(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
昇華性芳香族炭化水素を炭素前駆体として垂直配向型シリコンナノワイヤ(SiNW)と反応させ、垂直配向型シリコンナノワイヤそれぞれの活性先端においてカーボンナノチューブ(CNT)を成長させることを含む、SiNW−CNTの一次元直接ナノへテロ接合アレイを得るための無触媒化学蒸着(CVD)プロセス。
垂直配向型シリコンナノワイヤおよび垂直配向型カーボンナノチューブを含む単一電子装置に有用である超低ターンオン電界を有する無触媒一次元ナノへテロ接合アレイであって、前記垂直配向型カーボンナノチューブは、垂直配向型シリコンナノワイヤそれぞれと直接接触している、無触媒一次元ナノへテロ接合アレイ。
【背景技術】
【0002】
黒鉛状炭素の分子スケールチューブであるカーボンナノチューブは、その独特な構造のために、ここ10年、多くの学問的、工業的な注目を集めている。CNT(カーボンナノチューブ(carbon nnaotube))は、固有の機械的特性および輸送特性のために様々に応用され、すなわち、電極材料、複合材料、ナノエレクトロニクス、ナノセンサなどに応用される。厚さまたは直径が数10ナノメートル以下に制限され、長さは制限されないナノワイヤが、CNTを補うものとして開発されている。それらは良導体または半導体であり、電子機器に用いられる。
【0003】
CNTおよびNWを組み合わせた様々なヘテロ構造を探求するのに、少なからぬ努力が注がれてきている。主に、念入りに別個のものとした場合の個々の特性よりも特性が向上するので、一次元(1D)のナノヘテロ構造が、近年、ナノ電子工学の分野で研究の焦点となっている。その魅力的な特性およびナノエレクトロニクス、Li−イオン電池、太陽電池などの技術商業的に重要な様々な分野での応用のために、カーボンナノチューブ(CNT)およびナノ構造ケイ素が、その特性を結びつけて広く影響を及ぼすことができる最も好適な候補であると認識されている。ケイ素および炭素はいずれも同じ周期表に属し、さらに、材料特性および加工方法が公知であるので、CNTとシリコンナノテクノロジーとを統合するために、いずれの系にも元来存在している1D電子輸送を直接配合することを可能にする高いアスペクト比を持つシリコンナノワイヤ(SiNW)が好まれる。
【0004】
ジャンタオ・ヒュー(Jiangtao Hu)、ミン・オウヤン(Min Ouyang)らの論文「カーボンナノチューブおよびシリコンナノワイヤのヘテロ接合の制御された成長および電気的性質(Controlled growth and electrical properties of heterojunctions of carbon nanotubes and silicon nanowires)」(ネイチャー(Nature)、1999年、399巻、48頁)(非特許文献1)では、単層または多層のNT(ナノチューブ)を用い、Feを触媒としたシリコンナノワイヤの製造について記載されている。このプロセスでは、600℃でエチレンを用い、SiNWの端からNTを成長させていた。
【0005】
H.ヨシダ(H. Yoshida)、T.ウチヤマ(T. Uchiyama)らの論文「シリコンナノワイヤ上での単層カーボンナノチューブネットワークの合成(Synthesis of single-walled carbon nanotube networks on silicon nanowires)」(ソリッド・ステイト・コミュニケーションズ(Solid State Comm.)、2007年、141巻、632頁)(非特許文献2)は、Co触媒ナノ粒子を用いたエタノール化学蒸着(CVD)によるシリコンナノワイヤ(SiNW)上での単層カーボンナノチューブ(SWNT)の合成に関する。
【0006】
ヤン・カオ(Yang Cao)、ジュンフイ・ヘー(Jun-Hui He)らの論文「カーボンナノチューブ/シリコンナノワイヤアレイヘテロ接合の製造およびシリコンナノワイヤ長に依存する光応答(Fabrication of carbon nanotube/silicon nanowire array heterojuncitons and their silicon nanowire length dependent photoresponses)」(ケミカル・フィジクス・レターズ(Chemical Physics Letters)、501巻、4〜6号、2011年1月7日、461〜465頁)(非特許文献3)は、様々な長さを有し、n型のシリコンウエハーまたはn型のシリコンナノワイヤ(SiNW)アレイのどちらかに塗布される二層カーボンナノチューブ(DWCNT)の薄膜からなるヘテロ接合構造の製造に関する。
【0007】
ユーミン・リュー(Yuming Liu)およびショウシャン・ファン(Shoushan Fan)の論文「シリコンナノワイヤアレイ上で成長したカーボンナノチューブの電界放出特性(Field emission properties of carbon nanotubes grown on silicon nanowire arrays)」(ソリッド・ステイト・コミュニケーションズ(Solid State Communications)、133巻、2号、2005年1月、131〜134頁)(非特許文献4)では、Au触媒存在下で、SiCl
4およびH
2ガスを化学蒸着することによってシリコン基板上で製造されたシリコンナノワイヤアレイ上でのカーボンナノチューブ合成について開示されている。絡み合ったカーボンナノチューブは、Siナノワイヤ表面から直接成長した。
【0008】
L.W.リュー(L. W. Liu)、J.H.ファン(J. H. Fang)らの論文「硫酸ニッケルを触媒前駆体として用いる個々の単層カーボンナノチューブの化学蒸着(Chemical Vapor Deposition of Individual Single-Walled Carbon Nanotubes Using Nickel Sulfate as Catalyst Precursor)」(ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・B(J. Phys. Chem. B)2004年、108巻、18460〜18462頁)(非特許文献5)では、供給原料としてメタン、触媒前駆体として硫酸ニッケルを用いた化学蒸着によって、Si/SiO
2基板上で直接個々の単層カーボンナノチューブ(SWNT)を合成することが開示されている。
【0009】
サンギータ・ハンドゥジャ(Sangeeta Handuja)、P.スリバスタバ(P. Srivastava)の論文「熱化学蒸着によって成長するカーボンナノチューブの成長および微細構造について(On the Growth and Microstructure of Carbon Nanotubes Grown by Thermal Chemical Vapor Deposition)」(ナノスケール・リサーチ・レターズ(Nanoscale Res Lett.)2010年7月、5巻(7)、1211〜1216頁、2010年5月15日にオンラインで公開)(非特許文献6)では、様々な基板、すなわち未処理のケイ素および石英、Feを堆積させたケイ素および石英、HF処理したケイ素、窒化ケイ素を堆積させたケイ素、銅箔、ならびにステンレス鋼のメッシュ上での熱化学蒸着の技術を用いたカーボンナノチューブ(CNT)の堆積について記載されている。
【0010】
前記先行技術は、次のような不利な点を有する:(i)複数の接点を有するSiNW−CNTのナノヘテロ構造において、ナノワイヤの一端からヘテロ接合を介してナノチューブの他端へ至る連続的電子輸送が失われ、複数のナノチューブ、ナノワイヤまたはその両方によって、電子の経路は共有される。(ii)単一のSiNWおよび単一のCNTを含むSiNW−CNTのナノヘテロ構造において、先行技術では、しかしながら、ナノチューブの成長にFe系触媒を用いている。そのような場合、SiNWとCNTとの間に直接の接合はなく、電子は、他端に到達する前に2つの障壁、すなわち1つめはSiNWとFeとの間、2つめはFeとCNTとの間を横切らなければならないということが認められる。
【0011】
したがって、SiNWとCNTとの間の、ナノメートルスケールのヘテロ接合領域との直接接点が、高度電子電界放出特性を有するハイスループットな単一電子装置の開発に有利であるプロセスが必要である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、容易に様々な改変および変更形態をとるが、その特定の態様が実施例および図表として示され、以下に詳しく説明される。しかしながら、開示された特定の形態に本発明を制限することを意図するものではなく、反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨および範囲内にあるすべての改変、等価物、および変更例を含み得るということは理解されるべきである。
【0022】
本明細書の説明の恩恵を受ける当業者が容易に理解できる詳細によって本開示が曖昧にならないように、実施例に言及することで、本発明の態様を理解するのに適切である特定の詳細のみを示すということを、出願者は述べたい。
【0023】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」なる語、またはその語の他の変形は、非排他的な包含を含むことが意図されるので、プロセス、または成分リストを含む触媒組成物は、その成分のみを含むのではなく、明白に記載されていない、またはそのようなプロセスに固有の、他の成分を含み得る。換言すると、「・・・を含む(comprises... a)」と続くシステムまたはプロセス中の1つ以上の要素は、より制限なく、システムまたはプロセス中の他の要素または追加の要素の存在を排除することはない。
【0024】
本発明の態様についての以下の詳細な説明において、この一部を形成し、本発明を実施し得る特定の態様の説明として示される、添付の図面および図表が参照される。その態様は、当業者が本発明を実施できるよう十分詳細に説明されるが、他の態様を利用し得、本発明の範囲を逸脱することなく変更(charges)され得ることは理解されるであろう。したがって、以下の説明を限定的な意味にとるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲でのみ定義される。
【0025】
上記の見解にしたがって、本発明は、ある好ましい任意の実施形態に関して詳細に説明されるので、本発明の様々な態様をより十分に理解し評価し得る。
【0026】
主に、個々の特性よりも向上した特性により、一次元(1D)のナノヘテロ構造が本発明の焦点である。ナノへテロ接合の実際の利点を引き出すためには、ナノワイヤとナノチューブとの間の直接で単一の接点が非常に望ましい。より具体的には、本発明は、ナノワイヤの一端からナノチューブの他端への連続的な電子輸送が可能であり、優れたEFE(電子電界放出)特性を示すナノへテロ接合を提供することに関する。
【0027】
本発明は、垂直配向型シリコンナノワイヤ(SiNW)とカーボンナノチューブ(CNT)アレイとの間の一次元ナノへテロ接合に関し、ここでSiNWは垂直配向型CNT成長の足場として用いられる。SiNWおよびCNTを含む垂直配向型成分は、直接接触している。
【0028】
ある実施形態において、本発明は、垂直配向型シリコンナノワイヤおよび垂直配向型カーボンナノチューブを含む、単一電子装置に有用な超低ターンオン電界を有する無触媒一次元ナノへテロ接合アレイを開示し、ここで垂直配向型カーボンナノチューブは、垂直配向型シリコンナノワイヤそれぞれと直接接触している。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、SiNW−CNTの一次元直接ナノへテロ接合アレイを得るための、昇華性芳香族炭化水素を炭素前駆体として垂直配向型シリコンナノワイヤ(SiNW)と反応させ、垂直配向型シリコンナノワイヤそれぞれの活性先端においてカーボンナノチューブ(CNT)を核化させることを含む無触媒化学蒸着(CVD)プロセスを提供する。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、以下の工程を含む自家製の化学蒸着(CVD)によって垂直配向型SiNWおよびCNTの一次元ナノへテロ接合アレイを合成するための無触媒プロセスを提供する;(a)無電解金属蒸着および化学エッチングによって、Si基板上で垂直配向型シリコンナノワイヤを合成すること、(b)予熱区画において、芳香族前駆体を300℃から400℃の温度範囲、より好ましくは300℃から350℃の温度範囲で熱分解し、続いて、昇華された前駆体をキャリヤガスの流れと共にCVDの主反応区画に運ぶこと;および(c)流入してくる昇華した前駆体を、900℃から1000℃の温度範囲、より好ましくは900℃から960℃の温度範囲で加熱したSiNWの先端と、主反応区画において50分から70分間反応させること。
【0031】
本発明の別の実施形態において、垂直配向型SiNW−CNTの直接ナノへテロ接合アレイが形成される。
【0032】
本発明の別の実施形態において、芳香族前駆体は、ナフタレンもしくはアントラセンまたはその組み合わせから選択される、容易に昇華可能な炭素前駆体である。
【0033】
本発明の別の実施形態において、垂直配向型カーボンナノチューブ(CNT)は、多層CNT(MWNT)を含む。
【0034】
本発明の別の実施形態において、垂直配向型CNTの直径は、50〜100nmの範囲である。
【0035】
本発明の別の実施形態において、単一電子装置に有用な超低ターンオン電界を有する無触媒一次元ナノへテロ接合アレイは、垂直配向型シリコンナノワイヤおよび垂直配向型カーボンナノチューブを含み、ここで垂直配向型カーボンナノチューブは、垂直配向型シリコンナノワイヤのそれぞれと直接接触している。
【0036】
本発明の別の実施形態において、垂直配向型カーボンナノチューブ(CNT)の直径は、50〜100nmの範囲である。
【0037】
本発明の別の実施形態において、垂直配向型カーボンナノチューブ(CNT)は、多層CNT(MWNT)を含む。
【0038】
芳香族前駆体は、ナフタレン、アントラセンから選択され、好ましくはナフタレンである。キャリヤガスは、アルゴンなどの不活性ガスから選択される。
【0039】
本プロセスによれば、芳香族前駆体であるナフタレンまたはアントラセンは、予熱区画において300℃から400℃の温度範囲、より好ましくは300℃から350℃の温度範囲で保持され、SiNWは、主反応区画において900℃から1000℃の温度範囲、より好ましくは900℃から960℃の温度範囲で保持される。ナフタレンもしくはアントラセンまたはその組み合わせは、炭素についての前駆体として用いられ、2つの炉のうちの予熱区画に保持されて、前駆体の完全な昇華を確実に行う。次に、400sccmから600sccmの流速、より好ましくは450sccmから550sccmの流速で、キャリヤガスとしてのアルゴンによって、SiNWアレイが加熱される主反応区画へ昇華された前駆体を流入させる。反応区画の温度は、前駆体区画が300℃のときに950℃に達するようにプログラムされる。SiNWアレイ上におけるCNTの完全な成長を確実に行うために、50分から70分間、より好ましくは55分から65分の範囲で反応を続ける。CNTの成長は、約60分で完了し、それはSiNWアレイ上におけるCNTの垂直配向となる根元の成長メカニズムに続いて起こる。
【0040】
垂直配向型SiNWは、Siウエハー上での無電解金属蒸着(EMD)および化学エッチングによって合成される。したがって、リンがドープされたn型のSiウエハーを、最初にアセトン、低級アルコールなどから選択される極性溶媒および脱イオン水で洗浄し、次いで超音波処理する。シリコンウエハー上に元からあった酸化層を、沸騰ピラニア溶液(98%H
2SO
4および30%H
2O
2を3:1の比で含む)を用いて、約80℃で処理することでさらに除去し、さらに脱イオン水で洗浄し、Ar流により乾燥させる。清浄なSiウエハーを、水浴中、4.6M HFおよび0.04M AgNO
3(体積比1:1)のエッチング溶液の入ったポリテトラフルオロエチレン(PTFE)中で保持し、10分間で55℃まで加熱する。反応後、試料を脱イオン水で軽く洗浄し、Agを除去するためにHNO
3:HCl:H
2O(体積比1:1:1)の混合物中で一晩保持する。このようにして形成されたSiNWアレイを、さらに5%HF溶液中に1分浸し、すぐに水ですすぎ、Ar流中で乾燥させる。このように調製された垂直配向型(va)SiNWを用いて、垂直配向型CNTを成長させる。
【0041】
ナノへテロ接合の合成を、スキーム1に示す。
【0042】
CNTは、TGA分析およびXPS分析で認められるように、SiO
2ではなくSiの先端において、SiNWsから成長する。
【0043】
SiNWアレイの垂直方向の長さは4〜5μmであり、ナノワイヤは、CNT成長の足場として機能する、その粗さが500nm以下である束として現れる。
【0044】
CNTは、ナノチューブの直径が50〜100nmの範囲で垂直配向される。カーボンナノチューブは、垂直配向されていると認められる。NTの典型的な直径は、NWの直径と正確に一致する50〜100nmの範囲であり、これは単一のNTが単一のNWの上端で成長するという証拠を間接的に与える。SiNWの先端は、CNTが成長するための核化位置として機能し、ナノへテロ接合を作り出す。さらに、NWの直径が大きい、すなわち50nmより大きいときは、単層NTまたは二層NTが形成される可能性はなく、多層CNTが形成される。
【0045】
このように、ある実施形態において、本発明の垂直配向型CNTは多層CNT(MWNT)を含む。EDX分析によるSiNW−CNTアレイ中の炭素含量は、43%以下であると認められる。電界増大係数は、結晶構造、エミッタ形状(アスペクト比など)および放出中心の空間分布と関連する。
【0046】
したがって、ある実施形態において、本発明のSiNW−CNTアレイは、ファウラー−ノルドハイム(F−N)理論によって分析されたような、未加工SiNWwの2267よりも高い6010という電界増大係数(β)を有する優れたEFE(電子電界放出)特性を示す。本発明の垂直配向型SiNW−CNTナノへテロ構造の電界放出性能を、報告されているナノへテロ構造と比較した表を下記表1として示す;
【0048】
本発明のSiNW−CNTアレイは、放出電流密度が0.006μAcm
-2でターンオン電界が0.91Vμm
-1である垂直配向型SiNWアレイよりも、超低ターンオン電界が0.51Vμm
-1で21μAcm
-2という高い放出電流密度を有する優れた挙動を示す。また、本発明のSiNW−CNTアレイにおいて、未加工のSiNWアレイよりも約3倍電界増大係数(β)が増加することが認められる。
【0049】
本発明の垂直配向型SiNW−CNTナノへテロ接合アレイは、ナノワイヤとナノチューブとの間の、これらの直接的単一な一次元の接点が、ナノワイヤの一端からナノチューブの他端への連続的な電子輸送を可能にし、1つ以上のナノチューブ、ナノワイヤ、またはその両方のいずれかによって電子の経路が失われることまたは共有されることを防ぐという点で、先行技術の複数接合を越える追加の利点を提供する。超低ターンオン電界を有する本発明の垂直配向型SiNW−CNTアレイは、このように、平面パネル表示装置のような電子エミッタ装置の製造および応用といった多くの分野において、ナノエレクトロニクスの扉を開く。
【0050】
一態様において、本発明のSiNW−CNTアレイは、高い電界増大係数(β)を有する優れたEFE(電子電界放出)特性をこのように示す超低ターンオン電界を提示する。
【0051】
[産業上の利用可能性]
本発明の垂直配向型SiNW−CNTアレイは、以下のように用いることができる。
【0052】
・ 低ターンオン電位で増大電子放出を行う電界エミッタ。
【0053】
・ 平面パネル表示装置の品質および性能を、これらのナノへテロ構造を用いて向上させることができる。
【0054】
・ 単一電子トランジスタ、整流器(rectifirers)のような単一電子装置中の電子輸送を、直接接触によって向上させることができる。
【0055】
本発明を、以下、本明細書中、実施例を用いて説明するが、これらの実施例は単なる例示であって、いかなる方法でも本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0056】
[実験]
[実施例1]
<SiNW(シリコンナノワイヤ)の合成>
1x1cm
2の、リンがドープされたn型のSi(100)ウエハー(0.001〜0.002Ω.cm、ウエハーネット社(Wafernet Inc.))を、アセトン、イソプロパノールおよび脱イオン(D.I)水(18.2MΩ.cm)を順次用い、各5分間超音波処理を行って洗浄した。Siウエハー上に元からあった酸化層を、沸騰ピラニア溶液(80℃)すなわち98%H
2SO
4:30%H
2O
2(体積比3:1)中で20分間処理することで除去し、さらにD.I水で洗浄し、Ar流により乾燥させた。
【0057】
洗浄したSiウエハーを、水浴中、4.6M HFおよび0.04M AgNO
3(体積比1:1)のエッチング溶液の入ったポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の容器中に保持し、10分間55℃まで加熱した。反応後、試料をD.I.水で軽く洗浄し、Agを除去するために、さらにHNO
3:HCl:H
2O(体積比1:1:1)の混合物中で一晩保持した。このように調製されたSiNWアレイを、5%HF溶液に1分間浸した。取り出した後、それをすぐに水ですすぎ、Ar流中で乾燥させ、CNTの合成に用いた。
【0058】
[実施例2]
<ナノへテロ接合の調製>
SiNW−CNTアレイのナノへテロ接合を、1200℃まで達することができる自家製のCVD装置(区画を2つ有する)で合成した。主(反応)区画の端は、未反応の熱いガスをトラップする冷却復水器を通す排気装置に接続した。まず初めに、石英チューブ(内径34mm、長さ108mm)をエタノールで数回洗浄し、次に空気を吹き込んだ。続いて、不純物をすべて排出するため、石英チューブに、アルゴンの気流を標準状態で毎分100立方センチメートル(sccm)流した。この石英チューブを、2つの区画の電気炉内に水平に保持した。ナフタレンを炭素源の前駆体として用い、2つの電気炉のうち予熱区画に保持して、温度を300℃に維持し、ナフタレンの完全な昇華を確実に行った。次に、昇華された前駆体を、キャリヤガスとしてのアルゴン(Ar)によって、500sccmで、SiNWアレイ(実施例1で得られたようなもの)が950℃で加熱されている主(反応)区画へ流し入れた。前駆体区画が300℃に達したときに、反応区画の温度が950℃に達するようにプログラムされた。炉の加熱速度は20℃/分で維持され、Arの流速は、SiNW中の酸素量を最小限に抑えるために500sccmで維持された。反応を60分間行い、ナノチューブの直径が50〜100nmの範囲のCNTをSiNWアレイ上で成長させた。
【0059】
試料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、FEI社のQuanta 200 3D装置で撮影した。原子間力顕微鏡(AFM)(モデル:MMAFMLN、ヴィーコ・デジタル・インスツルメンツ社(Veeco Digital Instruments)、サンタバーバラ、カリフォルニア、米国)画像は、タッピングモードで撮影された。試料のラマン分析は、532nmの緑色レーザーを用いたJASCO社の共焦点ラマン分光計(NRS 1500 W)で行なわれた。熱重量測定(TGA)は、空気雰囲気下、加熱速度10℃ min
-1で、SDT Q600 TG−DTA分析装置を用いて行なわれた。TGA用の試料は、シリコンウエハーからSiNWアレイおよびSiNW−CNTアレイをかき取ることで、粉末形態で回収された。
【0060】
X線光電子分光(XPS)測定は、1x10
-9Torr超の圧力で、VGマイクロテック社(VG Micro Tech)ESCA 3000装置を用いて行われた(パスエネルギーは50eV、電子取り出し角は60°、全体解像度は0.1eV以下であった)。
【0061】
[I.SEM調査]
EMDおよび化学エッチングによって合成されたSiNWアレイのSEM画像を
図1(a、b)に示す。
【0062】
図1(a)は、SiNWアレイ上面の広域画像を示す。
【0063】
図1(b)は、45°傾斜したSEM画像を示す。
【0064】
図1(c)は、SiNW−CNT上面の広域画像を示す。
【0065】
図1(d)は、垂直配向型ナノへテロ接合の45°傾斜したSEM画像を示す。CNT成長の足場として機能するナノワイヤ束の粗さは、500nm以下である。SiNWアレイ上でのCNT成長後の形態変化を見るために、未加工SiNWと同じ倍率でSEM画像を撮影した。
【0066】
図1(a)および(c)と
図1(b)および(d)との間の明確な対照によって、CNTの均一な成長がはっきりと示され、ナノチューブも垂直配向されている。CNTは、単一SiNWの先端から成長し、垂直配向型SiNWの束の上にさらに束を形成する。
【0067】
さらに、
図2(a)(SAEDすなわち選択領域電子線回折のパターンは、ヘテロ接合のうちの1つのCNT区分(Iとして示す)およびSiNW区分(IIとして示す)からとられている)に示されるSiNW−CNTヘテロ接合のTEM画像により、SiNWは単結晶であり、一方CNTは多結晶であることが示される。
図2(b)は、単一SiNWとCNTとの間でヘテロ接合が明確に形成されていることを表す、Siの格子縞およびCNTの波状縞を示すヘテロ接合のHRTEM画像である。
【0068】
CNTの典型的な直径は、SiNWsの直径と正確に一致する50〜100nmの範囲であるということがTEM画像から更に明らかであり、これは単一のCNTが単一のSiNWの上端で成長するという証拠を間接的に与える。TEM画像から、CNTはSiNWの表面を覆っておらず、代わりに、スキーム1に示されるように、SiNWとヘテロ接合を形成することが認められる。SiNWの先端は、CNTの成長のための核化位置として機能し、ナノへテロ接合を作り出す。さらに、SiNWの直径が大きい、すなわち50nmより大きいときは、この手法によって、単層NTまたは二層NTが形成される可能性はなく、多層CNTが形成される。CNTの成長は、さらに、AFM、EDX分析および水接触角測定によって確認される(
図S1〜S3、
)。CNT成長後のスペクトルにおいて、43%以下の炭素含量が示される。
【0069】
ラマン分光を用いて、カーボンナノチューブの種類(SWNT、DWNTまたはMWNT)および純度を確認する。
【0070】
図3(a)および(b)は、それぞれ未加工SiNWアレイおよびSiNW−CNTアレイのラマンスペクトルを示す。未加工SiNWは、それぞれ一次横光学フォノンモード(TO)、二次横光学フォノンモード(2TO)および二次横音響フォノンモード(2TA)に相当する、520.7cm
-1、957.2cm
-1、および296cm
-1に特徴的なラマンピークを示す。CNTの成長後には、スペクトルは追加でいくつかのピークを示した。黒鉛のピークである1597cm
-1(Gバンド)におけるピークは、カーボンナノチューブに固有の特性であり、これによってCNTがSiNWアレイの表面上で成長したことが確認される。1322cm
-1(Dバンド)における新しく形成された第2のピークは、CVDによって成長したCNTの表面に、不完全な層が誘導されたことを示す。CNTの成長後、520.7cm
-1におけるピークの位置が移動し、その強度が減少する。Siの特徴的なピークが5.44cm
-1移動することは、NWとNTとの間に直接の相互作用があるという証拠となる。ピーク強度の急な減少は、さらに上記の事実を裏付ける。
【0071】
熱重量測定(TGA)によって、ナノへテロ接合がSi上に形成されたのか、またはSiO
2上に形成されたのかが確認される。
【0072】
図4は、室温から1000℃の空気中での(a)未加工SiNWアレイおよび(b)SiNW−CNTアレイのTGAを示す。いずれの試料も、シリコンウエハーの表面からSiNWおよびSiNW−CNTをかき取ることで回収された。2つの試料のTGグラフには、明白な相違があることが分かった。未加工SiNWに相当する
図4(a)は、初め、350℃まではSiO
2に相当するわずかな重量減少を示し、その後、グラフは連続的な重量増加を示す。この重量増加は、SiNWのうちの97.8%以下がSiであり、2.2%以下のみがSiO
2の形態をとっていることを示している。
図4(a)の挿入図は、550℃までの部分の拡大図である。未加工SiNWの表面はSiO
2で覆われており、350℃までに起こる初めの重量減少はSiNWの表面からSiO
2が失われることに起因するということが確認される。350℃以後、連続的な重量増加は、露出したSiNWに酸化物が形成されることに起因する。
図4(b)のSiNW−CNTアレイのTGAグラフは、500℃から650℃までの初めの重量減少が、SiNW上のCNTに相当することを示している。重量減少は大きく43%であり、SiNW上でのCNTの成長が均一で、SEM画像でも見ることができるように、SiNWの表面すべてを覆っているということを示している。残りの57%はSiNWである。このことから、CNTは、SiO
2ではなくSiの先端において、SiNWから成長するということが確認され、このことはXPS分析によってさらに裏付けられる。
【0073】
[II.XPS調査]
高解像度(0.1eV)XPスペクトルを記録することで、未加工の試料およびヘテロ接合試料の化学状態を識別する。コア準位結合エネルギーは、表面帯電効果を補償するために、285.0eVにおけるC 1s中性炭素ピークを基準とした。
【0074】
(a)未加工SiNW試料アレイおよび(b)SiNW−CNTアレイ試料のC 1s領域の近位分光特性検査によって、285.1eVにおけるC−Cのピークが示されることがわかる(
図S4)。SiNW−CNT試料の284.5eVにおける新しいピークは、C−Si結合の形成に関し、また炭素が黒鉛状炭素で存在しているという情報も与え、その結果、SiNW上でCNTが形成していることが確認される。より高い結合エネルギーにおけるピークは、−OHなどの他の官能基または測定室に偶然入った不純物に原因があると考えられ得る。
【0075】
高解像度のO 1sピーク分析によって、(c)SiNWおよび(d)SiNW−CNTのいずれも、O−Si結合に相当する532.6eVにおけるピークを有することが示された。しかしながら、SiNW−CNTアレイにおいて、O−Siのピーク強度は減少し、531.5eVに現れる新しいピークはO−C結合の形成を示す。Si 2p電子軌道のスペクトルは、(e)未加工SiNWおよび(d)SiNW−CNTに示される。103.6eVおよび99.6eVにおけるピークは、それぞれSi−O結合およびSi−Si結合に相当し、SiNW−CNTアレイにおける後者については強度が減少している。SiNW−CNTアレイにおける102.5eVの新しいピークは、Si−C結合に相当する。
【0076】
[III.電子電界放出調査]
無加工SiNWアレイおよびSiNW−CNTアレイの電界電子放出測定は、超高真空下、平面ダイオード構成で行われる。
【0077】
スパッタイオンポンプおよびチタン蒸発ポンプによって、電界放出システム中で1×10
-7mbar以下のオーダーの真空を通常通りに得、これを維持した。電流−電圧(I−V)特性を高電圧電源装置(0〜40kV、スペルマン社(Spellman)、米国)およびピコ電流計(Keithley 614)を用いて、室温で記録した。記録されたI−Vデータから、ファウラー−ノルドハイム(F−N)プロットを得た。陰極(cathose)および陽極の分離(separatrion)は、いずれの試料も1.5mm以下で維持された。電界放出実験はすべて同一条件下で行われ、少なくとも3回繰り返され、結果の再現性は高いことがわかった。
【0078】
電子電界放出(EFE)特性の分析は、ファウラー−ノルドハイム(F−N)理論に基づいて行った。
【0079】
図4によって、EFEの挙動を説明する。
図4(a)は、(J−E)、すなわち電流密度(J)[μA/cm
2]を印加された電界(E)[V/μm]の関数としたものであり、
図4(b)は、陽極−陰極分離870 mでの[ln(J/E
2)][(μA/cm
2)/(V/μm)
2]対(1/E)[μm/V]のF−Nプロットである。0.51Vμm
-1の超低ターンオン電界が、SiNW−CNTアレイに印加された電界が0.7Vμm
-1のとき21μAcm
-2と比較的高い電流密度を生成することが認められた。それに比べて、未加工SiNWアレイは、同様の実験条件下で、印加された電界が同様に0.7Vμm
-1のとき、放出電流密度が0.006μAcm
-2である0.91Vμm
-1のターンオン電界を示した。未加工SiNWよりもSiNW−CNTアレイのEFEが優れているのは、SiNWからCNTへの良好な電子輸送、および最終的にCNTからの電子放出を示すナノへテロ接合の適切なナノ接触に起因し得る。
【0080】
図4(b)は、未加工SiNWおよびSiNW−CNTヘテロ構造の両方が、独立して直線関係を持つことを示し、このことは、電子電界放出の挙動が、F−N理論に従うこと、および量子力学的プロセスであるポテンシャル障壁に対するトンネル効果であることを示している。
【0081】
<電界エミッタの安定性>
SiNWアレイおよびSiNW−CNTアレイのFE安定性測定は、30分にわたり、電界を0.89V/moverに保つことで行われる。
図S1(S.I.)に示されるように、この期間中は、電流の低下または電流の顕著な変動はなかった。電子エミッタの高真空下であっても結果の再現性が高いのは、単一ナノワイヤとSiNWs用の基板との間に強いSi−Si共有結合があり、SiNW−CNTアレイの場合、ナノ接触に強いSi−C結合が形成されるからである。
【0082】
[本発明の優位性]
CNTのSi/SiNWとのヘテロ接合形成を論じた報告があるが、たいていの場合は複数接点を有する。そのような場合、連続的な電子輸送は失われ、電子経路は複数のナノチューブ、ナノワイヤまたはその両方によって共有されることになる。本明細書において、電子電界放出特性増大のための簡単な化学蒸着法による、CNTとSiNWとの間の直接ナノへテロ接合の無触媒合成方法を初めて報告する。