特許第5872530号(P5872530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872530高誘電率ゴム組成物及び電力ケーブル用部品
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  • 特許5872530-高誘電率ゴム組成物及び電力ケーブル用部品 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872530
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】高誘電率ゴム組成物及び電力ケーブル用部品
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20160216BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20160216BHJP
   C08K 3/24 20060101ALI20160216BHJP
   H01B 3/28 20060101ALI20160216BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20160216BHJP
   H01B 3/00 20060101ALI20160216BHJP
   H01B 3/12 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C08L21/00
   C08L23/04
   C08K3/24
   H01B3/28
   H01B3/44 P
   H01B3/00 A
   H01B3/12 304
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-270826(P2013-270826)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-124329(P2015-124329A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2014年8月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 翔子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 享
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−309988(JP,A)
【文献】 特開2009−120750(JP,A)
【文献】 特開2007−073195(JP,A)
【文献】 特開2003−147211(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第01470502(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
H01B 3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系ゴム20〜90質量%と、エチレンを構成単位として含む主鎖に、極性基を含む官能基のみが側鎖として設けられ、前記極性基を含む官能基が、無水マレイン酸基又はカルボン酸基で構成されている極性基含有樹脂10〜80質量%とからなるベース樹脂と、
チタン酸塩とを含み、
前記チタン酸塩が、前記ベース樹脂100質量部に対して50〜400質量部の割合で配合されている、高誘電率ゴム組成物。
【請求項2】
前記チタン酸塩がチタン酸カルシウムである請求項1に記載の高誘電率ゴム組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高誘電率ゴム組成物を用いて得られる電力ケーブル用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高誘電率ゴム組成物及び電力ケーブル用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルの接続部、終端部等の電界不整部となりやすい箇所には通常、電界緩和を行うため、テープ、チューブ等の電力ケーブル用部品が配置される。これらの部品は高誘電ゴム組成物で構成されるのが一般的であり、この高誘電ゴム組成物には電界緩和効果を大きくするため高い比誘電率が求められる。
【0003】
このような電力ケーブル用部品を形成するのに用いられる高誘電ゴム組成物として、例えば下記特許文献1には、EPDMゴムにチタン酸バリウム粉末等の高誘電率フィラーを配合した高誘電ゴム組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−174719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の高誘電率ゴム組成物は以下に示す課題を有していた。
【0006】
すなわち、上記特許文献1に記載の高誘電率ゴム組成物は、この高誘電率ゴム組成物を用いて得られる電力ケーブル用部品の電気特性の点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電力ケーブル用部品の電気特性を十分に向上させることができる高誘電率ゴム組成物及び電力ケーブル用部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため検討した。まず特許文献1記載の高誘電率ゴム組成物において比誘電率を高くするために高誘電フィラーを多量に添加することを考えた。しかし、この場合、高誘電率ゴム組成物を用いて得られる電力ケーブル用部品において誘電正接(tanδ)の上昇、絶縁抵抗の低下等が起こる場合があった。すなわち、電力ケーブル用部品において電気特性が低下する場合があった。ここで、この原因について本発明者らは以下のように考えた。すなわち、EPゴムやシリコーンゴムは非極性であるため、EPゴムやシリコーンゴム等の非極性ゴムの界面と、極性を有するチタン酸バリウム粉末等の高誘電フィラーとの界面とのなじみが悪い。このため、高誘電率フィラーと非極性ゴムとの間に隙間が生じやすい。従って、電力ケーブル用部品に交流電圧が印加される際、フィラーの極性成分が交流電圧に追従することとなる。その結果、tanδが上昇したり、絶縁抵抗が低下したりしてしまうのではないかと本発明者らは考えた。そこで、本発明者らは更に鋭意研究を重ねた結果、ベース樹脂100質量部に対して所定の割合でチタン酸塩を配合するとともに、非極性の炭化水素系ゴムと極性基を有する極性基含有樹脂とからなるベース樹脂中に炭化水素系ゴム及び極性基含有樹脂をそれぞれ所定の割合で含有させることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、炭化水素系ゴム20〜90質量%と、エチレンを構成単位として含む主鎖に、極性基を含む官能基のみが側鎖として設けられ、前記極性基を含む官能基が、無水マレイン酸基又はカルボン酸基で構成されている極性基含有樹脂10〜80質量%とからなるベース樹脂と、チタン酸塩とを含み、前記チタン酸塩が、前記ベース樹脂100質量部に対して50〜400質量部の割合で配合されている、高誘電率ゴム組成物である。
【0010】
本発明の高誘電率ゴム組成物によれば、電力ケーブル用部品の電気特性を十分に向上させることができる。
【0011】
なお、上記効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推測している。
【0012】
すなわち、極性を有するチタン酸塩と非極性の炭化水素系ゴムとの間に極性基含有樹脂が介在することが可能となり、極性を有するチタン酸塩の界面と非極性の炭化水素系ゴムの界面とのなじみが、極性基含有樹脂に含まれる極性基によって改善される。このため、チタン酸塩の界面と炭化水素系ゴムの界面との間の隙間を十分に小さくすることが可能となる。従って、電力ケーブル用部品に交流電圧が印加されても、チタン酸塩の極性成分が交流電圧に追従することが十分に抑制される。このため、tanδの上昇が抑制されるとともに絶縁抵抗の低下が抑制される。その結果、本発明の高誘電率ゴム組成物によれば、電力ケーブル用部品の電気特性の低下を十分に抑制できるのではないかと本発明者らは推測している。
【0013】
上記高誘電率ゴム組成物においては、前記チタン酸塩がチタン酸カルシウムであることが好ましい。
【0014】
この場合、チタン酸塩がチタン酸カルシウム以外のチタン酸塩である場合に比べて、ベース樹脂に対し、チタン酸カルシウム以外のチタン酸塩と同じ質量割合で配合したとしても、電力ケーブル用部品の比誘電率をより高くすることができる。別言すると、チタン酸塩がチタン酸カルシウムであると、チタン酸カルシウム以外のチタン酸塩である場合に比べて、少ない量で効率よく電力ケーブル用部品の比誘電率を高くすることができる。
【0015】
また、本発明は、上述した高誘電率ゴム組成物を用いて得られる電力ケーブル用部品である。
【0016】
本発明の電力ケーブル用部品によれば、電力ケーブル同士を接続する接続部などの電界不整合が生じる箇所を覆うように設けられると、tanδの上昇や絶縁抵抗の低下を十分に抑制することが可能となり、電気特性を十分に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電力ケーブル用部品の電気特性を十分に向上させることができる高誘電率ゴム組成物及び電力ケーブル用部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の電力ケーブル用部品の一実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の電力ケーブル用部品の一実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明の電力ケーブル用部品の一実施形態を示す部分断面図であり、電力ケーブル用部品を含むケーブル接続部によって2本のケーブルが接続された状態を示している。
【0020】
図1に示すように、ケーブル接続部100が2本の電力ケーブル10を接続している。2本の電力ケーブル10はそれぞれ、中心導体1と、中心導体1を覆う内部半導電層2と、内部半導電層2を覆う外部半導電層3と、外部半導電層3を覆うシース4とを有している。詳しく述べると、電力ケーブル10は、本体部と、本体部の一端に設けられる先端部とで構成されている。ここで、本体部は、中心導体1と、内部半導電層2と、外部半導電層3と、シース4とで構成されている。先端部は、本体部から離れる方向に向かって順に設けられる第1部分、第2部分および第3部分で構成されている。第1部分は、中心導体1と、内部半導電層2と、外部半導電層3とで構成され、第2部分は、中心導体1と、内部半導電層2とで構成されている。そして、第3部分は中心導体1のみで構成されている。
【0021】
ケーブル接続部100は、2本の電力ケーブル10の先端部における第3部分の中心導体1を圧縮接続する管状の導電性接続管5と、接続管5を覆うとともに電力ケーブル10の先端部のうちの第2部分の内部半導電層2に接触する内部電極6と、内部電極6を覆い、内部電極6からの電界を緩和する電力ケーブル用部品としての電界緩和部7と、電界緩和部7を覆う絶縁部8と、絶縁部8を覆い、電力ケーブル10の先端部のうちの第1部分である外部半導電層3に接触する外部電極9とを有している。
【0022】
ここで、電界緩和部7は、高誘電率ゴム組成物を架橋して得られるものであり、この高誘電率ゴム組成物は、ベース樹脂と、チタン酸塩と、架橋剤とを含む。ベース樹脂は、炭化水素系ゴム20〜90質量%と、極性基を有する極性基含有樹脂10〜80質量%とからなる。またチタン酸塩は、ベース樹脂100質量部に対し、50〜400質量部の割合で配合されている。
【0023】
この電界緩和部7によれば、電気特性を十分に向上させることができる。すなわち、tanδの上昇や絶縁抵抗の低下を十分に抑制することができる。このため、ケーブル接続部100によれば、絶縁破壊が起こりにくくなる。
【0024】
次に、高誘電率ゴム組成物について詳細に説明する。
【0025】
高誘電率ゴム組成物は、上述したように、ベース樹脂と、チタン酸塩と、架橋剤とを含む。ベース樹脂は炭化水素系ゴム及び極性基含有樹脂のみで構成されている。すなわち、ベース樹脂の質量中の炭化水素系ゴムと極性基含有樹脂との合計質量の割合は100質量%である。
【0026】
<ベース樹脂>
(炭化水素系ゴム)
炭化水素系ゴムは、少なくとも20〜30℃において固体状態である炭化水素からなるゴムである。このようなゴムとしては、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム、エチレンプロピレンターポリマー(EPT)などのエチレンを構成単位として含むゴムや、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いられてもよい。中でも、良好な電気特性を持ち、粘度を十分に低減し得るという理由から、EPDMゴムが好ましい。
【0027】
ベース樹脂中の炭化水素系ゴムの含有率は20〜90質量%である。ベース樹脂中の炭化水素系ゴムの含有率が20質量%未満であると、高誘電率ゴム組成物の粘度が高くなり高誘電率ゴム組成物の加工性が落ちる。一方、ベース樹脂中の炭化水素系ゴムの含有率が90質量%を超えると、極性基含有樹脂の割合が相対的に減るため、電界緩和部7の電気特性を十分に向上させることができなくなる。
【0028】
ベース樹脂中の炭化水素系ゴムの含有率は好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは50〜70質量%である。
【0029】
(極性基含有樹脂)
極性基含有樹脂は、極性基を有する樹脂であればよく特に限定されるものではない。このような極性基含有樹脂としては、例えば炭化水素を構成単位として含む主鎖に、極性基を含む官能基が側鎖として設けられている樹脂や炭化水素を構成単位として含む主鎖の一部に極性基を含むものが挙げられる。このような炭化水素としては、例えばエチレン、プロピレン、ブタジエンなどが挙げられる。また、極性基としては、例えばカルボニル基(―CO−)が挙げられる。官能基は、上記極性基を1つのみ有するものでも、複数有するものであってもよい。このような極性基を有する官能基としては、例えば下記式で表される無水マレイン酸基、カルボン酸基(−COOH)、エステル基(−COOR)、カルボン酸無水物基(−CO−O−OC−)などが挙げられる。
【化1】
【0030】
ベース樹脂中の極性基含有樹脂の含有率は10〜80質量%である。ベース樹脂中の極性基含有樹脂の含有率が10質量%未満であると、電界緩和部7の電気特性が低下する。一方、ベース樹脂中の極性基含有樹脂の含有率が80質量%を超えると、加工性が低下する。
【0031】
ベース樹脂中の極性基含有樹脂の含有率は好ましくは20〜70質量%であり、より好ましくは30〜50質量%である。
【0032】
<チタン酸塩>
チタン酸塩としては、例えばチタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどの比誘電率が200以上であるチタン酸塩が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。ここで、比誘電率とは、30℃において10kHz、1Vの交流電圧を印加した場合に測定される比誘電率を言う。
【0033】
チタン酸塩の中でも、チタン酸カルシウムが特に好ましい。この場合、チタン酸カルシウム以外のチタン酸塩を用いる場合と比べて、ベース樹脂に対し、チタン酸カルシウム以外のチタン酸塩と同じ質量割合で配合したとしても、電界緩和部7の比誘電率をより高くすることができる。別言すると、チタン酸塩がチタン酸カルシウムであると、チタン酸カルシウム以外のチタン酸塩である場合に比べて、少ない量で効率よく電界緩和部7の比誘電率を高くすることができる。
【0034】
チタン酸塩の平均粒径は特に限定されるものではないが、ベース樹脂中に均一に分散しやすいという理由から、0.5〜5.0μmであることが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましい。
【0035】
ベース樹脂100質量部に対するチタン酸塩の配合量は50〜400質量部である。ベース樹脂100質量部に対するチタン酸塩の配合量が50質量部未満では、電界緩和部7の電界緩和効果が不十分となり、ベース樹脂100質量部に対するチタン酸塩の配合量が400質量部を超えると、紛体成分が多くなりすぎるため樹脂として成形することができなくなる。
【0036】
ベース樹脂100質量部に対するチタン酸塩の配合量は好ましくは100〜400質量部であり、より好ましくは250〜350質量部である。
【0037】
<架橋剤>
上記高誘電率ゴム組成物に含まれる架橋剤は、ベース樹脂を架橋させることができるものであればよく、特に限定されるものではない。このような架橋剤としては、例えばジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等の有機過酸化物や、硫黄などが挙げられる。
【0038】
上記有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルパーオキサイド(DCP)、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、n―ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0039】
架橋剤の配合量は、特に限定されるものではないが、ベース樹脂の合計100質量部に対して、0.5〜4.0質量部であることが好ましい。ベース樹脂の合計100質量部に対する架橋剤の配合量が上記範囲内にあると、0.5質量部未満である場合に比べて、架橋度が上がり、耐熱性がより向上する。一方、ベース樹脂の合計100質量部に対する架橋剤の配合量が上記範囲内にあると、4.0質量部を超える場合に比べて、適度な伸び、硬さが得られる。
【0040】
高誘電率ゴム組成物は、老化防止剤、安定剤、難燃剤、充填材、表面処理剤、ドリップ防止剤、加工助剤、活剤、架橋助剤、スコーチ防止剤などを必要に応じてさらに含んでもよい。
【0041】
高誘電率ゴム組成物は、ベース樹脂、チタン酸塩、及び、必要に応じて架橋剤以外の添加剤を混練することにより混練物を得た後、この混練物に架橋剤を添加して混練することによって得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
【0042】
次に、上述したケーブル接続部100の製造方法の一例について説明する。
【0043】
まず2本の電力ケーブル10および接続管5を用意する。上述したように、電力ケーブル10は、本体部と先端部とからなる。そして、2本の電力ケーブル10の先端部の第3部分の中心導体1を接続管5内に挿入し、接続管5を圧縮することにより接続管5内に2本の電力ケーブル10の先端部における中心導体1を固定する。
【0044】
次に、内部半導電性樹脂組成物からなるテープを、接続管5の周囲に巻き付ける。このとき、このテープは、電力ケーブル10の先端部の第2部分の内部半導電層2の周囲にも巻き付け、内部半導電層2に接触させるようにする。そして、必要に応じてテープを架橋処理することによって内部電極6が得られ、2本の電力ケーブル10の内部半導電層2同士が内部電極6によって接続される。
【0045】
次に、上述した高誘電率ゴム組成物からなるテープを、内部電極6の周囲に巻き付ける。このとき、このテープは、電力ケーブル10の先端部の第2部分の内部半導電層2の周囲にも巻き付ける。そして、このテープを架橋処理することによって電界緩和部7が得られる。このとき、テープの架橋処理温度は、例えば150〜200℃とし、架橋処理時間は例えば0.25〜1時間とすればよい。
【0046】
次に、絶縁材料からなるテープを、電界緩和部7の周囲に巻き付ける。このとき、このテープは、電力ケーブル10の先端部の第2部分の内部半導電層2の周囲にも巻き付ける。そして、必要に応じてテープを架橋処理することによって絶縁部8が得られる。
【0047】
最後に、外部半導電性樹脂組成物からなるテープを、絶縁部8の周囲に巻き付ける。このとき、このテープは、電力ケーブル10の先端部の第1部分である外部半導電層3の周囲にも巻き付け、外部半導電層3に接触させるようにする。そして、必要に応じてテープを架橋処理することによって外部電極9が得られ、2本の電力ケーブル10の外部半導電層3同士が外部電極9によって接続される。
【0048】
以上のようにしてケーブル接続部100が得られる。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、高誘電率ゴム組成物が架橋剤を含んでいるが、架橋剤は必ずしも必要なものではない。例えば電子線照射などによりベース樹脂を架橋させる場合には高誘電率ゴム組成物は架橋剤を含んでいなくてもよい。
【0050】
また上記実施形態では、本発明の高誘電率ゴム組成物が、2本の電力ケーブルを接続するケーブル接続部における電界緩和部として用いられているが、本発明の高誘電率ゴム組成物は、電界緩和部として電力ケーブルの電界不整部となりやすい箇所であればいかなる箇所にも使用できる。例えば電力ケーブルの終端部も電界不整部となりやすいため、本発明の高誘電率ゴム組成物は電力ケーブルの終端部における電界緩和部としても適用可能である。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0052】
高誘電率ゴム組成物の原料としては、以下のものを使用した。
(1)炭化水素系ゴム
EPDM(三井化学(株)製、商品名「EPT X4010M」、20〜30℃において固体状態)
(2)極性基含有樹脂
(2−1)極性基含有樹脂1
無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製、商品名「タフマー MA8510」)
(2−2)極性基含有樹脂2
エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、商品名「ニュクレル NO407」)
(2−3)極性基含有樹脂3
エチレン−エチルメタクリレート共重合体(日本ポリエチレン社製、商品名「レクスパール A1150」)
(3)チタン酸塩
チタン酸カルシウム(富士チタン工業社製、商品名「チタン酸カルシウム CT」、平均粒径2μm)
(4)架橋剤
ジクミルパーオキサイド:パークミルD(日油(株)製)
【0053】
(実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9及び比較例1)
上記の炭化水素系ゴム、極性基含有樹脂及びチタン酸塩を表1に示す割合で配合し、100℃でロール混練を行った。次に、この混練物に対し、架橋剤を表1に示す割合で添加し、80℃でロール混練を行った。こうして、実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9及び比較例1の高誘電率ゴム組成物を得た。表1において、炭化水素系ゴム、極性基含有樹脂、チタン酸塩及び架橋剤の配合量の単位は質量部である。
【0054】
<特性評価>
(電気特性)
(1)絶縁抵抗
まず以下のようにして試験片を用意した。
【0055】
はじめに、上記実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9及び比較例1で得られた高誘電率ゴム組成物を、プレス機を用いて160℃で40分間プレスすることにより架橋処理を行い、厚さ1mm、幅100mm、長さ100mmのシートを作製した。
【0056】
次に、このシートの両面に薄く延ばしたワセリンによって錫箔を貼り付け、電極を形成した。こうして試験片を得た。
【0057】
この試験片に対し、超絶縁計を接続し、30℃にて500Vの直流電圧を1分間印加し、試験片の体積抵抗率を測定した。そして、実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9の体積抵抗率について、下記式に基づき、比較例1を基準とした体積抵抗率の増加率を算出した。結果を表1に示す。

体積抵抗率の増加率(%)
=100×(実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9の体積抵抗率−比較例1の体積抵抗率)/比較例1の体積抵抗率
【0058】
(2)誘電正接
上記シートを一対の電極で挟み、LCRメーター(アジレントテクノロジー社製、製品名「E4980A」)を用いて交流電圧を印加し、30℃において比誘電率及び誘電正接を測定した。このとき、シートに印加する交流電圧の振幅は1Vとし、周波数は10kHzとした。そして、実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9の誘電正接について、下記式に基づき、比較例1を基準とした誘電正接の低減率を算出した。結果を表1に示す。

誘電正接の低減率(%)
=100×(比較例1の誘電正接−実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9の誘電正接)/比較例1の誘電正接

【表1】
【0059】
表1に示すように、実施例1〜2、参考例1、実施例4〜9の高誘電率ゴム組成物は、比較例1の高誘電率ゴム組成物に比べて、電気特性を十分に向上させることができることが分かった。
【0060】
以上より、本発明の高誘電率ゴム組成物は、電力ケーブル用部品の電気特性を十分に向上させることができることが確認された。
【符号の説明】
【0061】
7…電界緩和部(電力ケーブル用部品)
図1