(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベクトル量に基づいて、前記電動機の前記回転位置および/または速度を調整するために、前記複数の制御信号を受信し、PWM信号を出力するよう構成されたパルス幅変調(PWM)ユニットをさらに備える、請求項1または2に記載のFOC構造。
前記ベクトル量に基づいて、前記電動機の前記回転位置および/または速度を調整するために、PWM信号を受信し、前記電動機の巻線に三相正弦波形を出力するよう構成された電圧形インバータコンポーネントをさらに備える、請求項1または2に記載のFOC構造。
変調器において、電動機の回転子の所望の回転位置および/または所望の速度を表すベクトル量を受信する工程であって、前記ベクトル量は、大きさおよび角度を含み、前記角度は、一定のユーザによって定義された速度で変化するよう構成される、工程と、
前記変調器において、前記ベクトル量に基づいて、前記電動機の回転位置および/または速度を調整するために複数の制御信号を出力する工程と、
前記電動機がユーザによって定義された回転速度に達すると、開ループ動作モードから閉ループ動作モードに切り替わる工程と、
フィードバックループを介して、1つまたは複数の電動機巻線電流値の処理に基づいて、前記ベクトル量の前記大きさを調整する工程と、
前記受信する工程および前記調整する工程に基づいて、可変速度制御を前記電動機に提供する工程と、
前記閉ループ動作モードで動作する間、ヒステリシスコントローラを介して、強制的に、前記電動機の固定子磁束が前記電動機の回転子磁束に垂直になるようにする工程と
を含む、方法。
変調器において、電動機の回転子の所望の回転位置および/または所望の速度を表すベクトル量を受信する工程であって、前記ベクトル量は、大きさおよび角度を含み、前記角度は、一定のユーザによって定義された速度で変化するよう構成される、工程と、
前記変調器において、前記ベクトル量に基づいて、前記電動機の回転位置および/または速度を調整するために複数の制御信号を出力する工程と、
前記電動機がユーザによって定義された回転速度に達すると、開ループ動作モードから閉ループ動作モードに切り替わる工程と、
フィードバックループを介して、1つまたは複数の電動機巻線電流値の処理に基づいて、前記ベクトル量の前記大きさを調整する工程と、
前記受信する工程および前記調整する工程に基づいて、可変速度制御を前記電動機に提供する工程と、
周波数当たりの電圧制御を使用して前記開ループ動作モードで前記電動機を始動する工程と、
ユーザによって定義された速度まで前記電動機速度を上昇する工程と、
前記電動機の定常状態動作のため、前記閉ループ動作モードに切り替える工程と、
前記ユーザによって定義された速度に達した後に、一定速度で前記ベクトル量の前記角度を変化させると同時に、前記ベクトル量の前記大きさを制御して、強制的に前記電動機の固定子磁束が前記電動機の回転子磁束に垂直になるようにする工程を含む、前記電動機の最大エネルギー効率を追跡する工程と、
前記電動機の定常状態動作のため、前記閉ループ動作モードに移行する工程と、
を含む、方法。
前記開ループ動作モードで動作する間、前記電動機の始動のための1周波数当たりの電圧値を決定する工程と、定常状態のために前記閉ループ動作モードで動作する間、前記複素電圧空間ベクトルの前記大きさを決定する工程をさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
前記電動機の前記回転位置および/または速度を調整するために、パルス幅変調(PWM)ユニットにおいて前記複数の制御信号を受信する工程と、前記PWMユニットにおいてPWM信号を出力する工程とをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
前記電動機の前記回転位置および/または速度を調整するために、電圧形インバータコンポーネントにおいてPWM信号を受信する工程と、前記電動機の巻線に三相正弦波形を出力する工程とをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最適化技法として、磁界方向制御(FOC)(すなわち、ベクトル制御)は、電動機速度の全範囲にわたる高速制御応答で電力効率を高めるための、三相交流(AC)電動機の可変速度制御の方法である。
【0009】
三相AC電動機の最適制御を提供するための構造、コンポーネントおよび技法の様々な実装形態がこの開示で論じられる。構造、コンポーネントおよび技法は、図中に示される例示的な三相永久磁石同期電動機(PMSM)デバイスおよび制御システムを参照して論じられる。しかし、これは、制限を意図するものではなく、論じ易くするためおよび図解上の便宜を図るためのものである。論じられる技法およびデバイスは、様々な電動機設計、制御構造および同様のもの(例えば、単相および三相可変周波数駆動器、デジタル位相変換器、三相および単相電動機、誘導電動機、再生式駆動器など)の多くに適用することができ、本開示の範囲内に留まる。
【0010】
実装形態については、複数の例を使用して、以下でさらに詳細に説明される。様々な実装形態および実施例が本項以下で論じられるが、個々の実装形態および実施例の特徴および要素を組み合わせることにより、さらなる実装形態および実施例が可能であり得る。
【0011】
図1および2は、本明細書に記載される技法およびデバイスを適用することができる、例示的な磁界方向制御(FOC)構造構成100のブロック図である。基準速度(例えば、電動機102の所望の回転速度)が入力側で受信され、パルス幅変調(PWM)電動機電圧出力信号(例えば、三相)が電動機102に出力される。
図1に示される例示的なFOC構成100は、位置計算106および速度計算108モジュールを介して、位置センサ104を使用して回転子位置および/または速度を決定するセンサ付きバージョンである。
図2に示される例示的なFOC構成100は、速度計算108モジュールを介して、位置推定器202を使用して回転子位置および/または速度を決定するセンサレスバージョンである。
【0012】
一例では、FOC構造構成100は、高速応答を有することが望ましい制御ループにおいて複雑なデカルト基準フレーム変換(例えば、パーク変換110および逆パーク変換112)を用いて、三相信号を2つの回転子固定信号に変換し(例えば、d,q座標系において)、その逆も同様である。これらの基準フレーム変換は、演算集約型であり得、余分な計算誤差を引き起こす可能性もあり、望ましくない低速電流制御ループや、動的電動機負荷への応答不良をもたらす。これにより、ますます多くの複合システム機能(例えば、デジタル力率補正、複数のFOC電動機制御、デジタル電力変換など)を単一のマイクロコントローラで取り扱うことが困難になる可能性がある。
【0013】
通常、
図1および2に示されるように、FOC構造構成100は、クラーク変換114を使用して、電流計算段115から出力された三相電流I
u、I
vおよび/またはI
w(アナログ/デジタル変換器(ADC)116によって測定されるようなものであり、ADC変換は、PWMユニット118または同様のものによってトリガすることができる)を、I
αおよびI
β(定常状態では正弦波信号である)のような静止α−β基準フレームに変換する。I
αおよびI
βをI
dおよびI
qのような別の回転子座標系d−qにそれぞれ変換する上では、パーク変換112が使用される。I
dおよびI
qは、FOC100制御ループのフィードバック信号であり、定常状態ではほぼ一定である。
【0014】
PIコントローラ130、120および122は、速度および電流制御のために別々に使用され、制御可能な電動機速度、トルクおよび空隙磁束を達成する。一般に、磁束生成成分I
dは、0に制御される。また、電動機102の動作速度範囲を拡大するため、I
dを負の値に制御する(すなわち、磁束低減制御)ことも可能である。速度PIコントローラ130出力は、トルク生成成分I
qに対する基準電流である。PIコントローラ120、122は、電動機102の所望の回転速度に対して、電動機102相がd−q基準フレームにあるべき電圧V
dおよびV
qを出力する。また、V
dおよびV
qも、定常状態ではほぼ一定である。
【0015】
様々な例では、逆パーク変換112は、結果として得られる電圧V
dおよびV
qを、V
αおよびV
β(定常状態では正弦波信号である)のような静止α−β基準フレームに変換するために使用される。電圧ベクトル(V
α,V
β)の振幅および角度は、空間ベクトル変調(SVM)変調器124に対する基準電圧であり、それを使用して、PWMユニット118を制御し、三相2レベル電圧インバータ126から三相正弦波形出力を生み出し、電動機102相を駆動する。
【0016】
いくつかの事例では、デカルト座標から極座標への変換128は、マイクロコントローラがデカルト座標から極座標への変換計算を実行することが望まれない場合は、無視することができる。その事例では、電圧V
αおよびV
βをSVM変調器124に直接送信することができる。必要に応じて、インバータ126DCリンク電圧(VDC)のADC 116値を定期的にSVM 124計算に対して得ることもできる(分圧器が使用される場合が多い)。必要な電動機102制御を実現するため、上記で説明される制御ループは何度も繰り返される。
【0017】
回転子位置φおよび速度ωは、
図1に示されるようなセンサ付きFOC構成100の回転子位置センサ104(エンコーダ、レゾルバ、ホールセンサなど)、または、
図2に示されるようなセンサレスFOC構成100の位置推定器202から得ることができる。電動機機械的時定数は通常、電気的時定数よりはるかに大きいため、回転子位置および速度計算ならびに速度PI制御130は、低速制御ループを備える。
図1および2に示される他のコンピューティングブロックは、高速電流制御ループを備え、可能な限り速く演算できるはずである。
【0018】
図2に示されるようなセンサレスFOC構造構成100は、ファン、ポンプ、コンプレッサおよび歯車付き電動機などのいくつかのコスト重視の消費者および産業用電動機駆動器のセンサ付きバージョンより優れた選択であり得る。例えば、センサレスFOC構成100は、よりコストのかかるセンサ(エンコーダ、磁気角度センサ、ホールセンサなど)の代わりに、ソフトウェア回転子位置および速度推定器202を使用する場合が多い。自動車分野における解決策または同様のものでは、センサレスFOC構成100は、例えば、センサ駆動FOC構成100が故障した場合にセンサ付きバージョンをバックアップするための冗長システムとして含めることができる。
【0019】
センサレスFOC構成100に対する一部の回転子位置および速度推定器202は、回転子位置および/または速度を推定するため、固定子抵抗Rおよび固定子インダクタンスLなどの正確な電動機102パラメータ情報を使用し、したがって、RおよびLの変動に対する感度が高い。しかし、電動機固定子抵抗Rは、温度に大きく依存し得る。例えば、温度が20℃から40℃に上昇すると(銅およびアルミニウムの抵抗率温度係数は、20℃では約+0.39%/℃である)、一般的な電動機巻線材料である銅およびアルミニウムの抵抗は、15%を超えて増加する。そのようなランダム抵抗変動は、位置および速度推定器202に誤差を引き起こす可能性があり、特に低速において制御性能を悪化させる可能性がある。
【0020】
それに加えて、一部のセンサレスFOC構成100は、非常に複雑であり得、3つのPIコントローラを使用する場合が多く、スムーズな電動機始動の達成および指定された電動機での最高のシステム性能のための微調整を困難で時間のかかるものにする。センサレスFOCにおいて不精密な位置および速度情報を用いると、固定子磁束および回転子磁束は必ずしも互いに垂直であるとは限らず、その結果、エネルギー効率は常に最大化されるとは限らない。
【0021】
開示されるFOC制御技法および構造は、最適化された高速制御ループおよび減少されたCPU時間利用を含む。逆パーク変換112を用いない場合、FOC構成100は、高速制御ループの最適化および加速が可能であり、その場合、極めて動的な負荷(コンプレッサ、電気推進用の電動機など)を用いたFOC電動機制御に利益をもたらすことになる。また、高性能システムにおいて、CPU負荷の低減も、他の目的(例えば、デジタルPFC、複数のFOC電動機駆動器、HMI、通信)のための貴重なCPU時間の節約も行い、したがって、マイクロコントローラの潜在力および特徴を十分に使用することができる。逆に、最適化されたFOCを用いると、ユーザは、より少ない演算電力およびより低いコストのマイクロコントローラを選択して、同じ品質のFOC電動機制御を達成することができる。
【0022】
様々な実装形態では、FOC構成100モジュールまたはコンポーネント(例えば、PIコントローラ120、122、130、変換110、112、114、128、1302、1402、1802、1902、2102、変調器124、計算108、115)および他のコンポーネントのうちの1つまたは複数は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアもしくは同様のものまたはそれらの組合せで実装することができる。
【0023】
その上、開示される技法のいくつかは、様々なコンピュータまたはワークステーションプラットホーム上で使用することができるポータブルなソースコードを提供するオブジェクトまたはオブジェクト指向ソフトウェア開発環境を使用するソフトウェアで容易に実装することができる。あるいは、開示される技法および/または構成は、標準の論理回路またはVLSI設計を使用するハードウェアで部分的にまたは完全に実装することができる。
【0024】
その上、開示される手順は、コントローラおよびメモリと協働するプログラムされた汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサまたは同様のものの上で実行される、コンピュータ可読記憶媒体(メモリ記憶装置など)上に格納することができるソフトウェアで容易に実装することができる。これらの例では、説明される実装形態の構成および手順は、アプレット、JAVA(登録商標)またはCGIスクリプトなどのパーソナルコンピュータ上に埋め込まれたプログラムとして、サーバもしくはコンピュータワークステーション上に存在するリソースとして、専用通信構成もしくは構成コンポーネントに埋め込まれたルーチンとして、または、同様のものとして、実装することができる。また、構成は、テスト/モデリングデバイスのハードウェアおよびソフトウェアシステムなどのソフトウェアおよび/またはハードウェアシステムに構成および/または手順を物理的に組み込むことによって実装することもできる。
【0025】
FOC構成の例示的な座標系
様々な実装形態では、FOC構造構成100は、三相単極対PMSM電動機に対して、以下の座標系を使用することができる(それに加えて、本開示は、複数極対電動機および他のタイプの電動機に同じように適用することができる)。座標系の概要は以下の通りであり、座標系およびそれらの関係についての説明を含む。
【0027】
この文書全体を通じて、電動機102は正の方向(すなわち、反時計回りの方向)に回転し、したがって、角度および角速度は正の数であることが想定される。正弦状の角度および角速度は、負の方向(すなわち、時計回りの方向)に回転する電動機102に対して変化し得る。
【0028】
図3に示されるように、座標系は、電動機の固定子および/または回転子を基準にすることができる。例えば、d−qデカルト座標系は回転子に固定され、d−q座標系のコンポーネントは共に回転する。直軸Odは、回転子永久磁石南極(S極)から北極(N極)への方向に方向付けられる。他方の横軸Oqは、回転子磁束(例えば、回転子)に垂直である。
【0029】
図3(b)に示されるように、電動機固定子巻線の三相120°分離正弦波電流I
u、I
vおよびI
wは、非回転だが脈動する3つの磁界をu、vおよびw方向にそれぞれ生成し、回転磁界(固定子磁束空間ベクトル)を生じさせる。I
u、I
vおよびI
wのベクトル加算により、速度ω
iで回転する電流空間ベクトル
【数1】
(その大きさのスケールダウンまたはスケールアップは可能だが、方向の変化はない)が得られる。
【0030】
静止α−β基準フレームでは、
【数2】
は、
図3に示されるように、デカルト座標I
αおよびI
βを有する。回転固定子磁束空間ベクトル
【数3】
は、
【数4】
と同じ方向を有し、
図3(c)に示されるように、それらの大きさは互いに比例する。回転電流空間ベクトル
【数5】
は、回転固定子磁束
【数6】
を表し得る。例えば、様々な実装形態では、回転固定子
【数7】
は、3つの正弦波電流I
u、I
vおよびI
wを制御する代わりに、単一の電流空間ベクトル
【数8】
の大きさおよび方向を制御することによる制御の方が簡単である。
【0031】
同様に、三相120°分離固定子相電圧V
u、V
vおよびV
wのベクトル加算により、回転電圧空間ベクトル
【数9】
が得られる。また、回転する回転子永久磁石は、回転する回転子磁束空間ベクトル
【数10】
を生成する。
【0032】
上記の回転空間ベクトルの大きさおよび方向は、
図3に示されるように、動径座標および極座標系の極角で表すことができる。異なる座標系におけるそれらの座標は、以下に示される。
【0033】
【表2】
表中、
【数11】
− 大きさ|I|および角度γを有する固定子電流空間ベクトル。
【数12】
− 大きさ|V
ref|および角度θを有する固定子電圧空間ベクトル。
【数13】
− 固定子磁束空間ベクトル
【数14】
。これは電流空間ベクトル
【数15】
と同じ方向を指し示す。
L − 1相当たりの固定子巻線インダクタンス。
【数16】
− 大きさ|Ψ
r|を有する回転子永久磁石磁束鎖交空間ベクトル。|Ψ
r|は、電動機仕様の電圧定数、速度定数またはトルク定数から導出することができる。以下に示されるように、逆起電力(BEMF)の大きさは|ω
rΨ
r|である。
φ − 回転子の電気的な角度位置。
γ − 静止Ou極座標系における電流空間ベクトルの角度。
Θ − 回転Od極座標系における電圧空間ベクトルの角度。
θ − 静止Ou極座標系における電圧空間ベクトルの角度。θ=Θ+φ。
【0034】
静止極座標系Ouでは、回転空間ベクトルは、以下の通り、複素数の極形式で記載することができる。
【数17】
式中、
e − オイラー数(すなわち、自然対数の基数)。e≒2.718281828。
j − 虚数単位。
【数18】
。
【0035】
図4(a)を参照すると、永久磁石同期電動機(PMSM)102の電気サブシステムの同等の回路が示されている。電動機102方程式(固定子モデル)は、以下の通り、記載することができる。
【数19】
【0036】
方程式(1)〜(4)を考慮すると、方程式(5)は、静止極座標系Ouにおいて、以下の方程式(6)の通り、書き換えることができる。角度のすべては、
図3(c)に示される。
【数20】
式中、
R − 1相当たりの固定子巻線抵抗。
【数21】
− 固定子巻線抵抗による電圧降下空間ベクトル。
【数22】
− 時変固定子磁束によって引き起こされた起電力空間ベクトル。
【数23】
− 大きさ|ω
rΨ
r|を有するBEMF空間ベクトル。時変回転子磁束鎖交によって引き起こされた起電力であり、回転子磁束空間ベクトルに垂直である。
ω
i − 電流空間ベクトルの電気的な角速度であり、
【数24】
である。
ω
r − 回転子の電気的な角速度であり、
【数25】
である。
π − アルキメデスの定数(すなわち、円の直径に対する円周の比率)であり、π≒3.14159265359である。
【数26】
であることに留意されたい。
【0037】
方程式(6)では、2つの未知の変数ω
rおよびφ以外の他のすべての要素は、定数(例えば、e、j、
【数27】
)、電動機102パラメータ(例えば、R、Lおよび|Ψ
r|)、測定および計算値(例えば、|I|、γ、
【数28】
およびω
i)、または、電動機相に現在適用されている最終制御サイクル計算結果(例えば、|V
ref|およびθ)である。PMSMは同期電動機であるため、電圧空間ベクトル、電流空間ベクトルおよび回転子の電気的な角速度の平均は、同じであるはずである。したがって、簡単にするため、経時的な電圧空間ベクトルの角度の変化は、以下の通り、記載することができる。
【数29】
式中、
ω − 位置センサによる測定速度または位置推定器による推定速度(例えば、PLL観測器のPIコントローラ)。
ω
ref − ユーザによって定義された電動機102の基準速度。
【0038】
方程式(6)の項のすべては
図3(c)に描写されていることを思い起こすと、方程式(6)の積分およびその結果の再構成により、
【数30】
が得られる。
【0039】
方程式(7.a)は両側とも、静止α−β軸に射影して、以下の通り、回転子磁束空間ベクトルの座標を得ることができる。
【数31】
【0040】
様々な実装形態では、I
αおよびI
βは、リアルタイムで測定および計算された電流値である。それに加えて、V
αおよびV
βは、最終制御サイクルの計算結果であり、電動機102相に適用される。いくつかの例では、方程式(7.b)および(7.c)に示される積分は、非常に低いカットオフ周波数を有する低域フィルタによって積分を置き換えることによって、簡素化することができる。センサレスFOC構成100の場合、回転子位置は、電動機102パラメータRおよびLを知ることで、計算することができる。磁束位置推定器は、以下の通りである。
【数32】
【0041】
回転子の電気速度は、以下の通りである。
【数33】
【0042】
一部のセンサレスFOC構成100の場合、推定回転子位置
【数34】
は、以下の方程式(8)に示されるように、積分器2302(
図23、24、26および27を参照)によって得ることができる。積分のデジタル実現は、あらゆるFOCループの速度の累積によって達成される(必要に応じて相応に、スケーリングされる)。
【数35】
【0043】
SVM 124(
図28、29、30および31)基準ベクトルの角度は、以下の方程式(8.a)に示される。
【数36】
【0044】
方程式(6)のフェーザ図が
図4および5に示される。固定子抵抗Rの電動機102パラメータを消去するため、方程式(6)の電圧空間ベクトルのすべてを電流空間ベクトルに垂直な方向に射影することができる。それに従って、以下の式が得られる。
【数37】
【0045】
方程式(9)を再構成すると、以下の方程式(10.a)が得られ、
【数38】
方程式(10.b)に示されるように、スケーリングすることができる。
【数39】
式中、
δ − その所望の位置からの電流空間ベクトル(すなわち、Oq方向に沿って、回転子磁束に垂直な)
【数40】
の偏角。
【数41】
。
図4(b)に示されるように、
【数42】
がOqより遅れている場合は、δ<0。
図5(a)に示されるように、
【数43】
がOqより進んでいる場合は、δ>0。
図5(b)に示されるように、
【数44】
とOqが同相である場合は、δ=0であり、これは、FOCの制御目標である。
ε −
図4(b)および
図5(a)に示されるように、非ゼロδの結果として得られる電圧差。
【0046】
δがラジアン単位の正弦関数sin(δ)は、以下に示されるように、無限級数で表すことができる。
【数45】
【0047】
図6は、度の単位の偏角δに対するsin(δ)およびラジアン単位のδのグラフである。|δ|<<1(例えば、
【数46】
)の場合、方程式(11)の無限級数において、二次より高い次数の項は、省略することができる。上記および方程式(7)を考慮すると、方程式(10.a)および(10.b)は、
【数47】
となり、そのスケーリングされたバージョンは、
【数48】
である。
【0048】
上記から、次のことが分かる。標準状態では、
1)偏角δが0であるときは常に、電圧差εは0である。
2)電圧差εは、電流空間ベクトル偏角δにほぼ比例する。
3)同じ非ゼロ偏角δの場合、BEMFの大きさ|ω
rΨ
r|が大きいほど、結果として得られる電圧差εの大きさが大きくなる。したがって、より高い電動機速度では、εは、非ゼロδに対する感度がより高い。
【0049】
したがって、電圧差ε=|V
ref|sin(γ−θ)+ωL|I|を計算することにより、最大エネルギー効率に必要とされる通り、固定子磁束が回転子磁束に垂直であるかどうかを明らかにすることができる。それに加えて、垂直でない場合、その結果は、所望の位置からどれほどの偏角を有するかを示すことができる。
【0050】
センサレスFOC構成100の実装形態では、電圧差ε(またはスケーリングされた値
【数49】
)をフィードバック信号として使用して、回転子位置
【数50】
および速度
【数51】
を推定することができる。さらに、フィードバック信号を使用して、回転電圧空間ベクトル
【数52】
の大きさ|V
ref|を制御することができる。
図23、24および26〜31に示される例と同様に、フィードバックは、偏角δを0に向けて駆動し、最大電動機駆動効率を追跡および/または最適化することができる。様々な例では、ε−δ関係は、偏角δが大き過ぎる場合は線形ではない可能性があるが、依然として、どの方向(すなわち、進みまたは遅れ)に角度がずれているかを決定し、偏角δを0に向けて(例えば、反対方向に)推し進めることができる。
【0051】
図7を参照すると、ヒステリシスコントローラ(
図28〜31を参照)は、望ましくない振動を回避するため、基準ベクトルの大きさ|V
ref|の制御に使用される。コントローラ(2802)のヒステリシスは
図7に示され、その方程式は、以下の通りである。
【数53】
式中、
|V
ref|[n] − 電流制御サイクルの基準ベクトルの大きさの計算結果。
|V
ref|[n−1] − 最終制御サイクルの基準ベクトルの大きさの計算結果。
ΔV − 基準ベクトルの大きさの変化ステップ。
ε
Th − ヒステリシスコントローラの閾値。
ε
Th_L − ヒステリシスコントローラの下方閾値。最初は、ε
Th=ε
Th_Lに設定する。
ε
Th_H − ヒステリシスコントローラの上方閾値。
【0052】
閾値ε
Th_Lおよびε
Th_Hは、BEMFの大きさ|ω
rΨ
r|、したがって、回転子速度ω
rに密接に関連することに留意されたい。通常、電動機102速度が高いほど、指定された電動機102に対する閾値は大きくなる。
【0053】
図8に示されるように、PIコントローラ(例えば、120、122および130)は、回転子速度制御、固定子磁束大きさ制御および磁束方向制御に使用される。いくつかの実装形態では、PIコントローラは、I
d/I
q電流制御およびPLL回転子速度推定(2306)に使用される。いくつかの例では、PIコントローラを使用して、ヒステリシスコントローラ(2802)に対する|V
ref|の変化ステップΔVを計算する。PIコントローラ(例えば、120、122および130)は、誤差の導関数が使用されないPIDコントローラの特別な事例である。PIコントローラ(例えば、120、122および130)は、以下の方程式によって説明することができる。
【数54】
式中、
e(t) − 誤差信号。基準値からフィードバック値を減算した値である。
K
p − 比例利得。
K
i − 積分利得。
t − 瞬間的時間。
τ − 積分の変数。時刻0から現時刻tまでの値を取る。
I(t) − 積分項。
U(t) − PIコントローラ出力。
【0054】
マイクロコントローラにおけるPIコントローラ120、122、130、2306および2804のデジタル実現は、以下の形式で表現することができる。
【数55】
【0055】
方程式(14)および(15)のI[k]およびU[k]は両方とも、望まないワインドアップ状況を回避するため(アンチワインドアップ)、最小および最大限度を有する。
【0056】
PLL観測器2202(
図22〜27を参照)における低域フィルタ(LPF)2304は、いかなる次数でもあり得る。簡単にするため、単位利得を有する一次LPFを使用することができ、以下の通り、表現することができる。
【数56】
式中、
y[k] − 電流サイクルフィルタ出力。
y[k−1] − 最終サイクルフィルタ出力。
x[k] − 電流サイクルフィルタ入力。
N − LPFのカットオフ周波数に影響を及ぼす整数。N=1、2、3...。
【0057】
三相2レベル電圧形インバータ126と電動機102との接続が
図9および10に示される。インバータ126の6つのスイッチングデバイス(MOSFET、IGBTまたは同様の部品であり得る)は、マイクロコントローラパルス幅変調(PWM)信号によって制御される。電動機102巻線は、星形(
図9(a)に示されるような)またはデルタ形に結線することができる。
【0058】
異なる電動機102相電流検知技法を使用することができる。
図9(b)では、各電動機102相の電流を検知するため、3つのシャント抵抗器132がインバータ126の各脚部に挿入されている。
図10(c)では、2つの電動機102相の電流を検知するため、2つのシャント抵抗器132がインバータ126の2本の脚部に挿入されている(例えば、位相UおよびV)。I
u+I
V+I
W=0のため、第3の電動機102相電流は、容易に計算することができる。
図10(d)では、DCリンク電流を検知するため、単一のシャント抵抗器132がインバータ126のDCリンクに挿入されており、三相電流復元を使用して、電動機102相の電流情報を得ることができる。
【0059】
必要に応じて、抵抗器132電圧降下を増幅するために増幅器134(外部の増幅器であり得る)、マイクロコントローラのオンチップADC利得または同様のものが使用され、同電圧降下は、電動機102相またはDCリンクの電流に比例する。電動機102相電流検知に対し、ホールセンサ、変流器または他の電流センサをシャント抵抗器132の代わりにすることができることに留意されたい。
【0060】
トリプルシャントおよびデュアルシャント電流検知と比較すると、シングルシャント電流検知は、以下の重要な利点を有する。
1)1つの電流センサ、1つの増幅器134(使用する場合)および1つのADCチャネルの使用の結果として、コスト削減。これに反して、トリプルシャントおよびデュアルシャント電流検知は、複数の電流センサ、増幅器134(使用する場合)およびADCチャネルを使用する。
2)すべての電動機102相の電流測定に対して、同じ電流検知回路およびADCチャネルが使用されるため、増幅器134の利得およびオフセットを較正する必要はない(コンポーネント許容値、温度変動、老年化などによる可能性がある)。
3)より簡単かつより容易な電子回路図およびPCB設計。
【0061】
空間ベクトル変調(SVM)を使用して、
図9および10のインバータ126スイッチングデバイスに対するPWMを制御し、電動機102巻線に対する三相正弦波形を生み出す。
図11には、SVM 124の空間ベクトル図(正六角形)および基準ベクトル近似が示されている。平面は、AからFまでの6つのセクタに切断され、回転基準ベクトル
【数57】
の角度θは、各セクタにおいて、相対角度θ
relに変換される。
【数58】
から
【数59】
は、能動ベクトルである。
【数60】
および
【数61】
は、インバータ出力におけるいかなる電圧差も生成せず、ゼロベクトル(または受動ベクトル)である。基準ベクトル
【数62】
は、2つの隣接する能動ベクトル(例えば、
【数63】
がセクタAにある場合、
【数64】
および
【数65】
。)ならびにゼロベクトルの一方または両方(例えば、
【数66】
)によって近似される。T
1およびT
2は能動ベクトルに、そして、T
0は受動ベクトルに相当する(例えば、セクタAにおける
【数67】
および
【数68】
)。
【0062】
図11を参照し、セクタAの基準ベクトルを一例として使用すると、以下の部分は、SVM 124構成の計算を示す。ボルト秒バランス(volt−second balancing)を使用すると、以下の通りになる。
【数69】
【0063】
方程式(17)および(18)の解を求めて、以下の式を得ることができる。
【数70】
式中、
T
S − サンプリング周期。例えば、T
S=50μs。
T
0 − ゼロベクトルが適用された時刻。ゼロベクトルは、
【数71】
またはその両方であり得る。
T
1 − 第1の能動ベクトル(例えば、セクタAの
【数72】
)が1つのサンプリング周期内で適用された時刻。
T
2 − 第2の能動ベクトル(例えば、セクタAの
【数73】
)が1つのサンプリング周期内で適用された時刻。
K
SVM −
【数74】
である。|V
ref|は、
【数75】
の大きさであり、V
DCは、インバータ126DCリンク電圧である。
【0064】
様々な実装形態では、方程式(19)および(20)の正弦/余弦関数は、異なる方法で計算することも(例えば、マイクロコントローラメモリにおける0〜60°の正弦関数に対するルックアップテーブルを使用するなど)、マイクロコントローラによって計算することなどもできる。
【0065】
異なる品質および演算要件をもたらす、多くのSVM 124スキーム(例えば、対称または非対称的な7セグメントスキーム、対称または非対称的な5セグメントスキーム、および、3セグメントスキーム)が存在する。SVM 124スキームは、例えば、マイクロコントローラ特徴およびアプリケーション要件に基づいて選択することができる。一実装形態では、SVM 124は、トリプルシャントまたはデュアルシャント電流検知機能を有するセンサレスFOC構成100に対して使用することができる。
【0066】
一例では、V/f開ループ始動の間、SVM 124基準ベクトルの大きさおよび角度は、以下の通りである。
【数76】
式中、
オフセット − 速度ゼロでの|V
ref|に対するオフセット値。
K − V/f定数。
【0067】
本明細書で論じられるセンサレスFOC制御技法は、ハードウェアコプロセッサを有する一部のマイクロコントローラによく適している。例えば、コプロセッサは、三角関数、線形関数、双曲線関数および関連関数を演算して、CPUからプロセッサ集約型タスクを開放し、したがって、システム性能を加速することができる。以下の表により、提案される制御技法で使用することができる演算例が得られる。
【0069】
FOC構造に対する例示的な角度加算技法
図12および13に示されるように、様々な実装形態では、演算方法またはプロセス工程を含み得るセンサ付き(
図12)およびセンサレス(
図13)FOC構造構成100は、演算集約型逆パーク変換112なしで動作される。例えば、いくつかの実装形態では、
図12および13の実装形態と同様に、FOC構造構成100は、大きさおよび角度を使用して、極座標系における電圧空間ベクトルを表す。その実装形態では、一部のFOC構成100(
図1および2を参照)で使用される、正弦および余弦関数を用いる逆パーク変換112は、電圧空間ベクトルの大きさ|V
ref|はそのままの状態で、角度の加算によって置き換えることができる。
【0070】
一例では、角度の加算は、精密に瞬時に演算することができる(例えば、角度加算演算は、ほとんどのマイクロコントローラで、1つまたはいくつかのシステムクロック内で行うことができる)。このことは、
図12および13のFOC構成100に対して使用される角度加算技法を示す以下の表に示される。
【0072】
それに従って、一実装形態では、
図12および13に示されるように、逆パーク変換112は、FOC構成100ではバイパスされる。代わりに、角度Θおよびφが加算され、θが生成される。式中、
【数77】
であり、φは、回転子位置/角度である。一例では、電圧空間ベクトルの大きさ|V
ref|は、上記の表に示されるように、V
dおよびV
qで計算される。これは、極座標系における電圧空間ベクトルの操作を表し、このこともまた上記の表に示されている。
【0073】
例えば、
図13に示されるように、センサレスFOC構成100では、極座標からデカルト座標への変換1302を低速制御ループで使用して、入力として|V
ref|およびθを使用して、位置推定器202に対するV
αおよびV
βを生成することができる。
【0074】
様々な実装形態では、FOC構成100の様々なモジュールに対して実行される計算は、コンピューティングデバイス(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、CPUなど)上で実行することができ、ルックアップテーブルを介してアクセスすることも、両方の組合せも可能である。例えば、ルックアップテーブルは、ローカルもしくはリモートメモリデバイスまたは同様のものに格納し、コンピューティングデバイスによってアクセスすることができる。
【0075】
代替の実装形態では、
図14に示されるように、センサ付きFOC構成100は、パーク変換110およびクラーク変換114もバイパスすることができる。その実装形態では、電流変数I
αおよびI
βは不要であり、電流変数I
dおよびI
qはuvwからd−qへの変換1402から出力することができる。
【0076】
例えば、パーク変換110およびクラーク変換114からの数式は、行列形式で組み合わせて、以下の式を得ることができる。
【数78】
【0077】
これらは、以下に示されるように、簡素化して、uvwからd−qへの変換1402を形成することができる。
【数79】
式中、K
1は、スケーリング係数
【数80】
であり、無視することができる(すなわち、K
1=1にする)。一例では、スケーリング係数
【数81】
は、FOC制御戦略(例えば、電流検知および増幅、アナログ/デジタル変換など)の他のスケーリング係数と組み合わせることができる。一実装形態では、正弦関数に対して、例えば、制御ループ速度を最適化するため、ルックアップテーブルが使用される。
【0078】
別の代替の実装形態では、
図15に示されるように、逆パーク変換112は、バイパスする代わりに、または、高速制御ループで演算する代わりに、低速制御ループに移動することができる。一例では、電圧V
αおよびV
βは、逆パーク変換112を使用して、V
dおよびV
qから計算することができるが、
図15のFOC構成100に示されるように、逆パーク変換112は、回転子位置推定(例えば、202における)のための低速制御ループの一部であり得る。
【0079】
一実装形態では、この代替のFOC制御戦略は、
図2のFOC構成と比べて、高速制御ループ効率を高めている。計算速度をさらに増加するため、マイクロコントローラが例えばSVM変調器124または他のモジュール用に演算すると同時に、マイクロコントローラのコプロセッサによって逆パーク変換112を計算することができる。
【0080】
FOC構造に対する例示的な固定子磁束の大きさおよび方向技法
図16および17に示されるように、様々な実装形態では、演算方法またはプロセス工程を含み得るセンサ付き(
図16)およびセンサレス(
図17)FOC構造構成100は、演算集約型パーク変換110および逆パーク変換112なしで動作される。例えば、いくつかの実装形態では、
図16および17の実装形態と同様に、FOC構造構成100は、固定子磁束の大きさおよび方向制御戦略を含む。例えば、
図16および17のFOC構成100は、複雑なパーク変換110および/または逆パーク変換の代わりにする角度減算または加算を含む、固定子磁束(または電流空間ベクトル)の大きさおよび角度制御を使用する。
【0081】
様々な実装形態では、制御戦略は、デカルト座標の代わりに極座標を使用して、電動機空間ベクトルを表し、その結果、空間ベクトルの大きさはそのままの状態で、複雑なデカルト基準フレーム変換(例えば、
図1および2のFOC構成100で使用される、正弦および余弦関数を用いるパーク変換110および逆パーク変換112)を角度の減算および加算によって置き換えることができる。
【0082】
一例では、角度の減算および加算は、精密に瞬時に演算することができる(例えば、加算または減算演算は、多くのマイクロコントローラで、1つまたはいくつかのシステムクロック内で行うことができる)。このことは、
図16および17のFOC構成100に対して使用される角度減算および加算技法を示す以下の表に示される。
【0084】
それに従って、一実装形態では、
図16および17に示されるように、パーク変換110および逆パーク変換112は、FOC構成100ではバイパスされる。代わりに、角度γ−φが減算され、Γが生成される。式中、
【数82】
であり、φは、回転子位置/角度である。角度Θとφとが加算され、θが生成される。式中、
【数83】
であり、φは、回転子位置/角度である。一例では、電圧空間ベクトルの大きさ|V
ref|は、上記の表に示されるように、V
dおよびV
qで計算される。これは、極座標系における電圧空間ベクトルの操作を表し、このこともまた上記の表に示されている。
【0085】
例えば、定常状態では、PMSM電動機空間ベクトル(すなわち、電流空間ベクトル、固定子および回転子磁束空間ベクトル、ならびに、電圧空間ベクトル)の大きさは一定であり、PMSM電動機空間ベクトルの方向は、回転子に固定されている回転極座標系において静止状態である。したがって、PIDコントローラを使用して、固定子磁束の大きさおよび方向を制御し、静かな電動機動作のための一定速度および制御されたトルクの達成が可能であり、最大エネルギー効率のために回転子磁束に垂直になるように固定子磁束を制御することも可能である。極座標系を用いると、角度の減算または加算によって、電動機制御のための基準フレーム変換を行うことができ、したがって、高速制御ループを備える、演算に適した電動機制御が達成される。
【0086】
様々な実装形態では、
図16および17に示されるように、ADC 116変換およびクラーク変換114をして電流I
αおよびI
βを得た後、デカルト座標から極座標への変換128を使用して、電流空間ベクトルの大きさ|I|および方向(例えば、角度)γが得られる。複雑なパーク変換110を使用する代わりに、角度の減算Γ=γ−φが静止座標系から回転座標系への変換を達成する。最大トルクおよび電力効率を得るため、大きさおよび方向PIコントローラ120、122を使用して、電圧空間ベクトルの大きさおよび方向をそれぞれ制御し、固定子磁束空間ベクトルを回転子磁界に垂直にする(すなわち、強制的にΓをπ/2(または−π/2)にする)。その実装形態では、Γをπとπ/2との間に制御して、電動機の空隙の磁束を減少し(すなわち、磁束低減制御)、電動機102の動作速度範囲を拡大することも可能である。
【0087】
角度の加算θ=Θ+φは、
図1および2のFOC構成の逆パーク変換112の代わりに、回転座標系から静止座標系への変換を達成する。電圧空間ベクトルの大きさ|V
ref|および角度θは、インバータ126DCリンク電圧情報と共に、SVM 124に送信され、電動機102のインバータ126出力を制御する。
【0088】
速度PIコントローラ130出力は、大きさPIコントローラ120に対する基準である。上記で説明されるように、回転子位置(106における)および速度計算(108における)ならびに速度PI制御130は、FOC構成100の低速制御ループである。いくつかのセンサレス実装形態では、
図17に示されるように、極座標からデカルト座標への変換1302を低速制御ループで使用して、位置推定器202に対するV
αおよびV
βを生成する。FOC構成100の他のコンピューティングブロックは、
図16および17に示されるように、高速固定子磁束制御ループである。
【0089】
図1および2のFOC構成で使用されるパーク変換110および逆パーク変換112を用いない場合、高速制御ループは、はるかに簡単で高速になる。例えば、より少なく、より簡単な計算は、特に低価格のマイクロコントローラの場合、より少ない累積計算誤差も意味する。
【0090】
図16および17に示されるように、センサ付き制御戦略とセンサレス制御戦略の両方に対する最高性能を提供するため、コプロセッサを備えるいくつかのマイクロコントローラを使用する際に、2つの計算、すなわち、1)大きさ|I|および角度γを得るためのデカルト座標から極座標への変換、ならびに2)角度の減算Γ=γ−φを、1つの計算で演算することができる。言い換えれば、両方の計算には、CPU時間をほとんど費やさない。
図17に示されるようなセンサレス制御戦略の場合、V
αおよびV
βを得るための極座標からデカルト座標への変換1302は、CPUがSVM変調器124または同様のもの用に演算する間に同時に、マイクロコントローラのコプロセッサによって演算することができる。それに加えて、0〜90°の正弦関数のルックアップテーブルを使用し、SVM変調器124または他のものによって再利用し、メモリ使用量を最大化することができる。
【0091】
様々な実装形態では、数種の固定子磁束の大きさおよび方向制御戦略を実装することができる。
図18および19は、センサ付きFOC構成100に対する2つの代替の戦略を示す。例えば、
図18では、uvwから極座標への直接変換1802(すなわち、クラーク変換114なし)を用いるセンサ付き固定子磁束の大きさおよび方向制御戦略(すなわち、FOC構成100)が示される。例えば、
図18に示される構成100は、以下の方程式によって説明されるように、uvwから極座標への変換1802を使用する。
【数84】
式中、K
1は、スケーリング係数
【数85】
であり、無視することができる(すなわち、K
1=1にする)。一例では、スケーリング係数
【数86】
は、FOC制御戦略(例えば、電流検知および増幅、アナログ/デジタル変換など)の他のスケーリング係数と組み合わせることができる。
【0092】
一実装形態では、様々な種類の代替の制御戦略を組み合わせて、
図19に示されるFOC構成100を形成する。例えば、選ばれたマイクロコントローラが、平方根関数よりも二乗関数の演算の方に適する事例では、大きさPIコントローラ120のフィードバックとして、|I|の代わりに|I|
2を使用することが可能である。そのような事例では、
図19に示されるように、そして、以下の方程式によって説明されるように、uvwから極座標への疑似変換1902を使用することができる。
【数87】
【0093】
図20および21は、
図16および17に描写されるようなセンサ付きFOC構成100とセンサレスFOC構成100の両方のいくつかの可能な選択肢を示す。簡単にするため、
図20および21では、センサ付き構成100とセンサレス構成100の両方に共通する構成100の左側のみが示される。
【0094】
様々な実装形態では、センサ付きFOC構成100とセンサレスFOC構成100の両方とも、方向PIコントローラ122に対するフィードバックとして(Γ−π/2)を使用することができる。それに加えて、FOC構成100は、
図20(a)に示されるように、(Γ−π/2)を0に制御することができる。
【0095】
図20(b)を参照すると、センサ付きFOC構成100およびセンサレスFOC構成100の大きさPIコントローラ120へのフィードバック経路上では、いくつかのアプリケーションにおいて、正弦関数2002を使用することができる(すなわち、
図20(b)に示されるように、フィードバックとしてトルク生成成分|I|sin(Γ)を使用する)。定常状態では、方向PIコントローラ122は、強制的にΓをπ/2に近づけ、したがって、|I|sin(Γ)は、|I|にかなり近づく。過渡状態においてΓがπ/2から懸け離れている場合は、コンピューティングデバイス(またはルックアップテーブル)によって正弦関数2002を計算することができる。あるいは、CPUが方向PIコントローラ122用に演算する際に同時に、マイクロコントローラのコプロセッサによって、正弦関数2002を演算し、高速制御ループ計算を加速することができる。
【0096】
一実装形態では、
図21(a)および(b)に示されるように、FOC構成100は、大きさPIコントローラ120のフィードバックとして、|I|の代わりに
【数88】
を使用する。これにより、例えば、選択されたマイクロコントローラが平方根関数よりも二乗関数の演算の方において速い場合に、性能を向上することができる。一例では、
図21(a)および(b)に示されるように、
図16および17の構成100で使用されるデカルト座標から極座標への変換128の代わりに、デカルト座標から極座標への疑似変換2102を使用することができる。デカルト座標から極座標への疑似変換2102の例示的な方程式は、
【数89】
を含む。
【0097】
異なるシステム要求に応じて、最終制御戦略は、
図18〜21に示されるような新しい制御戦略のいかなる組合せでもよい。例えば、
図21(b)は、
図20(a)および
図21(a)にそれぞれ示される戦略の組合せである。
【0098】
例示的な回転子位置および速度観測器の実装形態
一実装形態では、
図22のセンサレスFOC構造構成100は、
図2のセンサレスFOC構成100と同じ(または同様の)電動機102相電流検知、ADC 116、電流計算115、クラーク変換114、パーク変換110、PIコントローラ120、122、130、SVM変調124、PWMユニット118および三相2レベル電圧形インバータ126を含む。しかし、
図22のFOC構造構成100は、V
d/V
qのデカルト座標から極座標への変換および角度の加算
【数90】
を使用して、従来のV
d/V
qの逆パーク変換112およびV
α/V
βのデカルト座標から極座標への変換128の代わりにする。
【0099】
様々な実装形態では、
図22に示されるように、演算方法またはプロセス工程を含み得るセンサレスFOC構造構成100は、位相ロックループ(PLL)構造を備える、固定子抵抗に対する感度が低い回転子位置および速度観測器2202(以下、「PLL観測器」)を含む。PLL観測器2202は、比較的安定した固定子インダクタンスLを使用し、固定子抵抗Rに依存せず、広い温度範囲にわたってロバストな動作をもたらす。一実装形態では、PLL観測器2202は、|V
ref|、θ、I
αおよびI
β(または同様のもの)を使用して、回転子位置および速度を推定する。さらに、PLL観測器2202は、PLL構造を使用して、回転子位置および/または速度を推定し、常に、強制的に
【数91】
となるようにし、それにより、強制的に、固定子磁束が回転子磁束に垂直になるようにし、電動機102のエネルギー効率を最大化する。さらに、これは、推定回転子位置
【数92】
および推定速度
【数93】
がそれらの実質数量φおよびω
rにそれぞれかなり近づくようになるように駆動する。
【0100】
一実装形態では、
図22に示されるような例に対し、PIコントローラ130は使用されない。そのような実装形態では、トルク生成成分I
qに対する基準電流は、図中に示されるPIコントローラ130によって供給される加算接合部に直接入力され、PIコントローラの必要性を排除する。PLL観測器2202および本明細書に記載される追加の示されるPLL観測器は、そのようなシナリオでは、PIコントローラ130への入力として出力
【数94】
を提供しない。
【0101】
図23および24は、PLL観測器2202の2つの代替の例を示す。PLL観測器2202を備えるセンサレスFOC構成100(
図22に示されるような)は、低い電動機速度であるか(固定子抵抗に対する感度の低さによる)高い電動機速度であるかに関わらず、定常状態において最大エネルギー効率で所望の速度で電動機102をロックすることができる。したがって、PLL観測器2202は、高価で故障続きであり得る機械的な回転子センサ104の必要性を容易に排除することができる。
【0102】
様々な実装形態では、
図23および24に示されるように、PLL観測器2202は、入力信号として|V
ref|、θ、I
αおよびI
βを使用し、推定回転子位置
【数95】
(例えば、積分器2302を介して)および速度
【数96】
(例えば、低域フィルタ(LPF)2304を介して)を出力する。PIコントローラ2306出力速度ωは、次の制御サイクルのωL|I|またはω|I|の計算で使用され、PLL構造を形成する。いくつかの例では、
図23に示されるように、任意選択の低域フィルタLPF2304を|V
ref|sin(γ−θ)とL|I|の両方に適用することも、ε=|V
ref|sin(γ−θ)+ωL|I|に直接適用することもできる。様々な例では、PIコントローラ2306は、他の適切ないかなるコントローラでもあり得る。
【0103】
図25は、代替のPLL観測器2202を有する代替のセンサレスFOC構成100を示す。
図25の構成100は、位置推定器202および速度計算108が新しい代替のPLL観測器2202によって置き換えられていることを除いて、
図2の構成100と同様である。いくつかの実装形態では、
図25の(V
α,V
β)のデカルト座標から極座標への変換128を無視することができ、代わりに、電圧V
αおよびV
βがSVM変調器124に直接送信される。
【0104】
図25の代替のPLL観測器2202は、
図26に詳述される。このPLL観測器への入力信号は、V
α、V
β、I
αおよびI
βである。電流空間ベクトルの角度(すなわち、γ)を有する電圧空間ベクトルのパーク変換110は、以下の通りである。
V
i=V
αcos(γ)+V
βsin(γ) (31)
V
p=−V
αsin(γ)+V
βcos(γ) (32)
式中、
V
i − 電流空間ベクトルの方向の電圧空間ベクトルの成分。
V
p − 電流空間ベクトルに垂直な方向の電圧空間ベクトルの成分。
【0105】
電圧空間ベクトルの以下の極座標からデカルト座標への変換1302に留意されたい。
V
α=|V
ref|cos(θ) (33)
V
β=|V
ref|sin(θ) (33)
【0106】
方程式(32)、(33)および(34)を組み合わせると、以下の式が得られる。
V
p=|V
ref|sin(θ−γ) (35)
【0107】
方程式(35)を用いると、
図26に示されるPIコントローラ2306へのフィードバック信号は、以下の通り記載することができる。
ε=ωL|I|−V
p=|V
ref|sin(γ−θ)+ωL|I| (36)
【0108】
以下の表は、
図25および26に示されるような代替のPLL観測器を備えるセンサレスFOC構成100によって使用される数学的変換を要約する。
【0110】
図27には、別の代替のPLL観測器が示される。別の代替のPLL観測器は、入力として|V
ref|、θ、I
αおよびI
βを使用し、したがって、
図22に示されるPLL観測器の代わりにすることができる。同じプロセッサを用いと、この代替のPLL観測器は、
図23および24に示されるPLL観測器と比べると、わずかに長い計算時間を使用する可能性がある。
【0111】
例示的な最大効率追跡(MET)制御戦略
センサレスFOCコントローラ用のほとんどの既存の位置および速度推定器は、逆起電力(BEMF)に基づき、ゼロまたは低電動機速度ではうまく動作しない。したがって、これらのセンサレスFOCコントローラに対して、開ループ電動機始動(例えば、V/f制御)が使用される。典型的な2段階電動機始動メカニズムは、V/f開ループ→FOC閉ループである。
1)まず最初に、V/f開ループ制御によって電動機が回転し始め、ユーザによって定義された速度まで上昇する。
2)この時点以降、FOC閉ループ制御が電動機を動かす。
【0112】
V/f開ループ制御は、エネルギー効率が悪いものであり得、一般に、電動機速度が高いほど、より多くの電力を消費する。典型的な2段階電動機始動メカニズムは、通常、比較的高い電動機速度でV/f開ループからFOC閉ループへ移行し、高い始動電力(または電流)を引き起こす。その上、典型的な2段階電動機始動メカニズムは、すべての動作条件に対して開ループ始動から閉ループFOC動作までのスムーズな移行を達成するための推定器の微調整において問題があり得る。
【0113】
最大効率追跡(MET)は、電動機102のためのセンサレス制御技法(
図28〜31の例示的なMET制御戦略2800で示されるようなものであり、演算方法またはプロセス工程を含み得る)であり、電動機102の最大エネルギー効率を追跡する。最大効率追跡(MET)は、比較的安定した固定子インダクタンスLを使用し、固定子抵抗Rに対する感度は高くはない。さらに、MET制御技法は、開ループ始動から閉ループ制御までのスムーズな移行のため、本明細書で論じられるセンサレスFOC構造構成100で使用することができる。
【0114】
一実装形態では、MET制御技法は、ユーザによって定義された基準速度によって設定されるように、SVM 124基準ベクトル
【数97】
の角度θを一定速度で変化させる(すなわち、
【数98】
)と同時に、常に、
図28のMET構成2800に対して、強制的にε=|V
ref|sin(γ−θ)+ω
refL|I|≒0となるように、または、
図29のMET構成2800に対して、強制的に
【数99】
となるように、大きさ|V
ref|を制御する工程を含み、したがって、強制的に、固定子磁束が回転子磁束に垂直になるようにし、電動機102のエネルギー効率を最大化する。
【0115】
様々な実装形態では、FOC構造構成100のためのMET制御技法は、3段階電動機102始動、すなわち、V/f開ループ→MET閉ループ→FOC閉ループを達成する。この3段階電動機102始動シーケンスは、センサレスFOC構成100に対してスムーズで低電力の始動を提供する。
【0116】
図28〜31は、センサレスMET制御構成2800を示す。MET構成2800は、
図2のセンサレスFOC構成100と同じ電動機102相電流検知、ADC 116、電流計算115、クラーク変換114、SVM変調124、PWMユニット118および三相2レベル電圧形インバータ126を有する。しかし、センサレスMET構成2800は、パーク変換110も逆パーク変換112も有さず、位置推定器202も速度推定器108も有さず、1つのPIコントローラ2804を有する。
【0117】
様々な実装形態では、MET構成2800は、FOC構成と同様に、デカルト座標から極座標への変換128を使用して、電圧空間ベクトルの代わりに、電流空間ベクトルの大きさおよび角度情報を得る。一実装形態では、MET構成2800は、V/f開ループ電動機始動2806を使用し(SW1 2808は位置1にある)、次いで、既定の電動機102速度に達した後に閉ループ最大効率追跡(SW1 2808は位置2にある)に移行する(例えば、切り替える)。最大効率追跡の間、SVM 124基準ベクトル角度θは、基準速度ω
refによって設定されるように、一定速度で変化する。一実装形態では、基準ベクトルの大きさ|V
ref|は、強制的に、ε=|V
ref|sin(γ−θ)+ω
refL|I|≒0または
【数100】
となるように、ヒステリシスコントローラ2802によって制御される。例えば、これにより、強制的に、電動機102固定子磁束が回転子磁束に垂直になるようにし、電動機102のエネルギー効率を最大化する。
【0118】
一実装形態では、
図28に示されるように、基準ベクトルの大きさ|V
ref|が変化(増加または減少)を必要とする場合、その変化ステップΔVは、ユーザによって定義された定数でも、迅速なトルク応答を達成するためにステップPIコントローラ2804によって計算してもよい。電動機102が正の方向に回転する場合、通常、電流空間ベクトルは電圧空間ベクトルより遅れ、
【数101】
である。
【数102】
であれば、それは差し迫った状態であり、大きさ|V
ref|が増加される。いくつかの例では、任意選択のLPFを、
図28の実装形態に対しては、|V
ref|sin(γ−θ)とω
refL|I|の両方に、または、ε=|V
ref|sin(γ−θ)+ω
refL|I|に適用することができることに留意されたい。
【0119】
以下の表は、
図2のFOC構成100で使用される構成要素および数学的変換と、
図28〜31のMET構成2800で使用される構成要素および数学的変換とを比較する。
【0121】
様々な実装形態では、MET構成2800は、比較的低い電動機速度においてさえも、V/f開ループ始動からMET閉ループへのスムーズな移行を含む。例えば、3段階電動機始動、すなわち、V/f開ループ→MET閉ループ→FOC閉ループを適用するため、MET技法をセンサレスFOC構成100に統合することができる。
1)まず最初に、V/f開ループ制御によって電動機が回転し始め、ユーザによって定義された速度になる。
2)MET閉ループ制御が引き継ぎ、スムーズに、固定子磁束が回転子磁束に垂直になるようにする(すなわち、
【数103】
)。
3)その後、センサレスFOC構成100閉ループ制御が電動機102を動かす。センサレスFOC構成100に対する初期の回転子角度(使用される場合)は、METからFOC閉ループ制御へのスムーズな移行のため、
【数104】
と推定される。
【0122】
必要に応じて、MET技法の利点を完全に使用するため、いかなる時でも、FOC閉ループ制御をMET閉ループ制御に移行することができ、ユーザは、いつFOC閉ループに再び移行し直すかを決定することができる。
【0123】
METは、少なくとも以下の利点を有し、いくつかの実装形態では、他の利点も有し得る。計算集約型回転子位置202および速度推定器108を用いない場合、回転子固定d−q座標系(110、112)との変換のやり取りはなく、1つのPIコントローラ2804を用いる場合、METは、適用された電動機102に対する微調整を容易に行い、METに対するCPU時間もはるかに少ない。例では、METは、高性能システムにおいて、CPU負荷を低減し、他の目的(例えば、デジタルPFC、複数のPMSM電動機駆動器、HMI、通信、安全の確認など)のための貴重なCPU時間を節約することができ、したがって、マイクロコントローラの潜在力および特徴を十分に使用することができる。逆に、MET制御技法を使用すると、ユーザは、より少ない演算電力およびより低いコストのマイクロコントローラを選択して、電動機102制御を達成することができる。
【0124】
はるかに低い電動機速度でのV/f開ループからエネルギー効率の良いMET閉ループへの移行が可能であるため、既存の2段階電動機始動メカニズムの典型的な高始動電力を回避することができる。METが既にスムーズに固定子磁束を回転子磁束に垂直にしたため、FOCのPIコントローラは、過剰反応して、V/f開ループ制御によって引き起こされる非垂直状態から垂直にしようとする苦戦を強いられることはない。したがって、センサレスFOCにおけるスムーズな始動移行を容易に達成することができる。様々な実装形態では、追加のまたは代替のコンポーネントを使用して、開示される技法および構成を達成することができる。
【0125】
図30を参照すると、電流変数I
αおよびI
βが不要な別のMET制御技法が示されている。示される実装形態では、
図28および29のクラーク変換114がバイパスされ、uvwから極座標への直接変換1702が代わりに使用されている。uvwから極座標への直接変換1702は、以下の方程式によって説明することができる。
【数105】
式中、K
|I|は、電流空間ベクトルの大きさのスケーリング係数であり、
【数106】
である。
【0126】
一実装形態では、スケーリング係数
【数107】
を無視することができる(すなわち、K
|I|=1にする)。あるいは、
【数108】
のスケーリングを他のスケーリング演算と組み合わせることができる(例えば、電流検知および増幅、アナログ/デジタル変換など)。
【0127】
図31を参照すると、電流空間ベクトルの角度γを有する電圧空間ベクトルのパーク変換110を含むMET制御技法が示され、以下の方程式によって得られる。
V
i=V
αcos(γ)+V
βsin(γ) (39)
V
p=−V
αsin(γ)+V
βcos(γ) (40)
式中、
V
i − 電流空間ベクトルの方向の電圧空間ベクトルの成分。
V
p − 電流空間ベクトルに垂直な方向の電圧空間ベクトルの成分。
【0128】
一実装形態では、
図14に示される電圧空間ベクトルの極座標からデカルト座標への変換1302は、
V
α=|V
ref|cos(θ) (41)
V
β=|V
ref|sin(θ) (42)
によって説明される。
【0129】
方程式(40)、(41)および(42)を組み合わせると、以下の式を得ることができる。
V
p=|V
ref|sin(θ−γ) (43)
【0130】
方程式(43)を使用すると、
図31に示される電圧差εは、以下の通り記載することができる。
ε=ωL|I|−V
p=|V
ref|sin(γ−θ)+ω
refL|I| (44)
【0131】
結論
本開示の実装形態は、構造上の特徴および/または方法的行為に特有の言語で説明されてきたが、実装形態が必ずしも説明される特定の特徴または行為に限定されるわけではないことを理解されたい。むしろ、特定の特徴および行為は、例示的なデバイスおよび技法を実装する代表的な形態として開示される。