(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、反射型あるいは透過型の液晶パネルや微小ミラーを複数個配列した構造の映像表示素子の表示画面を投写面であるスクリーンやボード等に拡大表示する投写型映像表示装置においては、投写面で十分な大きさと明るさを有する拡大像が得られるように照明光学系の工夫がなされてきた。
【0003】
特に映像表示素子を複数個用いる方式においてはカラー映像の白バランスの劣化や色むらを抑える種々の照明光学系の提案がなされている。例えば特開平10−171045号公報(特許文献1)に開示された投写型映像表示装置の照明光学系に使用する光源としては入力電力当たりの発光効率が高い(70lm/W)超高圧水銀ランプが主流となっている。
【0004】
また、第1アレイレンズや第2アレイレンズでの光線通過率を向上させるために電極間距離の短縮が大きな開発課題となっている。また超高圧水銀ランプは紫外線を大量に発生させるため照明光学系を構成する液晶ライドバルブや偏光板など有機物に大きなストレスを与えるため寿命を損なうなどのほかに自身も電極の磨耗や発光管の白濁による失透によって明るさ低下が短い時間で発生するなど抱える問題が大きい。
【0005】
このため新たな光源として、赤、緑、青の発光ダイオードや有機EL等の固体発光素子を用いた投写型映像表示装置の開発が行われ多くの提案がなされている。例えば特開2004−341105号公報(特許文献2)では固体光源から出射する紫外光を可視光に変換する蛍光体層と透明基材と固体光源から成る光源装置が提案されている。
【0006】
更にこの特許文献2の課題を解決するために例えば特開2009−277516号公報(特許文献3)に示すように固体光源から出射する励起光を可視光としても高効率で発光する光源装置が提案されている。
【0007】
更に、発光原理が異なる方式の光源を組み合わせて投写型映像表示装置の光源とする提案例えば特開2009−259583号公報(特許文献4)もなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に開示された技術では固体光源から射出する紫外光を可視光に変換する蛍光体層と透明基材と固体光源から成る光源装置について開示されている。この技術は、エネルギーの高い紫外光を励起光とする励起光源を用いているため紫外光が照射される光学部品は損傷を受けやすく、光学部品の長期性能確保が困難となる。このため、特許文献3では紫外光よりエネルギーの低い可視光を励起光として蛍光体に照射することが提案されている。
【0010】
一方、特許文献4に開示されたように投写型映像表示装置の新光源として発光方式の異なる複数種の光源を組み合わせる方式の提案もなされている。この提案では、所定波長の光を出射する発光ダイオードまたは固体発光素子である第一の光源と励起光を出射する発光ダイオードまたは固体発光素子である第二の光源と第二の光源からの励起光を励起エネルギーとして第一の光源と同じ波長域の光を発光する第三の光源から構成されている。
【0011】
以上述べた特許文献2から特許文献4において開示された従来技術は、光源の大きさに関する記載が無いが、実際には、励起光源を複数配列する場合に、光源装置が大型化するという問題が生じる。また、複数配列した場合、蛍光体に励起光を集光するレンズが大型化するため、レンズの球面収差が増大し、所望の照射形状で蛍光体に照射できないという問題も発生する。
【0012】
以下、超高圧水銀ランプを使用しない新しい光源として、励起光源で蛍光体を励起した光を光源とした際に、照明光学装置が有する課題について、図を参照して説明する。なお、各図において、同一な部分には同一符号を付して、一度説明したものについては、その説明を省略する。また、以降の説明を容易とするために、直交座標系を導入する。照明光軸方向をZ軸とし、Z軸に直交する面内で映像表示素子の矩形照射有効領域の長辺に平行な方向の軸をY軸とし、矩形有効表示領域の短辺に平行な方向の軸をX軸とする。すなわち、第1アレイレンズ、第2アレイレンズを構成するレンズセルは、X軸,Y軸方向の両方向に配列されているものとする。
【0013】
図3(a)は、偏光変換インテグレータを用いた投射型液晶表示装置における、光源から液晶表示素子までの照明光学系の光路上の各光学素子を簡易的に図示したものであり、X軸方向から見た照明光軸を含むYZ断面での照明光学系の要部構成部である。
【0014】
図3(a)において、照明光源装置300は、Y軸方向に8個配列された青色励起光源1と各々の発散光を平行化する平行化レンズ2からなる。青色励起光源1から発光した光は、各々の平行化レンズ2により略平行となり、集光レンズ14により、透明基材19に集光される。透明基材19の入射側は反射防止膜が蒸着されており、出射側は2つセグメントから構成されており、青色を励起光として、黄色を発光する黄色蛍光体のセグメントと、青色を拡散する拡散層のセグメントからなる。
【0015】
図3(b)においてX軸方向から見たYZ断面図、Z軸方向から見たXY断面図を示す。黄色蛍光体のセグメントには、青色光を透過、黄色光(緑色及び赤色)を反射するダイクロイックコート191が蒸着されており、その上に、黄色の蛍光体192が塗布されている。青色励起光が、黄色蛍光体192と反応するため、黄色光が全方位に発光するが、透明基材19の入射側への黄色発散光はダイクロイックコート191で反射されるため、全ての黄色光が、平行化レンズ20の方向に発散する。
【0016】
また、青色を拡散する拡散層193のセグメントでは、青色光が拡散し、平行化レンズ20の方向に発散する。透明基材19の回転速度が十分に速ければ、人間の目には青色と黄色が合成された、白色光が透明基材19より、発光していると見える。つまり、透明基材19に照射された青色励起光の照射エリアが、白色光光源として白色を発光している考えることができる。透明基材19から発散した黄色光および青色光は、平行化レンズ20で平行となり、偏光変換インテグレータに入射する。
【0017】
偏光変換インテグレータは、第1アレイレンズ3と第2アレイレンズ4とからなる均一照明を行うオプチカルインテグレータと、偏光方向を所定偏光方向に変更、揃える偏光変換素子5とを含んでいる。
【0018】
第1アレイレンズ3は、入射した光をマトリクス状に配設された複数のレンズセルで複数の光に分割して、効率よく第2アレイレンズ4と偏光変換素子5を通過するように導く。即ち、第1アレイレンズ3は透明基材19上の照射像と第2アレイレンズ4の各レンズセルとが互いに物体と像の関係(共役関係)となる。第1アレイレンズ3の各レンズセルを通過した光は、対向する第2アレイレンズ4のセルに入射する必要がある。
【0019】
第1アレイレンズ3と同様に、マトリクス状に配設された複数のレンズセルを持つ第2アレイレンズ4は、構成するレンズセルそれぞれが対応する第1アレイレンズ3のレンズセルの形状を液晶表示素子18に投影する。
【0020】
この時、偏光変換素子5で第2アレイレンズ4からの光は所定の偏光方向に変更、揃えられ、そして、第1アレイレンズ3の各レンズセルの投影像は、それぞれ集光レンズ6、およびコンデンサレンズ13を介して、液晶表示素子18上に重ね合わせられる。
【0021】
なお、第2アレイレンズ4とこれに近接して配設される集光レンズ6とは、第1アレイレンズ3と映像表示素子18とが、互いに物体と像の関係(共役関係)になるので、第1アレイレンズ3で複数に分割された光束は、第2アレイレンズ4と集光レンズ6によって、液晶表示素子18上に重畳して投影され、実用上問題のないレベルの均一性の高い照度分布の照明が可能となる。
【0022】
ここで、透明基材19に照射される青色励起光の照射形状について考える。透明基材19に照射する青色励起光の照射エリアが、照明光学系に入射する光源像となるため、照明光学系で捕獲できる、青色励起光の照射エリアは一律決まっている。そこで、集光レンズ14の収差の影響が少なくなるように、透明基材19に青色励起光を集光する必要がある。そのためには、集光レンズ14と透明基材19の距離を離し、透明基材19に入射する斜め光を低減する必要がある。
【0023】
一方、集光レンズ14は8個配列された青色励起光源1から射出され平行化レンズ2で平行光となった青色光の全てを捕捉する必要があるため、青色励起光源1を配列した分の大きさが必要であるため、集光レンズ14と透明基材19の距離をかなり長くする必要が生じる。従って、光源装置全体のサイズが大きくなるという課題が生じる。
【0024】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の光源を使用し、1つの光束に集光した後、後段の照明光学系に照射する光源装置を使用した際に、従来よりも光源装置の大型化を招くことなく、高効率な投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の投射型映像表示装置は、照明光源装置と、映像表示素子と、前記照明光源装置からの光を前記映像表示素子に照射する複数の光学素子から形成される照明光学系と、前記映像表示素子で形成された光学像を拡大して投影する投射レンズと、を有する投射型映像表示装置において、前記照明光学系は、複数の矩形開口形状のレンズ素子をマトリックス状に配列した第1アレイレンズ及び第2アレイレンズを有し、前記照明光源装置は、偏光度が50%より大きい1つ以上の光源と、一方の偏光光を透過し、一方の偏光光を反射する1つ以上の偏光子を有し、前記光源の少なくとも1組以上が偏光度の高い偏光方向が直交するように配置されており、前記偏光子により光束が合成され、光束を集光する集光手段により光束が1つの領域に集光された後、後段に配置された照明光学系に向かって照射する構成とする。
【0026】
また、照明光源装置と、映像表示素子と、前記照明光源装置からの光を前記映像表示素子に照射する複数の光学素子から形成される照明光学系と、前記映像表示素子で形成された光学像を拡大して投影する投射レンズと、を有する投射型映像表示装置において、前記照明光学系は、複数の矩形開口形状のレンズ素子をマトリックス状に配列した第1アレイレンズ及び第2アレイレンズを有し、前記照明光源装置は、偏光度が50%より大きい1つ以上の光源と、一方の偏光光を透過し、一方の偏光光を反射する1つ以上の偏光子と、1つ以上の偏光変換素子を有し、前記光源の少なくとも1組以上が偏光度の高い方向が直交するように配置されており、前記偏光子により、光束が合成され、合成された光束の偏光方向が、前記偏光変換素子により変更、揃えられた照明光源装置において、前記照明光源装置を2組有し、前記偏光変換素子で変更、揃えられる偏光方向が直交しており、前記2組の照明光源装置の後段に設けられた前記偏光子により、光束が合成され、光束を集光する集光手段により光束が1つの領域に集光された後、後段に配置された照明光学系に向かって照射する構成とする。
【0027】
また、照明光源装置と、映像表示素子と、前記照明光源装置からの光を前記映像表示素子に照射する複数の光学素子から形成される照明光学系と、前記映像表示素子で形成された光学像を拡大して投影する投射レンズと、を有する投射型映像表示装置において、前記照明光源装置からの光束を集光する集光手段を設け、前記集光手段により光束を四面の反射面を有するライトトンネルの入射側開口部に集光し、前記ライトトンネルに入射させ、前記ライトトンネル出射側開口部から出射した光束をレンズ素子により、映像信号に対応して入射光の強度を変調する光変調手段に投写する構成とし、前記照明光源装置は、偏光度が50%より大きい1つ以上の光源と、一方の偏光光を透過し、一方の偏光光を反射する1つ以上の偏光子を有し、前記光源の少なくとも1組以上が偏光度の高い偏光方向が直交するように配置されており、前記偏光子により光束が合成され、光束を集光する集光手段により光束が1つの領域に集光された後、後段に配置された照明光学系に向かって照射する構成とする。
【0028】
また、照明光源装置と、映像表示素子と、前記照明光源装置からの光を前記映像表示素子に照射する複数の光学素子から形成される照明光学系と、前記映像表示素子で形成された光学像を拡大して投影する投射レンズと、を有する投射型映像表示装置において、前記照明光源装置からの光束を集光する集光手段を設け、前記集光手段により光束を四面の反射面を有するライトトンネルの入射側開口部に集光し、前記ライトトンネルに入射させ、前記ライトトンネル出射側開口部から出射した光束をレンズ素子により、映像信号に対応して入射光の強度を変調する光変調手段に投写する構成とし、前記照明光源装置は、偏光度が50%より大きい1つ以上の光源と、一方の偏光光を透過し、一方の偏光光を反射する1つ以上の偏光子と、1つ以上の偏光変換素子を有し、前記光源の少なくとも1組以上が偏光度の高い方向が直交するように配置されており、前記偏光子により、光束が合成され、合成された光束の偏光方向が、前記偏光変換素子により変更、揃えられた照明光源装置において、前記照明光源装置を2組有し、前記偏光変換素子で変更、揃えられる偏光方向が直交しており、前記2組の照明光源装置の後段に設けられた前記偏光子により、光束が合成され、光束を集光する集光手段により光束が1つの領域に集光された後、後段に配置された照明光学系に向かって照射する構成とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数の光源を使用し、1つの光束に集光した後、後段の照明光学系に照射する光源装置を使用した際に、従来よりも光源装置の大型化を招くことなく、高効率な投写型映像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の最良の実施形態について、図を参照して説明する。なお、各図において、同一な部分には同一符号を付して、一度説明したものについては、その説明を省略する。ここでも、説明を容易とするために、課題の項と同様に、照明光軸をZ軸とする直交座標を導入する。すなわち、Z軸に直交する面内で、映像表示素子の矩形照射有効領域の長辺に平行な方向の軸をY軸とし、矩形有効表示領域の短辺に平行な方向の軸をX軸とする。
【0032】
図1は、本発明による一実施形態に係わる照明光源装置と照明光源装置を用いた投射型液晶表示装置の光学系の概略構成図である。
図1(a)は、X軸方向から見た照明光軸を含むYZ断面での投射型液晶表示装置の要部構成図であり、
図1(b)は、X軸方向から見た照明光軸を含むYZ断面での、照明光学装置の要部構成図である。
【0033】
図1(a)において、照明光源装置200(詳細は後述する)から発光した光は、平行化レンズ20により略平行となり、偏光変換インテグレータに入射する。偏光変換インテグレータは、第1アレイレンズ3と第2アレイレンズからなる均一照明行うオプチカルインテグレータと、偏光方向を所定偏光方向に変更、揃える偏光変換素子5とで構成される。
【0034】
第1アレイレンズ3は、照明光軸方向から見て液晶表示素子とほぼ相似な矩形形状を有する複数のレンズセルがマトリクス(2次元)状に配設されたもので、光源から入射した光を複数のレンズセルで複数の光に分割して、効率よく第2アレイレンズ4と偏光変換素子5を通過するように導く。即ち、第1アレイレンズ3は照明光源装置200の透明基材190上の形成された発光面と第2アレイレンズ4の各レンズセルとが光学的に共役な関係になるように設計されている。
【0035】
第1アレイレンズ3と同様に、照明光軸方向から見て矩形形状の複数のレンズセルがマトリクス状に配設された構成を有する第2アレイレンズ4は、構成するレンズセルそれぞれが対応する第1アレイレンズ3のレンズセルの形状を液晶表示素子18に投影(写像)する。
【0036】
この時、偏光変換素子5で第2アレイレンズ4からの光は所定の偏光方向に変更、揃えられ、そして、第1アレイレンズ3の各レンズセルの投影像は、それぞれ集光レンズ6、およびコンデンサレンズ13,14,第1リレーレンズ15,第2リレーレンズ16,第3リレーレンズ17により各液晶表示素子18上に重ね合わせられる。
【0037】
なお、第2アレイレンズ4とこれに近接して配設される集光レンズ6とは、第1アレイレンズ3の各レンズセルと液晶表示素子18とが、光学的に共役な関係になるように設計されているので、第1アレイレンズ3で複数に分割された光束は、第2アレイレンズ4と集光レンズ6によって、液晶表示素子18上に重畳して投影され、実用上問題のないレベルの均一性の高い照度分布の照明が可能となる。
【0038】
以上述べたように、第1アレイレンズ3,第2アレイレンズ4,偏光変換素子5とで構成された偏光変換インテグレータは、光源からの偏光方向がランダムな光を所定偏光方向に変更、揃えながら、液晶表示素子を均一照明することができる。
【0039】
その過程で、ダイクロイックミラー11により、例えばB光(青色帯域の光)は反射され、G光(緑色帯域の光)およびR光(赤色帯域の光)は透過されて2色の光に分離され、更に、G光とR光はダイクロイックミラー12によりG光とR光に分離される。例えば、G光はダイクロイックミラー12で反射され、R光はダイクロイックミラー12を透過して3色の光に分離される。この光の分離の仕方は種々考えられ、ダイクロイックミラー11でR光を反射させ、G光及びB光を透過させてもよいし、G光を反射させ、R光及びB光を透過させてもよい。
【0040】
ダイクロイックミラー11を反射したB光は、反射ミラー10を反射し、コンデンサレンズ13Bを通してB光用の液晶表示素子18Bを透過して光合成プリズム21に入射する。
【0041】
一方、ダイクロイックミラー11を透過したG光及びR光の内、G光はダイクロイックミラー12を反射して、コンデンサレンズ13Gを通してG光用液晶表示素子18Gに入射し、この液晶表示素子18Gを透過して光合成プリズム21に入射する。また、R光はダイクロイックミラー12を透過し、第1リレーレンズ15で集光され、更に反射ミラー8で反射され、第2リレーレンズ16で更に集光され、反射ミラー9で反射された後、第3リレーレンズ17で更に集光されてR光用の液晶表示素子18Rに入射する。液晶表示素子18Rを透過したR光は光合成プリズム21に入射する。
【0042】
各液晶表示素子を透過したB光、G光、R光は、光合成プリズム21によってカラー映像として合成された後、例えばズームレンズであるような投射レンズ22を通過し、スクリーン7に到達する。液晶表示素子18上に光強度変調で形成された光学像は、投射レンズ22によりスクリーン上に拡大投影され表示装置として機能するものである。
【0043】
なお、第1の光路(B光)と第2の光路(G光)にはリレーレンズは使用されていないが、第3の光路(R光)にはB光、G光と光路長を等しくするためのリレーレンズ15、16が使用されている。
【0044】
以下、本実施形態により、小型な照明光源装置を提供できる理由を、
図1(b)を用いて説明する。
図1(b)において、照明光源装置200は、光源ユニット300P、光源ユニット300S、偏光子23、集光レンズ140、透明基材190からなる。光源ユニット300PはY軸方向に4つ配列された光源1Pと光源1Pを発光した光を平行にする、平行化レンズ2からなり、光源ユニット300SはZ軸方向に4つ配列された光源1Sと光源1Sを発光した光を平行にする、平行化レンズ2からなる。
【0045】
光源1は特定の方向の偏光度が高くなっている。ここで、X軸方向の偏光をS偏光、X軸方向と照明光軸と直交する方向の偏光をP偏光とし、光源1SはS偏光の割合が50%より大きく、光源1PはP偏光の割合が50%より大きいとする。偏光度の高い光源としては、レーザーが有名であるが、LED等の無偏光光源の出射直後に、一方の直線偏光光のみを透過する偏光子を配置し、一方の直線偏光光のみを取り出す構成の光源でもよい。レーザー光源であれば、S偏光光を得るために、直線偏光方向がX軸と平行になるように配置し、P偏光を得るためには、前記S偏光用のレーザーとは90度直交した状態で配置すればよい。
【0046】
また、無偏光光源を偏光子で片方の偏光のみを取り出す構成では、偏光子の配置方向を90度直交させればよい。光源ユニット300Pから射出した光は、P偏光光の割合が50%より大きい、平行光であり、光源ユニット300Sから射出した光は、S偏光光の割合が50%より大きい、平行光となり、偏光子23に入射する。偏光子23は、P偏光を透過、S偏光を反射する素子であり、三角柱を2面貼り合わせたプリズム形状でもよい。
【0047】
従って、光源ユニット300Pから射出した光の内、P偏光光が偏光素子23を透過し、光源ユニット300Sから射出した光の内、S偏光光が偏光素子23を反射し、集光レンズ140に入射する。光源1の偏光度が50%より大きいため、例えば、単純に4つの光源1Pを集光レンズ140に入射した場合よりも、大きな光束を得ることができる。集光レンズ140に入射した光は、透明基材190に集光し、1つの照射領域を形成する。
【0048】
ここで、透明基材190は、光源1を青色励起光源とすれば、前述の透明基材19と同様、青色拡散光と黄色蛍光体の2つのセグメントを有する構成とできる。また、光源1が青色、緑色、赤色を含む光源、例えば、8つの光源1の内、2つが赤色光源、4つが緑色光源、2つが青色光源であれば、透明基材190は、入射した光線を拡散する拡散層のみを有する構成とできる。透明基材190を通過した光は、透明基材190上の光源1の照射領域が1つの白色光源の発光像として、後段の照明光学系に導かれる。
【0049】
上記のとおり照明光源装置用部材を配置することにより、集光レンズ140は4個配列された光源1から射出され、平行化レンズ2で平行光となった光のみを捕捉すればよいため、つまり、光束幅が従来の2分の1になっているため、集光レンズ140を小さくできる。従って、透明基材190での投影像の収差を増大させることなく、集光レンズ140と透明基材190の距離も短くすることができる。
【0050】
次に、更に光束幅を低減し、小型化を実現する手法について、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明による一実施形態に係わる照明光源装置の光学系の概略構成図である。
図2(a)は、X軸方向から見た照明光軸を含むYZ断面での、照明光学装置の要部構成図であり、
図2の(b)、(c)は、照明光学装置を構成する装置の1部である。
【0051】
図2(a)において、照明光源装置201は、光源ユニット301P、光源ユニット301S、光源ユニット302P、光源ユニット302S、偏光子23、偏光プリズム24、集光レンズ141、透明基材190からなる。照明光源装置201は光源ユニット301からなる光源部と光源ユニット302からなる光源部より構成されており、
図2(b)、
図2(c)に示される。
【0052】
図2(b)は、光源ユニット301を含む装置である。光源ユニット301Pは、Y軸方向に2つ配列された光源1Pと、光源1Pから発光した光を平行にする平行化レンズ2からなり、光源ユニット301Sは、Z軸方向に2つ配列された光源1Sと、光源1Sから発光した光を平行にする、平行化レンズ2からなる。
【0053】
光源ユニット301Pの射出光は、P偏光光の割合が50%より大きい平行光であり、光源ユニット301Sの射出光は、S偏光光の割合が50%より大きい平行光となり、偏光プリズム24に入射する。偏光プリズム24はP偏光を透過、S偏光を反射する素子であり、出射側に、短冊状にλ/2板241が配置されている。
【0054】
光源ユニット301Pの射出光のうち、P偏光光は偏光プリズム24を透過し、出射面に到達する。このとき、光源ユニット301Pの射出光が、λ/2板241が配置されていない領域を通過するように、光源ユニット301Pを配置するため、光源ユニット301Pの射出光は、P偏光のまま、偏光プリズム24を通過する。
【0055】
また、光源ユニット301Sの射出光のうち、S偏光光は偏光プリズム24の反射面で反射し、出射面に到達する。このとき、光源ユニット301Sの射出光が、λ/2板241が配置された領域を通過するように、光源ユニット301Sを配置するため、光源ユニット301Sの射出光は、λ/2板241により、S偏光からP偏光に変換され、偏光プリズム24を通過する。つまり、光源ユニット301Pの射出光、光源ユニット301Sの射出光ともに、P偏光の光束として、偏光プリズム24から射出する。
【0056】
次に、もう1つの光源ユニットについて説明する。
図2(c)は、光源ユニット302を含む装置である。光源ユニット302Sは、Y軸方向に2つ配列された光源1Sと、光源1Sから発光した光を平行にする平行化レンズ2からなり、光源ユニット302Pは、Z軸方向に2つ配列された光源1Pと、光源1Pから発光した光を平行にする、平行化レンズ2からなる。
【0057】
光源ユニット302Pの射出光は、P偏光光の割合が50%より大きい平行光であり、光源ユニット302Sの射出光は、S偏光光の割合が50%より大きい平行光となり、偏光プリズム24に入射する。偏光プリズム24はP偏光を透過、S偏光を反射する素子であり、出射側に、短冊状にλ/2板241が配置されている。光源ユニット302Sの射出光のうち、S偏光光は偏光プリズム24の反射面で反射し、出射面に到達する。
【0058】
このとき、光源ユニット302Sの射出光が、λ/2板241が配置されていない領域を通過するように、光源ユニット302Sを配置するため、光源ユニット302Sの射出光は、S偏光のまま、偏光プリズム24を通過する。
【0059】
また、光源ユニット302Pの射出光のうち、P偏光光は偏光プリズム24を通過し、出射面に到達する。このとき、光源ユニット302Pの射出光が、λ/2板241が配置された領域を通過するように、光源ユニット302Pを配置するため、光源ユニット302Pの射出光は、λ/2板241により、P偏光からS偏光に変換され、偏光プリズム24を通過する。
【0060】
つまり、光源ユニット302Sの射出光、光源ユニット302Pの射出光ともに、S偏光の光束として、偏光プリズム24から射出する。偏光プリズム24はλ/2板を含む1つの構成としたが、偏光を合成する偏光子と、偏光を回転するλ/2板部が別体であってもよい。
【0061】
図2(a)において、偏光子23は、P偏光を透過、S偏光を反射する素子である。従って、光源ユニット301の射出光は、前述したとおり、P偏光光として偏光素子23に入射するため、偏光素子23を透過し、集光レンズ141に入射する。また、光源ユニット302の射出光は、前述したとおり、S偏光光として偏光素子23に入射するため、偏光素子23で反射し、集光レンズ141に入射する。集光レンズ141に入射した光は、透明基材190に集光し、1つの照射領域を形成する。
【0062】
以上のように、照明光源装置用部材を配置することにより、集光レンズ141は2個配列された光源1から射出され、平行化レンズ2で平行光となった光のみを捕捉すればよいため、つまり、光束幅が従来の4分の1になっているため、集光レンズ141を小さくできる。従って集光レンズ141と透明基材190の距離も短くすることができる。
【0063】
以上、光源1を8個配列した場合について説明したが、8個以外でもよい。また、平行化レンズ2は、光源の配置方向、光源色、等により、各々最適なサイズ、曲率半径、硝材に変更してもよい。
【0064】
以上のように、本発明によれば、複数の光源を使用し、1つの光束に集光した後、後段の照明光学系に照射する光源装置を使用した際に、光源装置の大型化を招くことなく、高効率な投写型映像表示装置を提供することができる。
【実施例1】
【0065】
上記では、複数の光源を使用し、1つの光束に集光した後、後段の照明光学系に照射する光源装置を使用した際に、従来よりも光源装置の大型化を招くことなく高効率な投写型映像表示装置を提供することができる手法について、光線図を用いて概念的に説明した。
【0066】
次に、本実施形態において、透明基材への照射領域に求められる精度を決定する一実施例について、
図4を用いて述べる。
図4(a)は、X軸方向から見た照明光軸を含むYZ断面での投射型液晶表示装置の要部構成図であり、
図4(b)は、X軸方向から見た照明光軸を含むYZ断面での照明光源装置の要部拡大図であり、
図4(c)は、Y軸方向から見た照明光軸を含むXZ断面での、照明光学装置からライトトンネルまでの要部構成図である。
【0067】
照明光源装置としては、照明光源装置201を使用し、後段の照明光学系に関しては、微小ミラーを複数個配列した構造の映像表示素子(DMD素子)を用いた照明光学系とする。
【0068】
図4(c)において、照明光源装置のX軸方向の配置を示す。ここでの照明光源装置201はX軸方向にも光源1と平行化レンズ2が2個ずつ配置されており、計16個の光源1と平行化レンズ2を有するとする。
【0069】
図4(a)において、照明光源装置201から発光した光は、集光レンズ25により集光し、ライトトンネル26の入射側開口部に入射する。集光レンズ25は透明基材19上に形成された、光源1の照射領域33から発散した光が、ライトトンネル26の入射側で集光するため、ライトトンネル26の入射面に、透明基材19上に形成された、光源1の照射領域33が拡大投影される。
【0070】
ライトトンネル26は内部の四面に反射面を有し、前記ライトトンネル26の出射側開口部に到達するまでに、入射光線が複数回反射することで、ライトトンネル26の出射側には、実用上問題のないレベルの均一性の高い照度分布が得られる。ライトトンネル26から出射した光束は、反射ミラー28を介して、レンズ素子27により、映像信号に対応して入射光の強度を変調するDMD素子29上に拡大投影される。
【0071】
DMD素子29に入射した光束は、映像信号に応じて、投写レンズ30に入射し、スクリーン31に到達する。ライトトンネル26の直前には、白色光を色分離するカラーホイール32が配置されているが、照明光源装置201で色の時分割が可能な場合は、カラーホイール32は不要である。
【0072】
図4(b)において、具体的に、照射領域33に求められる精度について、説明する。光源1は青色レーザーであるとし、透明基材19の蛍光体を励起するとする。光源1の外形がφ6mm、発光サイズがφ0.02mm、光線射出半角が20度であるとする。
【0073】
偏光プリズム24の外形は光源1の約2個分のサイズであるため、12mm幅となる。偏光プリズム24の出射面の幅12mmを光源1の4個分の光束が通過するため、光源1からの射出した光束は、3mm以下にする必要がある。光源1の光線射出半角は20度なので、平行化レンズ2の焦点距離は約4mmとなる。
【0074】
ここで、光源1の発光面像が、透明基材19上に形成される照射領域33として、拡大投影されるが、拡大率はおよそ、集光レンズ141の焦点距離と平行化レンズ2の焦点距離の比となる。照射領域33が後段の照明光学系の光源サイズとなるが、従来の超高圧水銀ランプのアーク像は1mm程度なので、照射領域33の大きさも1mm以下とする必要ある。光源1の発光サイズはφ0.02mmなので、拡大率は約50倍以下にする必要あり、余裕を見て、拡大率5倍とする。
【0075】
このとき、集光レンズ141の焦点距離は20mmとなり、光源1の発光面拡大像としては、φ0.1mm程度となる。
【0076】
図5において、上記条件で光源1から射出した光線の透明基材19上に形成される照射領域33でのスポット図を確認する。集光レンズ141として、安価な球面レンズを使用している。このとき、スポットサイズはφ0.3mm程度であり、拡大像φ0.1mmを含めても、1mm以下に抑えられており、後段の照明光学系にとって、高効率な照明光源といえる。