(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保護材は、セラミック粒子、および前記セラミック粒子を結合する結合材を含むセラミック材と、前記セラミック材が内側に充填されるキャップと、を有する、請求項1に記載の温度センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の温度センサは、機器に取り付けられる部分(後端)から測定対象に対向する感温体(前端)までの長さが、例えば50mm前後と短い場合を想定していた。ところが、温度センサが使用される機器によっては、後端から前端までの長さが300mmを超える場合がある。このような長尺な温度センサに、特許文献1のセラミック製の遮蔽体を適用する場合に、次のような課題がある。まず、数mm(およそ2〜3mm)の径に対して100倍以上となる長尺なセラミック製遮蔽体を一体で精度良く焼結して製作することは容易ではなく、著しくコストアップする。精度良く容易に製作できる上限は、せいぜい数十mmである。この数十mmの短尺のセラミック製遮蔽体を多数連結すれば全体として長尺となるが、多数の遮蔽体の一つ一つにリード線を通す作業が必要となるために、やはり、著しくコストアップしてしまう。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、コストアップを抑えながら長尺化できる温度センサ、および温度センサが組み込まれる機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明の温度センサは、温度によって電気抵抗が変化する感温体と、感温体に電気的に接続された一対のリード線と、感温体と、感温体に接続された部分から所定範囲内のリード線とを封止する封止材と、封止材の封止端から引き出された一対のリード線にそれぞれ接続された被覆付き耐熱線と、封止端から、リード線と被覆付き耐熱線
の芯線とが接続された接続部
、および被覆付き耐熱線の被覆の端部までを覆う保護材と、を有するセンサ素子
と、感温体が配置される側の前端が塞がれるとともに、後端からセンサ素子が挿入される金属製保護管と、を備え、保護材および被覆付き耐熱線は、500℃以上となる使用環境に供することが可能であり、金属保護管の径方向の内周部とそれに対向する保護材の外周部との間には空隙が存在することを特徴とする。
【0008】
本発明の温度センサによれば、センサ素子のリード線に被覆付き耐熱線を接続することにより、被覆付き耐熱線の長さに応じた長尺な温度センサを製造することができる。ここで、高温に晒される感温体に接続される例えば白金や白金合金等の耐熱性の高いリード線は高価であるため、そのリード線を温度センサの後端側まで延出させればコスト上昇に直結し、そのリード線を絶縁するための被覆の分を含めた合計のコストが高騰する。そこで、高価なリード線の長さを短くしてコストを抑えつつ、このリード線に、耐熱性を備えるとともに、被覆によって高温での絶縁性を備える被覆付き耐熱線を接続することにより、高温雰囲気下での絶縁の確保を低コストで実現できる。
この被覆付き耐熱線を用意し、それをリード線に接続する構成は、高耐熱のリード線に、耐熱性は劣るが安価なリード線を接続して後端側まで延出させるとともに、その安価なリード線を多数のセラミック製の遮蔽体で覆い、高熱から保護する構成に比較してもコストを要しない。
その上、封止端から接続部までが保護材によって覆われることにより、リード線および被覆付き耐熱線の高温雰囲気下での絶縁をより良好に確保できる。リード線および被覆付き耐熱線に最低限求められる絶縁性は、高温雰囲気下、所定時間(例えば、数千〜数十万時間)継続して、絶縁を維持することである。
加えて、封止端から接続部までが保護材によって覆われることにより、被覆付き耐熱線の耐熱性を向上させることができる。本明細書において、「耐熱性」は、耐熱劣化強度を意味する。
さらに、被覆付き耐熱線の長さや材料を適宜選択することによって、温度センサの長さや使用温度域の自由度が向上するので、様々な機器の仕様に合わせて温度センサを提供できる。
【0009】
ところで、温度センサの前端から後端までの長さに対する使用時温度勾配が小さいとき、人が触る可能性のある後端での温度を十分に下げるためには、後端が前端から相応の長さで離れていることが必要となる。つまり、温度センサの長尺化が要求されるので、本発明の温度センサは、長さに対する温度勾配が小さいとき、その長尺化の効果を際立たせることができる。
【0010】
本発明の温度センサでは、保護材は、セラミック粒子、およびセラミック粒子を結合する結合材を含むセラミック材であり、封止材の全体をも覆うことが好ましい。
保護材を構成するセラミック材は、乾燥硬化前は、溶媒を含んで流動性があり、この流動性のある状態のセラミック材に温度センサの前端部を浸せば、封止端を含めた封止材全体、および封止端から接続部までを覆うように保護材が設けられる。こうすることで、封止端から接続部までのみに保護材を設ける場合よりも、保護材を容易に設けることができる。
あるいは、保護材が、セラミック粒子、およびセラミック粒子を結合する結合材を含むセラミック材と、セラミック材が内側に充填されるキャップと、を有するものとされることも好ましい。これにより、キャップの形状によって保護材の形状が定まるので、保護材の形状安定性に優れ、歩留まりが良くなる。保護材が所定の形状とされることによって、所定の耐熱・絶縁性能が得られる。
【0011】
本発明の温度センサでは、封止材と、保護材とは
、異なる材料を用いてそれぞれ構成されることが好ましい。
本発明の温度センサでは、感温体が配置される側の前端が塞がれるとともに、後端からセンサ素子が挿入される金属製保護管を備える。
金属製保護管により、振動や外力、高熱、燃焼ガスからセンサ素子が保護されるので、温度センサの経時的な耐久性を向上させることができる。
本発明の温度センサにおいて、保護材は、金属保護管に挿入される前に形成されていることが好ましい。
本発明の温度センサにおいて、接続部では、リード線の端部と、被覆付き耐熱線が有する芯線の端部とが互いに突き当てられて溶接されることが好ましい。
【0012】
本発明の温度センサでは、金属製保護管は、前端に連なる筒状の部分をなす筒体と、筒体の周縁部に溶接されて前端をなす板材とを有することが好ましい。
長尺な温度センサでは金属製保護管も長尺となるため、板材をダイおよびパンチを用いて底部(前端)が塞がれた管状に成形する深絞りによって金属製保護管を製作することが困難である。もし製作できたとしても、金属製保護管の前端では所望の厚みが得られないおそれがある。
そこで、金属製保護管を筒体と板材とで構成するとともに、筒体の周縁部に所望の厚みの板材を溶接することで金属製保護管の前端をなせば、長尺の金属製保護管(前端が塞がれた有底管材)を容易に製作できるとともに、その前端の厚みに応じた金属製保護管の耐久性を確保できる。
あるいは、上記のように板材を用いる代わりに、両端が開口した筒体の端部を溶融
および凝固させることで、前端が塞がれた金属製保護管を得てもよい。
【0013】
本発明の機器には、上述の温度センサが組み込まれる。
本発明によれば、長尺な温度センサが組み込まれる機器をコストアップを抑えながら提供できる。また、温度センサの被覆付き耐熱線の長さ、材料に応じて、種々の機器仕様に対応することができる。さらに、温度センサの絶縁性および耐熱性確保により、機器の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の温度センサおよび機器は、リード線に接続される被覆付き耐熱線の長さに応じて、コストアップを抑えながら長尺化できる。その上、封止端から接続部までが保護材で覆われることによって、絶縁性および耐熱性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の温度センサ1は、燃焼機器に組み込まれており、センサ素子10と、センサ素子10を収容する金属製保護管15とを備えている。
センサ素子10は、センサ素子本体20と、センサ素子本体20の一対のリード線4に接続される一対の被覆付き耐熱線7と、を備えている。
【0017】
センサ素子本体20は、温度によって電気抵抗が変化する感温体2と、感温体2に電極3を介して電気的に接続される一対のリード線4と、感温体2と電極3から所定範囲内のリード線4とを封止する封止材5とを有している。リード線4は、封止材5の封止端6から引き出されている。
なお、センサ素子本体20の断面を示す各図において、感温体2および封止材5のハッチングを省略した。
【0018】
感温体2としては、サーミスタを用いることが好ましいが、温度によって電気抵抗が変化するものを広く適用できる。500〜1000℃の高温域で使用される場合、サーミスタとしては、例えば、Y、Cr、Mn、CaおよびOを含み、Y:Cr:Mn:Caのモル比が75〜85:7〜10:7〜10:1〜5である金属酸化物を用いることが好ましい。この金属酸化物から構成される感温体2は、1000℃以上の高温まで温度測定が可能である。ただし、これはあくまで例示であり、他のサーミスタを用いることもできることは言うまでもない。
【0019】
リード線4としては、白金又は白金合金を用いることができる。白金合金としては、イリジウムを1〜20wt%含有するものが耐熱性の観点から好ましい。
【0020】
封止材5は、非晶質ガラスまたは結晶質ガラスから構成される。それらを単独で用いることもできるが、所望の熱膨張係数を有するように非晶質ガラスと結晶質ガラスとを混合して用いることもできる。結晶質ガラスとしては、例えば、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムから構成されるものが好ましく、より具体的にはSiO
2:30〜60wt%、CaO:10〜30wt%、MgO:5〜25wt%、Al
2O
3:0〜15wt%の組成を有するものを本発明に用いることができる。また、ガラスに無機材料粉末を添加したもの等を用いて構成してもよい。ガラスに添加する無機材料粉末としては、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化クロム(Cr
2O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)等、感温体2を構成する金属酸化物等が挙げられる。
【0021】
被覆付き耐熱線7としては、例えば、耐熱性を有する芯線71をその芯線71よりも耐熱性の高い絶縁チューブ(被覆)72で被覆し、例えば500℃以上の高温雰囲気下でも芯線71の絶縁を確保するのに足りる十分に高い絶縁性を備えるものを用いることができる。
芯線71、絶縁チューブ72は、それぞれが温度センサ1の使用温度に応じた耐熱温度を有する。また、芯線71が絶縁チューブ72に覆われることにより、芯線71,71の高温雰囲気下での絶縁を確保、すなわち、金属製保護管15から絶縁できるとともに、線間の短絡を防止できる。
芯線71としては、例えば、Ni、ステンレス合金、Ni基超合金、その他の耐熱合金等を用いることができる。これら合金は、耐熱性を向上させるために、Ni、Crを多く含んでいる。例えば、Ni基超合金の1例であるJIS NCF600は、Niを75wt%、Crを16wt%程度含んでいる。材料別の芯線71のおおよその常用耐熱温度を例示すると、Ni:約500℃、ステンレス合金:約600℃、JIS NCF600:約800℃となる。
絶縁チューブ72としては、例えば、ガラスファイバーあるいはセラミックファイバーの編組チューブ等を用いることができる。その主成分としては、SiO
2、Al
2O
3、Si
3N
4等を例示できる。材料別の絶縁チューブ72のおおよその耐熱温度を例示すると、ガラスファイバー編組:約500℃、シリカガラスファイバー編組:約1000℃、セラミックファイバー編組:約1300℃となる。
なお、被覆付き耐熱線7の高温での絶縁性を向上させる目的で、芯線71と絶縁チューブ72との間に、ガラスファイバーやセラミックファイバーが介装されていたり、マイカペーパーと裏打ち材からなるテープが介装されていてもよい。
被覆付き耐熱線7は、一端側でリード線4に接続されている。被覆付き耐熱線7は、金属製保護管15の軸線方向に沿って延びており、金属製保護管15の外側に引き出された他端側が、図示しない計測回路へと接続されている。なお、被覆付き耐熱線7と計測回路とが他の電線を介して接続されていてもよい。
【0022】
図2に示すように、被覆付き耐熱線7の一端側で絶縁チューブ72から芯線71が露出している。その露出した芯線71の先端部71Aが、封止端6から引き出されたリード線4の先端部4Aに接続されることにより、リード線4と被覆付き耐熱線7との接続部8が設けられている。
本実施形態では、リード線4の先端部4Aと芯線71の先端部71Aとは、その境界部である接続部8で互いに突き当てられ、かつレーザーを用いて溶接されている。ただし、リード線4の先端部4Aと芯線71の先端部71Aとが互いの外周面が接触するように重ねられていてもよいし、接続はレーザー溶接に限らず、電気抵抗加熱方式を含む各種の溶接方式を採用することができる。リード線4と芯線71とが突き当てられる場合には、接続部8の断面径を小径にできる利点がある。一方、リード線4と芯線71とが互いの外周面が接触するように重ねられる場合には、接続部8を電極で挟み込み易くなるため、電気抵抗加熱方式による溶接が容易となる。
【0023】
接続部8は、保護材としてのセラミック材9によって覆われている。このセラミック材9は、セラミック粒子と、セラミック粒子同士を結合する無機結合材とを含んでおり、1000℃以上の高耐熱性と、絶縁性とを有している。セラミック粒子としては、例えば、Al
2O
3、SiO
2、ZrO
2、ZrSiO
4、MgO、Y
2O
3、およびAlNのうち1つ以上を主成分とするものを用いることができる。無機結合材としては、セラミック、ガラス、および金属アルコキシド等を用いることができる。
このようなセラミック材9は、接続部8を含めてセンサ素子本体20全体に設けられており、封止端6から接続部8までと、封止材5の外周部とを覆っている。このセラミック材9は、絶縁チューブ72から露出した芯線71も覆っている。
セラミック材9は、センサ素子本体20に設けられる前は、溶媒(例えば、水)を含んで流動性があり、センサ素子本体20に設けられた後、加熱により乾燥硬化されることによって形成される。例えば、コーティング材、接着剤、シール材として使用されるものをこのセラミック材9として用いることができる。
【0024】
ここで、少なくとも、封止端6から接続部8までの範囲がセラミック材9により覆われていれば足りる。つまり、封止材5の外周部はセラミック材9により覆われていなくてもよい。また、被覆付き耐熱線7の端部に芯線71が露出する場合には、その露出した芯線71の部分がセラミック材9により覆われている必要がある。このようにセラミック材9で覆われることにより、リード線4,4および芯線71,71の高温雰囲気下での絶縁を確保、すなわち、金属製保護管15から絶縁されるとともに、線間の短絡が防止され、その上、高温雰囲気下でのリード線4、接続部8および被覆付き耐熱線7の芯線71の腐食が抑制されるので耐熱性を向上させることができる。
ここで、リード線4は、高価な白金又は白金合金が用いられることで、高い耐熱性を有する。また、被覆付き耐熱線7の芯線71には、リード線4には劣るものの、高い耐熱性を有する材料が使用される。ところで、接続部8においては、リード線4と被覆付き耐熱線7の芯線71との界面に合金層が形成されるが、その合金層の耐熱性は、その周囲の耐熱性に比べて劣る。このため接続部8が高熱によって酸化劣化してしまうと、感温体2からの信号が接続部8で寸断されてしまうので、正しい温度信号が得られなかったり、断線と判断されることで温度センサ1の交換が必要となる。
つまり、リード線4と被覆付き耐熱線7の芯線71との接続にあたり、その接続部8に必然的に生じる界面合金層での耐熱性低下がセラミック材9によって十分に補われることで、界面合金層を含めたリード線4および芯線71の耐熱性を向上させることができるとともに、温度センサ1を長寿命化できる。
【0025】
なお、セラミック材9は、
図2のように、絶縁チューブ72の端部に掛かる位置まで設けられることが好ましい。これにより、絶縁チューブ72の内側の芯線71の絶縁性および耐熱性がさらに向上する。
封止端6から接続部8までの長さは、約2mmとされている。本実施形態では、リード線4と芯線71とが突き当てられて接続されるため、封止端6から引き出されたリード線4の長さが封止端6から接続部8の長さに相当する。一方、リード線4と芯線71とが互いの外周面が重ねられるように接続されている場合には、封止端6から、接続部8における芯線71の前端までの長さが封止端6から接続部8の長さに相当する。
【0026】
封止端6から接続部8までの長さは、仮に0.5mm未満と短い場合にはリード線4と被覆付き耐熱線7とを溶接で接続する際の熱によって封止材5が変形するおそれがあるので、0.5mm以上であることが好ましい。また、封止端6から引き出されたリード線4の長さは、仮に0.5mm未満と短い場合には、必要に応じてリード線4の長さを切り揃える際などの機械的応力によって封止材5にクラックが入るおそれがあるので、0.5mm以上であることが好ましい。
そして、封止端6から、芯線71が露出する絶縁チューブ72の端部までの長さは、20mm以下であることが好ましい。この長さが20mmを超えると、封止端6から接続部8までをセラミック材9によって所定の厚みで覆うことが難しいので、セラミック材9による耐熱性や絶縁性が損なわれるおそれがあるためである。
【0027】
金属製保護管15は、感温体2が配置される側の前端15Aが塞がれ、後端15Bが開放されており、内部に収容されたセンサ素子10を振動や外力、高熱、燃焼ガスから保護する。この金属製保護管15は、後端15B側に、センサ取付け板14への取付部としてのフランジ16を有しており、前端15A(温度センサ1の前端とも言う)からフランジ16までの長さLは、任意だが、一例として、400mmとされている。
金属製保護管15の材料としては、例えば、ステンレス合金、Ni基超合金、その他の耐熱合金等を用いることができる。例えば、Ni基超合金の1例であるJIS NCF600は、Niを75wt%、Crを16wt%程度含んでいる。
【0028】
次に、温度センサ1が組み込まれる燃焼機器の構成について説明する。
燃焼機器は、その構成の一例を示すと、温度センサ1による測定対象であって機器内で最も高温となる燃焼反応部Hを内蔵する反応室筐体17と、反応室筐体17の外側に設けられ、温度センサ1のフランジ16が取り付けられるセンサ取付け板14と、反応室筐体17とセンサ取付け板14との間に設けられる断熱材18と、図示を省略するが、センサ取付け板14の外側に設けられ、機器内蔵の装置や部材(反応室筐体17や温度センサ1、センサ取り付け板14を含む)を収容する機器筐体とを備えている。断熱材18は、人が触る可能性のあるセンサ取付け板14が高温となることで人的害が生じないように、燃焼反応部Hから発せられた熱の伝搬を抑制するものであり、例えば20〜50mm程度の厚みとされることで高い断熱性能を有している。この断熱材18は、
図1に示した位置に限らず、機器の構造に応じて、反応室筐体17外の任意の位置に設けられる。
【0029】
図3を参照し、温度センサ1を製造する手順を説明する。
先ず、製作した感温体2の電極3にリード線4を接合する。次に、例えば、封止材5を構成するガラス材料を公知の方法により、感温体2の周りに溶融した状態に設け、冷却して硬化させる。このガラス材料が硬化したものが、感温体2とリード線4の所定範囲とを覆う封止材5となる(
図3(A))。これにより、センサ素子本体20が製作される。
【0030】
次いで、リード線4に被覆付き耐熱線7の芯線71を溶接して接続する(
図3(B))。なお、リード線4が、封止端6からの長さが当初から約2mmよりも長く形成されている場合には、約2mmに切り揃えてから、芯線71を溶接する。このとき切り離されたリード線4を回収して再使用することで、コスト削減に寄与できる。なお、リード線4に芯線71を溶接した後に封止材5を形成すると、ガラス材料の溶融の影響(溶融したガラス材料からリード線4への熱伝導等)によって接続部8が再加熱され、これによって接続部8の酸化劣化が生じるおそれがあるため、封止材5を形成した後にリード線4への溶接を行うことが好ましい。
【0031】
さらに、容器に入れられた乾燥硬化前のセラミック材9に、封止材5の前端から接続部8の後端までを浸した後、温度センサ1を容器から引き上げる。その後、加熱してセラミック材9を乾燥硬化させる過程で、溶媒が放出されるとともに、溶融した無機結合材によりセラミック粒子同士が結合されることにより、セラミック材9が設けられる(
図3(C))。こうして製作されたセンサ素子10を感温体2が配置された側から金属製保護管15に挿入すると(
図3(D))、金属製保護管15の後端15Bから被覆付き耐熱線7が引き出され、温度センサ1が完成する(
図1)。この温度センサ1は、例えば、後端15B付近で金属製保護管15がかしめられることによって金属製保護管15に固定されていてもよい。
【0032】
ここで、金属製保護管15の前端15A側の内壁に封止材5を突き当てることによって、前端15Aとほぼ等量の熱が感温体2に伝導するように、センサ素子10を金属製保護管15に組み付けることが好ましい。ただし、前端15Aから後端15Bまでの温度低下の温度勾配が小さいときには、前端15A近傍における温度勾配は僅かとなるので、前端15Aの内壁と封止材5との間の隙間を許容できる。これは、その隙間の有無によって生じうる感温体2の検知温度の違いが僅かなので、温度測定の精度に与える影響が小さいためである。
【0033】
完成した温度センサ1のフランジ16をセンサ取付け板14に取り付け、機器に組み込む(
図1)。なお、温度センサ1は、センサ取付け板14と反応室筐体17との間に設けられた支持手段(例えば、筒体)によって支持されていてもよい。
【0034】
温度センサ1がセンサ取付け板14に取り付けられると、温度センサ1の前端15Aは、燃焼反応部Hあるいはその近傍に配置される。前端15Aの温度は、例えば、800℃以上である。この高熱は、温度センサ1の後端15Bに向けて、金属製保護管15や、リード線4および芯線71を伝導する。本実施形態の温度センサ1の温度分布は、
図1に一例を示すように、前端15Aで800℃、前端15Aから、例えば長さLの1/2を超えた位置から後端15Bに向けて600℃、500℃、400℃のように漸次低下する状態となる。これはあくまで一例であって、前端15Aから後端15Bまでの温度センサ1の各部位における温度は、温度センサ1の構成と、組み込まれる機器の構成とに応じて様々である。
【0035】
本実施形態では、センサ取付け板14から、感温体2が配置される測定位置までの距離が長い。このため、従来の温度センサを機器に組み込んでも、感温体が配置された温度センサの前端部が測定位置にまで届かないので、温度センサの長尺化が要求される。このような長尺な温度センサを製造しようとすると、リード線4をセラミック製の遮蔽体で覆う従来構造では著しくコストアップしてしまうため、本実施形態の温度センサ1では、高温での絶縁性および耐熱性を備えた被覆付き耐熱線7をリード線4に接続する構成が採られている。高い温度を検知する感温体2に直接接続されるリード線4に用いられる白金や白金合金等の高耐熱性の貴金属材料は高価であるため、リード線4を温度センサ1の後端15B側まで延出させるとコスト上昇に直結し、そのリード線を絶縁するための被覆の分を含めた合計のコストが高騰してしまう。このため、リード線4を短くしてコストを抑えつつ、このリード線4に被覆付き耐熱線7を接続することにより、前端15A近傍から後端15B側にかけての高温に晒される範囲に必要な絶縁性および耐熱性を得る。
さらに、封止端6から接続部8、そして、絶縁チューブ72から露出した芯線71までを耐熱性のセラミック材9で覆うことにより、高温雰囲気下での絶縁性をより良好に確保できるとともに、リード線4および被覆付き耐熱線7の芯線71の腐食を抑制することでリード線4および被覆付き耐熱線7の耐熱性を向上させることができる。このセラミック材9は、上述したように、リード線4と被覆付き耐熱線7との接続部8に必然的に生じる界面合金層での耐熱性低下を十分に補い、界面合金層を含めたリード線4および芯線71の耐熱性を向上させる意義を有する。
【0036】
センサ取付け板14から、感温体2が配置される測定位置までの距離が長い場合としては、例えば本実施形態のように、センサ取付け板14と測定位置との間に厚い断熱材18が配備されており、その断熱材18を貫通するように温度センサ1が設けられる場合がある。また、後述する燃料電池のように、外気の影響を受けずに測定対象を高温に保つ必要上、センサ取付け板14から測定位置までの距離を十分に大きくとることが必要な場合も勿論該当する。
ところで、測定位置からセンサ取付け板14にかけて、温度が下がり難い場合がある。例えば、強制冷却のためのファンが機器に内蔵されていない場合が該当する。また、断熱材18が設けられていることも温度が下がり難い一因となりうる。このような場合には、人が触る可能性のあるセンサ取付け板14付近の温度センサ1の温度を十分に下げるために、さらなる長尺化が要求されるため、本発明の効果を大きくできる。
【0037】
なお、リード線4および芯線71の腐食には、リード線4,4間や芯線71,71間のリーク電流による電解腐食がある。この電解腐食については、特許文献1(特開2010−261860号)に詳しく説明されている。本実施形態では、高温雰囲気下で金属製保護管15から導電性物質が蒸発しても、セラミック材9に覆われていることによってリード線4,4間、および芯線71,71間に導電性物質が付着せず、その導電性物質を介したリーク電流が生じないので、リード線4および芯線71の電解腐食を防止できる。
【0038】
本実施形態の温度センサ1は、800℃以上ともなる高温の燃焼反応部Hあるいはその近傍に配置される前端15Aで感温体2によって温度を検知し、その前端15Aから、人的害が出ない温度とされるセンサ取付け板14よりも外側に検知信号を取り出すために、前端15Aから後端15Bまでの長尺化が要求される。この長尺化の要求には、被覆付き耐熱線7を長くすることによって容易に応えることができる。
【0039】
その上、被覆付き耐熱線7は、柔軟性を有するため、センサ素子10の前端部と金属製保護管15との間に生じうる熱膨張差による応力を撓むことで緩和できる。このため、センサ素子10の破損を防止できる。
【0040】
温度センサ1が組み込まれる燃焼機器の一例として、
図4(A)に示す火炎バーナーと、
図4(B)に示す燃料電池を示す。これらのいずれも、温度センサ1で測定された温度に基づいて、燃焼反応の制御を行うものである。そして、温度センサ1による検知温度と設定温度とを通電回路を含む制御回路内において比較し、(A)の火炎バーナーでは、その比較結果に基づいて、投入する燃料、空気を制御し、(B)の燃料電池では、その比較結果に基づいて、投入する水素、酸素を制御する。なお、火炎バーナーの種類としては、ガスバーナー、石油バーナーを例示でき、燃料電池の種類としては、固体酸化物形(SOFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)、リン酸形(PAFC)、固体高分子形(PEFC)を例示できる。特に、固体酸化物形の燃料電池では、測定対象が高温であり、かつ、機器の性格上、冷却ファンを内蔵せず、厚い断熱材が設けられているので、測定対象からセンサ取付け板表面までの距離が長い上に、その長さに対する温度勾配が小さいことが多い。したがって、長尺化の要求が高いので、本発明の温度センサを好適に使用できる。
その他にも、温度センサ1は、燃焼機器に限らず、種々の機器に組み込むことができ、例えば、
図4(C)に示すように電気式ヒーターに組み込むこともできる。電気式ヒーターの具体例としては、オーブン、ラジアントヒーター、排気ガス浄化装置(DPF:Diesel particulate filter)のフィルタ再生ヒーター等が挙げられる。
【0041】
本発明における保護材は、上記実施形態におけるセラミック材9に限らず、
図5の保護材19のように、セラミック材191と、セラミック材191が内側に充填されるキャップ192とを有するものであってもよい。セラミック材191には、上述のセラミック材9と同様のセラミック粒子、結合材等を含むものを用いることができる。
この保護材19を製作する際には、開放された後端192Bからキャップ192の内側にセラミック材191を流動性のある状態で入れておく。そして、キャップ192内に挿入した温度センサ1の前端をキャップ192の前端192Aの内側に突き当てたまま、セラミック材191を硬化させ、キャップ192、セラミック材191、およびセンサ素子10の前端部を一体化させる。このようにすれば、キャップ192の形状によって保護材19の形状が定まるので、保護材19は、上記実施形態のセラミック材9よりも形状安定性に優れ、歩留まりが良くなる。保護材19が所定の形状とされることによって、所定の耐熱・絶縁性能が得られる。
【0042】
また、本発明における金属製保護管は、上述した金属製保護管15に限らず、以下に述べる金属製保護管のように構成されていてもよい。以下に述べる金属製保護管は、長尺であっても容易に製作できるとともに、その前端の厚みが金属製保護管の耐久性を確保するのに十分なものとなる。
図6の金属製保護管25は、塞がれた前端25Aに連なる筒状の部分をなす筒体27と、筒体27の周縁部271に溶接されて前端25Aをなす板材28とを有している、板材28は、高温により腐食し易い前端25Aの耐熱性を確保するのに十分な厚みとされている。
【0043】
板材28からなる前端25Aは、平坦に形成されている。このため、センサ素子10を金属製保護管25に組み付ける際に、前端25Aの内壁に封止材5を突き当てれば、温度センサ1を機器に組み込んだ際の感温体2による検知点が前後方向にばらつくことなく常に一定の位置となる。上記実施形態の金属製保護管15では、封止材5が前端15Aの内壁頂部15Cに突き当てられるよりも先に内壁側面部15Dに当たると、感温体2による検知点が後端側にずれるので、温度測定の精度にばらつきが出るおそれがあるが、
図6の金属製保護管25によれば、温度測定の精度が安定する。
【0044】
さらに、本発明における金属製保護管は、図示を省略するが、両端が開口した筒体の一方の端部を溶接手段を用いて溶融し、凝固させることで、
図2に示す金属製保護管15と同様に前端15Aを塞いでもよい。その金属製保護管の前端は、筒体の側壁の一部が溶融して流れた材料が溜まることによって、所望の厚みに形成されている。なお、金属製保護管の前端から後端までの温度低下の温度勾配が小さいときには、前端近傍における温度勾配は僅かとなるので、その前端の厚みにバラツキが生じていても構わない。これは、前端の厚みの差によって生じうる感温体2の検知温度の違いが僅かなので、温度測定の精度に与える影響が小さいためである。
【0045】
上記で述べた以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。