特許第5872598号(P5872598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許5872598-培養瓶 図000002
  • 特許5872598-培養瓶 図000003
  • 特許5872598-培養瓶 図000004
  • 特許5872598-培養瓶 図000005
  • 特許5872598-培養瓶 図000006
  • 特許5872598-培養瓶 図000007
  • 特許5872598-培養瓶 図000008
  • 特許5872598-培養瓶 図000009
  • 特許5872598-培養瓶 図000010
  • 特許5872598-培養瓶 図000011
  • 特許5872598-培養瓶 図000012
  • 特許5872598-培養瓶 図000013
  • 特許5872598-培養瓶 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872598
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】培養瓶
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20160216BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C12M3/00 A
   C12M1/00 C
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-6884(P2014-6884)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-143998(P2014-143998A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】13000264.5
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591121683
【氏名又は名称】エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf AG
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ザイペル
【審査官】 小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−141072(JP,A)
【文献】 特開平05−276927(JP,A)
【文献】 特表2011−504747(JP,A)
【文献】 特表2010−518879(JP,A)
【文献】 特開平06−233671(JP,A)
【文献】 Quality redefined-the new Eppendorf Tissue Culture Consumables,<http://de.sitestat.com/eppendorf/com/s?en.download.brochure.tcc_en&ns_type=pdf&ns_url=http://www.eppendorf.com/script/binres.php?RID=144514&DOW=1&pb=d708f36371d5c2fb>,2012年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00− 3/10
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養フラスコであって、
の頂面に成長表面(12)を備えた平坦な底壁(3)と、前記底壁(3)からある区画だけ離れている平坦なカバー壁(4)と、前記底壁(3)および前記カバー壁(4)の縁間の間隔をつなぐ側壁(5〜10)とを含むフラスコ本体(2)にある培養チャンバ(20)と、
壁(10)と、前記底壁(3)から間隔を置いて離れている平坦な前記カバー壁(4)との互いに隣接するそれぞれの領域にある開口部(13)と、
空円筒状のフラスコ・ネック(14)であって、前記開口部(13)の縁に連結されており、血清ピペット、スクレーパ、カニューレ、または物質を添加または除去する別の細長い装置を、外側から前記フラスコ・ネックを通って前記成長表面(12)の後ろ角に配置することができるように、前記成長表面(12)に対して鋭角で位置合わせされている、中空円筒状のフラスコ・ネック(14)と、
を備え
前記開口部(13)の頂部は前記カバー壁(4)に配置され、前記開口部(13)の底部は前記側壁(10)に配置される、
培養フラスコ。
【請求項2】
前記フラスコネック(14)は、前端から長手方向に順に配置される第1のフラスコ・ネック部分(14.1)と第2のフラスコ・ネック部分(14.2)とを有し、
前記培養フラスコは、フラスコ基部(21)およびフラスコ蓋(22)を備え、
前記フラスコ基部(21)が、前記底壁(3)、前記側壁(5〜10)、および側壁(10)に連結されている第1のフラスコ・ネック部分(14.1)を含み、前記フラスコ蓋(22)が、前記カバー壁(4)、および前記カバー壁(4)に連結されている第2のフラスコ・ネック部分(14.2)を備え、前記フラスコ基部(21)と前記フラスコ蓋(22)とが隣接した縁で互いに密封して連結されている、
請求項1に記載の培養フラスコ。
【請求項3】
前記第1のフラスコ・ネック部分(14.)が、前記成長表面(12)に垂直な面を走る端面縁(15)の底部縁部分(15.1)では、前記側壁(10)において前記開口部(13)の底部開口部分(13.1)の縁に連結されている中空のシリンダであり、前記第2のフラスコ・ネック部分(14.2)が、中空のシリンダ区分であり、前記端面縁では、前記第1のフラスコ・ネック部分(14.1)の前記端面縁(15)の頂部縁部分(15.2)に連結されており、その2つの側方の縁では、前記第1のフラスコ・ネック部分に向かって広がる前記カバー壁(4)において前記開口部(13)の頂部開口部分(13.2)の縁に連結されている、
請求項2に記載の培養フラスコ。
【請求項4】
前記フラスコ基部(21)と前記フラスコ蓋(22)との連結が、超音波溶着による接合、または赤外線溶着による接合、または接着剤による接合、またはスナップ接続である、
請求項2または3に記載の培養フラスコ。
【請求項5】
下方に突出し、前記フラスコ蓋(21)の縁周りを走り、前記頂部で開口し前記フラスコ基部(21)の前記頂部縁周りを走る溝に入るエネルギー導波器(28)を溶着することによって、前記フラスコ基部(21)と前記フラスコ蓋(22)とを超音波溶着で接合する、
請求項4に記載の培養フラスコ。
【請求項6】
前記フラスコ蓋(21)が、上方に突出し、連続的または途切れ途切れの第1の周縁リブ(23)を前記縁に有する、
請求項2から5のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項7】
平坦な底面を備えた連続的または途切れ途切れの第2の周縁リブ(24)が、前記底壁(3)の縁から下方へ突出している、
請求項1から7のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項8】
前記フラスコ蓋(22)の縁周りを走る下方へ突出している第3のリブ(29)と、前記フラスコ基部(21)の前記頂部縁周りを走る上方へ突出している第4のリブ(30)とを溶解し、共に押圧することによって、前記フラスコ基部と前記フラスコ蓋とを赤外線溶着で接合する、
請求項4、6、または7のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項9】
前記フラスコ・ネック(14)が、蓋用の少なくとも1つの雄ねじ(16)、および/または少なくとも1つのスナップ要素を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項10】
前記フラスコ・ネック(14)に向かって狭くなっている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項11】
前記底壁に対して鋭角に角度付けられた傾斜壁(11)が、前記底壁(3)と前記フラスコ・ネックが取り付けられている側壁(10)との間にある、
請求項1から10のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項12】
前記フラスコ・ネック(14)が一定のシリンダである、
請求項1から11のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項13】
前記フラスコ・ネック(14)から前記培養チャンバ(20)への移行部が、完全に、または部分的に滑らかであり、かつ/または前記移行部は丸い、
請求項1から12のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項14】
互いに調和して、複数の同等の細胞培養フラスコ(1)が互いに積み重ねられることができる蓋および基部を備える、
請求項1から13のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項15】
前記フラスコ・ネック(14)が取り付けられている前記側壁(10)が、前記フラスコ・ネック(14)の下に、切り欠き(19)を有し、前記切り欠き(19)は、前記培養フラスコ(1)が配置されている同等の培養フラスコ(1)の前記カバー壁(4)に対して突出している前記フラスコ・ネック(14)の部位を収容するのに適している、
請求項1から13のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項16】
射出成形することによって生産される、
請求項1から15のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【請求項17】
ポリスチレン製または別のプラスチック製である、
請求項1から16のいずれか一項に記載の培養フラスコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞、組織、または微生物を培養する培養フラスコに関する。
【背景技術】
【0002】
培養フラスコ(「細胞培養フラスコ」とも称される)は、実験室において、細胞、組織、または微生物を成長させて得るために使用される。培養フラスコは、平坦で略矩形のフラスコ本体を有し、フラスコ本体は培養チャンバの範囲を決める底壁、カバー壁、および側壁を備える。底壁の頂面は、細胞、組織、または微生物の成長表面である。蓋付きのフラスコ・ネックは、狭い前部側壁から外側に突出している。使用時、培養フラスコの大きな底壁は、通常、水平方向の基部に配置されている。培養フラスコの平坦な底壁と平坦なカバー壁との距離は、高さまたは厚さと称される。積層すると、培養フラスコは、細胞、組織、または微生物を成長させる環境を供給するインキュベータ内に、スペースをとらない様式で配置可能である。蓋は、閉位置から通気位置まで繰り返し移動可能であり、あるいは、インキュベータとフラスコ本体の培養チャンバと間で確実にガス交換するフィルタ蓋として設計する。
【0003】
成長表面に向かって外側からフラスコ・ネックを通って培養チャンバ内に挿入される血清ピペット、スクレーパ、またはカニューレを用いて、細胞、組織、または微生物を培養フラスコから除去することができる。栄養培地はまた、血清ピペットを用いてフラスコ・ネックを通って培養フラスコ内にピペットで加えられ、培養フラスコの外にピペットで出される。これらの作業は、特にユーザが防護服を着用した状態において無菌ベンチで行われる場合に困難となる。
【0004】
培養フラスコが開口する時に液体が培養チャンバから外にはねないように、瓶のネックが底壁からある距離をおいて側壁の開口部の縁に連結されている。したがって、開口部は、底部では瓶のネックと底壁との距離によって範囲を定められ、頂部では側壁の頂部縁がカバー壁に連結されている直線の接合縁部によって範囲を定められている。血清ピペットまたはスクレーパを用いて成長表面にアクセスしやすくするために、成長表面に向かって鋭角に傾斜するフラスコ・ネックを有する培養フラスコが知られている。開口部の頂部縁の縁部のために、血清ピペットまたはスクレーパが、特に成長表面の後ろ角に到達するのは困難である。血清ピペットまたはスクレーパをこの縁部に沿って滑るように移動させることは、実際には、円筒フラスコのネックの平滑面に沿った滑り移動よりも大きな抵抗を伴う。
【0005】
欧州特許第EP0743362B1号は、前側壁に円形の開口部を有するフラスコ本体を含む実験室用フラスコを記載している。内外の円筒壁を有する細長い環状フラスコ・ネックが、開口部の縁から外方に延びている。フラスコ・ネックの内側の一部が、フラスコ本体のカバー壁より上に配置されている。フラスコ・ネックは、フラスコ・ネックの内側と前側壁に近いカバー壁との隙間を閉止する垂下充填壁を有する。この実験室用フラスコによると、開口部の頂部縁では、充填壁によって成長表面へのアクセスが制限される。
【0006】
国際特許第WO2006/099127A1号は、細胞培養チャンバとして用いられるフラスコ本体を含む細胞培養フラスコを記載している。細胞培養チャンバは、剛性面を備えた底部トレイとカバー壁とによって区切られ、底部トレイとカバー壁とは、側壁および端壁で互いに連結されている。角度付きのフラスコ・ネックが少なくとも1つの開口部にあり、少なくとも1つのねじ止め式の蓋がフラスコ・ネックの開口部と位置合わせされる。角度付きのフラスコ・ネックに加えて、底壁およびカバー壁は、フラスコ・ネックに向かって起伏する凹部を有するので、液体が角部に取り込まれたままとならない。角度付きのフラスコのネック部によって、ピペット、スクレーパ、またはカニューレによる細胞培養チャンバへのアクセスが向上する。さらに、起伏する凹部によって蓋に自由空間がもたらされるので、積層した隣接する細胞培養フラスコと衝突しない。フラスコ・ネックは、細胞培養フラスコの角部に好ましくは配置されるので、細胞培養面がより大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第EP0743362B1号公報
【特許文献2】国際特許第WO2006/099127A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景技術に対して、本発明の目的は、物質を添加または除去するために、血清ピペット、スクレーパ、カニューレ、または他の細長い装置が底壁の成長表面により容易にアクセス可能な培養フラスコを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、請求項1の特徴を有する培養フラスコによって達成される。培養フラスコの有利な実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0010】
本発明の培養フラスコは、以下を有する:
●その頂面に成長表面を備えた平坦な底壁と、その底壁から間隔を置いて離れている平坦なカバー壁と、底壁およびカバー壁の縁間の間隔をつなぐ側壁とを含むフラスコ本体にある培養チャンバと、
●側壁と、底壁から間隔を置いて離れている平坦なカバー壁との隣接する領域にある開口部と、
●開口部の縁に連結されており、血清ピペット、スクレーパ、カニューレ、または物質を添加または除去する別の細長い装置を、特に外側からフラスコ・ネックを通って成長表面の後ろ角に配置することができるように、成長表面に対して鋭角で位置合わせされている、中空円筒状のフラスコ・ネック。
【0011】
本発明の培養フラスコでは、フラスコ本体の開口部が、側壁およびカバー壁の2つの隣接する領域に形成されている。したがって、開口部は2つの開口部分を有し、底部の開口部分は側壁に配置され、頂部の開口部分はカバー壁に配置される。成長表面に対して鋭角に角度付けされている中空円筒状のフラスコ・ネックは、開口部の縁に、すなわち底部の開口部分の縁および頂部の開口部分の縁に連結されている。中空円筒状のフラスコ・ネックが開口部の縁に連結されているので、その内側断面は、一部分だけ開口部の縁によって覆われない。物質を添加除去するための血清ピペット、スクレーパ、または異なる細長い機器が、フラスコ・ネックや側壁およびカバー壁の開口部を通ってフラスコ本体の培養チャンバに挿入可能であり、成長表面および後方および側方の壁の隣接する内表面に配置可能である。このことは、従来の培養フラスコによるものよりも簡単である。というのは、特に、開口部が、頂部で、直線の接合縁部によってフラスコ・ネックの内側断面を覆わないからである。したがって、特にフラスコ・ネックに対向する成長表面の後ろ角で、成長表面へのアクセスがより容易となる。フラスコ・ネックに対向する後方壁の内表面およびそれに隣接する2つの長手方向の側壁が、血清ピペット、スクレーパ、カニューレ、または別の細長い装置で到達しやすくなり、したがって、細胞培養フラスコの2つの後ろ角に向かって細長い装置がより容易に向くように、培養フラスコを設計することが可能である。
【0012】
このフラスコ・ネックは、少なくとも開口部では中空のシリンダであり、物質を添加および除去する細長い装置によって成長表面がより容易にアクセスされるようにする。開口部からある距離だけ離れたところで、フラスコ・ネックが中空シリンダからそれる形状を有していてもよい。フラスコ・ネックは、全体として中空のシリンダであることが好ましい。
【0013】
別の実施形態によると、フラスコ・ネックは、複数の中空円筒状のフラスコ・ネック部分を有する。別の実施形態によると、中空円筒状のフラスコ・ネック部分が、フラスコ・ネックの長手方向に順番に配置されている。別の実施形態によると、中空円筒状のフラスコ・ネック部分が、異なる内径および/または異なる外径を有する。別の実施形態によると、内径が大きい中空円筒状のフラスコ・ネック部分は、内径が小さい中空円筒状のフラスコ・ネック部分よりもさらに後部に配置される。したがって、フラスコ・ネックは、全体として前方から後部まで広がる。このことは、特に物質を添加または除去する細長い装置を用いて後ろ角に到達するのに有利となる。別の実施形態によると、複数の構成要素からなるフラスコ・ネックがフラスコ・ネック部分を有し、フラスコ・ネック部分は異なる内径および/または異なる外径を備えている。
【0014】
一実施形態によると、細胞培養フラスコは、フラスコ基部およびフラスコ蓋を有し、フラスコ基部は、底壁、側壁、および側壁に連結されている第1のフラスコ・ネック部分を含み、フラスコ蓋は、カバー壁、およびカバー壁に連結されている第2のフラスコ・ネック部分を含み、フラスコ基部とフラスコ蓋とは隣接した縁で互いに密封して連結されている。フラスコ基部およびフラスコ蓋は、射出成形および別の適した方法によって、プラスチックから好都合にも生産可能である。フラスコ基部およびフラスコ蓋はそれぞれ、射出成形によって単一要素として生産されるのが好ましい。フラスコ基部およびフラスコ蓋は、隣接した縁で互いに取り外しできないように密封して連結されているのが好ましい。あるいは、フラスコ基部およびフラスコ蓋は、隣接した縁で、たとえばスナップ接続によって互いに着脱自在に連結されており、柔軟な弾性密封要素が、密封するために隣接した縁間に配置されていてもよい。
【0015】
別の実施形態によると、第1のフラスコ・ネック部分は、成長表面に垂直な面を走る端面縁の底部縁部分では、側壁にある開口部の底部開口部分の縁に連結されている中空のシリンダであり、第2のフラスコ・ネック部分は、中空のシリンダ区分であり、端面縁では、第1のフラスコ・ネック部分の端面縁の頂部縁部分に連結されており、その長手方向縁では、第1のフラスコ・ネック部分に向かって広がるカバー壁にある頂部開口部分の縁に連結されている。この実施形態は、射出成形によってフラスコ基部およびフラスコ蓋を生産するのに特に有利である。
【0016】
別の実施形態によると、中空シリンダ部分は、中空シリンダよりも内径が大きい。別の実施形態によると、中空シリンダ部分の前部縁が、内周では、中空シリンダの後部縁の外周に連結されている。
【0017】
さらに、この実施形態は、フラスコ基部とフラスコ蓋とを連結するのに有利である。
【0018】
別の実施形態によると、フラスコ基部とフラスコ蓋との連結は、超音波溶着による接合、または赤外線溶着による接合、または接着剤による接合、またはスナップ接続である。
【0019】
超音波溶着では、接合相手(フラスコ基部およびフラスコ蓋)の高周波数振動によって、物質が共に溶解され、それによって互いに接合される。この振動は、超音波発生器によって発生し、工具(いわゆるソノトロード)を用いて接合相手にもたらされる。フラスコ基部とフラスコ蓋との一体化された連結は、極めて強力である。超音波溶着は、特にフラスコ基部およびフラスコ蓋がポリスチレン製である場合に有利に使用可能である。
【0020】
赤外線溶着の場合、接合領域に熱を放射することによって接合相手が溶解する。たとえば、赤外線放熱器が、フラスコ基部とフラスコ蓋との間にある接合領域の隣に配置されている。接合領域が溶解されると、接合相手が接合される。このことは、たとえば、赤外線放熱器がフラスコ基部およびフラスコ蓋をともに押圧することによって除去された後に行われる。
【0021】
接着の場合、接着剤を接合相手間に挿入する。さらに、接着剤またはそこに含まれる溶媒が、培養される細胞、組織または微生物に無害であることが保証されるべきである。さらに、または代替として、たとえば密封されている培養チャンバから接着剤による接合を分離することによって、接着剤による接合が培養チャンバから離れて内部に封入される。
【0022】
別の実施形態によると、エネルギー導波器を溶着することによって、フラスコ基部とフラスコ蓋とを超音波溶着で接合する。エネルギー導波器は、下方に突出し、フラスコ蓋の縁周りを走り、頂部で開口しフラスコ基部の頂部縁周りを走る溝に入る。エネルギー導波器は、フラスコ蓋の頂面側に配置されているソノトロードを用いて溝に溶着されるのが好ましい。エネルギー導波器を用いてソノトロードによってフラスコ蓋に導入されるエネルギーは、溝の底面に導かれる。この溶解物質は、溝に蓄積し、溝を充填する。溶解物質が硬化すると、フラスコ基部およびフラスコ蓋は、密封されて互いに恒久的に連結される。したがって、溝およびエネルギー導波器の輪郭は存在しないか、あるいは部分的にのみ存在するか、あるいは、フラスコ蓋とフラスコ基部との一体的接合と置き換わる。
【0023】
好ましい実施形態によると、溶着前のエネルギー導波器の形状は、断面が三角形のリブと底端部で三角形の先端部である。先端部では、エネルギー導波器の側面間の角度が50度〜70度であるのが好ましく、約60度であるのがさらに好ましい。溶着前は、エネルギー導波器と溝の側壁間の側方の隙間が小さいのが好ましい。
【0024】
別の実施形態によると、フラスコ蓋の縁が、上方に突出し、連続的または途切れ途切れの第1の周縁リブを有する。第1のリブは、ソノトロードを取り付けるのに有利にも役に立つ。この目的のために、第1のリブは、エネルギー導波器の上に垂直方向に配置されるのが好ましい。ソノトロードによって、第1のリブを介してカバー壁を通ってエネルギー導波器にエネルギーを直接導入することができる。さらに、ソノトロードを第1のリブに配置することによって、ソノトロードがカバー壁上に平坦に配置された場合に結果として起こりうる損傷をカバー壁にもたらさない。さらに、第1のリブは、培養フラスコに配置されるさらなる培養フラスコが側方に移動するのを防ぐガイド要素の役割をすることができる。
【0025】
別の実施形態によると、平坦な底面を備えた連続的または途切れ途切れの第2の周縁リブが、底壁から下方へ突出している。第2のリブの底面が、接触領域を形成する。さらに、第2のリブは、培養フラスコがある培養フラスコに配置される場合に側方に移動するのを防止するガイド要素の役割をすることができる。このために、第2のリブは、第1のリブから側方にずれて配置されるのが好ましい。
【0026】
別の実施形態によると、フラスコ蓋の縁周りを走る下方へ突出している第3のリブと、フラスコ基部の頂部縁周りを走る上方へ突出している第4のリブとを溶解し、共に押圧することによって、フラスコ基部とフラスコ蓋とを赤外線溶着で接合する。第3および第4のリブは、好ましくは断面が矩形であり、細片状の端面で共に溶着される。この幾何学的形状によって、共に接合領域を意図的に加熱し溶着するのが促進される。
【0027】
別の実施形態によると、フラスコ・ネックは、蓋用の少なくとも1つの雄ねじ、および/または少なくとも1つのスナップ要素を有する。雄ねじおよび/またはスナップ要素を用いて、相補要素を備えた蓋が、細胞培養フラスコに、着脱自在に固定可能であり、かつ/または閉位置から通気位置まで調節可能に固定される。
【0028】
別の実施形態によると、細胞培養フラスコは、フラスコ・ネックに向かって狭くなっている。これによって細胞培養フラスコから培地を吸出しやすくなる。さらに、細胞培養フラスコを狭くすることによって、血清ピペットまたは異なる供給除去装置を用いて到達できない成長表面の領域がなくなる。
【0029】
別の実施形態によると、底壁に対して鋭角に角度付けられた傾斜壁が、底壁とフラスコ・ネックが取り付けられている側壁との間にある。傾斜壁によって、培養フラスコから培地を吸出し、物質を供給または除去する細長い装置を移動させることがより容易になる。
【0030】
さらなる実施形態によると、フラスコ・ネックが円筒状である。好ましい実施形態によると、フラスコ・ネックが一定のシリンダである。円筒状および一定の円筒形状によって、血清ピペットまたは別の細長い装置をほとんど抵抗なくフラスコ・ネック内で移動させやすくなる。
【0031】
別の実施形態によると、フラスコ・ネックと培養チャンバの内側の移行部が、完全に、または部分的に滑らかであり、かつ/または丸い。このことによって、血清ピペット、またはスクレーパ、または物質を供給または除去する異なる細長い装置をフラスコ・ネック内で移動させやすくなる。
【0032】
別の実施形態によると、平坦なカバー壁が平坦な底壁と平行になるよう位置合わせされている。
【0033】
別の実施形態によると、培養フラスコの蓋および基部が互いに調和して、複数の同等の細胞培養フラスコが互い積み重ねられることができる。
【0034】
別の実施形態によると、フラスコ・ネックが取り付けられている側壁が、フラスコ・ネックの下に弧状の切り欠きを有する。切り欠きは、下に配置されている同等の培養フラスコのカバー壁から突出しているフラスコ・ネックの領域を収容するのに適している。このことにより、培養フラスコを互いに積み重ねることができるようになる。
【0035】
さらなる実施形態によると、培養フラスコが射出成形することによって生産される。培養フラスコは、射出成形によって別々に生産されて、ついで互いに密封して連結されるフラスコ基部およびフラスコ蓋からなるのが好ましい。
【0036】
さらなる実施形態によると、培養フラスコがポリスチレン製または別のプラスチック製である。
【0037】
本発明を、例示的実施形態を含む図面に基づいて、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】培養フラスコの側面図である。
図2】培養フラスコの長手方向断面図である。
図3】培養フラスコの図2のIIIの拡大詳細図である。
図4】培養フラスコの平面図である。
図5】培養フラスコの背面図である。
図6】接合前の培養フラスコのフラスコ基部およびフラスコ蓋の部分縦断面図である。
図7】下からと側面からある角度で斜めから見た、接合前のフラスコ基部およびフラスコ蓋の部分垂直断面図である。
図8】上からと異なる側面からある角度で斜めから見た、接合前のフラスコ基部およびフラスコ蓋の垂直断面図である。
図9】接合前の赤外線溶着で接合するための、フラスコ基部およびフラスコ蓋の接合領域の別の実施形態の垂直断面図である。
図10】前面および側面から斜めに見た、培養フラスコの斜視図である。
図11】前面および側面から斜めに見た、従来の培養フラスコの斜視図である。
図12】血清学的ピペットによって到達可能な本発明の培養フラスコ内の表面の平面図(図12a)と、図12aの線b‐bに沿った断面図(図12b)と、図12aの線c‐cに沿った断面図(図12c)である。
図13】血清学的ピペットによって到達可能な従来の培養フラスコ内の表面の平面図(図13a)と、図13aの線b‐bに沿った断面図(図13b)と、図13aの線c‐cに沿った断面図(図13c)である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0039】
本願では、「頂部」、「上」、「底部」、および、「下」の指定は、培養フラスコの水平方向の基部上の底壁、および底壁より上にあるカバー壁の位置合わせに関する。「前部」および「後部」の指定は、観察者にとってフラスコ・ネックがフラスコ本体よりも近い培養フラスコに関する。
【0040】
図1から図5によると、本発明の培養フラスコ1が、互いに平行に位置合わせされている略平坦な底壁3および略平坦なカバー壁4を備えたフラスコ本体2を含む。底壁3およびカバー壁4は、それぞれ略矩形の部分3.1、4.1と、略台形の部分3.2、4.2とを有する。
【0041】
底壁3とカバー壁4との間隔は、側壁5、6、7、8、9、10によってつながれており、これら側壁は底壁3およびカバー壁4の縁に連結されている。底壁3.1の矩形の部分は、カバー壁4の矩形の部分4.1よりもわずかに小さい。したがって、後側壁5および2つの長手方向の後側壁6、7は、矩形の部分3.1、4.1の縁に連結されている。この縁のみが外向きに曲がっている(図12aを参照)。
【0042】
底壁3の台形の部分3.2は、カバー壁4の台形の部分4.2より著しく小さい。したがって、台形の部分3.2、4.2の2つの側方の縁を互いに連結する長手方向の前側壁8、9が、より大きく外方に曲がっている(図12aを参照)。
【0043】
底壁の台形の部分の前縁が、台形の傾斜壁11に連結されている。傾斜壁11の前縁は、カバー壁4の前縁のわずかに後ろで終端している(図12aを参照)。前側壁10は、傾斜壁11のこの縁とカバー壁4の前縁との間に配置される。この前側壁10は、傾斜壁11の前縁の下を底壁3の底面の高さまで延びる(図1、3を参照)。
【0044】
長手方向の前側壁8、9はまた、傾斜面11の長手方向の縁とカバー壁4の長手方向の前縁との間隔をつなぐ(図7、8を参照)。
【0045】
底壁の頂面は、平坦な成長表面12である。
【0046】
開口部13が、カバー壁4に隣接する前側壁10の領域およびカバー壁4の隣接する領域にある。前側壁10に配置されている開口部13の底部開口部13.1が、傾斜壁11の上に配置されている。したがって、開口部13は、底壁3から垂直方向にある距離だけ離れている。底部開口部13.1は、前部から見ると楕円形状である(図10を参照)。
【0047】
カバー壁4に配置されている頂部開口部13.2が、前側壁10に向かって広がる。平面図では、頂部開口部13.2の形状は楕円の断面である(図4、7、8を参照)。
【0048】
中空円筒状のフラスコ・ネック14が、開口部13の縁に確実に連結されている。フラスコ・ネック14は、底壁3に対して鋭角に向けられている。前端部では、フラスコ・ネック14は、底壁3と平行に位置合わせされているカバー壁4の部分を越えて上方に延びている。
【0049】
フラスコ・ネック14は、円形の断面を有する。フラスコ・ネック14は、中空シリンダの形状を備えた第1のフラスコ・ネック部分14.1を有する。端面縁15の底部縁部分15.1では、第1のフラスコ・ネック部分14.1は、底部開口部分13.1の縁に確実に連結されている(図3を参照)。
【0050】
さらに、フラスコ・ネック14は、中空シリンダの部分である第2のフラスコ・ネック部分14.2を有する。第2のフラスコ・ネック部分14.2は、側方縁部で、頂部開口部分13.2の楕円形状の縁部に連結されている。その端面縁では、第2のフラスコ・ネック部分14.2は、前側壁10を越えて上方へ突出する第1のフラスコ・ネック部分14.1のその頂部縁部分15.2に連結されている。
【0051】
フラスコ・ネック14は、外周縁部に、蓋を調整するねじ山16を有する。
【0052】
フラスコ・ネックの下に、前側壁10は弧状の切り欠き19を有する。切り欠き19は、第2のフラスコ・ネック部分14.2の前端面縁と相補的となるよう成形されている。
【0053】
壁3〜11が培養チャンバ20の範囲を決める。
【0054】
側壁5〜10および第1のフラスコ・ネック部分14.1と同様に、底壁3は図6〜8に示されているフラスコ基部の底面部21に属している。カバー壁4および第2のフラスコ・ネック部分14.2は、同じ図に示されているフラスコ蓋22に属している。
【0055】
縁では、フラスコ蓋22が、上方に突出し、連続的な第1の周縁リブ23を有する。
【0056】
第2の周縁リブ24は、底壁3の縁から下方へ突出する。
【0057】
側方縁の隣の後側壁5には、後方に突出する2つの垂直に延びる後部リブ25、26がある(図5を参照)。
【0058】
頂部縁では、フラスコ基部21が、頂部で開口する周縁溝27を有する(図6〜7を参照)。周縁溝27は、後側壁および長手方向側壁5、6、7、8、9の頂部縁に沿って延び、前側壁10の頂部縁第1のフラスコ・ネック部分14.1の隣に延びている。さらに、周縁溝27は、第1のフラスコ・ネック部分14.1の後端で、第1のフラスコ・ネック部分14.1の外周を越えて延びている。したがって、溝27は第1のフラスコ・ネック部分14.1の外周上に弧状に延びるだけで、残りは平面に延びる。
【0059】
フラスコ蓋22は、縁で下方へ突出する周縁のエネルギー導波器28を有する。図6〜8によると、エネルギー導波器28は、断面が三角形のリブ形状を有し、そのリブの先端部は下方に向いている。エネルギー導波器28は、カバー壁4の後部および側方の縁に沿って走り、カバー壁の前部縁に沿って第2のフラスコ・ネック部分14.2の隣を走る。さらに、エネルギー導波器28は、前部では、第2のフラスコ・ネック部分14.2の内周に沿って延びる。
【0060】
エネルギー導波器28は、第1のリブ23の下に垂直に配置されている。
【0061】
製造中、エネルギー導波器28が溝27に係合するように、フラスコ蓋22はフラスコ基部21に配置されている。このことは、図2および図3に示されている。ついで、形状が対応しているソノトロードが、第1のリブ23の上から配置される。このソノトロードによって、超音波範囲の周波数で垂直方向に振動する。エネルギー導波器28と溝27の底面間の摩擦によって、プラスチック物質が溶解し、共に溶着される。図2および図3は、端部位置での超音波溶着後のフラスコ蓋22およびフラスコ基部21を示している。溶着前に存在するエネルギー導波器28の先端部が図2および図3に示されており、溶着中溝27と共に溶解するエネルギー導波器の部分を示している。
【0062】
代替として、図9によるフラスコ基部21およびフラスコ蓋22は、赤外線溶着で接合するための幾何学的形状を有する。幾何学的形状は、フラスコ蓋22から下方へ突出する第3の周縁リブ29と、フラスコ基部から上方へ突出する第4の周縁リブ30とを含む。連結するために、赤外線放熱器が第3と第4のリブ29、30間に配置され、第3および第4のリブ29、30が溶解した後に取り外される。ついで、溶解されたリブ29、30が共に押圧され、硬化後には互いに堅固に連結されている。
【0063】
図10によると、フラスコ・ネック14を通る本発明の培養フラスコ1の流路31は、開口部13の領域にある水平方向縁部によって区切られることはない。したがって、この培養チャンバ20は容易にアクセス可能となる。図11によると、従来の培養フラスコ1の縁部32では、フラスコ・ネックを通る培養チャンバ20へのアクセスが妨げられる。
【0064】
図12によると、本発明の培養フラスコ1の成長表面12の大部分および後方位置の壁5および長手方向側壁6、7の比較的大部分が、血清ピペット33(図6を参照)で到達可能である。血清ピペット33は、容積が25mlであり、外側からフラスコ・ネック14を通って挿入される。図13によると、成長表面12の対応部分および後側壁5および側壁6、7のわずかな部分のみが、従来の培養フラスコ1の血清ピペット33で到達可能である。ピペット33によって到達可能な側壁5、6、7の表面は、図12および図13では陰影線がつけられている。したがって、従来の培養フラスコ1での場合よりも、本発明の培養フラスコ1では、細胞、組織、微生物、および栄養培地を供給し除去するのがより容易である。
【0065】
図12および図13の実施形態では、培養フラスコおよびピペットによって到達可能な成長表面の領域は、尺度通りに描かれている。描かれた実施形態では、培養フラスコはサイズ175を有する。
【符号の説明】
【0066】
1 培養フラスコ
2 フラスコ本体
3 底壁部
3.1 矩形部分
3.2 台形部分
4 カバー壁
4.1 矩形部分
4.2 台形部分
5〜10 側壁
11 傾斜壁
12 成長表面
13 開口部
13.1 底部開口部分
13.2 頂部開口部分
14 フラスコ・ネック
14.1 第1のフラスコ・ネック部分
14.2 第2のフラスコ・ネック部分
15 端面縁
15.1 底部縁部分
15.2 頂部縁区画
16 ねじ山
19 切り欠き
20 培養チャンバ
21 フラスコ底部
22 フラスコ頂部
23 第1のリブ
24 第2のリブ
25、26 後部リブ
27 溝
28 エネルギー導波器
29 第3のリブ
30 第4のリブ
31 流路
32 縁部
33 ピペット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13