特許第5872631号(P5872631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872631
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】人工関節
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/36 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   A61F2/36
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-105411(P2014-105411)
(22)【出願日】2014年5月21日
(62)【分割の表示】特願2010-530540(P2010-530540)の分割
【原出願日】2008年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-166580(P2014-166580A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】0720596.6
(32)【優先日】2007年10月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】397070118
【氏名又は名称】ティージェイ スミス アンド ネフュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デレク・マクミン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ピンセント
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05571203(US,A)
【文献】 特表2005−511243(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/096938(WO,A2)
【文献】 英国特許出願公開第02388321(GB,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00579868(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00666069(EP,A1)
【文献】 特許第3548580(JP,B2)
【文献】 特許第4195230(JP,B2)
【文献】 特公平1−31378(JP,B2)
【文献】 特許第5020957(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨における移植のためのインプラントステムであって、
前記インプラントステムの近位端部で配置されたベース部分と、
前記インプラントステムの遠位端部に向けて延在しているステム部分と、
前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端する円錐状区域と、
前記円錐状区域と前記ステム部分との間に配置された円筒状区域と、
を備え
前記ベース部分は、使用時に前記大腿骨の切除端部と係合するための係合手段を有し、
前記円錐状区域は、円錐形態又は略円錐形態である外側表面を有することを特徴とする、インプラントステム。
【請求項2】
前記係合手段は、フランジ、カラー、プレート、放射状ディスク、リップ、ローブ、及びタブからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のインプラントステム。
【請求項3】
前記インプラントステムの近位領域は、骨内部成長表面を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインプラントステム。
【請求項4】
前記ステム部分は、骨内部成長表面を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインプラントステム。
【請求項5】
前記ステム部分は、少なくとも1つの非回転手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインプラントステム。
【請求項6】
前記大腿骨の前記切除端部は、切除された大腿骨頭であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインプラントステム。
【請求項7】
使用時に、モジュラー式大腿骨頭を前記インプラントステムに接続するためのコネクタをさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインプラントステム。
【請求項8】
大腿骨に移植するためのインプラントであって、
インプラントステムであって、前記インプラントステムの近位端部で配置されたベース部分と、前記インプラントステムの遠位端部に向けて延在しているステム部分と、円錐形態又は略円錐形態である先細の外側表面を有する先細部分と、を備えるインプラントステムと、
モジュラー式大腿骨頭と、
を備え、
前記ベース部分は、前記大腿骨の切除された大腿骨頭と係合するため、かつ、前記大腿骨の前記切除された大腿骨頭との係合のたに構成された遠位に面する骨係合面を画定するための係合手段を有し、これにより、前記インプラントに前記大腿骨の前記切除された大腿骨頭内への前記ステム部分の挿入を限定する単一の停止点を設け、
前記先細の外側表面は、前記ステム部分から延在し、前記遠位に面する骨係合面で終端し、これにより、前記骨係合面は、前記先細の外側表面を越えて延在するリップを画定し、
前記先細部分の前記先細の外側表面は、前記係合手段の前記遠位に面する骨係合面に対して不連続になり、表面の不連続性を画定し、
前記単一の停止点と前記リップとを画定する前記骨係合面は、前記モジュラー式大腿骨頭によってではなく、前記インプラントステムによって画定され、
前記モジュラー式大腿骨頭は、前記インプラントステムの前記ベース部分から延在するコネクタによって前記インプラントステムに解放可能に取り付けられ、
前記インプラントステムの前記ベース部分は、前記リップによって画定される前記遠位に面する骨係合面を越えて遠位方向に延在する部分と、前記インプラントステムに取り付けられている際、前記リップを越えて遠位方向に延在する前記モジュラー式大腿骨頭と、を全く含まず、
前記モジュラー式大腿骨頭は、前記大腿骨の前記切除された大腿骨頭との前記骨係合面の係合中に前記インプラントステムから分離され、これにより、前記大腿骨の前記切除された大腿骨頭と共に前記リップによって画定される前記骨係合面の適切な係合の目安になることを特徴とするインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、実質的に、人工関節に関し、より具体的には、使用時に、切除された大腿骨に適合されることができる大腿骨インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
人工股関節置換術は、大腿骨の髄管内に適合されるインプラントステムの使用を含む。一般的に、そのようなステムは、先細された人工関節10が、図1に図式的に示されるように、先細された骨11の髄管内に適合される場合に、最適な固定を達成する。この要求は、実質的に、図2に示されるように、近位の大腿骨部分13内へ適合された、従来型の人工股関節全置換術のステム12とともに達成される。
【0003】
しかしながら、この治療形態は、以下の欠点に悩まされる。
1)それは、大腿骨頭及び大腿骨頚の一部の広範囲にわたる骨切除を必要とする。
2)それは、非生理学的な様態で大腿骨体に荷重を与える状態に導き、遠位の負荷伝達及び近位の大腿骨体のストレス遮蔽に導く。
3)近位の大腿骨体における固定点から所定の距離で、人工関節の大腿骨頭上の負荷点とともに、片持ちばり効果(cantilever effect)が存在するように、全人工股関節置換術
のステムの緩和が存在する場合がある。
【0004】
若く、活動的な患者に対して、それは今、表面置換として周知である、より保守的な種類の股関節置換術を挿入するために、正規の慣習である。この種類の人工関節は、上述した3つの欠点を多くの部分で克服する。しかしながら、何人かの患者は、図3の参照符号14で示されるように、嚢胞の破壊により、大腿骨頭の天頂部において主として不良な骨の理由で、股関節の表面置換のために適切ではない。嚢胞の破壊などを有する若い患者に対して、図2に示された標準的な多様性より保守的な種類の股関節置換術のために必要とされる。
【0005】
骨頭中央切除(mid head resection)手術は、熟練した技術である。大腿骨頭中央切除
手術中に、大腿骨は、大腿骨が、略平坦とされる切除された端部を有するように、切除される。インプラントは、切除された大腿骨内に設置される。インプラントの着座位置が最適化されることは、必須である。しかしながら、存在するインプラントとともに、外科医にとってインプラントが適切に着座されるかどうかを決定することは難しい。インプラントが適切に着座されていない場合に、インプラントのオーバードライブの重大なリスクが存在し、大腿骨の骨折を生じ、可能ならば、回復手術(revision surgery)の必要性を生
じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、改良された大腿骨インプラントステムと、改良された大腿骨インプラント自体と、を提供する。
【0007】
本願発明の第1の態様によれば、大腿骨に移植するためのインプラントステムであって、前記ステムの近位端部に配置されたベース部分と、前記ステムの遠位端部まで延在しているステム部分と、を備え、該ベース部分は、使用時に、前記大腿骨の切除された端部を係合するための係合手段を有するインプラントステムを提供する。
【0008】
前記係合手段は、使用時に、係合手段が大腿骨の切除された端部区域を係合するとの利点を有し、それによって、外科医は、インプラントが大腿骨内で位置されることを知ることができる。すなわち、前記係合手段は、手術中に、外科医を手助けするための停止点を表す。インプラントのベース部分が外科手術中に不正確に位置される場合に、インプラントが最適に位置付けられず、且つインプラントが大腿骨頸を骨折させる場合があるので、これは、重要な鍵を握る。これは、患者に対して明らかに有害であり、且つ回復手術に導く場合がある。
【0009】
前記係合手段は、上述されるように、外科医のための停止点の表示を主として提供する。該表示は視覚的とされる場合があり、外科医は、前記係合手段が前記大腿骨の切除された端部を適切に係合していることを理解することができる。該表示手段は、触覚的とされる場合があり、外科医は、前記係合手段が前記大腿骨の切除された端部に適切に係合されることを感じることができる。この場合において、外科医は、インプラントが最適に位置され、且つさらなる固着が必要とされないことを知る。
【0010】
前記インプラントステムの最適な着座位置は、大腿骨頭の中立点とされる。前記着座位置は、前記大腿骨頭の中立点の遠位方向20mm又は近位方向20mmの間で変化してもよい。これは、骨維持(bone preservation)を最小化し、基本的な重要性を明らかにす
る。
【0011】
前記係合手段はまた、使用時に、前記インプラントステムの遠位移動を防止してもよい。前記係合手段は、前記大腿骨の切除された端部と接触し、それによって、遠位方向において、前記インプラントステムのさらなる移動を防ぐ。
【0012】
前記係合手段は、骨に負荷を与えることを容易にしてもよい。前記係合手段は、大腿骨の切除された端部と接触し、それによって、大腿骨に負荷を伝達する。
【0013】
前記係合手段は、前記ステムの長手方向軸に対して略垂直に延在してもよい。例えば、前記係合手段は、前記長手方向軸に対して約90°で配置されてもよい。
【0014】
前記係合手段は、垂直面に関して角度範囲を有してもよい。例えば、前記係合手段は、長手方向軸に対して80°〜100°で方向付けされてもよい。前記係合手段は、長手方向に対して85°〜−95°で方向付けされてもよい。
【0015】
前記係合手段は、任意の適切な形状とされてもよい。例えば、前記係合手段は、1つ又は複数のフランジとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のカラーとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のプレートとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数の放射状ディスク(radial disc)とされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複
数のローブ(lobe)とされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のタブとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のリップとされてもよい。
【0016】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに少なくとも部分的に延在してもよい。
【0017】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに延在する単一の係合手段を備えてもよい。
【0018】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに延在する複数の係合手段を備えてもよい。
【0019】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに連続的に延在してもよい。
【0020】
前記係合手段は、2mm〜10mmの幅を有してもよい。前記係合手段は、2mm〜8mmの幅を有してもよい。前記係合手段は、2mm〜6mmの幅を有してもよい。前記係合手段は、2mm〜4mmの幅を有してもよい。
【0021】
前記ベース部分は、20mm〜50mmの外径を有してもよい。前記ベース部分は、20mm〜40mmの外径を有してもよい。前記ベース部分は、24mm〜42mmの外径を有してもよい。
【0022】
前記ステムの近位領域は、テクスチャー加工された表面を有してもよい。前記ステムの近位領域は、骨内部成長表面(bone in-growth surface)を有してもよい。例えば、前記
ステムの近位領域は、Porocast(登録商標)などの複数のビード(bead)を備えてもよい。前記ステムの近位領域は、ビード又はグリットブラストとされてもよい。
【0023】
前記ステムの近位領域は、骨内部成長を促進する被覆を有してもよい。該被覆は、ハイドロキシアパタイト(HA)を備えてもよい。
【0024】
好ましくは、前記ステムの近位領域は、焼結されたチタニウムビードであり、且つ被覆されたハイドロキシアパタイト(HA)である。
【0025】
前記ステムの近位領域は、滑らかな仕上げを有してもよい。前記ステムの近位領域は、複数のブリードなしとされる場合がある。前記ステムの近位領域は、被覆されていない場合がある。
【0026】
前記ステム部分は、滑らかな表面を有してもよい。
【0027】
前記ステム部分は、少なくとも1つの非回転手段(anti-rotation means)を備えても
よい。前記非回転手段は、1つ又は複数のブレード、1つ又は複数のフィン、1つ又は複数のフルート、1つ又は複数のスプライン、1つ又は複数のリブ、及び/又は1つ又は複数の溝を備えてもよい。
【0028】
前記少なくとも1つの非回転手段は、前記ステムの長手方向軸に対して略平行に方向付けられてもよい。
【0029】
前記非回転手段は、前記ステムの長手方向軸に対して略垂直方向において方向付けられてもよい。
【0030】
前記非回転手段は、略らせん状の構成で配置されていてもよい。
【0031】
前記非回転手段はまた、前記インプラントの移動を最小化する/防止する場合がある。
【0032】
前記ステム部分は、テクスチャー加工された表面を有してもよい。前記ステム部分は、骨内部成長表面を有してもよい。例えば、前記ステム部分は、例えばPorocast(登録商標)などの複数のブリードを備えてもよい。前記ステム部分は、ブリード又はグリットブラスト処理されてもよい。
【0033】
前記ステムの前記近位端部は、骨内部成長を促進する被覆を有する場合がある。該被覆は、ハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite)(HA)であってもよい。
【0034】
前記ステム部分は、滑らかな仕上げを有する場合がある。前記ステム部分は、複数のビードなしであってもよい。前記ステム部分は、被覆されない場合がある。
【0035】
前記ステム部分は、使用時に、適切な生物学的な固定のために、適所に接合される場合がある、又は修正される場合がある。
【0036】
前記ステム部分は、直線状とされてもよい。
【0037】
前記ステム部分は、湾曲されてもよい。
【0038】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、前記区域が、外部表面を有し、円錐状形態又は略円錐状形態であり、前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端する区域をさらに備えている、第1の態様によるインプラントを提供する。
【0039】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、その最大直径で前記区域は、前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された大腿骨頭の内径と略同一直径とされる場合がある。
【0040】
本願発明の好ましい実施形態によれば、前記区域の前記外部表面は、前記係合手段の表面と不連続である。すなわち、好ましくは、前記区域の前記外部表面と前記係合手段の表面との間で不連続性が存在する。例えば、前記区域の前記外部表面と前記係合手段の表面とは、(例えば、図4に見られるように)同一直線上になくてもよい。
【0041】
本願発明の好ましい実施形態によれば、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、該区域が外部表面を有し、該外部表面が円錐状形態又は略円錐状形態であり、該区域が前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端し、その最大直径で、使用時に前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された大腿骨頭の内径から離隔して実質的に延在し、前記切除された大腿骨頭の内径と略同一直径である区域をさらに備えている、第1の態様によるインプラントを提供する。
【0042】
この本願の開示において、「円錐状」との用語は、円錐状又は略円錐状を意味する場合がある。「円錐状」との用語はまた、円錐台又は略円錐台を意味する場合がある。「円錐状」との用語はまた、部分的トロイド(partial toroid)又は略部分的トロイドを意味す
る場合がある。
【0043】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、円錐状区域とステム部分との間に配置された略円筒状区域を提供する。略円筒状区域は、円錐状区域と前記ステム部分に配置された非回転手段と間に配置されてもよい。
【0044】
円筒状区域は、移植中に、ステムの集中化を手助けする。すなわち、円筒状区域は、インプラントステムの嵌入中に、中心線から離れて「ドリフトしている」ステムのリスクを最小化する。円筒状区域は、ドリフトを解決するように設計され、ステムが切断外形を追従することを可能にする。
【0045】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、円錐状区域とステム部分との間に配置された先細された区域を提供する。前記先細された区域は、前記円錐状区域と前記ステム部分に配置された非回転手段との間に配置されてもよい。
【0046】
円筒状部分又は先細された部分は、1mm〜20mmの長さとされてもよい。円筒状部分又は先細された部分は、5mm〜15mmの長さとされてもよい。円筒状部分又は先細された部分は、8mm〜12mmの長さとされてもよい。
【0047】
第1の態様におけるインプラントは、使用時に、モジュラー式大腿骨頭を前記インプラントステムに接続するためのコネクタをさらに備えてもよい。
【0048】
前記コネクタは、テーパー部/差込口とされてもよい。テーパー部は、前記ステムの近位端部から延在してもよい。テーパー部は、円錐状の外部表面を有してもよい。
【0049】
テーパー部は、同一工具とともに、インプラントステムの挿入又は引き抜きを可能にするために、その中心から下向きのねじ穴を有する場合がある。
【0050】
テーパー部は、直径20mm〜80mmなどの寸法範囲におけるモジュラー式大腿骨頭とともに使用するための標準テーパー部とされてもよい。
【0051】
前記インプラントステムは、任意の適切な材料から形成されてもよい。前記インプラントステムは、金属から形成されてもよい。前記インプラントステムは、ステンレス鋼から形成されてもよい。前記インプラントステムは、チタニウムから形成されてもよい。
【0052】
前記インプラントステムは、金属合金から形成されてもよい。前記インプラントステムは、チタニウム合金から形成されてもよい。前記インプラントステムは、コバルトクロムから形成されてもよい。
【0053】
前記モジュラー式大腿骨頭は、任意の適切な材料から形成されてもよい。前記モジュラー式大腿骨頭は、金属から形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、チタニウム又はステンレス鋼から形成されてもよい。
【0054】
前記モジュラー式大腿骨頭は、金属合金から形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、コバルトクロムから形成されてもよい。
【0055】
前記モジュラー式大腿骨頭は、セラミックから形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、セラミック材料を含んでいるジルコニウムを備えでもよい。
【0056】
前記モジュラー式大腿骨頭は、ポリマーから形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成されてもよい。
【0057】
本願発明の第2の態様によれば、大腿骨における移植のためのインプラントであって、本願発明の第1の態様によるステムと、大腿骨頭と、を備えているインプラントを提供する。
【0058】
ステムコンポーネントは、必要に応じて、本願発明の第1の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0059】
前記大腿骨頭は、前記ステムに解放可能に取り付けられても良い。
【0060】
前記大腿骨頭は、前記ステムに固定的に取り付けられてもよい。前記インプラントは、単一のコンポーネント、すなわち一体式として製造されてもよい。
【0061】
前記大腿骨頭は、直径20mm〜80mmの範囲における寸法を有してよい。
【0062】
前記インプラントは、任意の適切な材料から形成されてもよい。前記インプラントは、金属から形成されてもよい。前記インプラントは、ステンレス鋼から形成されてもよい。
前記インプラントは、チタニウムから形成されてもよい。
【0063】
前記インプラントは、金属合金から形成されてもよい。前記インプラントは、コバルトクロムから形成されてもよい。
【0064】
前記大腿骨頭は、セラミックから形成されてもよい。例えば、大腿骨頭は、セラミック材料を含有しているジルコニウムを備えてもよい。
【0065】
本願発明の第3の態様によれば、大腿骨における移植のためのインプラントであって、インプラントステムであって、前記インプラントステムの近位端部に配置されたベース部分と、前記インプラントステムの遠位端部まで延在しているステム部分と、を備えており、前記ベース部分が使用時に前記大腿骨の切除された端部と係合するための係合手段を有し、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、円錐形態又は略円錐形態である外側表面を有し、且つ前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端し、その最大直径で、使用時に、前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された大腿骨頭の内径と略同一の直径である区域と、を備えているインプラントステムと、大腿骨頭と、を備えているインプラントを提供する。
【0066】
前記インプラントステムは、必要に応じて、本願発明の第1の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0067】
大腿骨頭コンポーネントは、必要に応じて、本願発明の第2の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0068】
本願発明の第4の態様によれば、本願発明の第2の態様による大腿骨における移植のためのインプラントであって、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、円錐形態又は略円錐形態である外側表面を有し、前記ステム部分に向けて先細し、且つ前記ベース部分で終端し、その最大直径で、使用時に、前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された端面から実質的に離隔して延在し、且つ前記端面と略同一の直径である区域とをさらに備えているインプラントを提供する。
【0069】
前記インプラントは、必要に応じて、本願発明の第1の態様又は第2の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0070】
本願発明の第5の態様によれば、大腿骨における移植のためのインプラントであって、インプラントステムであって、前記インプラントステムの近位端部に配置されたベース部分と、前記インプラントステムの遠位端部まで延在しているステム部分と、を備えており、前記ベース部分が使用時に前記大腿骨の切除された端部と係合するための係合手段を有し、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、円錐形態又は略円錐形態である外側表面を有し、且つ前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端し、前記区域の前記外側表面が、前記係合手段の表面と不連続である区域と、を備えているインプラントステムと、大腿骨頭と、を備えているインプラントを提供する。
【0071】
本願発明の第6の態様によれば、大腿骨における移植のための方法であって、本願発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、第4の態様、又は第5の態様のいずれか1つによるインプラントを準備するステップと、大腿骨を切除するステップと、切除された大腿骨にインプラントを移植するステップと、を備える方法を提供する。
【0072】
好ましくは、大腿骨頭は、切除される。大腿骨頭は、その中間点で、又はその中間点に近接して切除されることができる。
【0073】
参照は、例示的な方法によって、添付した図面になされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】大腿骨の人工関節の最適な固定配置の図式的な図である。
図2】従来型の人工関節全置換術のステムの固定を示している、図1に類似の図で ある。
図3】A−A、B−B、及びC−Cでそれぞれ示される切除レベルの3つの異なる 位置とともに、大腿骨の近位端部を示す図である。
図4】本願発明の実施形態によるインプラントステムを示す図である。
図5】本願発明の実施形態によるインプラントステムを示す図である。
図6】切除された大腿骨における本願発明の実施形態によるインプラントステムを 示す図である。
図7】切除された大腿骨内に移植された本願発明の実施形態によるインプラントス テム及びモジュラー式の大腿骨頭を示す図である。
図8】切除された大腿骨内に移植された本願発明の実施形態によるインプラントス テム及びモジュラー式の大腿骨頭を示す図である。
図9】切除された大腿骨内で移植された本願発明の実施形態による一体式の大腿骨 インプラントを示す図である。
図10】切除された大腿骨内で移植された本願発明の実施形態による一体式の大腿 骨インプラントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図3は、大腿骨15の近位端部を示す。大腿骨は、大腿骨頭16を有し、該大腿骨頭16は、球形であり、且つむしろ半球を形成する。大腿骨体(main shaft of the femur)
17と大腿骨頭16を接続する部分は、大腿骨頚18であり、大腿骨頭16と大腿骨頚18との間の移行領域は、参照符号19で示されるように実質的に滑らかに凹形的に湾曲されている。大腿骨頚の上方境界は大転子20で終端する一方、大腿骨頚の下方境界は、小転子21で終端する。
【0076】
図3において、ラインA−Aは、従来の人工股関節手術のための切除レベルを示し、この区域は、大腿骨頭16から最も離れた大腿骨頚の端部に向けて得られる。ラインB−Bは、他の周知な人工股関節手術のための切除レベルを示し、これは、大腿骨の大腿骨頭と大腿骨頚との間の移行領域19で大腿骨頚を通じて、又は移行領域19に隣接して大腿骨頚を通じて載置している。
【0077】
本願発明のインプラントとともに、切除は大腿骨頚18を通じて所定のレベルで実施されないが、その代わりに大腿骨頭を通じて実施される。それ故に、ラインC−Cは、本願発明のいくつかの実施形態のための切除レベルを示す。大腿骨頭の基部を通じてラインC−Cに沿って切除することによって、大腿骨頭と大腿骨頚との間の移行領域における骨は保持され、それ故に、図1に関連して言及した要求を利用するための機会を提供する。
【0078】
それ故に、人工股関節全置換方法における第1の段階は、大腿骨頭16を通じて所定のレベルで、例えばラインC−Cで、大腿骨の近位端部を切除することである。大腿骨頭の基部を通じてこの位置で骨を切除することによって、骨の内部を円錐台の形態、すなわち、着座しているエンジンバルブの形態、に機械加工することを可能にし、この円錐形態又は略円錐形態の空洞が形成され、それ故に、図1に関連して設定された要求を満たす。
【0079】
図4及び図5は、本願発明のいくつかの実施形態によるインプラントステム(それぞれ参照符号1、2)を示す。インプラントステム1、2は、インプラントステム1、2の近位端部4に配置されたベース部分3を備える。ステム部分5は、インプラントステムの遠位端部6まで延在する。ベース部分3は、使用時に大腿骨の切除端部と係合するための係合手段7を有する。示された実施形態において、係合手段7は、ベース部分3の周囲の周りに延在しているカラーの形態である。
【0080】
インプラントステム1、2は、円錐状区域8を備え、該円錐状区域8は、ステム部分5に向けて先細し、且つベース部分3で終端する。その最大直径での円錐状区域8は、インプラントステムが使用時に挿入されるべきである切除された大腿骨頭の内径から離隔して実質的に延在し、且つ大腿骨頭の内径と略同一の直径である。
【0081】
インプラントステム1,2は、円錐状区域8とステム部分5との間に配置された略円筒区域9を備える。略円筒区域9は、移植中に、インプラントステム1、2の集中化(centralisation)を補助する。
【0082】
インプラントステム1,2は、非回転手段22を備える。図4及び図5に示された実施形態において、非回転手段22は、インプラントステムの長手方向軸に対して略平行に方向付けされた複数のブレード/フィンの形態である。
【0083】
インプラントステム1,2は、インプラントステムに対してモジュラー式大腿骨頭25(図7及び図8に示す)を接続するためのコネクタ23を備える。図4及び図5に示された実施形態において、コネクタは、テーパーの形態である。図4のインプラントステム1は、その中心から下向きに、ねじ穴24を有するテーパー部23を備える。これは、外科医が同一の工具を使用してインプラントステムを押し込む、又は引き抜くことを可能にする。
【0084】
図6図8は、切除された大腿骨26内に移植されたインプラントステム1を示す。大腿骨26は、骨頭切除手順に従って切除される。係合手段7は、切除された大腿骨26の切除端部27と係合する。係合手段は、それによって、外科医に停止点を指示する。インプラントステム1は、大腿骨頭がない状態で、図6に示される。インプラントステム1は、モジュラー式大腿骨頭25が取り付けられた状態で、図7及び図8に示される。図8は、図7におけるインプラントステム以外の、より中立な位置で方向付けられたインプラントステムを示す。
【0085】
図9及び図10は、一体式の大腿骨インプラント30を示す。大腿骨インプラントは、大腿骨頭32と組み合わせて図4〜8におけるインプラントステムと類似のインプラントステム31を備える。係合手段7は、切除された大腿骨26の切除端部27と係合する。
係合手段は、それによって、外科医に停止点を表す。図10は、図9における大腿骨インプラント以外の、より中立な位置で方向付けられた大腿骨インプラント30を示す。
【符号の説明】
【0086】
1 インプラントステム
2 インプラントステム
3 ベース部分
4 近位端部
5 ステム部分
6 遠位端部
7 係合手段
8 円錐状区域
9 略円筒区域
10 人工関節
11 骨
12 人工股関節全置換術のステム
13 大腿骨部分
14 天頂部
15 大腿骨
16 大腿骨頭
17 大腿骨体
18 大腿骨頚
19 移行領域
20 大転子
21 小転子
22 非回転手段
23 コネクタ、テーパー部
24 ねじ穴
25 モジュラー式大腿骨頭
26 切除された大腿骨
27 切除端部
30 一体式の大腿骨インプラント
31 インプラントステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10