特許第5872552号(P5872552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872552
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】化学化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20160216BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20160216BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 31/433 20060101ALI20160216BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160216BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C07D401/12
   C07D417/12CSP
   C07D417/14
   A61K31/506
   A61K31/501
   A61K31/4439
   A61K31/427
   A61K31/433
   A61P43/00 111
   A61P29/00
【請求項の数】6
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2013-519183(P2013-519183)
(86)(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公表番号】特表2013-531028(P2013-531028A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】IB2011052840
(87)【国際公開番号】WO2012004706
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月6日
(31)【優先権主張番号】61/362,904
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597014501
【氏名又は名称】ファイザー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
(73)【特許権者】
【識別番号】505053969
【氏名又は名称】アイカジェン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100137040
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(72)【発明者】
【氏名】マークワース,クリストファー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マロン,ブライアン・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ローソン,デーヴィッド・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ストラー,ロバート・イアン
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン,ナイジェル・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ウエスト,クリストファー・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,シュラン
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5053459(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/12
C07D 417/14
A61K 31/427
A61K 31/433
A61K 31/4439
A61K 31/501
A61K 31/506
A61P 29/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2−フルオロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−フルオロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(3−アミノ−1H−ピラゾール−4−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−3−クロロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(5−アミノ−1H−ピラゾール−4−イル)−4−フルオロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(1−アゼチジン−3−イル−1H−ピラゾール−5−イル)−5−クロロ−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−{4−トリフルオロメチル−2−[1−(1−メチルアゼチジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−イル]フェノキシ}−N−1,3,4−チアジアゾール−イルベンゼンスルホンアミド;
3−シアノ−4−[2−(3−メチルピリダジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド;
3−メチル−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリジン−4−イル)フェノキシ]−3−シアノ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−3−シアノ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;

4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;
から選択される化合物、又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩を、一つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤と共に含んでなる医薬組成物。
【請求項3】
一つ以上の更なる治療剤を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
Nav1.7阻害剤が適用される疾患の治療において使用するための、請求項2又は3に記載の医薬組成物
【請求項5】
Nav1.7阻害剤が適用される疾患が、疼痛である、請求項に記載の医薬組成物
【請求項6】
Nav1.7阻害剤が適用される疾患が、神経障害性、侵害受容性又は炎症性疼痛である、請求項4に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホンアミド誘導体、医薬におけるその使用、これらを含有する組成物、その調製の方法及びそのような方法において使用される中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
電位開口型ナトリウムチャネルは、筋肉の筋細胞並びに中枢及び末梢神経系のニューロンを含む全ての興奮性細胞において見いだされる。ニューロン細胞中で、ナトリウムチャネルは、活動電位の急速な上昇工程を発生することに主として責任がある。この様式において、ナトリウムチャネルは、神経系中の電気的シグナルの開始及び伝播のために必須である。従って、ナトリウムチャネルの適切な、そして適当な機能は、ニューロンの正常な機能のために必要である。従って、異常なナトリウムチャネルの機能は、癲癇(Yogeeswari et al.,Curr.Drug Targets,5(7):589−602(2004))、不整脈(Noble D.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99(9):5755−6(2002))、筋硬直(Cannon,SC,Kidney Int.57(3):772−9(2000))、及び疼痛(Wood,JN et al.,J.Neurobiol.,61(1):55−71(2004))を含む各種の医学的疾患の根底にあると考えられる(遺伝性イオンチャネル疾患の一般的総括に対しては、Hubner CA,Jentsch TJ,Hum.Mol.Genet.,11(20):2435−45(2002)を参照されたい)。
【0003】
現時点で、少なくとも九つの既知の電位開口型ナトリウムチャネル(VGSC)アルファサブユニットのファミリーのメンバーが存在する。このファミリーに対する名称は、SCNx、SCNAx、及びNax.x.を含む。VGSCファミリーは、二つのサブファミリーのNa1.x(SCN6A以外の全て)及びNa2.x(SCN6A)に系統的に分割されている。Nav1.xサブファミリーは、テトロドトキシンによる遮断に対して感受性なもの(TTX−感受性又はTTX−s)、及びテトロドトキシンによる遮断に耐性であるもの(TTX−耐性又はTTX−r)の二つのグループに機能的に細分することができる。
【0004】
Na1.7(PN1、SCN9A)VGSCは、テトロドトキシンによる遮断に対して感受性であり、そして末梢交感及び感覚ニューロン中に優先的に発現する。SCN9A遺伝子は、ヒト、ラット及びウサギを含む多くの種からクローン化され、そしてヒト及びラットの遺伝子間で約90%のアミノ酸相同性を示している(Toledo−Aral et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94(4):1527−1532(1997))。
【0005】
増加する証拠の集団は、Na1.7が、急性、炎症性及び/又は神経障害性疼痛を含む各種の疼痛状態において重要な役割を演ずることができることを示唆している。マウスの侵害受容性ニューロン中のSCN9A遺伝子の欠失は、機械的及び熱的疼痛閾値の減少並びに炎症性疼痛反応の減少又は消滅に導く(Nassar et al.,Proc Natl Acad Sci USA,101(34):12706−11(2004))。ヒトにおいて、Na1.7タンパク質が、神経腫、特に有痛性神経腫中に蓄積することが示されている(Kretschmer et al.,Acta.Neurochir.(Wien),144(8):803−10(2002))。家族性及び孤発性の両方のNa1.7の機能獲得型変異は、四肢の灼熱痛及び炎症によって特徴づけられる疾患の原発性肢端紅痛症(Yang et al.,J.Med.Genet.,41(3):171−4(2004)、及び発作性激痛症(Waxman,SG Neurology.7;69(6):505−7(2007))に関連付けられる。この報告と一致するものは、非選択的ナトリウムチャネル遮断剤のリドカイン及びメキシレチンが、家族性肢端紅痛症の場合の症状軽減を与えることができ(Legroux−Crepel et al.,Ann.Dermatol Venereol.,130:429−433)、そしてカルバマゼピンがPEPDにおける攻撃の回数及び重篤度の減少において有効である(Fertleman et al,Neuron.;52(5):767−74(2006))という報告である。疼痛におけるNav1.7の役割の更なる証拠は、SCN9A遺伝子の機能変異の欠失の発現型において見いだされる。Cox and colleagues(Nature,444(7121):894−8(2006))は、SNC9Aの機能欠失型変異及び有痛性の刺激に対する完全な無視又は非感受性によって特徴づけられる稀な常染色体劣性遺伝性疾患の先天性無痛症(CIP)間の関連を最初に報告した。その後の研究は、SCN9A遺伝子の機能の欠失及びCIP表現型をもたらす多くの異なった変異を明らかにしている(Goldberg et al,Clin Genet.;71(4):311−9(2007),Ahmad et al, Hum Mol Genet.1;16(17):2114−21(2007))。
【0006】
従ってNav1.7阻害剤は、広い範囲の疾患、特に急性疼痛;慢性疼痛;神経障害性疼痛;炎症性疼痛;内臓性疼痛;手術後疼痛を含む侵害受容性疼痛;並びに内臓、消化管、頭蓋構造、筋骨格系、脊椎、非尿生殖器系、心血管系及びCNSに関係する混合型疼痛を含み、癌性疼痛、背中及び口腔顔面疼痛を含む疼痛の治療において、潜在的に有用である。
【0007】
疼痛の治療において有用な電位開口型ナトリウムチャネルのある種の阻害剤は、既知である。従って、WO−A−2005/013914は、ヘテロアリールアミノスルホニルフェニル誘導体を、WO−A−2008/118758は、アリールスルホンアミドを、そしてWO−A−2009/012242は、N−チアゾリルベンゼンスルホンアミドを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願公開WO−A−2005/013914
【特許文献2】WO−A−2008/118758
【特許文献3】WO−A−2009/012242。
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hubner CA,Jentsch TJ,Hum.Mol.Genet.,11(20):2435−45(2002);
【非特許文献2】Yogeeswari et al.,Curr.Drug Targets,5(7):589−602(2004);
【非特許文献3】Noble D.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99(9):5755−6(2002);
【非特許文献4】Cannon,SC,Kidney Int.57(3):772−9(2000));
【非特許文献5】Wood,JN et al.,J.Neurobiol.,61(1):55−71(2004);
【非特許文献6】Toledo−Aral et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94(4):1527−1532(1997);
【非特許文献7】Nassar et al.,Proc Natl Acad Sci USA,101(34):12706−11(2004);
【非特許文献8】Kretschmer et al.,Acta.Neurochir.(Wien),144(8):803−10(2002);
【非特許文献9】Yang et al.,J.Med.Genet.,41(3):171−4(2004);
【非特許文献10】Waxman,SG Neurology.7;69(6):505−7(2007);
【非特許文献11】Legroux−Crepel et al.,Ann.Dermatol Venereol.,130:429−433;
【非特許文献12】Fertleman et al,Neuron.;52(5):767−74(2006);
【非特許文献13】Cox and colleagues,Nature,444(7121):894−8(2006);
【非特許文献14】Goldberg et al,Clin Genet.;71(4):311−9(2007);
【非特許文献15】Ahmad et al, Hum Mol Genet.1;16(17):2114−21(2007)。
【発明の概要】
【0010】
然しながら、良好な薬物候補である新しいNa1.7阻害剤を提供する継続する必要性が存在する。
好ましくは、化合物は、選択的Nav1.7チャネル阻害剤である。即ち、好ましい化合物は、他のNavチャネルを超えるNav1.7チャネルに対する親和性を示す。特に、これらは、Nav1.5チャネルに対するその親和性より大きいNav1.7チャネルに対する親和性を示さなければならない。好都合には、化合物は、Nav1.5チャネルに対して僅かな親和性を示すか、又は親和性を示すべきではない。
【0011】
Nav1.5を超えるNav1.7チャネルに対する選択性は、副作用の特性に一つ又はそれより多い改良を潜在的に導くことができる。理論に束縛されることを望むものではないが、このような選択性は、Nav1.5チャネルに対する親和性に伴うことができるいずれもの心血管の副作用を減少すると考えられる。好ましくは、化合物は、NAV1.5チャネルに対するその選択性と比較した場合、Nav1.7チャネルに対して10倍、更に好ましくは30倍、最も好ましくは100倍の選択性を、Nav1.7チャネルに対する良好な効力を維持しながら示す。
【0012】
更に、好ましい化合物は、一つ又はそれより多い次の特性を持つべきである:消化管から良好に吸収される;代謝的に安定である;特にいずれもの形成される代謝産物の毒性又はアレルギー原性に関して良好な代謝特性を有する;或いはNav1.7チャネル阻害剤としてのその活性の特性をなお保持しながら、好ましい薬物動態学的特性を保有する。これらは、非毒性であり、そして僅かしかない副作用を示さなければならない。理想的な薬物候補は、安定な、非吸湿性のそして容易に処方される物理的形態で存在しなければならない。
【0013】
本出願人等は、ここに、新しいスルホンアミドのNav1.7阻害剤を見出した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の側面によれば、以下のリスト(I):
5−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2−フルオロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−フルオロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(3−アミノ−1H−ピラゾール−4−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−3−クロロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(5−アミノ−1H−ピラゾール−4−イル)−4−フルオロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[2−(1−アゼチジン−3−イル−1H−ピラゾール−5−イル)−5−クロロ−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−フルオロ−4−{4−トリフルオロメチル−2−[1−(1−メチルアゼチジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−イル]フェノキシ}−N−1,3,4−チアジアゾール−イルベンゼンスルホンアミド;
3−シアノ−4−[2−(3−メチルピリダジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド;
3−メチル−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリジン−4−イル)フェノキシ]−3−シアノ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−3−シアノ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;又は
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド;
から選択される化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0015】
本明細書中で以降、本発明の化合物に対する全ての言及は、以下に更に詳細に考察されるように、リスト(I)の化合物又は医薬的に受容可能な塩、溶媒和物、又はその多成分複合体、或いはリスト(I)の化合物の医薬的に受容可能な塩の、医薬的に受容可能な溶媒和物又は多成分複合体を含む。
【0016】
本発明の好ましい化合物は、リスト(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩である。
適した酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、サイクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸一水素/二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩及びキシナホ酸塩(xinofoate)を含む。
【0017】
適した塩基塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成される。例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オーラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン及び亜鉛塩を含む。
【0018】
酸及び塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩及びヘミカルシウム塩も更に形成することができる。
前述の塩が、対イオンが光学的に活性であるもの、例えばd−乳酸塩又はl−リシン、或いはラセミ体、例えばdl−酒石酸塩又はdl−アルギニンを含むことを、当業者は認識するものである。
【0019】
適した塩に対する総括は、“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use”by Stahl and Wermuth(Wiley−VCH,Weinheim,Germany,2002)を参照されたい。
【0020】
リスト(I)の化合物の医薬的に受容可能な塩は、三つの方法:
(i)リスト(I)の化合物を所望の酸又は塩基と反応させることによる;
(ii)リスト(I)の化合物の適した前駆体から、所望の酸又は塩基を使用して、酸又は塩基に不安定な保護基を除去することによる;或いは
(iii)リスト(I)の化合物の一つの塩を、適当な酸又は塩基との反応によって、或いは適したイオン交換カラムによって、もう一つのものに転換することによる;
の一つ又はそれより多くによって調製することができる。
【0021】
全ての三つの反応は、典型的には溶液中で行われる。得られた塩を沈殿させ、そして濾過によって収集することができるか、又は溶媒の蒸発によって回収することができる。得られた塩のイオン化の程度は、完全なイオン化から殆ど非イオン化までで変化することができる。
【0022】
リスト(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩は、溶媒和されない及び溶媒和された両方の形態で存在することができる。用語‘溶媒和物’は、リスト(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩及び一つ又はそれより多い医薬的に受容可能な溶媒分子、例えば、エタノールを含んでなる分子複合体を記載するために本明細書中で使用される。用語‘水和物’は、前記溶媒が水である場合に使用される。本発明による医薬的に受容可能な溶媒和物は、結晶化の溶媒が、同位体的に置換されている、例えばDO、d−アセトン及びd−DMSOであることができるものを含む。
【0023】
有機水和物のための現時点で受容されている分類系は、単離部位、チャネル、又は金属イオン配位水和物を定義するものであり−本明細書中に参考文献として援用される、Polymorphism in Pharmaceutical Solids by K.R.Morris(Ed.H.G.Brittain,Marcel Dekker,1995)を参照されたい。単離部位水和物は、水分子が介在する有機分子によって互いの直接接触から単離されているものである。チャネル水和物において、水分子は、これらが他の水分子に隣接する格子チャネルに位置する。金属イオン配位水和物において、水分子は、金属イオンに結合する。
【0024】
溶媒又は水が堅固に結合している場合、複合体は、湿度と無関係に明確に定義された化学量論を有するものである。然しながら、チャネル水和物及び吸湿性化合物のように溶媒又は水が弱く結合している場合、水/溶媒含有量は、湿度及び乾燥状態に依存するものである。このような場合、非化学量論的であるのが標準であるものである。
【0025】
本発明の化合物は、完全に非晶質から完全に結晶質までの範囲の固体状態の連続体で存在することができる。用語‘非晶質’は、物質が、分子レベルで長距離秩序を欠き、そして温度によるが、固体又は液体の物理的特性を示すことができる状態を指す。典型的には、このような物質は、特有のX線回折パターンを与えず、そして固体の特性を示すが、更に正式には液体として記載される。加熱により、固体から液体の特性への変化が起こり、これは、典型的には二次(‘ガラス転移’)の状態の変化によって特徴づけられる。用語‘結晶質’は、物質が、分子レベルで規則的秩序の内部構造を有し、そして定義されたピークを持つ明確なX線回折パターンを与える固相を指す。このような物質は、十分に加熱された場合、更に液体の特性を示すものであるが、しかし固体から液体への変化は、典型的には一次(‘融点’)の相変化によって特徴づけられる。
【0026】
本発明の範囲内に更に含まれるものは、薬物及び少なくとも一つの他の成分が化学量論的又は非化学量論的量で存在する、リスト(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩の多成分複合体(塩及び溶媒和物以外)である。この種の複合体は、クラスレート(薬物−宿主包接複合体)及び共結晶を含む。後者は、典型的には、中性の分子構成物の結晶質複合体として定義され、これは、非共有的相互作用によって一緒に結合されるが、しかし更に中性分子の、塩との複合体であることもできる。共結晶は、溶融結晶化、溶媒からの再結晶化、又は成分を一緒に物理的に粉砕することによって調製することができる−本明細書中に参考文献として援用される、Chem Commun,17,1889−1896,by O.Almarsson and M.J.Zaworotko(2004)を参照されたい。多成分複合体の一般的総括に対して、本明細書中に参考文献として援用される、J Pharm Sci,64(8),1269−1288,by Haleblian(August 1975)を参照されたい。
【0027】
本発明の化合物は、更に、適した条件にかけられた場合、中間状態(mesomorphic state)(中間相又は液晶)で存在することができる。中間状態は、真の結晶質状態及び真の液体状態(溶融又は溶解のいずれか)間の中間体である。温度の変化の結果として生じる中間状態は、‘温度転移型’と記載され、そして水又はもう一つの溶媒のような第2の成分の添加から得られるものは、‘濃度転移型’と記載される。濃度転移型中間相を形成する潜在性を有する化合物は、‘両親媒性’と記載され、そしてイオン性(−COONa、−COO、又は−SONaのような)又は非イオン性(−N(CHのような)極性頭部を保有する分子からなる。更なる情報に関して、本明細書中に参考文献として援用される、Crystals and the Polarizing Microscope by N.H.Hartshorne and A.Stuart,4th Edition(Edward Arnold,1970)を参照されたい。
【0028】
本発明の化合物は、プロドラッグとして投与することができる。従って、リスト(I)の化合物の、それ自体僅かな活性を持つか又は活性を持たないことができるある種の誘導体は、身体中、又は身体上に投与された場合、所望の活性を有するリスト(I)の化合物に、例えば加水分解的開裂によって転換することができる。このような誘導体は、‘プロドラッグ’と呼ばれる。プロドラッグの使用に対する更なる情報は、‘Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,ACS Symposium Series(T Higuchi and W Stella)及び‘Bioreversible Carriers in Drug Design’,Pergamon Press,1987(ed.E B Roche,American Pharmaceutical Association)中に見出すことができる。
【0029】
プロドラッグは、例えば、リスト(I)の化合物中に存在する適当な官能基を、例えば“Design of Prodrugs”by H Bundgaard(Elsevier,1985)中に記載されているような‘プロ成分’として当業者にとって既知のある種の分子で置換することによって製造することができる。
【0030】
プロドラッグの例は、リン酸二水素又は二アルキル(例えばジ−tert−ブチル)塩プロドラッグのようなリン酸塩プロドラッグを含む。前述の例による置換基の更なる例及び他のプロドラッグの種類の例は、前述の参考文献中に見出すことができる。
【0031】
本発明の範囲内に更に含まれるものは、リスト(I)の化合物の代謝産物、即ち、薬物の投与によりin vivoで形成される化合物である。本発明による代謝産物の幾つかの例は、リスト(I)の化合物がフェニル(Ph)分子を含有する場合、そのフェノール誘導体(−Ph>−PhOH)である。
【0032】
本発明の範囲は、そのラセミ体及びラセミ混合物(集合体)を含む本発明の化合物の全ての結晶の形態を含む。立体異性体の集合体も、更に本明細書中ですぐ上に記載された慣用的方法によって分離することができる。
【0033】
本発明の範囲は、一つ又はそれより多い原子が同じ原子数を有するが、しかし自然において優勢である原子質量又は質量数とは異なった原子質量又は質量数を有する原子によって置換された、全ての医薬的に受容可能な同位体的に標識された本発明の化合物を含む。
【0034】
本発明の化合物への包含のために適した同位体の例は、H及びHのような水素、11C、13C及び14Cのような炭素、36Clのような塩素、18Fのようなフッ素、123I及び125Iのようなヨウ素、13N及び15Nのような窒素、15O、17O及び18Oのような酸素、32Pのようなリン、及び35Sのような硫黄の同位体を含む。
【0035】
本発明のある種の同位体的に標識された化合物、例えば、放射性同位体を組込んだものは、薬物及び/又は基質組織分布研究において有用である。放射性同位体のトリチウム、即ちH、及び炭素−14、即ち14Cは、組込みの容易さ、及び検出の即時の手段ができている手段の観点からこの目的のために特に有用である。ジューテリウム、即ちHのようなより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性、例えば、増加したin vivoの半減期又は減少した投与必要量から得られるある種の治療的利益を得ることができ、そして従って幾つかの状況下において好ましいことであることができる。11C、18F、15O及び13Nのようなポジトロン放出同位体は、基質受容体占有率を研究するためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用であることができる。
【0036】
リスト(I)の同位体的に標識された化合物は、一般的に当業者にとって既知の慣用的な技術によって、又は付属する実施例及び調製例中に記載するものと類似な方法によって、先に使用した非標識試薬の代わりに適当な同位体的に標識された試薬を使用して調製することができる。
【0037】
更に本発明の範囲内であるものは、本明細書中で以下に定義される中間体化合物、全てのその塩、溶媒和物及び複合体、並びにリスト(I)の化合物に対して本明細書中で先に定義したとおりのその塩の全ての溶媒和物及び複合体である。本発明は、全ての前述の種の多形及びその晶癖を含む。
【0038】
医薬的使用を意図する本発明の化合物は、結晶質又は非晶質産物として投与することができるか、又は完全に非晶質から完全に結晶質までの範囲の固体状態の連続体で存在することができる。これらは、例えば、沈殿、結晶化、冷凍乾燥、噴霧乾燥、又は蒸発乾燥のような方法によって固体のプラグ、粉末、又はフィルムとして得ることができる。マイクロ波又は高周波乾燥もこの目的のために使用することができる。
【0039】
これらは、単独で、或いは一つ又はそれより多い本発明の他の化合物と組合せて、或いは一つ又はそれより多い他の薬物と組合せて(又はそのいずれもの組合せとして)投与することができる。一般的に、これらは、一つ又はそれより多い医薬的に受容可能な賦形剤と共に製剤として投与されるものである。用語‘賦形剤’は、本発明の化合物(類)以外のいずれもの成分を記載するために本明細書中で使用される。賦形剤の選択は、投与の特定の様式、溶解性及び安定性に対する賦形剤の影響、及び剤形の特質のような因子にかなりの程度まで依存するものである。
【0040】
もう一つの側面において、本発明は、本発明の化合物を一つ又はそれより多い医薬的に受容可能な賦形剤と一緒に含んでなる医薬組成物を提供する。
本発明の化合物の供給のために適した医薬組成物及びその調製の方法は、当業者にとって容易に明白となるものである。このような組成物及びその調製の方法は、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,19th Edition(Mack Publishing Company,1995)中に見出すことができる。
【0041】
投与の適した様式は、経口、非経口、局所、吸入/鼻腔内、直腸/膣内、及び眼球/耳投与を含む。
前述の投与の様式のために適した製剤は、即時及び/又は改変放出されるように処方することができる。改変放出製剤は、遅延、継続、パルス、制御、標的及びプログラム放出を含む。
【0042】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように嚥下することを含み、或いは頬側又は舌下投与を使用することができ、これによって化合物は口から直接血液に入る。経口投与のために適した製剤は、錠剤、粒子、液体、又は粉末を含有するカプセル、ロゼンジ(液体充填を含む)、チューズ、多及びナノ粒子、ゲル、固溶液、リポソーム、フィルム、オビュール(ovules)、噴霧、液体製剤及び頬側/粘膜付着性貼布のような固体の製剤を含む。
【0043】
液体製剤は、懸濁液、溶液、シロップ及びエリキシルを含む。このような製剤は、軟質及び硬質カプセルの充填剤として使用することができ、そして典型的には担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は適した油、並びに一つ又はそれより多い乳化剤及び/又は懸濁剤を含んでなる。液体製剤は、更に、例えばサシェーからの固体の再構成によって調製することもできる。
【0044】
本発明の化合物は、更に、Expert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986,by Liang and Chen(2001)中に記載されているもののような即溶性、即崩壊性剤形で使用することもできる。
【0045】
錠剤の剤形のために、投与量にもよるが、薬物は、剤形の1重量%から80重量%まで、更に典型的には剤形の5重量%から60重量%までを構成することができる。薬物に加えて、錠剤は、一般的に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例は、グリコール酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン及びアルギン酸ナトリウムを含む。一般的に、崩壊剤は、剤形の1重量%から25重量%まで、好ましくは5重量%から20重量%までを構成するものである。
【0046】
結合剤は、一般的に錠剤の製剤に接着的性質を与えるために使用される。適した結合剤は、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然及び合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤は、更に、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン及び二塩基性リン酸カルシウム二水和物のような希釈剤を含有することができる。
【0047】
錠剤は、更にラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80のような表面活性剤、及び二酸化ケイ素及びタルクのような流動促進剤を所望により含んでなることができる。存在する場合、表面活性剤は、錠剤の0.2重量%から5重量%までを構成することができ、そして流動促進剤は、錠剤の0.2重量%から1重量%までを構成することができる。
【0048】
錠剤は、更に、一般的にはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムのラウリル硫酸ナトリウムとの混合物のような潤滑剤を含有する。潤滑剤は、一般的に錠剤の0.25重量%から10重量%まで、好ましくは0.5重量%から3重量%までを構成する。他の可能性のある成分は、抗酸化剤、着色剤、芳香剤、保存剤及び味覚マスキング剤を含む。
【0049】
例示的な錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%から約90重量%までの結合剤、約0重量%から約85重量%までの希釈剤、約2重量%から約10重量%までの崩壊剤、及び約0.25重量%から約10重量%までの潤滑剤を含有する。錠剤混合物は、直接か、又はローラーによって圧縮されて、錠剤を形成することができる。別の方法として、錠剤混合物又は混合物の一部は、湿式、乾式又は溶融顆粒化、溶融凝結、或いは押出してから、錠剤化することができいる。最後の製剤は、一つ又はそれより多い層を含んでなることができ、そして被覆されるか又は被覆されないことができる;これは、カプセル化することさえできる。錠剤の製剤は、“Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets”,Vol.1,by H.Lieberman and L.Lachman(Marcel Dekker,New York,1980)中で考察されている。
【0050】
本発明の目的のために適した改変放出製剤は、米国特許第6,106,864号中に記載されている。高エネルギー分散物並びに浸透圧性及び被覆粒子のような他の適した放出技術の詳細は、“Pharmaceutical Technology On−line”,25(2),1−14,by Verma et al(2001)中に見出される。制御放出を達成するためのチューインガムの使用は、WO00/35298中に記載されている。
【0051】
本発明の化合物は、更に血流、筋肉、又は内部器官中に直接投与することもできる。非経口投与のために適した手段は、静脈内、動脈内、腹膜内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内及び皮下を含む。非経口投与のために適したデバイスは、針式(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器及び注入技術を含む。
【0052】
非経口製剤は、典型的には水溶液であり、これは、塩、炭水化物及び緩衝剤(好ましくは3から9までのpHに)のような賦形剤を含有することができるが、しかし幾つかの適用において、これらは、滅菌非水性溶液として、又は滅菌のパイロジェンフリー水のような適したベヒクルと共に使用される乾燥形態として、更に適当に処方することができる。
【0053】
例えば、凍結乾燥による滅菌条件下の非経口製剤の調製は、当業者にとって公知の標準的な医薬技術を使用して容易に達成することができる。
非経口溶液の調製において使用されるリスト(I)の化合物の溶解性は、溶解性向上剤の組込みのような適当な製剤技術の使用によって増加することができる。非経口投与のための製剤は、即時及び/又は改変放出であるように処方することができる。改変放出製剤は、遅延、継続、パルス、制御、標的及びプログラム放出を含む。従って、本発明の化合物は、固体、半固体、又は揺変性液体として、活性成分の改変放出を提供する植込みデポーとして投与するために処方することができる。このような製剤の例は、薬物被覆ステント及びポリ(dl−乳酸−コグリコール酸)(PGLA)マイクロスフェアを含む。
【0054】
本発明の化合物は、更に皮膚又は粘膜に、即ち、皮膚に又は経皮的に局所投与することができる。この目的のための典型的な製剤は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯、フォーム、フィルム、皮膚貼布、ウエファース、インプラント、スポンジ、繊維、絆創膏及びマイクロエマルジョンを含む。リポソームも更に使用することができる。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含む。浸透向上剤を組込むことができる−例えば、J Pharm Sci,88(10),955−958,by Finnin and Morgan(October 1999)を参照されたい。
【0055】
局所投与の他の手段は、電気穿孔、イオン泳動、フォノフォレシス、ソノフォレシス及びマイクロニードル又は無針注射(例えばPowderjectTM、BiojectTM、等)による供給を含む。
【0056】
本発明の化合物は、更に鼻腔内又は吸入によって、典型的には乾燥粉末(例えば、ラクトースとの乾燥配合物中の混合物として単独で、或いは例えば、ホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合された混合成分粒子としてのいずれかで)の形態で、乾燥粉末吸入器又は加圧容器、ポンプ、噴霧器、アトマイザー(好ましくは微細な霧を製造するための電気流体力学を使用するアトマイザー)、又はネビュライザーからのエアゾール噴霧として、1,1,1,2−テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのような適した噴射剤の使用を伴って、或いは伴わずに投与することができる。鼻腔内使用のために、粉末は、生体付着剤、例えば、キトサン又はシクロデキストリンを含んでなることができる。
【0057】
加圧容器、ポンプ、噴霧器、アトマイザー、又はネビュライザーは、例えばエタノール、エタノール水溶液、或いは活性物の分散、可溶化、又は放出を延長するための適した別の薬剤、溶媒としての噴射剤(類)及びトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、又はオリゴ乳酸のような所望による界面活性剤を含んでなる、本発明の化合物(類)の溶液又は懸濁液を含有する。
【0058】
乾燥粉末又は懸濁液製剤中の使用に先だって、薬物産物は、吸入による供給のために適した大きさに微粒子化される(典型的には5ミクロンより小さく)。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を形成するための超臨界流体加工、高圧均質化、又は噴霧乾燥のようないずれもの適当な粉砕法によって達成することができる。
【0059】
吸入器又は通気器における使用のためのカプセル(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースから製造)、ブリスター包装及びカートリッジは、本発明の化合物、ラクトース又はデンプンのような適した粉末基剤及びl−ロイシン、マンニトール、又はステアリン酸マグネシウムのような性能改変物質の粉末混合物を含有するように処方することができる。ラクトースは、無水又は一水和物の形態であることができ、好ましくは後者である。他の適した賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース及びトレハロースを含む。
【0060】
微細な霧を生じるために電気流体力学を使用するアトマイザーにおいて使用するために適した溶液製剤は、作動当たり1μgから20mgまでの本発明の化合物を含有することができ、そして作動体積は、1μlから100μlまでで変化することができる。典型的な製剤は、リスト(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール及び塩化ナトリウムを含んでなることができる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる別の溶媒は、グリセロール及びポリエチレングリコールを含む。
【0061】
メントール及びレボメントールのような適した芳香剤、又はサッカリン又はサッカリンナトリウムのような甘味剤を、吸入/鼻腔内投与を意図する本発明のこれらの製剤に加えることができる。
【0062】
乾燥粉末吸入器及びエアゾールの場合、投与量単位は、計量された量を供給する弁によって決定される。本発明による単位は、典型的には、1μgから100mgのリスト(I)の化合物を含有する計量された量又は“一吹き”を投与するために準備される。全体的な日量は、典型的には1μgないし200mgの範囲であるものであり、これは、一回投与で又は、更に普通には、一日を通した分割投与として投与することができる。
【0063】
本発明の化合物は、直腸又は膣に、例えば、座薬、ペッサリー、細菌剤、膣リング又は浣腸の形態で投与することができる。ココアバターは習慣的座薬基剤であるが、しかし各種の代替物を適宜使用することができる。
【0064】
本発明の化合物は、更に眼又は耳に、典型的には等張のpHを調節された滅菌生理食塩水中の微粒子化された懸濁液或いは溶液の液滴の形態で直接投与することができる。眼及び耳投与のために適した他の製剤は、軟膏、生分解性(例えば吸収可能なゲルスポンジ、コラーゲン)及び非生分解性(例えばシリコーン)インプラント、ウエファース、レンズ及び粒子或いはニオソーム又はリポソームのような小胞系を含む。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はメチルセルロース、或いはヘテロポリサッカリドポリマー、例えば、ジェラン(gelan)ゴムのようなポリマーを、塩化ベンザルコニウムのような保存剤と一緒に組込むことができる。このような製剤は、更にイオン泳動によって供給することができる。
【0065】
本発明の化合物は、シクロデキストリン及びその適した誘導体又はポリエチレングリコール含有ポリマーのような可溶性高分子成分と、その溶解性、溶解速度、味覚マスキング、生体利用性及び/又は安定性を、前述の投与の様式のいずれかにおける使用に対して改良するために組合せることができる。
【0066】
例えば、薬物−シクロデキストリン複合体は、殆どの剤形及び投与経路のために一般的に有用であることが見いだされている。包接及び非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接の複合体形成に対する別の方法として、シクロデキストリンを、補助添加物として、即ち担体、希釈剤、又は可溶化剤として使用することができる。これらの目的のために最も普通に使用されるものは、アルファ−、ベータ−及びガンマ−シクロデキストリンであり、その例は、国際特許出願公開WO91/11172、WO94/02518及びWO98/55148中に見出すことができる。
【0067】
ヒトの患者への投与のために、本発明の化合物の合計日量は、勿論、投与の様式及び効力にもよるが、典型的には、10mgないし1g、例えば25mgないし500mgのような、1mgないし10gの範囲である。例えば、経口投与は、50mgから100mgまでの合計日量を必要とすることができる。合計日量は、一回又は分割投与で投与することができ、そして医師の裁量によるが、本明細書中に与える典型的な範囲外であることができる。これらの投与量は、約60kgないし70kgの体重を有する平均的なヒトの患者に基づく。医師は、幼児及び高齢者のようなこの範囲外にある体重の患者に対する投与量を容易に決定することが可能であるものである。
【0068】
先に記したように、本発明の化合物は、これらが動物において薬理学的活性、即ち、Nav1.7チャネル阻害を示すために有用である。更に特に、本発明の化合物は、Nav1.7阻害剤が適用される(indicated)疾患の治療において有用である。好ましくは動物は哺乳動物であり、更に好ましくはヒトである。
【0069】
本発明の更なる側面において、医薬として使用するための、本発明の化合物が提供される。
本発明の更なる側面において、Nav1.7阻害剤が適用される疾患の治療のための、本発明の化合物が提供される。
【0070】
本発明の更なる側面において、Nav1.7阻害剤が適用される疾患の治療のための医薬の調製のための本発明の化合物の使用が提供される。
本発明の更なる側面において、Nav1.7阻害剤が適用される動物(好ましくは哺乳動物、更に好ましくはヒト)における疾患を治療する、治療的に有効な量の本発明の化合物を前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0071】
Nav1.7阻害剤が適用される疾患は、疼痛、特に神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛及び炎症性疼痛を含む。
生理学的疼痛は、外部環境からの潜在的傷害性刺激からの危険性を警告するために設計された重要な保護的機構である。この系は、一次感覚ニューロンの特異な組によって操作され、そして末梢伝達機構による侵害性刺激によって活性化される(総括に対して、Millan,1999,Prog.Neurobiol.,57,1−164を参照されたい)。これらの知覚線維は、侵害受容器として知られ、そして特徴的に、遅い伝達速度を持つ小さい直径の軸索である。侵害受容器は、侵害性刺激の強度、時間及び質を、そしてその組織分布的に組織された突起によって、脊髄に刺激の位置をコードする。侵害受容器は、侵害受容性神経線維上に見出され、それには二つの主要な種類、A−デルタ線維(有髄)及びC線維(無髄)が存在する。障害受容器のインプットによって発生される活性は、後角における複雑な加工後、直接又は脳幹中継核経由のいずれかで基底腹側視床に、そして次いで皮質に移動し、ここで疼痛の感覚が発生される。
【0072】
疼痛は、一般的に急性及び慢性に分類される。急性疼痛は、突然始まり、そして短命(通常12週間又はそれより少ない)である。これは、通常、具体的な傷害のような具体的な原因に伴い、そしてしばしば鋭く、そして重篤である。これは、手術、医科治療、筋挫傷又は捻挫から起こる具体的な傷害後に起こることができる種類の疼痛である。急性疼痛は、一般的にいずれもの継続する心理学的反応をもたらさない。対照的に、慢性疼痛は、長期の疼痛であり、典型的には3ヶ月より多く継続し、そして有意な心理学的及び情緒的問題に導く。慢性疼痛の普通の例は、神経障害性疼痛(例えば有痛性糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛)、手根管症候群、背痛、頭痛、癌性疼痛、関節痛及び慢性手術後疼痛である。
【0073】
疾病又は外傷によって身体の組織に実質的な傷害が起こった場合、侵害受容器活性化の特徴が変化し、そして傷害の周囲の局所的な末梢において、そして侵害性受容器が終結する中枢において鋭敏化がある。これらの効果は、疼痛の増大した感作に導く。急性疼痛において、これらの機構は、補修過程が起こることをよりよく可能にする保護的行動を促進することにおいて有用であることができる。通常の予測は、傷害が治癒した後、感受性は正常に戻るものである。然しながら、多くの慢性疼痛状態において、過敏症は、治癒過程を遥かにより長く継続し、そしてこれは、しばしば神経系傷害のためである。この傷害は、しばしば適応不全及び異常活性に伴う感覚性神経線維の異常に導く(Woolf & Salter,2000,Science,288,1765−1768)。
【0074】
不快感及び異常な感受性が患者の症状中の特徴である場合、臨床的疼痛が存在する。患者は、極めて不均一である傾向があり、そして各種の疼痛の症状を提示することができる。このような症状は:1)鈍痛、灼熱痛、又は刺すような痛みであることができる自発痛;2)侵害性刺激に対する誇張性疼痛反応(痛覚過敏);及び3)通常の非侵害性刺激によって生じる疼痛(異痛症−Meyer et al.,1994,Textbook of Pain,13−44)を含む。各種の形態の急性及び慢性疼痛に悩む患者は、類似の症状を有することができるが、根底にある機構は異なることができ、そして従って、異なった治療戦略を必要とすることができる。従って、疼痛は、更に傷害受容性、炎症性及び神経障害性疼痛を含む異なった病態生理学によって多くの異なったサブタイプに分割することができる。
【0075】
傷害受容性疼痛は、組織傷害又は傷害を起こす潜在性を伴う強い刺激によって誘発される。疼痛求心路は、傷害の部位における傷害受容器による刺激の伝達によって活性化され、そしてその末端のレベルにおける脊髄中のニューロンを活性化する。次いで、これは、脳への脊髄路まで中継され、ここで疼痛は認知される(Meyer et al.,1994,Textbook of Pain,13−44)。傷害受容器の活性化は、二つの種類の求心性神経線維を活性化する。有髄A−デルタ線維は、迅速に伝達し、そして鋭いそして刺すような疼痛感覚の原因であり、一方無髄のC線維は、より遅い速度で伝達し、そして鈍痛又は疼きを伝達する。中程度又は重篤な急性傷害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、筋挫傷/捻挫、火傷、心筋梗塞及び急性膵炎、手術後痛(いずれもの種類の外科的処置後の疼痛)、外傷後痛、腎疝痛、癌性疼痛及び背痛からの疼痛の顕著な特徴である。癌性疼痛は、腫瘍関連疼痛(例えば、骨痛、頭痛、顔面痛又は内臓痛)、又は癌治療に伴う疼痛(例えば、化学療法後症候群、慢性手術後痛症候群又は照射後症候群)のような慢性疼痛であることができる。癌性疼痛は、更に化学療法、免疫療法、ホルモン療法又は放射線療法に反応して起こることができる。背痛は、脱出性又は破裂性椎間板、或いは腰椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋群又は後縦靭帯の異常のためであることができる。背痛は、自然に解決することができるが、12週を超えて継続する幾人かの患者において、これは、特に衰弱性であることができる慢性症状になる。
【0076】
神経障害性疼痛は、現時点では、神経系の原性病変又は機能障害によって開始又は起こされる疼痛として定義されている。神経の損傷は、外傷及び疾病によって起こることができ、そして従って、用語‘神経障害性疼痛’は、多様な病因論を持つ多くの疾患を包含する。これらは、制約されるものではないが、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、背痛、癌性神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、中枢性卒中後痛及び慢性アルコール中毒に伴う疼痛、甲状腺機能障害、尿毒症、多発性硬化症、脊髄傷害、パーキンソン病、癲癇及びビタミン欠損症を含む。神経障害性疼痛は、これが保護的役割を持たないため、病理学的である。これは、しばしば元の原因が消失した十分後に存在し、普通数年継続し、患者の生活の質を有意に減少する(Woolf and Mannion,1999,Lancet,353,1959−1964)。神経障害性疼痛の症状は、これらがしばしば同じ疾病の患者間でさえ不均一であるため、治療するのが困難である(Woolf & Decosterd,1999,Pain Supp.,6,S141−S147;Woolf and Mannion,1999,Lancet,353,1959−1964)。これらは、痛覚過敏(侵害性刺激に対する増加した感受性)及び異痛症(通常非侵害性の刺激に対して感受性)のような連続した、そして発作性又は異常誘発性疼痛であることができる自発痛を含む。
【0077】
炎症の過程は、組織傷害又は異物の存在に反応して活性化される複雑な一連の生化学的及び細胞の現象であり、これは、腫脹及び疼痛をもたらす(Levine and Taiwo,1994,Textbook of Pain,45−56)。関節痛は、最も普通の炎症性疼痛である。リウマチ様疾病は、開発国における最も普通の慢性炎症性症状の一つであり、そしてリウマチ様関節炎は、身体障害の普通の原因である。リウマチ様関節炎の正確な病因論は未知であるが、しかし現時点の仮説は、遺伝子的及び微生物学的因子の両方が重要であることができること示唆している(Grennan & Jayson,1994,Textbook of Pain,397−407)。殆ど1,600万人の米国人が症候性骨関節炎(OA)又は変性関節疾患を有すると推定され、その殆どは60歳を超える年齢であり、そしてこれは、この年齢の人口の増加のため4,000万人に増加することが予測され、これを莫大な規模の公衆衛生上の問題としている(Houge & Mersfelder,2002,Ann Pharmacother.,36,679−686;McCarthy et al.,1994,Textbook of Pain,387−395)。骨関節炎を持つ殆どの患者は、付随する疼痛のために、医学的配慮を求めている。関節炎は、心理社会的及び物理的機能に有意な影響を有し、そしてその後の人生の身体障害の主要な原因であることが知られている。強直性脊椎炎も、更に脊椎及び仙腸関節の関節炎を起こすリウマチ性疾患である。これは、人生を通して起こる背痛の間欠的発症から、脊椎、末梢関節及び他の身体器官を攻撃する重篤な慢性疾患までで変化する。
【0078】
炎症性疼痛のもう一つの種類は、炎症性腸疾患(IBD)に伴う疼痛を含む内臓痛である。内臓痛は、内臓に関係する疼痛であり、これは、腹腔の器官を包含する。これらの器官は、生殖器官、脾臓及び消化系の一部を含む。内臓に関係する疼痛は、消化系内臓痛及び非消化系内臓痛に分割することができる。疼痛を起こす普通に遭遇する消化器系(GI)疾患は、機能性腸疾患(FBD)及び炎症性腸疾患(IBD)を含む。これらのGI疾患は、FBDに関して、胃食道逆流、胃腸障害、過敏性腸症候群(IBS)及び機能性腹痛症候群(FAPS)を、そしてIBDに関して、クローン病、回腸炎及び潰瘍性大腸炎を含む現時点で適度にのみ制御される広範囲の疾病状態を含み、これらの全ては、規則的に内臓痛を生じる。内臓痛の他の種類は、月経困難症、膀胱炎及び膵臓炎に伴う疼痛、並びに骨盤痛を含む。
【0079】
幾つかの種類の疼痛は、多数の病因論を有し、そして従って一つより多い分野に分類することができ、例えば、背痛及び癌性疼痛は、侵害受容性及び神経障害性成分の両方を有することは注記すべきである。
【0080】
他の種類の疼痛は:
・ 筋痛症、線維筋痛症、脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィン異常症、糖原病(glycogenolysis)、多発性筋炎及び化膿性筋炎を含む筋骨格疾患に起因する疼痛;
・ 狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症及び骨格筋虚血によって起こされる疼痛を含む心臓及び血管痛;
・ 片頭痛(前兆を伴う片頭痛及び前兆を伴わない片頭痛を含む)、群発性頭痛、緊張型頭痛混合型頭痛及び血管障害に伴う頭痛のような頭痛;
・ 肢端紅痛症;並びに
・ 歯痛、耳痛、口腔灼熱症候群及び側頭下顎筋筋膜痛を含む口腔顔面痛;
を含む。
【0081】
Nav1.7阻害剤は、もう一つの薬理学的に活性な化合物、或いは二つ又はそれより多い他の薬理学的に活性な化合物と、特に疼痛の治療において、有用に組合せることができる。このような組合せは、患者の服薬遵守、投与の容易さ及び相乗的活性を含む有意な利益の可能性を提供する。
【0082】
これによる組合せにおいて、本発明の化合物は、他の治療剤又は治療剤類との組合せで、同時、連続又は別個に投与することができる。
先に定義したとおりの、リスト(I)のVav1.7阻害剤、又は医薬的に受容可能なその塩は:
・ 本発明のもう一つの化合物又はWO2009/012242中に開示されている化合物のような、別のNav1.7チャネルモジュレーター;
・ Nav1.3モジュレーター(例えば、WO2008/118758中に開示されているような);又はNav1.8モジュレーター(例えば、WO2008/135826中に開示されているような、更に特にN−[6−アミノ−5−(2−クロロ−5−メトキシフェニル)ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボキシアミド)のような、別のナトリウムチャネルモジュレーター;
・ NGFに結合し、そしてNGFの生物学的活性及び/又はNGFシグナル伝達によって媒介される下流の経路(等)を阻害する薬剤(例えばタネズマブ)のTrkAアンタゴニスト又はp75アンタゴニストのような、神経成長因子シグナル伝達の阻害剤;
・ 脂肪酸アミドヒドロラーゼ阻害(FAAH)活性を持つ化合物、特にWO2008/047229中に開示されているもの(例えば、N−ピリダジン−3−イル−4−(3−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ベンジリデン)ピペリデン−1−カルボキシアミド)のような、内在性カンナビノイドのレベルを増加する化合物;
・ オピオイド鎮痛剤、例えば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン又はペンタゾシン;
・ 非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナール(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン又はゾメピラック;
・ バルビツール酸鎮痛剤、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、チアミラール(theamylal)又はチオペンタール;
・ 鎮痛作用を有するベンゾジアゼピン、例えば、クロルジアゼポキシド、クロラゼブ酸、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム又はトリアゾラム;
・ 鎮痛作用を有するHアンタゴニスト、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン又はクロルシクリジン;
・ グルテチミド、メプロバメート、メタカロン又はジクロラルフェナゾンのような、鎮痛剤;
・ 骨格筋弛緩剤、例えば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール又はオルフレナジン(orphrenadine);
・ NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、NR2Bアンタゴニスト、例えばイフェンプロジル、トラキソプロジル又は(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンを含む、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)又はその代謝産物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニン、cis−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231(MorphiDex(登録商標)、モルヒネ及びデキストロメトルファンの組合せ製剤)、トピラメート、ネラメキサン又はペルジンホテル;
・ アルファ−アドレナリン作用剤、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメタトミジン(dexmetatomidine)、モダフィニル、又は4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタン−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン;
・ 三環式抗鬱剤、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン又はノルトチプチリン;
・ 抗痙攣剤、例えば、カルバマゼピン、ラモトリギン、トピラメート(topiratmate)又はバルプロ酸塩;
・ タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK−3、NK−2又はNK−1アンタゴニスト、例えば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]−ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3R)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタント又は3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S);
・ ムスカリンアンタゴニスト、例えば、オキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、トロプシウム(tropsium)塩化物、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン及びイプラトロピウム;
・ COX−2選択的阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、又はルミラコキシブ;
・ コールタール鎮痛剤、特にパラセタモール;
・ ドロペリドール、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプリド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルピリド、バラペリドン、パリンドール(palindore)、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバン、メクリネルタント、Miraxion(登録商標)又はサリゾタンのような、神経遮断剤;
・ バニロイド受容体アゴニスト(例えば、レシニフェラトキシン(resinferatoxin)又はアンタゴニスト(例えば、カプサゼピン));
・ プロプラノールのような、ベータアドレナリン作用剤;
・ メキシレチンのような、局所麻酔剤;
・ デキサメタゾンのような、コルチコステロイド;
・ 5−HT受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、特にエレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン又はリザトリプタンのような、5−HT1B/1Dアゴニスト;
・ R(+)−アルファ−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907)のような、5−HT2A受容体アンタゴニスト;
・ オンダンセトロンのような、5−HTアンタゴニスト;
・ イスプロニクリン(TC−1734)、(E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−549)又はニコチンのような、コリン作動性(ニコチン性)鎮痛剤;
・ トラマドール(登録商標);
・ 5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351又はタダラフィル)、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキシアミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミドのような、PDEV阻害剤;
・ ガバペンチン、プレガバリン、3−メチルガバペンチン、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)−プロリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−ヘプタン酸及び(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−オクタン酸のような、アルファ−2−デルタリガンド;
・ 代謝型グルタミン酸サブタイプ1受容体(mGluR1)アンタゴニスト;
・ セルトラリン、セルトラリン代謝産物の脱メチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチン脱メチル化代謝産物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝産物の脱メチル化シタロプラム、エスシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イホキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファドゾン、セリクラミン及びトラゾドンのような、セロトニン再取込み阻害剤;
・ マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタザピン(mirtazepine)、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオン代謝産物のヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシン及びビロキサジン(Vivalan(登録商標))のような、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取込み阻害剤、特にレボキセチン、特に(S,S)−レボキセチンのような、選択的ノルアドレナリン再取込み阻害剤;
・ ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物のO−脱メチル化ベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物の脱メチル化クロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン及びイミプラミンのような、二重セロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害剤;
・ S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)−アミノ]エチル]−4,4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル;2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボキシアミド、又はグアニジノエチルジスルフィドのような、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;
・ ドネペジルのような、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤;
・ N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)−カルボニル]−4−メチルベンザンスルホンアミド又は4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸のような、プロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)アンタゴニスト;
・ ミクロソームプロスタグランジンE合成酵素タイプ1(mPGES−1)阻害剤;
・ 1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)又はDPC−11870のような、ロイコトリエンB4アンタゴニスト;並びに
・ ジロートン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)、又は2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル),1,4−ベンゾキノン(CV−6504)のような、5−リポキシゲナーゼ阻害剤;
から選択される一つ又はそれより多い薬剤と組合せて投与することができる。
【0083】
更に本発明の範囲内に含まれるものに、本発明の化合物の、本発明の化合物の代謝の速度を遅延し、それによって患者への増加した暴露に導く一つ又はそれより多い更なる治療剤と一緒の組合せが存在する。このような様式で暴露を増加することは、ブーストとして知られている。これは、本発明の化合物の効力を増加する、又はブーストされない投与と同じ効力を達成するために必要な投与量を減少する利益を有する。本発明の化合物の代謝は、P450(CYP450)酵素、特にCYP3A4によって行われる酸化的過程並びにUDPグルクロノシルトランスフェラーゼ及び硫酸化酵素による結合を含む。従って、薬剤間で本発明の化合物に対する患者の暴露を増加するために使用することができるものは、シトクロムP450(CYP450)酵素の少なくとも一つのアイソフォームの阻害剤として作用することができるものである。都合よく阻害することができるCYP450のアイソフォームは、制約されるものではないが、CYP1A2、CYP2D6、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4を含む。CYP3A4を阻害するために使用することができる適した薬剤は、リトナビル、サキナビル、ケトコナゾール、N−(3,4−ジフルオロベンジル)−N−メチル−2−{[(4−メトキシピリジン−3−イル)アミノ]スルホニル}ベンズアミド及びN−(1−(2−(5−(4−フルオロベンジル)−3−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセチル)ピペリジン−4−イル)メタンスルホンアミドを含む。
【0084】
少なくともその一つが本発明の化合物を含有する二つ又はそれより多い医薬組成物を、組成物の同時投与のために適したキットの形態で好都合に組み合わせることができることは本発明の範囲内である。従って、本発明のキットは、その少なくとも一つが本発明の化合物を含有する二つ又はそれより多い別個の医薬組成物、及び容器、分割されたビン、又は分割されたホイル小包のような前記組成物を別個に保持する手段を含んでなる。このようなキットの例は、錠剤、カプセル等の包装のために使用される普通のブリスターパックである。本発明のキットは、異なった剤形、例えば、経口及び非経口を投与する、又は別個の組成物を異なった投与間隔で投与する、或いは別個の組成物を交互に滴定するために特に適している。服薬遵守を援助するために、キットは、典型的には投与のための説明書含んでなり、そしていわゆる記憶補助と共に提供することができる。
【0085】
もう一つの側面において、本発明は、本発明の化合物を一つ又はそれより多い更なる治療的に活性な薬剤と一緒に含んでなる、Nav1.7阻害剤が適用される疾患の治療における同時、別個又は連続使用のための組合せ製剤としての医薬的産物(キットの形態のような)を提供する。
【0086】
治療に対する本明細書中の全ての言及が、治癒的、対症的及び予防的治療を含むことは、認識されることである。
本発明の化合物は、類似の構造の化合物の調製のための当技術において既知のいずれもの方法によって調製することができる。特に、本発明の化合物は、実施例中に記載される具体的方法、又はそれと類似の方法によって調製することができる。
【0087】
当業者は、以下の実施例中に明記した実験条件が、転換を行うために適した条件を例示し、使用される実際の条件を変更することが好ましいものであることができ、そして更に、記載されるものと異なった順序で転換を行うことが好ましいものであることができることを認識するものである。
【0088】
更に、当業者は、本発明の化合物の合成中のいずれもの段階で、好ましくない副作用を防止するように一つ又はそれより多い感受性な基を保護することが好ましいものであることができることを認識するものである。特に、アミノ基を保護することが好ましいものであることができる。本発明の化合物の調製において使用される保護基は、慣用的な様式で使用することができる。例えば、本明細書中に参考文献として援用される、‘Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis’by Theodora W Greene and Peter G M Wuts,fourth edition,(John Wiley and Sons,2006)、特に第7章(“Protection for the Amino Group”)中に記載されているものを参照されたく、これは、更にこのような基の除去のための方法も記載している。
【0089】
本発明の化合物を調製する場合、当業者は、この目的のための特徴の最良の組合せを提供する中間体の形態を選択することができる。このような特徴は、中間体の形態の融点、溶解度、加工性及び収率、並びに生成物を単離によって精製することができる容易さを得ることを含む。
【0090】
個々の鏡像異性体の前駆体の調製/単離のための慣用的な技術は、適した光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又はラセミ体(或いは塩又は誘導体のラセミ体)の、例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用する分割を含む。
【0091】
別の方法として、ラセミ前駆体を、適した光学的に活性な化合物、例えば、アルコール、或いは化合物が酸性又は塩基性分子を含有する場合、1−フェニルエチルアミン又は酒石酸のような塩基或いは酸と反応させることができる。得られたジアステレオ異性体の混合物を、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶化によって分離し、そして一つ又は両方のジアステレオ異性体を、当業者にとって公知の手段によって対応する純粋な鏡像異性体(類)に転換することができる。
【0092】
キラル前駆体は、クロマトグラフィー、典型的には、不斉樹脂上のHPLCを、0から50容量%まで、典型的には2%から20%までのイソプロパノール、及び0から5容量%までのアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する、炭化水素、典型的にはヘプタン又はヘキサンからなる移動相を伴って使用して、鏡像異性体的に富化された形態で得ることができる。
【0093】
立体異性体の混合物は、当業者にとって既知の慣用的技術によって分離することができる;例えば、“Stereochemistry of Organic Compounds”by E.L.Eliel and S.H.Wilen(Wiley,New York,1994を参照されたい。
【実施例】
【0094】
本発明は、以下の非制約的実施例によって例示され、これらにおいて、以下の略語及び定義:
DMSOは、ジメチルスルホキシドを意味する;
GCMSは、ガスクロマトグラフィー質量分光法を意味する;
HPLCは、高性能液体クロマトグラフィーを意味する;
NaOHは、水酸化ナトリウムを意味する;そして
NHClは、塩化アンモニウムを意味する;
を使用することができる。
【0095】
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、全ての場合、提示される構造と一致した。特徴的化学シフト(δ)は、テトラメチルシランからのパーツパーミリオン低磁場で、主要ピークの命名のための慣用的な略語:例えば、s、単一線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、幅広線を使用して与えられる。普通の溶媒に対して、次の略語:CDCl、ジュートロクロロホルム;d−DMSO、ジュートロジメチルスルホキシドが使用されている。
【0096】
質量スペクトル(m/z)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)又は常圧化学イオン化(APCI)のいずれかを使用して記録された。関連する場合、そして他に記述されない場合、提供されるm/zデータは、同位体19F、35Cl及び79Brに対する。
【0097】
化合物が、HPLCによって精製され及び/又はLCMSによって分析された場合、以下の方法が使用された:
分離用逆相HPLC法
a)Phenomenexの250×30mmの15ミクロンのC18カラム。40mL/分。勾配85%Aから100%Bへ25分間かけた。溶媒A:7800水/200アセトニトリル/8トリフルオロ酢酸。溶媒B:7200アセトニトリル/800水/8トリフルオロ酢酸、254nMのUV検出。
【0098】
b)Phenomenexの100×21.2mmの10ミクロンのC18カラム。20mL/分。勾配85%Aから100%Bへ25分かけた。溶媒A:7800水/200アセトニトリル/8トリフルオロ酢酸。溶媒B:7200アセトニトリル/800水/8トリフルオロ酢酸、254nMのUV検出。
【0099】
LC/MS分析
質量分光データは、Michrom Magic HPLC及びCTCオートサンプラーに接続されたMassChromソフトウェアによりScix API150で獲得した。MS走査データは、0.1ダルトンの段階及び0.15ミリ秒の滞留時間による40から800ダルトンまでの正及び負イオンの交互走査によって得た。イオン化電位は、陽イオンに対して4000(負イオンに対して−4200)であり、400Cの温度で、通気器ガスは7に設定し、そしてカーテンガスは8に設定した。レンズ及びリング電位は定期的に最適化した。HPLCの流速は、Michrom Bioresourcesからの1×25mmの5ミクロンの100AのC18AQ Magic Bullet上の、1分間の20%の緩衝液Bから98%の緩衝液Bまでの勾配中、500μL/分であった。流量を、勾配を98%Bに保ったまま700μL/分に1.2分間増加した。緩衝液Aの組成は、0.1%のギ酸を含む水であり、そして緩衝液Bは、1%の水及び0.1%のギ酸を含むメタノールであった。
【0100】
実施例1
5−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0101】
【化1】
【0102】
4−[4−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)ピリミジン−2−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(調製例2、48.6mg、0.11mmol)、[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例4、43.6mg、0.11mmol)及び炭酸カリウム(21.9mg、0.16mmol)を、ジメチルスルホキシド(1mL)中で混合し、そして周囲温度で18時間振盪した。反応混合物を水で希釈し、そして沈殿物を濾過によって収集した。固体をジクロロメタン(2.0mL)中に溶解し、そして無水の硫酸マグネシウムで乾燥した。混合物を濾過し、そしてトリフルオロ酢酸(0.060mL、0.78mmol)を濾液に加えた。2時間後、反応混合物を真空中で残渣まで濃縮し、そして逆相HPLCによって精製して、表題化合物を、黄褐色のガラス状物(55mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 3.12(m,4H),3.83(m,4H),7.04−7.12(m,3H),7.32(d,1H),7.65(dd,1H),7.93−7.96(m,2H),8.48(d,1H),8.76(brs,2H),8.92(d,1H)。
LCMS Rt=1.63分。MS m/z 581[MH]+。
【0103】
実施例2
5−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2−フルオロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0104】
【化2】
【0105】
4−[4−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)ピリミジン−2−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(調製例2、48.6mg、0.11mmol)、5−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,4−ジフルオロ−N−(1,3,4−チジアゾール−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(調製例6、49.1mg、0.11mmol)及び炭酸カリウム(21.9mg、0.16mmol)を、ジメチルスルホキシド(1mL)中で混合し、そして周囲温度で18時間振盪した。反応混合物を水で希釈し、そして沈殿物を濾過によって収集した。固体をジクロロメタン(2.0mL)中に溶解し、そして無水の硫酸マグネシウムで乾燥した。混合物を濾過し、そしてトリフルオロ酢酸(0.060mL、0.78mmol)を濾液に加えた。2時間後、反応混合物を真空中で残渣まで濃縮し、そして逆相HPLCによって精製して、表題化合物を、黄褐色のガラス状物(35.5mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 3.13(brs,4H),3.84(brs,4H),7.06−7.12(m,2H),7.31(d,1H),7.64(dd,1H),7.92(d,1H),7.96(d,1H),8.49(d,1H),8.76(brs,2H),8.83(s,1H)。
LCMS Rt=1.59分。MS m/z 582[MH]+。
【0106】
実施例3
5−クロロ−2−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド
【0107】
【化3】
【0108】
5−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノール (調製例9、2.81g、10.9mmol)、[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例4、5.59g、13.6mmol)及び炭酸カリウム(4.51g、32.6mmol)のジメチルスルホキシド(20mL)中の混合物を、75℃で24時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、水で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、次いで酢酸エチル(×3)で抽出した。混合した有機層を食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって、二回の実行(実行1に対してヘキサン中の10%から100%酢酸エチルへの勾配溶出、及び実行2に対するジクロロメタン中の0%から10%メタノールへの勾配溶出)を使用して精製して、表題化合物を、褐色の固体(2.42g、41%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.15(d,1H),7.50−7.72(m,2H),7.90−8.06(m,2H),8.20(d,1H),8.95(d,1H),9.35(d,1H),9.51(s,1H),11.53(brs,1H)。
LCMS Rt=1.69分。MS m/z 549[MH]+。
【0109】
実施例3a
5−クロロ−2−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・4−メチルベンゼンスルホン酸塩
【0110】
【化4】
【0111】
p−トルエンスルホン酸一水和物(0.851g、4.41mmol)のアセトン(10mL)中の溶液を、5−クロロ−2−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド(2.42g、4.41mmol)のアセトン(15mL)中の溶液に加えた。周囲温度で15分間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残渣をジエチルエーテル(75mL)中に溶解し、そして2時間撹拌した。得られた固体を濾過によって収集し、乾燥し、そして次いで酢酸エチル−ヘプタン−メタノール(20:10:1)から再結晶化して、表題化合物を、黄褐色の結晶質の固体(1.78g、56%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 2.31(s,3H),7.08−7.21(m,3H),7.45−7.71(m,4H),7.95−8.10(m,2H),8.22(d,1H),8.95(d,1H),9.38(d,1H),9.54(s,1H),11.53(brs,1H)。
LCMS Rt=1.67分。MS m/z 549[MH]+。
【0112】
実施例4
5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・ビス(トリフルオロ酢酸)塩
【0113】
【化5】
【0114】
リチウムヘキサメチルジシラジドのテトラヒドロフラン中の1.0Mの溶液(7.55mL、7.55mmol)を、4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノール(調製例11、1.30g、5.04mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中の溶液に加えた。5分間撹拌した後、tert−butyl−[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバメート(調製例4、2.07g、5.04mmol)を加え、そして反応混合物を周囲温度で撹拌した。18時間後、反応混合物を水で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、そして酢酸エチル(×3)で抽出した。混合した有機層を食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして珪藻土上に乾燥した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサンから酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製して、({5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}スルホニル)1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(1.75g)を得た。
LCMS Rt=1.76分。MS m/z 649[MH]+。
【0115】
トリフルオロ酢酸(9mL)を、({5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}スルホニル)1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(2.0g、3.1mmol)のジクロロメタン(20mL)中の溶液に加えた。2時間後、反応混合物を真空中で濃縮して、表題化合物を、琥珀色の泡状物(2.37g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.07(d,1H),7.20(d,1H),7.83−7.92(m,3H),8.07(d,1H),8.89(d,1H),9.33(m,1H),9.40(m,1H)。
LCMS Rt=1.67分。MS m/z 549[MH]+。
【0116】
実施例4A
5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・4−メチルベンゼンスルホン酸塩
【0117】
【化6】
【0118】
1.0Mの水酸化カリウムの水中の溶液(65mL、65mmol)を、5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・ビス(トリフルオロ酢酸)塩(2.37g、3.05mmol)に加えた。混合物を周囲温度で撹拌した。ジエチルエーテルを加え、そして層を分離した。水層を水中の10%クエン酸でpH4に酸性化した。沈殿物が発生し、従って混合物を超音波処理し、次いで45分間周囲温度で撹拌した。水層を酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。混合した有機層を食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、木炭で処理し、珪藻土を通して濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をアセトン及びエーテル中に取込み、そして真空中で濃縮して、5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミドを固体として得て、これを更なる精製無しに使用した。
【0119】
4−メチルベンゼンスルホン酸(0.489g、2.84mmol)のアセトン(6mL)中の溶液を、5−クロロ−2−フルオロ−4−[4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド(1.56g、2.84mmol)のアセトン中の溶液に加えた。溶液を15分間撹拌し、濾過し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、黄褐色の泡状物として得て、これを更なる精製無しに使用した。
【0120】
表題化合物の種結晶を、黄褐色の泡状物としての粗製の表題化合物の小部分(約50mg)を、最小量の熱2−ブタノン中に溶解することによって作成した。ヘプタンを僅かに濁るまで溶液に加えた。混合物を温めて、透明な溶液を作り、そしてバイアルの側面をガラスピペットで擦って、結晶の形成を促進した。得られた結晶を濾過によって収集し、そしてバッチ法結晶化の種結晶として使用するために確保した。
【0121】
残りの黄褐色の泡状物としての表題化合物を、最小量の熱2−ブタノン中に溶解した。溶液を、ヘプタンを滴下様式で加える間撹拌した。僅かに濁ったままで、溶液を僅かに温めて、透明な溶液を得た。表題化合物の種結晶を、撹拌しながら加えた;混合物中に固体が急速に形成した。固体を氷冷の2:1のヘプタン:2−ブタノンで希釈し、濾過によって収集し、そして更なる冷たい2:1のヘプタン:2−ブタノンで洗浄した。試料を真空中で乾燥して、表題化合物を、白色の粉末(1.73g、79%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 2.29(brs,3H),7.07(d,1H),7.11(m,2H),7.21(d,1H),7.47(m,2H),7.83−7.92(m,3H),8.07(d,1H),8.89(d,1H),9.33(m,1H),9.41(m,1H)。
LCMS Rt=1.67分。MS m/z 549[MH]+。
【0122】
実施例5
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド・二塩酸塩
【0123】
【化7】
【0124】
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−N−(エトキシメチル)−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(調製例15、67mg、0.12mmol)のメタノール(1mL)中の溶液に、水中の塩酸の2.0Mの溶液(1mL、2.00mmol)を加えた。反応混合物を60℃で6時間加熱し、次いで真空中で濃縮した、残渣をアセトニトリル−水から冷凍乾燥して、表題化合物を、白色の固体(69mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 6.95(m,1H),7.05(m,1H),7.22(d,1H),7.20(d,1H),7.63(m,1H),7.73(m,1H),7.95−8.06(m,4H),8.65(s,2H)。
LCMS Rt=1.35分。MS m/z 524[MH]+。
【0125】
実施例6
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド・4−メチルベンゼンスルホン酸塩
【0126】
【化8】
【0127】
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(調製例20、2.24g、3.16mmol)を、1,4−ジオキサン(6.0mL)中に溶解し、そして1,4−ジオキサン中の塩酸の4.0M溶液(4.0mL、16mmol)を加えた。反応混合物を18時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残渣を水及びジクロロメタン間に分配した。大量の未溶解固体が存在した。水相を1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節し、次いでクエン酸でpH3に戻した。混合物を濾過し、そして固体を確保した。有機相を収集し、そして固体と混合し、そして溶媒を真空中で除去した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0から10%メタノールの勾配溶出)によって精製した。次いで得られた残渣をメタノール中でスラリー化してから、1当量の4−メチルベンゼンスルホン酸を加え、そして混合物を真空中で濃縮した。残渣を最小量の熱メタノール中に溶解し、そして熱いうちに濾過した。濾液をtert−ブチルメチルエーテルで希釈した。静置により結晶が形成し、これを濾過によって収集し、そしてtert−ブチルメチルエーテルで洗浄して、表題化合物を、白色の固体(0.5mol%のtert−ブチルメチルエーテルを含有する1.48g)として得た。固体を最小量の沸騰メタノール中に溶解し、次いで水をゆっくりと加えた。微細な結晶が形成し、これを濾過によって収集し、そして水で洗浄して、表題化合物を、白色の粉末(1.45g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 2.28(s,3H),7.03(d,1H),7.06−7.14(m,3H),7.34(d,1H),7.47(d,2H),7.75−8.02(m,5H),8.11(d,1H),8.66(s,1H)。三つの交換可能基は観察されなかった。
LCMS Rt=1.41分。MS m/z 558[MH]+。
【0128】
実施例7
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−フルオロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0129】
【化9】
【0130】
[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例4、60mg、0.15mmol)を、2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−フルオロフェノール(調製例21、30mg、0.1mmol)及び炭酸カリウム(41mg、0.29mmol)のジメチルスルホキシド(2mL)中の混合物に加え、そして周囲温度で24時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及び水中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。混合した有機層を食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン中に取込み、珪藻土上に濃縮し、そして自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル中の100%ヘキサンから20%メタノールへの勾配溶出)によって精製して、({4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−フルオロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロフェニル}スルホニル)1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチルを、明るい褐色の油状物として得て、これを更なる精製無しに使用した。
LCMS Rt=1.43分。MS m/z 495[M(−Boc)H]
【0131】
1,4−ジオキサン中の塩酸の4.0Mの溶液(1.5mL、5.9mmol)を、中間体のメタノール(2.3mL)中の溶液に加え、そして65℃で3時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣を分離用HPLCによって精製して、表題化合物を、白色の粉末(43.5mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 6.97(d,1H),7.03−7.21(m,3H),7.34−7.57(m,2H),7.61(dd,1H),7.89−8.04(m,2H),8.11(brs,2H),8.94(d,1H),11.46(brs,1H)。
LCMS Rt=1.25分。MS m/z 495[MH]+。
【0132】
実施例8
4−[2−(3−アミノ−1H−ピラゾール−4−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・二塩酸塩
【0133】
【化10】
【0134】
[(5−クロロ−2−フルオロ−4−{2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ}フェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例25、3.70g、4.84mmol)、及び飽和塩化アンモニウム水溶液(17mL)を、エタノール(62mL)中に加えた。白色の沈殿物が形成した。鉄(0.541g、9.68mmol)を加え、そして反応混合物を80℃に加熱した。2時間後、反応混合物を冷却し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を水中でスラリー化し、そして固体を濾過によって収集した。固体を水で洗浄し、次いで酢酸エチル中に溶解し、無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣を塩酸のメタノール中の飽和溶液中に溶解し、そして50℃で2時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、そして残渣を最小量のメタノール中に溶解した。酢酸エチルを加え、そして溶液を4時間撹拌し、この間結晶が形成した。固体を濾過によって収集して、表題化合物を、白色の粉末(1.75g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.03(d,1H),7.11(d,1H),7.28(d,1H),7.41(m,1H),7.65(d,1H),7.92(d,1H),7.95(s,1H),8.92(d,1H),11.44(s,1H)。
LCMS Rt=1.63分。MS m/z 550[MH]+。
【0135】
実施例9
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−3−クロロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0136】
【化11】
【0137】
3−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−フルオロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド(調製例26、106mg、0.24mmol)及び2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノール(調製例13、52.5mg、0.24mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(0.62mL)中に溶解し、そして炭酸カリウム(49.3mg、0.36mmol)を加えた。反応混合物を65℃で4時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、水で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。混合した有機相を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして次いで真空中で濃縮して、ジメトキシベンジル中間体を、明るい褐色の油状物として得て、これを更なる精製無しに使用した。
LCMS Rt=1.59、MS m/z 644[MH]+。
【0138】
トリフルオロ酢酸(0.183mL、2.38mmol)を、ジメトキシベンジル中間体のジクロロメタン(1.8mL)中の溶液に加え、そして周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣を分離用HPLCによって精製して、表題化合物を、白色の粉末(59mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.01(d,1H),7.10(s,1H),7.16−7.30(m,2H),7.65(dd,1H),7.70−7.83(m,2H),7.87−8.14(m,4H),8.33(s,1H)。一つの交換可能基は観察されなかった。
LCMS Rt=1.55分。MS m/z 494[MH]+。
【0139】
実施例10
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0140】
【化12】
【0141】
[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例4、61.8mg、0.15mmol)を、2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノール(調製例13、33.2mg、0.15mmol)及び炭酸カリウム(41.6mg、0.30mmol)のジメチルスルホキシド(2mL)中の混合物に加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌した。24時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及び水中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。混合した有機層を食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、カルバミン酸塩中間体を、明るい褐色の油状物として得て、これを更なる精製無しに使用した。
LCMS Rt=1.47分。MS m/z 611[MH]+。
【0142】
1,4−ジオキサン中の4.0Mの塩酸の溶液(1.5mL)を、カルバミン酸塩中間体のメタノール(2.0mL)中の溶液に加え、そして65℃で3時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣を分離用HPLCによって精製して、表題化合物を、白色の粉末(58mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.00(d,1H),7.08(s,1H),7.14(d,1H),7.22−7.39(m,2H),7.68(d,1H),7.76(dd,1H)7.91−8.20(m,4H),8.95(d,1H),11.50(brs,1H)。
LCMS Rt=1.43分。MS m/z 511[MH]+。
【0143】
実施例11
4−[2−(5−アミノ−1H−ピラゾール−4−イル)−4−フルオロフェノキシ]−5−クロロ−2−フルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0144】
【化13】
【0145】
[(5−クロロ−2−フルオロ−4−{4−フルオロ−2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]フェノキシ}フェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例28、85mg、0.12mmol)のエタノール(3mL)中の溶液に、飽和塩化アンモニウム水溶液(0.4mL)及び鉄(68mg、1.2mmol)を加えた。反応混合物を80℃で4時間加熱し、次いで周囲温度に冷却した。硫酸ナトリウム(2g)を加え、そして混合物を15分間撹拌し、次いで珪藻土を通して濾過し、そして酢酸エチル中の10%メタノールで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して。カルバミン酸塩中間体を、淡黄色の固体として得て、これを精製無しに使用した。
LCMS Rt=1.76分。MS m/z 568[M(−Boc)H]
【0146】
1,4−ジオキサン中の4.0Mの塩酸の溶液(1mL、5mmol)を、カルバミン酸塩中間体のメタノール(2.0mL)中の溶液に加え、そして50℃で2時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣を分離用HPLCによって精製して、表題化合物を、白色の粉末(47mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 6.74(d,1H),7.12(s,1H),7.17−7.40(m,2H),7.50(dd,1H),7.71(s,1H),7.93(d,1H),8.95(s,1H),11.43(brs,1H)。
LCMS Rt=1.59分。MS m/z 484[MH]+。
【0147】
実施例12
5−クロロ−2−フルオロ−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0148】
【化14】
【0149】
2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール(調製例30、88mg、0.34mmol)を、ジメチルスルホキシド(4mL)中に溶解した。炭酸カリウム(90mg、0.65mmol)を、続いて[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例4、141mg、0.34mmol)を加えた。反応混合物を18時間周囲温度で撹拌し、次いで水で希釈し、そしてエチルエーテル(×3)で抽出した。混合した有機相を真空中で濃縮し、そしてシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサンから酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製した。残渣をメタノール中の飽和塩酸中に溶解し、そして周囲温度で18時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして逆相HPLCによって精製して、表題化合物を、オフホワイト色の粉末(133mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.10(d,1H),7.30(d,1H),7.36(d,1H),7.56(m,1H),7.85(d,1H),7.88(dd,1H),7.93(d,1H),8.91(d,1H),9.30(dd,1H),9.44(dd,1H)。
LCMS Rt=1.66分。MS m/z 547[MH]+。
【0150】
実施例13
4−[2−(1−アゼチジン−3−イル−1H−ピラゾール−5−イル)−5−クロロ−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド
【0151】
【化15】
【0152】
3−{5−[5−トリフルオロメチル−2−(2−クロロ−4−{[(2,4−ジメトキシベンジル)(1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミノ]スルホニル}−5−フルオロフェノキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−1−イル}アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル(調製例35、590mg、0.72mmol)を、ジクロロメタン(10mL)中に溶解した。トリフルオロ酢酸(2mL)を滴下により加え、そして溶液を周囲温度で2.5時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣をメタノール中でスラリー化してから、再び真空中で濃縮した。これを更に2回繰り返した。最後に、残渣を再びメタノール(20mL)中でスラリー化し、そして固体を濾過によって除去した。濾液を真空中で濃縮して、泡状物を得た。水(50mL)を、続いて0.880のアンモニア水(5mL)を加えて、白色の固体を得て、これを濾過によって収集し、メタノールで洗浄し、そして真空中で乾燥して、表題化合物を、白色の固体(360mg、88%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 4.26(m,4H),5.23 m,1H),4.53(s,1H),7.16(d,1H),7.33(m,1H),7.82(m,4H),8.57(s,1H),8.83(brs,1H)。
LCMS Rt=1.23分。MS m/z 575[M35ClH]+。
【0153】
実施例14
5−クロロ−2−フルオロ−4−{4−トリフルオロメチル−2−[1−(1−メチルアゼチジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−イル]フェノキシ}−N−1,3,4−チアジアゾール−イルベンゼンスルホンアミド
【0154】
【化16】
【0155】
4−[2−(1−アゼチジン−3−イル−1H−ピラゾール−5−イル)−5−クロロ−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,3,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド(実施例13、100mg、0.17mmol)を、ジクロロメタン(5mL)、メタノール(0.5mL)及び酢酸(0.015mL)中で0℃で撹拌した。ホルムアルデヒド水溶液(37重量/容量%の0.04mL)を加え、そして反応混合物を0℃で15分間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(120mg、0.56mmol)を加え、そして混合物を3時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣を酢酸エチル中に溶解し、そして飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×10mL)及び食塩水(2×10mL)で抽出した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして蒸発して、固体を得た。化合物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(90:10のジクロロメタン:メタノールから80:10:10のジクロロメタン:メタノール:酢酸への勾配溶出)によって精製して、ゴム状物を得た。ゴム状物を水中に懸濁し、そして0.880のアンモニア水で塩基性化した。得られた固体を濾過によって収集し、そして乾燥して、表題化合物を、白色の固体(25mg、24%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 2.84(s,3H),4.17(m,2H),4.30(m,2H) 5.19(s,1H),6.52(d,1H),7.17(d,1H) 7.32(m,1H),7.80(m,4H),8.58(s,1H)
LCMS Rt=18分。MS m/z 589[M35ClH]+。
【0156】
実施例15
3−シアノ−4−[2−(3−メチルピリダジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド
【0157】
【化17】
【0158】
2−(3−メチルピリダジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノール (調製例44、100mg、0.38mmol)及び3−シアノ−4−フルオロ−N−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミド(調製例39、108mg、0.38mmol)を、ジメチルスルホキシド(2mL)中に溶解した。炭酸カリウム(157mg、1.14mmol)を加え、そして反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却し、そして粗製の物質を逆相カラムクロマトグラフィー(ISCOTM Companion、C18シリカ、水中の5%から60%アセトニトリルへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、オフホワイト色の固体(130mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 2.51(s,3H),7.12(d,1H),7.49(d,1H),7.59(d,1H),7.91(m,5H),9.06(d,1H)。
LCMS Rt=1.62分。MS m/z 519[MH]+。
【0159】
実施例16
3−メチル−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド
【0160】
【化18】
【0161】
トリメチルボロキシン(798mg、6.36mmol)、二塩化1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)のジクロロメタンとの複合体(26mg、0.03mmol)、炭酸カリウム(88mg、0.64mmol)、N−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−ヨード−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド(調製例38、240mg、0.32mmol)及び2−メチルテトラヒドロフラン(5mL)を含有するReactivialTMを、窒素で置換(sparged)し、そして80℃で24時間加熱した。反応混合物を冷却し、そして直接シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル中の0%から20%へのメタノールの勾配溶出)によって、続いて逆相HPLCによって精製して、表題化合物を得た。
HNMR(CDOD):δ 2.28(s,3H),7.05(d,1H),7.10(d,1H),7.70(d,1H),7.80(m,2H),8.00(m,2H),8.20(s,1H),9.20(d,1H),9.50(s,1H)。
LCMS Rt=3.40分。MS m/z 987[2MH]+。
【0162】
実施例17
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−1,3−チアゾール−4−イルベンゼンスルホンアミド・トリフルオロ酢酸塩
【0163】
【化19】
【0164】
4−[4−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)ピリミジン−2−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(調製例2、48.6mg、0.11mmol)、1,3−チアゾール−4−イル[(2,4,5−トリフルオロフェニル)スルホニル]カルバミン酸tert−ブチル(調製例45、41.9mg、0.11mmol)及び炭酸カリウム(21.9mg、0.16mmol)を、ジメチルスルホキシド(1mL)中で混合し、そして周囲温度で18時間振盪した。反応物を水で希釈し、そして沈殿物を濾過によって収集した。固体をジクロロメタン(2mL)中に溶解し、そして無水の硫酸マグネシウムで乾燥した。混合物を濾過し、そしてトリフルオロ酢酸(0.06mL、0.78mmol)を濾液に加えた。2時間後、反応物を真空中で濃縮し、そして逆相HPLCによって精製して、表題化合物を、黄褐色のガラス状物(52mg)として得た。
HNMR(d−DMSO/DO):δ 3.16(m,4H),3.89(m,4H),7.12(m,2H),7.20(dd,1H),7.37(d,1H),7.67(dd,1H),7.84(dd,1H),7.97(d,1H),8.51(d,1H),8.95(d,1H)。
LCMS Rt=1.59分。MS m/z 565[MH]+。
【0165】
実施例18−21も、更に調製されている。
実施例18
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド。
【0166】
実施例19
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリジン−4−イル)フェノキシ]−3−シアノ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド。
【0167】
実施例20
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−3−シアノ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド。
【0168】
実施例21
4−[4−クロロ−2−(2−ピペラジン−1−イルピリミジン−4−イル)フェノキシ]−2,5−ジフルオロ−N−ピリミジン−2−イルベンゼンスルホンアミド。
【0169】
調製例1
4−クロロ−2−(2−クロロピリミジン−4−イル)フェノール
【0170】
【化20】
【0171】
2,4−ジクロロピリミジン(0.765g、5.03mmol)、(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)ボロン酸(0.568g、3.30mmol)、2.0Mの炭酸ナトリウム水溶液(2.82mL、5.64mmol)、及び1,2−ジメトキシエタン(8mL)の混合物を、10分間アルゴンで置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.217g、0.19mmol)を加え、そして得られた混合物を4時間85℃で加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、そしてジクロロメタン(×3)で抽出した。混合した有機層を食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサンから酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、黄色の固体(61.5mg、7%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.06(d,1H),7.45(m,1H),8.00(d,1H),8.28(d,1H),8.81(d,1H),11.21(s,1H)。
LCMS Rt=1.74分。MS m/z 241[MH]+。
【0172】
調製例2
4−[4−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)ピリミジン−2−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0173】
【化21】
【0174】
ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(24.0mg、0.13mmol)を、4−クロロ−2−(2−クロロピリミジン−4−イル)フェノール(調製例1、30.1mg、0.13mmol)、及びトリエチルアミン(61.2uL、0.44mmol)のイソプロピルアルコール(0.2mL)中の混合物に加えた。反応混合物を周囲温度で撹拌した。18時間後、LCMS分析は、反応が完全ではないことを示した。反応混合物を30分間70℃で加熱し、次いで周囲温度に冷却した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で、次いで食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、明るい褐色のペースト(50mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 1.43(s,9H),3.47(m,4H),3.73(m,4H),6.98(d,1H),7.40(m,1H),7.46(d,1H),8.03(d,1H),8.52(d,1H)。
LCMS Rt=2.02分。MS m/z 391[MH]+。
【0175】
調製例3
チアゾール−4−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0176】
【化22】
【0177】
チアゾール−4−カルボン酸(6.46g、50.0mmol)を、tert−ブチルアルコール(280mL)中でスラリー化した。トリエチルアミン(7.68mL、55.1mmol)及びジフェニルホスホン酸アジド(11.9mL、55.1mmol)を加え、そして反応混合物を還流で18時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣を酢酸エチル中に溶解した。有機物を水、5%クエン酸水溶液、水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び食塩水で連続して洗浄した。有機相を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(ISCOTMカラム、ヘキサンから酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製し、次いでヘキサン中の20%tert−ブチルメチルエーテルで摩砕した。固体を濾過によって収集し、そして真空中で乾燥して、表題化合物を、白色の固体(6.48g)として得た。
HNMR(CDCl):δ 1.46(s,9H),7.23(m,1H),8.89(d,1H)。
LCMS Rt=1.46分。MS m/z 201[MH]+。
【0178】
調製例4
[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル
【0179】
【化23】
【0180】
チアゾール−4−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(調製例3、503mg、2.51mmol)のテトラヒドロフラン(5.0mL)中の−78℃に冷却された溶液に、リチウムヘキサメチルジシラジド(テトラヒドロフラン中の1.0M、2.76mL、2.76mmol)を加えた。反応混合物を30分間周囲温度で撹拌し、次いで−78℃に冷却した。塩化5−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル(620.5mg、2.51mmol)のテトラヒドロフラン(5.0mL)中の溶液をゆっくりとシリンジを経由して加えた。添加が完了した後、反応混合物を徐々に周囲温度まで温まらせた。24時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。混合した有機抽出物を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で珪藻土上に濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0%から5%酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(733mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 1.40(s,9H),7.10(m,1H),7.52(m,1H),8.25(t,1H),8.80(m,1H)。
LCMS Rt=1.70分。MS m/z 311[M(−Boc)H]
【0181】
調製例5
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン
【0182】
【化24】
【0183】
2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(3.05g、30.2mmol)及び2,4−ジメトキシ−ベンズアルデヒド(4.55g、27.4mmol)のジクロロメタン(125mL)中の溶液に、クロロトリイソプロポキシチタン(16mL、67mmol)を分割して5分かけて加えた。1時間撹拌した後、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(11.72g、55.3mmol)を分割して加え、そして24時間撹拌した。反応を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、水酸化ナトリウム(6Nの水溶液)でpH9に調節し、そしてジクロロメタンで抽出した。混合した有機抽出物を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0%から10%メタノールへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(590mg)として得た。
HNMR(CDCl):δ 3.86(s,3H),3.90(s,3H),4.49(m,2H),6.08(brs,1H),6.47(m,2H),7.27(m,1H),8.39(s,1H)。
LCMS Rt=1.36分。MS m/z 252[MNa]+。
【0184】
調製例6
5−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,4−ジフルオロ−N−(1,3,4−チジアゾール−2−イル)ベンゼンスルホンアミド
【0185】
【化25】
【0186】
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(調製例5、899mg、3.58mmol)のテトラヒドロフラン(6.0mL)中の−78℃に冷却された溶液に、リチウムヘキサメチルジシラジド(テトラヒドロフラン中の1.0M、4.3mL)を滴下により加えた。反応混合物を35分間周囲温度で撹拌し、次いで再び−78℃に冷却してから、塩化5−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル(850mg、3.4mmol)を滴下により加えた。反応混合物を−78℃で1時間、次いで周囲温度で4時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液中に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。混合した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%から10%酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(1.16g、73%)として得た。
HNMR(CDCl):δ 3.71(s,3H),3.78(s,3H),5.35(m,2H),6.26(m,1H),6.38(m,1H),6.99(m,1H),7.27(m,1H),7.83(m,1H),8.87(m,1H)。
LCMS Rt=1.76分。MS m/z 484[MNa]+。
【0187】
調製例7
3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノール
【0188】
【化26】
【0189】
OXONE(登録商標)(1.50g、2.45mmol)の水(7.8mL)中の溶液を、2−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(710mg、2.4mmol)のアセトン(7.8mL)中の溶液に概略4分かけて滴下により加えた。OXONE(登録商標)の添加中に沈殿物が形成した。反応混合物を15分間激しく撹拌し、次いでメタ重亜硫酸ナトリウムの10重量/容量%水溶液(20mL)でクエンチした。水層をジクロロメタン(×3)で抽出し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、明るい黄色の油状物として得て、これを、精製無しに次の工程で使用した。
LCMS Rt=1.65分。MS m/z 179[MH]−。
【0190】
調製例8
5−フルオロ−2−ヨード−4−(トリフルオロメチル)フェノール
【0191】
【化27】
【0192】
ヨウ素(0.874g、3.44mmol)のクロロホルム(17.1mL)中の溶液を、3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェノール(調製例7、620mg、3.4mmol)及びトリフルオロ酢酸銀(0.760g、3.44mmol)のクロロホルム(3.4mL)中の混合物に、1.5時間かけて滴下様式で加えた。添加の完了時に、反応混合物を1時間撹拌した。次いで反応混合物を珪藻土を通して濾過し、そして濾液を10重量/容量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液、半飽和の重炭酸ナトリウム水溶液、水及び食塩水で連続して洗浄した。有機相を無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして珪藻土上に濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の100%ヘキサンから50%ジクロロメタンへの勾配溶出)によって精製し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、明るい黄色の油状物(579mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 6.85(d,1H),7.97(d,1H),11.81(s,1H)。
LCMS Rt=1.79分。MS m/z 305[MH]−。
【0193】
調製例9
5−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノール
【0194】
【化28】
【0195】
フッ化セシウム(570mg、3.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(220mg、0.19mmol)、及びヨウ化銅(I)(72mg、0.38mmol)を、5−フルオロ−2−ヨード−4−(トリフルオロメチル)フェノール(調製例8、579mg、1.89mmol)及び4−(トリブチルスタンニル)ピリダジン(770mg、2.1mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中の溶液に加えた。反応混合物を45℃のアルゴンの雰囲気下で加熱した。1.5時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、酢酸エチル及び水で希釈し、そして珪藻土を通して濾過した。層を分離し、そして有機層を水、塩化リチウム水溶液、及び食塩水で洗浄した。有機層を無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン中に取込み、珪藻土上に濃縮し、そして自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ジクロロメタンからジクロロメタン中の10%メタノールの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、黄褐色の固体(305mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 6.99(d,1H),7.87(d,1H),7.93(m,1H),9.26(m,1H),9.49(m,1H),11.74(s,1H)。
LCMS Rt=1.57分。MS m/z 259[MH]+。
【0196】
調製例10
4−フルオロ−2−ヨード−5−(トリフルオロメチル)フェノール
【0197】
【化29】
【0198】
濃硫酸(0.78mL、15.0mmol)を、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェノール(8.00g、44.4mmol)及びN−ヨードスクシンイミド(5.00g、22.2mmol)の酢酸(40mL)中の0℃の混合物に加えた。1時間後、氷浴を外し、そしてN−ヨードスクシンイミドの更なる部分(1.50g、6.67mmol)を加えた。周囲温度で更に1時間後、N−ヨードスクシンイミドの最後の部分(1.0g、4.4mmol)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで水(300mL)で希釈し、チオ硫酸ナトリウムの20重量%水溶液で処理し、そしてエーテル(3×100mL)で抽出した。混合した有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液で、次いで食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサンからヘキサン中の50%ジクロロメタンの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、黄色の油状物(8.1g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.12(d,1H),7.92(d,1H)。
LCMS Rt=1.70分。MS m/z 305[MH]−。
【0199】
調製例11
4−フルオロ−2−ピリダジン−4−イル−5−(トリフルオロメチル)フェノール
【0200】
【化30】
【0201】
フッ化セシウム(790mg、5.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(300mg、0.26mmol)、及びヨウ化銅(I)(100mg、0.52mmol)を、4−フルオロ−2−ヨード−5−(トリフルオロメチル)フェノール(調製例10、800mg、2.6mmol)及び4−(トリブチルスタンニル)ピリダジン(1.1g、2.9mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)中の溶液に加えた。反応混合物を45℃のアルゴンの雰囲気下で加熱した。1時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、酢酸エチル及び水で希釈し、そして珪藻土を通して濾過した。固体を更なる酢酸エチルで洗浄した。層を分離し、そして有機層を水、塩化リチウム水溶液、及び食塩水で洗浄し、次いで無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン中に取込み、珪藻土上に濃縮し、そして自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ジクロロメタンからジクロロメタン中の10%メタノールの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、オレンジ色の固体(598mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.28(d,1H),7.77(d,1H),7.98(m,1H),9.33(brs,1H),9.53(brs,1H。
LCMS Rt=1.49分。MS m/z 259[MH]+。
【0202】
調製例12
5−クロロ−2,4−ジフルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド
【0203】
【化31】
【0204】
塩化5−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル(1.99g、8.05mmol)のジクロロメタン(15mL)中の懸濁液を、5−フルオロ−ピリミジン−2−イルアミン(1.00g、8.84mmol)のピリジン(15mL)中の0℃の溶液に分割して加えた。次いで反応混合物を周囲温度まで徐々に温まらせ、そして16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして1Nの塩酸水溶液と分割した。層を分離し、そして水層をジクロロメタンで抽出した。混合した有機層を水で洗浄し、酢酸エチルで希釈し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%クロロホルムからクロロホルム中の10%メタノールの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、明るい黄色の固体(0.32g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.85(m,1H),8.17(m,1H),8.67(s,2H)。
LCMS Rt=1.53分。MS m/z 324[MH]+。
【0205】
調製例13
2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノール
【0206】
【化32】
【0207】
2−アミノ−4−クロロピリジン(13g、101mmol)、(5−クロロ−2−ヒドロキシ)ベンゼンボロン酸(20.9g、121mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(11.7g、10.1mmol)及び炭酸ナトリウム(42.9g、404mmol)の水(120mL)及び1,4−ジオキサン(360mL)中の懸濁液を、90℃の窒素下で24時間加熱した。反応混合物を冷却し、真空中で濃縮し、そして残渣を酢酸エチル(500mL)中に抽出してから、濾過した。濾液を2Nの塩酸水溶液(500mL)及び水(700mL)で洗浄した。混合した水層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(1500mL)で塩基性化してから、酢酸エチル(2×800mL)で抽出した。有機層を無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の2%から12%へのメタノールの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、黄色の固体(11.13g)として得た。
HNMR(400MHz,d−DMSO):δ 5.80(brs,2H),6.60(m,2H),6.95(m,1H),7.20(m,1H),7.90(m,1H),9.95(m,1H)。
LCMS Rt=1.58分。MS m/z 221[MH]+。
【0208】
調製例14
5−クロロ−N−(エトキシメチル)−2,4−ジフルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド
【0209】
【化33】
【0210】
5−クロロ−2,4−ジフルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(調製例12、0.28g、0.86mmol)のジクロロメタン(7mL)中の0℃の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.23mL、1.32mmol)及びクロロメチルエチルエーテル(0.088mL、0.95mmol)を加えた。反応混合物を20時間撹拌し、溶液を周囲温度まで徐々に温まらせた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液、水、及び食塩水で洗浄し、そして次いで無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサンから酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(173mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 1.15(t,3H),3.63(q,2H),5.62(s,2H),7.89(t,1H),8.25(t,1H),8.78(s,2H)。
LCMS Rt=1.68分。MS m/z 382[MH]+。
【0211】
調製例15
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノキシ]−5−クロロ−N−(エトキシメチル)−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド
【0212】
【化34】
【0213】
5−クロロ−N−(エトキシメチル)−2,4−ジフルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(調製例14、75mg、0.20mmol)のジメチルスルホキシド(1mL)中の溶液に、2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−クロロフェノール(調製例13、43.3mg、0.20mmol)及び炭酸カリウム(40.7mg、0.30mmol)を加えた。反応混合物を50℃で19時間撹拌し、次いで酢酸エチル(30mL)で希釈し、そして1Nの水酸化ナトリウムの水溶液、水及び食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル中の50%ヘキサンから100%酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(68mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 1.13(t,3H),3.60(q,2H),5.57(s,2H),6.00(s,2H),6.53(m,2H),6.96(d,1H),7.34(d,1H),7.59(m,2H),7.82(d,1H),8.09(d,1H),8.74(s,2H)。
LCMS Rt=1.57分。MS m/z 582[MH]+。
【0214】
調製例16
4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン−2−アミン
【0215】
【化35】
【0216】
アルゴンを、2−メトキシ−5−フルオロメチルフェニルボロン酸(2.3g、10mmol)、2−アミノ−4−ブロモピリジン(2.0g、12mmol)、及び炭酸ナトリウム(4.4g、42mmol)の1,4−ジオキサン(30mL)及び水(9mL)中の懸濁液を通して15分間泡立て、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.2g、1.0mmol)を加えた。得られた混合物を85℃で18時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、次いで酢酸エチル及び水で希釈した。相を分離し、そして水相を酢酸エチルで、次いでクロロホルムで抽出した。混合した有機抽出物を無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中の0%から10%へのメタノールの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、黄色の油状物(3.22g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 3.86(s,3H),5.95(s,2H),6.56(s,1H),6.62(m,1H),7.31(d,1H),7.54(s,1H),7.75(m,1H),7.93(d,1H)。
LCMS Rt=1.16分。MS m/z 269[MH]+。
【0217】
調製例17
2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノール
【0218】
【化36】
【0219】
ジクロロメタン(5mL)中の0℃の4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン−2−アミン(調製例16、2.8g、0.01mmol)に、三臭化ホウ素のジクロロメタン中の1.0Mの溶液(31.3mL、31.3mmol)を滴下により加えた。20時間周囲温度で撹拌した後、反応混合物を水及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液で塩基性になるまでクエンチした。水相をクロロホルム中の15%イソプロピルアルコール(×3)で抽出した。混合した有機相を無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中の0%から10%メタノールへの勾配溶出)によって精製し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、黄色の固体(1.33g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 5.90(s,2H),6.64(s,1H),6.67(d,1H),7.10(d,1H),7.51(s,1H),7.56(d,1H),7.92(d,1H),10.62(s,1H)。
LCMS Rt=1.14分。MS m/z 255[MH]+。
【0220】
調製例18
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン
【0221】
【化37】
【0222】
2−クロロ−5−フルオロピリミジン(4.05g、30.6mmol)、2,4−ジメトキシベンジルアミン(5.0mL、31mmol)及びトリエチルアミン(3.72g、36.7mmol)を、エタノール(200mL)中で撹拌し、そして50℃で48時間加熱した。冷却した反応混合物を水中に注ぎ、そしてエチルエーテル(×2)で抽出した。混合した有機相を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサンから酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製し、次いでエチルエーテル:ヘキサンで摩砕した。固体を濾過によって収集し、そして真空中で乾燥して、表題化合物を、白色の固体(4.16g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 3.72(s,3H),3.78(s,3H),4.34(d,2H),6.43(dd,1H),6.53(d,1H),7.04(d,1H),7.46(t,1H),8.33(d,1H)。
LCMS Rt=1.56分。MS m/z 264[MH]+。
【0223】
調製例19
5−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,4−ジフルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド
【0224】
【化38】
【0225】
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン(調製例18、4.00g、15.2mmol)を、テトラヒドロフラン(40mL)中に溶解し、そして−78℃に冷却した。リチウムヘキサメチルジシラジドのテトラヒドロフラン中の1.0Mの溶液(17mL、17mmol)を溶液に滴下により加え、そして溶液を30分間−78℃で撹拌した。塩化5−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル(3.42g、13.8mmol)のテトラヒドロフラン中の溶液を、反応混合物に滴下により加え、そしてこれを−78℃で1時間撹拌し、次いで周囲温度まで徐々に温まらせた。反応混合物を16時間撹拌し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチした。水相を酢酸エチル(×2)で抽出した。混合した有機相を食塩水で洗浄し、無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を珪藻土上に吸着させ、そしてシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサンからジクロロメタンへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(1.73g)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 3.73(m,6H),5.24(s,2H),6.47(dd,1H),6.57(d,1H),7.01(d,1H),7.85(t,1H),8.07(t,1H),8.71(s,2H)。
LCMS Rt=1.78分。MS m/z 496[MNa]+。
【0226】
調製例20
4−[2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−5−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−2−フルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド
【0227】
【化39】
【0228】
2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノール(調製例17、0.93g、3.6mmol)を、ジメチルスルホキシド(40mL)中に取込み、そして炭酸カリウム(0.95g、6.9mmol)を、続いて5−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,4−ジフルオロ−N−(5−フルオロピリミジン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(調製例19、1.73g、3.64mmol)を加えた。反応混合物を18時間撹拌し、次いで水(120mL)で希釈し、そして固体を濾過によって収集した。濾液をエチルエーテルで抽出した。固体をジクロロメタン中に溶解し、そしてエーテル抽出物と混合した。混合した有機溶液を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭で処理し、そして珪藻土のパッドを通して濾過した。溶媒を真空中で濃縮して、濃厚な油状物を得た。油状物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0から5%へのメタノールの勾配溶出)によって精製し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、ガラス状物(2.24g)として得た。
LCMS Rt=1.64分。MS m/z 708[MH]+。
【0229】
調製例21
2−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−フルオロフェノール
【0230】
【化40】
【0231】
(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)ボロン酸(55.0mg、0.35mmol)、4−ブロモピリジン−2−アミン(67.1mg、0.39mmol)及び炭酸ナトリウム(0.15g、1.4mmol)の1,4−ジオキサン(0.9mL)及び水(0.3mL)中の懸濁液を通して、アルゴンを5分間泡立て、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(41mg、0.04mmol)を加えた。得られた混合物を85℃で22時間加熱し、次いで周囲温度に冷却し、そして酢酸エチル及び水で希釈した。層を分離し、そして水層を酢酸エチルで抽出した。混合した有機抽出物を無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%から100%への酢酸エチルの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、明るい黄褐色の固体(62mg)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 5.92(brs,2H),6.69(m,2H),6.89−7.18(m,3H),7.94(d,1H),9.76(s,1H)。
LCMS Rt=0.31分。MS m/z 205[MH]+。
【0232】
調製例22
4−ブロモ−3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール又は4−ブロモ−5−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール
【0233】
【化41】
【0234】
一番目のバッチ
4−ブロモ−3−ニトロ−1H−ピラゾール(54.31g、282.9mmol)及びトリフルオロ酢酸(1.05mL、13.6mmol)のトルエン(450mL、4200mmol)中の懸濁液を、80℃で加熱した。ジヒドロピラン(28.5mL、312mmol)を発熱が起こるか否かを見ながら10分かけてゆっくりと加えた。ジヒドロピランの添加中温度上昇は注目されなかった。温度を還流の直下まで増加した。固体はゆっくりと溶解した。23時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、そして真空中で濃縮した。残渣を水、硫酸水素カリウムの1N水溶液、重炭酸ナトリウムの1N水溶液、及び食塩水で連続して洗浄した。有機層を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、褐色の油状物を得た。残渣を塩化メチレン中に溶解し、ヘキサンで希釈し、そして真空中で濃縮して、褐色の固体を得た。固体を熱酢酸エチル中に溶解し、そして冷凍庫で−10℃に冷却した。18時間後、得られた固体を濾過によって収集して、表題化合物を、結晶質の固体(45.74g)として得た。
【0235】
二番目のバッチ
機械式撹拌機、温度プローブ、及び滴下漏斗を備えた5Lの三口フラスコに、4−ブロモ−3−ニトロ−1H−ピラゾール(136g、708mmol)、トルエン(1.1L)、及びトリフルオロ酢酸(2.63mL、34.1mmol)を入れた。反応混合物を80℃に加熱した。ジヒドロピラン(71.4mL、783mmol)を滴下漏斗から30分かけて加えた。反応混合物はジヒドロピランの添加の過程に伴って更に均質になった。滴下漏斗を凝縮器と取り換え、そして反応混合物を110℃に加熱した。21時間後、反応混合物を冷却し、そして褐色の固体まで真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(1.5L)中に取込み、そして水(200mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL)、及び食塩水(2×200mL)で連続して洗浄した。有機層を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で最初の体積の半分まで濃縮した。溶液を活性炭で処理し、珪藻土を通して濾過し、そして真空中で浴温度を40℃に設定して、半分の体積まで濃縮した。溶液を1Lのエルレンマイヤーフラスコに移し、一番目のバッチからの結晶で播種し、そして冷凍庫中で冷却した。45時間後、結晶を濾過によって収集し、冷酢酸エチルで慎重に洗浄し、そして真空中で乾燥して、表題化合物を、明るい黄褐色の粉末(73.03g)として得た。
【0236】
濾液を約100mLに濃縮し、500mLのエルレンマイヤーフラスコに移し、一番目のバッチからの結晶で播種し、そして冷凍庫中で冷却した。3日後、結晶を濾過によって収集し、酢酸エチルで、次いでヘキサンで慎重に洗浄し、そして真空中で乾燥して、表題化合物の第2の収穫を、明るい黄褐色の粉末(67.4g)として得た。
【0237】
HNMR分析に示すように、一つのみの位置異性体生成物が得られたが、しかし位置異性体は、決定されなかった。
HNMR(d−DMSO):δ 1.56(m,2H),1.68(m,1H),1.99(m,3H),3.67(m,1H),3.92(m,1H),5.56(m,1H),8.55(s,1H)。
LCMS Rt=1.51分。
【0238】
調製例23
[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ボロン酸
【0239】
【化42】
【0240】
2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(23.0g、97.5mmol)のジクロロメタン(140mL)中の懸濁液を、0℃に冷却し、そして三臭化ホウ素(9.4mL、10mmol)を30分かけて滴下により加えた。3時間撹拌した後、更なる三臭化ホウ素(2mL)を加えた。反応混合物を氷水中に注ぎ、そして20分間撹拌した。ジクロロメタンを真空中で除去し、そして白色の固体を濾過によって収集し、そして水で洗浄してから、真空中で乾燥して、表題化合物(20.8g)を得た。
HNMR(d−メタノール):δ 6.78(d,1H),7.11(d,1H),7.40(brs,1H)。
LCMS Rt=1.67分。MS m/z 221[M−H]−。
【0241】
調製例24
2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール
【0242】
【化43】
【0243】
2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(調製例23、20.5g、92.4mmol)及び4−ブロモ−3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール又は4−ブロモ−5−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール(調製例22、22.7g、82.2mmol)の1,2−ジメトキシエタン(300mL)及び水中の2Mの炭酸カリウム(117mL、212mmol)中の溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.0g、4.3mmol)を加えた。溶液をアルゴン(×3)で置換し、そして80℃で8時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、そして層を分離した。水相を酢酸エチル(×2)で洗浄した。混合した有機相を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0から30%への酢酸エチルの勾配溶出)によって精製し、そして真空中で濃縮した。過剰のヘキサンを残渣に加え、そして得られた固体を濾過によって収集し、そして真空中で乾燥して、表題化合物を、白色の結晶(19.5g)として得た。
H NMR(300MHz,d−DMSO):δ 1.46−1.78(m,3H),1.87−2.20(m,3H),3.69(m,1H),3.97(d,1H),5.56(d,1H),6.93(d,1H),7.22(d,1H),7.31(s,1H),8.33(s,1H),10.19(brs,1H)。
LCMS Rt=1.77分。MS m/z 372[M−H]−。
【0244】
調製例25
[(5−クロロ−2−フルオロ−4−{2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ}フェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル
【0245】
【化44】
【0246】
2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール(調製例24、2.00g、5.36mmol)及び[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例4、2.20g、5.36mmol)のジメチルスルホキシド(30mL)中の溶液に、炭酸カリウム(1.5g、11mmol)を加えた。反応混合物を18時間周囲温度で撹拌した。次いで反応混合物を水で希釈し、そして酢酸エチル(×3)で抽出した。混合した有機相を水(×2)で洗浄し、次いで無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をエーテルで摩砕し、そして固体を濾過によって収集し、そして真空中で乾燥して、5%の脱boc不純物を伴う表題化合物(3.70g)を得た。この化合物を更なる精製無しに次の工程で使用した。
LCMS Rt=1.68分。MS m/z 764[MH]+。
【0247】
調製例26
3−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−フルオロ−N−1,3,4−チアジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド
【0248】
【化45】
【0249】
表題化合物を、塩化3−クロロ−4−フルオロベンゼン−1−スルホニル(0.91g)を使用して、調製例6、方法1において使用した方法によって調製して、表題化合物を、白色の固体(1.3g)として得た。
LCMS Rt=1.70分。MS m/z 466[MNa]+。
【0250】
調製例27
4−フルオロ−2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]フェノール
【0251】
【化46】
【0252】
(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)ボロン酸(225mg、1.44mmol)及び4−ブロモ−3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール又は4−ブロモ−5−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール(調製例22、498mg、1.80mmol)の1,2−ジメトキシエタン(4.5mL)及び水中の炭酸カリウムの2M溶液(2.0mL)中の混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(86.71mg、0.08mmol)を加えた。混合物をアルゴン(×3)で置換し、そして80℃で4時間加熱した。更なる5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)ボロン酸(56mg)を加え、そして反応混合物を加熱しながら更に18時間撹拌した。反応混合物を周囲温度に冷却し、酢酸エチルで希釈し、そして珪藻土を通して濾過した。層を分離し、そして有機層を水及び食塩水で洗浄し、無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、次いで真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサンからヘキサン中の50%酢酸エチルへの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を明るい黄色の固体(275mg、62%)として得た。
LCMS Rt=1.50分。MS m/z 306[M−H]−。
【0253】
調製例28
[(5−クロロ−2−フルオロ−4−{4−フルオロ−2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]フェノキシ}フェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル
【0254】
【化47】
【0255】
4−フルオロ−2−[3−ニトロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]フェノール(調製例27、50.5mg、0.16mmol)及び炭酸カリウム(45.4mg、0.33mmol)のジメチルスルホキシド(1.0mL)中の混合物を、10分間周囲温度で撹拌した。[(5−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例4、67.5mg、0.16mmol)を加え、そして反応混合物を周囲温度で撹拌した。24時間後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水及び食塩水で洗浄し、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残渣を自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の10%から100%への酢酸エチルの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(85mg、76%)として得た。
LCMS Rt=2.02分。MS m/z 720[MNa]+。
【0256】
調製例29
2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール
【0257】
【化48】
【0258】
N−ヨードスクシンイミド(6.95g、31mmol)の氷酢酸(2ml)中の懸濁液に、4−トリフルオロメトキシフェノール(4.0ml、31mmol)を、そして5分後、濃硫酸(0.5ml、9mmol)を加えた。淡褐色の懸濁液を周囲温度の窒素下で48時間撹拌してから、水で希釈し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を水、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液及び水で洗浄し、無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、そして脱色用木炭を加えた。得られた懸濁液を30分間静置したままにしてから、シリカゲルの短いパッドを通して濾過し、ジクロロメタンで溶出した。溶媒を真空中で濃縮して、表題化合物を、油状物(1.18g、12%)として得た。
HNMR(CDCl):δ 5.49(brs,1H),6.99(d,1H),7.15(dd,1H),7.55(d,1H)。
LCMS Rt=1.51分。MS m/z 303[MH]−。
【0259】
調製例30
2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール
【0260】
【化49】
【0261】
2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール(調製例29、3.30g、9.99mmol)及び4−(トリブチルスタンニル)ピリダジン(4.06g、11.0mmol)を、ジメチルホルムアミド(40mL)中に取込んだ。フッ化セシウム(3.03g、20.0mmol)を、続いてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.2g、1.0mmol)及びヨウ化銅(I)(380mg、2.0mmol)を加えた。反応混合物を排気し、そしてアルゴン(×5)で置換し、次いで45で加熱した。2時間後、反応混合物を冷却し、そして酢酸エチル及び水で希釈した。混合物を珪藻土のパッドを通して濾過し、そして酢酸エチルで洗浄した。水相を分離し、そして酢酸エチルで逆抽出した。混合した有機相を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0%から10%へのメタノールの勾配溶出)によって精製し、次いでエチルエーテルで摩砕した。固体を濾過によって収集し、そして真空中で乾燥して、表題化合物を、黄色の固体(1.18g、46%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.09(d,1H),7.34(m,1H),7.56(d,1H),7.92(dd,1H),9.26(dd,1H),9.49(dd,1H),10.64(s,1H)。
LCMS Rt=1.62分。MS m/z 257[MH]+。
【0262】
調製例31
3−ヒドラジノアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0263】
【化50】
【0264】
3−ヨードアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル(142g、0.50mol)及びヒドラジン水和物(245.2g、5.02mol)を、エタノール(284mL)中で混合し、そして反応混合物を85℃で48時間窒素下で加熱した。反応混合物を冷却し、そしてエタノールを真空中で除去した。残渣を水(200mL)及びジクロロメタン(300mL)間に分配し、水層をジクロロメタン(2×200mL)で再抽出し、混合した有機物を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、無色の油状物(88.37g)として得た。この化合物を更なる精製無しに次の工程で直ちに使用した。
HNMR(CDCl):δ 1.44(s,9H),3.05(brs,3H),3.65−3.76(m,3H),4.00−4.07(m,2H)。
【0265】
調製例32
1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エタノン
【0266】
【化51】
【0267】
1−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エタノン(35g、0.16mol)の乾燥ジクロロメタン(400mL)中の0℃の撹拌された溶液に、固体のヨウ化テトラブチルアンモニウム(2.96g、0.008mol)を、続いて三臭化ホウ素(33.96mL、0.35mol)を滴下により加えた。添加後、反応混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そして氷でクエンチした。混合物をジエチルエーテル(1L)で抽出した。有機層を水(2L)で、そして次いで飽和塩化ナトリウム水溶液(1L)で洗浄した。真空中の周囲温度における有機層の濃縮後、粗製の生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の2%ジエチルエーテルで溶出)によって精製して、表題化合物を、無色の油状物(11.5g、35%)として得た。
HNMR(CDCl):δ 2.68(s,3H),7.07(d,1H),7.69(d,1H),7.98(s,1H),12.53(s,1H)。
GCMS Rt=5.59分。MS m/z 203[M−H]。
【0268】
調製例33
(2E)−3−(ジメチルアミノ)−1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エン−1−オン
【0269】
【化52】
【0270】
1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]エタノン(調製例32、7.0g、0.034mol)を、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(18.2mL、0.14mol)中に周囲温度で取込み、そして次いで110℃で30分間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして粗製の生成物を2−プロパノールから結晶化して、表題化合物を、鮮やかな黄色の固体(6.4g、73%)として得た。
HNMR(CDCl):δ 3.02(s,3H)3.22(s,3H),5.72(d,1H),6.99(d,1H),7.55(d 1H),7.89−7.94(m,2H),14.45(s,1H)。
LCMS Rt=1.61分。MS m/z 260[MH]+。
【0271】
調製例34
3−[5−(5−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0272】
【化53】
【0273】
粗製の3−ヒドラジノアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル(調製例31、5.7g、0.03mol)のエタノール(66mL)中の0℃の撹拌された溶液に、酢酸(6.6mL)を滴下により加えた。次いで、(2E)−3−(ジメチルアミノ)−1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エン−1−オン(調製例33、6.4g、24.7mmol)を分割して加え、そして周囲温度で20時間撹拌させた。反応混合物を真空中で濃縮し、そして重炭酸ナトリウム水溶液で中和した。混合物を酢酸エチル(150mL)で抽出した。混合した有機層を水(100mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、そして無水の硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層の真空中の濃縮後、粗製の生成物をヘキサン中の20容量/容量%の酢酸エチルで洗浄して、表題化合物を、白色の固体(7.4g、64%)として得た。
HNMR(CDCl):δ 1.45(s,9H),4.27−4.37(m,3H),4.70(brs,1H),4.79−4.83(m,1H),6.25(s,1H),7.16(d,1H),7.46(s,1H),7.55(d,1H),7.66(s,1H),9.64(s,1H)。
HPLC純度:99.84%
LCMS Rt=3.52分。MS m/z 384[MH]
【0274】
調製例35
3−{5−[5−トリフルオロメチル−2−(2−クロロ−4−{[(2,4−ジメトキシベンジル)(1,3,4−チアジアゾール−5−イル)アミノ]スルホニル}−5−フルオロフェノキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−1−イル}アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0275】
【化54】
【0276】
3−[5−(5−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル(調製例34、400mg、1.04mmol)及び炭酸カリウム(450mg、3.26mmol)を、ジメチルスルホキシド(5mL)中で混合した。このスラリーに、5−クロロ−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,4−ジフルオロ−N−1,3,4−チジアゾール−2−イルベンゼンスルホンアミド(調製例6、482mg、1.04mmol)を加え、そして周囲温度で3時間撹拌した。tert−ブチルメチルエーテル(30mL)及び水(30mL)を加え、そして層を分離した。有機層を水(2×30mL)で洗浄し、次いで無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、泡状物を得た。泡状物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の20%から40%への勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、無色の泡状物(600mg、70%)として得た。
HNMR(CDCl):δ 1.45(s,9H),3.68(s,3H),3.76(s,3H),4.28(m,2H),4.44(m,2H),4.91(m,1H),5.32(s,2H),6.22(s,1H),6.30(s,1H),6.34(m,1H),6.40(m,1H),7.08(d,1H),7.26(m,1H),7.66(m,2H),7.79(m,2H),8.84(s,1H)。
LCMS Rt=1.90分。MS m/z 847[M35ClNa]+。
【0277】
調製例36
塩化4−フルオロ−5−ヨードベンゼンスルホニル
【0278】
【化55】
【0279】
2−フルオロヨードベンゼン(0.58mL、5.0mmol)を、0℃のクロロスルホン酸(1.66mL、25mmol)に、滴下により加えた。反応混合物を周囲温度まで温まらせ、そして2時間撹拌した。反応混合物を氷中に注ぎ、そして混合物をジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。混合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮して、粗製の残渣を得た。粗製の残渣をヘプタン(100mL)中に溶解し、そして懸濁物を濾過した。濾液を真空中で濃縮して、表題化合物を得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.17−7.23(m,1H),7.58−7.64(m,1H),7.97(dd,1H)。
【0280】
調製例37
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−フルオロ−5−ヨード−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド
【0281】
【化56】
【0282】
表題化合物を、(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル−アミン/N−(2,4−ジメトキシベンジル)−1,2,4−チアジアゾール−5−アミン及び塩化4−フルオロ−5−ヨードベンゼンスルホニル(調製例36)を使用して、調製例6によって調製した。
HNMR(d−DMSO):δ 3.60(s,3H),3.65(s,3H),5.20(s,2H),6.40(m,2H),7.00(m,1H),7.40(m,1H),7.90(m,1H),8.00(m,1H),8.40(s,1H)。
LCMS Rt=1.82分。MS m/z 558[MNa]+。
【0283】
調製例38
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−ヨード−4−[2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド
【0284】
【化57】
【0285】
表題化合物を、2−ピリダジン−4−イル−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール(調製例30)及びN−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−フルオロ−5−ヨード−N−1,2,4−チアジアゾール−5−イルベンゼンスルホンアミド(調製例37)を使用して、調製例35によって60℃で4日かけて調製して、生成物(420mg、43%)を得た。
HNMR(d−DMSO):δ 3.60(s,3H),3.65(s,3H),5.2(s,2H),6.4(m,2H),6.95(m,1H),7.15(m,2H),7.80(m,1H),7.85(m,1H),7.90(m,1H),8.00(m,1H),8.10(m,1H),8.40(s,1H),9.3(m,1H),9.55(m,1H)。
LCMS Rt=3.61分。MS m/z 756[MH]+。
【0286】
調製例39
3−シアノ−4−フルオロ−N−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミド
【0287】
【化58】
【0288】
水酸化ナトリウム(5.08g、130mmol)を、水(60mL)及び1,4−ジオキサン(300mL)中に溶解した。1,2,4−チアジアゾール−5−アミン(10g、100mmol)を加え、そして反応混合物を5分間撹拌した。塩化3−シアノ−4−フルオロベンゼン−1−スルホニル(8.25g、38mmol)を加え、そして反応混合物を3時間20℃で撹拌させた。この時間後、反応混合物を1Nの塩酸の水溶液(150mL)中に注いだ。この溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。混合した有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、褐色の固体(13g、69%)として得た。
HNMR(d−DMSO):δ 7.71(m,1H),8.19(m,1H),8.39(dd,1H),8.54(s,1H)。
LCMS Rt=1.22分。MS m/z 283[MH]−。
【0289】
調製例40
5−ヒドロキシ−4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−メチルフラン−2(5H)−オン
【0290】
【化59】
【0291】
5−(トリフルオロメチル)−2−メトキシフェニルアセトン(2800mg、12mmol)を、グリオキシル酸(2.7mL、18mmol)と混合し、そして100℃で16時間撹拌した。次いで反応混合物を真空中で濃縮し、そしてトルエンと共沸して、表題化合物(3.5g)を得た。
LCMS Rt=3.20分。MS m/z 287[MH]−。
【0292】
調製例41
5−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−6−メチルピリダジン−3(2H)−オン
【0293】
【化60】
【0294】
5−ヒドロキシ−4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−メチルフラン−2(5H)−オン(調製例40、3g、10mmol)を、エタノール中に溶解し、そして0℃に冷却した。ヒドラジン一水和物(1.0mL、20mmol)をこの溶液に滴下により加え、次いで反応混合物を90℃で16時間加熱した。次いで反応混合物を真空中で濃縮し、トルエンと共沸し、そして粗製の物質をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ISCOTMCompanion、ヘプタン中の50%酢酸エチルで溶出)によって精製して、表題化合物を、オフホワイト色の固体(1.05g)として得た。
HNMR(CDCl):δ 2.07(s,3H),3.86(s,3H),6.76(s,1H)7.05(d,1H)7.38(s,1H)7.69(d,1H),10.82(s,1H)。
【0295】
調製例42
6−クロロ−4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−メチルピリダジン
【0296】
【化61】
【0297】
5−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−6−メチルピリダジン−3(2H)−オン(調製例41、1.1g、39mmol)及びオキシ塩化リン(20mL)を、100℃で3時間加熱した。次いで反応混合物を0℃に冷却し、そして氷上に注いでから、重炭酸ナトリウムで中和した。混合物をジクロロメタン(3×100mL)で抽出し、そして混合した有機層を水(50mL)で、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。粗製の物質をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の20%酢酸エチルで溶出)によって精製して、表題化合物をオフホワイト色の固体(900mg)として得た。
HNMR(CDCl):δ 2.49(s,3H),3.85(s,3H),7.08(d,1H)7.30(s,1H)7.38(s,1H)7.72(d,1H)。
LCMS Rt=3.45分。MS m/z 303[MH]+。
【0298】
調製例43
4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−メチルピリダジン
【0299】
【化62】
【0300】
6−クロロ−4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−メチルピリダジン(調製例42、800mg、2.6mmol)を、メタノール(32mL)中に溶解し、溶液をアルゴンで15分間脱ガスし、次いで木炭上のパラジウム(160mg)を加え、そして水素ガスの風船下に4時間置いた。反応混合物を珪藻土を通して濾過し、メタノール(20mL)で洗浄し、そして混合した濾液を真空中で濃縮して、表題化合物を、固体(700mg)として得た。
HNMR(CDCl):δ 2.83(s,3H),3.89(s,3H),7.16(d,1H)7.49(s,1H)7.82(d,1H)7.93(s,1H)9.37(s,1H)。
【0301】
調製例44
2−(3−メチルピリダジン4−イル)−4−(トリフルオロメチル)フェノール
【0302】
【化63】
【0303】
4−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−メチルピリダジン(調製例43、650mg、2.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(18mL)中の溶液に、ナトリウムチオメトキシド(850mg、12mmol)を加え、そして反応混合物を70℃で4時間加熱した。次いで反応混合物を0℃に冷却し、氷水(50mL)中に注ぎ、そして酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。混合した有機物を水(5×100mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。粗製の物質をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の20%酢酸エチルで溶出)によって精製して、表題化合物を、黄色の固体(325mg)として得た。
HNMR(CDCl):δ 2.47(s,3H),7.08(d,1H)7.15(d,1H)7.52(d,1H)7.55(s,1H)9.12(d,1H)10.84(s,1H)。
LCMS Rt=2.99分。MS m/z 255[MH]+。
【0304】
調製例45
1,3−チアゾール−4−イル[(2,4,5−トリフルオロフェニル)スルホニル]カルバミン酸tert−ブチル
【0305】
【化64】
【0306】
1,3−チアゾール−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(調製例3、28.94g、145mmol)の無水のテトラヒドロフラン(600mL)中の−70℃の窒素の雰囲気下の溶液に、リチウム1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン−2−イド(テトラヒドロフラン中の1M、145mL、145mmol)を滴下により加えた。反応混合物を周囲温度まで温まらせ、そして1時間撹拌してから、再び−70℃に冷却した。塩化2,4,5−トリフルオロベンゼンスルホニル(40g、173mmol)のテトラヒドロフラン(80mL)中の溶液を滴下により加え、そして次いで反応混合物を周囲温度までゆっくりと温め、そして2時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄してから、真空中で濃縮した。粗製の残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%から15%への酢酸エチルの勾配溶出)によって精製して、表題化合物を、白色の固体(37g、64%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.35(s,9H),7.07−7.13(m,1H),7.52(s,1H),8.00−8.06(m,1H),8.78(s,1H)。
LCMS Rt=3.46分。MS m/z 395[MH]+。
【0307】
調製例46
(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル−アミン/N−(2,4−ジメトキシベンジル)−1,2,4−チアジアゾール−5−アミン
【0308】
【化65】
【0309】
5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール(1.00g、9.89mmol)及び2,4−ジメトキシベンズアルデヒド(1.81g、10.9mmol)のトルエン(30mL)中の混合物を、Dean−Stark条件下で2時間還流した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして得られた残渣をメタノール(25mL)中に取込んだ。水素化ホウ素ナトリウム(600mg、15.9mmol)を少量ずつ注意深く加え(それぞれの添加後激しく発泡)、そして反応物を一晩周囲温度で撹拌したままにした。塩酸の2Mの水溶液(1mL)を、続いて水酸化ナトリウムの2Mの水溶液(10mL)を加えた。混合物を真空中で濃縮し、水(20mL)を加え、そして混合物を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。混合した有機物を食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ISCOTMカラム、ヘプタン中の25%から60%への酢酸エチルの勾配溶出)によって精製して、半固体の残渣を得た。tert−ブチルメチルエーテル(2−3mL)を、続いてヘプタン(2−3mL)を加えた。得られた固体を濾過によって収集し、ヘプタンで洗浄し、そして乾燥して、表題化合物(1.22g)を得た。
HNMR(d−DMSO):δ 3.73(s,3H),3.78(s,3H),4.36(d,2H),6.47(dd,1H),6.56(d,1H),7.15(d,1H),7.88(s,1H),8.65(brs,1H)。
【0310】
Nav1.7(又はSCN9A)チャネルを遮断するリスト(I)の化合物の能力を、以下に記載するアッセイを使用して測定した。
細胞系構築及び維持
ヒト胎児腎臓(HEK)細胞を、標準的な技術を使用してリポフェクタミン試薬(Invitrogen)を使用してhSCN9A構築物で形質移入した。hSCN9A構築物を安定して発現している細胞を、G−418(400μg/ml)に対する耐性によって確認した。クローンを、ホールセル電位固定法を使用して発現のために選別した。
【0311】
細胞培養
hSCN9Aで安定して形質導入されたHEK細胞を、10%の熱不活化胎児ウシ血清及び400μg/mlのG−418で補充されたDMEM培地中で、10%COの加湿された雰囲気下の37℃のインキュベーター中で維持した。HTSのために、細胞を、トリプシン処理によってフラスコから回収し、そして集密が播種して24時間内に達成されるものであるように、適当な多重ウェルプレート(典型的には96又は384ウェル/プレート)中のプレートに再播種した。電気生理学的研究のために、細胞を、簡単なトリプシン処理によって培養フラスコから除去し、そしてカバーガラス上に低密度で再播種した。細胞を、典型的には播種してから24ないし72時間後に電気生理学的研究のために使用した。
【0312】
電気生理学的記録
hSCN9Aを発現しているHEK細胞を含有するカバーガラスを、倒立顕微鏡の試料台上の浴中に置き、そして次の組成:138mMのNaCl、2mMのCaCl、5.4mMのKCl、1mMのMgCl、10mMのグルコース及び10mMのNaOHを伴うpH7.4のHEPESの細胞外溶液で潅流(概略1ml/分)した。ピペットを次:135mMのCsF、5mMのCsCl、2mMのMgCl、10mMのEGTA、10mMのNaOHを伴うpH7.3のHEPESの組成の、そして1ないし2メガオームの抵抗を有する細胞内溶液で満たした。細胞外及び細胞内溶液のモル浸透圧濃度は、それぞれ300mOsm/kg及び295mOsm/kgであった。全ての記録は、室温(22−24℃)で、AXOPATCH 200B増幅器及びPCLAMPソフトウェア(Axon Instruments,Burlingame,CA)を使用して行った。
【0313】
HEK細胞中のhSCN9A電流は、パッチクランプ法のホールセル配置を使用して測定した(Hamill et al.,1981)。非補償の直列抵抗は、典型的には2ないし5メガオームであり、そして>85%の直列抵抗補償は日常的に達成された。結果として、電位誤差は無視可能であり、そして補正は適用しなかった。電流記録は20ないし50KHzで獲得し、そして5ないし10KHzでフィルターした。
【0314】
hSCN9Aで安定して形質移入されたHEK細胞を、Hoffmanコントラスト顕微鏡下で観察し、そして対照又は化合物を含有する細胞外溶液のいずれかを放射するフローパイプのアレイの前に置いた。全ての化合物をジメチルスルホキシド中に溶解して、10mMの原液を作り、次いでこれを、細胞外溶液中で希釈して、所望の最終濃度を得た。ジメチルスルホキシドの最終濃度(<0.3%ジメチルスルホキシド)は、hSCN9Aナトリウム電流に有意な影響を持たないことが見いだされた。不活性化の電位依存性を、負の保持電位からの一連の脱分極プレパルス(10mVの増分で8秒間)を適用することによって決定した。次いで電位を0mVに直ちに下げて、ナトリウム電流の大きさを評価した。0mVで誘発される電流を、プレパルス電位の関数としてプロットして、チャネルの50%が不活性化される電位(不活性化の中間点又はV1/2)の推定を可能にした。化合物を、8秒間の前処理プレパルスに続く0mVまでの20ミリ秒の電位段階でチャネルを活性化することによってhSCN9Aナトリウムチャネルを阻害するその能力に対して試験して、V1/2を経験的に決定した。化合物の効果(阻害%)を、試験化合物の適用前及び後の電流の大きさの差によって決定した。比較の容易さのために、“推定IC−50”(EIC50)値を、次の式、(試験濃度、uM)×(100−阻害%/阻害%)によって一点の電気生理学データから計算した。<20%及び>80%の阻害値は、計算から除外した。
【0315】
電気生理学的アッセイを、PatchXpress 7000ハードウェア及び付属するソフトウェア(Molecular Devices Corp)で行った。全てのアッセイ緩衝液及び溶液は、先に記載した慣用的なホールセル電位固定実験において使用したものと同一であった。hSCN9A細胞を、上記のように50%−80%集密まで増殖し、そしてトリプシン処理によって回収した。トリプシン処理された細胞を洗浄し、そして細胞外緩衝液中に1×10細胞/mlの濃度で再懸濁した。PatchXpressの搭載液体処理設備を、細胞の分配及び試験化合物の適用のために使用した。不活性化の電位の中間点の決定は、慣用的なホールセル記録のために記載されているとおりである。次いで細胞を、V1/2を経験的に決定するために電位固定し、そして電流を0mVまでの20ミリ秒の電位段階によって活性化した。
【0316】
電気生理学的アッセイを、更にIonworks Quattroの自動化電気生理学的プラットフォーム(Molecular Devices Corp)を使用して行った。細胞内及び細胞外溶液は、先に記載したとおりであり、次の変更、100μg/mlのアンホテリシンを細胞内溶液に加えて、膜を穿孔し、そして細胞への電気的接近を可能にすることを伴った。hSCN9A細胞を、PatchXpressに関して増殖及び回収し、そして細胞を細胞外溶液中に、3−4×10細胞/mlの濃度で再懸濁した。Ionworks Quattroの搭載液体処理設備を、細胞の分配及び試験化合物の適用のために使用した。次いでナトリウムチャネルを完全に不活性化させるための電位段階、それに続く遮断されていないナトリウムチャネルに対する不活性化からの部分的回復を可能にする短い過分極回収期間、それに続く試験化合物による阻害の大きさを評価するための試験的脱極性電位段階を含んでなる電位プロトコルを適用した。化合物の影響を、化合物の添加前及び化合物の添加後の走査間の電流の大きさの差に基づいて決定した。
【0317】
実施例の化合物を、PatchXpressプラットフォームを使用して、先に記載したアッセイで試験し、そして以下の表に明記したVav1.7のEIC50(uM)値を有することを見出した。
【0318】
【表1】
【0319】
Nav1.5(又はSCN5A)チャネルを遮断するリスト(I)の化合物の能力を、SCN9A遺伝子をSCN5A遺伝子で置換える以外は先に記載したものと類似のアッセイを使用して更に測定することができる。同じ細胞系及び細胞増殖の条件を含み、全ての他の条件は同じままである。Nav1.5に対する半不活性化における推定IC50が決定される。これらの結果を、Nav1.7チャネルにおけるEIC50値と比較して、与えられた化合物のNav1.5に対するNav1.7の選択性を決定することができる。