特許第5872565号(P5872565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872565表面改質有機黒色顔料、表面改質カーボンブラック、それを用いた顔料混合物、ならびに低誘電性黒色分散体、コーティング、フィルム、ブラックマトリックス、およびそれを被覆した装置
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  • 特許5872565-表面改質有機黒色顔料、表面改質カーボンブラック、それを用いた顔料混合物、ならびに低誘電性黒色分散体、コーティング、フィルム、ブラックマトリックス、およびそれを被覆した装置 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872565
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】表面改質有機黒色顔料、表面改質カーボンブラック、それを用いた顔料混合物、ならびに低誘電性黒色分散体、コーティング、フィルム、ブラックマトリックス、およびそれを被覆した装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 3/18 20060101AFI20160216BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20160216BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20160216BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160216BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20160216BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20160216BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C09B3/18
   C09B67/46 B
   C09B67/20 F
   C09D7/12
   C09D201/00
   G02B5/20 101
   G02F1/1335 500
【請求項の数】26
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-533965(P2013-533965)
(86)(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公表番号】特表2014-500889(P2014-500889A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】US2011055919
(87)【国際公開番号】WO2012051264
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2013年7月24日
(31)【優先権主張番号】61/393,398
(32)【優先日】2010年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010758
【氏名又は名称】キャボット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】アガサゲロス キルリディス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー アイ.シャクノビッチ
(72)【発明者】
【氏名】チャン チンリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ビー.キャロル
【審査官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−517330(JP,A)
【文献】 特表2004−502856(JP,A)
【文献】 特表2006−503114(JP,A)
【文献】 特表2004−502979(JP,A)
【文献】 特表2003−519709(JP,A)
【文献】 特開2004−083841(JP,A)
【文献】 特表2009−537663(JP,A)
【文献】 特開昭61−028559(JP,A)
【文献】 特開2007−071994(JP,A)
【文献】 特開2009−069822(JP,A)
【文献】 特表2002−510736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
C09C
G02F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式−X−Zを有する少なくとも1種の有機基が結合されている有機黒色顔料を含む表面改質有機黒色顔料であって、式中、Xは、該有機黒色顔料に直接に結合されており、1つもしくは2つ以上の環炭素原子が窒素原子で置換されたヘテロアリーレン基を表し、Zは、ポリオキシアルキレンポリマー基を表す、表面改質有機黒色顔料。
【請求項2】
前記有機黒色顔料が、ペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、またはそれらの組み合わせである、請求項1記載の表面改質有機黒色顔料。
【請求項3】
Xが、置換もしくは非置換イミダゾリレン、ピラゾリレン、チアゾリレン、イソチアゾリレン、オキサゾリレン、イソオキサゾリレン、ピロリレン、ピリジレン、ピリミジレン、インドリレン、イソインドリレン、キノリニレン、イソキノリニレン、キナゾリニレン、カルバゾリレン、プリニレンまたはそれらのいずれかの組み合わせである、請求項1記載の表面改質有機黒色顔料。
【請求項4】
有機黒色顔料を、少なくとも1種のヘテロ環式アミンから生成されたジアゾニウム塩と、液体反応媒質中で反応させて、少なくとも1種の有機基を該顔料の表面に結合させることを含む、請求項1記載の表面改質有機黒色顔料の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の表面改質有機黒色顔料と、カーボンブラックとの混合物。
【請求項6】
媒質、随意選択的に分散剤、ならびに請求項1記載の表面改質有機黒色顔料を含む、顔料分散液。
【請求項7】
前記分散剤が存在し、かつ該分散剤が、フェニルスルホエチルアミノ基を介して有機黒色顔料表面に結合しているアミン末端ポリオキシアルキレンまたはポリオキシアルキレンを含む、請求項6記載の顔料分散液。
【請求項8】
前記分散剤が存在しており、かつ、該分散剤が、前記有機黒色顔料に直接に結合している−フェニル−ポリオキシアルキレンを含む、請求項6記載の顔料分散液。
【請求項9】
前記分散剤が存在しており、かつ該分散剤が、複数のアミノ基、カルボン酸基、ホスフェート基、第四級アンモニウム、尿素、ウレタンまたはアリール基、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むポリマーを含む、請求項6記載の顔料分散液。
【請求項10】
媒質、硬化性樹脂、ならびに請求項1〜3のいずれか1項記載の前記表面改質有機黒色顔料を含む、硬化性コーティング組成物。
【請求項11】
前記硬化性樹脂が、感光性樹脂である、請求項10記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項12】
ポリマーを、有機黒色顔料を含む顔料に、共役結合的に結合する方法であって、1種もしくは2種以上のポリマーを、塩基性のpHの下での、アミノフェニル−(2−スルファートエチル)−スルホン(APSES)ジアゾニウム塩処理された顔料の、アミン末端ポリアルキレンオキシドとの反応によって、前記有機黒色顔料に結合させることを含む、方法。
【請求項13】
請求項1記載の前記表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックを含む顆粒。
【請求項14】
請求項13記載の顆粒の製造方法であって、請求項1記載の前記表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックの混合物を含む水性分散液を調製すること、ならびに次いで該混合物を乾燥して、顆粒を形成させることを含む、方法。
【請求項15】
硬化性コーティング組成物を基材上に適用して硬化性コーティングを形成すること、該硬化性コーティングを像様に硬化させて、硬化されたコーティングを形成すること、ならびに該硬化されたコーティングを現像および乾燥することによって形成されたブラックマトリックスであって、該硬化性コーティング組成物は、
a)媒質、
b)式−X−Zを有する少なくとも1種の有機基が結合されている有機黒色顔料を含む表面改質有機黒色顔料製品、式中Xは、該顔料に直接に結合されており、1つもしくは2つ以上の環炭素原子が窒素原子で置換されたヘテロアリーレン基を表し、Zは、ポリオキシアルキレンポリマー基を表し、ならびに、随意選択的に、
c)カーボンブラック、
を含んでいる、ブラックマトリックス。
【請求項16】
前記ブラックマトリックスが、下記の式を満足する、1MHxでの誘電率(Κ)およびフィルムのマイクロメートル当たりの光学密度(OD/μm)を有する、請求項15記載のブラックマトリックス。
【化1】
【請求項17】
前記ブラックマトリックスが、1012オームパースクエア以上の表面抵抗を有する、請求項15記載のブラックマトリックス。
【請求項18】
前記ブラックマトリックスが、1ミクロンの厚さで、2の光学密度を有する、請求項15記載のブラックマトリックス。
【請求項19】
前記硬化された組成物が、30質量%〜100質量%の有機黒色顔料および0質量%〜70質量%のカーボンブラックを含む黒色顔料を含む、請求項15記載のブラックマトリックス。
【請求項20】
−フェニルスルホエチルアミノ−ポリオキシアルキレンが結合されたカーボンブラックおよび−フェニル−ポリオキシアルキレンが結合されたカーボンブラックの少なくとも1種を含む、請求項15記載のブラックマトリックス。
【請求項21】
前記カーボンブラックが、20cc/100g〜50cc/100gのASTMD−2414によるジブチルフタレート吸収値を備えた低構造を有する、請求項15記載のブラックマトリックス。
【請求項22】
カーボンブラックを唯一の黒色顔料として作られたフィルムに比べて、低減されたIR吸収性を有する、請求項15記載のブラックマトリックス。
【請求項23】
基材上に形成された少なくとも1種の薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、および該アレイ上に直接に配置された赤外もしくは近赤外輻射線透過性層を含み、該輻射線透過性層は、請求項15記載のブラックマトリックスを含んでいる、カラーフィルタオンアレイ(COA)構造。
【請求項24】
請求項23記載の前記カラーフィルタオンアレイ構造を含む、液晶ディスプレイ装置。
【請求項25】
前記ブラックマトリックスが、下記の式を満足する、1MHzでの誘電率(Κ)およびフィルムのマイクロメートル当たりの光学密度(OD/μm)を有する、請求項15記載のブラックマトリックス。
【化2】
【請求項26】
前記ブラックマトリックスが、下記の式を満足する、1MHzでの誘電率(Κ)およびフィルムのマイクロメートル当たりの光学密度(OD/μm)を有する、請求項15記載のブラックマトリックス。
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本願は、2010年10月15日付で出願された先の米国仮特許出願第61/393,398号明細書に対し、合衆国法典第35巻第119条第e項に基づく利益を主張するものであり、その全体を参照することにより本明細書の内容とする。
【0002】
1.本発明の分野
本発明は、表面改質有機黒色顔料、表面改質カーボンブラック、それらを用いた顔料混合物、および低誘電性黒色分散体、コーティング、フィルム、ならびにそれらを含むブラックマトリックスに関する。また、本発明は、それらのブラックマトリックスを有するカラーフィルタオンアレイ、およびこれらのカラーフィルタオンアレイを含む液晶装置に関する。更に、本発明は、それらの種々の材料を調製および製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
電気的ディスプレイ装置は、電気的情報を画像に変換する。ディスプレイ装置、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動表示装置(EPID)などは、光学的性質、例えば反射、散乱、干渉などを用いて画像を表示する。慣用のLCD装置の1つとしては、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)がある。慣用のTFT−LCDは、薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基材、カラーフィルタ基材、およびそれらの間に挟まれた液晶層を含んでいる。これらの従来のTFT−LCD装置では、慣用のカラーフィルタは、カラーフィルタガラス(すなわち、薄膜トランジスタ(TFT)ガラスの対電極、ここで画素が規定される)から分離されている。これらの従来のTFT−LCD構成では、カラーフィルタのRGB画素と、TFTガラスの原画素および注億画素との完全な整合が問題となる可能性があり、この整合が、開口または有効画素サイズを有意に低下させる可能性があり、そしてその結果、光の漏洩をもたらし、またより低い輝度を与える可能性がある。カラーフィルタオンアレイ(COA)技術が発展してきたが、その中で、LCD装置のCOA−TFT基材が、開口比、ならびに解像度を向上させるために提供されている。カラーフィルタオンアレイ技術の幾つかの進展が、例えば、米国特許第7,439,090号、第7,436,462号、および第6,692,983号明細書中に示されている。
【0004】
ブラックマトリックスは、個々のカラー画素を隔てることによって画像のコントラストを向上させるために、カラーディスプレイに用いられる材料の一般的名称である。ブラックマトリックスは、例えば、COA−TFT構造のTFTアレイ基材上にパターン形成されて、赤、緑および青のフィルタ層が形成されてTFTアレイ基材上にカラーフィルタを与える領域を規定する。LCD中のこのブラックマトリックス層は、Cr/CrOの蒸着によって製造されている。クロム系フィルムは優れた光遮蔽能力を有しているけれども、金属蒸着プロセスは費用がかかる。更に、クロムの使用と廃棄は、次第に制約的になる環境規制を受け易い。また、クロムフィルムは、低抵抗率を有し、それがLCDの電気的な設計を、可能な設計構成の一部に限定する。また、インクジェットプロセスが、LCDのカラーフィルタの製造に用いられている。インクジェットプロセスの1つの形態では、光遮蔽層、例えばブラックマトリックスが、カラーフィルタ構造のガラス基材部品上に形成され、そしてブラックマトリックスは、露出および現像処理を経て、ブラックマトリックス上に画素領域を形成する。また、ブラックマトリックス組成物が、光硬化性組成物、例えばフォトレジスト組成物として提供されている。
【0005】
黒色顔料、例えばカーボンブラックが、抵抗性ブラックマトリックスを作るために、ポリマー組成物中で用いられてきている。しかしながら、典型的な系は、全体的な性質の所望のバランスを与えることはできなかった。例えば、カーボンブラックを含むブラックマトリックスは、所望の光遮蔽能力(すなわち、1ミクロンの厚さ当たりに3超の光学密度(OD))を与えることができたが、典型的には、このフィルムは、限られた抵抗率しか有さない。あるいは、高抵抗率のフィルムが製造された場合には、ODは、典型的には小さい。
【0006】
また、有機基が結合されている改質顔料が、カラーフィルタ用のブラックマトリックでの使用について開示されている。例えば、米国特許出願公開第2003-0129529号明細書は、部分的に、少なくとも1つのポリマー基が結合されている顔料を用いて調製されたブラックマトリックに関しており、このポリマー基は、少なくとも1種の光重合性基および少なくとも1種のイオン基もしくはイオン性基を含んでいる。また、米国特許出願公開第2002-0020318号明細書は、部分的に、少なくとも1種の有機イオン基および少なくとも1種の両親媒性対イオンが結合されている顔料を用いて調製されたブラックマトリックスに関している。更に、米国特許出願公開第2002-0011185号明細書は、部分的に、50〜200個の炭素を有する、少なくとも1種のアルキレンまたはアルキル基が結合された顔料の使用に関している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ブラックマトリックスおよび他の用途のための顔料の設計が、従来の知見を超えた進歩の機会を有する領域にあることが、本発明者らによって見出された。本発明者らは、低誘電率、高抵抗率、高光学密度および/または高IR透過性の組み合わせを示すことができる良好な全体的性能を備えた、ブラックマトリックスおよび分散体を与える材料に対する要求を、例えば、認識し、そして少なくとも部分的に解決した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、表面改質された有機黒色顔料を提供することである。
【0009】
本発明の更なる特徴は、表面改質された有機黒色顔料およびカーボンブラック混合物を提供することである。
【0010】
本発明の他の特徴は、液体媒質および表面改質有機黒色顔料自体もしくはカーボンブラックか他の顔料との組み合わせを含む黒色顔料分散液を提供することである。
【0011】
本発明の更なる特徴は、溶媒および、アミン末端ポリオキシアルキレンがアミノフェニル(2−スルファートエチル)−スルホン(APSES)結合を介して結合した有機黒色顔料、もしくはアニリン−末端ポリオキシアルキレンが直接に結合した有機黒色顔料、またはそれらの両方を含む非水性黒色顔料分散液を提供することであり、これらの顔料は、少なくともある程度は自己分散性であることができる。
【0012】
本発明の他の特徴は、溶媒および、アミン末端ポリオキシアルキレンが、APSES結合を介して結合したカーボンブラックもしくはアニリン末端ポリオキシアルキレンが、直接に結合したカーボンブラック、またはそれらの両方を含む非水性の黒色顔料分散液を提供することであり、それらは分散助剤の必要性を低減もしくは排除することができる。
【0013】
本発明の更なる特徴は、表面改質有機黒色顔料の単独で、またはカーボンブラックとの組み合わせで形成された、硬化性コーティングおよび硬化されたフィルムを提供することである。
【0014】
本発明の他の特徴は、APSES結合を介したアミン末端ポリオキシアルキレン、およびアニリン末端ポリオキシアルキレンの少なくとも1つが結合されている有機黒色顔料、あるいはAPSES結合を介したアミン末端ポリオキシアルキレンおよびアニリン末端ポリオキシアルキレンの少なくとも1つが結合されているカーボンブラック、またはその両方の組み合わせ、で形成された硬化性コーティングおよび硬化されたフィルムを提供することである。
【0015】
本発明の更なる特徴は、表面改質有機黒色顔料、表面改質もしくは非改質カーボンブラック、またはそれらの両方の組み合わせを含む硬化性コーティングで形成されたブラックマトリックスを提供することである。
【0016】
本発明の他の特徴は、薄膜トランジスターアレイ基材上に、表面改質有機黒色顔料を単独で、または表面改質および/または非改質カーボンブラックとの組み合わせで含む硬化性コーティングで形成されたブラックマトリックスを有する、カラーフィルタオンアレイ構造を提供することである。
【0017】
本発明の更なる特徴は、薄膜トランジスターアレイ基材上に、表面改質有機黒色顔料を単独で、または表面改質もしくは非改質カーボンブラックとの組み合わせで含む硬化性コーティングで形成されたブラックマトリックスを有するカラーフィルタオンアレイ構造を有する液晶装置を提供することである。
【0018】
本発明の他の特徴は、それらの種々の材料を調製および製造する方法である。
【0019】
本発明の更なる特徴および利益は、一部が以下の説明中で説明され、また一部がその説明で明らかとなるか、または本発明の実施によって学び取ることができる。本発明の目的および他の利点は、本明細書および添付の特許請求の範囲に具体的に示された要素および組み合わせによって理解し、そして達成される。
【0020】
これらのおよび他の利点を達成するために、そして本発明の目的に従って、本明細書において例示し、そして幅広く説明したように、本発明は、式−X−Zを有する少なくとも1つの有機基が結合されている有機黒色顔料を有する表面改質有機黒色顔料に関し、式中、Xはこの顔料に直接に結合しており、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アラルキレン基、またはアルカリレン(alkarylene)基を表し、Zは,少なくとも1種のイオン基、少なくとも1種のイオン性基、少なくとも1種の非イオン性、少なくとも1種のポリマー基、もしくはそれらのいずれかの組み合わせを表す。有機黒色顔料は、ペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、またはそれらの組み合わせ、または他の有機黒色顔料であることができる。これらの顔料への有機基の強化された結合が、Zがヘテロアリーレン基である場合に、提供されることができる。
【0021】
また、本発明は、液体反応媒質中で、有機黒色顔料を、少なくとも1種の芳香族アミンから生成されたジアゾニウム塩と反応させて、少なくとも1種の有機基を顔料の表面に結合させることによって上記の表面改質有機黒色顔料生成物を作る方法に関する。この芳香族アミンは、例えば、ヘテロ環式アミンであることができる。
【0022】
また、本発明は、上記の表面改質有機黒色顔料ならびに表面改質および/または非改質カーボンブラックの混合物に関する。
【0023】
更に、本発明は、水性もしくは非水性媒質、随意選択的に分散剤、上記の表面改質有機黒色顔料、および随意選択的にカーボンブラック含む黒色顔料分散液に関する。この黒色顔料分散液は、非水性媒質もしくは溶媒、およびアミン末端ポリオキシアルキレンがAPSES結合を介して結合した有機黒色顔料、または、それに代えてアニリン末端ポリオキシアルキレンが直接に結合した有機黒色顔料、またはそれらの両方を含むことができる。自己分散性顔料を提供することができ、それが分散助剤の必要性を低減または排除することができる。
【0024】
また、本発明は、溶媒およびアミン末端ポリオキシアルキレンがAPSES結合を介して結合したカーボンブラック、またはアニリン末端ポリオキシアルキレンが直接に結合したカーボンブラック、またはそれらの両方を含む表面改質カーボンブラックを含む非水性黒色顔料分散液に関する。これらの非水性黒色顔料分散液が、分散助剤の必要性を低減または排除することができる。
【0025】
更には、本発明は、これらの上記の表面改質有機黒色顔料自体で、またはカーボンブラックとの組み合わせで形成された硬化性コーティングおよび硬化されたフィルムに関し、このカーボンブラックは、上記の表面改質カーボンブラックを含むことができる。また、本発明は、上記の表面改質カーボンブラックを含むが、しかしながら表面改質有機黒色顔料を必ずしも含まない硬化性コーティングに関する。
【0026】
更に、本発明は、ポリマーを、有機黒色顔料、カーボンブラック、またはそれらの両方から選択された顔料に共有結合する方法に関し、これらのポリマーは、塩基性pHでの、APSESジアゾニウム塩処理された顔料の、アミン末端ポリアルキレンオキシドとの反応によって、顔料に結合している。
【0027】
また、本発明は、前記の表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックを含む顆粒に関する。また、本発明は、表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックの混合物を含む水性分散体を調製すること、そして次いでこの混合物を乾燥、例えば噴霧乾燥して、顆粒を形成することを含む顆粒の製造方法に関する。
【0028】
更に、本発明は、硬化性コーティング組成物を、基材上に適用して、硬化性コーティングを形成すること、この硬化性コーティングを像様に硬化させて硬化されたコーティングを形成すること、およびこの硬化されたコーティングを現像し、そして乾燥することによって形成されたブラックマトリックスに関し、この硬化性コーティング組成物は、a)媒質、b)上記の表面改質有機黒色顔料および、随意選択的にc)カーボンブラック、例えば、上記の表面改質カーボンブラックを含んでいる。硬化された組成物は、例えば、約20質量%〜約60質量%の総黒色顔料を含むことができる。この総黒色顔料は、例えば、約30質量%未満のカーボンブラックを含むことができ、そして黒色顔料の残りは、上記の表面改質有機黒色顔料であることができる。ブラックマトリックスは、例えば、20未満、または15未満、または10未満の、低誘電率を有することができる。ブラックマトリックスは、1012オームパースクエア以上、もしくは1013オームパースクエア以上、もしくは1014オームパースクエア以上の表面抵抗を有することができ、および/または1ミクロンの厚さ当たりに2以上、1ミクロンの厚さ当たりに3以上、1ミクロンの厚さ当たりに4以上の光学密度を有することができる。カーボンブラックは、例えば、約20cc/100g〜約50cc/100gのDBPを有する低ストラクチャを有する改質カーボンブラック製品であることができる。
【0029】
更に、本発明は、基材上に硬化性コーティング組成物を適用して硬化性コーティングを形成すること、この硬化性コーティングを像用に硬化させて硬化されたコーティングを形成すること、そしてこの硬化されたコーティングを現像し、そして乾燥することによって形成されたブラックマトリックに関し、この硬化性コーティング組成物は、a)媒質、およびb)少なくとも1種の前記の表面改質カーボンブラックを含んでいる。
【0030】
また、本発明は、基材上に形成された少なくとも1つの薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、およびこのアレイの直接の上に配置された赤外もしくは近赤外輻射線透過層を含むカラーフィルタオンアレイ(COA)構造に関し、この輻射線透過層は、前記のブラックマトリックスを含むことができる。
【0031】
更に、本発明は、前記のカラーフィルタオンアレイ構造を含む、液晶ディスプレイ装置に関する。
【0032】
前述の包括的な記載および以下の詳細な説明は、例示および説明のためだけのものであり、そして特許請求した本発明の更なる説明を提供することを意図したものであることが理解されなければならない。
【0033】
添付の図面は、本願に組み込まれ、そして本願の一部を構成するが、本明細書とともに本発明の態様を説明しており、本発明の原理を説明するために供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の例による、アミン末端ポリオキシアルキレン基がAPSES結合を介して顔料に結合している表面改質顔料を作るための反応体系である。
図2図2は、本発明の例による、一段ジアゾニウム反応で、顔料表面に直接に結合することができるアニリン末端ポリオキシアルキレンの構造を示している。
図3図3は、本発明による、ブラックマトリックス層を含む液晶ディスプレイ装置の概略図である。
図4図4は、本発明の例による、イミダゾール(すなわち、2−アミノ−4,5−ジシアノ−1H‐イミダゾール、AIDN)を基にしたジアゾニウム塩で処理されて、イミダゾール官能化ペリレンブランクを与える、ペリレンブラック(ピグメントブラック32)を含む表面改質顔料を作るための反応体系である。
図5図5は、フィルム中に表面改質カーボンブラックの種々の質量分率および、誘電率と光学密度の測定結果をプロットしたグラフである。
図6図6は、異なる表面改質ペリレンブラック/カーボンブラック比を有するフィルムの光学密度に対する誘電率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、一部は、表面改質有機黒色顔料、およびそれらと組み合わせたカーボンブラック顔料、および低誘電性黒色分散体、フィルム、およびそれらを含むブラックマトリックスに関する。また、本発明は、それらのブラックマトリックスを有するカラーフィルタオンアレイ、およびそれらのカラーフィルタオンアレイを含む液晶装置に関する。また、本発明は、表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックに関し、カーボンブラックは、アミンもしくはアニリン官能化ポリオキシアルキレンまたはそれの誘導体の顔料表面へのジアゾニウム結合に基づいた、向上した分散性を有することができる。
【0036】
幾つかのデジタル画像形成用途(例えば、LCDのカラーフィルタのブラックマトリックス、電子写真用のトナーなど)では、この複合材もしくはフィルムが、光遮蔽性であり、かつ電気抵抗性の両方であることが重要である。幾つかの表面誘導体化カーボンブラックの単独での使用は、このような複合材/フィルムの光吸収性(黒さ)と電気伝導性を釣り合わせることを可能にする。上記のように、慣用のカラーフィルタは、画素が規定されているカラーフィルタガラス、例えば薄膜トランジスタ(TFT)ガラスの対電極から分離されており、そのことが、カラーフィルタのRGB画素を、TFTガラスの原画素および注億画素と、完全に整合させること難しくさせ、それ故に、開口または有効画素サイズを低下させる。本発明は、部分的には、カラーフィルタオンアレイ(COA)構成のカラーフィルタを、TFT画素とカラーフィルタRGB画素との間の整列の問題を、少なくとも部分的に、もしくは本質的に完全に解決するように、カラーフィルタガラス上に直接に置くことを実現可能にする、独特のCOA材料に関する。このようなCOAでの取り組みで、有効開口サイズは、50%まで増大し、そして電力消費を低減することができることが予測される。更に、製造コストも同様により少ないことが期待される。このようなCOA用途のためのブラックマトリックスへの他の要求は、ブラックマトリックス層は、TFTアレイと直接に接触する可能性があることから、浮遊容量を避けるための、ブラックマトリックス層のより低誘電率への必要性である可能性がある。半導体の製造においては、低−κ誘電体は、二酸化ケイ素に対して小さな誘電率を備えた材料である。シリコンチップに通常用いられる絶縁性材料である、SiOの誘電率は、約3.9であることができる。カーボンブラック自体は、典型的にはシリカよりも有意に大きな誘電率を有している。幾つかの未処理の有機黒色顔料は、カーボンブラックよりも、相当に低い誘電率を有している。しかしながら、上記のCOA装置の光学密度(OD)の要求は、恐らくは比較的に低いにもかかわらず(例えば、1ミクロンの厚さで、2以上の光学密度は許容され得る)、未処理の有機黒色顔料単独では適合することはない可能性がある。更に、ブラックマトリックスの調製に用いるのに便利な幾つかの溶媒、例えばプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)および他の分散剤(例えば、ポリアミン系分散剤もしくはカルボン酸分散剤)中で、未処理の有機黒色顔料(例えば、ペリレン)の安定な、または処理可能な分散液を作ることは困難である可能性がある。
【0037】
本発明の発見は、少なくとも部分的には、例えばジアゾニウム化学物質または他の結合技術によって、有機黒色顔料(例えば、ペリレンブラック、アニリンブラック)の表面改質が、有機黒色顔料(例えば、ペリレンブラック)表面と、そのような分散剤との間の相互作用を向上させて、そして有機黒色顔料(例えば、ペリレンブラック)のそのような分散液中での安定な分散液を提供することを見出したことである。本発明の表面改質有機黒色顔料は、例えば、それらを分散することができるポリマーマトリックスの誘電率に匹敵する、低誘電率を有することができ、そしてその結果として、それらのマトリックスとより相溶性である適切な官能基でのこれらの有機黒色顔料の表面改質によって、有意により良い色特性(トナーの画像濃度、またはブラックマトリックスの光学密度)を得ることができる。もしも黒さまたは色が改質有機黒色顔料単独では適切でなかった場合には、表面改質有機黒色顔料を、部分的に、カーボンブラック、例えば、高い浸透閾値を有し、そしてトナーもしくはブラックマトリックスフィルムの黒さ(すなわち、光学密度)に、このフィルムの電気的抵抗または誘電率を低下させることなく貢献することができる、低構造のカーボンブラックで置き換えることができることが見出された。これらの顔料製品を含むブラックマトリックスは、1ミクロンの厚さで2以上、または1ミクロンの厚さで3以上、または1ミクロンの厚さで4以上の光学密度を有することができる。本発明の黒色顔料で配合された、1ミクロンの厚さで約3の光学密度を有するフィルムは、表面改質有機ブラックでは、例えば、約4〜約6の誘電率を有することができるが、しかしながら、通常のカーボンブラック単独を同じ顔料充填量で配合したフィルムは、30〜300の誘電率、または低OANカーボンブラックを用いると20〜25の誘電率、またはジアゾニウム変性カーボンブラックを用いると10〜20の誘電率、またはポリマー変性カーボンブラックを用いると5〜15の誘電率を有する可能性がある。本発明の黒色顔料で配合された1ミクロンの厚さで約2の光学密度を有するフィルムは、ジアゾニウム変性カーボンブラックを用いた場合には、非改質カーボンブラックを用いた場合の誘電率の約90%未満誘電率を有することができ、そしてポリー変性カーボンブラックを用いた場合には、非改質カーボンブラックを用いた場合の誘電率の約80%未満誘電率を有することができ、そして表面改質有機黒色顔料、例えばここに開示したもの、およびカーボンブラックの混合物の誘電率は、充填量に応じて、非改質カーボンブラックの誘電率の概ね、約25%〜約80%もしくは他の値であることができる。本発明の表面改質顔料を含むブラックマトリックスは、約1012オーム/スクエア以上、または約1013オーム/スクエア以上、または約1014オーム/スクエア以上の表面抵抗、および/または20未満、または15未満、または10未満、または他の値の誘電率κを有することができる。ブラックマトリックスは、以下の式のような1MHzでの誘電率(κ)およびフィルムのマイクロメートル当たりの光学密度(OD/μm)を有することができる。
【0038】
【化1】
【0039】
ブラックマトリックスが、改質有機黒色顔料およびカーボンブラックの混合物で配合されている場合には、そのブラックマトリックスは、商業的な改質カーボンブラックである顔料で調製された同様のブラックマトリックス配合物に比べて、低い誘電率を有することができる。上記のように、表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックの混合物で配合されたブラックマトリックスの光学密度は、カーボンブラックなしで配合された場合のブラックマトリックスの光学密度よりも大きいことができる。カーボンブラックの間では、顔料としてジアゾニウム変性カーボンブラック単独で作られたブラックマトリックスフィルムは、典型的には、黒色顔料として、非改質カーボンブラックおよび/またはポリマー変性カーボンブラックで作られたフィルムよりも低い誘電率を有することができる。
【0040】
幾つかのブラックマトリックスフィルムでは、許容し得る釣合の取れた性能が、合計の黒色着色剤または黒色顔料が、約30%〜約100%、もしくは約50%〜約99%、もしくは約70%〜約95%、の表面改質有機黒色顔料および、0〜約70%、もしくは約1%〜約50%、もしくは約5%〜約20%のカーボンブラックを有するフィルムによって得ることができ、全ての質量パーセントは、黒色顔料の総質量基準である。これらの有機黒色顔料の表面改質は、これらの顔料に、特定の他の所望の性質、例えば、水性もしくは有機溶媒系中の向上した分散性、分散剤との向上した相溶性、コーティング中の向上した分散品質など、を与えることができる。これらの有機黒色顔料は、赤外(IR)透過性であることができる。特定の理論によって拘束されることは望まないが、有機黒色顔料を表面改質することによって、そして向上した光学密度が有用である場合には、おそらくはそれらをカーボンブラックと混合することによって、低減されたIR吸収を有する、優れた黒色コーティングを得ることができると考えられる。表面改質有機黒色顔料、およびそのような顔料とカーボンブラックとの混合物が、ここに提供され、それがそれらの種々の必要性を満足させる。
【0041】
本発明の他の発見は、溶媒および、アミン末端ポリオキシアルキレンがAPSES結合を介して顔料に結合した、もしくはアニリン末端ポリオキシアルキレンが直接に顔料に結合した、もしくはその両方の自己分散性表面改質顔料(例えば、有機黒色顔料、またはカーボンブラック、またはその両方)を含む非水性黒色顔料分散液に関する。これらの非水性黒色顔料分散液は、この分散液もしくは処理された顔料を含む他のコーティング可能な組成物を安定させ、そしてゲル化を防ぐための分散助剤の必要性を低減、または排除することができる。
【0042】
上記のように、本発明は、部分的には、表面改質有機黒色顔料に関する。この表面改質有機黒色顔料製品は、少なくとも1つの有機基が結合している有機黒色顔料を含むことができる。この表面改質有機黒色顔料は、式−X−Zを有する少なくとも1つの有機基が結合されていることができ、ここでXは、この顔料に直接に結合している最初の化学基であり、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アラルキレン基、またはアルカリレン(alkarylene)基を表し、そしてZは、二番目の化学基を表している。Zは、非ポリマーまたはポリマーであることができる。Zは、例えば、イオン基、少なくとも1種のイオン性基、少なくとも1種のノニオン基、またはそれらのいずれかの組み合わせであることができる。Zは、ポリマーであることができる。このポリマー基は、例えば、アミノフェニル−(2−スルファートエチル)−スルホン(APSES)結合で顔料表面に結合したアミン末端ポリオキシアルキレン、または顔料に直接結合したアニリン末端ポリオキシアルキレンであることができる。
【0043】
ここで用いられる用語、有機黒色顔料は、いずれかの有機黒色顔料を表している。有機黒色顔料は、カーボンブラックではない。有機黒色顔料の好適な分類としては、ペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、およびそれらの組み合わせが挙げられる。アニリンブラックの代表的な例としては、ピグメントブラック1が挙げられる。ペリレンブラックの代表的な例としては、例えば、ピグメントブラック31、およびピグメントブラック32(BASFペリレンブラック、例えば、PALIOGEN(商標) Black L0086)が挙げられる。これらのブラックは、表面を改質して、表面誘導体化有機黒色顔料を与える出発材料として用いることができる。
【0044】
表面改質有機黒色顔料は、有機化学基が顔料に結合する(例えば、化学的に結合する、共有結合的に結合する)ような方法を用いて調製することができる。このことが、これらの基が、吸着された基、例えば、ポリマー、界面活性剤などに比べて、顔料上へ、より安定した結合を与えることを可能にする。例えば、表面改質有機黒色顔料は、米国特許第5,554,739号、第5,707,432号、第5,837,045号、第5,851,280号、第5,885,335号、第5,895,522号、第5,900,029号、第5,922,118号、第6,042,643号、第6,398,858号、第7,175,946号明細書、米国特許出願公開第2003-0129529号、第2002-0020318号、第2002-0011185号、および第2006-0084751号明細書、国際公開第99/23174号中に記載された方法を用いて、そして適用して調製することができ、これらを参照することによって本明細書の内容とする。こらの文献は、部分的には、顔料に官能基を結合させるための、ジアゾニウム化学薬品の使用を記載している。これらの方法は、本発明の表面改質有機黒色顔料を形成するために、適用し、そして用いられている。
【0045】
これらの組み込まれた文献の1つもしくは2つ以上に開示された方法は、少なくとも1種のジアゾニウム塩の、有機黒色顔料材料(またはカーボンブラック)、例えば未だ結合基で表面改質されていない未処理の有機黒色顔料、との反応を与えるのに適用することができる。本発明によれば、ジアゾニウム塩は、1種もしくは2種以上のジアゾニウム基を有する有機化合物である。本発明の幾つかの方法では、ジアゾニウム塩は、有機黒色顔料材料との反応の前に調製することができ、または、より好ましくは、引用した文献中で知られている技術を用いて現場で発生させることができる。また、現場での発生は、不安定なジアゾニウム塩、例えば、アルキルジアゾニウム塩の使用を可能にし、そして、ジアゾニウム塩の不必要な取扱いもしくは操作を回避させる。本発明の特に好ましい方法では、亜硝酸とジアゾニウム塩の両方を現場で発生させることができる。
【0046】
当技術分野で知られているように、ジアゾニウム塩は、第一級アミン、亜硝酸塩および酸を反応させることによって発生させることができる。亜硝酸塩は、いずれかの金属亜硝酸塩、好ましくは亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、または亜硝酸亜鉛、またはいずれかの有機亜硝酸エステル、例えば、亜硝酸イソアミルまたは亜硝酸エチルであることができる。この酸は、ジアゾニウム塩の発生に有効な、無機または有機、いずれかの酸であることができる。好ましい酸としては、硝酸、HNO、塩酸、HCl、および硫酸、HSOが挙げられる。また、ジアゾニウム塩は、第一級アミンと二酸化窒素の水溶液との反応によって発生することができる。二酸化窒素の水溶液、NO/HO、は、ジアゾニウム塩を発生させるのに必要な硝酸を与える。一般には、第一級アミン、亜硝酸塩、および酸からジアゾニウム塩を発生させる場合には、アミンを基準として2当量の酸が必要とされる。現場での方法では、ジアゾニウム塩は、1当量の酸を用いて発生させることができる。第一級アミンが強酸基を含む場合には、本発明の方法に、別箇の酸を加えることは必要ではない。第一級アミンの1つの酸基もしくは複数の酸基は、必要とされる当量の酸の一方または両方を供給することができる。第一級アミンが強酸基を含む場合には、好ましくは、0〜1当量の追加の酸を、本発明の方法に加えて、現場でジアゾニウム塩を発生させることができる。そのような第一級アミンの1つの例としては、パラ−アミノベンゼンスルホン酸(スルファニル酸)がある。
【0047】
一般に、ジアゾニウム塩は熱的に不安定である。それらは典型的には低温、例えば0℃〜5℃で、溶液中で、そして塩の分離なしで、調製される。いくつかのジアゾニウム塩の溶液の加熱は、窒素を遊離し、そして酸性媒質中では対応するアルコール、または塩基性媒質中では有機の遊離ラジカルのいずれかを形成する。しかしながら、本発明の方法を完遂させるには、ジアゾニウム塩は、有機黒色顔料材料との反応を可能にするのに十分に安定であることだけが必要とされる。従って、本発明の方法は、さもなければ、不安定であり、分解を受けると考えられる幾つかのジアゾニウム塩で行うことができる。いくつかの分解プロセスが、有機黒色顔料材料とジアゾニウム塩との反応と競合する可能性があり、そして有機黒色顔料材料に結合した有機基の総数を低減させる可能性がある。更に、この反応は、高温で行うことができ、この場合は、多くのジアゾニウム塩が、分解を受ける可能性がある。また、高温は、ジアゾニウム塩の、反応媒質中への溶解を増大させ、そしてそのプロセスの間のその取扱いを向上させる。しかしながら、高温は、他の分解プロセスのために、ジアゾニウム塩の幾分かの損失をもたらす可能性がある。また、本発明の方法は、反応媒質、例えば水中の有機黒色顔料材料の混合物もしくは懸濁液へ、試薬を加えて、ジアゾニウム塩を現場で形成することによって、完遂することができる。従って、本発明のプロセスに用いられる混合物もしくは懸濁液は、ジアゾニウム塩を発生させるために1種もしくは2種以上の試薬をすでに含むことができ、そして本発明のプロセスは、残りの試薬を加えることによって完遂される。ジアゾニウム塩を形成する反応は、有機化合物に通常見られる極めて多様な官能基と両立できる。従って、有機黒色顔料材料との反応のためのジアゾニウム塩の利用可能性だけが、本発明の方法を制約する。また、本発明の方法は、ジアゾニウム塩および有機黒色顔料材料の間の反応が進行するのを可能にするいずれかの反応媒質中で行うことができる。この反応媒質は、例えば溶媒を基にした系であることができ、そしてこの溶媒は、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、または溶媒の混合物であることができる。ジアゾニウム化学物質についての他の詳細は、上記で引用した文献の1つまたは2つ以上に見ることができる。
【0048】
従って、表面改質有機黒色顔料は、例えば、有機黒色顔料、例えば、ペリレンブラックを、液体反応媒質中でジアゾニウム塩と反応させて、少なくとも1種の有機基(または化学基)を有機黒色顔料の表面に結合させることによって調製することができる。ジアゾニウム塩は、顔料に結合するように有機基を含むことができる。ジアゾニウム塩は、1種または2種以上のジアゾニウム基を有する有機化合物であることができる。反応媒質は、極性媒質を含むことができる。反応媒質は、水、水を含むいずれかの媒質、およびアルコールを含むいずれかの媒質を含むことができる。水は、好ましい媒質であることができる。表面改質有機黒色顔料(例えば、表面改質ペリレンブラック製品)の調製では、ジアゾニウム塩は、有機黒色顔料との反応を可能にするのに十分に安定であることだけが必要である。従って、この反応は、さもなければ、不安定であり、そして分解を受けると考えられる幾つかのジアゾニウム塩で行うことができる。幾つかの分解プロセスが、有機黒色顔料とジアゾニウム塩との間の反応と競合する可能性があり、そして着色顔料に結合された有機基の総数を低下させる可能性がある。更に、この反応は、高温で行うことができ、その場合には、多くのジアゾニウム塩が分解を受け易い可能性がある。また、高温は、ジアゾニウム塩の反応媒質中への溶解性を有利に増大させる可能性があり、そしてこの方法の間のその取扱いを向上させる。上記のように、ジアゾニウム塩は、現場で調製することができる。本発明の表面改質有機黒色顔料(例えば、表面改質有機黒色顔料製品)が、副生成品または結合されていない塩を含まないことが、好ましい可能性がある。
【0049】
調製のプロセスでは、有機黒色顔料、例えばペリレンブラックは、希釈した、容易に撹拌できる、水性スラリーとして存在する場合か、または有機黒色顔料ペレットの形成に適正な量の水の存在で、ジアゾニウムと反応することができる。所望であれば、有機黒色顔料ペレットは、慣用のペレット化技術を用いて形成することができる。もし用いられる場合には、他の着色顔料、例えばカーボンブラックを、同様にジアゾニウム塩と反応させることができる。更に、表面改質有機黒色顔料が、カーボンブラックまたは他の異なる着色顔料とともに、例えば分散液もしくはコーティング中で用いられる場合には、有機黒色顔料およびカーボンブラックは、本発明のプロセスにおいて、ジアゾニウム塩と反応する前に、微細な粒子径に粉砕して、分散液またはコーティング中での表面改質有機黒色顔料の望ましくない沈殿または沈降を防ぐことができる。有機黒色顔料上の有機基の量が、コロイド状安定性を与えるのに十分でない場合には、分散液もしくはコーティング中で、これらの粒子の安定化の更なる手段が必要となる可能性がある。そのような手段の1つは、分散剤であることができる。
【0050】
上記のように、基Xは、アリーレンまたはヘテロアリーレン基、アルキレン基、アラルキレン基、またはアルカリレン基(alkarylene group)を表すことができる。Xは、顔料に直接に結合しており、そしてZ基で、更に置換されている。Xは、結合基(例えば、連結するジラジカル-)であることができ、好ましくは顔料表面とZ基の間を直接に結合することができる。アリーレンおよびヘテロアリーレン基は、芳香族基であることができ、例えば1つもしくは2つ以上の環を含む不飽和環式炭化水素が挙げられるが、それらには限定されない。ヘテロアリーレン基では、芳香族基の1つもしくは2つ以上の環炭素は、ヘテロ原子(すなわち、非炭素原子)によって置換されている。芳香族基の水素は、置換されていても、置換されていなくてもよい。上記のように、Xは、ヘテロアリーレン基を表すことができる。有機黒色顔料表面、例えばペリレンブラック表面を処理するために、ヘテロ環系のジアゾニウム塩を含む、ジアゾニウム化学薬品経路を用いると、表面改質基を結合することを容易にすることができることが見出された。特定の理論に拘束されることは望まないが、ヘテロ環式環は、顔料をより不活性化させる傾向にはない可能性があると考えられる。
【0051】
ヘテロアリーレン基は、例えば1種もしくは2種以上のヘテロ原子(例えば、1個、2個、3個、または4個以上のヘテロ原子)を含む、少なくとも1種のヘテロ環式環を含む結合基であることができる。ヘテロ環式環は、例えば、3〜12個の環員原子、または5〜9個の環員を含むか、または5員、または6員、または7員、または8員環であることができる。ヘテロ原子は、非炭素原子、例えばN、S、Oなどである。ヘテロ環式環は、例えば、少なくとも1個の炭素原子、または少なくとも2個の炭素原子、または他の数の炭素原子を含むことができる。複数のヘテロ原子がヘテロ環式環中に用いられる場合には、このヘテロ原子は、同じかまたは異なっていてよい。ヘテロ環式基は、単一のヘテロ環式環または少なくとも1つのヘテロ環式環を含む縮合環を含むことができる。ヘテロアリーレン基は、例えば、イミダゾリレン、ピラゾリレン、チアゾリレン、イソチアゾリレン、オキサゾリレン、イソオキサゾリレン、チエニレン、フリレン基、フルオレニレン、ピラニレン、ピロリレン、ピリジレン、ピリミジレン、インドリレン、イソインドリレン、テトラゾリレン、キノリニレン、イソキノリニレン、キナゾリニレン、カルバゾリレン、プリニレン、キサンテニレン、ジベンゾフリレン、2H−クロメニレンまたはそれらのいずれかの組み合わせであることができる。また、Xは、アリーレン基、例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレンフェニル、アントラセニレンなどを表すことができる。Xが、アルキレン基を表す場合には、例としては、分岐もしくは非分岐であってよい置換または非置換アルキレン基が挙げられるが、それらには限定されない。例えば、アルキレン基は、例えば、C1〜C12基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、またはブチレンあるいは他のアルキレンであることができる。
【0052】
基Xは、Z以外の基、例えば1種もしくは2種以上のアルキル基もしくはリール基で更に置換されていてもよい。また、基Xは、例えば1種もしくは2種以上の官能基で置換されていてもよい。官能基の例としては、R、OR、COR、COOR、OCOR、カルボキシレート、ハロゲン、CN、NR、SOH、スルホナート、スルフェート、NR(COR)、CONR、NO、PO、ホスホネート、ホスファート、N−NR、SOR、NSOR、ここでRは、同じでも異なっていてもよく、独立して水素、分岐もしくは非分岐C1〜C20置換または非置換、飽和または不飽和炭化水素、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アルカリル、あるいは置換もしくは非置換アラルキルが挙げられるが、それらには限定されない。
【0053】
上記のように、基Zは、少なくとも1つのイオン基、イオン性基、非イオン基、またはポリマー基であることができる。また、基Zは、イオン基およびイオン性基の混合物であることができる。イオン基は、アニオンまたはカチオンのいずれかであることができ、また反対の電荷の対イオン、例えばNa、K、Li、NH、NR’、アセテート、NO、SO−2、R’SO、R’OSO、OH、およびCl(R’は、水素または有機基、例えば置換もしくは非置換アリールおよび/またはアルキル基を表す)と会合していることができる。イオン性基は、使用する媒質中でイオン基を形成することができる基であることができる。アニオン性基はアニオンを形成することができ、そしてカチオン性基はカチオンを形成することができる。イオン基としては、米国特許第5,698,016号、第5,837,045号、および第5,922,118号明細書中に記載されあものが挙げられ、それらを参照することによって本明細書の内容とする。アニオン基は、負に荷電したイオン基であり、アニオン(アニオン性基)、例えば酸性置換基を形成することができる、イオン性置換基を有する基から発生させることができる。またそれらは、イオン性置換基の塩中のアニオンであることができる。アニオン基の代表的な例としては、−COO、−SO、−OSO、−HPO、−OPO−2、−PO−2、が挙げられる。アニオン基は、一価の金属塩、例えばNa塩、K塩、Li塩である対イオンを構成することができる。また、対イオンは、アンモニウム塩、例えばNH塩であることができる。アニオン性基の代表的な例としては、−COOH、−SOH、−PO、−R’SH、−R’OH、および−SONHCOR’(R’は、水素または有機基、例えば置換もしくは非置換アリールおよび/またはアルキル基を表す)が挙げられる。カチオン基は、正に荷電したイオン基であり、カチオン(カチオン性基)、例えばプロトン化アミンを形成することができるイオン性置換基から発生させることができる。例えば、アルキルまたはアリールアミンは、酸性媒質中でプロトン化して、アンモニウム基、−NR’(R’は、有機基、例えば置換もしくは非置換アリールおよび/またはアルキル基を表す)を形成することができる。また、カチオン基は、正に荷電した有機イオン基であることができる。例としては、第四級アンモニウム基(−NR’)および第四級ホスホニウム基(−PR’)が挙げられる。ここで、R’は、水素または有機基、例えば置換もしくは非置換アリールおよび/またはアルキル基を表す。カチオン基は、アルキルアミン基またはその塩またはアルキルアンモニウム基を含むことができる。
【0054】
基Zは、少なくとも1種のカルボン酸基またはその塩、少なくとも1種のスルホン酸基またはその塩、少なくとも1種のスルフェート基、少なくとも1種のアルキルアミン基またはその塩、あるいは少なくとも1種のアルキルアンモニウム基を含むことができる。基Xは、ヘテロアリーレン基またはアリーレン基であることが好ましい可能性があるので、式−X−Zを有する結合された有機基としては、ヘテロアリールカルボン酸基、ヘテロアリールスルホン酸基、アリールカルボン酸基、アリールスルホン酸基、またはそれらの塩が挙げられるが、それらには限定されない。例えば、結合された有機基は、例えばイミダゾリルカルボン酸基、イミダゾリルスルホン酸基、ピリジニルカルボン酸基、ピリジニルスルホン酸基、安息香酸基、ベンゼンジカルボン酸基、ベンゼントリカルボン酸基、ベンゼンスルホン酸基、またはそれらの塩であることができる。また、結合されている有機基は、それらのいずれかの置換された誘導体であることができる。
【0055】
Zに用いることができる非イオン基は、明らかな電荷を有しない基である、少なくとも1種の非イオン基を含む基を表していることができる。非イオン基の例としては、アルキル基(例えば−R'')、カルボン酸エステル(例えば−COOR''または−OCOR'')、アミド(例えば−CONHR''、−CONR''、−NHCOR''、またはNR''COR'')、アルキレンオキシド、グリコール、アルコール、エーテル(例えば−OR'')、ケトン(例えば−COR'')、ハロゲン、および亜硝酸エステルが挙げられるが、それらには限定されない。上記の式において、R''は、1〜20個の炭素原子を有する、分岐もしくは非分岐アルキルまたはアルキレン基である。従って、例えば、Xに結合されている非イオン性基は、カルボン酸のメチルまたはエチルエステルであることができ、またはこのエステルを含む非ポリマー基であることができる。Xは、例えば、ヘテロアリーレンまたはアリーレン基であることができるので、Zが非イオンである、式−X−Zを有する結合された有機基としては、(ヘテロ)アリールカルボン酸エステル、(ヘテロ)アリールカルボン酸アミド、または(ヘテロ)アラルキル基(ここで、エステル基、アミド基、およびアルキル基は1〜20個の炭素原子を有している)が挙げられるが、それらには限定されない。
【0056】
これらの結合された基を有する表面改質有機黒色顔料は、有機黒色顔料(例えば、ペリレンブラック)を、液体媒質中で、少なくとも1種の酸性官能基を含む、(ヘテロ)アリールジアゾニウム塩で処理することによって形成することができる。(ヘテロ)アリールジアゾニウム塩の例としては、スルファニル酸、4−アミノ安息香酸(PABA)、4−アミノサリチル酸、7−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフチレンスルホン酸、アミノフェニルボロン酸、アミノフェニルホスホン酸、4−アミノフタル酸、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、およびメタニル酸から調製されるものが挙げられるが、それらには限定されない。有機基は、置換もしくは非置換スルホフェニル基またはその塩;置換もしくは非置換(ポリスルホ)フェニル基またはその塩;置換もしくは非置換スルホナフチル基またはその塩;あるいは置換もしくは非置換(ポリスルホ)ナフチル基またはその塩であることができる。また、ジアゾニウム塩は、同じ環構造内の、1個もしくは2個以上の環炭素が、N、O、Sまたはそれらのいずれかの組み合わせで置き換えられ、そしてその環炭素が−N置換基を有するヘテロアリーレン部分、を含むことができる。これらのジアゾニウム塩は、例えば、X基と表されるいずれかのヘテロアリーレン基を含むことができる。ジアゾニウム塩は、例えば式(Ia)または(IIa)のカチオンを含むことができる。
【0057】
【化2】
【0058】
式中、Xは、O、N(R)またはSであり、それぞれのRおよびRは、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、SO、NR、またはN(R)Yであり、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立して水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであるが、但し、RおよびRの少なくとも1つはHでない。ヘテロアリーレン基を含むジアゾニウム塩を形成するのに用いられるジアゾ化反応は、典型的には酸、例えば硫酸、リン酸、酢酸、メタンスルホン酸、またはプロピオン酸、またはそれらの混合物の存在下で行うことができる。好ましくは、これらの反応は、例えば約2.5未満のpH(例えば、約2未満、または約1.5未満、または約1未満のpH)で行うことができる。ヘテロアリール第一級アミンがジアゾニウム塩を形成するために用いられ、そして酸性基(例えば、カルボン酸または硫酸基)を含む場合には、ジアゾニウム塩を形成するのに必要とされる付加的な酸の量は、低減もしくは排除すらすることができる。
【0059】
上記のように、Zはポリマー基であることができる。顔料に結合することができるポリマー基としては、本明細書の内容とした前記の参考文献の1つまたは2つ以上に記載されているものが挙げられる。また、Zは、ポリマー基を含んだポリエーテルアミンであることができる。例えば、本発明のポリマー改質顔料は、少なくとも1種のポリマー基が結合されている顔料を含むことができ、このポリマー基は、式−X−Y−[PAO]−Rを有している。この式において、顔料に直接に結合しているXは、例えば、アリーレンまたはヘテロアリーレン基、例えば上記で規定したもの、であることができ、そして好ましくはヘテロアリーレン基である。Yは、ヘテロ原子を含む結合基、例えばN(R)またはOであることができ、ここでRは、H、C1〜C18アルキル基、C1〜C18アシル基、アラルキル基、アルカリル基、またはアリール基である。好ましくは、Yは、N(H)である。PAOは、ポリアルキレンオキシド基であり、そして約1〜約12個の炭素を有するアルキレンオキシド基を含むポリマー基、例えば、−CH−CH−O−基、−CH(CH)−CH−O−基、−CH−CH(CH)−O−基、−CHCHCH−O−基、またはそれらの組み合わせを含んでいる。PAOは、好ましくは、1種もしくは2種以上のプロピレンオキシド(PO)単位、−(−CH(CH)−CH−O−)−もしくは−(−CH)−CH(CH)−O−)a−および1種もしくは2種以上のエチレンオキシド(EO)単位、−(−CH−CH−O−)−(「a」と「b」は、互いに独立して1以上の値を有する)を含むポリアルキレンオキシド共重合体であることができる。従って、PAOは、好ましくはエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位の共重合体であることができる。Rは、ポリマー基のキャッピング基、または官能基であることができる。Rがキャッピング基である場合には、それはH、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換芳香族基であることができる。Rがキャッピング基であり、またYがNHである場合には、−Y−[PAO]−Rは、モノアミン末端ポリアルキレンオキシドであることができ、これはポリマー改質顔料のポリマー基(Z)を形成する。Rは、いずれかの更なる処理および/または改質顔料の最終使用において、非反応性もしくは本質的に非反応性であるキャッピング基として選択することができる。あるいは、Rは、ポリアルキレンオキシドが、基Xを介して顔料に結合した後に反応性官能基を保持することができるように、官能基(例えば、第一級アミン基、−NH)であることができる。また、ポリマーと改質顔料の量は、上記でより詳細に議論したように、変えることができる。
【0060】
Zは、例えば、介在するアミノフェニル−2−スルファートエチル−スルホン(APSES)結合、例えば、4−アミノフェニル−(2−スルファートエチル−スルホン(APSES)結合、または3−アミノフェニル−(2−スルファートエチル−スルホン(APSES)結合、または5−アミノフェニル−(2−スルファートエチル−スルホン(APSES)結合で顔料表面に結合されたアミン末端ポリオキシアルキレンであることができる。ここで用いられる用語APSESは、特に断りのない限り、いずれかのこれらの異性体を表すことができる。APSESは、好ましくは、例えば、4−アミノフェニル−(2−スルファートエチル)−スルホンであることができる。また、Zは、例えば、顔料表面に直接に結合したアニリン末端ポリオキシアルキレンであることができる。アミン末端ポリオキシアルキレンポリマーは、幾つかの経路を経由して有機黒色顔料の表面に結合することができる。それらの経路としては、酸/塩基相互作用、APSES結合を介した、もしくはAPSES結合なしでの顔料表面への直接/共有結合、およびPABA官能化顔料との熱的縮合が挙げられる。このようにして処理することができるポリオキシアルキレンアミンは、慣用の方法で調製することができ、そして商業的に入手することができる。このようにして有機黒色顔料と処理することができるポリオキシアルキレンアミンの商業的な供給源としては、JEFFAMINE(商標)シリーズの化合物、例えばJEFFAMINE(商標)M2070(Huntsman LLCから入手可能)があるが、それには限定されない。JEFFAMINE(商標)M2070は、約2000の平均分子量および10/31のPO/EOモル比を有するプロピレンオキシド/エチレンオキシドの、一官能性の第一級アミンポリエーテルアミン共重合体である。この共重合体は、例えば、HC−(EO)−(PO)−NH(ここで、「a」は6であることができ、そして「b」は35である)一般的なポリマー構造を有することができる。この共重合体の第一級アミン基は、APSESとの反応基として用いることができ、ポリオキシアルキレンアミンの誘導体を顔料に結合させる。JEFFAMINE(商標)シリーズの材料としては、約500〜約2500の範囲の質量平均分子量を有する、アルコキシ末端JEFFAMINE(商標)ポリアルキレングリコール、メトキシ末端JEFFAMINE(商標)ポリエチレングリコール、メトキシ末端JEFFAMINE(商標)ポリプロピレングリコール、およびメトキシ末端JEFFAMINE(商標)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体が挙げられるが、それらには限定されない。JEFFAMINE(商標)化合物は、ポリエーテル主鎖の末端に結合した第一級アミノ基を含むことができ、「ポリエーテルアミン」とも称される。上記のように、ポリエーテル主鎖は、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、または混合されたEO/POのいずれかに基づいている。このようなアミン末端ポリオキシアルキレン化合物は、第一級アミンまたは第二級アミンであることができる。上記の用途では、用いられるJEFFAMINE(商標)またはJEFFAMINE(商標)誘導体化合物のEO/PO比は、例えば、約1/0〜約0/1、または8/1〜約1/8(例えば、約8質量部のEO/1質量部のPO〜約1質量部のEO/8質量部のPO)、または約6/1〜約1/6、または約3/1〜1/3、または約3/2〜約2/3の質量/質量比であることができ、あるいは他の比率を用いることができる。
【0061】
アミン末端ポリオキシアルキレンで表面改質された有機黒色顔料を調製するためには、有機黒色顔料は、例えばアミノフェニル−(2−スルホエチル)スルホンと、ジアゾニウム反応を経て、反応させて、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基(APSES)を顔料表面に結合させることができる。次いで、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基は、アミン末端ポリオキシアルキレン、例えばJEFFAMINE(商標)シリーズ化合物と反応する。有機黒色顔料、カーボンブラック、またはその両方から選択することができる顔料に、ポリマーを共有結合させるこの方法は、塩基性のpH,例えば、pH>10、好ましくは12超、そしてより好ましくは12.5超の下で、アミノフェニル−(2−スルファートエチル)−スルホン(APSES)ジアゾニウム塩で処理された顔料のアミン末端ポリアルキレンオキシドとの反応を経由して、ポリマーを顔料に結合させる。
【0062】
図1を参照すると、限定するものではない例として、表面改質顔料(例えば、表面改質有機黒色顔料またはカーボンブラック)が提供され、そこでは有機黒色顔料またはカーボンブラックは、アミノフェニル−2−スルファートエチル−スルホン(APSES)、および亜硝酸ナトリウム(示されていない、APSESとほぼ等モル)と反応しており、少なくとも1つの結合されたスルホエチルスルホナート基を有する顔料を形成する。この顔料は、示されたように、塩基性条件の下で、アミン末端ポリオキシアルキレンアミン(例えば、JEFFAMINE(商標)M2070シリーズの化合物)と更に反応する。APSESのこの反応に用いられる顔料に対する比率は、例えば、顔料のグラム当たりに、約0.05〜約1、または約0.1〜約0.4、または約0.25ミリモルのAPSESであることができる。第2段階の反応に用いられるAPSES改質顔料に対するアミン末端ポリオキシアルキレンの比率は、例えば、顔料のグラム当たりに、約0.05〜約3、または約0.1〜約2、または約0.5ミリモルのアミン末端ポリオキシアルキレンであることができる。
【0063】
また、本発明は、アニリン末端ポリオキシアルキレンの顔料(例えば、有機黒色顔料、カーボンブラック、またはその両方)への、ジアゾニウム化学薬品を用いた、直接結合に関する。図2は、例示的なアニリン末端ポリオキシアルキレンの化学構造を示しており、これを表面改質に用いることができる。図2に示した構造において、xは、アニリンとポリエーテル部分との間の結合であり、xは、エステル、アミド、エーテル、または他の種類の結合であることができ、そしてnおよびmは、重合度である。アミノ基(HN−)は、同じ環のx結合を含む部分の結合位置に対して、アリール環のパラ−、メタ−またはオルト−位に結合することができる。同じ環位置(例えば、パラ−のみ、またはメタ−のみ、またはオルト−のみ)に結合したアミノ基を有するアニリン末端ポリオキシアルキレン、あるいはこれらの示した異性体のいずれかの組み合わせを用いることができる。これらの種類のアニリン末端ポリオキシアルキレンを用いて、例えば、一段反応を経由した、ポリマー/分散剤の、直接ジアゾニウム結合を得ることができる。アニリン末端ポリオキシアルキレンの第一級アミン基は、アニリン末端ポリオキシアルキレンの誘導体を顔料に結合させるための反応基として用いることができる。また、これらの反応は、塩基性条件、例えば、APSESとのアミン末端ポリオキシアルキレン反応について上記した条件の下で、進めることができる。結果として得られる官能化された顔料は、広範囲の溶媒中に、例えば200nm未満の平均粒子径、熱エージングおよび溶媒減少試験での良好な安定性、ならびに樹脂系中への混合の間の安定性を備えた、優れた分散液を示すことができる。この一段反応法は、ポリマー系を顔料に結合させるのに用いられる、いずれかの多段処理法に比べてコストを低減させることができる。従って、一段でのジアゾニウム法を用いた、アニリン末端ポリオキシアルキレンの顔料へのグラフト化もまた、本発明において提供される。
【0064】
単一のポリオキシアルキレンアミンの、顔料表面との酸/塩基相互作用の起こり得る制限を克服する他の方法は、幾つかのアミン基の顔料への協調的な相互作用の数を増加させることである。この点については、ポリマー基は、顔料表面に結合可能な、複数のアミン固着サイトを与える第三級アミノ基および、親水性ポリアルキレンオキシド側鎖を備えた、疎水性ポリマー芳香族主鎖を含む、櫛型分岐共重合体であることができる。優れた性能を示す分散剤は、芳香族主鎖、複数のアミン固着サイト、およびポリオキシアルキレンアミン様のPEO−PPO側鎖を含むことができることが見出された。これらの特徴を有する分散剤化合物としては、例えば、BYK-Chemie製品シリーズのLPN 21324、LPN 21421、およびLPN 21489が挙げられることが見出された。Huntsman International LLCのJEFFSPERSE(商標)、例えば、JEFFSPERSE(商標)X3200、JEFFSPERSE(商標)X3500を、本発明の顔料を備えた水系分散液およびコーティングに用いることができる。JEFFSPERSE(商標)分散剤は、複数のアミン固着サイトを与える第三級アミノ基とPEO/PPO側鎖を備えたビスフェノールA芳香族主鎖で構成される、ビスフェノールAエポキシ系分散剤である。JEFFSPERSE(商標)は、処理された顔料表面への親和性を有する、複数の固着サイトを備えたポリマーを含む分散剤を与えることができる。この分散剤の固着サイトは、アミノ基、カルボン酸基、ホスファート基、第四級アンモニウム、尿素、ウレタンおよび/またはアリール基の1つから選ぶことができる。
【0065】
有機黒色顔料(例えば、ペリレンブラック)に結合された、有機基、例えば−X−Z、の量は、ブラックマトリックスや他の用途などの、表面改質顔料のその後の用途における目的に関係がある可能性がある。ブラックマトリックス用途では、有機基の処理量は、窒素表面積を基準として、用いられる有機黒色顔料(例えば、ペリレンブラック)の有機黒色顔料の、約0.001〜約10.0マイクロモル/m、または約0.5〜約4.0マイクロモル/m、または約1〜約3.5マイクロモル/m、または約1.5〜約3.0マイクロモル/m、または約1.75〜約2.75マイクロモル/mであることができる。結合された有機基の量は、これらの処理量と同じか、それ未満であることができる。式−X−Zを有する結合された有機基の量は、所望の性能特性を得るために、変えることができる。このことが、性能特性を最適化するより大きな柔軟性を可能にする。結合された有機基の総量は、例えば、窒素吸着によって測定して(BET法)、約0.001〜約10.0マイクロモル(もしくはそれ以上)の有機基/顔料の表面積m、または約0,01〜約5.0マイクロモル/m、または約0.05〜4.0マイクロモル/m、または約1.0〜3.0マイクロモル/mであることができる。
【0066】
表面改質有機黒色顔料は、広範囲の一次粒子径を有することができる。ブラックマトリックス組成物では、例えば、顔料は、約10nm〜約400nm(もしくはそれ以上)、または約50nm〜約200nm、または約100〜約200nmの粒子径、あるいは他の粒子径を有することができる。ここでの黒色顔料の粒子径については、粒子径分布は、動的光散乱法によって測定した顔料粒子の平均体積直径に基づくことができる。有機黒色顔料は、針状、平板上、楕円形または他の幾何学的形状などの形状を有することができる。顔料は、他の形状、例えば針状および平板状であることができる。表面改質有機黒色顔料は、顔料の所望の性質に応じて、窒素吸着によって測定された(ASTM D-4820)、広範囲のBET表面積を有することができる。例えば、表面改質有機黒色顔料は、約10〜600m/g以上、例えば約20〜250m/gおよび約20〜100m/g、または他の値の表面積を有することができる。有機黒色顔料は、必要であれば、慣用のサイズ低減または粉砕技術、例えば、ボールミルもしくはジェットミル、に付すことができ、顔料をより小さな粒子径にすることができる。
【0067】
本発明は、部分的には、上記のような表面改質有機顔料に関し、これは赤外(IR)輻射線を吸収せず、したって熱を発生し難い。例えば、本発明の表面改質ペリレンブラックは、非改質ペリレン顔料の骨格とは若干異なる骨格を有するにもかかわらず、黒色を呈することができる。表面改質ペリレンブラックは、それが赤外輻射線を吸収しないので、熱遮蔽性黒色顔料であることができる。赤外輻射線を吸収しないか、または少なくとも有意に吸収しない表面改質ペリレンブラックは、従って熱遮蔽効果ではカーボンブラックよりも優れていることができる。しかしながら、上記のように、本発明による表面改質ペリレンブラックまたは他の有機黒色顔料の光学密度特性は、全ての用途、例えばブラックマトリックスに好適もしくは理想的ではない可能性がある。従って、表面改質有機黒色顔料と、カーボンブラックもしくは他の黒色着色剤との組み合わせおよび混合物を用いることができる。表面改質有機黒色顔料とのこのような混合物中で用いられるカーボンブラックは、表面改質カーボン、酸化されたカーボンブラック、非改質カーボンブラック、またはそれらの組み合わせであることができる。共添加黒色着色剤として用いられるカーボンブラックまたは他の黒色着色剤の比率は、顔料のいずれかの誘電率または他の性能仕様が適合することを確実にするために、監視することが必要である可能性がある。
【0068】
カーボンブラック顔料は、少なくとも部分的には、または完全に、ここに開示したような分散体、コーティングおよびブラックマトリックス用の黒色着色剤として用いることができる。好ましくは、ブラックマトリックスに用いられる場合には、カーボンブラック顔料は、低誘電率および光学密度値(considerations)を釣り合わせるように、ここに開示したような表面改質有機黒色顔料との組み合わせで用いられる。
【0069】
ここに記載したような分散体、コーティングおよびブラックマトリックス中で、それ自体でまたは表面改質有機黒色顔料と組み合わせて、黒色着色剤として用いることができるカーボンブラック顔料の代表的な例としては、以下の例示的な材料が挙げられるが、それらには限定されない。カーボンブラックは、種々のカーボンブラック(ピグメントブラック7)、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラックおよびランプブラックであることができ、そして、例えば、Regal(商標)、Black Pearls(商標)、Elftex(商標)、Monarch(商標)、Mogul(商標)、およびVulcan(商標)、Cabot Corporationの商標 (例えば、Black Pearls(商標)2000、Black Pearls(商標)1400、Black Pearls(商標)1300、Black Pearls(商標)1100、Black Pearls(商標)1000、Black Pearls(商標)900、Black Pearls(商標)880、Black Pearls(商標)800、Black Pearls(商標)700、Black Pearls(商標)L、Elftex(商標)8、Monarch(商標)1400、Monarch(商標)1300、Monarch(商標)1100、Monarch(商標)1000、Monarch(商標)900、Monarch(商標)880、Monarch(商標)800、Monarch(商標)700、Mogul(商標)L、Mogul(商標)E、Regal(商標)250、Regal(商標)250R、Regal(商標)350、Regal(商標)350R、Regal(商標)330、Regal(商標)400、Vulcan(商標)P、Vulcan(商標)XC-72、Vulcan(商標)XC-72Rの名称で販売されているカーボンブラックが挙げられる。
【0070】
カーボンブラックは、黒色着色剤として用いられる場合には、米国特許出願公開第2006/0084751号明細書および国際公開第96/37547号(両方を参照することによって本明細書の内容とする)中に開示されているような、炭素相とケイ素含有種相を含む多相凝集体、または炭素相と金属含有種相を含む多相凝集体であることができる。また、国際公開第96/37547号(参照することによって本明細書の内容とする)中に記載されているような、シリカ被覆炭素製品もカーボンブラック粒子として用いることができる。また、表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラック顔料は、安定な分散体を形成するために種々の異なる種類の分散剤と組み合わせて、用いることができる。
【0071】
カーボンブラックは、米国特許第5,554,739号、第5,707,432号、第5,837,045号、第5,851,280号、第5,885,335号、第5,895,522号、第5,900,029号、第5,922,118号、第6,042,643号、第6,398,858号、第7,175,946号明細書および国際公開第99/23174号(これらを参照することによって本明細書の内容とする)中に記載されているような表面改質カーボンブラックであることができる。カーボンブラックは、有機基、例えば、イオン基、イオン性基、非イオン基、またはポリマー基を結合していることができる。ポリマー基は、上記のような、カーボンブラック表面へのAPSES結合を備えたアミン末端ポリオキシアルキレン(例えば、APSES-JEFF AMINE(商標))基または、カーボンブラック表面に直接に結合したアニリン末端ポリオキシアルキレン基、またはその両方であることができる。すなわち、本発明は、カーボンブラックにポリマーを共有結合する方法を提供し、ここでこのポリマーは、アミノフェニル−(2−スルファートエチル)−スルホン(APSES)ジアゾニウム塩処理した顔料のアミン末端ポリアルキレンオキシドとの、塩基性pH(例えば、pH>10,好ましくは12超、そしてより好ましくは12.5超)の下での反応を経由して、あるいは、一段反応として、カーボンブラックの表面への直接のアニリン末端ポリオキシアルキレン結合を介して、カーボンブラックに結合している。
【0072】
APSES結合されたアミン末端ポリオキシアルキレンまたはアニリン末端ポリオキシアルキレン表面改質を与えられたカーボンブラックは、独特の非水性分散液、硬化性コーティング、感光性組成物に用いることができ、そして低誘電性ブラックマトリックス、およびこれらのカーボンブラック材料およびそれらを含む組成物を組み込むことができる他の製品に用いることができる。そのような表面改質カーボンブラックの溶媒(例えば、有機媒質)中の非水性分散液は、分散助剤の必要性を低減するか、または排除さえして、ゲル、凝集した材料、もしくは浮動性の材料がない、または実質的にない安定な分散液を与える。
【0073】
カーボンブラックは、単独で、もしくは表面改質有機黒色顔料と組合わせて用いられた場合には、この顔料の所望の性質に応じて、窒素吸着によって測定された(ASTM D−4820)広範囲のBET表面積を有することができる。例えば、カーボンブラックは、約10〜600m/g以上、例えば、約20〜250m/gおよび約20〜100m/gなどの表面積を有することができる。ブラックマトリックスまたは同様の用途では、カーボンブラック顔料は、好ましくは低構造であることができる。構造は、フタル酸ジブチル(DBP)値として表すことができ、これは、その顔料の構造または分岐の尺度である。例えば、カーボンブラック顔料は、約10〜70mL/100g以上、または約15〜約50mL/100g、または約20〜約40mL/100gなどのDBP値を有するカーボンブラックであることができる。DBPA値は、ASTMD−2414を用いて得ることができる。この顔料は、当技術分野において知られている広範囲の一次粒子径を有することができる。例えば、この顔料は、約5nm〜約100nm以上、または約10nm〜約80nm、または約15nm〜約50nmなどの一次粒子径を有することができる。必要であれば、このカーボンブラックは、慣用の径低減技術または粉砕技術、例えばボールミルもしくはジェットミルによって径を低減させることができ、この顔料をより小さな粒子径に低下させることができる。この顔料は、本質的に、全体的に球形に近づけることができる。他の形状、例えば針状および平板状の顔料もまた、用いることができる。
【0074】
他の種類の黒色顔料または黒色顔料とは異なる着色された顔料さえも、それらが、その意図された用途において全体の着色剤顔料の必要とされる性能特性を阻害しない量で用いられる限りにおいて、この表面改質有機黒色顔料、カーボンブラック、またはその両方の組み合わせと組合わせて用いることができる。これらの異なる着色顔料は、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタルシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレンレッドおよびスカーレット、ヘテロ環式イエロー、キナクリドン、ならびに(チオ)インジゴイドであることができる。そのような顔料は、多くの供給源、例えばBASF Corporation、Engelhard CorporationおよびSun Chemical Corporationから、粉末もしくはプレスケーキのいずれかで商業的に入手可能である。他の好適な着色顔料の例が、Colour Index、第3版(The Society of Dyers and Colourists、1982)中に記載されている。
【0075】
本発明の方法によって調製された表面改質黒色顔料は、洗浄、例えば、ろ過、遠心分離、もしくはこれらの2つの方法の組み合わせによって、未反応の原材料、副生成塩および他の反応不純物を取り除いて、精製することができる。また、この生成品は、例えば蒸発によって、分離することができ、そして当業者に知られている技術を用いて、ろ過および乾燥によって回収することができる。また、この顔料は、不純物および、製造プロセスの結果として分散液中に共存する可能性がある他の望ましくない遊離の種を取り除いて、精製または分級することができる。
【0076】
上記のように、本発明は、部分的に、表面改質有機黒色顔料とカーボンブラックとの混合物に関する。例えば、硬化性コーティング組成物およびブラックマトリックスに、用いることができる黒色着色剤または顔料混合物(乾燥または分散された)は、表面改質有機黒色顔料とカーボンブラックとを組み合わせることができ、そして約30%〜約100%、または約50%〜約99%、または約70%〜約95%の表面改質有機黒色顔料ならびに、0〜約70%、または約1%〜約25%、または約5%〜約20%のカーボンブラックを、もしくは他の比率で、有することができ、全ての質量パーセントは、黒色顔料の総質量を基準としている。
【0077】
更に、複合材顆粒を、少なくとも1種の表面改質有機黒色顔料と、カーボンブラックとの混合物を含む水性分散液で形成し、そして次いで顆粒を形成することで、形成することができる。異なる種類の顔料の混合物の分散液を、種々の方法、例えば、乾燥および/または乾燥された塊の粉砕、凍結乾燥およびその乾燥された塊の粉砕、あるいは顔料分散液の噴霧乾燥で顆粒を形成することによって、顆粒に形成することができる。種々の用途、例えばブラックマトリックス組成物のための容易に分散可能な複合材黒色顔料を、これらの方法で調製することができる。
【0078】
また、本発明は、例えば、液体媒質、ならびに唯一の黒色顔料として、またはカーボンブラックもしくは他の黒色顔料との混合物として表面改質有機黒色顔料を含む黒色顔料分散液に関する。黒色顔料分散液は、例えば水性もしくは非水性(溶媒)液体媒質、随意選択的に分散剤、および上記の顔料(単数)もしくは顔料(複数)を含むことができる。上記のように、本発明の1つの態様は、自己分散性の顔料を与えるものであり、これは分散助剤の必要性を低減もしくは排除することができる。この点では、例えば、本発明は、非水性媒質もしくは溶媒、ならびにAPSESを介して結合したアミン末端のポリオキシアルキレンを有する有機黒色顔料、またはAPSESを介して結合したアミン末端のポリオキシアルキレンを有するカーボンブラック、またはその両方を含む非水性黒色顔料分散液に関する。非水性顔料分散液を提供することができ、例えば、それは、溶媒およびカーボンブラックにAPSES結合を介して結合したアミン末端ポリオキシアルキレン(例えば、モノアミン末端ポリプロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合体)を含んでいる。本発明は、非水性媒質もしくは溶媒、ならびに有機黒色顔料に直接に結合したアニリン末端ポリオキシアルキレンを有する有機黒色顔料、またはカーボンブラックに直接に結合したアニリン末端ポリオキシアルキレンを有するカーボンブラック、またはその両方を含んだ、非水性黒色顔料分散液に関する。本発明は、溶媒ならびに、カーボンブラックにAPSES結合を介して結合したアミン末端ポリオキシアルキレン、またはカーボンブラックに直接に結合したアニリン末端ポリオキシアルキレン、またはその両方を含む表面改質カーボンブラックを含む非水性黒色顔料分散液に関する。これらの非水性黒色顔料分散液は、分散助剤の必要性を低減または排除することができる。
【0079】
黒色顔料分散液の成分は、それらの調製に用いられる慣用の方法を用いて混合することができる。これらの成分の混合工程は、例えばいずれかの好適な容器中で行うことができ、そしてこれらの成分は、容器に何回かの増分として、一回の単一の増分として、または連続的に、添加することができる。顔料および液体媒質およびいずれかの他の添加剤は、例えば高せん断混合条件を与えることができる装置中で混合することができる。そのような装置は、当技術分野で知られており、例えば粉砕、衝撃、または同様の衝突作用を与えることができる装置、例えば水平型媒体ミル、垂直型媒体ミル、例えば、磨砕機、ボールミル、ハンマーミル、ピンディスクミル、流体エネルギーミル、ジェットミル、流体ジェットミル、衝突ジェットミル、ローター−ステイター、ペレタイザー、ホモジナイザー、超音波処理器、キャビテータ(cavitators)などが挙げられる。この分散液中の顔料の量は、条件および最終用途の要求に応じて、非常に広範囲に変えることができる。
【0080】
分散液の配合では、例えば、表面改質有機黒色顔料、表面改質カーボンブラック、またはその両方の量を含む、黒色顔料の総量は、この分散液の総質量の、約5質量%〜約90質量%、約10質量%〜約50質量%、または約20質量%〜約30質量%であることができる。顔料の粒子径は、上述の径を含むことができ、そしてそれらの粒子が分散媒質中に安定であることを可能にしなければならない。溶媒含量は、約0〜約90質量%、または5質量%〜約75質量%、または約10質量%〜約50質量%などに変えることができる。有機溶媒の例としては、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、多価アルコール、ケトン、エステル、エーテル、グリコール、ポリグリコール、およびそれらの誘導体、ラクトン、N−含有溶媒、例えばアミドおよびそれらの溶媒のいずれかの組み合わせが挙げられる。他の溶媒としては、硬化性コーティング組成物について本明細書中に開示したものが挙げることができる。この分散剤の随意選択的な添加剤としては、例えば、分散助剤、界面活性剤、安定剤、結合剤、湿潤剤、殺生物剤、乾燥促進剤、浸透剤などを挙げることができる。非水性顔料分散液は、水分なしであることでき、または少量の水、例えば5質量%未満の水、または2.5質量%未満の水、または1質量%未満の水(例えば、0〜1質量%)または他の量を含むことができる。非水性分散液中のこの水の含量は、何かの事情で、例えば、意図された成分中の混入物としてもたらされることによって発生する可能性があり、そしてこの非水性分散液の安定性を維持する目的で制御することができる。この分散液のための添加剤としては、例えば、米国特許第6,494,943号、第5,713,988号、および第6,942,724号明細書中に開示されている材料が挙げられ、これらを参照することによって本明細書の内容とする。これらの添加剤の総量は、例えば、この分散液の0〜50%、または他の量であることができる。この分散液中に用いられる水性媒質は、水を含むいずれかの媒質であることができる。従って、水性媒質は、例えば水または、水と、水と混和性の溶媒、例えばアルコールとの混合物であることができる。好ましくは、水性媒質は、用いられる場合には、水である。また、黒色顔料分散液は、硬化性分散液であることができる。例えば、いずれかの硬化性モノマー、プレポリマーまたはそれらの組み合わせを、この分散液の硬化性化合物として用いることができる。慣用のラジカル重合、光酸発生剤もしくは光塩基発生剤を用いた光硬化系、または光誘導交互共重合などの、いずれかの方法を、例えば用いることができる。更に、これらの系の組み合わせもまた用いることができる。
【0081】
黒色顔料分散液は、最少限の付加的な成分(添加剤および/または共溶媒)および処理工程で形成することができる。しかしながら、添加剤、例えば界面活性剤および共溶媒もまた、含むことができる。本発明の方法によって調製された黒色顔料分散液は、例えば硬化性コーティング、インク、プラスチック、紙、繊維製品、およびゴム製品などが挙げられるが、それらには限定されない種々の用途に有用であることができる。
【0082】
また、本発明は、唯一の黒色顔料として表面改質有機黒色顔料を、唯一の黒色顔料としてカーボンブラックを、またはこの2種類の黒色顔料の混合物を含んだ、硬化性コーティング組成物に関する。この硬化性コーティング組成物は、例えば、媒質、硬化性樹脂、および表面改質有機黒色顔料、カーボンブラック、またはその両方から選ばれた少なくとも1種の顔料を含むことができる。この媒質は、水性媒質または非水性媒質のいずれかであることができる。水性および非水性の両方の液体媒質を用いることができるが、幾つかの用途では、液体媒質は、好ましくは非水性媒質である。非水性媒質の例としては、ブチルアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコール、シクロへキノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ラクテートエステル、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、およびそれらの混合物が挙げられる。水性溶媒もまた、加えることができ、例えば水および水溶性アルコールが挙げられる。
【0083】
硬化性樹脂は、当技術分野で知られているいずれかの樹脂であることができる。例えば、この樹脂は、エポキシビスフェノール−A樹脂またはエポキシノボラック樹脂であることができる。また、この樹脂は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、またはゼラチンであることができる。この樹脂は、種々の知られた方法によって、例えば、熱的に、またはいずれかの輻射線源、例えば赤外もしくは紫外輻射線によって、硬化することができるものである。このようにして、硬化性コーティング組成物は、感光性(すなわち、輻射線によって、例えば、化学線への暴露および吸収によって硬化することができる)または感熱性(すなわち、例えば、加熱することによって、温度を変えることによって硬化することができる)であることができる。この樹脂組成物は、いずれかの輻射線源、例えば赤外もしくは紫外輻射線によって、硬化することができる。この樹脂が輻射線によって硬化可能である場合には、この硬化可能なコーティング組成物は、それぞれの顔料が光を吸収すると、ラジカルを発生する、光開始剤を更に含むことができる。この点では、感光性樹脂用の慣用の光開始剤を、いずれかの有効な量で、用いることができる。また、また、モノマー、例えば、アクリレート、メタクリレート、エポキシド、またはスチレン類を含むことができる。硬化性コーティング組成物は、最少限の付加的な成分(添加剤および/または共溶媒)および加工工程で形成することができる。しかしながら、添加剤、例えば界面活性剤および共溶媒もまた含むことができる。例えば、感光性樹脂、例えばエポキシビスフェノールAまたはエポキシノボラックが用いられる場合には光開始剤もまた、加えることができる。また、モノマーおよび/またはオリゴマーも加えることができる。
【0084】
硬化性コーティング組成物は、当業者に知られているいずれかの方法、例えば、高せん断混合、を用いて形成することができる。更に、この組成物は、表面改質有機黒色顔料、カーボンブラック、またはそれらの混合物の分散液をミルベースとして用いて調製することができる。硬化性コーティング組成物の配合では、黒色顔料の総量、例えば、表面改質有機黒色顔料、表面改質カーボンブラック、またはその両方の総量は、この硬化性コーティング組成物の全質量の、約2質量%〜約25質量%、または約3質量%〜約20質量%、または約4質量%〜約15質量%であることができる。黒色顔料の総量は、このコーティング組成物が硬化性コーティングを形成し、そして次いで硬化されるように用いられる場合には、結果として得られる硬化されたコーティングが、硬化されたコーティングの全質量を基準として約10質量%以上の全黒色顔料を含むように、または結果として得られる硬化されたコーティングが、硬化されたコーティングの全質量を基準として、約20質量%以上の全黒色顔料を含むように、もしくは硬化されたコーティングの全質量を基準として、約20質量%〜60質量%を含むようなものである。表面改質有機黒色顔料とカーボンブラックの比率は、用いられるのであれば、上記の値を含むことができる。
【0085】
硬化性コーティング組成物は、最小限の付加的な成分(添加剤および/または共溶媒)および処理工程で形成することができる。しかしながら、添加剤、例えば界面活性剤および共溶媒もまた含むことができる。例えば、感光性樹脂、例えばエポキシビスフェノールAもしくはエポキシノボラック、が用いられる場合には、光開始剤を加えることができる。モノマーおよび/またはオリゴマーを加えることができる。
【0086】
本発明は、更に、硬化性コーティングに関し、その中で、改質顔料は、例えば、上記で規定されたような、式−X−Aを有する少なくとも1種の有機基が結合されている顔料を含むことができる。硬化性樹脂および顔料、例えば、表面改質有機黒色顔料もしくはカーボンブラックは、より詳細に上記したもののいずれかであることができる。硬化性コーティングは、感光性コーティングであることができ、この硬化性コーティングに輻射線を照射することによってコーティングの形成をもたらし、あるいは感熱性コーティングであることができ、そこではコーティングは、この硬化性コーティングの熱処理によって形成される。本発明のこの態様では、硬化性コーティングは、十分な量の表面改質有機黒色顔料またはカーボンブラック、またはそれらの混合物を、硬化されてコーティングを形成した場合に、結果として得られたコーティングが、黒色顔料を、それが表面改質有機黒色顔料か、もしくはカーボンブラックか、もしくはそれらの混合物かに関わらす、硬化されたコーティング組成物に対して上記の量で含むように、含むことができる。
【0087】
本発明は、更に、コーティングまたはコーティングフィルムに関する。このコーティングは、更なる詳細を上述した、本発明の硬化性コーティングから調製することができる。このコーティングは、樹脂および、少なくとも1種の表面改質有機顔料もしくはカーボブラック、もしくはそれらの混合物を含むことができ、その中で、表面改質有機黒色顔料またはカーボンブラック、またはその両方は、より詳細を上記したそれらのいずれかである。このコーティングまたはコーティングフィルム中の黒色顔料の総量は、それが表面改質有機黒色顔料かカーボンブラックかそれらの混合物かに関わらず、硬化されたコーティング組成物に対して上記の量で存在することができる。用いられる表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックの比率は、上記した値を含むことができる。
【0088】
本発明の硬化性コーティング組成物および硬化性コーティングは、例えば、支配的な量の表面改質有機黒色顔料単独または、カーボンブラックとの組み合わせで、媒質中で調製されて、硬化性フィルムを形成するコーティングに用いることができる安定な分散液を与えることが、驚くべきことに見出された。このことは、更なる詳細を以下に記載する、向上した全体的な性質および性能、例えば、電気的性質、例えば低誘電率、高表面抵抗と高光学密度との向上した釣合、を有する、コーティングおよびブラックマトリックスの調製を可能にする。表面抵抗は、絶縁性材料の表面に沿った漏洩電流への抵抗の尺度であり、そして当技術分野で知られている種々の方法、例えば、ASTM法D257−93中に規定された方法を用いて測定することができる。光学密度(OD)は、材料の不透明度の尺度であり、そして典型的には、濃度計を用いて測定される。ODは、幾つかの因子、例えば、フィルムの厚さに依存する。光学密度は、X-RITE 36 IT濃度計(X-RITE、Grand Rapids、ミシガン州、米国)で測定することができる。コーティングの表面抵抗は、Keithley Model 6517 Electrometer/High Resistance Meter(Keithley Instruments Inc、Solon、オハイオ州)を用いて測定することができる。本発明のコーティングは、約1012オームパースクエア(Ohms/sqまたはΩ/スクエア)以上、または約1013Ω/スクエア以上、または約1014Ω/スクエア以上などの表面を有することでき、および/または、1ミクロンの厚さで、約2以上、または約3以上、または約4以上、または約5以上の光学密度を有することができる。本発明のコーティングは、このコーティングの用途に応じて、より大きなフィルム厚さ、例えば、10〜100ミクロンの厚さにおいて、同様の電気特性(例えば抵抗)を有することができる。また、本発明は、硬化性コーティング組成物、硬化性コーティング、および改質有機黒色顔料を含むコーティング、ならびにそれから形成することができるブラックマトリックスに関する。これらの製品を含むブラックマトリックスは、上記のような表面抵抗および/または光学密度を有することができる。ブラックマトリックスは、20未満、または15未満、または10未満などの値の誘電率κを有することができる。誘電率は、精密インピーダンスアナライザー(Hewlett-Packard Co.製造のModel No. 4294A)で測定することができる。誘電率を測定するための静電容量測定がなされる周波数は、100HZ〜1MHzの範囲であることができる。
【0089】
性能は、本発明によって制御することができる種々の因子、例えば処理水準および顔料の種類、に依存する。
【0090】
通常は、特定のカーボンブラック顔料の充填量は、単独で、または支配的顔料として用いる場合には、この顔料を含むコーティングの表面抵抗に有意に影響する可能性がある。当初は、低充填量では、表面抵抗は、カーボンブラックの量が増加しても、実質的に一定のままである。より高充填量では、転移が起こり、そこでは抵抗に実質的な低下が起こるのに十分な顔料が存在している。このことは、しばしば、カーボンブラックのパーコレーション闘値と表される。この閾値より過剰の顔料の量は、コーティングの抵抗に、非常に小さな影響しか有しない。通常は、大抵のカーボンブラックは、同様のパーコレーション性能を示す。従って、カーボンブラックのパーコレーション曲線は、カーボンブラックの種類に関わらずに、パーコレーション点(すなわち、そこで表面抵抗が低下するカーボンブラックの充填量)が異なることを除けば、非常に似通っている。カーボンブラックのこれらの効果は、例えば米国特許出願公開第2006/0084751号明細書中に示されており、これを参照することによって本明細書の内容とする。ブラックマトリックや他の同様の用途において用いられるコーティングの抵抗および誘電率特性および性能を制御するための主要な手段として、カーボンブラックの少なくとも一部の代わりに、実質的なまたは支配的な量の、ここに示したような表面改質有機黒色顔料を用いることによって、そのコーティングの信頼性を高めることができる。
【0091】
本発明は、更に、例えば液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタに用いることができるブラックマトリックスに関する。ブラックマトリックスは、当技術分野で知られているいずれかの方法で形成し、そして用いることができる。例えば、ブラックマトリックスは、黒色顔料、例えば、表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラック混合物を含む硬化性コーティング組成物を、基材上に適用し、結果として得られる硬化性コーティングを像様に硬化し、そして現像し、そして硬化されたコーティングを乾燥することによって形成することができる。ブラックマトリックスは、硬化性コーティング組成物、硬化性コーティングおよび/または本発明のコーティングから調製することができ、それらのそれぞれは、上記により詳細に記載している。
【0092】
表面抵抗および光学密度は、ブラックマトリックス材料の重要な性質であり、そして上記により詳細に記載されている。本発明のブラックマトリックスは、例えば本発明の硬化性コーティング組成物から形成することができるので、これは本発明の硬化されたコーティングを形成するために用いられ、このブラックマトリックスは、前記のコーティングに関連付けて上述した性能特性(表面抵抗および光学密度)を有することができる。更に、本発明のブラックマトリックス中の、表面改質有機黒色顔料、またはそれとの混合物で用いられる随意選択的な表面改質カーボン製品の、結合された有機基の量は、異なる所望の全体的な性能属性を得るために、変えることができる。更に、表面改質有機黒色顔料の量は、変えることができ、そして有機黒色顔料の種類および結合された基の量に依る。ここに記載されたような表面改質カーボンブラックを黒色顔料として配合されたブラックマトリックスもまた、表面改質有機黒色顔料を共に含有することなく、提供することができる。本発明のブラックマトリックス中の、例えば表面改質有機黒色顔料、カーボンブラック、またはこれらの黒色顔料の混合物を供給源とする黒色顔料の総量は、硬化されたブラックマトリックスコーティングの総質量を基準として、約10質量%以上の総黒色顔料、または硬化されたブラックマトリックスコーティングの総質量を基準として、約20質量%以上の総黒色顔料であることができ、あるいは硬化されたブラックマトリックスコーティングの総質量を基準として、約20質量%〜約60質量%の総黒色顔料であることができる。硬化されたブラックマトリックスは、例えば30質量%未満、またはその他の量の総カーボンブラックを有する総黒色顔料を含むことができる。硬化性コーティング組成物について上記した顔料のこれらの種々の量を、ブラックマトリックスコーティングの配合に適用することができるが、しかしながらそれらには限定されない。ブラックマトリックス中の、表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックの比率は、用いられるのであれば、上記の値を含むことができる。
【0093】
本発明は、更に、ブラックマトリックス、そして特には本発明のブラックマトリックスと組合わせて用いることができる、カラーフィルタに関する。このカラーフィルタは、当技術分野で知られているいずれかの方法を用いて、特には上記のブラックマトリックスに関する方法と同様の方法を用いて形成することができる。この用途では、色がディスプレイ装置の画素に必要とされる色に対応する改質顔料を用いることができる。また、本発明は、基材上に形成された少なくとも1つの薄膜トランジスタ(TFT)アレイを含むカラーフィルタオンアレイ(COA)構造、およびこのアレイ上に直接に配置された赤外もしくは近赤外輻射線透過層に関し、この輻射線透過層は、上記のようなブラックマトリックスを含むことができる。また、本発明は、ここに記載したようなカラーフィルタオンアレイ構造を含む液晶ディスプレイ装置に関する。
【0094】
図3を参照すると、例えば、本発明による液晶装置300が示されており、これはカラーフィルタオンアレイ(COA)技術で作ることができる。カラーフィルタ321は、能動素子アレイ基材310(例えば、TFTアレイ基材)上に形成される。カラーフィルタ321は、ブラックマトリックス324および複数のカラーフィルタ薄膜326を含んでいる。一般的に言って、カラーフィルタ薄膜領域326は、赤色、青色、または緑色樹脂であることができる。液晶層330は、カラーフィルタ321および反対側の透明絶縁基材320の間に配置される。パターン形成された電極315は、層330に面する反対側の基材320の表面上に与えられる。カラーフィルタ321は、能動素子基材310上に、例えば写真平板法、インクジェット印刷、または当技術分野で知られているようなそれらの方法の組み合わせを用いて形成することができる。例えば、ブラックマトリックス324は、パターン形成されたネガ型の感光性背面(back)樹脂層として形成することができ、そしてカラーフィルタ領域326は、パターン形成された感光性カラーフィルタ層領域として、および/またはインクジェット印刷によって形成することができる。能動素子アレイ基材310(例えば、TFTアレイ基材)の設計および製造は、慣用のものであり、またはここに開示したようなブラックマトリックス組成物で作られたカラーフィルタとの組み合わせでの使用に最適ないずれかの構成であることができる。液晶装置中に、そのような装置中に、そしてそのような装置とともに、慣用に用いられる、示されていない他の部品を、含むことができる。
【0095】
表面改質有機黒色顔料および随意選択的にカーボンブラックを含んでいるブラックマトリックスを含むカラーフィルタの、TFTアレイ上への形成は、例えば、米国特許第7,439,090号、第7,436,462号および第6,692,983号明細書中に開示され、そして示されているプロセス工程および配置を用いて提供することができ、これらを参照することによって本明細書の内容とする。
【0096】
本発明は、下記の態様、実施態様、特徴を、いずれかの順序および/またはいずれかの組み合わせで含んでいる。
1.本発明は、式−X−Zを有する少なくとも1種の有機基が結合されている有機黒色顔料を含む表面改質有機黒色顔料に関し、式中、Xは、顔料に直接に結合されており、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アラルキレン基、またはアルカリレン(alkarylene)基を表し、そしてZは、少なくとも1種のイオン基、少なくとも1種のイオン性基、少なくとも1種のノニオン基、少なくとも1種のポリマー基、またはそれらのいずれかの組み合わせを表す。
2.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の顔料製品であって、前記有機黒色顔料が、ペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、またはそれらの組み合わせである、顔料製品。
3.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の顔料製品であって、Zが、ヘテロアリーレン基である、顔料製品。
4. 前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の顔料製品であって、Zが、置換もしくは非置換イミダゾリレン、ピラゾリレン、チアゾリレン、イソチアゾリレン、オキサゾリレン、イソオキサゾリレン、チエニレン、フリレン基、フルオレニレン、ピラニレン、ピロリレン、ピリジレン、ピリミジレン、インドリレン、イソインドリレン、キノリニレン、イソキノリニレン、キナゾリニレン、カルバゾリレン、プリニレン、キサンテニレン、ジベンゾフリレン、2H−クロメニレンまたはそれらのいずれかの組み合わせである、顔料製品。
5. 前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の顔料製品の製造方法であって、有機黒色顔料を、少なくとも1種のヘテロ環式アミンから生成されたジアゾニウム塩と、液体反応媒質中で反応させて、少なくとも1種の有機基を前記顔料の表面に結合させることを含む、方法。
6. 前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の表面改質有機黒色顔料とカーボンブラックとの混合物。
【0097】
7.媒質、随意選択的に分散剤、ならびに前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の表面改質有機黒色顔料を含む、顔料分散液。
8.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記顔料分散液であって、前記分散剤が存在し、かつこの分散剤が、随意選択的にAPSES結合で有機黒色顔料表面に結合している、アミン末端ポリオキシアルキレンを含む、顔料分散液。
9.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記顔料分散液であって、前記分散剤が存在しており、かつ、この分散剤が前記有機黒色顔料に直接に結合しているアニリン末端ポリオキシアルキレンを含む、顔料分散液。
10.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記顔料分散液であって、前記分散剤が存在しており、かつこの分散剤が、処理された顔料表面に親和性を有する複数の固着サイト(anchoring sites)を備えたポリマーを含む、顔料分散液。
11.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記顔料分散液であって、前記分散剤上の前記固着サイトが、アミノ基、カルボン酸基、ホスフェート基、第四級アンモニウム、尿素、ウレタンまたはアリール基、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、顔料分散液。
12.溶媒および前記カーボンブラックに直接に結合したアニリン末端ポリオキシアルキレンを含む、非水性顔料分散液。
【0098】
13.媒質、硬化性樹脂、ならびに前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記表面改質有機黒色顔料を含む、硬化性コーティング組成物。
14.非水性媒質、硬化性樹、ならびに前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記表面改質有機黒色顔料を含む、硬化性コーティング組成物。
15.非水性媒質、硬化性樹、ならびにAPSES結合を介してカーボンブラックに結合されているアミン末端ポリオキシアルキレンを含む表面改質カーボンブラックを含む、硬化性コーティング組成物。
16.前記硬化性樹脂が、感光性樹脂である、前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記硬化性コーティング組成物。
17.前記硬化性樹脂が、感光性樹脂である、前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記硬化性コーティング組成物。
【0099】
18.前記硬化性樹脂が、感光性樹脂である、前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記硬化性コーティング組成物。
19.ポリマーを、有機黒色顔料を含む顔料に、共役結合的に結合する方法であって、1種もしくは2種以上のポリマーを、塩基性のpHの下での、アミノフェニル−(2−スルファートエチル)−スルホン(APSES)ジアゾニウム塩処理された顔料のアミン末端ポリアルキレンオキシドとの反応によって、前記有機黒色顔料に結合させることを含む、方法。
20.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックを含む顆粒。
21.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記顆粒の製造方法であって、請求項1記載の表面改質有機黒色顔料およびカーボンブラックの混合物を含む水性分散液を調製すること、ならびに次いでこの混合物を乾燥して、顆粒を形成させることを含む、方法。
22.硬化性コーティング組成物を基材上に適用して硬化性コーティングを形成すること、この硬化性コーティングを像様に硬化させて、硬化されたコーティングを形成すること、ならびにこの硬化されたコーティングを現像および乾燥することによって形成されたブラックマトリックス、この硬化性コーティング組成物は、以下のa)〜c)を含んでいる。
a)媒質、
b)式−X−Zを有する少なくとも1種の有機基が結合されている有機黒色顔料を含む表面改質有機黒色顔料製品、ここでXは、この顔料に直接に結合されており、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アラルキレン基またはアルカリレン基を表し、そしてZは、少なくとも1種のイオン基、少なくとも1種のイオン性基、少なくとも1種のノニオン基、少なくとも1種のポリマー基、またはそれらのいずれかの組み合わせを表し、あるいは、随意選択的に、
c)カーボンブラック。
23.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスであって、下記の式を満足する1MHxでの誘電率(κ)およびフィルムのマイクロメートル当たりの光学密度(OD/μm)を有する、ブラックマトリックス。
【0100】
【化3】
【0101】
24.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスであって、1012オームパースクエア以上の表面抵抗を有する、ブラックマトリックス。
【0102】
25.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスであって、約1ミクロンの厚さで、約2の光学密度を有する、ブラックマトリックス。
26.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスであって、前記硬化された組成物が、約30質量%〜約100質量%の有機黒色顔料および約0質量%〜約70質量%のカーボンブラックを含む黒色顔料を含む、ブラックマトリックス。
27.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスであって、APSES結合を介して前記カーボンブラックに結合している少なくとも1種のアミン末端ポリオキシアルキレンおよび前記カーボンブラックに直接に結合しているアニリン末端ポリオキシアルキレンを有する表面改質カーボンブラックを含む、ブラックマトリックス。
28.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスであって、前記カーボンブラックが、約20cc/100g〜約50cc/100gのDBPを備えた低構造を有する、ブラックマトリックス。
29.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスであって、カーボンブラックを唯一の黒色顔料として作られたフィルムに比べて、低減されたIR吸収性を有する、ブラックマトリックス。
30.硬化性コーティング組成物を基材上に適用して硬化性コーティングを形成すること、この硬化性コーティングを像様に硬化させて、硬化されたコーティングを形成すること、ならびにこの硬化されたコーティングを現像および乾燥することによって形成されたブラックマトリックス、この硬化性コーティング組成物は、
a)媒質、
b)APSES結合を介した少なくとも1種のアミン末端ポリオキシアルキレンおよびアニリン末端ポリオキシアルキレン、またはそれらの組み合わせが結合されている改質黒色顔料、
を含んでいる。
【0103】
31.基材上に形成された少なくとも1種の薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、およびこのアレイ上に直接に配置された赤外もしくは近赤外輻射線透過性層を含み、この輻射線透過性層は、前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記ブラックマトリックスを含んでいる、カラーフィルタオンアレイ(COA)構造。
32.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様の前記カラーフィルタオンアレイ構造を含む、液晶ディスプレイ装置。
33.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様のブラックマトリックスであって、下記の式を満足する1MHzでの誘電率(κ)およびフィルムのマイクロメートル当たりの光学密度(OD/μm)を有する、ブラックマトリックス。
【0104】
【化4】
【0105】
34.前記の、または下記のいずれかの実施態様/特徴/態様のブラックマトリックスであって、下記の式を満足する1MHzでの誘電率(κ)およびフィルムのマイクロメートル当たりの光学密度(OD/μm)を有する、ブラックマトリックス。
【0106】
【化5】
【0107】
本発明は、文および/または段落中で説明したように、上記および/または下記の、これらの種々の特徴または実施態様のいずれかの組み合わせを含むことができる。本明細書中に開示された特徴のいずれの組み合わせも、本発明の一部であると理解され、そして組み合わせ得る特徴についてどのような限定も意図されていない。
【0108】
本発明は、以下の例によって更に明確にされるが、これらは、本来、例示のためのだけのものであることが意図されている。
【実施例】
【0109】
例1
ペリレンブラック表面と分散剤との間の相互作用を向上させるために、ジアゾニウム化学薬品およびポリオキシアルキレンポリマー結合によるペリレンブラックの表面改質を検討した。
【0110】
2−アミノ−4,5−ジシアノ−1H−イミダゾール(AIDN)処理されたペリレンブラック顔料を先ず調製した。この調製の反応物および反応スキームを、包括的に図4に示した。ペリレンブラックは、ピグメントブラック32(BASF CorporationのPALIOGEN(商標)Black L0086)であった。ピグメントブラック32(50g)および脱イオン(DI)水(450g)を、ガラスビーズ(2mm)で最初に粉砕して湿式の顔料とした。次いで、このガラスビーズをろ過し、そして水性分散液を、ホモジナイザーおよびオーバーヘッドミキサー(overhead mixer)を装備した2Lのステンレスビーカ中に移した。この混合物を、ホモジナイザーとオーバーヘッドミキサーで更に撹拌して、顔料を分散させた。マグネチックスターラーを備えた、別の250mLの三口丸底フラスコに、AIDN(6.65g)、DI水(128mL)および1Mの硫酸(58.3mL)を加えた。この混合物を、20分間撹拌し、次いで亜硝酸ナトリウム(34.5gが、30gのDI水中に溶解されている)を、15分間に亘って、滴下して加えた。この反応混合物を、亜硝酸ナトリウムの添加が完了したのちに、更に30分間撹拌した。形成されたジアゾニウム塩溶液を、激しい撹拌の下で、ピグメントブラック32の分散液中に一度に加えた。この反応混合物を、70℃に加熱し、そして3時間保持した。次いで、この反応混合物を、室温に冷却した。この反応混合物のpHを、希水酸化ナトリウム溶液で8に調整した。次いで、この反応混合物を、篩(孔系90マイクロメートル)を通してろ過し、そして超音波処理した。この分散液をダイアフィルトレーションに掛けて、塩を除去した。最後に、この水性分散液のpHを2に調整し、そして粒子を、溶液から沈殿させた。沈殿した分散液を、4400rpmで、10分間遠心分離して、そしてケーキをDI水で、更に2回洗浄し、その後、これを70℃で16時間乾燥させた。結果として得られた粉末を、AIDN−H−ピグメントブラック32と表示した。
【0111】
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)分散液中の、ポリオキシアルキレンポリマー変性AIDN−処理ピグメントブラック32を、下記のように調製した。AIDN−H−ピグメントブラック32(10g),JEFFAMFNE(商標)M2070(3.5g)(Huntsman Corporationから入手可能)、およびPGMEA(36.5g)および2mmのガラスビーズ(50g)を、skandex中で、6時間粉砕した。最終的な分散液は、236nmの粒子径(NanoTracでの平均体積粒子径)および、ゲルもしくはゲル様のペーストの生成なしで、5.72cPの粘度を有していた。
【0112】
比較例として、未反応のピグメントブラック32(10g)、JEFFAMhNfE(商標)M2070(3.5g)およびPGMEA(36.5g)および2mmのガラスビーズ(50g)をskandex中で、6時間粉砕した。ゲル様のペーストが得られた。粘度が高かったので、これを、有意な粘度測定のために、skandexの缶から取り出すことが困難であった。
【0113】
これらの結果は、安定なペリレンブラック分散液を、PGMEA中で、本発明による表面改質ペリレンブラックから作ることができることを示している。これらの結果から、低粘度の、得られた顔料分散液は、単独で、またはODおよび誘電率特性を一緒に調整するためにカーボンブラック分散液と一緒に、ブラックマトリックス用途に配合することが可能であることが更に信じられる。
【0114】
代替案として、AIDN処理されたピグメントブラック32は、ZnClで対イオンを交換して、イミダゾリド塩の対イオンとしてのプロトンの代わりにZnを与えることができる。それ故、Znと錯体を形成することができる種々の分散剤を、PGMEA中のピグメントブラック32分散液を作るために用いることができる。
【0115】
例2
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の、ポリオキシアルキレンポリマー変性APSES−処理カーボンブラックを以下のように調製した。APSES処理したカーボンブラックを、ジアゾニウム反応を経由して得た。通常の手順(1ミリモルのAPSES/g顔料の処理)で、カーボンブラック(100g)を、DI水(500g)中に分散させて、そしてオーバーヘッドミキサーとローター−ステイターで激しく分散させた。顔料が水中に良好に分散された後に、4−アミノフェニル−(2−スルファートエチル)−スルホン(APSES)(28.1g、0.1モル)を、この分散液に加えた。温度を、60℃に上げ、そして水(50g)中の亜硝酸ナトリウム(6.9g、0.1モル)を、この分散液に、滴下して加えた。60℃での2時間の反応の後に、この反応を室温に冷却した。反応の後に、この反応混合物のpHを、約6にした。この混合物を、ダイアフィルトレーションによって精製した。
【0116】
APSES処理されたカーボンブラックへのJEFF AMINE(商標)M2070の直接の結合は、塩基性pHの下での、マイケル付加によって成し遂げられた。典型的な手順において、50gのJEFF AMINE(商標)M2070を、精製された、APSES処理されたカーボンブラック(総固形分50g)の撹拌されている分散液500mL中に加えた。次いで、20質量%のNaOHを、滴下して加えて、反応混合物のpHを12.5に調整した。この混合物を室温で一晩撹拌し、その後これを水でのダイアフィルトレーションに掛けて、過剰のNaOHとJEFF AMINE(商標)M2070を除去した。ダイアフィルトレーションの後に、JEFF AMINE(商標)M2070が結合されたカーボンブラックを、70℃に設定したオーブン中で、一晩乾燥した。
【0117】
JEFF AMINE(商標)M2070が結合された乾燥されたカーボンブラックを粉砕した。22gの微細な粉末を、78gのPGMEAと混合し、そして超音波処理ホーンで20分間超音波処理して、カーボンブラック−APSES−JEFF AMINE(商標)M2070変性顔料のPGMEA中の分散液をもたらした。粒子径は、約109nmであり、そして粘度は、2.2cPであった。
【0118】
例3
ジアゾニウム化学薬品を介してカーボンブラックにアニリン末端PEO/PPO共重合体を直接結合させて、ブラックマトリックスに有用な改質カーボンブラックを提供する例を開示する。この手順においては(1ミリモルのポリマー/g顔料の処理)、カーボンブラック(100g)をDI水(900g)中に分散させ、そしてオーバーヘッドミキサーおよびローター−ステイターで激しく分散させた。顔料が水中に良好に分散した後に、図2に示した構造を有するアニリン末端ポリオキシアルキレン(200g、0.1モル)および2.5M硫酸(20mL、0.05モル)を加えた。温度を60℃に上げて、そして水(56g)中の亜硝酸ナトリウム(6.9g、0.1モル)を滴下して分散液に加えた。60℃での2時間の反応の後に、この反応を室温に冷却した。この混合物をダイアフィルトレーションによって精製し、その後、これを70℃で16時間乾燥させた。
【0119】
例4(予想される)
ブラックマトリックスフィルムを、表面改質有機黒色顔料および改質カーボンブラックの混合物を用いて調製する。20gの表面改質ピグメントブラック32分散液(例えば、例1で作られたようなもの、PGMEA中に20質量%)、20gの改質カーボンブラック分散液(例えば、例2で作られたようなもの、PGMEA中に22質量%)、8gの感光性ポリマー(Cyclomer ACA-200;側鎖にアクリロイル基とカルボキシル基を有するアクリル酸エステル共重合体、Daicel Chemical Industriesが製造、固形分48質量%、分子量19000、固形分酸価116mg/g)、多官能性モノマーとして、9gのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1.3gのエタノン−1−(9−エチル)−6−(2−メチルベンゾイル−3−イル)−1−(o−アセチルオキシム)、1.3gの2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、1.3gの4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾ−フェノン、0.65gの3−メタクリロキシ−プロピルトリメトキシシラン、および18gのPGMEAを完全に混合して、フォトレジストを調製する。上記の方法で調整した、このフォトレジスト分散液をガラス上にスピンコートし、そして100℃で2分間予備焼成し、それによって約1.2μmの厚さを有するコーティングフィルムを形成する。次いで、この基材を室温に冷却し、高圧水銀灯の下で、フォトマスクを用いて、60mJ/cmのエネルギーに暴露する。この暴露された基材を、室温で、KOH水溶液で現像した後に、この基材を、純水で洗浄し、乾燥し、そして対流オーブン中で、220℃で30分間後焼成して、最終的な、パターン形成されたブラックマトリックスフィルムをもたらす。
【0120】
例5
ポリオキシアルキレンポリマーで改質されたAPSES処理ペリレンブラックを、例2の改質カーボンブラックと同様に作製した。ピグメントブラック32−APSES−Jeffamine(商標)0M2070を調製し、そして次いで、例2の手順に従って、PGMEA中の20質量%分散液に調製した。平均粒子径は、約200nmであり、そして粘度は、約3.36cPであった。
【0121】
例6
有機黒色顔料、ポリマーフィルム中の混合された有機黒色顔料およびカーボンブラックの誘電率および光学密度の測定がここに開示される。
【0122】
20質量%のピグメントブラック32−APSES−Jeffamine(商標)M2070(例5で調製された)および20質量%のカーボンブラック−APSES−Jeffamine(商標)M2070(例2で調製された)を、PGMEA中の、40質量%のアクリルポリマー(eocryl B-817、DSM NeoResins(Wilmington、マサチューセッツ州)から入手)溶液で希釈し、最終的な希釈(letdown)溶液を調製した。総顔料の質量分率は、スピンコートフィルム中の総顔料濃度が50質量%であることを確実にするために、ポリマー質量分率と同じに保った。光学密度の測定のために、希釈溶液を、ガラスウエハ上に、約1μmの厚さで、スピンコートした。誘電率の測定のために、希釈溶液を、誘電率測定が可能であるように、ITOコーティングされたガラス上にスピンコートした。金電極を、このフィルムの上面に堆積させた。
【0123】
ピグメントブラック32−APSES−Jeffamine(商標)M2070の、カーボンブラック−APSES−Jeffamine(商標)M2070に対する比率は、最終的なフィルム中の顔料濃度を変化させるために、希釈溶液中で、1/0から、2/1、1/1、1/2および0/1(一方で、フィルム中の総顔料濃度は50質量%に維持した)に変えた。
【0124】
Neocryl B-817中に50質量%の顔料充填量のフィルムの誘電率および光学密度を、総顔料量中のカーボンブラックの質量分率の比較で、図5中に示した。図6に、異なるピグメントブラック32/カーボンブラック比を有するフィルムの、光学密度に対する誘電率を示した。
【0125】
本出願人は、本明細書中に引用したすべての参考文献の全体の内容を参照することによって本明細書の内容とする。更に、量、濃度または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値と好ましい下限値を列挙して与えられている場合には、これらは、範囲を個別に開示しているか否かに関わらず、いずれかの上限値もしくは好ましい値と、いずれかの下限値もしくは好ましい値とのいずれかの対で形成される全ての範囲を具体的に開示しているものと理解されなければならない。本明細書中に数値範囲が記載されている場合には、特に断りのない限り、その範囲は、その両端を含めて、その範囲内の全ての整数および端数を含むことが意図されている。
【0126】
本発明の他の態様は、本明細書の考察および本明細書中に開示されている本発明の実施から、当業者には明らかであろう。本明細書および例は、添付の特許請求の範囲に示されている本発明の真の範囲および精神ならびにそれらの等価物について、例示のみと理解されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6