がドリッピングパン上に残る点(ろ液排水膜が詰まる)、一定の打ち込み時間では汚泥スラリーの変化に対応不可能な点(含水率が変わる)、脱水装置の1回当たりの処理量が減少する点等といった問題があった。
【0003】
特許文献1には、有機性汚泥を高温高圧処理してスラリー状物質を生成し、スラリー状物質を脱水処理して脱水固形物を回収する有機性汚泥の処理装置が開示されている。
また、特許文献2には、火力発電所で排出された排水中の汚泥を濃縮する濃縮部と、濃縮部で濃縮された汚泥を加熱してスラリー化するスラリー化部と、スラリー化された汚泥を脱水する脱水部とを備えた脱水汚泥システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−61861公報
【特許文献2】特開2011−139985公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2には、スラリー化された汚泥を脱水する点の技術が開示されている。
しかしながら、汚泥スラリー、水等を混ぜ、所望の含水率に調整することができないといった問題があった。
そこで、火力発電所の排水から得られる鉄分を含む汚泥スラリーを所望の含水率に調整し、資源として有効に再利用することで、産業廃棄物の廃棄費用を低減することが切望されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、火力発電所の排水から得られる鉄分を含む汚泥スラリーを所望の含水率に調整し、資源として有効利用することができ、産業廃棄物の廃棄費用を低減することができる汚泥の再資源化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、火力発電所からの鉄分を含んだ排水を沈殿槽に沈殿させ、鉄分を含んだ汚泥スラリーを生成する沈殿ステップと、前記汚泥スラリーから水分を脱水し、脱水汚泥ケーキを作成する脱水ケーキ作成ステップと、前記脱水汚泥ケーキと前記汚泥スラリーと水とをそれぞれ所定の割合で混合して、混練することにより混練物を生成する混練ステップと、前記混練物の含水率を検出する含水率検出ステップと、前記混練物の含水率が90%〜93%の範囲内にある場合に混練物が良好な状態にあると判断する判断ステップと、前記混練物が良好な状態にあると判断した場合に、前記混練物を生成物として抽出する抽出ステップと、を備えたことを特徴とする。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、火力発電所からの鉄分を含んだ排水を沈殿槽に沈殿させ、鉄分を含んだ汚泥スラリーを生成し、汚泥スラリーから水分を脱水し、脱水汚泥ケーキを作成し、脱水汚泥ケーキと汚泥スラリーまたは水とをそれぞれ所定の割合で混合して、混練することにより混練物を生成し、混練物の含水率を検出し、混練物の含水率が所定の範囲内にある場合に混練物が良好な状態にあると判断し、混練物が良好な状態にあると判断した場合に、混練物を生成物として抽出する。
これにより、火力発電所の排水から得られる鉄分を含む汚泥スラリーを所望の含水率に調整し、資源として有効利用することができ、産業廃棄物の廃棄費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)(b)は、本発明の実施形態に係わる汚泥の再資源化システムに適用可能なシステム構成を示す図、製鉄所を示す図である。
図2】汚泥スラリーを有効利用するための処理方法について説明するためのフロー図である。
図3】実験データを示す図である。
図4】従来の処理フローを示す図である。
図5】従来の脱水機の運用・調整の試み結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる汚泥の再資源化システムに適用可能なシステム構成を示す図である。
図1(a)において、火力発電所1では、石炭や重油等の化石燃料を燃焼させて水を加熱し、蒸気タービンを回転させ発電機により電力を発電している。この火力発電所では、総合排水処理装置を介して鉄分が多く含まれている排水を沈殿槽11に排出している。なお、純水製造装置の再生水、タービン室ピット排水、ボイラの洗浄水等が排水として沈殿槽11に排出されている。この結果、沈殿槽11には汚泥11aが沈殿される。
沈殿槽11から移送された汚泥11aは、汚泥貯留タンク13に貯留され汚泥スラリー13aとなる。さらに、汚泥貯留タンク13から汚泥スラリー13aを給泥ポンプ15で吸い上げて脱水機17に投入すると、脱水機17から脱水汚泥ケーキ19aが排出され、汚泥コンテナ19に一時保存される。
汚泥コンテナ19から脱水汚泥ケーキ19aを混練機21に移送し、汚泥貯留タンク13から汚泥スラリー13aを混練機21に移送し(または水を)混練機21に投入する。
【0010】
脱水汚泥ケーキ19aと汚泥スラリー13aを1:5、または脱水汚泥ケーキと水を1:2の割合で混練機21に投入して混合し、モータ21mの回転に応じてブレード21fを回転させ、混練することにより混練物21aを生成する。
混練機21には、槽内で2本のブレード21fが回転し、ブレード間で持ち上がる混練物21aを、上部からの蓋で押し込み、強力なせん断応力で混練し、分散を行う。混練機21の下方には開閉弁を有する吐出部22bが設けられている。
混練機21の下方に設けられた吐出部22bには、水分計13及び粘度計25が設けられている。水分計13は、吐出部22bの内側に存在する混練物21aの含水率を検出する測定器である。一方、粘度計25は、吐出部22bの内側に存在する混練物21aの粘度μを検出する測定器である。
水分計13として用いるマイクロ波式の水分計は、吐出部22bの一面に設けられた照射口から他面に設けられた受信口に至る照射範囲の水分を測定することが可能である。
粘度計25として用いる超音波粘度計は、超音波振動を利用しており、超音波振動部を吐出部22bの内側に存在する混練物21aを超音波で振動させ、液体粘度をインラインで高精度に計測することが可能である。
【0011】
ところで、脱水処理後の状態が「含水率:90%」程度で「液状化(固形物無し)」した状態を満たせば、重さ当たりの体積(体積/重さ)が低い値になり、搬送効率が最も良く、製鉄所での再資源化処理に最適な状態となる。
そこで、混練物21aの含水率を検出した結果、混練物21aの含水率が90〜93%の範囲内にある場合に混練物21aが良好な状態にあると判断する。混練物21aが良好な状態にあると判断した場合に、混練物21aを生成物として抽出することができる。
この結果、生成物として抽出した混練物は、固形物が液体中に混在せず、例えば洗浄工程での汚泥固形物がドリッピングパン上に残る(ろ液排水膜が詰まる)ことなく、また、脱水機の1回当たりの処理量が減少することがなかった。
【0012】
なお、混練物21aの含水率が90〜93%の範囲内にある場合に、製鉄所のスラジ処理設備の受入れピット35に設けられている移送ポンプ33のポンプ翼が傷まない程度の液状化とすることができる。
混練機21の下方の吐出部22bに設けられた開閉弁を開放し、吐出部22bから混練物21aを吐出させ、貯槽27に貯留しておく。定期的に、貯槽27に貯留された混練物27aをバキュームカー29に設けられたタンクに吸い上げ、製鉄所3に輸送する。
図1(b)において、バキュームカー29が製鉄所3に到着すると、タンクに収容されている混練物29aを貯槽31に吐出する。さらに、貯槽31から移送ポンプ33で吸引された混練物31aはピット35に移送され、順次に溶鉱炉47に投入される。
【0013】
一方、製鉄所では、石炭37をコークス炉39に投入してコークスを生成する。コークスには、鉄鉱石を炭素で還元して鉄分を取り出す、溶鉱炉47の中で還元ガスや溶けた鉄の通路を確保するといった役割がある。そのため溶鉱炉用コークスは、簡単につぶれたり崩れたりしない硬さと強さを持ち、粒度が揃い、灰分、水分、イオウ分が少ないことが条件になり、粘結性に富む強粘結炭を用いる。コークスは製鉄所内のコークス炉39で生成する。石炭37を洗炭し、粉砕・整粒した上で強粘結炭に多少の弱粘結炭を配合し、コークス炉39に装入し、十数時間かけて蒸し焼きにするとコークスができ上がる。
【0014】
他方、鉄鉱石41と石灰石とを焼結設備43に投入する。ここで、粉にした鉄鉱石(粉鉱石)を鉄鉱石から銑鉄を作り出す溶鉱炉47にそのままで装入すると、溶鉱炉47は目つまりを起こす。そこで、粉鉱石に粉コークスと5〜15%の石灰石を混ぜ、一定の大きさに焼き固めて焼結させ、焼結鉱45を生成する。
溶鉱炉47では、焼結鉱45から銑鉄49を作り出す高炉であり、溶鉱炉47の操業には複数のセンサとコンピュータにより制御する。
コークスと焼結鉱45は、溶鉱炉47の上方から交互に少量ずつ炉内に投入される。この際、ピット35に収容されている鉄分を含んだ混練物31aが少量ずつ溶鉱炉47に投入される。
【0015】
溶鉱炉47の中央部には炉心コークスと呼ばれるコークスの山があり、周囲には炉頂から装入された鉄鉱石とコークスが交互に積み重なっている。コークスは溶鉱炉47の下方から吹き込まれる熱風や酸素と反応して一酸化炭素や水素などのガス(還元ガス)を発生する。この高熱ガスは激しい上昇気流となって炉内を吹きのぼり、鉄鉱石と、鉄分を含んだ混練物31aを溶かしながら酸素を奪う(間接還元)。溶けた鉄は豪雨のように流れ落ち、コークスの炭素と接触することでさらに還元(直接還元)され、炉底の湯溜り部に溜まる。
溶鉱炉47の底部には数か所の出銑口が設けられており、出銑口から高熱の銑鉄が流れ出す。溶鉱炉47から出た銑鉄は、溶けたままトーピードカー51に積まれ、ケイ素SiやリンP、硫黄Sを除去する溶銑予備処理工程を経て製鋼工場に運ばれる。
このように、火力発電所から排出される鉄分が多く含まれている脱水汚泥スラリーを混錬機へ送り、汚泥スラリー、水等を混ぜ、所望の含水率に調整する。これにより、産業廃棄物として処理していた脱水汚泥を運搬可能な資源とし、銑鉄の生成に有効利用することができ、産業廃棄物の廃棄費用を低減することができる。
【0016】
次に、図2に示すフロー図を参照して、汚泥スラリーを有効利用するための処理方法について説明する。
まず、ステップS5では、火力発電所に設けられた総合排水処理装置11より汚泥スラリーを沈殿槽11に排出する。さらに、沈殿槽11から移送された汚泥11aは、汚泥貯留タンク13に貯留され汚泥スラリー13aとなる。さらに、汚泥貯留タンク13から汚泥スラリー13aを給泥ポンプ15で吸い上げて脱水機17に投入する。この段階での汚泥スラリーの含水率は96%(液状)である。
次いで、ステップS10では、脱水機17を運転(含水率76%)し、脱水汚泥ケーキを作成する。この段階での含水率は76%(固形)である。
【0017】
次いで、ステップS15では、汚泥コンテナ19から脱水汚泥ケーキを混錬機21に移送する。さらに、汚泥貯留タンク13から汚泥スラリー13aを混練機21に移送し、さらに水を混練機21に投入する。この段階での含水率は76%(固形)である。なお、脱水汚泥ケーキ[1]に対し、汚泥スラリーは[5]、水は[2]の割合で混練機に投入する。
次いで、ステップS20では、混錬機21(含水率調整)において、モータ21mを回転してブレード21fを回転させ脱水汚泥ケーキ、汚泥スラリー、水を混練する。この段階で混練物21aの含水率が76%から90〜93%の範囲に入るように調整する。
このように、脱水汚泥ケーキと汚泥スラリーを1:5、または脱水汚泥ケーキと水を1:2の割合で混合することで、混練物21aの含水率が76%から90〜93%の範囲に入るように容易に調整することができる。
【0018】
次いで、ステップS25では、混練物21aの含水率が上昇し、液状化した混練物21aに対して、水分計23を目視確認し、含水率が90〜93%の範囲に入っている場合に含水率が良好であるとする。
このように、混練物の含水率が90%〜93%の範囲内にある場合に混練物が良好な状態にあると判断することで、搬送に優れた状態を有する汚泥の混練物を生成することができる。なお、混練物の含水率が90%未満で低くなるにつれて、混練物が乾燥状態に近づくので移送ポンプ33(図1(a)参照)のポンプ翼による搬送、吸い込み、吐出に適さない状態になり、場合によっては移送ポンプ33のポンプ翼が傷む虞がある。一方、混練物の含水率が94%以上に高くなるにつれて、混練物が水分過多の状態に近づくので、鉄分の含有量が低減する状態になる。
【0019】
混練物21aの含水率が良好ではない場合(S25、No)に、ステップS30に進み、汚泥貯留タンク13から汚泥スラリー13aを微量ΔB(例えば、1m )だけ混錬機21に供給し、再度ステップS25に進む。
例えば、混練物21aの含水率が基準値よりも低い場合、汚泥スラリーを微量ΔBだけ供給して微調整して混練することで、必要以上の水分を投入することなく、混練物21aの含水率を基準値に到達させることができる。
また、混練物21aの含水率が基準値よりも高い場合、汚泥脱水ケーキを微量ΔBだけ供給して微調整して混練することで、必要以上の汚泥脱水ケーキを投入することなく、混練物21aの含水率を基準値に到達させることができる。
【0020】
混練物21aの含水率が良好(含水率90〜93%(液状))である場合に、ステップS35に進み、調整が完了した汚泥を貯槽27へ移送する。
次いで、ステップS40では、調整済みの汚泥の混練物27aを貯槽27に貯槽する。
次いで、ステップS45では、バキュームカー29に調整済みの汚泥の混練物27aを回収し、再利用設備である製鉄所3へ移送する。
バキュームカー29が製鉄所3に到着すると、タンクに収容されている混練物29aを貯槽31に吐出する。さらに、貯槽31から移送ポンプ33で吸引された混練物31aはピット35に移送され、順次に溶鉱炉47に投入される。
このように、火力発電所から排出される鉄分が多く含まれている脱水汚泥スラリーを混錬機へ送り、汚泥スラリー、水等を混ぜ、所望の含水率に調整する。これにより、産業廃棄物として処理していた脱水汚泥を運搬可能な資源とし、銑鉄の生成に有効利用することができ、産業廃棄物の廃棄費用を低減することができる。
なお、図3は、実験データを示す図である。
【0021】
<変形例>
上記実施形態にあっては、ステップS25において、水分計23を目視確認し、混練物21aの含水率が90〜93%の範囲に入っている場合に含水率が良好であるとしていたが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。
すなわち、制御部を設け、水分計23からの含水率が90〜93%の範囲に入っている場合に含水率が良好であると判定するように制御してもよい。
なお、この制御部は、内部にROM(Read Only Memory)、RAM、CPU、HDDを有しており、CPU(Central Processing Unit)は、HDD(Hard Disk Drive)からオペレーティングシステムOSを読み出してRAM(Random Access Memory)上に展開してOSを起動し、OS管理下において、HDDからプログラムを読み出し、各種処理を実行する。
【0022】
この制御部が混練物21aの含水率が良好であると判定した場合、混練機21の下方の吐出部22bに設けられた開閉弁に開放指令を出力し、吐出部22bから混練物21aを吐出させ、貯槽27に貯留するように制御してもよい。
この制御部が混練物21aの含水率が良好であると判定した場合、混練物の含水率が良好である旨を示す音声メッセージをスピーカから発生するように制御してもよい。
また、この制御部が混練物21aの含水率が良好でないと判定した場合、汚泥貯留タンク13から汚泥スラリー13aを微量ΔBだけ混錬機21に供給するように制御してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1…火力発電所、3…製鉄所、11…沈殿槽、11a…汚泥、13…汚泥貯留タンク、13a…汚泥スラリー、15…給泥ポンプ、17…脱水機、19…汚泥コンテナ、19a…脱水汚泥ケーキ、21…混練機、21a…混練物、22b…吐出部、23…水分計、25…粘度計、27…貯槽、27a…混練物、29…バキュームカー、29a…混練物、31…貯槽、31a…混練物、33…移送ポンプ、35…ピット、37…石炭、39…コークス炉、41…鉄鉱石、43…焼結設備、45…焼結鉱、47…溶鉱炉、49…銑鉄、51…トーピードカー
図1
図2
図3
図4
図5