【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、改良された大腿骨インプラントステムと、改良された大腿骨インプラント自体と、を提供する。
【0007】
本願発明の第1の態様によれば、大腿骨に移植するためのインプラントステムであって、前記ステムの近位端部に配置されたベース部分と、前記ステムの遠位端部まで延在しているステム部分と、を備え、該ベース部分は、使用時に、前記大腿骨の切除された端部を係合するための係合手段を有するインプラントステムを提供する。
【0008】
前記係合手段は、使用時に、係合手段が大腿骨の切除された端部区域を係合するとの利点を有し、それによって、外科医は、インプラントが大腿骨内で位置されることを知ることができる。すなわち、前記係合手段は、手術中に、外科医を手助けするための停止点を表す。インプラントのベース部分が外科手術中に不正確に位置される場合に、インプラントが最適に位置付けられず、且つインプラントが大腿骨頸を骨折させる場合があるので、これは、重要な鍵を握る。これは、患者に対して明らかに有害であり、且つ回復手術に導く場合がある。
【0009】
前記係合手段は、上述されるように、外科医のための停止点の表示を主として提供する。該表示は視覚的とされる場合があり、外科医は、前記係合手段が前記大腿骨の切除された端部を適切に係合していることを理解することができる。該表示手段は、触覚的とされる場合があり、外科医は、前記係合手段が前記大腿骨の切除された端部に適切に係合されることを感じることができる。この場合において、外科医は、インプラントが最適に位置され、且つさらなる固着が必要とされないことを知る。
【0010】
前記インプラントステムの最適な着座位置は、大腿骨頭の中立点とされる。前記着座位置は、前記大腿骨頭の中立点の遠位方向20mm又は近位方向20mmの間で変化してもよい。これは、骨維持(bone preservation)を最小化し、基本的な重要性を明らかにす
る。
【0011】
前記係合手段はまた、使用時に、前記インプラントステムの遠位移動を防止してもよい。前記係合手段は、前記大腿骨の切除された端部と接触し、それによって、遠位方向において、前記インプラントステムのさらなる移動を防ぐ。
【0012】
前記係合手段は、骨に負荷を与えることを容易にしてもよい。前記係合手段は、大腿骨の切除された端部と接触し、それによって、大腿骨に負荷を伝達する。
【0013】
前記係合手段は、前記ステムの長手方向軸に対して略垂直に延在してもよい。例えば、前記係合手段は、前記長手方向軸に対して約90°で配置されてもよい。
【0014】
前記係合手段は、垂直面に関して角度範囲を有してもよい。例えば、前記係合手段は、長手方向軸に対して80°〜100°で方向付けされてもよい。前記係合手段は、長手方向に対して85°〜−95°で方向付けされてもよい。
【0015】
前記係合手段は、任意の適切な形状とされてもよい。例えば、前記係合手段は、1つ又は複数のフランジとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のカラーとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のプレートとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数の放射状ディスク(radial disc)とされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複
数のローブ(lobe)とされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のタブとされてもよい。前記係合手段は、1つ又は複数のリップとされてもよい。
【0016】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに少なくとも部分的に延在してもよい。
【0017】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに延在する単一の係合手段を備えてもよい。
【0018】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに延在する複数の係合手段を備えてもよい。
【0019】
前記係合手段は、前記ベース部分の近位端部の周りに連続的に延在してもよい。
【0020】
前記係合手段は、2mm〜10mmの幅を有してもよい。前記係合手段は、2mm〜8mmの幅を有してもよい。前記係合手段は、2mm〜6mmの幅を有してもよい。前記係合手段は、2mm〜4mmの幅を有してもよい。
【0021】
前記ベース部分は、20mm〜50mmの外径を有してもよい。前記ベース部分は、20mm〜40mmの外径を有してもよい。前記ベース部分は、24mm〜42mmの外径を有してもよい。
【0022】
前記ステムの近位領域は、テクスチャー加工された表面を有してもよい。前記ステムの近位領域は、骨内部成長表面(bone in-growth surface)を有してもよい。例えば、前記
ステムの近位領域は、Porocast(登録商標)などの複数のビード(bead)を備えてもよい。前記ステムの近位領域は、ビード又はグリットブラストとされてもよい。
【0023】
前記ステムの近位領域は、骨内部成長を促進する被覆を有してもよい。該被覆は、ハイドロキシアパタイト(HA)を備えてもよい。
【0024】
好ましくは、前記ステムの近位領域は、焼結されたチタニウムビードであり、且つ被覆されたハイドロキシアパタイト(HA)である。
【0025】
前記ステムの近位領域は、滑らかな仕上げを有してもよい。前記ステムの近位領域は、複数のブリードなしとされる場合がある。前記ステムの近位領域は、被覆されていない場合がある。
【0026】
前記ステム部分は、滑らかな表面を有してもよい。
【0027】
前記ステム部分は、少なくとも1つの非回転手段(anti-rotation means)を備えても
よい。前記非回転手段は、1つ又は複数のブレード、1つ又は複数のフィン、1つ又は複数のフルート、1つ又は複数のスプライン、1つ又は複数のリブ、及び/又は1つ又は複数の溝を備えてもよい。
【0028】
前記少なくとも1つの非回転手段は、前記ステムの長手方向軸に対して略平行に方向付けられてもよい。
【0029】
前記非回転手段は、前記ステムの長手方向軸に対して略垂直方向において方向付けられてもよい。
【0030】
前記非回転手段は、略らせん状の構成で配置されていてもよい。
【0031】
前記非回転手段はまた、前記インプラントの移動を最小化する/防止する場合がある。
【0032】
前記ステム部分は、テクスチャー加工された表面を有してもよい。前記ステム部分は、骨内部成長表面を有してもよい。例えば、前記ステム部分は、例えばPorocast(登録商標)などの複数のブリードを備えてもよい。前記ステム部分は、ブリード又はグリットブラスト処理されてもよい。
【0033】
前記ステムの前記近位端部は、骨内部成長を促進する被覆を有する場合がある。該被覆は、ハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite)(HA)であってもよい。
【0034】
前記ステム部分は、滑らかな仕上げを有する場合がある。前記ステム部分は、複数のビードなしであってもよい。前記ステム部分は、被覆されない場合がある。
【0035】
前記ステム部分は、使用時に、適切な生物学的な固定のために、適所に接合される場合がある、又は修正される場合がある。
【0036】
前記ステム部分は、直線状とされてもよい。
【0037】
前記ステム部分は、湾曲されてもよい。
【0038】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、前記区域が、外部表面を有し、円錐状形態又は略円錐状形態であり、前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端する区域をさらに備えている、第1の態様によるインプラントを提供する。
【0039】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、その最大直径で前記区域は、前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された大腿骨頭の内径と略同一直径とされる場合がある。
【0040】
本願発明の好ましい実施形態によれば、前記区域の前記外部表面は、前記係合手段の表面と不連続である。すなわち、好ましくは、前記区域の前記外部表面と前記係合手段の表面との間で不連続性が存在する。例えば、前記区域の前記外部表面と前記係合手段の表面とは、(例えば、
図4に見られるように)同一直線上になくてもよい。
【0041】
本願発明の好ましい実施形態によれば、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、該区域が外部表面を有し、該外部表面が円錐状形態又は略円錐状形態であり、該区域が前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端し、その最大直径で、使用時に前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された大腿骨頭の内径から離隔して実質的に延在し、前記切除された大腿骨頭の内径と略同一直径である区域をさらに備えている、第1の態様によるインプラントを提供する。
【0042】
この本願の開示において、「円錐状」との用語は、円錐状又は略円錐状を意味する場合がある。「円錐状」との用語はまた、円錐台又は略円錐台を意味する場合がある。「円錐状」との用語はまた、部分的トロイド(partial toroid)又は略部分的トロイドを意味す
る場合がある。
【0043】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、円錐状区域とステム部分との間に配置された略円筒状区域を提供する。略円筒状区域は、円錐状区域と前記ステム部分に配置された非回転手段と間に配置されてもよい。
【0044】
円筒状区域は、移植中に、ステムの集中化を手助けする。すなわち、円筒状区域は、インプラントステムの嵌入中に、中心線から離れて「ドリフトしている」ステムのリスクを最小化する。円筒状区域は、ドリフトを解決するように設計され、ステムが切断外形を追従することを可能にする。
【0045】
本願発明のいくつかの実施形態によれば、円錐状区域とステム部分との間に配置された先細された区域を提供する。前記先細された区域は、前記円錐状区域と前記ステム部分に配置された非回転手段との間に配置されてもよい。
【0046】
円筒状部分又は先細された部分は、1mm〜20mmの長さとされてもよい。円筒状部分又は先細された部分は、5mm〜15mmの長さとされてもよい。円筒状部分又は先細された部分は、8mm〜12mmの長さとされてもよい。
【0047】
第1の態様におけるインプラントは、使用時に、モジュラー式大腿骨頭を前記インプラントステムに接続するためのコネクタをさらに備えてもよい。
【0048】
前記コネクタは、テーパー部/差込口とされてもよい。テーパー部は、前記ステムの近位端部から延在してもよい。テーパー部は、円錐状の外部表面を有してもよい。
【0049】
テーパー部は、同一工具とともに、インプラントステムの挿入又は引き抜きを可能にするために、その中心から下向きのねじ穴を有する場合がある。
【0050】
テーパー部は、直径20mm〜80mmなどの寸法範囲におけるモジュラー式大腿骨頭とともに使用するための標準テーパー部とされてもよい。
【0051】
前記インプラントステムは、任意の適切な材料から形成されてもよい。前記インプラントステムは、金属から形成されてもよい。前記インプラントステムは、ステンレス鋼から形成されてもよい。前記インプラントステムは、チタニウムから形成されてもよい。
【0052】
前記インプラントステムは、金属合金から形成されてもよい。前記インプラントステムは、チタニウム合金から形成されてもよい。前記インプラントステムは、コバルトクロムから形成されてもよい。
【0053】
前記モジュラー式大腿骨頭は、任意の適切な材料から形成されてもよい。前記モジュラー式大腿骨頭は、金属から形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、チタニウム又はステンレス鋼から形成されてもよい。
【0054】
前記モジュラー式大腿骨頭は、金属合金から形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、コバルトクロムから形成されてもよい。
【0055】
前記モジュラー式大腿骨頭は、セラミックから形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、セラミック材料を含んでいるジルコニウムを備えでもよい。
【0056】
前記モジュラー式大腿骨頭は、ポリマーから形成されてもよい。例えば、前記モジュラー式大腿骨頭は、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成されてもよい。
【0057】
本願発明の第2の態様によれば、大腿骨における移植のためのインプラントであって、本願発明の第1の態様によるステムと、大腿骨頭と、を備えているインプラントを提供する。
【0058】
ステムコンポーネントは、必要に応じて、本願発明の第1の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0059】
前記大腿骨頭は、前記ステムに解放可能に取り付けられても良い。
【0060】
前記大腿骨頭は、前記ステムに固定的に取り付けられてもよい。前記インプラントは、単一のコンポーネント、すなわち一体式として製造されてもよい。
【0061】
前記大腿骨頭は、直径20mm〜80mmの範囲における寸法を有してよい。
【0062】
前記インプラントは、任意の適切な材料から形成されてもよい。前記インプラントは、金属から形成されてもよい。前記インプラントは、ステンレス鋼から形成されてもよい。
前記インプラントは、チタニウムから形成されてもよい。
【0063】
前記インプラントは、金属合金から形成されてもよい。前記インプラントは、コバルトクロムから形成されてもよい。
【0064】
前記大腿骨頭は、セラミックから形成されてもよい。例えば、大腿骨頭は、セラミック材料を含有しているジルコニウムを備えてもよい。
【0065】
本願発明の第3の態様によれば、大腿骨における移植のためのインプラントであって、インプラントステムであって、前記インプラントステムの近位端部に配置されたベース部分と、前記インプラントステムの遠位端部まで延在しているステム部分と、を備えており、前記ベース部分が使用時に前記大腿骨の切除された端部と係合するための係合手段を有し、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、円錐形態又は略円錐形態である外側表面を有し、且つ前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端し、その最大直径で、使用時に、前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された大腿骨頭の内径と略同一の直径である区域と、を備えているインプラントステムと、大腿骨頭と、を備えているインプラントを提供する。
【0066】
前記インプラントステムは、必要に応じて、本願発明の第1の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0067】
大腿骨頭コンポーネントは、必要に応じて、本願発明の第2の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0068】
本願発明の第4の態様によれば、本願発明の第2の態様による大腿骨における移植のためのインプラントであって、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、円錐形態又は略円錐形態である外側表面を有し、前記ステム部分に向けて先細し、且つ前記ベース部分で終端し、その最大直径で、使用時に、前記ステムがその中に挿入されるべきである前記切除された端面から実質的に離隔して延在し、且つ前記端面と略同一の直径である区域とをさらに備えているインプラントを提供する。
【0069】
前記インプラントは、必要に応じて、本願発明の第1の態様又は第2の態様に関連して上述された特徴のいずれか1つを有する場合がある。
【0070】
本願発明の第5の態様によれば、大腿骨における移植のためのインプラントであって、インプラントステムであって、前記インプラントステムの近位端部に配置されたベース部分と、前記インプラントステムの遠位端部まで延在しているステム部分と、を備えており、前記ベース部分が使用時に前記大腿骨の切除された端部と係合するための係合手段を有し、前記ステム部分がそこから延在する区域であって、円錐形態又は略円錐形態である外側表面を有し、且つ前記ステム部分に向けて先細し、前記ベース部分で終端し、前記区域の前記外側表面が、前記係合手段の表面と不連続である区域と、を備えているインプラントステムと、大腿骨頭と、を備えているインプラントを提供する。
【0071】
本願発明の第6の態様によれば、大腿骨における移植のための方法であって、本願発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、第4の態様、又は第5の態様のいずれか1つによるインプラントを準備するステップと、大腿骨を切除するステップと、切除された大腿骨にインプラントを移植するステップと、を備える方法を提供する。
【0072】
好ましくは、大腿骨頭は、切除される。大腿骨頭は、その中間点で、又はその中間点に近接して切除されることができる。
【0073】
参照は、例示的な方法によって、添付した図面になされるであろう。