特許第5872551号(P5872551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872551パラセタモールを含む医薬組成物およびその製造法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872551
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】パラセタモールを含む医薬組成物およびその製造法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/167 20060101AFI20160216BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20160216BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/4468 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20160216BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160216BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61K31/167ZMD
   A61P25/00
   A61P25/04
   A61K9/08
   A61K47/34
   A61K47/10
   A61K47/20
   A61K47/22
   A61K47/04
   A61K47/12
   A61K31/4468
   A61K31/5517
   A61P25/22
   A61K45/00
   A61J3/00
【請求項の数】18
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-517570(P2013-517570)
(86)(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公表番号】特表2013-529675(P2013-529675A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】IB2011001519
(87)【国際公開番号】WO2012001494
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年4月8日
(31)【優先権主張番号】630/MUM/2010
(32)【優先日】2010年9月9日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】3023/MUM/2009
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】509337908
【氏名又は名称】トロイカ ファーマスーティカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パテル ケタン アール
(72)【発明者】
【氏名】パテル ミラン アール
(72)【発明者】
【氏名】シャー プラカシュチャンドラ ジェイ
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2001/008662(WO,A1)
【文献】 米国特許第06028222(US,A)
【文献】 特表2002−522384(JP,A)
【文献】 インド国特許第1746/MUM/2008号
【文献】 International Journal of Pharmaceutics, 1985, Vol.26, p.5-13
【文献】 「注射剤−その基礎と調剤と適用−」, 南山堂, 1995, p.23-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/167
A61J 3/00
A61K 9/08
A61K 31/4468
A61K 31/5517
A61K 45/00
A61K 47/04
A61K 47/10
A61K 47/12
A61K 47/20
A61K 47/22
A61K 47/34
A61P 25/00
A61P 25/04
A61P 25/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全治療用量である500mgのパラセタモールを2〜3mlの、グリコフロールとエタノールと水とを含む、またはグリコフロールとエタノールとポリエチレングリコールと水とを含む水性溶媒系で投与する、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物であって、前記パラセタモールまたはその薬学的許容塩の濃度は166mg/mlから250mg/mlであり、粘度は25℃で7〜28センチポアズ(cP)の範囲であることを特徴とする、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項2】
前記粘度は、16〜28cP、または7〜22cPであることを特徴とする、請求項1に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項3】
前記組成物は、25から40v/v%のグリコフロールと、20から37v/v%のエタノールと、前記組成物の全容量が2〜3mlとなるまでの量の水とを含む溶媒系中に、活性物質として166から200mg/mlまでのパラセタモールを含んでいることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項4】
前記組成物は、25から40v/v%のグリコフロールと、23から35v/v%のエタノールと、前記組成物の全容量が2〜3mlとなるまでの量の水とを含む溶媒系中に、活性物質として200から250mg/mlのパラセタモールを含んでいることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項5】
前記組成物は、25から42v/v%のグリコフロールと、10から35v/v%のエタノールと、3から19v/v%のポリエチレングリコールと、前記組成物の全容量が2〜3mlとなるまでの量の水とを含む溶媒系中に、活性物質として166から200mg/mlのパラセタモールを含んでいることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項6】
前記組成物は、30から40v/v%のグリコフロールと、24から35v/v%のエタノールと、3から6v/v%のポリエチレングリコールと、前記組成物の全容量が2〜3mlとなるまでの量の水とを含む溶媒系中に、活性物質として200から250mg/mlのパラセタモールを含んでいることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールはポリエチレングリコール400/600であることを特徴とする、請求項1から請求項2、請求項5から請求項6のいずれか1項に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項8】
前記組成物の粘度は7から16cPであることを特徴とする、請求項3に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項9】
前記組成物の粘度は16から28cPであることを特徴とする、請求項4に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項10】
前記組成物の粘度は9から14cPであることを特徴とする、請求項5に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項11】
前記組成物の粘度は14から28cPであることを特徴とする、請求項6に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項12】
前記組成物は、必要に応じて、抗酸化剤、キレート剤、または/および緩衝剤を含んでいることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項13】
前記組成物は、必要に応じて、2から6v/v%のベンジルアルコールを含んでいることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項14】
166から250mg/mlの範囲の活性濃度を持つ、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的組成物の製造法であって、
前記製造法は、
a.必要量のパラセタモールまたはその薬学的許容塩を不活性雰囲気下で溶媒系に可溶化する工程と、
b.必要に応じて、抗酸化剤、キレート剤、ベンジルアルコールを加える工程と、
c.必要に応じて、pHを4から8の間に調節する工程と、
d.前記溶液の体積を既定量に調節する工程と、
e.前記溶液を0.22ミクロンの濾材で濾過する工程と、
f.前記溶液を、不活性雰囲気下でアンプル/バイアルに充填する工程と、
g.必要に応じて、前記アンプル/バイアルを加熱滅菌処理する工程と、
を含み、
前記溶媒系は、グリコフロールとエタノールと水とを含む溶媒系、または、グリコフロールとエタノールとポリエチレングリコールと水とを含む溶媒系のいずれかであり、前記非経口的組成物の粘度は25℃で7〜28センチポアズ(cP)の範囲であることを特徴とする、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的組成物の製造法。
【請求項15】
前記工程“c”の溶液のpHは、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムを用いて、4から8の間に調節することを特徴とする、請求項14に記載の、166から250mg/mlの範囲の活性濃度を持つ、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的組成物の製造法。
【請求項16】
前記工程cの溶液のpHは、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤などを用いて、4から8の間に調節することを特徴とする、請求項14に記載の、166から250mg/mlの範囲の活性濃度を持つ、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的組成物の製造法。
【請求項17】
前記組成物は、従来の静脈内輸液および、抗菌薬、抗真菌薬、および殺アメーバ薬の輸液中に希釈した後、また、ミダゾラム注射剤を含む抗不安薬またはクエン酸フェンタニル注射剤を含む麻薬性鎮痛薬と共に希釈した後、希釈後少なくとも6時間は安定で透明なままであることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【請求項18】
前記組成物は、筋肉内径路、静脈内径路により、あるいは静脈内輸液として投与可能であることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のパラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2010年9月9日出願、インド国特許出願第630/MUM/2010号に開示の発明は、2010年6月30日出願、インド国特許出願第3023/MUM/2009号に開示の発明と関連しており、これらはひとつの発明を構成している。
【0002】
本発明は、治療に有効な用量のパラセタモールを含んでいる、パラセタモールの非経口的組成物と、前記組成物の治療的使用法を含む、その製造法に関する。
【背景技術】
【0003】
パラセタモール(p−アセチルアミノフェノール)は、熱、頭痛、その他の弱い痛みや疼痛の緩和に用いられる一般的な鎮痛解熱薬である。これは、多数の風邪およびインフルエンザ薬や、多くの鎮痛薬処方箋調剤の主要成分である。この薬は鎮痛薬および解熱薬として、また急性疼痛および慢性疼痛の痛み止めとして広く用いられる。パラセタモール注射剤は、急性熱性疾患の管理に、また術後疼痛などの急性疼痛を管理するための鎮痛薬として用いられる。
【0004】
経口的に投与されるパラセタモールを含む医薬製剤は良く知られている。溶液中にパラセタモールを加えた高濃度の非経口的医薬組成物は、吸収されるためには初めに消化管内で分解および溶解しなければならない経口的組成物とは異なり、薬理作用の始まりが速いため、固体の組成物よりも多くの利点があることが認められている。
【0005】
市場で入手可能な従来の非経口的パラセタモール製剤には2つの種類がある。
【0006】
ひとつは、2mlの溶液中に、150mg/mlのパラセタモールを含むものである。この剤形で300mg/用量のパラセタモールが投与されるが、これは最小治療用量の500mgよりもずっと少ない。その粘度は約24.80cPと高く、筋肉内径路で投与すると痛みを生じる。更にこの剤形には、治療量よりも少ない投与量であるという欠点もある。
【0007】
もうひとつの非経口的製剤は、それぞれ1本当たり500mgおよび1000mgのパラセタモールが投与されるよう、50mlおよび100mlのバイアルに入れた10mg/mlの濃度のパラセタモール水溶液である。この剤形は静脈内輸液によってのみ投与され、筋肉内径路には明らかに不向きである。このような剤形は外来(Out-Patient-Department:OPD)環境での使用には適していない。この剤形と他の静脈内輸液、例えば、シプロフロキサシン静脈内輸液との併用投与は不便である。更に、この剤形の製造には余分な設備、より広い貯蔵スペース、バルク輸送が必要であるため、製品の最終コストがかさむ。
【0008】
このため、患者に痛みを与えることなく、治療用量(500mg)を筋肉内投与により1回で投与できる、高濃度のパラセタモールを含む注射剤組成物の提示が求められている。更に、静脈内輸液による投与にも適用可能な、このような高濃度の剤形が求められている。
【0009】
国際出願番号第PCT/IN2009/000038号は、組成物中のパラセタモール濃度が10mg/1mlである、非経口的投与のための、パラセタモールを含む水性で安定な医薬組成物に関する。その剤形は、静脈内輸液のみに適している。
【0010】
国際出願番号第PCT/IB2008/003217号は、静脈内輸液によってのみ投与される、10mg/1mlのアセトアミノフェンを含む安定な水性製剤と、その製造法を開示している。
【0011】
国際出願番号第PCT/NL2004/000819号は、少なくとも1つの有効成分、特に、パラセタモールなどの薬理成分を灌流によって投与するための、水溶液状の組成物に関する。
【0012】
国際出願番号第PCT/GR2001/000047号は、パラセタモール濃度が150mg/1mlである、非経口的投与のための安定なパラセタモール溶液を開示している。この溶液は、500mgの治療用量に達するまでに複数回分を投与する必要があるため、適当ではない。
【0013】
国際出願番号第PCT/EP1999/005486号は、a)i)パラセタモールと、ii)パラセタモール1重量部当たり1から4容量部の低分子量アルコールと、iii)パラセタモール1重量部当たり1から5容量部のポリエチレングリコールとから成り、b)ほぼ無水であり、c)パラセタモール1重量部当たり4〜10容量部の水を加えると、透明な注射液となる、という特徴を持つ医薬組成物について述べている。開示の溶液は“ほぼ無水”であり、これは、前記特許に開示されているように、水の含量が0.1重量%未満の組成物を意味していると理解される。開示の溶液は非常に粘稠と予想されるため、この溶液を水で希釈して、パラセタモール1重量部当たり、i)1から4容量部の低分子量アルコールと、ii)1から5容量部のポリエチレングリコールと、iii)4から10容量部の水とを含む注射液とする。
【0014】
前記特許の実施例1は、約210mg/mlのパラセタモール力価を持つ、濃無水溶液の製造について述べている。実施例2は、注射液を製造するための、この濃無水溶液の希釈について述べている。計算によれば、注射液中のパラセタモール力価は約85.60mg/mlである。
【0015】
国際出願番号第PCT/IB2008/003925号は、静脈内輸液によってのみ投与される、約10mg/1mlのパラセタモールを含む安定な水溶液に関する。
【0016】
国際出願番号第PCT/US2008/083458号は、静脈内輸液によってのみ投与するための、10mg/mlのパラセタモールを含む組成物に関する。
【0017】
国際出願番号第PCT/EP2002/011498号は、パラセタモールと水とプロピレングリコールとクエン酸緩衝剤とを混合して調製し、パラセタモール濃度が40mg/mlまでである、静脈内輸液によってのみ投与するための、使い易く安定性の高いパラセタモール注射液に関する。
【0018】
国際出願番号第PCT/EP2002/002696号は、1から17g/l(即ち、1mg/mlから17mg/ml)のパラセタモールを含む、静脈内輸液によってのみ投与される、パラセタモールの非経口的水溶液に関する。
【0019】
国際出願番号第PCT/EP2000/006871号は、無水PEG200中に少なくとも10w/v%のパラセタモールを含む液状の医薬組成物に関する。実施例1に開示されている22w/v%のパラセタモール溶液の粘度は168.4cPであるため、注射剤としての使用には適さない。
【0020】
欧州特許第2087909号は、静脈内輸液としてのみ投与するための、蒸留水と緩衝剤とに加えた、1g/100mlの最大濃度のパラセタモールを含む、使い易いパラセタモール注射液について述べている。
【0021】
欧州特許第0916347号は、パラセタモールの注射液およびパラセタモールとヒヨスチン−n−ブチルブロミドやリン酸コデインなどの他の物質とを組み合わせた注射液を開示している。
【0022】
インド国特許出願第1746/MUM/2008号は、患者に投与し易いパラセタモールの医薬製剤に関する。上記の出願は、グリコフロールと水との組み合わせを用いた、15w/v%の最大濃度のパラセタモールを含むパラセタモール注射剤を開示している。しかしこの溶液では、500mgの必要治療用量を2〜3mlで投与できない。
【0023】
インド国特許出願第1532/DEL/2008号は、パラセタモールを、緩衝剤、等張剤などの不活性成分と組み合わせて注射用水に可溶化した、静脈内径路によるパラセタモールの投与に関する。しかしこれも、500mgの必要治療用量を2〜3mlで投与できない。
【0024】
インド国特許出願第1529/DEL/2008号は、水性媒体を用いて静脈内径路で投与するための、パラセタモールとオフロキサシンとから成る組成物に関する。
【0025】
インド国特許出願第1530/DEL/2008号は、静脈内径路によって投与する、水性媒体中のパラセタモールとシプロフロキサシンとから成る組成物について述べている。
【0026】
インド国特許出願第1531/DEL/2008号は、静脈内投与のための、水性媒体中のパラセタモールとジクロフェナクナトリウムとから成る組成物について述べている。
【0027】
インド国特許出願第2708/DEL/2006号は、治療活性物質の水溶液を含むものであり、治療活性物質は、望ましくは、ヒドロキシルプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)と複合させたパラセタモールであって、これを通常の親油性界面活性剤を加えた生理学的および薬学的に許容される油中に封入し、これを更に、既知の親水性界面活性剤を加えた水性媒体中に分散する。
【0028】
インド国特許出願第3782/DELNP/2005号は、水性溶媒と、pKaが4.5と6.5の間にある緩衝剤と、等張剤と、パラセタモールの二量体とを含む、パラセタモールの新しい注射製剤に関する。前記二量体は、製剤を安定化するために用いられる。
【0029】
インド国特許出願第8070/DELNP/2008号は、灌流に使用するための、フェノラート類と反応する少なくとも1つの物質を含むパラセタモール水溶液に関する。
【0030】
パラセタモールは水に僅かしか溶けず、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、グリセリルホルマール、グリコフロール、エタノールなどの様々な溶媒に対する溶解性が水に比べて高いため、先行技術ではこれらの溶媒が用いられている。しかし、約2または3mlの1回分の用量に500mgのパラセタモールを含むパラセタモール注射剤を開示している先行技術はない。
【0031】
唯一の先行技術、即ち、インド国特許出願第1746/MUM/2008号は、44v/v%のグリコフロールと10v/v%のアルコール(アルコールの名称は示されていない)と水とを組み合わせて用い、最大150mg/mlのパラセタモールを可溶化できると報じた。同先行技術は、48v/v%のグリコフロールと水とを組み合わせて用い、最大150mg/mlのパラセタモールを可溶化できると報じている。治療用量の500mgを2から3mlの溶液の注射として投与できるよう、150mg/ml以上、約250mg/mlまでのパラセタモールを含む注射剤の提示が、製薬産業における以前からの課題である。更に、このように高い濃度であっても注射剤の粘度は28cPより大きくてはならない。これは今まで達成されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】国際公開第2009/098716号パンフレット(国際出願番号第IN2009/000038号)
【特許文献2】国際公開第2009/047634号パンフレット(国際出願番号第IB2008/003217号)
【特許文献3】国際公開第2005/053747号パンフレット(国際出願番号第NL2004/000819号)
【特許文献4】国際公開第2003/051398号パンフレット(国際出願番号第GR2001/000047号)
【特許文献5】国際公開第2000/007588号パンフレット(国際出願番号第EP1999/005486号)
【特許文献6】国際公開第2009/081283号パンフレット(国際出願番号第IB2008/003925号)
【特許文献7】国際公開第2009/064928号パンフレット(国際出願番号第US2008/083458号)
【特許文献8】国際公開第2003/033026号パンフレット(国際出願番号第EP2002/011498号)
【特許文献9】国際公開第2002/072080号パンフレット(国際出願番号第EP2002/002696号)
【特許文献10】国際公開第2001/008662号パンフレット(国際出願番号第EP2000/006871号)
【特許文献11】欧州特許第2087909号明細書
【特許文献12】欧州特許第0916347号明細書
【特許文献13】インド国特許出願第1746/MUM/2008号明細書
【特許文献14】インド国特許出願第1532/DEL/2008号明細書
【特許文献15】インド国特許出願第1529/DEL/2008号明細書
【特許文献16】インド国特許出願第1530/DEL/2008号明細書
【特許文献17】インド国特許出願第1531/DEL/2008号明細書
【特許文献18】インド国特許出願第2708/DEL/2006号明細書
【特許文献19】インド国特許出願第3782/DELNP/2005号明細書
【特許文献20】インド国特許出願第8070/DELNP/2008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明の主な目的は、全治療用量のパラセタモールを投与する、パラセタモールの高濃度非経口的組成物と、その製造法および使用法の提示である。
【0034】
本発明の別の目的は、2から3mlで治療用量の500mgのパラセタモールを投与する、パラセタモールの高濃度非経口的組成物の提示である。
【0035】
本発明の別の目的は、約166mg/mlから250mg/mlのパラセタモールを含む、パラセタモールの非経口的組成物の提示である。
【0036】
本発明の更に別の目的は、グリコフロールとエタノールと水とを含む溶媒系中に約166から250mg/mlのパラセタモールを含む、非経口的組成物の提示である。
【0037】
本発明の更に別の目的は、グリコフロールとエタノールとポリエチレングリコールと水とを含む溶媒系中に約166から250mg/mlのパラセタモールを含む、非経口的組成物の提示である。
【0038】
本発明の別の目的は、筋肉内および静脈内投与に適した、粘度が28cP未満である、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的医薬製剤の提示である。
【0039】
本発明の上記およびその他の目的は、以下の本発明の望ましい実施の形態に従って達成される。しかし、本発明の範囲は、文中において以下で検討する特定の実施の形態に限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の実施の形態のひとつでは、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的医薬製剤を提示し、このとき、溶媒系中の活性物質濃度は>150mg/mlであり、前記製剤の粘度は<28cPである。
【0041】
本発明の別の実施の形態では、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的医薬製剤を提示し、このとき、溶媒系中の活性物質濃度は>150mg/mlであり、粘度は7から28cP、望ましくは7から22cPである。
【0042】
更に、約166から250mg/mlの範囲の活性濃度を持つ、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的組成物の製造法は、
a.必要量のパラセタモールまたはその薬学的許容塩を不活性雰囲気下で溶媒系に可溶化する工程と、
b.必要に応じて、抗酸化剤、キレート剤、ベンジルアルコールを加える工程と、
c.必要に応じて、pHを4から8の間に調節する工程と、
d.溶液の体積を既定量に調節する工程と、
e.溶液を0.22ミクロンの濾材で濾過する工程と、
f.溶液を不活性雰囲気下でアンプル/バイアルに充填する工程と、
g.必要に応じて、アンプル/バイアルを加熱滅菌処理する工程と、
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、筋肉内径路と静脈内径路の両方で投与可能な、少量の注射液中に全治療用量のパラセタモールを含んでいる、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の高濃度非経口的組成物を提示する。
【0044】
グリコフロール、PEG、エタノール、プロピレングリコールなどの様々な溶媒に対するパラセタモールの溶解度を測定した。グリコフロール、PEG400、エタノール、プロピレングリコール、水に対するパラセタモールの溶解度はそれぞれ、約205mg/ml、190mg/ml、160mg/ml、113mg/ml、14mg/mlである。更に、205mg/mlの濃度のパラセタモールのグリコフロール溶液の粘度は約57cPであり、これは注射剤としての用途には受け入れがたい。先の章で示したように、先行技術では、どのような溶媒系においても、高濃度のパラセタモールを含む(2または3mlの溶液中に500mg)注射剤を作ることはできなかった。注射剤の粘度を不都合にすることなく、2から3mlで治療用量のパラセタモール(500mg)が投与できるよう、166mg/mlから250mg/mlのパラセタモールを含む注射剤を得るための、適切な溶媒系の調製が課題である。
【0045】
我々は意外にも、溶媒を慎重に組み合わせ、グリコフロールとエタノールと水とを含む溶媒系、あるいは、グリコフロールとエタノールとポリエチレングリコールと水とを含む溶媒系を作ることで、粘度をあまり上げることなく、著しく濃度の高いパラセタモール溶液が調製できることを見出した。この組成物で到達したパラセタモール濃度の高さは、先行技術または市販のパラセタモール注射剤で達成された濃度よりも著しく高い。
【0046】
本発明の組成物で達成されたパラセタモール濃度は約166mg/ml〜250mg/mlの範囲であるため、全治療用量のパラセタモールを、それぞれ、2ml〜3ml中に500mg、4mlまたは6ml中に1gを含む注射剤として供給できる。
【0047】
本発明の組成物は、日常的に用いられる静脈内輸液(5w/v%ブドウ糖注射剤、0.9w/v%塩化ナトリウム注射剤、5w/v%ブドウ糖添加小児用維持溶液、0.9w/v%塩化ナトリウム注射剤&5w/v%ブドウ糖、0.45w/v%塩化ナトリウム注射剤、多電解質&ブドウ糖注射剤3型、複合(Compound)乳酸ナトリウム注射剤、10w/v%ブドウ糖注射剤、多電解質&ブドウ糖注射剤IV型、多電解質&ブドウ糖注射剤V型、乳酸リンゲル液など)のいずれかに希釈した後に、また、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、プラズフロキサシン(prazufloxacin)、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、メトロニダゾール、フルコナゾール、リネゾリドなどの、抗菌薬、抗真菌薬、および殺アメーバ薬の輸液に希釈した後に、筋肉内径路、静脈内径路により、あるいは静脈内輸液として投与することができる。
【0048】
本発明の組成物は、抗不安薬(例えば、ミダゾラム注射剤)または麻薬性鎮痛薬(例えば、クエン酸フェンタニル注射剤)と共に、日常的に用いられる静脈内輸液中に所要用量を希釈した後、静脈内輸液として同時投与することもできる。
【0049】
本発明の組成物は、500mgのパラセタモールを投与するため、約2mlから約3mlの注射液を入れたアンプル/バイアルに、あるいは、パラセタモールを複数回投与するための注射液を入れた多用量バイアルに入れる。
【0050】
適当な防腐剤を必要に応じて本組成物に加える。
【0051】
本発明の組成物は、静脈内に使用するための、500mgから2gのパラセタモールを含む単回投与アンプル/バイアルに入れて供給できる。
【0052】
従って、静脈内投与では、250mg/mlのパラセタモールを含む4または8mlの注射液で、それぞれ1gまたは2gの用量のパラセタモールが投与される。同様に、本件に開示の約166mg/mlのパラセタモールを含む6または12mlの注射液で、それぞれ1gまたは2gの用量のパラセタモールが投与される。
【0053】
更に、約166mg/mlの注射液で投与されるパラセタモールの量は、約1g/6ml、約1.5g/9ml、約2g/12mlである。同様に、250mg/mlの注射液で投与されるパラセタモールの量は、約1g/4ml、約1.5g/6ml、約2g/8mlである。
【0054】
本件に記載の選択した医薬組成物は、22または23ゲージの針を用いて、殿筋、三角筋、または内側大腿筋に筋肉内注射することができる。
【0055】
ある実施の形態において、本発明の非経口的組成物は、グリコフロールとエタノールと水とに可溶化した、約166から250mg/mlの濃度範囲のパラセタモールまたはその薬学的許容塩を含んでいる。
【0056】
別の実施の形態において、本発明の非経口的組成物は、グリコフロールとエタノールとポリエチレングリコールと水とに可溶化した、約166から250mg/mlの濃度範囲のパラセタモールまたはその薬学的許容塩を含んでいる。
【0057】
ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール400/600から選ぶ。
【0058】
本発明の別の実施の形態に従って、適当な抗酸化剤またはその混合物を必要に応じて本組成物に加える。
【0059】
適当な抗酸化剤は、モノチオグリセリン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、還元グルタチオン、チオ尿素、システイン、N−アセチルシステイン、メチオニン、亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどから選ぶ。
【0060】
本発明の更に別の実施の形態では、キレート剤またはその混合物を必要に応じて本組成物に加える。
【0061】
本件で用いられる適当なキレート剤は、エデト酸三ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、フマル酸、リンゴ酸などを含む。
【0062】
本発明の注射液は保存期間の間、パラセタモールの安定性を保つ。
【0063】
更に、本発明に従って製造した注射剤は透明な溶液であり、日常的に用いられる静脈内輸液のいずれかで希釈しても、希釈後少なくとも6時間は溶液が透明なままであるため、安全に静脈内投与できる。
【0064】
更に、本発明の組成物は、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、プラズフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、メトロニダゾール、フルコナゾール、リネゾリドなどの、抗菌薬、抗真菌薬、および殺アメーバ薬の輸液と混合可能であり、またこのような輸液は、希釈後少なくとも6時間は安定で透明なままである。
【0065】
更に、本発明の組成物は、抗不安薬(ミダゾラム注射剤)または麻薬性鎮痛薬(クエン酸フェンタニル注射剤など)と共に、日常的に用いられる静脈内輸液で希釈すると、透明溶液となり、希釈後少なくとも6時間は安定で透明なままである。
【0066】
先行技術の章で言及したように、市販のパラセタモール注射剤(150mg/ml)は、25℃で約25cPの粘度を示す。唯一の先行技術では、60mg/ml(6w/v%)から150mg/ml(15w/v%)の範囲のパラセタモール溶液を、グリコフロール:エタノール:水(約44:10:46または約4:1:4)およびグリコフロール:水(48:52または約1:1)で調製した。先行技術に開示されている実施例の粘度は特許明細書中で言及されていないため、同じ物を我々の実験室で調製したところ、実施例1および実施例2の粘度はそれぞれ13.5cPおよび14.8cPであった。前記先行技術で報告されている溶液の濃度が60mg/mlから150mg/mlであることにも注意すべきである。
【0067】
驚くべきことに、パラセタモール濃度が約166から250mg/ml、即ち、約16.6w/v%から25w/v%(先行技術で報告されているどの注射剤、市販製品よりも著しく高い)である本発明の組成物は、25℃で約7から28cPの範囲の粘度を持つ。更に、本発明において溶媒系を慎重に選択すると、先行技術で報告されている低濃度溶液の粘度と比較して、本発明の組成物中のパラセタモール濃度が著しく高いにもかかわらず、粘度をかなり低くすることができる点にも注意すべきである。
【0068】
望ましい実施の形態において、約250mg/mlのパラセタモール濃度を持つ本発明の組成物は、市販の150mg/mlのパラセタモール注射剤や先行技術に開示されている組成物の粘度と比較して粘度の低い(約16cP)2mlの注射液で全治療用量の500mgのパラセタモールを投与することができる。
【0069】
別の望ましい実施の形態において、約166.66mg/mlのパラセタモール濃度を持つ本発明の組成物は、市販の150mg/mlのパラセタモール注射剤や先行技術に開示されている組成物と比較して粘度のずっと低い(7.45cP)3mlの注射液で全治療用量の500mgのパラセタモールを投与することができる。
【0070】
本組成物のpHは約4から約8の範囲、望ましくは5から7の間、より望ましくは5.5から7の間である。本発明に従って組成物のpHを、必要に応じ、適当な酸/アルカリを用いて先の値に調節する。必要に応じて、緩衝剤を加えてpHを調節し、pHを4から8の間、望ましくは5から7の間、更に望ましくは5.5から7の間とする。
【0071】
酸/アルカリは、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどから選ぶ。
【0072】
本組成物に適した緩衝剤は、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝液などを含むものである。
【0073】
あるひとつの実施の形態において、本発明の組成物は、25から40v/v%のグリコフロールと、20から37v/v%のエタノールと、水(適量)とを含む溶媒系に、約166から200mg/mlを含む。
【0074】
別の実施の形態において、本発明の組成物は、25から40v/v%のグリコフロールと、23から35v/v%のエタノールと、水(適量)とを含む溶媒系に、約200から250mg/mlを含む。
【0075】
更に別の実施の形態において、本発明の組成物は、25から42v/v%のグリコフロールと、10から35v/v%のエタノールと、3から19v/v%のポリエチレングリコールと、水(適量)とを含む溶媒系に、約166から200mg/mlを含む。
【0076】
更に別の実施の形態において、本発明の組成物は、30から40v/v%のグリコフロールと、24から35v/v%のエタノールと、3から6v/v%のポリエチレングリコールと、水(適量)とを含む溶媒系に、約200から250mg/mlを含む。
【0077】
必要に応じて、2から6v/v%のベンジルアルコールを本組成物に加える。
【0078】
必要に応じて、抗酸化剤およびキレート剤を本組成物に加える。
【0079】
必要に応じて、緩衝剤、酸/アルカリを本組成物に加えることができる。
【0080】
約166mg/mlから250mg/mlを含んでいる組成物のための、グリコフロールとエタノールと水とを含む溶媒系は、約2.8:2.0:5.1(実施例7)から約1:1:1(実施例12および実施例19)のグリコフロール:エタノール:水を含んでいる。
【0081】
これは、インド国特許第1746/MUM/2008号に報告されている、10:1のグリコフロールとエタノールとの比、あるいは、グリコフロールと水のみを含む溶媒系とは際だって対照的である。
【0082】
グリコフロールとエタノールと水とを含む溶媒系を用いて調製した、約166mg/mlから200mg/mlの範囲のパラセタモール濃度を持つ本発明の組成物の粘度は、約7から約16cPの範囲である。
【0083】
グリコフロールとエタノールと水とを含む溶媒系を用いて調製した、約200mg/mlから250mg/mlの範囲のパラセタモール濃度を持つ本発明の組成物の粘度は、約16から約28cPの範囲である。
【0084】
グリコフロールとエタノールとプロピレングリコールと水とを含む溶媒系を用いて調製した、約166mg/mlから200mg/mlの範囲のパラセタモール濃度を持つ本発明の組成物の粘度は、約9から約14cPの範囲である。
【0085】
グリコフロールとエタノールとプロピレングリコールと水とを含む溶媒系を用いて調製した、約200mg/mlから250mg/mlの範囲のパラセタモール濃度を持つ本発明の組成物の粘度は、約14から約28cPの範囲である。
【0086】
約166から250mg/mlの範囲の活性濃度を持つ、パラセタモールまたはその薬学的許容塩の非経口的組成物の製造法は、
a.必要量のパラセタモールまたはその薬学的許容塩を不活性雰囲気下で溶媒系に可溶化する工程と、
b.必要に応じて、抗酸化剤、キレート剤、ベンジルアルコールを加える工程と、
c.必要に応じて、pHを4から8の間に調節する工程と、
d.溶液の体積を既定量に調節する工程と、
e.溶液を0.22ミクロンの濾材で濾過する工程と、
f.溶液を不活性雰囲気下でアンプル/バイアルに充填する工程と、
g.必要に応じて、アンプル/バイアルを加熱滅菌処理する工程と、
を含む。
【0087】
不活性ガス気流中、撹拌しながら、必要量のエタノールと注射用水の一部とにグリコフロールを加える。必要量のベンジルアルコールおよび/またはポリエチレングリコール400/600を、必要に応じて上記の溶液に加えた後、完全に溶けるまで必要量のパラセタモールを加える。必要量の抗酸化剤を上記の溶液に加える。更に必要量の適当なキレート剤と緩衝剤を加え、注射用水を加えて所要の体積とする。溶液のpHが所望の範囲にない場合、適当な酸/アルカリを加えてpHを4から8の間に調節する。必要に応じて適当な緩衝剤を用いて、溶液のpHを4および8の間に保つ。溶液を0.2ミクロンのフィルタで濾過し、不活性ガス気流中で適当な容量の1回分/多回分用量の容器に充填する。必要に応じて、注射液をオートクレーブで滅菌した後、適当な容量の1回分/多回分用量の容器に充填する。
【0088】
あるひとつの実施の形態において、抗酸化剤を用いる場合は、製造工程の始めに、グリコフロールとエタノールと注射用水の一部とを含む溶液にこれを加えても良い。
【0089】
別の実施の形態では、グリコフロールとエタノールとポリエチレングリコールと注射用水の一部とを含む溶媒系を、不活性ガス気流中、連続撹拌しながら調製し、ポリエチレングリコールを製造工程の他の段階では加えない。
【0090】
更に別の実施の形態では、グリコフロールとエタノールとポリエチレングリコールと注射用水の一部とを含む溶媒系を調製する際、抗酸化剤を注射用水の一部に溶解する。
【0091】
成分の添加順序は、先に開示した実施の形態に限定されることはなく、当業者ならば文中に開示されている組成物の様々な組み合わせに思い至るだろう。
【0092】
以下の非制限的な実施例は本発明を詳細に説明するものである。しかし、これらは決して本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【実施例】
【0093】
本発明の組成物を先に述べた手順に従って調製する。重複を避けるため、繰り返し述べることはしない。
【0094】
[実施例1]
【表1】
【0095】
[実施例2]
【表2】
【0096】
[実施例3]
【表3】
【0097】
[実施例4]
【表4】
【0098】
[実施例5]
【表5】
【0099】
[実施例6]
【表6】
【0100】
[実施例7]
【表7】
【0101】
[実施例8]
【表8】
【0102】
[実施例9]
【表9】
【0103】
[実施例10]
【表10】
【0104】
[実施例11]
【表11】
【0105】
[実施例12]
【表12】
【0106】
[実施例13]
【表13】
【0107】
[実施例14]
【表14】
【0108】
[実施例15]
【表15】
【0109】
[実施例16]
【表16】
【0110】
[実施例17]
【表17】
【0111】
[実施例18]
【表18】
【0112】
[実施例19]
【表19】
【0113】
[実施例20]
【表20】
【0114】
[実施例21]
前述の実施例1の組成物を、下記の表21に掲げる、日常的に用いられる静脈内輸液および、抗菌薬、抗真菌薬、および殺アメーバ薬の輸液中に希釈した。希釈した本組成物を含む静脈内輸液を試験し、静脈内輸液としての安定性を求めた。
【0115】
それぞれの静脈内輸液の以下のパラメータを、希釈前と、希釈後は60分間隔で6時間まで、測定および分析した。
(i)静脈内輸液の透明性(表22の結果を参照)
(ii)静脈内輸液のpH(表23の結果を参照)
(iii)静脈内輸液の吸光度(表24の結果を参照)
【0116】
更に、4mlの組成物(1gのパラセタモール)を希釈したそれぞれの静脈内輸液のパラセタモール含量を、その直後から60分間隔で6時間まで測定および分析した(表25の結果を参照)。
【0117】
【表2l】
【0118】
【表22】
【0119】
【表23】
【0120】
【表24】
【0121】
【表25】
【0122】
[結論]
上記の表の検討から、次のように結論できる。
a)実施例1の、4mlの本組成物を静脈内輸液中に希釈した場合、静脈内輸液の透明性、pH、吸光度値に著しい変化はない。
b)本組成物を静脈内輸液中に希釈して6時間後も、パラセタモールの測定からは何ら有意な減少は見られない。