特許第5872680号(P5872680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872680ウォールボードを製造する方法及びウォールボードの構造パラメータを決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872680
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ウォールボードを製造する方法及びウォールボードの構造パラメータを決定する方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/04 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   E04C2/04 EESW
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-506428(P2014-506428)
(86)(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公表番号】特表2014-517884(P2014-517884A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】US2012031831
(87)【国際公開番号】WO2012145153
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年3月25日
(31)【優先権主張番号】13/091,740
(32)【優先日】2011年4月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100145355
【弁理士】
【氏名又は名称】石堂 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・リー
【審査官】 西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/022302(WO,A1)
【文献】 特開2006−095745(JP,A)
【文献】 特開平10−100308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B13/08
E04C 2/00−2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォールボードのコア強度値を準備する工程
ウォールボードタイプに基づいて要求される釘引き抜き値を決定する工程と、
記要求される釘引き抜き値および前記コア強度値に基づいて表面紙剛性値を計算する工程
前記表面紙剛性値、または、前記表面紙剛性値に基づく表面紙重量を表示する工程と、
記表面紙剛性値または前記表面紙重量に基づいて表面紙タイプを選択する工程と、
記表面紙タイプおよび前記コア強度値を使用して、ウォールボード生産機械でウォールボードを生産する工程と、
を含
前記表面紙剛性値を計算する工程において、
前記表面紙剛性値が、
釘引き抜き(lb)=a(lb)+[b(lb/(kN/m))×(表面紙剛性(kN/m))]+[c(lb/psi)×(コア強度(psi))]
(式中、b=0.009490606731およびc=0.073937419ならびにa=a1+a2/[1+Exp(−(ボード密度(lb/ft)−a3)/a4)]
式中、a1=6.7441271、a2=20.870959、a3=43.718215およびa4=2.1337464)
の方程式に基づいて決定される、
ウォールボードを製造する方法。
【請求項2】
前記表面紙重量、引張剛性指標領域(TSIA)値によって前記表面紙剛性値を割ることにより求められる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TSIA値が、超音波の引張強度配向試験装置によって測定される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記TSIA値が、12〜26kNm/gの範囲中である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
記表面紙剛性値および前記表面紙重量の少なくとも1つをメモリ中で保存することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メモリが、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリおよびCD ROMの少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
ウォールボードのコア強度値を準備する工程と、
ウォールボードタイプに基づいて要求される釘引き抜き値を決定する工程と、
前記要求される釘引き抜き値および前記コア強度値に基づいて表面紙剛性値を計算する工程と、
前記表面紙剛性値または前記表面紙重量に基づいた表面紙タイプの選択のために、前記表面紙剛性値、または、前記表面紙剛性値に基づく表面紙重量を表示する工程と、
を含み、
前記表面紙剛性値を計算する工程において、
前記表面紙剛性値が、
釘引き抜き(lb)=a(lb)+[b(lb/(kN/m))×(表面紙剛性(kN/m))]+[c(lb/psi)×(コア強度(psi))]
(式中、b=0.009490606731およびc=0.073937419ならびにa=a1+a2/[1+Exp(−(ボード密度(lb/ft)−a3)/a4)]
式中、a1=6.7441271、a2=20.870959、a3=43.718215およびa4=2.1337464)
の方程式に基づいて決定される、
ウォールボードの構造パラメータを決定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2009年8月20日に出願された米国特許出願第12/544,707号の一部継続出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は複合建築パネルに関する。より具体的には、本発明は石膏ウォールボードの構造パラメータを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
複合建築パネル(石膏ウォールボード等)は内壁および天井建造物のために周知である。ウォールボードの他の材料を上回る主要な長所のいくつかは、ウォールボードがあまり高価でなく、難燃性であり、建造物への適用に容易であるということである。建造物において、ウォールボードは、典型的には留め具(釘またはネジ等)を使用して、フレームウォールおよび天井の木製または金属の支持に固定される。ウォールボードが比較的重いので、ウォールボードを通して留め具が引き抜かれて、ウォールボードを緩ませたり、支持から落下することを防止するために、ウォールボードは十分に強くなくてはならない。
【0004】
釘引き抜きは、ウォールボードが結合された支持からそしてかかる留め具のヘッドを超えて、引き離されるのに要求される力の量の産業尺度である。ウォールボードについての好ましい釘引き抜き値は65〜85ポンドの間の力の近似範囲である。
【0005】
釘引き抜きは、ウォールボードコア強度、表面紙強度、および表面紙とコアとの間の結合の組み合わせの尺度である。釘引き抜き試験は米国材料試験協会(ASTM)基準C473−00に従って実行され、ウォールボード中に挿入された留め具のヘッドを引き抜く機械を利用して、ウォールボードを通して留め具ヘッドが引き抜かれるのに要求される最大力を決定する。釘引き抜き値はウォールボード強度の重要な尺度であるので、最小の要求される釘引き抜き値がウォールボードのために確立されている。したがって、製造者は、最小の要求される釘引き抜き値を満たすかまたはそれを越えるウォールボードを生産する。
【0006】
ウォールボードが要求される釘引き抜き値を満たすことを保証するために、従来のウォールボード製造者はウォールボードの構造パラメータを調整する。特に、製造者は、プロセスの経済性に応じて、要求される釘引き抜き値を満たすために典型的にはウォールボードの表面紙重量またはウォールボードの重量を調整する。製造の間に、ウォールボードを試験して、要求される釘引き抜き値を満たすかどうかを決定する。ウォールボードの試験された釘引き抜き値が要求される釘引き抜き値よりも低いならば、製造者はウォールボード上の表面紙重量および/またはウォールボードの重量を増加させる。要求される釘引き抜き値を満たすまで、このプロセスが繰り返される。
【0007】
かかるプロセスは不正確であり、過剰な表面紙重量および/またはウォールボードに追加される全体的なボード重量に起因して、一般に試験された釘引き抜き値は要求される釘引き抜き値を超える。同様に、表面紙からおよび/またはコアからのウォールボードへの過剰な重量は、それによってウォールボードの製造費および運送費を増加させる。さらに、所望される釘引き抜き値がウォールボード生産ラインで達成されるまで時間および材料を浪費する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、指定された釘引き抜き値を満たすウォールボードを生産するためにウォールボード製造システムを調整する改善された技法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらのおよび当業者によって容易に同定される他の問題は、複合建築パネル(ウォールボード等)の構造特性を決定する本方法によって解決される。
【0010】
本方法は、石膏ウォールボードの構造パラメータを製造前に決定して、製造費および運送費を減少させることに加えて製造時間を有意に減少させるためにデザインされている。
【0011】
より具体的には、本方法は、ウォールボードの構造パラメータを決定することであり、ウォールボードのコア強度値を提供すること、要求される釘引き抜き値を決定すること、ならびに提供されたコア強度値および決定された釘引き抜き値に基づいて表面紙剛性値を計算することを含む。計算された表面紙剛性値は、製造者による使用のためにディスプレイ装置上に提示される。
【0012】
別の実施形態において、ウォールボードを製造する方法は、要求される釘引き抜き値を決定すること、ウォールボードのコア強度値を提供すること、ならびに要求される釘引き抜き値および提供されたコア強度値に基づいて表面紙剛性値を決定することを含む。方法は、決定した表面紙剛性値に基づいて表面紙重量を決定すること、決定した表面紙重量に基づいて表面紙のタイプを選択すること、ならびに選択された表面紙のタイプおよび提供されたコア強度値を使用してウォールボードを生産することを含む。
【0013】
製造者は、構造パラメータを製造前に決定することで、典型的には要求される釘引き抜き値を満たすようにウォールボードのために利用される過剰な表面紙重量またはウォールボード重量を削除することによって、製造費および運送費を有意に節約することができる。加えて、製造されたウォールボードを試験して、要求される釘引き抜き値を満たすのに必要な最終製品の複合デザインおよび重量を決定するために少ない時間が必要とされるので、有意な量の製造時間が節約される。さらに、たとえ過剰な表面紙によって加えられる追加の重量および応力が減少されても、ウォールボードの構造的な完全性および強度が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】様々な表面紙重量および引張剛性指標領域(TSIA)からの異なる表面紙剛性値、同様に様々なボード密度での異なるコア強度値を使用する、異なるタイプのウォールボードについての、測定された釘引き抜きデータと予測される釘引き抜きデータとの間の比較を示す表である。
図2】37lb/ftのボード密度で異なるコア強度値での表面紙剛性の関数として釘引き抜きを示すグラフである。
図3】37lb/ftのボード密度で異なる表面紙剛性値でのコア強度の関数として釘引き抜きを示すグラフである。
図4】37lb/ftのボード密度で異なる要求される釘引き抜き値での表面紙剛性とコア強度との間の関係を示すグラフである。
図5】37lb/ftのボード密度についての異なるコア強度値での77lbの要求される釘引き抜き値を達成するのに必要な、表面紙重量と引張剛性指標領域値との間の関係を示すグラフである。
図6図5のグラフに基づいた、37lb/ftのボード密度についての異なるコア強度値での77lbの要求される釘引き抜き値を達成するのに必要な、特定の表面紙重量値および引張強度指標領域(TSIA)値を同定する表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
釘引き抜き値は石膏ウォールボードの強度および有用性に重要である。特定のウォールボードについての釘引き抜き値が低すぎるならば、フレームまたは他の支持上でウォールボードを保持する留め具は、ウォールボードを通して引き抜かれ、ウォールボードのクラック、破壊、またはフレームもしくは支持からの落下を引き起こし得る。あるいは、釘引き抜き値が高すぎる(すなわち、要求される釘引き抜き値を有意に超える)ならば、ウォールボードの生産設備は非能率的に適用され、製造の間に費用が浪費される。
【0016】
石膏ウォールボード製造における問題は、どのようウォールボードのために要求される釘引き抜き値に相関する表面紙重量を正確に決定するか、そして製造費および運送費に加えて製造時間をより効率的に利用する方法である。上述されるように、ウォールボード製造者はウォールボードで試験を実行して、要求される釘引き抜き値を満たすかどうかを決定する。要求される釘引き抜き値を満たさないならば、製造者は典型的にはウォールボードの表面紙重量および/またはボード重量のいずれかを増加する。ウォールボードの要求される釘引き抜き値を満たすまで、これらの工程が繰り返される。このプロセスは正確でなく、多くの場合ウォールボードに過剰な表面紙重量またはボード重量を持たせ、それによって製造費および運送費に加えて製造時間も増加させる。
【0017】
以前の釘引き抜きモデルは、より小さな石膏ボード(1/2インチの石膏ボード)についての表面紙剛性値およびコア強度値に対して石膏ボードの釘引き抜きを相関させる。別の実施形態において、この釘引き抜きモデルは、釘引き抜き値を1/2インチの石膏ボード、3/4インチ石膏ボードおよび軽量石膏ボードを含むがこれらに限定されない複数の異なるタイプの石膏ボードの表面紙剛性値およびコア強度値と相関させる一般化した釘引き抜きモデルへ拡張されている。
【0018】
具体的には、以下の一般化した釘引き抜きモデルは、28〜48lb/ftの密度を有する石膏ボードの表面紙剛性値およびコア強度値へ釘引き抜き値を関連づける。
【0019】
一般化した釘引き抜きモデルを使用して、要求される釘引き抜き値を満たすウォールボードについての表面紙剛性値を製造前に決定することができる。方法は、以下の方程式(1)を利用して、要求される釘引き抜き値を、ウォールボードの表面紙剛性値およびコア強度値と相関させる。方程式(1)は以下のとおりである。
釘引き抜き(lb)=a+[b×(表面紙剛性(kN/m))]+[c×(コア強度(psi))](1)
式中、b=0.009490606731およびc=0.073937419は、示されたデータに最もフィットする試験データから決定された定数である。定数「a」は方程式(2)に基づいて以下のように決定される。
a=a1+a2/[1+Exp(−(ボード密度−a3)/a4)](2)
式中、a1=6.7441271、a2=20.870959、a3=43.718215およびa4=2.1337464であり、ボード密度は以下のものを使用して決定されている。
ボード密度=ボード重量/ボードキャリパー(3)
【0020】
図1は、様々な表面紙およびコア強度を備えた具体的なボード密度での異なるタイプのボードサンプルを使用して、測定された釘引き抜きに対して比較する、一般化した釘引き抜きモデルからの釘引き抜きの予測を示す。
【0021】
いくつかの状況において、表面紙剛性の変更はより経済的に実現可能である。製造前に、標的の重量およびキャリパーでのウォールボードについて要求される釘引き抜き値は規定される(すなわち1/2インチ、軽量、5−8インチなど)。これらの値を上の方程式(1)中に入れてウォールボードの表面紙剛性値を決定する。例えば、1立方フィートあたり37ポンドのボード密度については、方程式(1)は以下の通りである。
釘引き抜き(lb)=7.602932+[0.009490606731×(表面紙剛性(kN/m))]+[0.073937419×(コア強度(psi))]
【0022】
1立方フィートあたり37lbのボード密度を有するウォールボードの表面紙剛性値は、450ポンド/インチ(psi)のコア強度値および77ポンドフォース(lb)の要求される釘引き抜き値を使用して、以下のように決定される。
77lb=(7.602932)+[(0.009490606731)×(表面紙剛性(kN/m))]+[(0.073937419)×(450psi)]
式中、表面紙剛性値=3805.37キロニュートン/メートル(kN/m)。
【0023】
表面紙剛性値は、以下の方程式において示されるように表面紙重量および引張剛性指標領域(TSIA)値の積である。
表面紙剛性(kN/m)=表面紙重量(g/m)×TSIA(kNm/g)(2)
【0024】
上記の例を使用して、450psiのコア強度値、77lbの要求される釘引き抜き値および18キロニュートンメートル/グラム(kNm/g)のTSIAを有する上記のウォールボードについての表面紙重量は、以下のとおりである。
表面紙重量(g/m)=表面紙剛性(kN/m)/TSIA(kNm/g)
=(3805.37kN/m)/(18kNm/g)
=211.41グラム/メートル2乗(g/m
=43.3lb/1000ft
=43.3lb/MSF
【0025】
上記の方程式において、TSIA値は生産前に正規化した表面紙剛性の測定値である。具体的には、超音波Tensile Stiffness Orientation(TSO(登録商標))試験機械は、TSIAを決定するために表面紙のすべての方向における引張剛性指標(TSI)を測定する。表面紙が剛性であるほど、TSIA値は大きい。ウォールボードについてのTSIA値の近似範囲は12〜26kNm/gである。
【0026】
表面紙剛性値およびTSIA値を使用して、具体的なボード密度での示されたコア強度値を有するウォールボードに要求される釘引き抜き値を達成するのに必要な表面紙の重量を決定する。したがって、表面紙重量の決定のための計算は2工程のプロセスであり、最初に表面紙剛性を決定し、次いで製造されているウォールボードについての表面紙重量を決定することである。
【0027】
方程式(1)、(2)および(3)は、コンピューター、個人用携帯情報端末または他の好適な装置のメモリ中で好ましくは保存される。要求される釘引き抜き値、コア強度値および定数も、データベースまたは他の検索可能なデータフォーマットにおいてメモリ中で保存される。メモリは、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスクの読取り専用メモリ(CD ROM)または他の好適なメモリもしくはメモリ装置であり得る。使用者または製造者は、キーボードまたは他の好適な入力装置を使用して、具体的なウォールボード製品についての要求される釘引き抜き値および示されたコア強度値をコンピューターへと入力する。あるいは、ウォールボードについての要求される釘引き抜き値および示されたコア強度値をダウンロードし、メモリ中のファイルまたはフォルダー中で保存することができる。プロセッサー(マイクロプロセッサーまたは中央演算処理装置(CPU)等)は、方程式(1)、(2)および(3)、入力された釘引き抜き値および入力されたコア強度値を使用して、ウォールボードについての表面紙重量を計算する。計算された表面紙重量、またはあるいは表面紙剛性値は、ディスプレイ装置(コンピューター画面、モニターまたは他の好適な出力装置等)上で使用者へ提示されるか、またはプリンターによって印刷される。使用者は、計算された表面紙重量を使用して、ウォールボードの製造の間にコアへ接着される表面紙または表面紙タイプを選択する。本方法を使用して選択された表面紙は、従来のウォールボード生産技術と比較して、典型的には要求される釘引き抜き値を達成するのに必要な表面紙剛性および重量を標的とする。加えて、本方法は製造されたウォールボードの全重量を減少させ、それは製造費および運送費を減少させる。ウォールボードが要求される釘引き抜き値を満たすかどうかを決定するウォールボードの中間の試験がもはや必要ではないので、本方法はウォールボードの生産と関連する製造時間も有意に減少させる。
【0028】
図1は、方程式(1)を使用して、異なるウォールボードについての測定された釘引き抜きデータと予測された釘引き抜きデータとの間の比較を示す表である。表中で示されるように、方程式(1)を使用して予測された平均釘引き抜きデータは、ウォールボードの試験されたまたは測定された平均釘引き抜きデータと良好に相関する。方程式(1)、(2)および(3)を使用してウォールボードの異なる構造パラメータまたは値を予測して、製造プロセスを促進することができる。
【0029】
37lb/ftのボード密度については、方程式(1)から、方程式(1)における釘引き抜きデータは、図2中で示されるように、200psi〜800psiにわたる異なるコア強度値での表面紙剛性の一次関数として表現することができる。ウォールボードのコア強度値は、製造されているウォールボードのタイプに基づいて変動する。図1中で考慮するウォールボードについてのコア強度値の典型的な範囲は300〜800psiである。
【0030】
釘引き抜きデータは、図3中で示されるように、2000kN/m〜5000kN/mにわたる表面紙剛性値を備えたコア強度の一次関数としてもプロットすることができる。好ましくは、表面紙剛性値はウォールボードについて3000〜5000kN/mにわたる。図2および3中で、表面紙剛性値またはウォールボードのコア強度値のいずれかの増加が、釘引き抜き値を増加させることは明らかである。
【0031】
図4は、様々な異なる釘引き抜き値でのコア強度値の関数としての表面紙剛性値のプロットを示す。具体的には、ライン「A」は、77lbの標的の最小の釘引き抜き値での表面紙剛性値とコア強度値との間の関係を示す。さらに方程式(2)を使用して、表面紙重量またはTSIAのいずれかの増加によって、より高い表面紙剛性値を遂行することができる。
【0032】
図5は、77lbの要求される釘引き抜き値を満たす表面紙重量とTSIAとの間の関係を示す。異なるTSIA値についての表面紙重量要求性は図6で示される表中で要約される。TSIA値を12から20kNm/gへ増加することは、77lbの要求される釘引き抜き値を維持しながら、450psiのコア強度で要求される表面紙重量を平均40%減少させる傾向があることに注目されたい。
【0033】
使用者は、一般化した釘引き抜きモデルによって、すべてのタイプのウォールボード(以下の配合を有するウォールボード等)についての具体的なコア強度値で示された釘引き抜き値を満たす最適の表面紙シート重量を決定することができる。
【0034】
実施例A
スタッコ:1000ftあたり850〜950lbs
HRA:1000ftあたり12〜16lbs
ガラス繊維:1000ftあたり0〜2lbs
分散剤(湿潤ベースで):1000ftあたり0〜8lbs
プレゲルトウモロコシ粉(乾燥ベースで):1000ftあたり20〜40lbs
STMP(MCM)(乾燥ベースで):1000ftあたり2〜3lbs
水対スタッコの比率:0.8〜1.1
【0035】
実施例B
スタッコ:1000ftあたり1100〜1300lbs
HRA:1000ftあたり8〜11lbs
分散剤(湿潤ベースで):1000ftあたり0〜8lbs
酸修飾したデンプン(乾燥ベースで):1000ftあたり0〜5lbs
プレゲルトウモロコシ粉(乾燥ベースで):1000ftあたり0〜10lbs
STMP(MCM)(乾燥ベースで):1000ftあたり0.7〜1.5lbs
水対スタッコの比率:0.7〜0.88
【0036】
実施例C
スタッコ:1000ftあたり1800lbs
HRA:1000ftあたり5〜10lbs
ガラス繊維:1000ftあたり4.5〜5.3lbs
分散剤(湿潤ベースで):1000ftあたり0〜12lbs
酸修飾したデンプン(乾燥ベースで):1000ftあたり4〜6lbs
プレゲルトウモロコシ粉(乾燥ベースで):1000ftあたり0〜2lbs
STMP(MCM)(乾燥ベースで):1000ftあたり0〜0.7lbs
水対スタッコの比率:0.63〜0.75
【0037】
ウォールボード製造者は、本方法の上記の実施形態によって、ウォールボードの重要なパラメータおよび特性(要求される釘引き抜き値を達成するのに必要な表面紙重量等)を製造前に決定することができる。製造前にこれらのパラメータを得ることは、製造時間に加えて製造費および運送費を有意に減少させることを支援する。本方法は、ウォールボードに表面紙重量または全重量を追加せずに、製造者がウォールボードの構造的な完全性および性能を維持することも可能にする。
【0038】
本方法の複数の特定の実施形態が示され記述されてきたが、より広範囲の態様の本発明から逸脱せずに、および以下の請求項において記載されるように、それに対して変化および修飾を行なえることは当業者によって認識されるだろう。
[付記1]
300〜800psiの間のウォールボードのコア強度値を提供する工程と;
ウォールボードタイプの厚みに基づいて要求される釘引き抜き値を決定する工程と;
前記提供されたコア強度値および前記決定された釘引き抜き値に基づいて表面紙剛性値を計算する工程と;
ディスプレイ装置上に前記計算された表面紙剛性値を提示する工程と
を含む、ウォールボードの構造パラメータを決定する方法。
[付記2]
ウォールボードタイプに基づいて要求される釘引き抜き値を決定する工程と;
300〜800psiの間のウォールボードのコア強度値を提供する工程と;
前記決定された要求される釘引き抜き値および前記提供されたコア強度値に基づいて表面紙剛性値を決定する工程と;
前記計算された表面紙剛性値に基づいて表面紙重量を決定する工程と;
前記提示された表面紙重量に基づいて表面紙タイプを選択する工程と;
前記選択された表面紙タイプおよび前記提供されたコア強度値の使用に基づいてウォールボードを生産する工程と
を含む、ウォールボードを製造する方法。
[付記3]
前記表面紙剛性値の決定が、
釘引き抜き(lbf)=a+[b×(表面紙剛性(kN/m))]+[c×(コア強度(psi))]
(式中、b=0.009490606731およびc=0.073937419ならびにa=a1+a2/[1+Exp(−(ボード密度−a3)/a4)]
式中、a1=6.7441271、a2=20.870959、a3=43.718215およびa4=2.1337464)
の方程式に基づく、付記2に記載の方法。
[付記4]
前記表面紙重量の決定が、引張剛性指標領域(TSIA)値によって前記表面紙剛性値を割ることを含む、付記2に記載の方法。
[付記5]
前記TSIA値が、超音波の引張強度配向試験装置によって測定される、付記4に記載の方法。
[付記6]
前記TSIA値が、12〜26kNm/gの近似範囲中である、付記4に記載の方法。
[付記7]
前記計算された表面紙剛性値および前記計算された表面紙重量の少なくとも1つをメモリ中で保存することを含む、付記2に記載の方法。
[付記8]
前記メモリが、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリおよびCD ROMの少なくとも1つを含む、付記7に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6