(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872567
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライト構造体、ならびにその作製方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/22 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
C01B39/22
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-534951(P2013-534951)
(86)(22)【出願日】2011年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-540096(P2013-540096A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】US2011056068
(87)【国際公開番号】WO2012054287
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年5月14日
(31)【優先権主張番号】12/907,609
(32)【優先日】2010年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,フイ
【審査官】
西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−239450(JP,A)
【文献】
特開平09−295812(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0018747(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシックゼオライト構造体を作製するための方法(10)であって、
シリカ源、アルミナ源、カチオンベース、及び水溶性ポリマーを混合して、反応混合物を形成する工程(12)、ここで、該カチオンベースは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、
加水分解によって前駆体ゼオライトゲルを作製するのに十分な条件下にて、遊離水が観察されなくなるまで前記反応混合物をエージングする工程(14)、
前記前駆体ゼオライトゲルを結晶化し、凝集して階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体とするのに十分な温度および継続時間にて前記前駆体ゼオライトゲルを加熱する工程(16)、及び、
モノリシックゼオライト構造体から水溶性ポリマーを洗浄により除去する工程(20)、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、ポリエーテルアミン、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、およびこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合工程(12)が、アモルファスアルミノシリケート、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびこれらの組み合わせから成る群よりアルミナ源を選択することを含み、前記アモルファスアルミノシリケートは、前記シリカ源も含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
混合工程(12)が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸、およびこれらの組み合わせから成る群よりシリカ源を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エージング工程(14)が、0℃から50℃の温度にて、4時間から10日間エージングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加熱工程(16)が、FAU、LTA、SOD、GIS、EMT、MFI、BEA、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される種類のゼオライトフレームワークを有するモノリシックゼオライト構造体を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
加熱工程(16)が、70℃から90℃の温度にて、4時間から20日間の時間で加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の記載
本出願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月19日出願の米国特許出願第12/907,609号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ゼオライトおよびその作製全般に関し、より詳細には、階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライト構造体、ならびにその作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のゼオライトは、明確な微結晶構造を有しており、従って粉末の形態である。従来のゼオライトは、ゼオライト構造の形成を指向するための構造指向剤を用い、高H
2O/Siモル比を有する溶液から水熱合成される。構造指向剤は、合成ゲルによる特定の種類のゼオライト構造の形成を誘発する、ゼオライト合成で用いられる有機分子である。一般的な構造指向剤は、四級アンモニウム水酸化物(または塩化物または臭化物)である。例えば、テトラプロピルアンモニウム水酸化物または臭化物を、MFIフレームワークを有するゼオライトのための構造指向剤として用いることができる。
【0004】
モノリシックゼオライトも入手可能であり、これも、構造指向剤を用いて合成することができる。本明細書で用いる場合、「モノリシックゼオライト」は、内部表面を境界とする内部空隙部(チャネル、キャビティなど)を含む一体化固体構造として記述される。モノリシックゼオライトは、透過性が高いこと、圧力低下が少ないこと、チャネル、キャビティなどの数が多いこと、および反応性に利用可能である表面積が広いことをそれが提供するという点で、従来のゼオライトに対する利点を有し得る。しかし、触媒および分離技術のための、ならびにその他の用途のための改善された特性を有するモノリシックゼオライトが求められ続けている。そのような改善された特性としては、表面積の増加および拡散経路長の短縮、イオン交換部位の増加、化学的および熱的安定性の向上、ならびに物理的および化学的プロセスを介する修飾の容易化が挙げられる。これらの改善された特性は、触媒および分離技術における新しい用途に繋がる可能性がある(例:高速液体クロマトグラフィ(HPLC)カラム)。そのような改善された特性は、一般的には微孔性である(2nm未満)モノリシックゼオライトに、より大きい細孔を導入することによって付与される。
【0005】
ゼオライト構造に2nmよりも大きい直径の細孔(すなわち、メソおよびマクロ細孔)を作り出すためには、固体テンプレートが用いられてきた。固体テンプレートは、通常、粒子などとして固体ネットワークを構成する比較的高価な有機化合物から成る。固体テンプレートは、物理的に固い手触りである。ゼオライト合成の際のそのような固体テンプレートの使用は、合成プロセスのコストおよび複雑性を追加することになる。ゼオライト構造の結晶化の後、固体テンプレートは除去されて、細孔が形成され、そのサイズが決定される。また、結晶の内部からも固体テンプレートを除去する必要があり、それは、それを行わない場合、細孔やチャネルなどを閉塞してしまうからである。固体テンプレートの除去は、加熱によって行われるため、加工の複雑性およびコストが増加する。また、有機化合物の廃棄など、固体テンプレートの使用に付随する環境リスクも存在する。固体テンプレートは、ゼオライトの結晶化の前後でその形態を保持する。
【発明の概要】
【0006】
従って、増加されたイオン交換能および多孔度を有し、改善された拡散特性および反応性のための表面積の拡大が提供され、その結果として触媒および分離の効率が高められるモノリシックゼオライト構造体を提供することが望ましい。また、外的な固体テンプレートを用いることなく、そのようなモノリシックゼオライト構造体を作製するための方法を提供することも望ましい。
【0007】
さらに、本発明のその他の望ましい特色および特徴は、添付の図面および本発明のこの背景と合わせて、本発明の続いての詳細の記述および添付の請求項から明らかとなるであろう。
【0008】
モノリシックゼオライト構造体を作製するための方法が提供される。1つの代表的な実施形態によると、モノリシックゼオライト構造体を作製するための方法は、シリカ源、アルミナ源、およびカチオンベースを混合して反応混合物を形成することを含む。この反応混合物は、加水分解によって前駆体ゼオライトゲルを作製するのに十分な条件下にてエージングされる。この前駆体ゼオライトゲルは、前駆体ゼオライトゲルを結晶化し、凝集してモノリシックゼオライト構造体とするのに十分な温度および継続時間にて加熱される。
【0009】
本発明のさらに別の代表的な実施形態によると、階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体を作製するための方法が提供される。この方法は、シリカ源、アルミナ源、カチオンベース、およびポリマーを組み合わせて反応混合物を形成することを含む。この反応混合物は、加水分解によって前駆体ゼオライトゲルを作製するのに十分な条件下にてエージングされる。この前駆体ゼオライトゲルは、凝集されたナノ結晶ゼオライト結晶を含み、マイクロ細孔、メソ細孔、およびマクロ細孔を有するモノリシックゼオライト構造体を作製するのに十分な温度および継続時間にて加熱される。
【0010】
さらに別の代表的な実施形態によると、階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体が提供される。階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体は、シリカ:アルミナのモル比が1:1から100:1であるゼオライト体を含む。階層的細孔構造は、直径2nm未満を有する細孔、2nmから50nmの細孔、および直径50nm超を有する細孔を含む。
【0011】
本発明を、以降、以下の図面と合わせて記載するが、ここで、類似の符号は、類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の代表的な実施形態に従う、階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライト構造体を作製する方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、代表的な実施形態に従って作製されたモノリシックゼオライト構造体のSEMによる一連の顕微鏡写真である。顕微鏡写真の各々は、以下で述べる実施例に対応する実施例番号で識別される。SEM画像はすべて、同一の設定下で撮影され、実施例1の画像に示したものと同じスケールを有する。
【
図3】
図3は、以下の実施例2で作製された階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体のSEMによる一連の顕微鏡写真であり(倍率13X)、モノリシックゼオライト構造体中のナノ結晶ゼオライト結晶を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の以下の詳細な記述は、単なる代表例としての性質のものであり、本発明、または本発明の用途および使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の本発明の背景、または以下の本発明の詳細な記述に提示されるいかなる理論にも束縛されることを意図するものではない。
【0014】
本発明の種々の代表的な実施形態は、以降で述べるように、階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト、ならびに階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライトを作製するための方法に関する。階層的細孔構造は、直径2nm未満を有する細孔、2nmから50nmの細孔、および直径50nm超を有する細孔を含む。階層的細孔構造は、表面積の増加および拡散経路長の短縮、イオン交換部位の増加、化学的および熱的安定性の向上、ならびに物理的および化学的プロセスを介する修飾の容易化などの、改善された特性をモノリシックゼオライトに付与する。代表的な実施形態に従って作製された階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライトは、自己集合性である。本明細書で用いる場合、「自己集合性」とは、合成の際に、ゼオライト構造の形成を指向するための外的な固体テンプレートが必要ないことを意味する。その結果、階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライトの合成のコストおよび複雑性が低減され、固体テンプレートの使用に付随する環境リスクを回避することができる。加えて、階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライトは、触媒および分離の効率が高められている。
【0015】
図1を参照すると、代表的な実施形態によると、モノリシックゼオライト構造体を作製するための方法10は、反応混合物の形成から開始される(工程12)。実施形態では、反応混合物は、混合または組み合わされることで反応混合物を形成するシリカ源、アルミナ源、およびカチオンベースを含む。単一の成分が、シリカおよびアルミナ源、シリカ源およびカチオンベース、またはアルミナ源およびカチオンベースの両方であってよい。例えば、アモルファスアルミノシリケートは、シリカおよびアルミナ源の両方であり得、アルミン酸ナトリウムは、アルミナと水酸化ナトリウムとの反応された混合物であると見なし得るため、アルミン酸ナトリウムは、アルミナ源およびカチオンベースの両方であり得る。所望されるフレームワークの種類に応じて、構造指向剤も反応混合物に添加してよい。構造指向剤も、カチオンベースとして作用し得る。例えば、水酸化物の形態の構造指向剤が用いられる場合、それは、カチオンベースとして作用することもできる。例えば、水酸化テトラエチルアンモニウムは、構造指向剤およびカチオンベースの両方として作用することができる。しかし、臭化テトラエチルアンモニウムが用いられる場合(構造指向剤として)、水酸化ナトリウムなどのカチオンベースが必要である。
【0016】
シリカ源およびアルミナ源の量は、1:1から100:1のSi/Alモル比を有するモノリシックゼオライトが形成されるように調節され、それは、当業者であれば決定することができる。適切な代表的シリカ源としては、二酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸などのシリケート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。シリカ源は、固体であっても、または液体であってもよい。適切な代表的アルミナ源としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびこれらの組み合わせが挙げられる。上記で述べたように、アモルファスアルミノシリケートは、シリカおよびアルミナの両方の源であり得る。アモルファスアルミノシリケートは、カオリンクレイなどの活性化クレイ、籾殻灰、または当業者に公知のその他の合成もしくは天然アモルファスアルミノシリケートを含む。従って、例えば、シリカ:アルミナのモル比が最小の1:1であるモノリシックゼオライト構造体を形成する場合、Si/Alモル比が1であるアモルファスアルミノシリケートを、シリカ源およびアルミナ源の両方として用いてよい。シリカ:アルミナのモル比が最大の100:1であるモノリシックゼオライト構造体を形成する場合、1部のアモルファスアルミノシリケートが、99部の追加のシリカ源に対して用いられる。
【0017】
カチオンベースは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化四級アンモニウム、またはこれらの組み合わせを含む。カチオンベースは、1から50重量パーセント(重量%)の濃度を有し、OH
−:Si/Alのモル比が0.05から5となるような量で添加される。溶媒も反応混合物に添加してよい。適切な代表的溶媒としては、水、エタノールなどが挙げられる。溶媒を用いて反応混合物の成分を溶解し、それによって反応混合物を実質的に均質とすることができる。溶媒は、20から70%の強熱減量まで(900℃におけるLOI)蒸発によって除去することができる。反応混合物は、比較的低い水:ケイ素比を有する。水は、カチオンベース、および液体シリカ源中の水に由来する。
【0018】
代表的な実施形態に従って作製されたモノリシックゼオライトのフレームワークは、反応混合物に用いられる具体的なシリカ源、アルミナ源、カチオンベース、またはこれらの組み合わせに依存することは理解されたい。FAU、LTA、SOD、GIS、EMT、MFI、BEA、およびこれらの組み合わせを含む種類のフレームワークのモノリシックゼオライト構造体を作製することができる。例えば、ホージャサイトフレームワークを有するモノリシックゼオライトX構造は、カオリンクレイ、ケイ酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムから成る反応混合物を用いて作製することができる。LTAフレームワークを有するモノリシックゼオライトは、例えば、カオリンクレイおよびNaOH;カオリンクレイ、アルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、およびNaOH;またはシリカおよびアルミン酸ナトリウムを用いて作製することができる。最後の例のアルミン酸ナトリウムは、反応混合物中にてカチオンベースとしても作用する。Si/Alのモル比が1より大きいMFIフレームワークを有するモノリシックゼオライトは、アルミノシリケート、例えば籾殻灰、シリケート、例えばケイ酸、およびカチオンベース、例えば水酸化テトラプロピルアンモニウムを用いて作製することができる。この例において、水酸化テトラプロピルアンモニウムは、構造指向剤としても作用する。
【0019】
別の実施形態によると、反応混合物を形成する工程は、本明細書で述べるように、反応混合物にポリマーを添加して(工程18)、続いて形成されるモノリシックゼオライト構造体に階層的細孔構造を提供することをさらに含む。従って、ポリマーを含まない反応混合物は、階層的細孔構造を持たないモノリシックゼオライト構造体を形成することは理解されたい。ポリマーはテンプレートとして作用するが、固体テンプレートとは異なり、ポリマーは、特定の形態を有さない。そのテンプレート効果は、溶解性、溶媒/水消費率、およびゼオライトとポリマーとの相互作用によって決定される。従って、同じポリマーを、異なる条件下にて異なる細孔サイズに対するテンプレートとすることができる。適切な代表的ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(例えば、BASFグローバルコーポレーションから入手可能)などのジブロックおよびトリブロックポリマー、ポリエーテルアミン(ハンツマンコーポレーション(Huntsman Corporation),ウッドランド(The Woodlands),テキサス州、より入手可能)、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。反応混合物へ添加されるポリマーの量は、無揮発成分ベースでのモノリシックゼオライト構造体の総重量の0.01重量%から50重量%を含む。
【0020】
図1を再度参照すると、方法10では、続いて、加水分解によって前駆体ゼオライトゲルを作製するのに十分な条件下にて(そして、実質的に遊離水が観察されなくなるまで)反応混合物がエージングされる(工程14)。そのような条件は、非反応性材料から構成される密封容器中、0℃から50℃、好ましくは25℃の温度にて、4時間から10日間(240時間)にわたって反応混合物をエージングすることを含む。前駆体ゼオライトゲルは、アモルファス固体である。エージング工程の間、反応混合物中の遊離水が吸収され、水の消費に従ってヒドロキシル基が形成される。ポリマーが反応混合物に添加された場合、ポリマー分子は、水が消費されるとゼオライト相から分離され、そうして前駆体ゼオライトゲル中のマクロ細孔のテンプレートとなる。本明細書で用いる場合、「マクロ細孔」とは、細孔径が50nm超および100ミクロン未満である細孔として定義される。
【0021】
さらに
図1を参照すると、方法10では、続いて、前駆体ゼオライトゲルを結晶化し、凝集して、それ自体が明確なマイクロ細孔を有するナノ結晶ゼオライト結晶から構成されるモノリシックゼオライト構造体とするのに十分な温度および継続時間にて、前駆体ゼオライトゲルが加熱される(工程16)。本明細書で用いる場合、「マイクロ細孔」の用語は、細孔径が2nm未満である細孔として定義される。「ナノ結晶」ゼオライト結晶として、結晶は、100nmまたはそれ未満のオーダーの寸法を1つ以上有する。前駆体ゼオライトゲルは、25℃から200℃の温度にて、4時間から20日間(480時間)にわたって加熱してよい。凝集および結晶化は、この加熱工程の間に、実質的に同時に発生する。前駆体ゼオライトゲルは、当業者に公知である従来の加熱手段によって加熱してよい。外的な固体テンプレートを必要とする従来のゼオライト構造の形成とは異なり、モノリシックゼオライト構造体は、自己集合性であり、すなわち、外的な固体テンプレートは用いられないかまたは不要である。加熱工程により、アモルファス固体前駆体ゼオライトゲルは、固体モノリシック(非アモルファス)ゼオライト構造へと変換される。一般的に、加熱温度が低いほど、モノリシックゼオライト構造体中のゼオライト結晶のサイズが小さくなる。ポリマーが反応混合物に添加された場合は、ポリマーは、さらなるマクロ細孔のための空間を作り出し、結晶間の空間には、メソ細孔が形成される。本明細書で用いる場合、「メソ細孔」の用語は、細孔径が2から50nmである細孔として定義される。
【0022】
本発明の代表的な実施形態に従って作製されたモノリシックゼオライト構造体は、シリカ:アルミナのモル比が1:1から100:1の範囲である固体ゼオライト体を含む。モノリシックゼオライト構造体は、成形体または未成形体であってよい。前述のように、モノリシックゼオライト構造体は、階層的細孔構造を備えていてよい(反応混合物へポリマーを添加することにより)。階層的細孔構造は、マイクロ細孔、メソ細孔、およびマクロ細孔の3種類の細孔を含む。
【0023】
再度
図1を参照すると、ポリマーは、所望に応じて、階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体から除去されてよい(工程20)。ポリマーが機能(階層的細孔構造の形成に寄与するもの以外)を有する場合は、除去は望ましくないであろう。階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体からの水溶性ポリマーの除去は、例えば、その構造を水などで洗浄することによって行ってよい。500℃以上での焼成を用いても、この単一体の一体性を脅かすことなくポリマーを除去することができる。
【0024】
実施例
以下の実施例は、代表的な実施形態に従う、階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライトの代表的な作製を表すものである。実施例は、単に例示の目的で提供されるものであり、いかなる形であっても、本発明の種々の実施形態を限定することを意図するものではない。これらの実施例に従って作製された階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライトは、
図2および3のSEM顕微鏡写真に示すように走査型電子顕微鏡(SEM)により、ならびに水銀圧入ポロシメトリーによる細孔体積の測定により、多孔度についての定性的(視覚的)評価を行った(レファレンスサンプル(実施例1)との細孔の比較)。
【0025】
実施例1(レファレンスサンプル):
16グラムのアンヒドロール(Anhydrol)(活性カオリンクレイ)を、12グラムの液体ケイ酸ナトリウム(6.7重量% ナトリウム(Na)、13.6重量% ケイ素(Si))(オキシケム(OxyChem),ダラス,テキサス州(米国))、11.6グラムの50% NaOH溶液、および2.2グラムの脱イオン(DI)H
2Oと共に乳鉢で5分間混合した。得られた粘稠ペーストをプラスチック容器に投入し、密封した。室温(25℃)での2日間(24時間)のエージング後、遊離液体は見られなかった。次に硬化したゲルを90℃にて3日間(36時間)加熱した。得られた階層的細孔構造を持たないモノリシックゼオライト構造体を
図2に示す。モノリシックゼオライト構造体は、ホージャサイト(FAU)フレームワークを有するXゼオライトである。
【0026】
実施例2:
16グラムのアンヒドロールを、12グラムの液体ケイ酸ナトリウム(6.7重量% ナトリウム、13.6重量% Si)、12グラムの50% NaOH溶液、および12グラムの50% ポリエチレングリコール(PEG)溶液(分子量1500)と共に乳鉢で5分間混合した。得られた粘稠ペーストをプラスチック容器に投入し、密封した。室温での2日間のエージング後、遊離液体は見られなかった。次に硬化したゲルを90℃にて3日間加熱した。ポリマーを洗浄によって除去した。得られた階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体を
図2および3に示し、これは、ホージャサイト(FAU)フレームワークを有するXゼオライトである。
【0027】
実施例3:
16グラムのアンヒドロールを、12グラムの液体ケイ酸ナトリウム(6.7重量% Na、13.6重量% Si)、14グラムの50% NaOH溶液、および20グラムの50% PEG溶液(M.W.1500)と共に乳鉢で5分間混合した。得られた粘稠ペーストをプラスチック容器に投入し、密封した。室温での4日間のエージング後、遊離液体は見られなかった。次に硬化したゲルを70℃にて3日間加熱した。ポリマーを洗浄によって除去した。得られた階層的細孔構造を持つモノリシックゼオライト構造体を
図2に示し、これは、ホージャサイト(FAU)フレームワークを有するXゼオライトである。
図2に示すように、ポリマーの量の増加によって、実施例2のモノリシックゼオライト構造体よりもマクロ細孔の数が多い結果となっている。実施例3の結晶は、加熱温度がより低いことから、実施例1のモノリシックゼオライト構造体の結晶よりも小さい(図示せず)。
【0028】
実施例1〜3で作製された各モノリシックゼオライトの細孔体積を、当業者に公知のプロセスであるBET(ブルナウアー、エメット、およびテラー)表面積測定のためのN
2吸収を用いた水銀圧入ポロシメトリーによって測定した。結果を以下の表1に示す。
【0030】
上記より、本発明の代表的な実施形態に従って作製された階層的細孔構造を持つおよび持たないモノリシックゼオライトは、自己集合性であり、増加したイオン交換能および多孔度を有し、改善された拡散特性および反応性のための広い表面積を提供し、その結果として、触媒および分離の効率が向上されることは理解されたい。
【0031】
少なくとも1つの代表的な実施形態を上記の本発明の詳細な記述に示したが、非常に多くの変形が存在することは理解されたい。また、1もしくは複数の代表的な実施形態は、単なる例であり、いかなる形であっても、本発明の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図するものではないことも理解されたい。そうではなく、上記の詳細な記述は、本発明の代表的な実施形態の実践に都合の良い指針を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物に示される本発明の範囲から逸脱することなく、代表的な実施形態で述べた要素の機能および配置において様々な変更を行ってよいことは理解される。